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勝手に、ドラマアルデミー賞2006
(7月-9月クール)




 ドラマアルデミー賞とは、私、有 パチ夫の独断と偏見で各部門において、すばらしいと思ったドラマをその当事者には決して知られることなく、表彰してしまおうではないか、というコーナーです。だから、本家のドラマアカデミー賞ではなくて、アルデミー賞、だいぶうさんくさいですが。この賞は1クールにつき、それぞれ発表され、1年の終わりには、その各クールの受賞作の中でもっとも優れた作品にアルティメット・アルデミー賞を授与したいと思います。それでは、2006年三発目は7-9月クールです。

結婚できない男
6部門
マイ★ボス マイ★ヒーロー
5部門
吾輩は主婦である
2部門
サプリ
1部門
タイヨウのうた
1部門


総評

 今クールのドラマは視聴率的にはかなりの冷夏だったが、内容的にもかなりの冷夏だった。視聴率的に盛り上がりを見せた「マイ★ボス マイ★ヒーロー」と「結婚できない男」がそのまま今クールを代表する作品といえるだろう。視聴率的にもコケ気味だったその他のドラマは私見だと、視聴率相応の内容だったと思う。

 W杯があってなのか、この夏はあまりやる気の感じられない焼き直しドラマが多かったように感じる。その中でも、焼き直しに失敗してどんどん埋没していくドラマが多かった。焼き直しの中にも新味な部分を織り交ぜてきた「マイ★ボス」「結婚できない男」がやはり、受け入れられたということなのだろう。視聴率と内容が相関するとは限らないけど、今クールは視聴者もかなりシビアな目でドラマを選んでいたようだ。

 ゴールデンのレギュラードラマとは別に昼ドラ「吾輩は主婦である」も見たのだけど、さすが、宮藤官九郎で、最終的には昼ドラではなく、しっかりと宮藤ドラマになっていた。確実に今クールのゴールデンドラマよりも充実の内容だったはず。



作品賞
フジテレビジョン

 今クールは視聴率も悪かったが、それと同様に内容までつまらないドラマも多かった。その例外に当たるのが、「結婚できない男」と「マイ★ボス マイ★ヒーロー」だった。「マイ★ボス」は韓国映画に原作を求めたり、群像劇であり、学園ドラマでもあることから描く要素が多すぎて、かなり粗い面もあったのは確かで、その点はマイナス点。それに対し、「結婚できない男」はリアルで鋭い人間観察眼をもちながらも、ドラマ的なユーモアもしっかりと盛り込んだバランスのよい作品だった。直接的な描写に頼ることなく、あくまで自然な流れの中、桑野と早坂先生の接近を描き、これがオリジナル作品であるという点も大きな評価に値する。



演出賞
三宅喜重、小松隆志、植田尚

 「結婚できない男」と「マイ★ボス」と演出のタッチにも大きな差があった。ゆったりと間を多用した独特の面白みを醸し出す前者と、学園ものならではの淀みがなく、ストレートで勢いで押す後者。演出のタッチは違うが、それぞれが上手さを見せてくれていたと思う。そこで、どちらが演出としてより巧みかといえば、決して大きな見せ場に依拠しない形で進めた「結婚できない男」に軍配が上がる。役者それぞれの持つ面白みを存分に引き出しながら、間の取り方等の効果も抜群だった。

脚本賞
尾崎将也

 尾崎将也さんといえば、これまでは「アットホーム・ダッド」「特命係長・只野仁」「鬼嫁日記」「7人の女弁護士」などなど、脚本を担当したドラマは多いが、その仕上がりにはムラがありすぎだった。どの作品にも粗が目に付いてしまうというのが尾崎脚本の特徴で、個人的にはあまり評価できない脚本家さんだった。ところが、今作では自身の性格も大きく反映したということもあるのか、これまでとは比にもならない巧いテクニックを見せ、自身の最高傑作になった。



主演男優賞
阿部 寛

 まさに主演男優賞は「結婚できない男」の阿部ちゃんと「マイ★ボス」の長瀬さんの2トップによる熾烈な争いだった。両方のドラマともに、阿部・長瀬の両氏の好演に支えられ、ドラマ自体に勢いがついたというのは間違いがない。どちらが役柄として巧みだったかという点に集約されるけど、「結婚できない男」の場合は本来ならドラマの主人公にはなりにくい偏屈な嫌味な男ということで、この役柄をある程度憎めない男として受け入れさせたのは阿部ちゃんの持つキャラクターの賜物といえる。

主演女優賞
斉藤由貴

 かつてのアイドル時代をご存知の方は衝撃的な演技だったかもしれないが、斉藤由貴さんはドラマ出演は長らくご無沙汰だったのだが、そのブランクを感じさせないぶっ飛んだ演技を見せた。主婦のみどりのシーンと、吾輩の人格が現れているシーンの演技が一目見るだけでその違いが分かる実に器用な演じ分けだった。それ以外にも、ミュージカル調のシーンなど、宮藤脚本らしい切り替えの激しさにも見事に対応し、ドラマの成功に大きく寄与していた。



助演男優賞
及川光博

 このクールは「結婚できない男」の塚本高史、高知東知、「マイ★ボス」の手越祐也、田中聖、「誰よりもママを愛す」の阿部サダヲと個性を見せた方々は多かったが、ドラマの中ではそれほど印象が強くなかった。その中で、一番ドラマへの貢献度が大きかったのがミッチーだった。父親役、ドラマにおけるツッコミ役のポジション等、これまでのイメージにない役に挑んでいた。ただ、個人的に一番輝いていたのは「結婚できない男」のKENさん役のパグ犬・こつぶ氏だったと思う。

助演女優賞
夏川結衣

 ここ最近はイマイチ精彩に欠けていたと見受けられる夏川さんだったが、久々の当たり作品、当たり役が巡ってきた。主演の阿部ちゃんとのやり取りの巧みさ、間の取り方の巧みさ、そして、高島礼子さんとの大人の女同士の何ともいえない空気感は夏川さんの見事なテクニックだった。夏川さんだけではなく、「結婚できない男」の国仲涼子さん、高島さんはそれぞれしっかりと個性を見せてくれていたし、キャスティングがピッタリだったというのも見事。



撮影賞

 プリン争奪合戦等走るシーンが多かったりで、このドラマはスピード感に溢れていた。勢いの面だけではなく、「いとあはれな空」等ノスタルジックな画や真喜男の感情に迫ったシーンなど、画の種類が多種多様で変化に富んでいた。

編集賞

 KENさんの画の挿入タイミングが抜群だった。桑野とKENさんの画の組み合わせ方なんかはとても秀逸で、この独特の間合いの取り方がこのドラマにおける多くの笑いを生んでいたように思う。「結婚できない男」は編集なくして語れないはず。



美術賞

 ヤクザなのにマフィア風な関東鋭牙会の事務所のセットが見事。その他、学園内ではなぜか大人気のアグネスプリン、ヤクザの組専用のケーブルテレビがあったり、このドラマオリジナルのヒーローものが登場したりで、遊び心は満載のドラマだった。

衣装デザイン賞

 真喜男の学生モードとヤクザモードの分かりやすい切り替えがよかった。そして、こちらもヤクザというよりはマフィアに近いヤクザの方々の衣装もポイント。制服も夏服、冬服、ヤクザの方の決め衣装等、とにかく衣装の量、バリエーションが多かった。



作曲賞

 個人的には映画版の歌のほうがよかったのだけど、その映画版以上に沢尻エリカの曲が話題になったという事実は評価すべき。劇伴音楽を担当された澤野弘之氏は前クールの「医龍」のサントラを絶賛された方なので、これからに期待ができる作曲家さんです。

メイキャップ賞

 学生時の真面目なイメージと、ヤクザのときのイカツイイメージの分かりやすい切り替えがよい。その他、最終回に姿を現した真喜男の背中にある手の込んだ刺青のメイクも秀逸。映ったシーンはそれほど長くないが、刺青のメイクには時間がかかっているはず。



主題歌賞

 主題歌職人、中島みゆき氏による曲をTOKIOが歌うという異色の組み合わせは大成功。ドラマの雰囲気ともピッタリだし、純粋に曲として好感が持てる。次クールも中島みゆき氏は「Dr.コトー」の主題歌なわけだし、実に画になる曲をお書きになる方だ。

タイトルバック賞

 ドラマの内容はパッとしなかったが、タイトルバックは遊び心が溢れていた。エンディングのタイトルバックは登場人物それぞれに合わせ、内容を毎回、変更するという芸の細かさ。その点は面白かったのに、なぜ、その熱がドラマ本編に及ばなかったのか…。

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