エラいところに嫁いでしまった!
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放送後の感想
端的に言ってしまえば、要素を吟味すれば2時間で十分に事足りるお話だった。仲間さんのコメディセンスを活かしたい、「トリック」的な田舎感を出したいという狙いや、しきたり・風習という目の付け所も方向性としては悪くなかったと思う。始まった当初の2話分くらいはまずまず面白かった記憶があるので、このネタで引き付けられるのは2時間が限度ということじゃないか。
このドラマの失敗は、現代の視聴率女王・仲間さんを出しておけば、視聴率は安泰だろうという明らかにキャスティング先行のドラマの企画作りにある。この枠は視聴率的にこのところピンチで、是が非でも視聴率を取らなくてはならず、焦っていたのは分かる。それで、しっかりと成績を残せたなら問題はないが、内容の出来はさておき、映画・ドラマの成績の面でここのところ失敗はなかった仲間さん主演で平均12.7%という数字はあまりに情けなさすぎる。まあ、フォローするなら、仲間さん主演でなければ、この企画では1桁確実だったので、仲間さん効果といえば仲間さん効果といえるわけなのだが。
ワンパターンの構成の連続で、作りの安易さが目立った。脚本もコメディとしても、人間ドラマとしても粗が乱立し、脇のキャラクターなどはまるで活用できていなかった。演出についてもアップショットの多用でテンポの単調さを招いていた。仲間さんという女優を招くからには視聴率を得る代わりに、作り手側は絶対にコケられない作品としてもっと綿密な作り込みの必要があったのではないか。絶対にコケられない作品でこんな安易な作りをしてしまっているあたり、今現在のテレ朝ゴールデン枠の不調の理由がまじまじと垣間見えてくる。
最終回 3/8放送 視聴率11.7% 演出:片山修
評価★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 1
最終回までしっかりとワンパターンだったな、このドラマは。ワンパターンはワンパターンでも、今回のワンパターンは妙に最終回を意識して、少し規模の大きいものを見せようとして、それが逆に底の浅さを招いて、これまでのワンパターンより一回り規模の小さいものになってしまっていたような気がする。
今回は、初回に登場した野際さんが再登場し、「トリック」では仲間さんのお母様だったが、今度は仲間さんをイビリたおす役回り・加代子を演じる。まあ、野際さんがイヤ〜な感じで登場した序盤のうちはまだテンポがよかったが、志摩子さん(松坂慶子)が自分の勘違いに気付いてからはグッとテンポが悪くなり、感情の描き方についてもまるで粗ばかりだった。
志摩子さんが自分の勘違いに気付くというのに関しても、遅すぎる。でもまあ、結局、その勘違いでこれまでのワンパターン展開をつないできたのだから、気付かせるのなら、最終回でという運びになるのは分かる。それが、かなりの今更感を生んでいるわけなのだが。
それに加え、君子(仲間由紀恵)の志摩子さんへの感情もピンと来ない。しきたりは嫌いだが、姑の人柄は好きだ、ということがこのドラマのまとめのようだけど、長い時間かけてきた割りにはしょうもないオチだなあ。君子の感情の描き方もかなり唐突な印象を受けたし、終盤の見せ場の啖呵を切るシーンの言っていることも、大声で言っちゃマズいようなことを言っているしな。身内だけだったらまだしも、町の人がみんな見ている前だし。
その啖呵を受けて、なぜか、すっかり加代子も納得してしまって、君子を絶賛状態。この啖呵で君子と志摩子さんの仲が戻って、日本舞踊を君子が踊るのかと思ったら、そのシーンはなし。だったら、それまでの君子の練習は何だったんだ。これで互いに分かり合えて、しきたりに捉われずに付き合おうということになって、そこで終わらせておけばよかったのに、新しきたり登場で、君子の「やっぱりエラいところに嫁いでしまった」絶叫で、さらに感情の整合性が合わなくなった。
今回は、感情を描こうとするものの、安易な作りのコメディ要素で感情の描出が唐突になり、何とか感情も形になってきたかと思ったら、また安易なコメディでその感情の整合性が合わなくなるという悪循環の繰り返しだった。最終回までキレイにワンパターン、それも、普段よりも劣悪品で、ただでさえ悪い印象がさらに悪くなった。
第8話 3/1放送 視聴率10.3% 演出:片山修
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は久々にそう悪くなかった。1話のエピソードとして、これは残しておいてよかったと思う。
まあ、由美(濱田マリ)のワガママに振り回される一連の流れや、君子(仲間由紀恵)のマンションの水道管が破裂して、また実家に舞い戻ることになるというオチは相変わらず頭を抱えるワンパターンであったが、最終回前にそこをいちいちツッコんでも仕方ないか、と腹をくくることとした。
それでも、君子が啖呵を切ったあとの山本家内のシークエンスの流れは悪くなかったと思う。君子がワガママを言う由美に、しきたりを守らなければ困ると、啖呵を切って諭すシーンは、さすが、そういった啖呵系がうまい仲間さんだけに、しっかりとしまったシーンだったし、台詞自体も悪くなかった。その後で、君子の口から取材のため、という言葉を出させて、君子の本心かその場しのぎか、その両者で揺れる心をまずまずうまく表していた気がする。
そして、よかったのは、その後の磯次郎(谷原章介)が初めて家族に対し、しっかりと君子の言葉を伝えてくれたことだね。あまりにもダメダメ野郎で、磯次郎というキャラの魅力が曖昧だっただけに、ようやく魅力と思しきシーンが出てきた。こういう魅力となるシーンはこんな切羽詰ってからではなく、もっと早期に出しておくべきだった。
夫婦がそれぞれ寄り添うほのぼのとしたシーンをつなげていって、最後に1人の源之介(近藤芳正)で、奈緒(渡辺夏菜)の冷たい一言&寂しいダジャレというオチもキレイに決まっていた。
次回は最終回で、2007年1月期で最も早く最終回を迎えるのがこのドラマとなりそうです。片山さんは結局、次回も演出するだろうから、全体の3分の2を演出するというチーフDが大きく肩入れをした企画だったのに、この結果というのは…。片山さんはかつてTBSでディレクターをしていたけど、近年になってテレ朝のDなったようで、TBSではチーフはやらせてもらえなかったけど、もっと作品運はあったような気がするなあ…。
第7話 2/22放送 視聴率12.2% 演出:森田空海
評価★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3
もうほとんどしきたりは関係なくなっているけど、またほとんどヒネリのないドタバタに戻ってしまった。ヒネリ自体のアイデアももうネタ切れみたいだね。
今回は、波男さん(本田博太郎)、志摩子さん(松坂慶子)夫婦の結婚40周年を祝うパーティーのために、君子(仲間由紀恵)と磯次郎(谷原章介)は山本家へ。そこで、波男さん、磯次郎に浮気疑惑が生じ、騒動が起こる…。
まあ、今回は本当にベタなドタバタに終始していたな。浮気を疑うネタというのも使い古された感があるし、わざとらしい尾行調査の画も定番といえば、定番でしょう。それで、勘違いが勘違いを呼び、大騒動になるものの、最後に勘違いと分かり、ハッピーエンドで一件落着。こういう構成の回だって、始まってすぐに分かるような先が読める脚本だった。でもまあ、壁からチョコンと顔をのぞかせる探偵チックな仲間さんの画はかわいかったけど。
そのハッピーエンドがなるほど、と思えるものだったらよかったのだけど、いかんせん現実味がないものだったな。要は、波男さんが志摩子さんの大切にしていた桐箪笥を25年前に壊してしまっていたので、波男さんはこっそりと苗木から木を育てて、ようやく箪笥にしてプレゼントできたというオチだったのだけど、苗木から育てたというのもね…。簡単に言うけど、かなり大変な作業のはずだし、苗木がそう簡単にしっかりと生長してくれるとも限らないし、普通に箪笥を買っても気持ちは伝わったようにも思うし。かなりご都合主義のものだし、あまり苗木から育てたという設定に必然性を覚えなかった。
結局、最後にはまた同居の話に逆戻りで、毎回、ドタバタばかりでまるで話が進まないな。各話の話自体にさほど変化がなくて、各話の順番を変えたり、話を抜いても普通に話は通じそうというのでは、ドラマとしては落第点だろうな。それでも、全9話ということになったようなので、ひとまずは安心。無理に伸ばそうとせずに、最短コースでドラマを終わらせることにしたのはひとまずよかった。でも、仲間さんという潜在視聴率No.1の女優を引っ張り出してきて、全9話という短い話数でもいっぱいいっぱいって、もっとしっかりと準備をしておくべきだったのではないか。
第6話 2/15放送 視聴率10.8% 演出:片山修
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
まあ、今回も山本家の実家でのドタバタということで、正直、またか、という感はあった。明らかにツッコミどころのおかしな部分もあって、脚本の出来は誉められるものではなかった。最後にはまた同じところに逆戻りだが、細かなところでの変化球はあり、その点はまずまず面白かった。
今回は、山本家に雨漏りがあるということから、キッチンを改装し、井戸を埋めるということになり、君子(仲間由紀恵)と磯次郎(谷原章介)が呼び出されるという展開に。さすがに、嫌だ、嫌だと言っていた君子がこれ以上、山本家に来るということに説得力が出ないと気付いたのか、今回は水の崇りを回避するために、君子が来るという変化球に。志摩子さん(松坂慶子)がポジティブに勘違いするのではなく、珍しく君子の気持ちを分かっていて、由美(濱田マリ)の家庭不和を解決するために、芝居をうっていたというのも変化球。その他にも、常に対立していた君子と由美が意外と意気投合してしまって、酒が入ると君子と由美の性格が逆転してしまうというのも悪くない点だった。
それでも、井戸の崇りって、思い切り「リング」を意識しているでしょ。仲間さんが過去に「リング0」で貞子を演じていたからなのだろうけど、このドラマはどこまで仲間さんのこれまでのイメージに頼りきれば気が済むんだ、と思う。さらに、砂のくだりはヒドかった。2tの砂が必要だと言っているのに、それをわずか君子、磯次郎、源之介(近藤芳正)の3人の人手でさらにはスコップによる人力で集めるという無理がありすぎる描写。それに、君子以外の男たちはまともに働いてもいないし。長靴にたまった砂をわざわざ家まで履いてきて、家の玄関先で砂を放出って、やめなさいよ。靴の中の砂くらい海岸で出してくるのが当然でしょ。ギャグだとしても、あまりにも脚本が大雑把すぎる。
それに加え、そうした変化球を出して意外性を持たせたはいいけども、最後にはいつもの展開に収まってしまったというのは…。また次週は最初からリセットかいっ!こうした変化球の展開を、マンネリ化が進みすぎないうちに早い段階で挿入してくれていたら、もう少し評価もしてもいいのだけど、第6話での登場だと今更感がある。それは、古いしきたりに右往左往するというドラマのコンセプト自体に飽きがきているということだろうな。
それにしても、仲間さん主演で10.8%というのは、何をやっているんだと思う。仲間さんの演技自体は悪くなくて、やはり、これは作り側に問題がある。「わるいやつら」も米倉涼子さんによる悪女ものというパッケージがありながら、7.2%まで視聴率が落ちているし、仲間さん・米倉さんでここまで数字が振るわず、両方、内容もさしていいものであるとは言えないというのは、少し情けなさすぎる気がする。テレ朝のクリエイティブ力のなさが露呈しているな。
第5話 2/8放送 視聴率11.3% 演出:片山修
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
さすがに、マンネリになってきたことに気付いたのか、今回は君子(仲間由紀恵)のケガで、気が動転した磯次郎(谷原章介)が志摩子さん(松坂慶子)を東京に呼び出してしまう、という逆の展開に。君子のご両親(平泉成、星野知子)も初回以来、久々に登場。
というか、こういった変化球の話をもう少し早い段階から、ちょこちょこ挟んでいくべきだったのかもしれない。基本的にこういった型がある作品は、基本線から外れるべきではないのだろうけど、このドラマの場合、定型化したのがドラマ自体のネックになってしまうという失敗をしてしまったからね。スタッフが作っていて、問題が出てきたな、というのをもう少し早い段階で気付かなくてはならなかったと思う。
それでも、話自体はそれほど特徴があるものでもないし、ベタだったかな。その分、ある程度は安心して見れた面もあるけど、"しきたり"という部分が抜けて、ただの家族ドラマの焼き直しになってしまったというの確かだし。
あと、君子、磯次郎、志摩子さんはキャラクターをあまりに意識しすぎているような気がする。君子の場合は、仲間さんの「トリック」的なツッコミの部分に便乗しようということなのだろうけど、現時点で見ていると、ただの失礼な女に見えてくることもまちまち。「トリック」の場合は、あの「トリック」という世界観そのものでドラマの中だけのリアリティーを作っているので成立していたという面がある。このドラマはそこまで土台がしっかりとしていない。磯次郎もあそこまで何もできないというのは欠陥男すぎるし、志摩子さんもすべてをいい方向に勘違いするというのもあそこまでいくとわざとらしいし。もう少しうまくバランスをとってもらいたい気がするのだけどな。
そして、演出も単調な空気を作り出している一因だと思うな。何だか、キャストのアップに頼った画ばかりでつなげているし、編集ももう少し趣向を凝らしてほしいところ。寄った画ばかりで構成されていて、それがドラマのメリハリを奪っているとも思う。引きを意識した画も入れてほしいなあ。
今回は変化球だったけども、次回からはいつもの山本家でのドタバタに戻るらしい。無理にのばさず、早い段階でドラマを終わらせるべきじゃないかなあ。
第4話 2/1放送 視聴率14.1% 演出:木村政和
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
う〜ん、これはホントに厳しくなってきたな。全何話にするつもりなのかなあ。このワンパターンで押し切るなら、早いところ手を打たないとマズいんじゃないか。
キャラクターに凝り固まるあまりに、もう既に君子(仲間由紀恵)は"断れない嫁"ではなくなってしまったような気がするのだけど。どちらかと言えば、嫌だ、嫌だと言いながらも、山本家に行ってしまっているわけだし、東京に帰る、帰ると言いながら、手伝うと言い始めているのは君子のほうで、頼まれてもいない仕事を引き受けてしまっているように思えてきた。食い意地が張っているという設定で担保を取ろうとしているものの、寿司やらカニやら鰻やら、わざわざ実家に行かんでも食えるだろうと思えて仕方がない。
今回は源之介(近藤芳正)が初登場して、町長選に打って出るというお話だったけども、この町長選の描き方がバカバカしいにも程がある。バカと言い合う小学生のようなやり取りばかりが続き、バカをするには頭を使うことが必要だ、ということを改めて感じさせる内容だった。
まあ、毎度お決まりのちょっとホロッとさせるシーン自体は悪くないし、仲間さんは啖呵女優なのか、ああいったシーンはうまく見せてくれる。だから、心の中で少しは騙されてしまう部分もあるのだけど、そうしたホロッとさせるシーンの根拠となる部分の描き込みがこのドラマは雑なんだよなあ。前回、あれだけ虐げられていた君子が今回は最高の嫁と奉られていたりして、矛盾しているんじゃないかな。
とりあえず、仲間さんさえ、担ぎ出せばとりあえず数字的に大コケはないだろうという意図で、仲間さんのイメージだけに準拠した仕上がりになっていて、やはり、連続ドラマとしての粗がかなり見えてきていると思う。キャスティング優先の弊害が分かりやすい形で示されたドラマなのではないかな。
第3話 1/25放送 視聴率12.7% 演出:森田空海
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
う〜ん、このタッチがこれからも続くとなれば、厳しくなってくるなあ。キャラクターの性格にあまりに縛られすぎている気がして、ワンパターンの展開の繰り返しの中にどんどんと粗が見えてきているように思う。ちなみに、演出の森田空海さんという方は、ドラマでも映画でも初めて見た名前だけど、CMやBONNIE PINK、Every Little ThingのPV、「劇団演技者。」でのドラマ演出などをされていた方とのこと。
随分と、キャラクターに縛られすぎていると思う。君子(仲間由紀恵)は断れない嫁で、磯次郎(谷原章介)はその場しのぎの夫で、志摩子(松坂慶子)はお節介姑でなければならない、という固定概念に縛られすぎて、展開が不自然に思えてきた。基本的に展開はワンパターンで、前回までの展開がなかったかのようにまたリスタートするので、こういった構成にしたのもマズいし、そこでキャラクターにあまりに固執している感が残って、さらに不自然さが増幅されている。
毎回、君子はもう2度と磯次郎の実家には帰らないといいながら、今回も来ているわけだし、帰らない、帰らないと言いながら、これからも毎回、こういった展開にすると、まるで前回までの展開の蓄積が活きてこないと思う。あと、由美(濱田マリ)のキャラクターをキツめに設定しすぎだと思う。ここもイビリキャラというキャラクターに縛られすぎている気がして、周りのオバサン連中にしたって、君子をそこまで悪く言うこともないし、それに対しての君子のリアクションもマズいだろう。
それに加え、このドラマはデフォルメしている部分はあれど、実際の風習やしきたりを脚本に取り入れようとしているので、日本の風俗に土着している面があって、その土台の上でキャラクターに縛られすぎたあまり、登場人物が浮世離れし始めたので、居心地が悪い。また、仲間由紀恵さんの得意とするツッコミ演技をさせようとしたり、「トリック」的な面白みも入れ込もうという仲間さんドラマとして、こうでなきゃいけないという縛りも、話を面白くなくさせている。
次回もこんな要領で作られたら、これは本気でエラいドラマになりそうだな。ここまで好調で来た仲間さんが、「エラいドラマに出てしまった!」とならないように今からでもいいから挽回してほしい。
第2話 1/18放送 視聴率14.8% 演出:片山修
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
前回で前提となる部分は描けていたので、今回はポイントが定まって見やすくなったと思う。演出も前回に比べれば、だいぶ細かくなっていていたし。
キャラクターの色を鮮明に打ち出していって、それが巻き起こすドタバタをテンポよく切り取ってくれていたと思う。どうやら、君子(仲間由紀恵)のキャラはガサツな嫁というよりは、断れない嫁というほうに軸を据えるようで、今回はできないことはできないと断れないばかりに、面倒くさいボーノ先生(大澄賢也)なるフィットネスの先生の体験取材と葬式を準備でてんてこ舞いになってしまう。ボーノ先生、葬式、またボーノ先生、と、前回に比べ、展開が早くなっているからスタンダードとしてこれは見やすかったのではないか、と思う。君子だけではなく、磯次郎(谷原章介)の場当たり的なだめんずぶりや、志摩子(松坂慶子)の何かと仕事を振ってあげようとするお節介ぶりも徹底されていたし。
それでも、ただその色だけに染まるわけではなく、君子は実際に全てを取り仕切ったのは自分なのに、いいところでは磯次郎を立てる良妻の面も示していたし、磯次郎は何か憎めない少年のような純真な部分を併せ持っているし、志摩子さんは決して底意地の悪い人ではなくて、どうにかして君子のいいところを見つけ出そうとしてくれている。それぞれにマイナスの面もあるのだけど、プラスの面も示していて、それで最終的にはちょっとホロッとさせるという展開に持っていく。
それぞれのキャラクターのマイナス面が巻き起こすトラブルをドタバタとして描いて、最終的にはプラスの面でホロッとさせるというある程度のストーリーの型が出来上がったことは見る上でのいい指針になったのではないかな。でも、この型はかなりスタンダードなものなので、この型にはまったものを延々と繰り返されるとさすがに飽きるかな。その点は、変化をつけるように考慮してもらいたいところ。
第1話 1/11放送 視聴率16.1% 演出:片山修
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
悪くなかったけど、もう一歩工夫がほしかったかなあ。このドラマは、仲間さんの細かい演技がドラマのテンポを作り出していたと思う。しかし、演出がダラッとしていて、今一歩弾け切れていなかったように思える。
仲間さんは2006年は「功名が辻」、映画「大奥」と、着物尽くしの落ち着いた演技を要求された1年だったけど、2年ぶりの民放主演ドラマはお得意のコメディもの。「トリック」で細かな堤演出で鍛えられただけあって、顔の使い方がハンパなく細かい。私は仲間さんのことを、女優で一番、ノリツッコミのうまい方だと思っているのだけど、今回のドラマでもその巧みなツッコミ演技は健在。画面ごとに顔を細かく変えながら、ツッコミがワンパターンにならないようにバリエーション豊かな表情を見せてくれていた。この仲間さんの表情作りの細かさ、台詞回しのテンポのよさはさすがにうまくて、これがこのドラマのテンポのよさを作っていたように思えた。こうしたコメディ演技にプラスして、着物姿、カジュアルな姿、定番のジャージ姿とコスプレも満載で仲間さんファンにはたまらなかったような。
仲間さんだけではなく、谷原さんのだめんず夫ぶり、松坂さんの悪気はないけどうるさい姑ぶりは両者ハマっていたし、それぞれキャラクターとしての色が鮮明になっていたので、役者の演技は申し分なかった。
ただ、悔やまれるのは、演技に頼るのではなく、演出面からもうまくテンポを出していくべきだったように思えた。片山さんの演出はあまりテンポがいいとは思えなかったし、脚本ももっと君子(仲間由紀恵)、磯次郎(谷原章介)、志摩子(松坂慶子)の性格を図式的になってもいいのでもっと鮮明に打ち出すべきだったように思う。君子のガサツさや頼まれたら断れない性格、磯次郎の問題を面倒くさくするトラブルメーカーの性格、志摩子のいい人なのだけど面倒くさい性格と、それぞれにしっかりとした色を持っているので、それぞれの色の違いを鮮明に打ち出して、初回のうちは間髪入れないくらいにどんどんと話が面倒くさい方向に転がっていく感じを見せるべきだったように思える。その点を演出も汲み取って、細かいテンポで見せていくべきだったかな。締め方がややグズグズだった感じで、初回なのだからもっとスパッとした幕切れのほうがこれからの展開に期待感が持てたと思う。
初回は16.1%ということで、裏に「渡る世間」(16.5%)があることを考えれば健闘したといえるだろう。内容も地味だし、共演陣にも決して数字を持っているという人はいないので、仲間さんが稼ぎ出したということなのだろう。初回は惜しくも「渡る世間」には及ばなかったけども、仲間さんは視聴率に安定感がある方だから、打倒「渡る世間」でがんばってもらいたい。
放送前の感想
2006年は散々な結果に終わったテレ朝木21枠が起死回生をかけて、「トリック」でテレ朝に恩恵をもたらした現在の視聴率女王・仲間由紀恵さんの招集に成功。仲間さんでコケたら、テレ朝は挽回できる術は残っているとは思えないなあ。仲間さん演じるのは、ズボラな妻。トラブルを巻き起こすだめんず夫に谷原章介さん、仕切りたがりのお節介姑に松坂慶子さんが扮し、コメディを演じる地盤は磐石。仲間さんのキャスティングに予算を使いすぎたのか、脇役は豪華さよりも濃さを優先。ただ、心配な点は、演出の片山修さんは「だめんず・うぉ〜か〜」で、脚本の後藤法子さんは「アテンションプリーズ」で、それぞれドタバタコメディもので評判がよろしくなかったという経緯がある点か。芸達者の多い役者の演技でどこまで話を引っ張れるかが鍵。同じような題材の「花嫁は厄年ッ!」みたいなつまらないドラマにはしないでもらいたい。