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ハゲタカ

2007.7/18発売

仕様
本編全3枚
11,970円

特典
  • プレマップ
  • PR
  • 30秒スポット
  • ノンクレジットエンディングテーマ
  • 出演者(大森南朋・松田龍平・栗山千明・柴田恭兵)インタビュー
  • 試写会トークショー

  • 出演
    鷲津政彦大森南朋
    西野 治 松田龍平 三島由香 栗山千明
    西野昭吾 宇崎竜童 大河内瑞恵 富士眞奈美
    大河内伸彰 小林正寛 塚本邦彦 大杉 漣
    加藤幸夫 田中 泯 村田丈志 嶋田久作
    中延五郎 志賀廣太郎 沼田 透 佐戸井けん太
    野中裕二 小市慢太郎 西野史子 永島暎子
    百瀬敬一 岡本信人 日下部 矢島健一
    遠山謙一郎 光石 研 牛島 徳井 優
    大賀康夫 松重 豊 三島健一 渡辺 哲
    飯島亮介 中尾 彬 大木昇三郎 菅原文太
    芝野健夫柴田恭兵

    スタッフ
    演出
     大友啓史、井上剛、堀切園健太郎
    脚本
     林 宏司
    原作
     真山 仁
    音楽
     佐藤直紀
    製作
     NHK
    公式ホームページ
     http://www.nhk.or.jp/hagetaka/
    視聴率
    2/17第1回 8.7%
    2/24第2回7.3%
    3/3第3回6.0%
    3/10第4回6.7%
    3/17第5回7.2%
    3/24第6回7.1%
    平均視聴率7.167%
    大森南朋、柴田恭兵、松田龍平、栗山千明
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    ドラマレビュー
    最終平均評価点 6.5/10

    評価点評価点
    放送前の感想-放送後の感想-
    第1回5第4回8
    第2回6第5回6
    第3回7最終回7

    放送後の感想
     まあ、よく出来たドラマであったことは確かだと思う。経済を扱った作品ということで、近年話題になっている経済のトピックを取り入れながらも、日本の伝統的な経営のあり方の利点と弊害、捨て去られる人たちの痛み、彼らを切り捨てなければならない立場の痛みなど、様々な視点をなかなかうまく話に組み入れてくれていた。その上に、キャラクターの人間ドラマを乗せ、経済のトピックに合わせながらも、贖罪のドラマに紡ぎ上げたのも考えられた点だった。部分的に展開を急ぎすぎて、全6回では不足気味という感もしないでもなかったが、経済をしっかりと扱おうとする態度はNHKのドラマならではだっただろう。民放になると、ここまで硬質な内容は無理だったんじゃないかと思う。

     ただ、あまりにも通好みのキャスティングになりすぎている傾向にあるし、これだけの面子を揃えて、これだけ硬質な内容でこの視聴率というのは寂しすぎるのではないか。衛星放送等を考慮したとしても、内容とあまりに比例しない。面白かったと思うのだけど、やはり、自分たちの作りたいものが最優先で、視聴率は二の次という作りだった気がする。いくらいいものを作っても、人に見てもらえなければ意味がないし、これだけの力作を作るなら、もう少し視聴者に歩み寄る姿勢も必要だと思う。娯楽であろうと努力していた跡は見て取れたが、硬質な内容であったとしても、もう少し娯楽を意識することはできたはず。質の高いドラマを作るというのは第一だが、やはり、それをしっかりと認めてもらわなければ意味がない。ある程度は視聴率を取りに行くという姿勢はほしいし、その下心と作品の質の向上の天秤の調整を図って、それが果たされることこそがいいドラマなのではないか。全体の製作姿勢としてあまりに視聴率に無関心すぎたという気がして、よく出来ているドラマだけど、そこまで好きになれなかったというのが実情だったか。

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    最終回「新しきバイアウト」 3/24放送 視聴率7.1% 演出:大友啓史

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     内容は面白かった。しかし、最終回というのに、あまりに地味な締め方じゃなかったか。

     今回は、鷲津(大森南朋)、芝野(柴田恭兵)、西野(松田龍平)があまりに辛すぎる現実を味わうという展開を見せることで、後の理想を描く展開へとつなぐという筋立てになっていた。

     鷲津、芝野、西野はそれぞれに過去に傷を負っている。鷲津は過去に銀行の方針であったにせよ、三島(渡辺哲)を自殺に追いやったことを忘れられず、その反動で金が尺度の単位であるハゲタカファンドに転身する。しかし、頂点に登りつめたとき、彼は過去の傷との葛藤で失脚。芝野もまた三島のことがしこりとして残り、三島の亡霊を生み続ける銀行に嫌気が差し、フリーの企業再生家に転職するものの、現実は自分がかつてと同じことをやっていたことに気付き、愕然とする。西野は、鷲津により父親(宇崎竜童)を死に追いやられた復讐により、自らも起業し、鷲津に勝負を挑むものの、虚飾が暴かれ失脚。西野は結局、自分もまた鷲津と同じ存在になっていたことに否応なしに気付かされる。

     彼らは過去の傷に憤りながらも、怯え、そうならないように逆の道を歩もうとする。しかし、過去の傷が揺さぶりをかけ、結局、また過去の繰り返しの歯車の中にいたことに気付いていく。そして、それぞれがそれぞれの転落を味わい、理想へと歩もうと決意していくのである。鷲津も、芝野も、西野もそれぞれ転落することの苦しみを知り、金の渦の中に消えていった人たちの叫びも知っている。鷲津はハゲタカとしての非情なまでの錬金の術を会得しているし、芝野は大木(菅原文太)の教えを受け継ごうとしているし、西野には若いからこその野心がある。それぞれが傷を抱えているという共通点を持ちながら、それぞれの長所を組み合わせることで、理想の企業のあり方につながる。これが今回のEBO(エンプロイ・バイ・アウト)という結果に結びつくというわけだ。

     そして、このEBOは、鷲津と芝野の三島への贖罪でもあった。彼らは再び同じ過ちを繰り返さぬよう別の道を歩むものの、結局、行き当たるのは三島の存在。回り道はしたが、ようやく彼らは正面から三島に向き合った。このEBOを認めるということが、由香(栗山千明)が鷲津を許すということでもあった。経済を扱った作品ということで、最後まで経済を扱いながらも、そこに絡めて人間ドラマもうまくつなぎとめたというのは面白い点だったと思う。

     ということで、内容だけを思い返してみれば、大変よくできたものだった。しかし、最終回である今回が最も娯楽性は低かったように思えた。要は、最終回が最も地味に終わったという感じがしないでもないわけだ。後半の展開は、理想を描いたものであるから、内容からして娯楽なのだから、わざわざ演出で娯楽に見せる必要はないということだったのかもしれないが、最後くらいもう少し爽快に後味よく切り取ってもらいたかった。

     別に渋く、静かに幕を下ろすという手法は悪くはないが、最終回が最も盛り上がりとして地味だったというのは、連続ドラマとしてはいただけないように思う。恐らく、民放ドラマではこんな最終回の作り方はできないだろうなあ。視聴率を取ろうなどという気すらないと疑いたくなるくらい、いい意味でも悪い意味でも、我が道を突き進んだ最終回だった。

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    第5回「ホワイトナイト」 3/17放送 視聴率7.2% 演出:堀切園健太郎

    評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

     今回は、テーマとしては、権力を握ると人はいかにして変わってしまうのか、という点と権力を得た者たちのそれぞれの失脚を描いていた。しかし、1回の分量にしては、やや詰め込みすぎだったか。新興企業として登場した西野(松田龍平)のハイパークリエーションが上ってきたかと思ったら、一瞬で会社が潰れるという展開の早さ。

     今回では、大空電機にTOB(株式公開買付)を敵対的にホライズンが仕掛けようとする中、その敵対的TOBを阻止するために、大空電機側を守るためのTOBを仕掛けるハイパークリエーションが登場。このハイパークリエーションの立場が、ホワイトナイトと呼ばれるもの。確かに、西野をホワイトナイトとして登場させるという展開はなかなか面白かったし、鷲津(大森南朋)との対立の構図も悪くなかった。

     今回のテーマとなっていたのは、権力を握った者たちの失脚にあったので、ホワイトナイトとしての登場が鮮烈だった割りには、後半は急な展開すぎたように思えた。松田さんは、当初、キャスティングされていた中村獅童さんの代役としてキャスティングされ、映画中心の松田さんの初のドラマ出演とあって、脚本が一部変更されたという話を聞く。恐らく、その変更点が今回だったのではないかな。ハイパークリエーションがインサイダー取引で失脚というのは、まんま村上ファンドだし、時勢に合わせて話を変えてきたかな、と。

     権力を手に入れた者は、様々な重責に追われ、本来のあり方を見失い、焦燥に駆られて過ちを犯す。西野や塚本(大杉漣)のようにあまりに目先の利益を追い求めすぎてもダメだし、鷲津のように急に人間的な面を出そうとしても足をすくわれる。権力を手にするということの難しさを描きたかったのだろう。その点は重々承知できるものの、ホワイトナイトの展開が鮮烈で、そこから急速な失脚劇ということで、そこまで展開を急がなくてもよかったかもしれない。

     松田さんの映画での役の好みを知っていると、やはり、このドラマの役にはちと違和感があるんだよな。少しふてくされた、傍若無人な感じは、途方もなく大きなことをしてくれそうなところがあるのだけど、やはり、芯が真面目すぎるというか。松田さんの個性が強すぎて、IT企業の社長として鷲津への復讐を果たすという構図にあまり説得力が出ないように思うんだよな。NHKはやたらと映画を中心として活躍する役者を起用したがるけど、意外と任せる役が普通だったりして、いつも若干の違和感を感じていたりもする。

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    第4回「激震!株主総会」 3/10放送 視聴率6.7% 演出:堀切園健太郎

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     いや〜、今回の内容は実に興味深かった。このドラマは、回を重ねるごとに面白くなっていると思うのだけど、これならもっと始めからこのくらいの仕上がりに持ってきてほしかった。

     今回の興味深かったポイントは、企業にとってふさわしい経営とは何か、ということの主張の対立にあったと思う。大空電機会長・大木(菅原文太)は、人が動かすもので、人と人とのつながりがある魂の通ったものこそ企業だと、説く。これは、いわゆる旧来の日本的経営と呼ばれるもので、この経営で日本は急速に発展してきた。しかし、国際化の波の中、この日本的経営だけではすべてを乗り切れなくなってきているのも真である。

     そのため、大空電機は多額の債務を抱え、転覆の危機に瀕していた。そこに絡んでくるのが、鷲津(大森南朋)と芝野(柴田恭兵)であった。芝野は前回で銀行を辞め、今回からはフリーの企業再生家としての登場となる。大木の言うことも最もだが、そのようなことでは企業はつぶれてしまう。リストラをし、コストを削り、多少の痛みは仕方がないと、芝野、鷲津は言う。その論調も、芝野は比較的柔和な態度で、鷲津はかなりの強硬な態度という同傾向の意見の中にも段階があって面白い。

     しかし、そこで出てくるのは、コストを削り、リストラをしたときに、あふれ出てしまった人たちの生活はどうするのか、ということ。そうした痛みを伴う改革をすれば、時が経てば、会社は持ち直すというのもまた真であるが、大木は人の心を動かせば長期的視野で会社は回復する力があるのだ、と切り返す。やはり、今の時代、合理的なてこ入れも必要なのだろうが、それを機械的に従業員に押し付けても、モチベーションが下がるだけ。結果的に、人を動かすのは人なのだ、と大木は自らの命を賭け、証明したのだ。

     今回は、経営という側面を、2つの視点を通し、それぞれのメリット、デメリットを明らかにしていきながら、実にうまくそれをストーリーとして見せてくれていたと思う。芝野にも従業員から厄介者と揶揄される面もありつつ、鷲津にもどこまでも追いかけてくる三島製作所の影に悩む姿を描いたりと、キャラクターのドラマも比較的多面的に描いてくれていたと思う。

     演出に関しても、これまでの中で今回が最も大作感があった回だったように思う。工場の空撮カットや、株主総会のエキストラを多く動員した迫真の画など、折り返しとなる今回は初回以上に力の入ったものになっていたかな。カメラワークの使い方も、Dは3人目だけど、この方が一番うまく使いこなしていると思ったし。それにしても、菅原文太氏まで登場して、このドラマのキャストだったら「華麗なる一族」が普通に撮れそうな気がするけど、これだけ揃えて視聴率がこれだけ低いというのは採算取れるのか?基本、NHKが一番、局の中で視聴率を無視した自由なドラマ作りができる局という感が強いのだけど、国民のお金で動いている局が最も視聴率を考えないドラマを作っているというのは矛盾している気はしないでもない。

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    第3回「終わりなき入札」 3/3放送 視聴率6.0% 演出:井上剛

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     だんだんと面白くなってきている。今回は、ことさらエンターテインメントを強調しようという姿勢がなかったのがよかったかもしれない。内容の中に、正義を追い求める人物像という娯楽性が含まれていたから、全体としてシリアスと娯楽のバランスはよかったと思う。あと、現実をしっかりと見極めてくれていたところもよかった。ただ、この点はもう少し強調してもよかった。

     今回も、前回に引き続き、サンデートイズという玩具メーカーの三葉銀行とホライズンの争奪戦を描いていた。前回ラストでは、芝野(柴田恭兵)が鷲津(大森南朋)を出し抜き、サンデートイズの社長交代を実現させたが、その対抗策として、ホライズンは最大債権者の立場を利用して、入札でサンデートイズの売却権を得ようとする。さらに、サンデートイズの前社長・大河内瑞恵(富士眞奈美)を巧みに利用し、そこで得た情報を由香(栗山千明)に横流しする…。

     今回は、なかなかうまく話が整理されていたと思う。鷲津の結末まで計算づくでの冷徹な計画もキレイに描けていたし。その冷徹さの中でも、言っていること自体は実に正論だし、理にかなっているといえる。鷲津の過去の誠実さと現在の冷徹さがうまくマッチした結びになっていた。

     芝野の正義と銀行員という立場で苦悩するドラマについても、終わりなき入札合戦にうまく絡めて見せていた。それに加え、現実と理想の対比もうまく掬っていたかな、と思う。自らの正義を選択した芝野だったけど、一度は銀行員という立場の現実につまづくこととなり、ワンクッションを入れたのはよかった。正義を選択した芝野への飯島(中尾彬)や沼田(佐戸井けん太)の台詞が抜群に効果的だった。特に、沼田の役割は今回において絶対的に大きかったな。働くということは、納得できないことがあっても、それを自分自身の中で見て見ぬフリをすること。正義を貫くのは結構だが、苦境に耐えることによって、その先に光が見えてくるのではないか。全くその通り。由香が記者としての正義を貫くことが、結局は、ホライズンの片棒を担ぐことになってしまったという結末もよかったと思う。

     飯島や沼田の台詞の中に生々しい現実を盛り込んだのは、抜群に効果的だったが、そのインパクトがあまりに大きいがために、芝野の苦悩が今一歩迫力に欠けてしまった感があったのが残念だった。芝野だって、大学を卒業して、20年以上銀行の仕事をしているわけだから、その現実ぐらいは分かっているのだと思う。芝野を正義感に突き動かした背景がやや描き込み不足だったな。この20年、芝野がどんな銀行員人生を歩んできたか、飯島の言う「かっこええ」ところを、台詞による小出しだけではなく、もう少し印象的に描いてほしかった。現実を知りながらも、その厚い壁を乗り越えることの相当な勇気の部分をもっとうまく見せてくれていたら、申し分ない出来になったていたと思うなあ。

     それでも、随分と脚本も演出も作調が安定してきた。次回からは、大御所・菅原文太さんが登場ということで、演技がしまるのは当然なので、脚本・演出はこの調子で見せていってほしい。

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    第2回「ゴールデン・パラシュート」 2/24放送 視聴率7.3% 演出:井上剛

    評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

     う〜ん、ストーリーは抜群に面白いんだけどなあ。やはり、演出だな。演出の方向性がエンターテインメントなのか、シリアスなのか、割り切れていないように思える。この割り切りがもっとしっかりとできていれば、申し分ないのに。

     それでも、前回よりは、この回の中心となるストーリーを語ればよかった分だけ、構成自体はスッキリとしたと思う。その分、見やすくなったのは確か。序盤の出だしの部分は、テンポもよくエンターテインメント色の強いものになっていて、そそられるものがあった。会社を我が物のように私物化する傲慢な女社長という役柄に、富士眞奈美さんというのはまさにピッタリのキャスティング。ただ、富士さんは実際にいそうというリアリティという意味でのキャスティングというよりも、キャラクターとして合っているフィクションとしてのキャスティングというイメージなので、この方をキャスティングした時点で、シリアス路線よりはエンターテインメント路線で行ったほうがしっくりとくることは如実だったと思う。

     林さんの脚本の構造自体は、鷲津(大森南朋)と芝野(柴田恭兵)がそれぞれの会社の利害を巡って、互いの出し抜きを狙った頭脳戦の構図をしっかりと持たせており、エンターテインメントとして見させるだけのポテンシャルはあったはず。それを、演出の面で違った見せ方をしてしまったか、と思う。上にも書いたが、序盤のテンポのよさは悪くなかった。だが、中盤以降のシリアスに傾いたあたりの雰囲気のまま、芝野が鷲津を出し抜いたというオチやカラクリまで押し通してしまったのは違和感を覚えた。この頭脳戦の始めである導入部はテンポよく描いていたのに、そのオチのテンポはよくないというのは演出の見せ方が首尾一貫していなかったように思えた。

     まあ、鷲津と芝野の過去のドラマが絡んでいるので、それを汲んだ上でのテンポ感の調整なのだろうけど、シリアス色を妙に出そうと意識せずとも、エンターテインメントの骨格の中にシリアス色は共存させようと思えば、共存させることができるように思う。映像の作り自体は、手持ちの寄りの画を多用したものになっていたり、ところどころにハッとさせられる画もあった。だけども、テンポ感の薄いシーンではそのような映像作りの粗さもまた目立つ結果となった。あとは、劇伴音楽の選曲が私の肌には合わなかった。ここが最大の違和感のポイントで、このタイミングでこの曲ではないだろう、という感がスゴく残った。

     さらに、役者も、松田龍平さん、栗山千明さんと、結構な個性派を起用しているのに、意外と普通の役をやらせているんだよなあ。朝の連ドラなんかも見て思うのだけど、かなりアクの強い人を起用する割りには、普通の役をやらせて、平凡な演技のまま終わりというケースが多い。今回は、ストーリー自体は、前回よりも詰め込んだ感がないので、よく整理されていたと思う。ただ、演出の方がエンターテインメントとして見せようという割り切り方が足りなかったと思う。

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    第1回「日本を買い叩け!」 2/17放送 視聴率8.7% 演出:大友啓史

    評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5

     思ったよりは、しっかりと娯楽として見せようという作りになっていたのはよかった。ただ、演出も脚本も双方で、その見せ方にぎこちなさは残った。

     映像としては、林さんが脚本を担当した「医龍」とか、「24」あたりはかなり意識していたような感じがしたな。手持ちカメラで画面をブレさせたり、カットの切り替えも早かったし、NHKにしては思った以上に娯楽を意識して作っているな、と思った。さらに、佐藤直紀さんを作曲家として選んだのは、娯楽性を強調する上で正解だった。その点は、一定の評価は示したい。

     しかし、その見せ方にはぎこちなさが残るわけだ。この前見た大河ドラマ「風林火山」もそうだったけど、NHKの演出の方はこういう動きを意識したカメラワークになると、やたらと役者のアップばかりの画の構成なって、それは画を単調にしているな。まだ使いこなせていないな、と思った。

     そして、登場人物がかなり多いので、それぞれに描き足りない部分が多かったかな。基本線としては、鷲津(大森南朋)と芝野(柴田恭兵)の対立が軸なのだろうけど、今回は別の軸がいろいろと入りすぎて、話が込み入りすぎていたという感じがする。鷲津に初回のうちからヒューマニズム的なイメージも与えすぎだったと思う。初回のうちはメカ的なイメージでもよかっただろうし、そうしたほうが鷲津と芝野の対立も際立ったのではないかな。

     今回は、老舗旅館を営む西野昭吾(宇崎竜童)の苦悩のエピソードも語られていたけど、これも描き込み不足が多くて、それを宇崎さんの熱演だけで全て片付けようとしている感がある。昭吾の経営手法が間違いだったことは確かなのだろうけど、彼の旅館に対する思いはしっかりとしている。昭吾の経営の明と暗をさばくにはもっと時間が必要だった。さらには、先代の経営の仕方についても描写がほしかったし、前段階をかなりすっ飛ばしてしまっている。これを受けて、昭吾が下した決断に対しての治(松田龍平)のリアクションもあまり納得できるものではなかった。そこは、意外性はあるのだけど、松田龍平さんという性格役者を意外と真面目なキャラクターにキャスティングした功罪だったのではないか。

     多い登場人物もさばききれているとはいえなかったし、娯楽性と多面的な社会問題への切り込みのバランスもうまく取れているとは思えなかったし、さらには、鷲津と芝野の軸となる対立、それぞれのキャラ付けの炙り出し方にも改善点は見られたと思う。方針としては悪くないのだけど、それをあまりうまく乗りこなせていなかった。柴田さんの病気療養や中村獅童さんの降板などを経て、ようやく放送にこぎつけて、考える時間は当初以上にできたはずなのに、思いのほか、結実しなかった感が残る。ある程度の説明的部分を初回でこなしたわけだから、次回以降に期待をかけるとしよう。

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    放送前の感想
     「演歌の女王」を途中棄権したので、土曜21時の時間に余裕ができたことや、ブログでとある方からオススメを受けたこともあり、見てみることにいたしました。あまりこのドラマについてよく知らず、ホームページを覗いてみたら、民放ドラマではできないような映画的なキャスティング、硬質なテーマ性のある内容に驚いた。このキャスティングや内容は、視聴率にそれほどうるさくないNHKだからできたものだろうな。私はあまりNHKのドラマは好きではなく、特に、演出の平坦さが感じられるところがあって、そこがハマれない原因の一つ。脚本の林宏司さん(「医龍」「離婚弁護士」)は過去の経験から見て、エンターテインメント的に仕上げてくれる人なので、演出が渋さばかりをひけらかすのではなく、娯楽性を忘れないでほしい硬質でありながら、娯楽である、そうした作品に仕上げてもらいたいところだ。

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