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白夜行

DVD発売情報


完全版DVD-BOX

発売中

仕様
本編全6枚
23,940円
特典内容
  • 第1話 超ダイジェスト
  • 山田孝之・綾瀬はるか&
      主要出演者インタビュー
  • 本邦初公開!衝撃のメイキング映像
  • 《秘》番組打ち上げ用映像
  • 宣伝SPOT
  • ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」の
    キャスト・スタッフが再結集!


    DVD-BOX

    出演
    桐原亮司山田孝之
    唐沢雪穂綾瀬はるか
    松浦 勇 渡部篤郎 篠塚一成 柏原 崇
    古賀久志 田中幸太朗 園村友彦 小出恵介
    菊池道広 田中 圭 唐沢礼子 八千草薫
    栗原典子 西田尚美 西口奈美江 奥貫 薫
    川島江利子 大塚ちひろ 高宮 誠 塩谷 瞬
    桐原洋介 平田 満 桐原弥生子 麻生祐未
    谷口真文 余貴美子 笹垣潤三 武田鉄矢

    スタッフ
    演出
     平川雄一朗、那須田淳、石井康晴、高橋正尚
    脚本
     森下佳子
    原作
     東野圭吾
    主題歌
     柴咲コウ「影」
    製作
     TBS
     公式ホームページ
     http://www.tbs.co.jp/byakuyakou/
    視聴率
    1/12第1話14.2%
    1/19第2話13.4%
    1/26第3話11.0%
    2/2第4話10.7%
    2/9第5話11.8%
    2/16第6話10.7%
    2/23第7話12.3%
    3/2第8話12.3%
    3/9第9話12.0%
    3/16第10話12.6%
    3/23最終話14.1%
    平均視聴率12.282%
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    ドラマレビュー
    最終平均評価点 7.5/10

    評価点評価点
    放送前の感想-放送後の感想-
    第1話7第7話7
    第2話8第8話9
    第3話8第9話8
    第4話6第10話9
    第5話7最終話7
    第6話7  

    放送後の感想
     これは非常に見応えがあった。私は原作を読んでいないので、原作ファンがどのように感じたのかは分からないのだが、私は大変気に入った。このドラマの賞賛されるべきところは、悪を真っ向から描き切ったことだ。脚本構成などは世界の中心で、愛をさけぶ」をかなり意識して作られていたが、それが逆に2つの作品の対比点になって、いいアクセントになっていた。「世界の中心」同様、分かりやすい台詞構成に頼らず、亮司と雪穂の複雑な心理描写を何気ない言葉を積み重ねていくことで炙り出していくような見せ方にしたあたりは、森下さん、さすがの脚本である。細かいキャラが回ごとに増えていくというあまりない形のドラマとなっていたが、それらのキャラも満遍なく活用していたことも見事。また、堤幸彦監督が不在でどうなるかと思っていたけども、平川雄一朗Dが見事な演出で穴を補ってくれた。今更ながら、これで堤さんが演出していたらどんなドラマになっていたのだろう…?

     ドラマは必ずしも見ている人が感情移入しやすい役ばかりを描くものではなく、登場人物を一人の人間として見せ、視聴者の主観的な判断はさておき、客観的にその人物の心理を伝えるものではないかと思う。このドラマの場合、亮司と雪穂がしてきたことに同情できる人はいないだろうと思うが、2人という人間を客観的に伝えるという役割は十二分に果たしているといえる。ここのところ心理を単純化し、展開の分かりやすいドラマばかりがウケていることもあってか、全体的にその傾向を持ったドラマばかりが作られている。最近はそんなドラマばかりで飽き飽きしていた。1人の人間として見せることが実に難しい悪の存在を、含みを多く持たせた心理描写で見せようとしてくれたこのドラマの製作スタンスは大いに買いたい。山田孝之、綾瀬はるか、武田鉄矢、渡部篤郎、柏原崇、第1話登場の子役の2人の子っち…といい、役者のアンサンブルも見事。理解されにくい話に果敢に挑戦し、緻密に話を積み上げ、丁寧に丁寧に創り上げてきたこのドラマ。こういうドラマが作られている限りは、まだテレビドラマは死なないな、と感じた。

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    最終話 3/23放送 視聴率14.1% 演出:平川雄一朗

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     2人の運命は初回のしょっぱなに出てきていたので、展開自体に意外性はない。彼らはその運命をいかにして受け入れていったのか、という感情の面を中心に鑑賞。

     なるほど、亮司と雪穂はそれぞれに罰を受けたということなのね。亮司は笹垣の足音が次第に大きくなっていき、このままでは逃げ切れないことを悟り、誰かに裁かれたい、という気持ちを果たしてくれた、笹垣の手を借り、自分の胸にあのハサミを突き刺し、歩道橋から飛び降り自殺を図った。亮司が目の前で死を選んだことを見た雪穂は亮司の最期の言葉を胸に生きていくことを決意する。しかし、雪穂が生きていくということは、嘘に嘘を重ね、亮司だけに見せてきた本当の自分を誰にも見せることなく生きていくということだった。自分の幸せのために死を選んだ亮司を考えると、死ぬこともできない。だが、もう自分を生きることもできない。まさに礼子さん(八千草薫)がいうとおり「生き地獄」です。

     暗闇の中を生きてきた彼らにとって、互いの存在こそが太陽であった。これこそがまさに「白夜行」。亮司は自分への罰として死を選んだ。しかし、雪穂にとってはたった一つの太陽を奪われたと同じ。だが、死ねない。雪穂にとっては生きることこそが罰だったのだ。

     だが、ここで新たなトピックが出てくる。栗原(西田尚美)が亮司の子を身ごもり、産んだのである。亮司の自殺は新たな命が生まれたことへの一種の贖罪だったのだろう。そして、生きることを決意した雪穂だったが、唯一の支えだった太陽を失い、生きがいにしていた店も全て潰してしまい、時効を迎えたはいいものの、生きる屍といってもいい状態になってしまった。

     また、ラストシーンが実に印象的である。亮司の死と引き換えに産まれた新たな生、生きることが自我の死をもたらした雪穂。あのクリスマスのシーンとはまるで逆の構図となっている。この生と死との太陽の下での握手、こんなかたちで亮司と雪穂が15年もの間夢見てきたことが実現するとは、シーンとしては実に美しいものではあるが、実に皮肉で悲しくもある。とても含みを持たせた名シーンだったと思う。

     だが、この最終回は分かりやすいように話が盛り上がるのではなく、理解されにくい心理描写のみでドラマを総決算しようとしている。あのラストシーンもしっかりと話を噛み砕いていかないと、なかなか理解がしづらい場面なのかもしれない。とにかく、難しい回であったのは確かだ。だけども、全てを台詞での説明に頼らず、多くに含みを持たせ、役者の微妙な演技で表現しようとした姿勢は評価できる。今回は特に山田孝之、武田鉄矢のご両人の熱演は非常に見応えがあった。

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    第10話 3/16放送 視聴率12.6% 演出:平川雄一朗

    評価★★★★★★★★★☆ 9

     スゴいな、終盤にかけてのこの俄然とした盛り上がり。かなり引き込まれた。

     今回は最終回前ということで、笹垣(武田鉄矢)が完全に亮司と雪穂の犯してきた罪の謎を解いた。それを、唯一、13年前から彼らのことを知り、気にかけてきた谷口(余貴美子)に語ることで、これまでの亮司と雪穂の罪を総まとめする意味合いを込めていた。これまでの経過を笹垣の言葉に乗せ、とても簡潔に分かりやすくまとめていた。この要約力の高さにまず、感心した。そして、さらに感心したのは、亮司と雪穂の犯罪を2つの違った方向で捉え、偏向的にならず、立体的な捉え方をしようと試みている点だ。

     笹垣は亮司や雪穂と直接の接点があったのはほとんどなく、実際の彼らの内面までは知らない。外部から睨みをきかせることで、客観的な視点で2人を見た一般的にいう世間の目に近いものがある。犯罪は犯罪で、同情の余地はなく断罪すべき、と。そして、谷口は亮司と雪穂が出会った11歳の頃から彼らのことを知っており、時折彼らの相談にのり、犯罪とは全く無縁の中、唯一彼らが心を打ち明けた一人である。だから、彼らの打ち明けた言葉の中からずっとサインを送っていたことに笹垣の言葉で気付き、彼らにはもっと違った道があったのではないか、と気付いてやれなかった自分に後悔し、欠陥のある親の元に産まれたことに同情する。このどんな事件にもある人々の感じる2つの視点を初回の時点から丁寧に積み重ねてくることで、亮司と雪穂の犯罪を肯定するでもなく、否定するでもなく、中立に近い立場として立脚できたことは賞賛に値する。こうした犯罪劇は被害者側、犯罪者側のどちから一方に片寄った論調になるのだが、このドラマは見事にその部分をクリアしている。これはかなり高等な技術のいる作業であり、簡単に真似できることではない。

     さらに、今回の見せ場となっていたのは、亮司と笹垣の奇妙な関係だ。亮司はいくら雪穂のためとはいえ、自分が幽霊のように誰にも気付かれない人生に無気力になっている。自分が何者であるか、アイデンティティーを喪失している。そのような中で、唯一、亮司の存在に気付き、自分を理解しようと追いかけてくれた存在が笹垣だったのだ。追う者と追われる者という対極にいるはずの存在ではあるが、笹垣に亮司は一種の感謝の念を覚えて、涙する。そして、笹垣への感謝の念を表すためにも、笹垣を有毒ガスを発生させて中毒死させるという小賢しいやり方で殺すのではなく、正々堂々とあのハサミで刺し殺そうと決意するわけだ。笹垣は笹垣で、13年前、あの時に自分が2人の過ちを見つけて止めてやれば、2人がここまで多くの犯罪に手を染めることはなかっただろうと後悔している。亮司と笹垣、対極にいるはずの2人の対立と融和。それが象徴された2人が久々に正面から向き合うラストシーンの緊張感といえばスゴいものがあった。

     このドラマは実に久々に心底、ガツンと打ちのめされたような気がする。まさに傑作中の傑作ドラマだろう。「世界の中心で、愛をさけぶ」もとてもいい作品だったが、確実に「世界の中心」を上回る衝撃と感動がこの作品にはある。

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    第9話 3/9放送 視聴率12.0% 演出:高橋正尚

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     今回は八千草さんの名演が光っていた。八千草さんが人のよさそうなお母さん像をしっかりと体現されていて、前半のその印象が深いだけに、衝撃のラストは身につまされる思いがした。

     今回、亮司は笹垣を殺すために、薬剤師である栗原(西田尚美)を言葉巧みに騙し、硫酸カリを手に入れる。しかし、亮司が笹垣の探偵事務所に罠を仕掛けようとしたその時、雪穂から連絡が入る。「お母さんが倒れた。庭に見たことがないサボテンが増えてる」。雪穂の育ての親である礼子(八千草薫)は、サボテンの植えてあった花壇の下に雪穂が隠した"真実"を見つけてしまい、本当は雪穂が実の母親に手をかけたことを悟ってしまう。亮司と雪穂の暗黙のルール、真実を悟ってしまった人物には死を…。雪穂は病院のベッドで横たわる礼子の命をつなぎとめる管を引き抜こうとする。そのとき、亮司が病室に駆け込んでくる…。

     八千草さん演じる礼子さんの思いを案じると身をつまされる思いだ。血もつながっていない雪穂をここまで育て上げ、実の子のように心配をしてくれている。雪穂はロクでもない母親の被害者であることをずっと信じ続けてきた。それが、一瞬で崩れ去る。病室のベッドに横たわりながら、自分が殺されていくのを黙って見守るしかない。自分が殺されるのであろうことくらい、礼子さんは予想がついたであろう。そんな状況でさえ、雪穂にいつまでも待っていてあげるから自首しなさい、とすすめる。結局、亮司が駆け込んできて、亮司が礼子さんを手にかけるのだけど、そのときに漏らした「2人揃ってそのざまか」という様々な意味を含んだ台詞。あれはすばらしい脚本であると思うし、何ともいえないニュアンスを表現した八千草さんの名演もすばらしい。

     亮司が礼子さんを手にかけるラストシーンだけども、ここも初回から何度も反芻してきた亮司と雪穂の関係が凝縮されたシーンだった。13年前、亮司は自分の父を手にかけたその日、雪穂をその場に置いて逃げた。そして、雪穂はその後、自分の母親を手にかけた。雪穂に重い十字架を背負わせたことを亮司はずっと後悔してきた。そして、雪穂が母親に再び手をかけようとしていることを悟った亮司は、笹垣を殺すチャンスをふいにしても、今度は雪穂を置いて逃げることはするものかと走るわけだ。亮司と雪穂の関係をとてもよく表現した実によくできたシーンだった。それに加えて、悪の道を走る亮司と雪穂に罰を与えさせることで、悪を否定する立場も入れ込んだのも効果的だった。亮司はインポなのか不感症なのか知らないが、セックスしてもイクことがない。雪穂は子どもを宿すことのできない体になってしまっている。亮司と雪穂はたとえ結ばれることがあろうとも、どんなに交わりを持っても後世に遺伝子を残すことを許されない体になってしまっている。西田尚美にフェラの演技をさせてみたり、性的な表現で罰をちらつかせてみたりと、テレビ、特に9時台で放送するには限界ギリギリの展開を用意してきたTBSの意欲は大いに買いたい。

     悪を描かずして、善を描くことはできない。人間が人間である限り、完全な善や悪など存在するわけもない。善と悪が混然としたアンニュイな人間表現がこのドラマにはある。ドラマや映画は必ずしもエンターテインメントだけのためにあるわけではなく、中にはこういう悪を真正面から描くことで、人の善の部分を炙り出していく作品があってもいい、いや、あるべきだ。このドラマで貫かれている人間描写こそが人間を描くということなのではないか。

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    第8話 3/2放送 視聴率12.3% 演出:平川雄一朗

    評価★★★★★★★★★☆ 9

     いや〜、今回は面白かった。犯罪サスペンスとして非常によく出来ていたし、ここまで、どう絡んでくるのだろう、と思われていた人物も思わぬ形で絡んでくることになって、登場人物の使い方のうまさにも唸らされた。

     今回も年月は2年進み、現時点で2004年となった。亮司はITのベンチャー企業で主任としてバリバリと仕事をこなす日々、そして、雪穂はというと、高宮(塩谷瞬)との離婚し、慰謝料をふんだくるための策略を張り巡らせていた。雪穂はどんどんと悪い顔になっていき、亮司は雪穂の犯罪に協力するという、第6話以前とは正反対の構図となった。

     今回は、様々な思惑が交錯しており、犯罪サスペンスとして非常に見応えがあった。亮司は前回、雪穂が与えてくれた高宮の会社の持つ特許のデータを盗み、そのデータでベンチャー企業に乗り込み、主任まで上り詰める。しかし、特許が盗まれたことに感づいた相手側の企業の差し金で興信所の調査員に周囲をかぎまわられる亮司。この興信所による調査で雪穂へと疑いの目を向けられてはならない、と、亮司は高宮と千都留(佐藤仁美)を利用し、調査員の目線を亮司から高宮と千都留へと向かせようと巧妙に計画を練る。

     その頃、雪穂も早く高宮から離婚という言葉を引き出そうと様々な嫌がらせをして、夫婦生活を意図的に崩壊させようとしていた。しかし、高宮はなかなか引っ掛かってこない。そこで、再び現れた千都留の存在を利用することで、亮司との利害が一致した。亮司は疑いの目を自分から高宮と千都留へと移し、雪穂は千都留に心惹かれていた高宮の心を偶然に見せかけた千都留との再会によって惑わし、離婚を切り出させる。亮司と雪穂は同じ高宮と千都留という同人物を利用しながらも、別々の自分たちの目的を達成させていく。2人の計画が同時進行で進んでいき、同時に収束を迎えた今回の展開は実に見事だった。

     結果、雪穂は離婚にこぎつけ、多額の慰謝料を勝ち取った。そして、経営していた会員制のブティックの名前も第1話のファーストカットで登場した「R&Y」へと変わり、遂にクライマックスに向け、パズルのピースが合わさり始めた。そして、2人は改めて時効を迎え、太陽の下、手をつないで歩くことを心に誓う。

     しかし、この2人の悪事をいぶかしく思う人物がいる。笹垣(武田鉄矢)はもちろんのこと、篠塚(柏原崇)がここにきて絡んできた。篠塚は江利子(大塚ちひろ)と付き合っていたが、雪穂が亮司を利用し、江利子を強姦事件で襲わせることで強引に2人を別れさせた。これは第5話での内容なのだけども、ここにきてそこから新たな展開が生まれてきた。篠塚は江利子のことを思い、江利子が幸せになるまではと、強姦事件のことを伏せてきた。そんなとき、江利子が結婚したという知らせが舞い込む。江利子が幸せになったことを確認した篠塚は、前回に一瞬だけ接点を持った警察を辞め、探偵となった笹垣の元を訪ね、亮司と雪穂のことを調べなおしてほしいと懇願する。一度は消えかけていた笹垣の執念だったが、雪穂が改名した店の名前が「R&Y」だと聞いて、また燃え始める。「亮司(Ryoji)&雪穂(Yukiho)」…、亮司は雪穂の近くに必ずいる。

     第5話の内容から、ここにきて江利子を再利用しているのも巧いし、あまり使われてこなかった篠塚も物語の中核を担う存在としてうまいこと活かしているのもスゴい。それに加え、前回、笹垣が篠塚に一瞬だけ接触し、名刺を渡したという展開がここで活かされている。篠塚は、高宮が千都留への思いを吹っ切れずに思い悩んでいたときの相談相手で、笹垣と篠塚が接触した場面も実は高宮が千都留に思いを告白しようとしていて、それを雪穂の頼みで亮司が妨害しようとしていた場面であった。ということで、笹垣と篠塚の接点は江利子のキャラとのリンクの結果でもあるし、高宮と千都留、そして彼らを背後で操る亮司と雪穂、この4人をつなげるものでもある。これまでの展開が登場人物と登場人物と巡り合わせへと昇華してきた。ここまでうまくつながってくるとは思ってもみなかったので、正直、驚いた。

     あと、これは細かい部分だけども、時代の流れを携帯電話とか衣装の格好とか、しっかりと意識して作ってあるのがうまいと思う。亮司が雪穂と連絡を取るのはいつも公衆電話なのだけど、その連絡手段が固定電話だったのが携帯電話になり、それに加え前回あたりからは電子メールも使って、それも痕跡が残らないようにネットカフェから送信というように、時代の流れをうまく利用している。時代が2000年代に入ってからは、ITのベンチャー企業やストーカーというような現代的なキーワードもエッセンスとして取り入れているのがスゴいところね。これは余談だけども、高宮の着メロがこのドラマの主題歌を歌う柴咲コウ(RUI)の「月のしずく」だったところも細かい配慮やね。これは現在の設定が2004年冬(クリスマスの飾り付けがないから、年末ではなくたぶん2月頃)だったから、「月のしずく」だっただろうけど、夏だったら思いっきり「世界の中心」を放送していた時期だから、絶対、「世界の中心」主題歌の「かたちあるもの」が着メロだったと思う。ドラマだからと、「かたちあるもの」を着メロにせず、時代考証を考え、あえて「月のしずく」にする。実に心得た徹底ぶりですね。御見それしやした。

     これから注目すべき箇所は、前回から登場した新キャラ・栗原典子(西田尚美)が展開にどう絡んでくるか、という点、そして、再登場となる雪穂の育ての親・唐沢礼子(八千草薫)、13年前の事件の第一発見者・菊池道広(田中圭)が亮司、雪穂、そして、笹垣にどんな変化をもたらすかという点。ここにきて俄然盛り上がりを見せ始めた「白夜行」。期待するしかないっしょ。あと残り3回!

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    第7話 2/23放送 視聴率12.3% 演出:石井康晴

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     今回は、かなり急速に年月が進みましたね。2年間、年月が流れて、現時点で2002年ということとなっている。初回のファースト・カットは2005年の年末のはずだから、あと4話で3年を描くということだね。

     どんどんと年月と共に、亮司と雪穂のキャラも変わっていくわけで、特に、雪穂のキャラ変動の振れ幅は相当なものがある。綾瀬はるかは「世界の中心」つながりで女子高生からスタートし、女子大生となり、今回はサークルで知り合った高宮(塩谷瞬)を手玉に取り、結婚し、財産家の息子である高宮から金をふんだくろうとする。今回だけの登場となるであろう結婚前だというのに、高宮が心惹かれてしまう千都留(佐藤仁美)が登場し、高宮は結婚を破談にしてまで彼女に思いを告白させようとしていた。結婚を破談にされたら、財産をふんだくれないということで、雪穂は亮司と裏で画策し、高宮とその女性が2度と出会わないように仕向けてしまう。

     なぜ、雪穂がこんなことをするかといえば、それは亮司のためということになる。これまでは亮司が、雪穂が日を浴びた生活ができるように、暗闇に身を潜め、雪穂に金を送り続けてきた。今回からは立場が逆転し、亮司が日に当たる生活ができるように、望まぬ結婚をして亮司のために金をふんだくろうとするわけだ。罪を重ね、手を汚してきたのも、全てお互いのことを守るため。どんなに他の人を不幸にしても、お互いが幸せならばいい。こう自分を正当化して思わねば、地に足をつけて立っていられないのだろう。また、この自分勝手さこそが、周りが見えなくなるという恋に落ちた若い2人の暴走とも見受けられる。亮司が松浦を殺した後、2年間どうしていたのか、など犯罪の部分には謎は多いものの、このドラマはそこを描くわけではないから、あえて触れずにおこう。

     亮司と雪穂の人生は二転三転大きく変わっているものの、この男だけは1991年から11年間まるで変わらない。笹垣の執念は日を増して強くなっていき、遂に警察を辞め、私立探偵となり、四六時中、雪穂のことをつきまとうようになる。もう、武田鉄矢さんの怖さといったらない。あんなオヤジにつきまとわれたら、亮司のように震え上がるのも分かる。追う者はあれくらいアクが強くないと見ているほうも張り合いがありません。

     亮司と雪穂はありとあらゆる悪に手を染めてきたわけだが、ただ彼らは時効になって日の当たる下、また2人で手をつないで歩きたいという一つの純粋な思いを胸に、悪として生きている。彼らを追う笹垣もまた、彼らを捕まえるためなら、どんなことでもするという執念と憎悪にとりつかれた悪の要素を持ち合わせた人物だが、嘘をつき続けても無意味であることを白日の下に分からせやりたいという異常な執念という純粋な思いを胸に、追跡者となっている。彼らは一点だけ曇りのない純粋な思いを胸に、その思いだけを頼りに、悪である道を選んだ。悪が悪を追う。その運命の交錯する先はどこなのであろうか?これからの展開に期待。あと4回!

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    第6話 2/16放送 視聴率10.7% 演出:那須田淳

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     今回は、松浦(渡部篤郎)を巡り、人の運命が交錯し、大きく乱れていく激動の展開。

     松浦は、弥生子(麻生祐未)から処分を依頼されたネガをダシにして亮司を脅し、亮司を思い通りに動かしていた。ところが、亮司が松浦の指示に反することをし出した途端、松浦は亮司や雪穂に対し、ネガの影をちらつかせ、嫌がらせまがいのことをする。松浦の存在に耐えかねた亮司と雪穂は2人それぞれ別々に、松浦殺害を企てる。松浦のことを興信所を使い、探し当てた弥生子は松浦を、ネガを使って亮司を脅しているのではないか、と追求する。そして、外で松浦のことを張っていた古賀(田中幸太朗)、亮司、雪穂が松浦の元へと結び付けられ、運命は大きくねじれていく…。

     今回はとにかく、松浦が中心となって動いた回。ネタバレしてしまうと、松浦はいろいろあって、亮司に殺されてしまう。渡部さんは第6話にして出番終了ということなので、特別出演という扱いだったのでしょう。でも、さすが、渡部さんだったなあ。渡部さんが演じることで、随分と松浦という人物が立体的になったのではないかな。亮司と雪穂を利用する小ズルイ悪い面は渡部さんらしい演技でゾクゾクさせてくれる。しかし、亮司の過去の秘密だけは誰にも話さないというやけに律儀な一面も持っている。悪い奴なんだか、いい奴なんだか、ちょっと分からない捉えどころのない役柄。ただ悪い奴というだけでは人間っぽくない。だが、あまりにいい奴すぎると、ちょい悪の役としては締りがない。だから、ほどよく人間らしさという部分をにおわせたという松浦の描き方はいいバランスだったのではないかと思う。渡部さんがその捉えどころのない松浦を渡部さんなりに消化しながら演じていて、かなり人物像を立体的にしてくれたと思う。今回の演技は、さすが、渡部さんだなあ、と感じたね。

     そして、これもネタバレしてしまうと、古賀もいろいろと巻き込まれて、殉職してしまう。古賀の殉職を受けて、笹垣の亮司と雪穂を挙げようという執念はさらに強いものとなっていく。古賀が殺害されたことにより、ついに捜査線上に亮司の名が浮かぶ。ここにきて、武田鉄矢さんがまた個性を見せ始めてきた。部下を死なせてしまった無念を体現し、その後の「絶対に逃がさへんで」とさらなる決意を固めた鋭い目線。あの目が笹垣に宿る執念を克明に表現していた。

     話は変わって、今回は、山田の隠し子の存在が判明して初めての放送。私はこのドラマ、山田は非常うまく難しい役柄を演じていると思う。山田は若手の中では珍しく、こういう複雑な心理演技を要する役も、映画「電車男」のようなキャラクター性の強い役もこなせて、シリアスもコメディもいけるなかなか幅の広い役者である。こういうあまりいいイメージのしない話題も、本当に腕のある役者は軽く乗り越え、そのような苦境も糧にしてしまう。ハリウッドのトップ俳優にも隠し子がいる人は珍しくないし、日本の芸能界を見ても隠し子に限らず、黒いウワサが流れた人も、実力があって、しっかりと仕事をこなしていける人ならば、そんなウワサも時とともに忘れ去られ、優れた芸のほうが目立つようになるわけですよ。だから、この程度の報道で仕事がこなくなるとしたら、山田の実力はその程度だったということになる。でも、私はこのドラマのように悪の面も積極的に演じる姿勢のある山田であれば、この報道はそれほどマイナスには働かないのではないかと思っている。今はこの苦境を乗り越え、「白夜行」をしっかりと演じきることが求められるはずだ。相手の女性の生活費や養育費はすべて山田が負担するというから、とにかくガンバレと私はエールを贈りたい。(私ごときがこんなことをいっても、影響はないと思いますが)

     山田も、そして、もちろん綾瀬はるかも複雑な役柄をよく演じている。その2人を渡部さんと武田鉄矢さんという演技のできるベテランががっちりと支えている。渡部さんの出番はここまでで、ここからは武田鉄矢さんの猛チャージが期待できそう。これからの演技合戦、そして、物語の展開にも期待が高まる。

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    第5話 2/9放送 視聴率11.8% 演出:平川雄一朗

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     今回は雪穂の大きな感情の揺れを表現した回だった。演出が綾瀬はるかから2つの顔を引き出し、綾瀬はるかもその複雑な心理状態をなかなかうまく表現していたと思う。

     雪穂は、親友の江利子(大塚ちひろ)が篠塚(柏原崇)と付き合っていることを知り、愕然とする。それも篠塚が江利子を好きになった理由は、江利子のさりげない優しさだったという。雪穂にとってすれば、江利子はそれまで何不自由なく幸せに育ってきて、自身はその幸せに育ってきたことの幸せに気付いていない。自分は不幸に不幸が重なり、茨の道を歩いてきて、篠塚ともいい関係になりそうだったのに、その幸せまでも江利子に取られてしまう。それも、自分が幸せであることにも気付いていない江利子に。雪穂はどうしても、江利子に不幸というのはどのような味か分からせやりたい、と思う。雪穂は亮司を丸め込みながら、江利子へ"復讐"を遂げ、篠塚と別れさせるという魂胆も達成する。

     今の次々と犯罪に手を染めていく自分たちのスタンスに亮司と雪穂で、大きな差異が生じ、2人の関係に亀裂が生じ始める。亮司は、雪穂は全て計算づくで、時折、悪女、時折、しおらしい一面を見せながら、自分を操って、騙しているんじゃないか、と疑うようになる。

     果たして、本当に雪穂は亮司を騙し、出し抜いて、操り人形にしていたというのだろうか?それは、真でもあり、偽でもあり、といったところではないか、と思う。本当の感情を押し殺してきて、唐沢雪穂というイメージを演じてきたわけだから、他人の感情に踏み込もうとなどしない。だから、明るく振舞おうとする反動で、内面では自分が世界で一番不幸なのだ、というくらい感情は増幅されていく。秘密を知る者同士、せめて共有してほしかった亮司にその感情を否定される。そのとき、雪穂の胸の内では、一度犯罪に身を染めた快感から覚えた人を出し抜く計算高い悪女の部分と、亮司にだけは分かってほしいという亮司に対する純粋な思いが交錯していく。

     それが、この回で見せた雪穂の時折、悪女で、時折、しおらしい一面なのであろう。このどちらともつかない雪穂の表情が亮司を混乱させていく。恐らく、雪穂本人も自分の感情には混乱しているのだと思う。人の感情というものは、様々な思惑が複雑に交錯し、実行したいと思いながら、迷っている面もあり、時として実に矛盾した行動を取るものだ。自分がどうすべきか分からず、実行に移したはいいが、果たして実行に移したことははたまた正しかったのか?いつになっても、その答えというものは見つからない。

     今回の脚本は、善意と悪意が混然一体となった人間の複雑な感情の機微を巧みに表現していたと思う。はっきり言って、雪穂の言動・行動には「どっちやねん」とツッコみたくなる部分が多いが、それこそが人間なんじゃないか、と思う。そういう感情の揺らぎの表現は失敗すると、実に不愉快な脚本になりがちだが、森下さんはさすがである。ここまでスラリと感情の揺らぎを表現するとは。台詞の構成が実に見事である。ただ、単純な話ではないので、一度では理解しきれないも真。これはDVDが出てから、もう一度、見直してみるべきだと思う。森下さんの書く脚本はそれくらい巧みな構成になっていると思う。

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    第4話 2/2放送 視聴率10.7% 演出:石井康晴

    評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

     今回は物語の本筋への序章のような回だったかな。だから、このくらいの評価が妥当でしょう。

     前回、自分が死亡届を偽装し、死んだことになった亮司。亮司は、松浦(渡部篤郎)に上納金を納めながら、園村(小出恵介)と共謀して、偽造カードを使って、他人の銀行預金から金を掠め取る犯罪に手を染めていた。そんなとき、雪穂は大学生となり、大学生活を送っていた…。

     森下さんの脚本は、男の煮え切らない性格や感情というものをとてもうまく表現していたと思う。男というのは、いつまでも子供みたいな約束を引きずって、前に進めなかったりするものだけど、女の人って、意外とサバサバしていて、そんな約束もいつしか気にしなくなってしまう。男と女の性格の違いが、亮司と雪穂の中にとてもうまく表現されていて、森下さん、さすがだなあ、と思った。男のもつ独占欲の強さ、嫉妬深さ、ちょっとアイツに悪戯してやろうという子供のような底意地の悪さ、亮司というキャラクターを見ながら、そうだなあ、ととても共感を覚える部分は多かった。

     そして、今回から亮司のキャラが180度変わってしまう。高校時代の雪穂に頼ってばかりのナヨナヨくんが、「隙を見せた奴が負け」と信じた女(奥貫薫)を平気で裏切り、罠にハメる悪党へと変身。目つきとか表情とか演技プランをまるっきり変えてきた山田は見事な演技だっただろう。まあ、亮司が悪党になりきれるのも、雪穂に対する一途な思いゆえであることを忘れてはいけない。亮司の中では悪人であることが雪穂に対する愛し方なわけだ。それが、恋敵となる柏原扮する篠塚の登場により、亮司の心は掻き乱されていく。

     今回は当初から話題だった山田と綾瀬はるかとのラブシーンがあったけど、あれがテレビ、そして、綾瀬はるかの限界なんだろうな。もう少し激しいシーンにしないと、激しく求め合う2人の激情は表現できないと思う。あれはやはり、弱いと言わざるをえない。

     この回は計画、2人の関係に大きな狂いが生じていくこれからの展開を暗示させるような回だったように思う。だから、鍵となるのは、これからの展開であって、今回は橋渡し的な盛り上げ役に徹した回だったように思う。だから、評価はちょいと低めにしておいた。

     それにしても、視聴率がマズいなあ。放送が開始する前は、そう高い数字は取らなくとも、まさかここまで低迷するとは思わなかった。1桁もあるかもしれない。やっぱり、世間の人は重い話はいやなのかなあ。それに、このドラマは途中からは話に入りづらいしな。私はこの作品は、スゴく芯の通った真面目に作られた作品だと思うのだけど、こういう作品が低視聴率を取っちゃうと、どうしても局としては次にこの手の作品を作りにくくなってしまう。そうすると、大衆迎合に走ったお気楽なドラマばかりが幅を利かせるようになってくる。これはとても由々しき事態だと思う。

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    第3話 1/26放送 視聴率11.0% 演出:那須田淳

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     このドラマいいわ、かなり好きだね。分かりやすいいい人と分かりやすい悪い人しかいないドラマというのは私は好きではない。基本的にこのドラマは悪い連中ばかりが登場する。しかし、全部真っ黒というキャラクターではなく、色が混ざり合った部分が存在しているのが分かる。森下さんの人が誰しも持っている善の部分と悪の部分、このバランスの付け方は非常にうまいと思う。最近のドラマの脚本は分かりやすさばかり追求している嫌いがあるけど、こういう人物の描き方こそ、本来すべき人物の描き方なのではないかな、と思う。

     今回は、亮司が笹垣の触手から逃れ、雪穂を守るため、自分が死んだと偽装し、高校卒業を機に陽の当たらない裏の社会を生きていくことを決意するまでを描いていた。

     とにかく、渡部篤郎氏と武田鉄矢さん、この2人の悪の演技にゾクゾクした。この2人のねちっこい演技を見れただけでも、私はある程度、満足した。渡部氏お得意のネチネチした演技、渡部氏ならではの独特の渡部節全開で、ファンとしては大満足。武田さんも一度狙ったら逃がさへんで、という、限りないしつこさというものが映像を通して伝わってくる。こういう悪の側面を持ったような役を演じる場合、演者の人が無理しているというのが分かっちゃうと、見ているこっちはノレないのよね。だけど、渡部氏と武田さんは実にこの役を楽しんで演じているというのが分かる。だから、見ているこちらとしたらゾクゾクするような感覚を覚え、妙に嬉しい気分になってしまう(私だけかもしれないけど…)。

     渡部氏、武田さんだけではなく、主演の2人もよくがんばっていると思う。特に綾瀬さんの突然のキレ芝居はなかなか見事だった。あの突然キレるという何分もないシーンで、いかに雪穂が7年間辛い思いをしてきたか、ということを端的に表していたと思うし、綾瀬さんも十分に仕事を果たしていると思う。その雪穂を見て、加害者の娘として育ってきた7年間の辛さを少しは理解した亮司は、7年前とは逆に自分を犠牲にすることによって、雪穂を守ろうとするわけだ。雪穂を守るという正義のために、自分は人殺しをした悪人であることを受け入れ、悪として生きていく決意をする。ナヨナヨ君だった亮司が正義のために悪になる、という展開には実に惹かれる部分があるし、これほどまでに悪に身を投じていく主人公を真正面から捉えたドラマはあっただろうか。悪ということをしっかりと描こうとしている点で、私はこのドラマを評価したい。

     ラストシーンもあえて7年前と対照性を際立てているのも効果的だ。7年前は亮司が雪穂のあとを追ってきたが、今度は雪穂が亮司のあとを追って、駅のホームへと走る。そして、亮司と雪穂はディープキスをするわけだね。「世界の中心」では軽いフレンチキスとビニール幕越しのキスしかしていなかった2人がこのドラマでは舌を絡めたディープキス。「世界の中心」とは違うぞ、ということをしっかりとアピールしているのね。これはかなりTBSがしっかりと作り込んだ力作だなあ、と感じるけど、視聴率がいかんせん伸びない。裏の「けものみち」は相変わらず視聴率が安定しているから、やっぱり、世は分かりやすい話のほうがいいのかなあ…。

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    第2話 1/19放送 視聴率13.4% 演出:平川雄一朗

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     今日は面白かった。サスペンスとして非常に秀逸だったと思う。ヒリヒリと伝わってくる緊張感、そして、互いを思いながらも、時効の15年を迎えるまでは結ばれることのない悲恋。彼らは8年後の自分たちのために、また新たに犯罪を重ねる…。

     7年間、幼心にビクビクしながら、過ごしてきた亮司。事件は忘れられたかと思った矢先、目の前に笹垣の登場、そして、亮司の父親の死体の第一発見者・菊池からの恐喝。一気に不安のどん底に蹴り落とされた亮司。この不安を雪穂に聞いてほしい。そして、7年前と同じように自分を助けてほしい。いや〜、男というものは見栄を張っているだけで、実に弱い生き物ですよ。不安で仕方がない気持ちはよく分かります。原作ではどうなっているかは知りませんが、この亮司のウジウジした感じは「世界の中心」の朔太郎を意識しているのだろうな。このウジウジした等身大の青年が雪穂を守るために、初回で登場したあのキリッと鋭い表情の男へと変貌していくわけですよ。これからこの変貌の過程を見せていくのが、「世界の中心」との差別化であり、山田としても腕の見せ所だろう。

     亮司は不安のあまり、7年前、2人が別れた駅のホームへ走る。そこで、雪穂と7年ぶりに再会をする。雪穂はどこからか漏れた7年前の事件のことで執拗なイジメに遭っていた。それを聞いた亮司は自分のせいで雪穂の人生を滅茶苦茶にしてしまったことに、さらに動揺し、狼狽する。そのときに、弱気になる亮司を雪穂がどやすわけだ。その一言に勇気をもらった亮司は雪穂を守り、借りを返すため、さらなる犯罪に手を染めることになる。菊池の持つ雪穂と亮司の父親の関係を立証する写真のネガを奪い返すためだ。しかし、その計画は亮司が憎んでいた父親と同じ犯罪に手を染めることと同じであった…。

     それにしても、彼らは途方もなく、強い絆で結ばれているのだろうなあ。中学生、高校生の自我がまだ未発達のときにあんな途方もない秘密を胸にしまいながら生きてきたわけだからなあ。そして、時効までのあと8年も彼らは本当の意味で結ばれることはない。つまり、あとは8年は、7年前のように太陽の下で手をつないで歩けない。彼らの上には太陽はなく、夜の月の光で互いの思いを確かめ、不安が胸を締め付ける。彼らにとっての光は月でしかない。15年に及ぶ太陽を失い、月に光を求めるしかない2人の運命はまさに、"白夜行"だろうなあ。これこそ、純愛といえるのかもしれません。

     ただ、さらなる犯罪に手を染め、嘘を重ねるほどに、そこにほころびが生まれていく。そのほころびを笹垣は見逃さないはずだ。そして、亮司は悪の稼業へと身を投じていくことになるのだろう。ちなみに、今回、目撃者で亮司をゆする菊池を演じた田中圭も「世界の中心」で学級委員の役で出演しておりました。山田、綾瀬、田中(幸)だけではなく、田中圭も「世界の中心」関係者であることをお忘れなく。

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    第1話 1/12放送 視聴率14.2% 演出:平川雄一朗

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     予想していたくらいの完成度はあったんじゃないでしょうか。今回は他局で始まる新ドラマを牽制するために、2時間の拡大SPでスタート。だけども、9時台の対決では、「けものみち」のほうを見た人が多かったみたいだけどね。

     ストーリーは、2005年のクリスマスの夜、サンタの衣装を着た男が胸をハサミで刺され、瀕死の状態で横たわっており、それを遠目に見つめる一人の女性を映し出す画からスタートする。彼らの名前は桐原亮司と唐沢雪穂。彼らの出会いは14年前の1991年に遡る。14年という年月がいかに彼らを変えたのか…?

     ドラマのスタートの構成であるとか、既に撮り終えた回想のシーンの挿入の仕方とか、タイトルバックの8mmフィルムの質感とか、かなり「世界の中心で、愛をさけぶ」を意識した作りになっていたのは見て分かった。だが、だいぶ印象は違う。特に、山田孝之の表情は「世界の中心」の鈍角的な純な印象から、キリッと鋭い鋭角的な印象に変わった。ストーリー自体も「世界の中心」とは程遠い暗くハードなものだ。

     14年前、まだ11歳だった2人は、それぞれ自分の親を殺めてしまう。あまりに純粋に互いを思うがために、自らの親を自分の手で殺めてしまったという重い十字架を背負うこととなる。彼らは事件のほとぼりが冷めるまで、他人として過ごすことしか選択肢はなかった。事件発生から7年、彼らは18歳、高校生になっていた。7年間、互いのことを思ったまま…。事件など忘却の空の彼方へ消え去ったかと思い、ようやく安堵の日々を送れるかと亮司が思った束の間、目の前に現れたのは、事件を担当した刑事・笹垣だった…。

     とにかく、出来のいい原作をそれなりに真面目に脚色し、演出しているから、それなりにしっかりと見応えのある初回に仕上がっている。このドラマは演出の堤幸彦監督以外は「世界の中心」の主なキャスト・スタッフが総集結しているわけで、平川さんの演出も決して悪くなく、よかったのだが、これを堤さんが演出していたら、さぞ、面白いものになっただろうと思えて仕方がない。

     まあ、ボヤキはここらにして、ストーリー自体だけども、私はあらかじめストーリーを知って見たからそうでもなかったけど、何も知らないで見た人はかなりショッキングな展開だっただろう。何せ、小学生の子供が自分の実の親を殺し、それがバレないように口裏を合わせ、外見は被害者の息子と加害者の娘ということで過ごしているという話なのだから。まあ、私は原作は読まない主義なので、原作での印象は分からないけども、映像にしてみると、話がスゴすぎて、あんな11歳の子供にあのような犯行計画が可能だったのか、と思えてしまう。自分の11歳の頃を考えてみても、あれだけのことを実行に移すだけの頭と実行力があったか、と言われたら、確実になかっただろう(実行してもらっては困るのですけどね…)。ということで、子役の子っちらもよくやっていたと思うけど、あの子役の子っちらがホントにこんな犯行をしたのか、とちょっとやそっとじゃ、なかなか信じがたいお話だ。でも、11歳で誰にも言えるわけもない2人だけの秘密を抱えて、互いに思いを寄せたまま他人のまま過ごしているなんて状況に陥ったら、これ以後、恋愛なんてできたもんじゃねえな。

     「世界の中心」のスタッフが作っているわけだから、最終的には純愛の話に持っていくんだろう。だが、このドラマは基本的にはミステリーだ。やはり、秘密を抱える者がいれば、それを掘り返そうとする者がいなければ面白くない。その最たる存在となるのは、武田鉄矢さん扮する笹垣刑事だ。いや〜、武田鉄矢さんの演技はスゴかったわあ。いろいろな修羅場はくぐってきたという風格を佇まいだけで滲ませる。それに、あの目の迫力がスゴい。目のアップが抜かれているときの画で、この人には何かを隠しても見破れそうだな、という恐さが見えた。私は武田鉄矢さんはかねてからこういう暗い側面を抱えた役柄のほうがハマると思っていた。ここ最近の金八はどう見ても、偽善者にしか思えなかった。このドラマの中では、笑顔を見せるシーンが多々あるが、どれも目が笑っていない。事件から7年後、再び亮司の前に姿を現したときのシーンは、まさに「出た〜!!」という感じで鳥肌ものの存在感。追われる側の山田、綾瀬の演技の見せ所はこれからだが、追う側の武田鉄矢さんがまず、先制パンチでガツンとかましてきた。武田鉄矢さんの存在感で随分と初回は話が締まった。「小早川伸木」では古谷一行さんが迫力ある演技を見せてくれたが、こちらでは武田鉄矢さん。さすが、ベテラン、これからもしっかりとドラマを締めてほしいと思うね。

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    放送前の感想
     ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」のキャスト・スタッフが再結集して描く東野圭吾原作の若き男女の悲しい運命を紡ぐミステリー・ドラマ。「世界の中心」は本放送のあとにDVDで見返してみたけど、2回目のほうがよかった。あらかじめストーリーを把握してから見ると、改めてよくできた作品だったなあ、と再認識したものです。まあ、そのキャスト・スタッフが再結集して描くのですから、それ相当のものができるのは間違いがなさそうです。ただ、懸念事項が一つ。脚本、音楽、主題歌など、意識的に「世界の中心」の面々を集結させているのに、肝心の堤幸彦監督だけが欠けているんですねえ。「世界の中心」は堤さんの演出はなくてはならないものだったから、せっかくやるなら堤さんも揃えてほしかった…。まあ、堤さんは2006年は映画の年で、これでもかというくらい新作が公開されますので、堤節はそちらのほうで拝ませてもらいましょうか。平川さんと石井さんは「世界の中心」でも演出していた方ですので、堤さんのいない分、「世界の中心」関係者として踏ん張ってもらわないと困りますな。

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