14才の母
愛するために 生まれてきた
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※全10話から1話延長 |
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放送後の感想
実に判断しづらい1作だった。決して作りが粗いとかそういったことはなく、いろいろと考えられて作られたドラマであることは分かった。重いテーマ性に真摯に向かって丁寧に作られたドラマであることは確かであろう。だが、このドラマの場合は、作家性や構成の巧みさなどというテクニカルな点以上に、扱っているテーマが現実味を帯びすぎていて、一概に作品の完成度は計りにくいという印象が残った。
個人的には、起承転結の中の「起」と「結」はあまりうまくハマっているとは思えなかった。「承」と「転」に当たると思われる第2話〜第7話に関しては見て損はなかったと思う。それぞれのキャラクターの背景を踏まえた上で、論調を偏らせないように工夫していた。女1人でのし上がり、世間の冷たさを痛いほど身に沁みて知っている桐野静香(室井滋)、中卒が世間を生きていくことが辛いことを知っているマコトおじさん(河本準一)、中立的な立場から未希をフォローし続けた的場医師(高畑淳子)、学校側や生徒側の反応、波多野(北村一輝)を通しての世間から見た客観的な視点+マスコミの視点と、様々な視点を見せていったのはうまい脚本だった。だが、それぞれが特徴がありすぎて、特に、桐野家を金持ちボンボンにしてしまったのは導入部、結末部でノリきれなかった要因の一つとして挙げられるのではないか、と思う。
生命の尊さを訴える作品としては意味があるとは思う。ただ、中絶を悪と捉えられかねない内容である、同年代の子たちには影響が強すぎる、と批判が出ているのも確か。しかし、その批判は親世代が若年層の性問題から目を逸らしがちにあることを意味するものだし、このドラマはそれを指摘したともいえる。ただ、決してこのドラマが若年における出産を全面的に肯定しているわけではないけども、その批判を完全にかわすほど、このドラマは主人公に波風を立ててこなかったのもまた真であったように思う。やはり、視聴率もよかったことだし、彼らの今後に起こる数々の苦難は続編を使って絶対に描かねばならないと思う。その荒波を乗り越えたら、彼らがこのドラマのラストで掲げた理想は達成され、今回の出来事を通して強くなったという証明になるわけだし、若年で出産するということの本質を見せるのならば避けられないことではないか。「そして、」からが本当の戦いの始まりであって、それを台詞だけで希望につなげるのは無責任であると思うし、それを描いて初めて今回のドラマの意義が見えてくるのではないかな。
最終回 12/20放送 視聴率22.4% 演出:佐藤東弥
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
個人的に感じたこととしては、1話分を延長させる必要性はあまりなかったかな。ましてや、今回を20分も拡大させる必然性はなおさら感じなかった。欲を張って、1話延長せずに前回あたりを拡大版で締めくくらせればもっと印象がよくなったように思うなあ。
そりゃ、井上さんの脚本は決して下手というわけではないから、未希が戸籍の話をする場面とかはなるほどなあ、と思えたけども、なるほどと思えた次の瞬間には腑に落ちない部分もあったりで、トータルで見るとモヤモヤしたまま終わったドラマだった。
ただ、このドラマに寄せられている批判をある程度汲み入れようということで、一ノ瀬家の周囲の人たちの目線を入れて、同じ年頃の娘には影響が強すぎる、子どもはどうやって産まれてくるのかと子どもに聞かれて困っている、という台詞があった。これはまさに、このドラマに対する指摘に他ならない。とりあえず、その言い分も分かるよ、ということはアピールしつつ、でも、それじゃ、ドラマにならないんだよ、という作り手側の一種のジレンマも垣間見えた気がする。
それでも、最終回の内容はこれまでやってきたことの総おさらいみたいな印象で、論が堂々巡りしていたように思う。まあ、この堂々巡りの議論こそが若年での出産ということの本質なのかもしれないけど、2時間尺の作品ならまだしも、連続ドラマとなると、歯切れのいい結末とはいかなかったな。お若い2人が自分で人生を切り拓こうと強くなったことは認めたいけど、まだこの子たちは今後大変になることを分かっていないな、とも思えてしまう。中卒で働く、勉強できるようになったら勉強する、それは一つの決断かもしれないけど、中卒、高卒、大卒で明らかに給料に格差が出たり、たった1年の違いが職を見つけることに大きな影響を与えることをどこまで彼らが理解しているのか、というのは最後まで曖昧だったかな、と思う。
そうした指摘をしても、人の親になったのだから、彼らには自らで人生を切り拓いていく力があり、彼らの決意を信じたい、と言われれば、外からは何も言えない。このドラマで扱った問題はデリケートすぎて、どっちかの論調に偏れば、反対側から批判が出てくるの繰り返しで、そのバランスを取るのは至難の業だったはずだ。社会派で知られる井上さんでさえ、片方の視点をメインに据えるしかなかったのだから、難しい問題であったことはよく分かった。
このドラマにおいて肝心要となる部分は、やはり、「そして、」の後なのだろうと思う。今回は生命の尊厳や生きることを描いたとするのであれば、せっかく続編の保険は取ってあるのだから、子どもを育てていくことはとても厳しいことなのだ、ということを続編で描かねばならないのではないか。生命の尊重と子育ての厳しさ、この2点は最低踏まえるべきだし、このまま放置ではなく、この最終回は彼らのこれからを描いてこそ意味をなすのではないか、と思う。
第十話 12/13放送 視聴率21.1% 演出:佐久間紀佳
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
こういったドラマチックさを求めた引っ張り方はいらないんじゃないか。次週もまたこんな感じで引っ張るみたいだし、さらには最終回拡大版ということのようだし、こうした作為的な見せ場の作り方はテーマ性と合っていないように思う。やはり、テーマ性をより鮮明にしたいなら、この回はアップダウンを意図的につけようとするより、抑えたドキュメンタリータッチに近いくらいのリアリティにこだわった描写に徹するべきだったのでは。
このドラマの本当の山場は、出産することよりもその子どもをどう育てるかにあると思うので、こうした出産前後よりもその後、未希たちがどうなったかのほうをもっと時間を割いて描くべきじゃないかな。もしかしたら、視聴率が高いということから、その後を描くのは続編に託そうなどと考えているのかもしれない。
1話延長になった本作だけど、この内容なら、今回をそのまま最終回にして、拡大版か何かで終わらせてしまったほうがすっきりとまとまったかもしれない。未熟児で産まれた子どもが未希の指を握るというシーンはとてもよかったから、そこで切ってしまったほうがドラマとしてはすっきりとした印象になったように思う。
それでも、智志(三浦春馬)が子どもを見たときに恐怖でその場に立っていられなかったというシーンはよかった。命がこの世に生まれるということを受け入れることは大変恐いことであることを印象付けていた。このドラマは若年での出産を美化しすぎという批判があるが、そうした批判をうまくかわした意義あるシーンだったように思う。ドラマチックすぎる展開はさておき、未希に出産で命を落とす危険性があったことを見せるシーンも命を尊厳を考えるということの明暗を映していたところだろうし、とりあえずは論調が偏らないように苦心している様子は伺われた。
全11話に編成し直した交換条件だったのか、志田さんの事務所・研音の先輩にあたる反町隆史氏が小児科医役で特別出演。角川春樹さんに好かれて、すっかり最近は大作映画俳優になった反町氏だけど、意外なほど小児科医役が自然に見えた。ぶっきらぼうなだけではなく、ああいう優しいタッチの演技もできるようになられたのだなあ。
「14才の母」というタイトルも実は「14歳の母」として考えていたことも話の中に組み込まれていた。ここからは私の推測だけど、14という年齢は、大人と子どものちょうど中間に位置する年齢だと思う。15になれば、その年で義務教育は終わって、翌年には高校生になる。高校生となれば、子どもというより大人として扱われるべき。しかし、13以下になると、小学生を上がったばかりで、子どもすぎる。そこで、子どもとも大人とも言い切れない14という年齢は的を得たものだろう。そして、大人を連想させる「母」というキーワードに対照させるために、歳ではなく、「才」という子どもを連想させるキーワードを入れる。子どもと大人という2つの側面を入れたタイトル付けはなるほどと感じた。
細かいところまで見てみると、丁寧に作られているドラマではあるけども、出産前後のくだりをここまで引っ張ることもないと思うし、引っ張るためにドラマチックに展開を作りすぎているように思う。テーマ性を見せるには、適した展開の持っていき方ではなかったかな。
第九話 12/6放送 視聴率16.7% 演出:佐藤東弥
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
裏に「FNS歌謡祭」(視聴率:21.3%)があったからなのか、前回以上につなぎの意味合いが強かった。14才の母、出産と宣伝していた割りには、出産における最大の見せ場はすべて次回に持ち越し。
それでも、若くして出産するということはこれだけ危険性が伴ったものであるというあたりを印象付けたかったかなのか、未希が出産を前にして相当苦しむ様子を克明に捉えていくのは効果的だったと思う。やや若くしての出産に対して、肯定に傾いた形で描き方をせざるを得なかっただけに、こうした厳しさを目を逸らさず描こうとしたのは悪くない。それに、志田さんの13歳にしてのあの演技はスゴかったな。本当に痛そうだったし。こういう描写がOKであるなら、第1話の子作りの場面ももっと踏み込んでほしかったけど。
そういった志田さんの演技は圧倒的だったが、それだけでは話が持たないといろいろとドラマを用意していた。ここがやや理想論、作り話に傾きすぎという印象で、精彩に欠いたか。出産のシーンは極めてリアリティには気を使うべきで、それは出産シーンのみに限らず、脇のドラマもそうだと思う。それに加え、それらのドラマにしても、いいところは次週に持ち越しだったしな。
落ちるところまで落ちた桐野静香(室井滋)の姿が描かれていたけど、あの映像の作り方はかなり作為が入っていたと思う。一応、あそこは新小岩ということらしいのだけど、あれは雰囲気に逃げすぎた。そこを雰囲気に逃げるのは得策ではなかったのでは?そして、学校におけるクラスのみんなの対応とか、波多野(北村一輝)が急にいい奴になり始めたとか、キャラクターの対応も理想論、作り話に傾きすぎたように思う。まあ、クラスのすべてが出産を応援しているわけではないとか、波多野にも嫌なハイエナ的部分が残っているとかいったあたりは、井上さんがせめてこれだけは、といった感じで粘ったところじゃないかな。
あと2話あるのだけども、どう話を引っ張るのだろう。今回みたいな引っ張り方だけはやめてほしいところだ。それにしても、裏の「FNS歌謡祭」を見ていたら、このドラマの真裏の時間帯にこのドラマの主題歌である「しるし」をMr.Childrenが歌うという編成になっていた。それも「しるし」、フルコーラス歌っていたしな。フジも高視聴率ドラマに対抗するため、考えた編成をしたなあ。
第八話 11/29放送 視聴率17.3% 演出:山下学美
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は、つなぎみたいなお話で、これまでのような激動の展開はお休み。次回に、14才の母、出産だそうですので、次回の激動に備えて、今回は話自体、控えめなものになっていた。だから、演出を今回のみの登板となるはずの山下学美さんに任せたのだろうと思う。
今回は、出産前夜ということで、山を次回以降に持ってくるつもりであるのか、その前フリに徹したという印象の回だった。戸田菜穂演じる妊婦を登場させることで、これから未希に訪れるであろう苦難を暗示させ、それを見た未希に少し不安に感じさせるという意味合いがあり、やはり、次回への伏線。そして、今回の大きなテーマとなったのは、自分の命か赤ん坊の命か、どちらを取るかということ。この結論に関しては、次回以降に先延ばしということで。そういった究極の選択をちらつかせることで、次回でどうのような展開となるのか、に含みを持たせていたのだろうな。
桐野家もとんでもないことになっており、桐野静香(室井滋)の会社は倒産寸前に。智志(三浦春馬)が少しずつ大人の発言ができるようになっており、成長している姿は見せているのだけど、この桐野親子の命運も次回以降に持ち越しということで。波多野(北村一輝)も何か今回の一件には思うところがあって、驚異の嗅覚で一ノ瀬家と桐野家をかぎまわっているわけだけど、この人が何を考えているのかちゅうあたりも次回以降。
今回は、次回以降のクライマックスに向けての完全なる前フリに徹した回。だから、次回以降の展開を見ないと、評価がしにくい回であった。それでも、このドラマは当初発表されていた全10話から1話延長という異例の措置で、全11話に。ホームページのプロデューサー日記に11話が最終話と書かれていたので、確実となりました。前クールの「CAとお呼びっ!」の倍近い数字を記録しているので、当然といえば当然なのだけど。でも、次回で出産を描いて、あと2回あって、最終回は拡大版ということで、どんな展開になるのだろう?
第七話 11/22放送 視聴率18.4% 演出:佐藤東弥
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
一ノ瀬家のやっていることはまるっきり理想論であるのは分かる。すべてを金で片付けたくない、と桐野静香(室井滋)からの示談金を受け取らなかったりしたあたりとか、未希が父親なしでも何とかやっていけるとやや軽々しく口にしてしまったりするあたりとか、ものすごくやっていることは理想論に近いと思う。現実はそういかないだろう、と思えてしまいそうな展開も多い。それに加え、学校側とか、マスコミ側とか、もう少し波風を立ててもいいところを意外とすんなりと収束に向かわせて、家族のドラマにシフトさせてしまったな、とやや呆気なさを感じるところもある。
だけども、このドラマは脇役のキャラクターを通して、しっかりと現実の論を提示して、一ノ瀬家の理想論と戦わせているあたりがうまいところであると思う。加奈子(田中美佐子)と静香の意見の対峙は、この14才の出産ということに対する現実と理想をうまく対立させていた点だった。加奈子の言う、子どもは自ら自分の人生を切り拓いていくのだから、子どもの決意を親としては応援したい、金ですべてに片をつけるということは間違っているということ。そして、静香の言う、14才の子どもに出産を許す親は甘い、世の中を渡っていく上でお金がどれだけ大事なのかということ。加奈子の言っていることは理想論、静香の言っていることはまさしく現実だろう。だけども、どちらが正しいとは言い切れない。視聴者に考える場を提供するという点で考えれば、このあたりの落としどころが最適だったのかもしれない。
それに加え、子どもを育てながら学校に通うということの難しさということは遠藤先生(山口紗弥加)の口から言わせているし、学歴のない人が仕事をしていくということがどれだけ辛いものであるのかということはマコトおじさん(河本準一)の口から言わせているし、命を軽々しく捨てないでほしいという願いは助産師さん口から言わせている。ドラマということで理想論を展開させねばならない点を考慮して、脇役にキャラクターの背景もしっかりと考えられた上で、現実の意見をまぶしてある。論調が一辺倒にならないような配慮はさすが、井上脚本といううまさだったと思う。
第六話 11/15放送 視聴率16.7% 演出:佐久間紀佳
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
一ノ瀬家は一家団結して、未希の出産を応援するということで、ドラマが始まった当初からは思ってもみなかった展開になっているけども、まあ、ここにいちいちツッコミを入れていたら、キリがないので、あくまである家族の選択ということで見るかしかないかな、と思う。あまりこの家族のやっていることには共感はできないけど。
それでも、脇役の人たちのキャラクターをうまく活用していると思う。そうすることで、視点を多角的にしてあって、そこはさすが、井上脚本のうまさだ。
桐野静香(室井滋)の台詞にはかなり説得力があった。この人は女性実業家として茨の道を歩いてきた人だから、女1人で子どもを育てる辛さも知っているし、男社会をのし上がってきた女性として異端者に世間がいかに冷たいかも知っているし、マスコミを散々利用してきた身としてマスコミの変わり身の早さも知っている。そうした上での、未希に対する言葉はかなり重みがあった。なぜ、静香がこういう金持ちのキャラクターなのだろう、と思っていたが、なるほど、こう活かすための設定だったのか、と納得した。
遠藤先生(山口紗弥加)の話自体はそれほど進まなかったけども、中谷校長(小野寺昭)の言葉にはグッとくるものがあった。学校の利益は考えなければならないが、未希がどんな向かい風にも負けない決意があるのであれば、学校としてもその風を受ける用意があって、退学以外の道を検討してもいい、と。世間の私立で、こんな寛大な校長がいるのかは知らないけど、こういう校長がいたら理想的なのではないか。
今回は、波多野(北村一輝)の記事でどんどんと未希の居場所がなくなっていくという話だったけども、それとは反比例して、一ノ瀬家全体で未希を後押しするということで、家庭の中と外で好対照が効いていて、話の持っていき方は巧みだった。
そして、未希が母子手帳を受け取りに、役所に行っていたけども、これからは未希の子に行政がどう対処するのか、といった点も含めてくれたら嬉しい。エンドクレジットのあたりは急に話が進んでいった気がしないでもなかったのだけども、次回以降は遠藤先生、友人関係等、学校側の部分にも進展がありそうなので、期待したい。
第五話 11/8放送 視聴率17.3% 演出:佐藤東弥
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
相変わらず、未希の両親は甘いな。加奈子さんは未希と散々、話し合ったって言っているけど、それほど話し合っているとも思えないし、意外と案外、素直に未希の「産みたい」という願いを聞き入れてしまったな、という印象を受けた。まあ、忠彦さん(生瀬勝久)のほうはギリギリまで食い下がっていて、そこは安心したのだけど、この人もイマイチ押しが足らないんだよなあ。「縛り付けてでも手術を」と言っているんだけど、絶対、このお父さんじゃ、そんなこと無理だよなあ、と思えてしまう。
親の像も年々変わっているのだろうけども、私は個人的にもっと親は厳しく描いてもよかったのではないかと思う。人の深刻の度合いは分からないから一概には言えないと断りを入れておきながらも、厳しく接して、トコトンまで対立して向き合うことで、今回のような結論に至るならまだしも、簡単に決めすぎていたのでは、という気がしないでもない。
ということで、一ノ瀬家の親子3人の考えていることはあまり共感できるところはないのだけど、このドラマの強いところは周りの人物の幅広い視点を入れてきたところ。その中で、未希のクラス担任の遠藤(山口紗弥加)、マコトおじさん(河本準一)の役割が大きくなってきたように思う。ここが今回における最大のこれからに期待が持てるポイントだろう。一ノ瀬家で唯一、言い得ているな、と思えたのは、未希の弟の発言かな。人を殺したのなら、どうとでもいえるが、人が産まれてくることに対し、どう言葉をかければいいのか、と。やはり、既成概念にある程度、縛られていると率直にものは言えないものだけど、恐らくはこの子どもの台詞はかなり言いえて妙の核心をついていると思う。
そして、智志(三浦春馬)の苦悩を吐露した台詞もよかったな。未希は1人で悩みながらも、大きなものを背負いながら、笑って前向きに歩き出そうとしているのに、男である自分は未希に対して、何もしてやれない、こんな自分が情けなくて腹が立つ。これは気持ちはよく伝わってきた。
ということで、相変わらず中核の3人の言動・行動には疑問符が多いのだけど、周りの人物の言動や行動に注目すべきところが増えてきたし、ちょこちょこ言い得た台詞とかいい台詞とかも出始めてきて、やはり、そういったあたりは井上脚本のうまさかな、と思う。
それにしても、山口紗弥加さんって、すっかり落ち着いたイメージになったな。何年か前は深夜のラジオで落ち着かないトークと引き笑いばかりが印象に残っていたけど、ここ最近はすっかり落ち着いて、演技派の雰囲気を揃えるようになっちゃって。まあ、時は人を変えるものだなあ、と改めて思います。
第四話 11/1放送 視聴率19.4% 演出:佐久間紀佳
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
いろいろな方面の視点を取り入れようと工夫しているのは分かるのだけど、ちょっと論調の度合いのバランスが悪いような気がしてきたなあ。
とりあえず、今回で未希は完全に産むことを決意したみたいだけども、その理由が「会いたいから」というもの。もちろん、その気持ちは分からないでもないけども、その理由のために、学校も辞め、14歳で子どもを産み育てていく決意をしたというのは私には途方もないことのように思えた。
未希の母親・加奈子(田中美佐子)は必死に頭を下げて、妊娠の事実をつかんだ学校に未希にチャンスを、と懇願している最中に、未希はクラスの面々に「私は産む」と宣言。親と子の間での相克が明確になっていく。ラストシーンの辛いときこそ笑顔と、加奈子に微笑む未希はさすがに切なかった。
だけども、学校を辞めるにしても、それは親の意思とは全く正反対のものだし、義務教育も終わっていない身であれば働くことも出来ないし、もし、出来たとしても、おなかが大きくなってくれば誰かの助けがなければ生きていけない。そのとき、どうする?やはり、どうしてもこの疑問が付きまとう。未希はまだこの問題を必死に考えているようには思えない。それは、親が優しすぎるからだろう。現実的な提言をして、未希にとっては辛いことかもしれないが、これはかなり好意的な対応だと思う。殴り飛ばして、親子間の不和が際立っても不自然ではないことなのに、親はスゴく好意的に接してくれている。もう少し、家族間でモメて、家族の仲が崩れかかって、一番の頼みの綱が切れるくらいの波にもまれても尚、産みたいのなら、そりゃ、本物だろうと思う。このドラマの描き方だと、なぜ、あそこまでリスクを背負って、未希が産みたいのかがあまり伝わってこない。もっと荒波を起こしてほしい。
しかし、家庭外での荒波はスゴく、学校に妊娠のことがバレ、さらには未希が妊娠の事実を打ち明けた友人はクラスの連中にその事実を隠すどころか堂々とチクり、未希の居場所はクラスにはない。さすがに、あの友人の態度の翻しようはどうなのだろう?あまりにも過剰すぎる。友人なら、1人くらいは未希の相談相手として存在してくれる子がいてもいいと思うのだけど…。それで、妊娠の事実を学校のクラスの目の前で堂々と発表しちゃう未希にも理解に苦しむところがあるなあ。よき相談相手といえば、マコトおじさん(河本準一)なのだろうけど、唯一、味方になってくれる存在であるなら、このおじさんにこそしっかりと事実を明かして、後押ししてもらうべきなのでは?このおじさんにだけは核心部分には触れずに、都合のいいように「未希の決めたとおりにすればいい」という未希自身が自分を正当化する言葉をたた引き出しただけのように思える。
そうした中、編集者の波多野(北村一輝)は今回の一件を週刊誌にすっぱ抜く準備を進めていた。こちらはこちらであまりにも北村さんがギラギラした目でハイエナっぷりを怪演しているから、ここも多少、過剰かなあ、という気がするんだな。多方面の視点を用意して、丁寧に作られた脚本だとは思うのだけど、もう一押しほしいところと、ちょっとやりすぎかなと思えるところと、ややバランスが悪い。デリケートな問題なので、ここらの感じ方は人それぞれだろうし、あくまで私個人の考えということで。
第三話 10/25放送 視聴率18.3% 演出:佐藤東弥
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
ちょっと未希の両親の対応が大人すぎるのが気になったけど、それはそれとして、生まれてくる命を摘むべきか否かということに悩む未希の姿はよく描けていたと思う。
未希のご両親はだいぶ分かりがいい方たちのようで、このことは水に流して、また一から出直せばいい、と、ものスゴく早く理解を示した。なかなかここまで素早く理解を示してくれる親というのは、私はちょっとピンとこない。やはり、世間一般でいえばとんでもないことを起こしワケで、金は払うが、勘当というようになってもおかしくないようなこと。親だって、完成された人間は少ないから、もう少し受け入れるのに時間がかかるんじゃないか。前回も、未希への叱咤はほどほどに、相手の親に文句を言いに行くぞ、となってしまったし、もう少し自分の娘への責任を追及する場面があってもよかったような気がする。
まあ、それだけこのご両親は、自分の娘がかわいくて仕方がないのだろうし、親の対応はそれぞれの家庭によって様々だから一概にはいえないのだけど。女の子を子どもにもつと、男とは意味が変わってくるのかもしれないし。
その点は人それぞれ受け取り方が変わってくるとは思うが、そうしたこのドラマにおける親像を活かして、話をうまく盛り上げてくれていたと思う。未希は中絶の手術を受けるか否かになかなか踏ん切りがつかない。両親からは今後、誰が子どもを育てるか等の問題を踏まえ、「忘れろ」と現実的な提言を受ける。やはり、誰かに「産む」ということを後押ししてもらいたいと思っている未希は、友人に相談してみたり、直接、智志(三浦春馬)本人にぶつけてみたりするが、返ってくるのは現実的な「忘れろ」という言葉ばかり。
それで一時は、中絶を決意した未希だったが、自分の起こしたことを一切、咎めることなく全幅の愛で包もうとしてくれる母・加奈子(田中美佐子)を見ていると、今、自分が包んでいる子どもへの感情が呼び覚まされる。周りの「忘れろ」という言葉により、さらに「産みたい」という感情が増幅されていく。そして、やっぱり、自分は中絶はできない、と病院を飛び出してしまう。脚本の井上さんはご両親を理解ある存在として描くことで、親からの愛ゆえに子も愛に目覚める、という連鎖の体系で、未希が「産みたい」と感情が推移していくまでを描こうとしたようだ。まあ、これは一つのうまい落としどころだったのではないかな。
今回、友人に相談したことで、その友人からクラスに話が漏れ、桐野静香(室井滋)を張っていた週刊誌記者・波多野(北村一輝)により、この事実が世間にすっぱ抜かれる。これにより、恐らく家庭の中でも未希は孤立していくのだろうが、学校の中でももちろん、孤立していくだろうし、未希の家庭自体も疎外を味わうことになっていくはずだ。この逆境に臆することなく、未希はどう現実を受け止めていくのだろうか。
第二話 10/18放送 視聴率16.8% 演出:佐久間紀佳
評価★★★★★★★★☆☆ 8
前回の内容は確実にファンタジーだったけれども、今回はぐんとリアルになった。やはり、子どもができるということはその本人だけの問題ではなく、周りを巻き込んだことであり、それが14歳の中学生ともなると、その半径はさらに大きくなる。ドラマはこれからその半径をどんどんと広げていくのだろうけど、今回はその一端を見事に切り取ってみせた。
未希1人に延々と悩ませても仕方がないということで、早々に母親にバレてしまい、父親にもその事実が知れることになる。やはり、あの両親の反応はとてもリアルだったように思うな。加奈子さん(田中美佐子)の未希の頬を平手打ちして、そのすぐ後に抱きしめる。忠彦さん(生瀬勝久)の怒鳴り散らしたいほど怒っているのに、涙が止まらない。わずか14歳の娘が妊娠したという事実に怒りが込み上げながらも、どうにかして我が子を守りたいと思う、この2つの相反する気持ちが交錯し、戦っている。演技で言えば、生瀬さんの演技は実に細かかった。穏やかな表情、怒りの表情、泣きの表情を巧みに入れ換えながら、それらが混沌としている様子をうまく表現していた。
志田さんの演技も堂に入ったもので、凛とした目の力強さは大したもの。「女王の教室」「サプリ」のときとそれほど時間は経っていないはずなのだけど、ぐんと大人になったような印象を受ける。中学生という微妙な時期、さらに親とは面と向かって相談しにくい悩みを抱えていることもあり、苦悩するキャラクターなわけだけど、それをうまく表現してくれている。志田さんはまだ13歳で見た目は子どもなのだけど、ぐんと大人っぽい印象を残してくれるようになったから、このドラマのテーマによりリアリティを感じさせてくれている。
あと、未希の担当医である産婦人科医・的場役の高畑淳子さんの発声がハッキリとしているから、中立的な立場としての意見に説得力があった。14歳の子が、子どもを産むことは罪ではないが、子どもを産んで育てられないのは罪だ。未希はこれから大いに悩むことになると思うのだけど、この的場先生の助言は利点と弊害をキッチリと伝えてくれそうだし、役に立つのではないかと思う。
そして、マスコミの対応も気になるところだ。まさに未希の妊娠という話題は週刊誌等が飛びつきそうなオイシイ題材であり、さらに未希を妊娠させた相手というのが有名な女社長(室井滋)の息子とあればさらにオイシイ題材となる。わざわざ波多野(北村一輝)という週刊誌の編集長のキャラクターを出してきたのは、マスコミの対応を見せ、それに踊らされる世間の目を表現させるためだろう。未希は家族や学校のみならず、世間からも冷たい目を浴び、さらに孤立化していくということになる。
今回からその片鱗は見えたが、ご本人たち、それぞれの親、学校、友人、医師、親類のわずかな応援者、マスコミ、そして、本人だけではなく親の周りからの目、さらには、世間一般からの視線、最終的には行政・役所の見解と、考えられるだけでも描くべき部分は多い。それらの視点を満遍なく描いて多角的なドラマに仕上げると共に、うまく話を希望に導いてほしい。
第一話 10/11放送 視聴率19.7% 演出:佐藤東弥
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
やはり、志田未来さんの年齢もあるし、時間帯もあるから、この程度が限界だったちゅうことかな。正直、甘っちょろくて、お行儀がよすぎる初回だったと思う。
個人的に最も問題点だったと思うのは、妊娠の話であるのに、肝心のセックスのシーンが省略されて、曖昧な状態になっていたこと。別にロリコン趣味があるわけではないから、志田さんのそういうシーンが見たかったわけではない。だが、この話はそのシーンが物語の核となるわけだから、そのシーンがあるのとないのとではまるで意味が変わってくるように思う。手をつないで、抱き合っただけで子どもができるわけがないし、それも1回だけの性行為で子どもができる可能性だって少ない。この点は恐らく、演じている志田さんが13歳ということで、未成年による性的欲求を感じさせるようなカットは児童ポルノに引っ掛かる可能性があるから、この程度の描写が限界だったということなのだろう。作り手側もどこに落としどころを見つけるかで苦労したのだとは思うが。それに、事務所側のNGもあっただろうしなあ。
それだけではなく、ストーリーもかなり甘っちょろい。普通の男の子と女の子が生半可な性的関心から流れで、といったあたりのほうが今の時世を表していると思うのだが、このドラマは男の子が金持ちのボンボン坊ちゃまという設定。家で居場所を感じられない坊ちゃまとそれに共感した女の子が惹かれあって…という展開で、上の映像的な面も含め、子どもができるプロセスがかなりファンタジーの世界の印象を受ける。こうやったら子どもができるということをしっかりと描かなければ啓蒙性は薄れてしまうのではないかな。
やはり、生命の価値や尊厳ということにテーマを据えるならば、もっとドロドロしたことでもよかったと思うし、純愛めいた惹かれ合うお膳立てなしに軽薄な動機や認識でのセックスという流れでもよかったと思う。そのほうが実際、生まれくる命をこれからどう考えるかということに説得力が出たはずだろうからね。もっと反響を呼ぶくらいの衝撃作に挑戦するのかと思っていたら、意外とお行儀よくまとまっちゃったな、というのが初回の感想。初回は嫌な意味で、大人の都合がいろいろ見えた回だった。
それでも、14歳で子どもができたということを本人たちがどう考え、親がどう悩み、河本さん扮する叔父さんがどう相談にのり、担任や学校側がどう対処し、マスコミや行政による反応はどうなのか、等、これからは様々な人たちの視点から論じてくれそうな気がする。初回はテレビの限界を感じたが、社会派ドラマの本領はこれから発揮されるのではないだろうか。そこに期待したい。
放送前の感想
14歳の中学生が妊娠し、家族や学校に反対されながらも、一人で子どもを産もうと決心するという問題作。現代版「金八先生」という感もあるけど、そこをどう差別化してくるかが鍵。主演は「女王の教室」で脚光を浴びた志田未来。「サプリ」ではマセた小学5年生を演じていた志田さんがこのドラマではこんな役ということで、スゴいギャップ。脚本は「白い巨塔」「マチベン」など社会派作品に定評がある井上由美子氏。「マイ★ボス マイ★ヒーロー」をヒットに導いた佐藤東弥、佐久間紀佳の両氏が作風を一変させて、生命倫理を問う本作の演出を担当。志田さんはこれから伸びる逸材なわけだし、この年齢(13歳)でこの作品は大きな賭けのはず。番組側は「女王の教室」に匹敵する反響を期待しているらしいから、志田さんのこれからのためにも是非ともスタッフの方には健闘してもらいたい。