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ヒミツの花園

2007.6/6発売

仕様
本編全6枚+特典ディスクの
計7枚組
23,940円
特典
  • 初回ブームアップ番組
  • 出演者インタビュー
  • 制作発表
  • 予告集
  • クランクアップ集など

  • 出演
    月山夏世釈由美子
    片岡 航 堺 雅人 片岡 修 池田鉄洋
    片岡 智 要 潤 片岡 陽 本郷奏多
    美那絵 滝沢沙織 田中一郎 寺島 進
    川村亮子 真矢みき

    スタッフ
    演出
     小松隆志、二宮浩行、池添博
    脚本
     永田優子
    音楽
     仲西 匡
    主題歌
     安室奈美恵「Baby Don't Cry」
    放送局
     フジテレビ
     公式ホームページ
     http://www.ktv.co.jp/hanazono/
    視聴率
    1/9第1話14.7%
    1/16第2話13.1%
    1/23第3話12.4%
    1/30第4話12.1%
    2/6第5話12.6%
    2/13第6話11.0%
    2/20第7話12.5%
    2/27第8話12.4%
    3/6第9話12.3%
    3/13第10話12.0%
    3/20最終話11.4%
    平均視聴率12.409%
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    ドラマレビュー
    最終平均評価点 6.5/10

    評価点評価点
    放送前の感想-放送後の感想-
    第1話6第7話6
    第2話7第8話7
    第3話7第9話7
    第4話6第10話6
    第5話7最終話8
    第6話5  

    放送後の感想
     2007年1-3月も原作ものが大半を占めたわけだが、そうしたドラマの中で影ながら最も個性的だったのがこのドラマだったかな、と。まず、オリジナル脚本であるという点は評価できるポイントだろうな。内容もコメディ、ラブストーリー、家族ドラマと、様々な要素が混在していた。それを、独特の間合いと掛け合いの妙で見せてくれたと思う。間合いの取り方や独特のロケーションの選定基準は、個性が強かった。加えて、原作を超えるドラマはないとか、キャスティング先行でそのキャストに合わせ、原作を適当に書き換えるといった原作もの主流の現在のドラマ界への皮肉もちょっと含まれていた。キャストもそれぞれ好演していたし、その中でも真矢みきさんの妙演はかなり印象的だった。釈さんもコメディアンヌとしていけることは分かったけど、それ以上に真矢さんがコメディアンヌだったな、と。いろいろな要素を掛け合わせているので、それらを自然な形で混在させてほしかったが、その構成の仕方にはややイビツさは残り、脚本にもう少しテクニックがほしかった気はする。それでも、視聴率こそ最後まで12%前後をうろちょろして地味に終わったものの、内容、演出タッチ、役者の演技と、影ながら最も個性のあるドラマ作りになっていたように感じた。それに、最終回がとてもキレイにまとめてくれて、このドラマの中で最高の出来として有終の美を飾れていたという、意外と難しいことを達成したことも十二分に評価できる。

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    最終話 3/20放送 視聴率11.4% 演出:小松隆志

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     おっ、今回はかなりキレイにまとめてきたな。個人的に最終回の今回が一番の出来だったと思う。

     作りは妙にテンポのよさを演出したり、泣かしにかかろうとするのではなく、比較的シリアスなタッチで攻めて、小松さんの演出タッチに結構、近いものだったと思う。陽(本郷奏多)は、上の三兄弟とは血はつながっておらず、実の父親は三兄弟の父・亮(山本圭)が盗作してしまった友人の画家で、亮が引き取ったとのことだ。これが航(堺雅人)が必死に守ろうとしてきた"花園ゆり子"のヒミツだったということだ。

     そのヒミツ自体はそう大したことはないのだけど、"花園ゆり子"という存在のあり方がこのドラマの魅力なのだと思う。航の恐れていたことは、唯一の家族である4人の兄弟たちがヒミツを暴露されることで、バラバラになるということ。だから、花園ゆり子という殻を作り、4人が共同生活をすることで、家族であろうとしてきた。だが、家族であるということは何がどうなろうとも消えることはなく、家族には自然と再生していく能力がある。そして、知らないところで、人は誰かに助けられている。よって、四兄弟は花園ゆり子というくくりがなくても、家族のままだし、彼らがそれぞれ本来あるべき、別々の道を歩もうとも、それはバラバラになるということではなく、よりひとつになるということ。かなり映画「幸福な食卓」は意識しているのだろうけど、家族のドラマとしてはうまくまとまったと思う。

     そうした家族のドラマをベースとしながらも、時折、コメディやラブストーリーの要素も顔を出す。まかれていた様々な要素もこれもうまいこと、丸く収まってくれた。シリアスなテンションの中、顔を見せるコメディやラブストーリーの要素の出し方があまり嫌らしくなかったというのがよかった。この回において、テンションを整合させてくれたというのはうまかったと思う。このドラマは、コメディでもあり、ラブストーリーでもあるが、根幹は四兄弟のドラマ。この要素が混ざったものだったが、最終回でそれぞれの兼ね合いのバランスがしっかりと決まったかな、と思えた。

     なかなかドラマの最終回というのは厄介なもので、最終回が最もいい出来になるというのは難しいもの。これはあくまでも個人的な感覚だが、このドラマの最終回は様々な要素がうまくひとつの結果に集約されて、しっくりとくる内容になったと思う。最終回を最高の出来にできたということだけでも、このドラマは十分に存在価値があった。

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    第10話 3/13放送 視聴率12.0% 演出:二宮浩行

    評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

     このドラマの持つ様々な要素のそれぞれの軸は際立ってきたかと思う。ただ、今回はここからここまではこの要素、というように境界線引きがはっきりとしすぎていて、そのあたり、もう少し手際よくさばくことはできなかったものか、と感じた。

     前回のシリアスな結末を受け、どう今回の頭からつながてくるのかと思っていたが、ハイテンションな夏世(釈由美子)と四兄弟。前回の深刻さが嘘のようなつながり方で、前回、何か見落としたかな、と思えるくらいのいい意味で唐突な出だしだった。こうした杓子定規にはまらない表現の仕方がこのドラマらしさなのだから、暗く終わったから、暗いテンションで入るのではなく、一気に明るいテンションで入る。こういうところはこのドラマならではの面白さだと思う。

     今回は、前編、中編、後編と分かれた三編構成が明確で、前編はこのドラマ独特の間合いと構図によるコメディを意識的につなげてあって、中編は一気にラブストーリーの色がクドいくらいに強くなり、後編は今度は一気に四兄弟のヒミツのシリアスな展開へと振れる。

     1つの回で、これだけの色の違いを味わえるというのは興味深いことなのであるが、これらの編と編のつなぎ方がややわざとらしすぎた感が残った。やはり、さりげない形で3つの要素を組み合わせるとか、編構成にするにしてもそれぞれの連結はもう少しさりげなくしてもらいたかった。杉本みすず(松岡璃奈子)という謎の少女がそれぞれの要素をつなげる役割にいたように思うが、そういう連結役という役割のイメージばかりが先行してしまっており、もう少しこのみすずを魅力的なキャラクターとして描けていれば、もっとしっかりと形になったように思うんだけどなあ。

     それにしても、真矢さんの演技には笑わされるわ。作り手さんたちもお気に入りだったのか、今回は出番が急に増えたような気がするなあ。寺島さんとの異色カップルの画も笑えるのだけど、波止場に松方弘樹風に袖を通さずにコートを着たヤクザな男と、真っ赤な振袖の女というかなりシュールな画作りについては、お気に入り。

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    第9話 3/6放送 視聴率12.3% 演出:小松隆志

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     今回はグッとシリアスな展開が多かった。前回で触れられた四兄弟のヒミツに焦点が当たった回。

     そのヒミツとは、四男の陽(本郷奏多)は上の三人とは血のつながった兄弟ではないということ。出生に関する詳しいことはまだ引っ張っていくようだが、航(堺雅人)が"花園ゆり子"を必死で守ろうとしていた理由の片鱗が見えてきた。

     航はそのヒミツを必死に隠そうとしていたのだが、陽はいつからか何となくその真実を知ってしまっていたようだ。それがこれまでの陽の上の兄弟に対するどことなく冷たい態度となって出ていたようだ。確かに、設定からして、航、修(池田鉄洋)、智(要潤)はそれぞれ3歳差なのに、陽は一気に9歳も年の差が離れる。本郷くんはいつもクールな役柄が多かったので、それほど今回の役柄を気にしていなかったのだが、どことなく兄弟と距離をとるのもしっかりと根拠があったということか。ということは、初期の段階からこの設定の構想があって、しっかりと描出をしていたということなのか。だからこそ、前回にちょっとだけ出た陽の年相応の幼い面が今回へのいいネタフリだったということか。

     終盤の神社(?)のシーンはいい構図だったと思う。陽の本音を影から聞く3人の兄弟たち、陽を励ます夏世(釈由美子)。それは、元担当編集者という立場や年上のお姉さんというより、兄貴のようなスタンスで。釈ちゃんのほのかに兄貴感を醸し出した演技はよかったな。あと、基本的にシリアスな中に入る唐突な笑いの挿入の仕方は、このドラマらしさが出たと思う。真矢さん、神保さんあたりの存在はこのドラマのいい清涼剤になっている。

     ただ、このドラマの惜しいところは、多要素を組み合わせたタッチは面白いのだけど、その各話への配置の仕方がゴツゴツとしていて、やや手際の悪さが目立つので、今回のようなこれまでの展開からの伏線を活かした展開があっても、それがすばらしい計算だったと素直に賞賛しにくいということである。もう少し構成力に優れていたら、このドラマはもっと大化けしただろうになあ。

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    第8話 2/27放送 視聴率12.4% 演出:二宮浩行

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     今回は、花園ゆり子の正体がバレてしまうという展開。実際のところは、編集長(田中哲司)が週刊誌にリークしたことが発端なのだけど、この時期に便乗して、編集長は自身の誌に取材記事を載せたところ、4兄弟への注目が一気に高まって…。

     外の世界から注目されることによる4兄弟内のリアクションの違いが面白かった。かたや積極的に外に出て、浮かれ放題の修(池田鉄洋)と智(要潤)、かたや外からの注目が集まることを警戒する航(堺雅人)と陽(本郷奏多)。特に、航の態度の硬化ぶりは著しく、夏世(釈由美子)を担当から外すとまで言い出した。そこにはあくまで"花園ゆり子"のヒミツを隠し通そうとした原因である"あること"が絡んでいるということのようだ。

     このあることが何なのか、というあたりが次回の見所。今回あたりは4兄弟の家族としてのドラマの側面も強くなってきた。ラブコメとしての側面もあるし、仕事ものとしての側面もあるし、原作の映像化の超過ぶりへのアンチテーゼという裏メッセージもありと、いろいろな要素が不思議に分散されたドラマの形が鮮明に見えてきたようにも思う。それぞれの要素が独特な間合いで、うまくつながっているという不思議な感覚がこのドラマの大きな特長といえるだろうな。

     それでも、そうした過去の回想の挿入の仕方とか、様々な要素の打ち出し方の兼ね合いとか、ややイビツな感じも残るのは玉に瑕か。もう少し脚本家さんにテクニック上の工夫があったら、もっと個性のある作品になっただけに残念かな。だけど、原作ものが今クールも多い中、オリジナル脚本ものとして個性のあるドラマにはしっかりとなっていると思う。

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    第7話 2/20放送 視聴率12.5% 演出:池添博

    評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

     今回は、花園ゆり子原作の「忍法アラベスク」のドラマ化の話が舞い込むという現実味あるお話。今回では、原作を超えるドラマはないやら、原作を守れやら、これをドラマで言っちゃっていいのか、と思える意外と辛辣な内容だったかな。

     コミックのドラマ化が、幅を利かしている昨今の情勢を取り入れたのが今回の内容。原作者にドラマ化の打診がくるときって、こんな感じなのかなあ、と思いながら興味深く見た。それにしても、コミックの売り上げを上げるためにドラマ化を利用しようする出版社側、原作を超えるドラマは見たことがないから難色を見せる原作者側、原作とはかけ離れた脚本に対し、これでは許可できないと突っぱねる編集担当、キャスティング先行でストーリーは後付けだから、別の原作を探すと言い放つドラマ制作者…。

     ドラマだから完全にリアルとはいかないだろうけども、完全に嘘とも思えない。こういった内容をドラマでしてしまってもいいのか、とちょっと心配になった。まあ、このドラマに関しては、オリジナル脚本だから問題ないのだろうけど、永田優子さん自身、過去に「はるか17」という原作ものをやった経験があるので、どんな心境でこの脚本を書いたのだろうか、と思う。自分の属するドラマの作り手側が自分たちを悪く描いて、原作者のほうを立てる内容なのだからね。

     これ以外の部分は、今回についてはシリアス色がやや強かったか。航(堺雅人)が頑なに花園ゆり子を守ろうとする理由とは何か、というあたりも気になるように見せていたし、夏世(釈由美子)の編集者としての仕事ぶりもかなりキッチリとしてきたし、亮子(真矢みき)の田中(寺島進)への未練も切なく見せていた。ややしんみりしすぎていたような気もしないでもないのだけど、四兄弟の抱えるヒミツの部分もある程度クローズアップされてきたし、ラブの部分も比重を多くなっているように思う。さらに、夏世の編集担当ぶりもだいぶ様になってきたし、ドラマのそれぞれの要素の骨組みがしっかりとしてきた。さて、次回は、編集長(田中哲司)のリークにより、花園ゆり子の正体が男だったとバレてしまうという展開に。

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    第6話 2/13放送 視聴率11.0% 演出:小松隆志

    評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5

     今回も、間合いの取り方は好きだった。テンポ感で引っ張る台詞のやり取りという感じではなく、間をとったまったりとした感じのやり取りは悪くない。真矢みきさんは相変わらず、笑わせてくれるし、今回は釈さんもこのドラマのこれまでのイメージとは違った演技のタッチになっていて、これもよかった。

     ただ、そうしたシーン作りの方針は悪くないのだけど、そのシーン群をつなぎとめるストーリー自体に無理が出てきたかな。このドラマは全体的にのんびり、まったりとした感じが特徴で、あまり現実感を感じさせない部分があって、狭い範囲で話を転がすということで成立させてきたという感がある。

     一般大衆という目線を省略することによって、4兄弟周辺の人たちだけの価値観を描くようにしていた。しかし、今回のように4兄弟と一般大衆が直接絡むシーンがあると、違和感が生じてきてしまう。花園ゆり子というマンガ作家はかなりの人気作家という設定のはずで、そんな作家さんの初めてのサイン会をあんな片田舎でやるということは考えにくいし、その街の人だけではなく、ウワサを聞きつけた若い人たちが集まってきても変ではないし、素性が謎の作家の正体を写し取ろうとするゴシップ関連の人がいても不思議ではない。

     恐らく、このドラマのタッチやテンポを考えると、都会の書店やデパートでのサイン会というより、田舎なのだろうという意図だとは思う。しかし、そこに今回の一般大衆という多くの人たちを介在させると、普通に考えた場合の常識という壁が登場してくる。こうした独特なテンポを追求するドラマは一番にそうした世界観を崩すような、話の作り方は避けるべきだったと思う。第6話にもなると、話もネタが切れてくるのだろうし、脚本家さんもそう経験が多い人ではないというのもややネックとして見えてきたかな。

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    第5話 2/6放送 視聴率12.6% 演出:二宮浩行

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     二宮さんが演出する回のほうが、テレビドラマっぽさは感じられるので、よりとっつきやすい仕上がりになっていると思う。それでも、テーマ性の中からは、チーフD小松隆志監督の公開中の映画「幸福な食卓」と似たようなものが見出せるような気がする。

     今回は、三男・智(要潤)にスポットを当てていた。一見チャラチャラしているような色男的なオーラを出している智でも、実は兄弟の中で一番少女マンガ好きで、第3話で見られたようにラブストーリーの映画でワンワン泣くような乙女チックな部分がある。だから、マンガを描くということに智は関わっていないとはいえ、智は花園ゆり子のマンガの最大のファンであり、花園ゆり子のことを最も思いやってくれているわけだ。

     人は他の人には見せていないヒミツの部分があるわけだし、そうしたヒミツの部分で人を思い、助けている。しかし、思われていたり、助けられたりしている本人はそのことをそのことをあまり認識していない。人は知らないうちに、誰かに思われ、助けられているのだ、ということを、このドラマは描こうとしているような気がする。ちょうど、そのテーマは「幸福な食卓」でも重要なテーマとなっており、小松さんの色はよく出ているように思う。また、修(池田鉄洋)が智と仲直りしようとする方法も、イタズラ好きな修らしくてよかったんじゃないかと思う。

     とはいえ、コメディとしても、真矢みきさん、田中哲司さんあたりの二重人格じゃないか、と思える捉えどころのないキャラクターの演技はニヤリとしてしまう。特に、真矢さんの台詞の端々にある、脚本どおりなのか、アドリブなのか、分からないちょっとした小ネタがいい。脚本通りか、アドリブか分からないってことは、それだけ真矢さんの演技がうまいってことだから、感心する。

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    第4話 1/30放送 視聴率12.1% 演出:小松隆志

    評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

     連続ドラマにしては、全くといっていいほど話は進まなかったな。いわゆるテレビドラマ的といえるようなテンポ感のドラマではないのは確か。このドラマの趣向が掴み取れないとキツい面があるかな。

     現在、このドラマのチーフDをされている小松さんが監督した映画「幸福な食卓」が公開されているけど、あの映画を見れば、小松さんの趣向がある程度分かるのではないかな、と思う。家族をシニカルな目線で描きつつも、そこから本当に訴えたい温かみの部分を炙り出していく、これを「幸福な食卓」では抑えた演出で行っていて、このドラマでもそうした趣味志向は見えている。「幸福な食卓」ではタイトルどおり、食卓のシーンがよく出てきたように、このドラマも食卓のシーン、食べるシーンはよく出てくる。

     一種のラブコメのようなテイストで宣伝されているので、そういった内容だと思って見ていると、方向性の掴みにくいドラマなのかもしれない。小松さんが今回までで4話中3話演出しているわけで、小松さんの趣味性は大きく反映されたドラマだと思うから、小松さんの志向をある程度汲み取っていけないと、キツいドラマかもしれないな。

     1話の中で起伏をつけるタイプのドラマではないので、いわゆるテレビドラマ的な作りというよりは、全11話全体の流れの中で起伏を付けていきたいという映画的というに近い作りなのかしれない。個人的には悪くないかなと思っているのだけど、ドラマ向きではないちょっと変わった構成の作品だし、その構成のハンデをカバーするほど脚本が巧みではないというのは今後のネックになってきそうな面かなと思う。

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    第3話 1/23放送 視聴率12.4% 演出:二宮浩行

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     脚本自体はそう個性的な仕事をしているとは思わない。今回のやっていることは、よくあるラブコメの要素を持ち込んだものだったし。それを演出のタッチで、独特の間合いを与えているのが面白い。この独特の間合いは、このドラマらしいテンポを生み出していると思う。

     その最たるものだと思ったのが、レストランの中で夏世(釈由美子)と智(要潤)が食事をしている外で、田中(寺島進)と亮子(真矢みき)が会話しているのだけど、その音声は重ねないとか、独特の画の構図とか間合いの作り方は好きだなあ。今回は、こういったガラス越しのシチュエーションが多くて、傍観者のシニカルな立ち位置がおかしさを醸し出していると思う。

     そして、表立って出しているものとは違った、人に見せていない本来の自分といったような人の心の裏腹さを、ことさら強調することなく、仄かに感じさせてくれるあたりも工夫されている。その裏腹さを醸し出すのと同時に、四兄弟に隠されたヒミツも小出しにしてくれているしね。小ネタを出すにしても、その小ネタの処理の間合いもほどよい感じだったしな。

     やはり、やっていることはだいぶ違うけど、この間合いは「結婚できない男」を意識しているのだろうと思う。映画館の「私の頭の中のクレヨン」「オーシャンズ18」「着信ナシ」やらのくだらない映画のパロディポスターも、「結婚できない男」のレンタル店と傾向は同じだしね。

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    第2話 1/16放送 視聴率13.1% 演出:小松隆志

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     個人的にこのドラマには、人はどこかで関係しあっていて、1人じゃないんだよ、ということがテーマにあるような気がする。今回は、夏世(釈由美子)が原稿に水をこぼしてしまうというミスが印象的な出来事としてあったのだけど、それが果たして、夏世だけの責任なのだろうか、と。

     確かに原稿の近くに水の入った花瓶を置くという行為は編集マンとして考えにくい行為だった。夏世にも非があるのは確かだ。しかし、その花瓶に入っていた花束を持ってきたのは、田中(寺島進)なわけで、もし、田中が原稿を取りに初めて来た時点で原稿を持ち帰っていれば、原稿に水がこぼれてしまうという事態は起こらなかった。それに、修(池田鉄洋)がもし、原稿を田中が取りにくるまで待って、外に出かけていれば、あのような事態は起こらなかった。原稿を無責任に放置した修にもある程度の責任はある。それでは、そもそも夏世が花園ゆり子の元を訪ねた理由は何か、と考えると、それは智(要潤)に表紙のチェックをしてもらうためだった。だから、智がもう少し早く帰ってきていたら、このような事態を招くことはなかった。

     そして、一見、無関係に思える航(堺雅人)や陽(本郷奏多)も関係しているわけだ。航にも理由があるのだろうけど、マンガを描く上での一番大変な仕事を修に任せて、なぜ、修にその仕事を任せているのか、という本当の理由を明かしていないものがあると思う。陽も実は寂しがり屋なのに、周囲はもちろん、兄弟に対してまでつれない態度をとっている。ここには、恐らく兄弟の抱えるヒミツが関係しているのだろうけど、そういったその日に起こった出来事の積み重ね、そして、キャラクターの抱えるヒミツやその性格といったものが関係し合うことで、今回のミスという1つの結果に結びついた。

     それでも、そのミスであったとしても、人々が関係し合うことによってまた、挽回することができ、崩れかけた関係性もまた元通りに戻った。人は決して1人ではなくどこかでつながっている、そして、どんな過ちでも人の力で解決できるんだ、と、こんなことを言っているのではないか、と私は勝手に思っている。

     それだけではなく、唯一、修にテンション高めの役柄を任せることで、修をシニカルに眺める3人の兄弟という関係性はコメディとして面白い。亮子(真矢みき)の熱いんだか、クールなんだか、よく分からないキャラクターも矛盾があって面白い。私はこのドラマは嫌いではないなあ。

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    第1話 1/9放送 視聴率14.7% 演出:小松隆志

    評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

     う〜ん、ちょっと捉えどころのない不思議なタッチのドラマだったかな。プロデューサーはコメディとして売り出しているけども、このドラマはコメディというほどコメディではないな。

     演出の小松さんは映画監督もやられている方なので、ドタバタコメディのような趣向のものにはしたくなかったのだろうなあ、と思う。あくまで日常の世界の出来事を描写しつつも、幾分かはフィクションとしてのデフォルメも加えていく。小松さんは「結婚できない男」のセカンドDだったので、テンションとしてはそれに近いのかもしれない。

     ただ、「結婚できない男」ほどリアルで鋭い人間観察をしようとしているわけではなく、個性的なキャラクターが奏でる不思議なドラマという点では「すいか」に近いものがあるかもしれない。4兄弟はマンガ家だしね。しかし、脚本家さんに、「すいか」の木皿泉さんほど、ファンタジックな独特の世界観を構築できるとは思えないので、初回の感覚としては「結婚できない男」と「すいか」の中間くらいの印象を持った。

     成功していようといまいと、どんな境遇にあったって、人は誰でも秘密を抱えながら生きている。ちょうど4兄弟のマンガの作業のように、互いに欠けている部分を、互いが補いながら生きることで、人生に前向きになれる。そんな話なのかな。まあ、こういったごく平凡な日常を描くのは難しいことで、「結婚できない男」はリアルさ、「すいか」はファンタジックさを強調してそれに成功したけど、初回の段階でこのドラマはその中間に位置している。このままいいバランスを維持できるか、それともどっちつかずで中途半端なまま終わるか。

     演出の小松さんも脚本の永田さんも、連続ドラマのチーフ的な役割の経験は少ない方たちで、先の展望が見えづらいので、適度に期待しつつ見守りたい。

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    放送前の感想
     釈由美子さんがフジテレビの連続ドラマに初主演するコメディ人気少女マンガの作者・花園ゆり子は実は男の4兄弟で、釈ちゃん演じる月山がその担当に…。釈ちゃんの主役抜擢は、2006年秋に放送された世にも奇妙な物語・秋の特別編」内の「部長OL」での演技が決め手になったのだとか。確かにあの役は吹っ切れていてよかったもんな。あの感じの演技を披露してくれて、4兄弟を演じる個性派役者とのやり取りをしてくれれば、まずまず見れそうな内容になりそうだ。ただ、演出の「結婚できない男」「だめんず・うぉ〜か〜」(ともにセカンドD)等の小松隆志氏は映画監督の経験はそれなりにあっても、これが連続ドラマ初チーフDだし、脚本の永田優子氏も連ドラのチーフ脚本ははるか17」に続き2本目僕の歩く道」での豪華布陣のしわ寄せがきた感が残る、若干、仕上がりの程度が不透明な布陣である。これが意外と大化けするか、それとも、順当に埋没するか、とりあえず、見守ることにしたい

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