あいのうた
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放送後の感想
う〜ん、最終回で一気に微妙になったな。具体的な結末を避けて、逃げたからね。この結末でいいという人もいることでしょうが、私は気に入らなかったかなあ。でも、第7話あたりまではとてもいい出来でした。とにかく、菅野さんと玉置さんの演技がよく、洋子が愛ちゃんに変わっていく過程はとてもよく描けておりました。ただ、このドラマにおける大きな話の帰着点がそこで終わってしまっているのよ。もう一人の主人公である優二の帰着点がない。ある程度、最終回で大きな帰着点が見えてのラストならば、多少、曖昧なものでもOKだと思うけど、このドラマの最終回にはこれといった帰着点がない。一番盛り上がった帰着点が、第7話あたりで終わってしまったから、それ以降の展開が今考えると、ずるずる引き延ばしただけという印象を受け、スッキリとしない。今年随一の名作になると思ったのだけど、微妙な最終回で残念なドラマになってしまいました。惜しかった。
最終話 12/14放送 視聴率9.8% 演出:大谷太郎
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
岡田さん、やっぱり…。岡田脚本は、途中まではよくても最後の最後で「あれれ」ということが結構、あるのですが、やはり、このドラマもその悪いパターンのドラマとなってしまったようです。
どうやって結末をつけるのかなあ、と注目していましたが、うまいように逃げたな、というのが正直な感想。見る人は優二が死ぬのか、奇蹟が起こるのかのどちらかに着地するのか、と思って見ていたと思うけども、そのどちらとも言わず、何だか曖昧なままで終了となりました。まあ、こういう結末になった経緯は分からないでもない。優二が死んでしまうという結末はこのドラマの温かい雰囲気とは違う。かといって、奇蹟が起こったなどと軽薄に言ってしまう結末も優二の不治の病という設定を意味のないものにしてしまう。だから、そのどちらにも付かない結末で逃げたというところかと思う。
でも、この結末だと、何だか消化不良の感が非常に残る。頭の中で考えれば、話としては一番キレイな終わり方だと思うが、気持ち的にはモヤモヤが残る。まあ、この結末にいたるまでの幸せが溢れた展開はとてもいい雰囲気だった。クリスマスのイルミネーションに溢れ、まさに大人の寓話というような実にメルヘンチックな雰囲気を醸し出していた。しかし、あの結末で何だか、これまでの時間の埋め合わせがとても軽薄なものに思えてきてしまった。
優二が病気で死期が近いことを告白し、その残り少ない時間を埋め合わせるがために、湯水のように金を使いながら、子どもたちとの想い出を周りのみんなと一緒になって作ってきたわけだが、優二が死んだんだか死んでいないんだか分からないままでは、何のために3話分も引っ張って、子どもたちとの時間を描いてきたというのよ。やっぱり、ああいうのは結末が分かっているからこその展開だと思う。結末をごまかして、あれだけお涙頂戴をやっていただけでは、ただの安直なドラマでしかなくなってしまっていると思うな。
このドラマは洋子が愛ちゃんに変わっていくドラマであることはその通りなのだが、愛ちゃんとしての見せ場は私の中では第7話で終わっている。第8話からは優二の見せ場ということだと思うが、思いの外、この優二の見せ場が盛り上がらなかった。第7話までは非常によく出来ていた。ただ、そこからがえらく引っ張った割りに結末に実りがなかった。それなら、洋子が愛ちゃんに変わっていくだけを描いたドラマとして、8話か9話くらいで終わらせてくれたほうがスッキリとしたな。途中まではスゴくよかっただけに、この最終回はちょっと残念。
第9話 12/7放送 視聴率8.6% 演出:猪股隆一
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
私が単に子役嫌いというのもあるのだけども、今日の展開は若干、あざとかったかな。
今日の話は、優二がもうすぐ死んでしまうということを子どもたちに告知するというもの。
先週のラストで洋子が結婚してください、とプロポーズしたわけだけど、優二は気持ちに迷いはあれど、その申し入れを断ったとのこと。まず、そこは報告しておきます。
今日はちょっと子役くんたちの愛くるしさで画をごまかしているかなあ、という部分が多かったかな。優二が子どもたちになかなか病気のことを伝えられずに、ジタバタしているくだりも、洋子に傍にいてほしいという思いを語る上では必要だと思うし、狙いは分かる。房子もいいことを言った。だけども、ムダに引き伸ばしている気がして、その展開にはあざとさを感じた。
そして、大くんが草野球でホームランを打ったら、優二は死なないと言っているくだりも、やはり、子どもたちは奇蹟を信じたいという気持ちを表すという狙いは分かるし、あそこは実際にホームランを打ってしまうのが正解だろう。しかし、大くん役の佐藤くんに今一歩演技力が足らないのがイタい。子役の子にそこまで高度なものを要求するのは殺生だろうけど、もうちょっとうまく空振りとか演技をしてほしい。その後の相手チームの守備がもたついて、ランニングホームランになってしまうくだりとか、もう少しそれっぽく演出してほしかった。やはり、あれが最大限の努力だったのだろうが、非常に「わざと」やっている感がしてしまった。あそこはまさに「奇蹟」が起こるわけだから、本当に「奇蹟」が起こったと信じさせるくらいの映像作りをしてほしかったかな。
やっていることは非常に感動的なことをやっているし、部分部分ではとてもいい台詞やシーンもあった。だけども、今回は若干、映像の作りに安っぽさや嘘っぽさが見えた。そこが本物の「奇蹟」ではなく、作り物の奇蹟という、作り物としてのドラマの弱みが見えてしまった。その部分を子役の愛くるしさだけで乗り切ろうとしているような感があり、そこが引っ掛かった。まあ、私の見方は天邪鬼だから、普通の人なら見過ごすことかもしれませんが。
第8話 11/30放送 視聴率8.2% 演出:山下学美
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今回はいつもと演出家の方が違うからか、ちょっと最初のうちは馴染めなかったけども、やはり、最後にはしっかりとまとめてくれたかな、と思う。このドラマはやはり、役者に支えられているわ。
今回は、優二の死が近いことを受け入れ、残りの日々を笑って過ごそうとする洋子を描いていた。
どうも、全体的に今回は子どもたちを映した画が多かったかな。正直、子どもをいかにも愛くるしいように撮って、それだけで画を和ませようとする演出は嫌いなので、ちょっと前半のうちは抵抗があった。それに、同じような画の構図で天どんの笑いの場面を設けていたけど、それも空振りという感じ。
ただ、今回感じたのは、菅野美穂と玉置浩二の主役2人の演技のよさに支えられているな、という部分。菅野さんはこれまでの展開を思い返してみると、実にうまく洋子から愛ちゃんへの変化を演じていると思う。しっかりと過程が見えてくるし、唐突感があまりない。今回のいい奥さん演技も板にはまっていたし、弱さを吐露した優二を抱きしめたときの穏やかな表情はまさに主題歌どおり"愛が溢れてる"というにふさわしい。物語がシンプルなだけに、演技力の粗が見えやすいドラマだと思うが、ここまではほぼ粗はないと思う。大した実力もない女優が主役を張ることの多い時代だが、菅野さんは間違いなく主役を張るにふさわしい演技力の持ち主だと思う。
玉置さんもこの人はたまにドラマに出ると、ホントに味わい深い演技をするんだよな。再放送でチラッと見た「こんな恋のはなし」の演技なんて卓越していたし、私は玉置さんに関しては、あれの再来だと思う。玉置さんはこの人自身の持つ、いい人のオーラというものがあると思うし、まさにこの役は玉置さんのイメージにピッタリだ。いつも微笑みを浮かべて、いかにもいい人そうで実に芯の強そうな演技は、演技力というより、ほとんど玉置さん自身が持つオーラが説得力を出していたんだろう。今回は芯の強い人かと思っていたら、必死で耐えていたという部分が見える回。顔は終始、笑っているのだけど、時折見せる笑顔の中のどうしようもなく切ない表情がうまい。
互いに思いを寄せてきた2人だったが、洋子は結婚しようと優二に言うわけだ。次回は晴れて夫婦になった2人が子どもたちにあと少しで父親がいなくなることを告知する回、そして、その次の最終回ではお別れという運びになるのでは、と思う。今回の中で、房子が奇跡が起こるのといいね、と言っていたが、個人的には奇跡は起こってほしくないと思う。感情論でいえば、もちろん優二には生きていてほしいが、話の筋で考えれば、洋子はロクでもない母親に育てられ、愛を知らない大人に育ってしまったのが、優二という存在と出会い、愛ちゃんとして愛を知る大人になれた。だから、対照としては優二がいなくなったあとも子どもたちを愛を持って育てる洋子の画というものがふさわしいだろうし、洋子に育てられた結果、子どもたちが愛ある大人に育ったというエンディングが一番好ましいと、私は思う。ただ、岡田さんの脚本は結構、意外な方向に結末を持っていくことがあるから、それがよく微妙な方向に行ってしまうことがあるのは癪だが、いい意味で裏切ってくれたら嬉しいかな。
第7話 11/23放送 視聴率9.7% 演出:大谷太郎
評価★★★★★★★★★☆ 9
ちょっと、ちょっとちょっと〜(ザ・たっち風)、何ですか、これは。超がつくほどの名作じゃないですか。いわゆるラブストーリーと言われる作品でこんなに感動したのは初めてかもしれないなあ。何で、このドラマ、こんなに視聴率低いんだろう?前にも「愛なんていらねえよ、夏」という傑作があったけども、あれも視聴率がスゴく悪かったんだよなあ。たまに視聴率が取れてないのに、極上の面白さを内包した作品を見つけることがある。こういうのを見ちゃうと、視聴率って、当てにならねえなあ、と、しみじみ思うものです。
今日は、優二が遂に自分の病気を洋子に告白するという話。
今日は後世に残したいくらいの名シーンの連続でしたな。優二が自分の病気を告白するシーン、ここが最大の見所だったわけだけども、やっぱり、ここは名シーンということになるだろうね。洋子が記憶喪失ではないことを告白してくれて、嘘つかなくてもいい生活に確実に明るくなって、洋子ではなく愛ちゃんになっていく姿を見ていて、優二も嘘をつきながらの生活が重くなっちゃったわけだね。それと、悲しいから笑うんだ、と、優二がいつもニコニコ微笑んでいる理由を語るシーンも納得。笑うとパワーが沸いてくるし、自分のせいで周りを湿っぽくしたくない、ということ。いつもニコニコしているからこそ、一人になった瞬間の子どもたちの成長した姿が見たいと叶わぬ願いを一人吐露するシーンにも凄みが増してくる。ラストシーンもよかった。洋子が優二の病気を受け止め、必死で作った笑顔。これはうまく笑えなかったかつての洋子ではとても出来なかったことだと思うし、優二を受け止めようとする愛に溢れた愛ちゃんとしての笑顔だったと思う。物語の前半で出てきた洋子のうまく笑えないという設定がここに来て、ここまでしっかりと昇華してくるとは…。
それと、今回、優二が落とした薬の錠剤で小日向さん扮する飯塚さんが優二があといくらも生きれないということを知って、そのことを柳沼、房子にも告げるわけですが、今まで頼りないキャラで統一されていたはずの飯塚がとても凛々しい顔で優二が笑っていた理由を悟り、優二の前では笑っていようと、いきり立つ柳沼を諭すシーンもグッときたね。
このドラマはキャスティングに外れがない。成宮はちょっと微妙かもしれないけど、菅野美穂、玉置浩二、小日向文世、和久井映見はまさに鉄板。絶対にこの人たちじゃなければダメだったね。ここまでキャスティングがハマるドラマも久々かな。それとさ、今日は編集もバッチリ。最後の一番いいシーンで流れる主題歌ね、それで主題歌がフェードアウトした後の菅野祐悟さんの優しい音楽が愛ちゃんの笑顔を引き立て、そのまま次回予告へ。これは次回も見るって!ちょっと、ちょっとちょっと、うますぎです。
基本、私はいわゆるラブストーリーと言われるようなものはあまり好きではないのですが、このドラマはすばらしい。洋子と優二が互いに惹かれていく過程が全然刹那的じゃないし、互いに共鳴しあって好きになっているんだなあ、というのが分かる。それをこんなにシンプルなお話で表現しちゃうんだからなあ、岡田さん、スゴいや。
第6話 11/16放送 視聴率8.4% 演出:猪股隆一
評価★★★★★★★★☆☆ 8
今回は遂に洋子が自分が記憶喪失ではないことを告白する回。告白して、優二の家を出て行ってしまった洋子だけども…。
今日はよかったです。いつもは傍にいるはずの人がいない寂しさね。その空虚感が実によく描けていたと思う。このドラマはホントに平凡な生活の中にある、私たちの忘れかけている幸せを気付かせてくれる。自分がいないことを寂しいと感じくれる人がいるとするならば、それはとても幸せなことなのだ、そして、自分のことを心配してくれたり、自分のために叱ってくれたり、泣いてくれたり、何かしてくれたりする人がいるということは、とても幸せなことなのだ、と。
出て行ったけども、結局、優二のところへ戻ってきた洋子が、優二と一緒にいたい、と言うシーンもとてもいい。いつもは素直になれず、愛ちゃんになりきれなかった洋子が初めて素直に気持ちを吐露して、愛ちゃんになれた瞬間だったと思う。
そして、優二はやはり、初めから記憶喪失でないことは感づいていた。それでも、優二が記憶喪失ではないことを問いたださず、洋子が愛ちゃんとして別人の人生を歩むことで、新しい自分に生まれ変わりたいと思う気持ちを悟ったのだろうね。これも優二が現職の刑事だった頃にはすぐに問いただしていたことだろう。優二が余命いくばくもない状態であるからこそ、洋子の生の息吹を見て取ることができたのだろうね。記憶喪失ではないことを告白した洋子を、洋子としてではなく、これからも愛ちゃんとして接していこうと子どもたちに言うシーンもよかったねえ。
愛を知らない、記憶喪失、病に冒され余命いくばくもない、などと、かなりベタベタな韓国ドラマに出てきそうな設定だけども、しっかりとこの設定が活かされているというのがスゴい。この設定がなければ、心理過程を説明することが出来ないからね。こういうベタベタな設定というのはただ単にベタベタな無意味な設定のまま終わってしまうことが多いのだけど、このドラマではこの設定に必然性を持たせられている。ベタベタな設定ほど、必然性が見えにくいもの。そこは岡田さん、スゴいところだね。
来週は、遂に優二のほうが自分の病気を告白。またもや、泣けそうな展開じゃないですか。
第5話 11/9放送 視聴率10.0% 演出:大谷太郎
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今日は菅野さんの演技がよかった。普段は強がっていながらも、次第に優二に惹かれていく洋子の気持ちを的確に表現していたと思う。菅野さんがこのドラマでは異様に美しく見える。キッチンに立って皿を洗っていながら、玉置さんのほうを覗き込んでいるときの顔とか、「愛し君へ」のときなんか、あまりキレイな人だなあとは思わなかったけど、このドラマは違うな。ドラマの内容がいいと、女優さんが輝いて見えるというのは本当だね。ダメなドラマを見てると、ホントくすんで見えるからね。というか、初回のときに比べ、役柄的に"愛ちゃん"の度合いが増していくたびにキレイに見えてきたのは気のせいだろうか?
今回のポイントは優二と柳沼の間で揺れる洋子の心。柳沼は洋子の過去は知った上で、洋子のことを愛ちゃんとして好きになってくれたわけだから、洋子にとって嬉しくないわけがない。しかし、洋子の心は優二に惹かれていっているのは確実なこと。私が好感が持てるのは、少なくとも洋子が優二に向ける思いには男としての好意以上のものがあることが分かるところだ。男という感情もあるだろうが、"家族"というような感覚のほうが強いのではないだろうか。何かをしてあげたら、それを笑顔で嬉しそうに受け取ってくれる、こんな一見、普通に思えるようなことが、いかに幸せなことなのか、ということを気付かせてくれて、どんな思いも笑顔で受け止めてくれる優二に対しては、かつて味わえなかった親の温もりのようなものを感じているのだろう。その家族に対するような愛情から次第に一人の男としての意識が芽生えてくるわけだが、恐らく男としての意識が家族としての意識を抜き出るということはないと思う。この異種の愛情を同じベクトルとして描いている点に好感が持てるのだ。
ただ、今回、ちょっと盛り上がりに欠けたか、と思う点はイマイチ成宮が柳沼にハマりきっていないということだ。柳沼がいい奴であろうことは推察できるのだが、成宮が役にハマりきれていないことから、どうしても洋子の思いが優二のほうに向かってしまうことが必然的に見えてしまうのだ。洋子の心の揺れというものを描くのであれば、もう少し柳沼を魅力的な人物として描く必要があったのでは、と思う。別に成宮は嫌いじゃないけど、彼のハマリ役って、あまり見かけたことがない。まだまだ成宮くんは力量不足ということなのかな。あと、刑事という設定ね。なぜ、刑事という設定が必要だったのかが分からない。張り込み捜査のときもおままごとみたいなことしていたしね。設定がイマイチ映えていないところは残念だね。
第4話 11/2放送 視聴率9.8% 演出:猪股隆一
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今回は玉置さんがうまかった。幸せそうな微笑みの中にそこはかとない悲しみを帯びたあの笑顔が切なかった。なぜ、こんなに幸せなのに、悲しいのだろう?あの悲哀を背中から表現できるのは、玉置さんしかいないのだろうなあ。だから、このドラマの製作の人は当たって砕けろで、玉置さんにオファーしたのだろう。分かるわ。イメージとしてピッタリだからね。玉置さんは病気であと半年の命という設定なのですが、ここまでその設定を明確に裏付けるシーンは挿入されておりませんでした。今回初めて、玉置さん扮する優二が一人腹を押さえて苦しむ場面が挿入されました。
洋子の側の感情もよく出来ていたと思う。今回は商店街の福引で石和温泉旅行が当たるところからスタート。しかし、石和は洋子の本当の故郷。そんなところでかつての知り合いと出会えば、記憶喪失ではないことがバレてしまう。そして、その旅館でたまたま女将をしていたのが洋子が小学生のとき同級生だったオリジナルの愛ちゃんだったのだ。洋子は優二らの前では愛ちゃんという通称で呼ばれており、誰にでも愛される愛ちゃんとして、洋子は二度目の人生を歩もうとしていたわけだ。
そのオリジナルの愛ちゃんに、洋子は小学生のときに優しい言葉をかけられていて、友達のいなかった洋子にとって、その言葉は忘れられない言葉だったわけだ。そこで、洋子はオリジナルの愛ちゃんに、他人のフリをして、自分のことを覚えているかを聞いてみる。しかし、その答えは「No」。あんな誰にでも愛され、友達のいなかった自分にも優しかった愛ちゃんは私のことをまるで覚えてもいなかった。そのことが原因で、洋子は優二らにひどい暴言を吐いてしまう。結局、愛なんて言ったとしても、所詮はかりそめのものだし、今は幸せでも、時が経てばすぐに忘れ去られてしまう。愛されることの幸せに気付き始めた洋子にとって、今の愛ちゃんを演じることで"松田洋子"であってもこれまでの"松田洋子"ではない自分から、かつての自分にもうしばらくすれば戻ってしまいそうな気がして、恐くなったのだろうね。
それと、洋子の秘密を知った上でいろいろ相談に乗る房子を演じる和久井さんもなかなかよろしい。房子は洋子の女友達になるわけですね。第2話あたりではちょっと仲が悪かったみたいやけど、知らない間に友達になっていたみたいだなあ。この房子さんは抜けているようでも、しっかりとしたアドバイスをたまにしてくれるわけよね。
さらに、成宮扮する柳沼。柳沼はふとしたことで洋子の素性を知ってしまう。そこで、洋子がどんな人だったかを知るために、石和へと来ちゃうわけですね。いま、会いに来ちゃいましたという具合に。話を聞いていると洋子に関しては悪い話しか出てこない。柳沼はここで洋子が自殺をしようとした理由に気付くわけですよね。多分、記憶喪失ではないということには気付いていないと思うけど。だから、守りたいと思ったのか何かは知らないけど、洋子にというか、愛ちゃんとしての洋子に愛の告白ですよ。成宮はこれが適切な表現かどうかは分からないけど、「恋敵」のようなキャスティングだったわけね。
私の持論として、いいドラマというものにはそのドラマ自体が醸し出すイメージによるオーラというものがしっかりと見える、というものがあります。ダメなドラマって、やりたいことが定まっていないことが多くて、イメージが散漫になりがちでそのオーラというものが見えてこない。多分、基本、ドラマでやっていることはどうしても似通ってしまうものです。大事なポイントとなるところは、同じようなことをやっていても、そのドラマでしか出せない雰囲気を醸し出すことじゃないでしょうか。このドラマはやっていることはそれほど真新しいことではないけども、このドラマでしか味わえないことがあると思う。そこは実に評価できるポイントだと思いますね。
第3話 10/26放送 視聴率9.8% 演出:猪股隆一
評価★★★★★★★★☆☆ 8
いや〜、今日はよかったね。感動しました。
今日は洋子(愛ちゃんというほうが正確か)が子どもたちのためのお弁当作りに奔走するという話。普通、誰かに弁当を作ってあげるなんてことは、男の場合はあまりないからよく分からないのだけど、確かに朝早くから必死になって弁当を作って、残してあったら、それはちょっとヘコむだろうし、全部食べてあったら、それはそれでかなり嬉しいものだと推察がつく。一般的に見ても、人に好意で何かしてあげて、相手からも好意が返ってくるというのは嬉しいもの。
今回は岡田さんの脚本のうまさを感じたね。軽いお弁当箱が返ってきて、その弁当箱を振ったときのお箸(ドラマの中ではスプーンとフォークだったけど)のカラカラという音。こんな実に些細で小さな音で、人を感動させることができるって、スゴいと思う。ここに洋子が愛というものを知らないという設定が活かされている。玉置さんの主題歌じゃないけど、私たちが何気なく暮らしている中にも、見落としてしまっているだけで愛が溢れているのだ、と。愛に恵まれた人からすれば見落としてしまうようなことでも、愛を知らない洋子にとってはそんな些細なことが極上の幸せにもなったりする。弁当箱のカラカラ、あれほど美しい音は久々に聞いたな。
弁当作りに奔走する洋子を終始、ニヤニヤしながら見つめていた優二さんも微笑ましいね。洋子と優二の関係のドラマも申し分ない。これはラブストーリーというよりも、心の接近を描いたドラマといったほうが近いかもしれない。男と女としてではなく、洋子にとったら優二さんは父親の愛情に近いそれを感じているのだろう。人から家族として認められ、必要とされることがいかにすばらしいもので、生活の中には些細だけれど、たくさん愛や幸せがある。見失いがちなその事実を愛を知らない洋子のメガネを通して見ることで、それが優二さんとの心の接近へとつながっていく。何もかもが刹那的なラブストーリーなんかとは一味違うより高尚な愛を描いていると思うね。
そして、最後の優二さんの「愛ちゃんのままでいいんじゃないかな」という台詞。あれは確実に洋子が記憶喪失ではないことは分かっているという証拠だろうね。だって、これまでも洋子が出す数々のボロをあえて笑って見過ごしてきて、記憶の有無を無理に追及しようとはしていないしね。多分「愛ちゃんのままでいいんじゃないかな」という台詞の前には、「記憶喪失ではないことは分かっているけど」という言葉が入るのだろう。生きる道が見つからないなら、ゆっくり探せばいいし、愛ちゃんとして生きることで生きる道が見つかるのならば、愛ちゃんのままでもいいんじゃない、ということなのだと思う。
このドラマは実に普遍的な愛を描いていると思う。洋子が優二に向けた思いにしても、優二が洋子に向けた思いにしても、洋子が子どもたちに向けた思いにしても、優二が子どもたちに向けた思いにしても、子どもたちが洋子や優二に向けた思いにしても、このドラマからは同質的なものを感じる。普通、どうやっても、男と女の恋愛感情と家族への愛情というものはベクトルが違ってしまうものなのだけど、このドラマに関して言えば、同じベクトルを感じる。全体を一つの"愛"という漠然とした概念が包んでいるというか。基本、私はラブストーリーはそれほど好きじゃないが、こういうラブストーリーなら好きだな。愛というものをこのように表現してきた岡田さんは実にうまいと思う。
第2話 10/19放送 視聴率10.7% 演出:大谷太郎
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
う〜ん、やりたいことは分かるんだけどなあ。愛されるということを知らない女が初めて愛されるということの嬉しさを知っていくドラマであることは重々承知だ。菅野さんの演技も悪くないし、愛されるということの嬉しさに目覚めていく過程はしっかりと描けていると思う。
しかし、ずっとこのテンポで10話ないしは11話を引っ張っていくというわけ?そいつは、ちょっとキツいものがあるな。別にダメなドラマではないと思うよ。それなりの世界観は持っているし、一見する価値はある。だけど、連続ドラマには不向きな内容なんじゃないか、と思う。この枠のドラマは個人的に苦手なことが多いのだが、今回のようにたまたま見てみると、「悪くはないのだろうが、まるで先が気にならない」という大きな問題点を抱えていると思う。連続ドラマというくらいだから、先が読めず、ついつい続けて見てしまうことこそが本来の意味だろう。このドラマの結末はある程度、予想が付く。だから、このドラマは結末がどうなるのか、と見るよりも、結末に向かっての過程がどうなるか、という見方をするドラマなのだと思う。そういうドラマは視聴率を見ていただいても分かるようにウケないのよ。
まあ、こんなことばかりを言っていても仕方がないので、内容自体の言及を。菅野さん扮する洋子は記憶喪失のフリをして、玉置さん扮する優二の家に居候をしているわけだ。洋子はもちろん記憶はあって、記憶喪失ではないのだが、このドラマのテーマでもある「愛」ということの記憶に関しては持ち合わせてない、つまりは、記憶喪失の状態に近いといえる。失われていた愛というものの記憶を優二一家との触れ合いで埋めていく。記憶喪失のフリをするというありがちな嘘もこう見てみると、あながち嘘とも言い切れない。こういうところは岡田さんのさりげないうまさだと思う。
優二にしたって、果たして洋子が記憶喪失であるとホントに信じているのだろうか?私の予想では、前回に洋子に向かって、「寂しい人だ」と言ったときに、この人は記憶喪失ではない、と気付いていると思う。しかし、人から愛されるということを知らない寂しい人であることは感じ取ったのだろう。そして、余命いくばくもない立場に置かれているからこそ、愛せる相手がいて、愛されている自分がいるということのすばらしさを再認識できた優二。死を近くして、大事なことに気付いた優二は、まだ生きれるのに大事なことを知らぬまま死を選ぼうとした洋子に大事なことを気付かせたいと思ったに違いない。
でも、こんな話はどっかで聞いたことがあるなあ?これといって引き付けられる真新しい個性がないんだよなあ、このドラマには。来週以降にはこれという気になる展開はあるのだろうか?このまま行かれると、ちょっと退屈であることは否めないかな…。
第1話 10/12放送 視聴率12.5% 演出:大谷太郎
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
おぉっ、これはなかなかいいんじゃないの?個人的には嫌いじゃないよ、この感じ。
実に岡田さんらしい作品だったんじゃないの?岡田さんは日常のことと非日常のことを組み合わせて、ありえそうだけど、ありえないという独特な世界観を出すのがうまい。だから、基本的にはありえないストーリーにも生活観を滲ませてくれるから、結構、スンナリと入り込めることが多い。ただ、そうなると、結末への持っていき方が難しい。だから、たまに微妙な結末になるパターンもあるのは玉に瑕です。とにかく、出だしはいい感じだった。
まあ、最初のちょいとシュールがかった展開には出鼻を挫かれた思いだったけど、時間が経過していくほどに味が出てきたというか、だんだんとよくなってきたという感。この作品は照明がすばらしいね。あの温かい光の色合いは心が洗われるわ。
誰からも愛されたことがなく、愛を知らない性格ブスの女・洋子(菅野美穂)。川に飛び込んで自殺を図るが、あえなく失敗。身元が割れていないことをいいことに、記憶喪失のフリをして、第2の人生を始めようとする。洋子が記憶がないと信じ込んでいる警官の優二(玉置浩二)は、洋子が行くあてがないことを案じ、自分の家に引き取ることにする。優二には死別した妻との間に出来た3人の子どもがいた。優二一家と、記憶喪失のフリをした女の共同生活が始まった…。
優二さんの設定にはどうやら、病気であと半年の命というものがあるらしい。奥さんが亡くなって、次は自分が死ななければいけない。まだ小さい子どもたちを残して自分は死ななければいけない。子どもたちには自分があと半年しか生きれないことは言ってはいないが、せめて1秒でも長く子供たちといれるように、優二は刑事課から警務課へ異動願いを出した。どうやら、優二は刑事のときと性格が全然変わったみたいだ。奥さんが亡くなり、さらに自分の命ももうあとわずか。そこに命を捨てようとする洋子を発見し、命を大切にして、愛されることのすばらしさを知ってもらいたいと思うようになる。
見知らぬ人の家に、これまた見知らぬ人が転がり込んでくるという話はよくあるドラマの王道のものだ。しかし、記憶喪失のフリをしたり、実は大病を患っていたりと、どことなく韓国ドラマのような色彩も帯びている。コミカルなようで、シリアスだし、ハートウォーミング。かなり変わった雰囲気を持った作品だ。毎度、この水10の枠は変わった雰囲気のドラマが多くて、個人的にダメなパターンが多かったけども、このドラマに関しては初回の雰囲気は嫌いじゃないなあ。
菅野さん、玉置さん、2人ともまずまず各自の個性は出ていると思う。これからキャラの背景とかが語られてくると思うから、そうなると演技力を活かせる場面も増えてくるんじゃないでしょうか。それにしても、菅野さん、結構、スゴい役を引き受けたものだねえ。トップ女優なのに、犬のクソを2回も踏み、川からゾンビのように上陸してくるなど、なかなかの挑戦。それでも、ハッとしたときの表情などからは時よりかわいさを滲ませてくれる。だから、キャラとしては強烈だけど、あまり悪い印象はない。同じ性格ブスを演じて、ただのブスになってしまった観月ありさ@鬼嫁日記とは大きな違いだ。
でも、この独特の空気感を持ったドラマだから、一般的に受け入れられるには時間がかかりそうに思うな。初回視聴率も12.5%だったからね。ちょっと厳しい門出だな。多分、このドラマはしばらく我慢して見てみないと、旨味が出てこないタイプだと思う。視聴者がどれだけ我慢してくれるかが鍵だろうね。それによって、このまま視聴率が1桁に行っちゃうか、これから持ち直すかが決まりそうです。
放送前の感想
菅野美穂と玉置浩二が主演する性格ブス女と妻に先立たれた心優しき警察官のラブストーリー。玉置さんは「こんな恋のはなし」(真田広之・松嶋菜々子主演)以来となる8年ぶりの連ドラとのこと。脚本は映画「いま、会いにゆきます」などの売れっ子・岡田惠和氏。菅野・玉置・岡田の取り合わせは期待が持てる。特に、玉置さんには「こんな恋のはなし」くらいの味のある演技を見せてもらえたら最高だ。ただ、この枠はよさげな内容でも昨年の同クール「一番大切な人は誰ですか?」とか、7-9月クールの「おとなの夏休み」みたいな失態を演じてしまう可能性大なところは懸念材料だ。とにかく、1、2回偵察してみる価値はありそうだ。