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医龍
-Team Medical Dragon-

発売中

仕様
本編全6枚
特典映像付き
23,940円

出演
朝田龍太郎坂口憲二
加藤 晶 稲森いずみ 伊集院登 小池徹平
霧島軍司 北村一輝 荒瀬門次 阿部サダヲ
里原ミキ 水川あさみ 木原毅彦 池田鉄洋
藤吉圭介 佐々木蔵之介 鬼頭笙子 夏木マリ
野口賢雄 岸部一徳

スタッフ
演出
 久保田哲史、水田成英
脚本
 林 宏司
原作
 乃木坂太郎
音楽
 河野伸、澤野弘之
主題歌
 AI「Believe」
製作
 フジテレビ
 公式ホームページ
 http://www.fujitv.co.jp/iryu/
視聴率
4/13KARTE:0114.1%
4/20KARTE:0214.1%
4/27KARTE:0314.1%
5/4KARTE:0414.7%
5/11KARTE:0514.8%
5/18KARTE:0615.1%
5/25KARTE:0712.7%
6/1KARTE:0816.6%
6/8KARTE:0913.8%
6/15KARTE:1015.1%
6/29LAST KARTE17.2%
平均視聴率14.755%
※6/22はW杯
「イタリア×チェコ」戦
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ドラマレビュー
最終平均評価点 7.4/10

評価点評価点
放送前の感想-放送後の感想-
KARTE:016KARTE:076
KARTE:025KARTE:087
KARTE:037KARTE:098
KARTE:046KARTE:1010
KARTE:058LAST KARTE9
KARTE:069  

放送後の感想
 これは面白かった。最初のうちはあまりいいとは思わなかったが、後半に入るや否や、大バケした。大体、いいドラマというのは最初のうちからいいということが通例で、序盤はイマイチだったが、後半から尻上がりに面白くなっていくというのは稀有な例。久々に、ありそうでなかった「回を重ねるごとに面白くなったドラマ」に出会ったと思う。第1話〜第4話までは絶賛するほどの面白さはなかった。ここらで見るのをやめてしまった人は確実に損をしたと思う。ドラマってのは続けて見ることに意義があるのだな、と、こういうドラマを見るとしみじみと思う。始まる前までは、坂口憲二を始めとするキャストにあまり魅力を感じなかったし、スタッフにもあまり魅力を感じなかった。一度は不参加にしようかとも思ったくらい期待度が低かったドラマだが、この期待度の低さがいい効果を生み出し、いい意味での裏切りを感じさせてくれた

 坂口憲二も最終回になるまでにはすっかり様になってきたし、その他のキャストもそれぞれの持ち味を活かしたメリハリの利いた演技を披露してくれた。脚本も最初のうちはマンガチックすぎる展開に嫌気が差したが、それを最後まで突き通し、キャラクターの軸をブレさせることなく、計画的に伏線を張り巡らし、その効果が後半になると一気に花開いた。演出、特に久保田哲史さんの演出はすばらしく、スピーディーさやテンポのよさを最後まで維持して、細かいカット割りや編集を毎回、コツコツと積み重ねていた。音楽も実にカッコいいし、美術・造形・メイク等もとてもいい仕事をしていた。このドラマが成功したのは、キャスト・スタッフがそれぞれに明確に役割分担された仕事をそれぞれがキッチリとこなし、最後の最後までそれを信じてブレを作らせなかったというところだと思う。小早川伸木の恋」が失敗して名誉挽回を狙った安易な医療ものかと思っていたが、予想以上に本気になって作られた作品であり、驚いた。数あるフジの医療ドラマの名作に引けを取らない立派な作品に仕上がったのではないか、と思う。

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LAST KARTE 6/29放送 視聴率17.2% 演出:久保田哲史

評価★★★★★★★★★☆ 9

 いや〜、面白かったねえ。医療ドラマという前にエンターテインメント作として、非常によくできている。やはり、何事にも見せ場というのが大事なわけで、最終回の今回は見せ場としてはお手本にすべきというくらい完成度が高かったと思う。

 今回は、最終回ということで、ほぼ1時間近くに渡って、バチスタ手術のシーンが続く。バチスタ手術のシーンは第6話にもあったのだけど、最終回である今回はそれを1回見ていたとしても、全くとして飽きさせない見事な作りをしていた。

 テレビドラマというのは娯楽だから、11話もの長丁場をキャラクターのドラマだけで乗り切るのは確実に無理がある。アップダウンを付けて、要所要所には視聴者を飽きさせないような見せ場を用意する必要があるだろうし、かといって途中の見せ場が面白すぎて、最終回で尻つぼみなんてことがあったら、これはこれでカッコ悪い。だから、キャラクターのドラマをしっかりと描くことは大事だけども、適度に見せ場を挟みつつ、最終回には最後にどデカい見せ場を用意する。やはり、これがテレビドラマに求められる構成における姿勢なのではないかと思う。

 この構成における姿勢を守れず、最終回で盛り下がってしまったドラマがこれまでどれだけ多かったことか。その中で、このドラマはしっかりとその構成の姿勢を忘れることなく、最大の盛り上がりをクライマックスに用意してくれた。久々に最終回らしい最終回を見たな、と感じた。

 やはり、見せ場で忘れてはならないことは映像へのこだわりだろう。せっかくの見せ場でも平坦な見せ方をしてしまうと一気に盛り下がってしまうものだが、このドラマの場合、とても映像には気を使っていたし、創意工夫の跡が見られた。あれだけ細かいカット割りを見事に編集で組み立て、1カット1カットに工夫を凝らした作りの画が続く。そして、ノリのいい音楽を効果的に使いながら、実にスピーディーに手術シーンを見せていく。

 これだけではなく、見せ場として場を盛り上げるためには、タイムリミットを用意したり、思いもよらないことを起こしたり、ちょっとした謎を用意したりして、見る者の緊張や不安を高める効果的なトラップをわざとらしくない中で見せていく必要がある。大体のテレビドラマはそういうトラップを用意すると、わざとらしくなってしまったり、緊張感が伴わない形だけのものになってしまうが、このドラマはしっかりとタイムリミット等、押さえるべきところは押さえつつも、わざとらしくならなかったし、緊張感が途切れることなくまとめてあった。医療ドラマに限らず、見せ場というのはこうやって作るというお手本のような仕上がりだった。他のドラマの関係者の方も、このドラマを見て、見せ場の作り方を是非とも学んでいただきたい。

 あの手術シーンが医療的に見て、どれだけリアリティのあったことなのかは知らないが、エンターテインメント性は非常に高かった。それだけに留まらず、これまでのキャラクターのドラマの中で培ってきた「チームの有用性」を打ち出したのも効果的だった。今の医療の現場は教授という1人の実力者、もしくは抜群の腕を持った天才の手により動かされているようにも見えるが、天才1人だけでは何も動かすことができない。それぞれの才能に秀でた存在がそれぞれの才能を活かし、補完していくことによって物事を動かすことができる。一握りの人間が医局を動かすのではなく、医局全体が一丸となって医局を動かす。まあ、理想論に聞こえる嫌いもあるが、このドラマならではの個性をもった主張に最後は結び付けていて、他の医療ドラマとは一線を隔すアピールポイントができたと思う。

 さすがに、天才ばかりが出てくるからありえないだろうと思ってしまったり、鼻につくくらい仰々しい作りの画があったり、意外と霧島(北村一輝)が脆い人間だったってのがあっけなかったりと、ところどころに弱点があるのは事実なのだけど、木原(池田鉄洋)に見せ場を作らせることでキャラクターを有効活用すると同時に、チームの有用性というテーマにつなげたり、見せ場の一環として使ったりして、他の部分で弱点をほぼカバーする作りになっていて、とても作り方を工夫している。

 最後はハッピーエンドになるのだが、よくある無理矢理な感じはなく、ごくごくスムーズにハッピーエンドを受け入れることができた。役者、脚本、演出、その他のスタッフ、それぞれがそれぞれの仕事をしっかりとこなし、それがしっかりと1つに結実したスタイリッシュさとエンターテインメント性を兼ね備えた見事な医療ドラマだったと思う。出だしこそスロースターターだったが、最終回が終わって、このドラマは「白い巨塔」や「救命病棟24時」などにも負けない個性を持った医療ドラマになったと断言できる。

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KARTE:10 6/15放送 視聴率15.1% 演出:久保田哲史

評価★★★★★★★★★★ 10

 今日はスゴい!ビビったね。医療ドラマでここまで刺激的なストーリー展開になるとは思わなかった。連ドラの評価では今年に入って初めてとなる★満点を献上しましょう。

 明真の中ではとんでもない騙し合いと腹の探りあいが行われていたわけだが、これが私は全くとして予想もしていなかったこと。この騙し合いの具合は、はっきり言って、「クロサギ」なんかよりかなり高等。これは原作にあるのかどうか知らないけど、林宏司さんはとてもうまく脚色していると思う。

 終盤にかけての3つのどんでん返し。テレビドラマの1話のサイズなら、1つどんでん返しをしっかりと決めてくれれば、御の字といったところなのだけど、このドラマは3つもどんでん返しを強引な手法ではなく、ある程度、キャラクターの設定を理路整然と保ちつつ、どんでん返しを描いてくれた。

 野口教授(岸部一徳)が自らの医局内での人気を高めるために、あえて鬼頭教授(夏木マリ)の改革案に賛成したという行為自体もかなり意外だった。それだけに終わらず、前回に登場したバチスタ患者の幼児の転院をあえて教授会が開かれていて、野口教授が医局に不在のときに緊急と称して、教授許可のないままバチスタ手術に踏み切ったという展開もなるほどと唸らされたし、伊集院(小池徹平)の使い方といい、とてもうまく視聴者をミスリードしていたと感じた。だけど、そこは霧島(北村一輝)、ただでは引き下がらず、保険として隠しておいた秘密があった。第3のバチスタ患者である幼児は、臓器の位置が普通の左右逆になっていて、さらに心臓の血管にも特殊な構造があり、これだけでかなりの難手術だが、それに加え、まだこの幼児の心臓には爆弾があったのだ。そのことを霧島は何かに使えると、万が一のときに備えて、朝田たちには隠してきたことだった。霧島って、どこまで用意周到な奴なんだ…。

 意外なことばかりで、さながらサスペンス作品のような騙し合いの連続だったわけだけど、医療ドラマとしてもしっかりと成立させて、体裁を整えてしまっているというのがまたスゴい。幼児の母親の言葉なんかはとても胸に響いた。1%でも治る見込みがあれば治療したいし、治療してほしい。だけども、今の医療の現場ではそれは無理な話。成功する見込みのない手術をOKする教授など、いるわけがない。こういう現実と理想のジレンマみたいな部分をうまく切り取っていた。その現実の部分をこれまで散々見せ付けてきた本作だけど、今回は意外な形でその理想の部分も打ち出してくれて、現実を踏まえつつも、理想を描くという姿勢が貫かれていて出色だ。描き方はマンガチックなのは間違いないが、これだけ仕上げてくれればそんなことはこの際、どうでもよくなった。

 このドラマ、次回で最終回。次回の見せ場もバチスタ手術となるが、第6話のバチスタ手術とはまた違って、グレードもめちゃめちゃ上がっているし、その手術シーンに込められた意味もまた変わっている。同じバチスタ手術だったとしても、十分に期待が持てるし、最終回にふさわしい大きな見せ場になると思う。次週はワールドカップ中継でお休みで、2週間後の29日が最終回。これは期待するしかない。最終回もレベルを保ってくれれば、フジ医療ドラマの強さを改めて証明したことになるし、このドラマがフジテレビを代表する医療ドラマになったということになるだろう。

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KARTE:09 6/8放送 視聴率13.8% 演出:水田成英

評価★★★★★★★★☆☆ 8

 いや〜、面白いじゃないの。中にはとんでもなくサブいシーンもあったけども、最終的には思わぬ展開なんかもあったりして、かなり引き込まれてしまった。

 今回は、第2回バチスタ手術の回だった。第6話であれだけ手術シーンで盛り上げたということもあって、今回はかなり控えめな描写だった。それ以上に今回、見所だったのは、霧島(北村一輝)のあまりにも計画的な朝田への嫌がらせだった。

 今回は、完成したバチスタ手術チームの堅い信頼関係を描いていた。加藤(稲森いずみ)が手術中に周りを見回して、その動きのよさに「これが私の作ったチームか」とチームということを意識していく過程は、映像の力を使って、端的によくまとめられていたと思う。その後の、手を重ねていくシーンはかなりサブかったけども、バラバラだったチームがまとまったということは印象付けられた。

 その信頼関係が出来上がっていくのと同時に、霧島の計画の全貌も明らかに。こいつはとことんまで計算をして、二重三重の罠を仕掛けて、朝田をとことんまでいじめ抜きたいという考えの持ち主のようだ。記憶では第7話あたりで1シーンだけ登場したバチスタ適用患者の1人が今回登場。第7話あたりで登場したときは、これだけなのか、と思っていたが、それがこういう形で伏線として活きてくるとは、意外だった。その適用患者というのがかなり特殊な条件を備えているわけだ。生まれながらにして臓器の位置関係が普通の人と左右逆になっていて、心臓の血管にも特殊な構造があり、さらに、生まれて間もない赤ん坊という三重苦がのしかかる。この難関手術は成功の確率は小さいし、あの朝田でも手術はできまい。たとえ、朝田が手術をやると言い出しても、野口教授(岸部一徳)がOKを出すわけがない。そこまで計算した上で、霧島はこの赤ん坊が3人目のバチスタ患者として明真に来るように仕向けていたということだ。また、これだけでは飽き足らず、次期教授候補という地位を利用し、バチスタチームの伊集院(小池徹平)に揺さぶりをかけ、チームの情報をリークさせるのと同時に内部分裂を促すというほどの徹底ぶり。

 しかし、そんなバチスタチームにも希望の光が。朝田の無理なお願いに対して、鬼頭教授(夏木マリ)が動いたのだ。野口教授は前回に出た医局の改革案として、外部から教授を招き入れるという改革案を提示し、霧島を呼び寄せる口実を作った。これだけでも前回の改革案のくだりはこういう形で展開として活きてくるのか、と思えば、巧みに伏線を張られていて感心する。さらに、そこにこのドラマはもう1つの伏線を重ねてきた。鬼頭教授は野口教授の改革案をさらに押し進め、癒着した教授会のみでの投票ではなく、医局全体に門戸を開いて直接投票で教授を決すべきだ、という案を提出した。そのためには、霧島の対立候補を擁立する必要があるわけで、そこに加藤ちゃんを推すという手はずなわけだ。な〜るほど、考えたもんだね。この改革案はちょっと理想論がすぎる嫌いもあるけど、閉鎖的な医療の現場に対し、それなりのプレゼンテーションになるくらいのインパクトはあると思うし、コミックやテレビドラマの中でならばここまでの論を入れ込めたのなら、十分に立派であると言ってもいいと思う。

 このドラマは第1部はバチスタ手術で盛り上げ、第2部は教授選が見せ場になるというわけなのね。そして、全編通して、霧島だけは虎視眈々と計画を練っていたというわけだ。このドラマは脚本・演出・役者それぞれに明確な役割分担がしかれていて、それがドラマが始まって以来、全く揺るいでいないというのが安定している理由だと思う。1話完結的な話で各回だけでも起承転結をつけた展開を用意しつつも、霧島の計画は早い段階から伏線を張り、連続ドラマとして見ても十分に見応えがある。これは見事な仕事であると思う。あと2回、これだけ終盤にきて、盛り上がってきているわけだから、私の経験則上、これだけ盛り上がったドラマは最後まで突っ走ってくれる可能性が大きい。あと2回、これは期待だ。

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KARTE:08 6/1放送 視聴率16.6% 演出:久保田哲史

評価★★★★★★★☆☆☆ 7

 今回は荒瀬(阿部サダヲ)にスポットを当てた回で、思いのほかなかなか盛り上がった。

 今回は阿部サダヲの演技がドラマ自体を牽引していたね。確かに腑に落ちない場面は多い。序盤の伊集院(小池徹平)の真面目すぎる台詞の連続とか、荒瀬の行きつけのバーテンダー・山口香(奥菜恵)が偶然、拳銃強盗に襲われるとか、朝田と荒瀬の天才と天才でしか分からない感覚とか、正直、何言っちゃってんの、と思える部分は多々ある。その点は、脚本が原作に忠実にマンガチックさをこのドラマの個性として脚色しているから、ということなのだろう。そのマンガチックな脚本を演出と役者の演技というテレビドラマとしての装置でろ過され、かなり見やすくなっているように思う。

 その中でも、特に、今回は阿部サダヲの演技の器用さには驚いた。3ヶ月かかっても「アンフェア」は阿部サダヲの個性を出し切れなかったが、このドラマの場合は、今回1回だけでかなり阿部サダヲを有効活用したと思う。序盤のロクデナシ演技から入って、素早い処置シーンを経て、過去の人体実験まがいの研究を悔いる感情を表現し、最後には手術シーンで役柄の天才という雰囲気をしっかりと醸し出して見せた。過去の回想シーンも含め、ここまで1人の役者さんに演技の色の変化を要求する回も珍しいし、その要求に見事に応えた阿部サダヲのメリハリの利いた器用さには驚いた。また、今回はかなりのちょい役にも関わらず、奥菜恵が登場。この奥菜恵のキャスティングもいいところをついたと思う。荒瀬が立ち直る上で、この回における香の存在は大きい。だから、登場してそれなりに印象に残る女優さんでなければならないが、阿部サダヲを喰うほどのインパクトがあっても困る。そう考えれば、奥菜恵というのはちょうどいいキャスティングだった。

 このドラマは原作のマンガチックさを再現する脚本、スピーディーさとテンポのよさを追求する演出、オンとオフのメリハリを付けて見せる役者の演技と、それぞれに明確に役割分担ができていて、それをドラマの最初からブレさせていないことがなかなかの好作に仕上がっている理由だと思う。最初のうちはいかにもなマンガチックさが苦手だったが、回を重ねるごとにそれがあまり気にならなくなっている。

 さてさて、気になるところは霧島軍司(北村一輝)の存在だ。明真のバチスタ手術を妨害したかと思いきや、軍司ちゃんの狙いはもっとスゴいところにあったのね。何と、明真の教授になって、加藤(稲森いずみ)を系列病院に追い払い、さらには朝田も追放させようと考えていたということのようだね。加藤ちゃん、大ピンチですよ。軍司ちゃんのドSぶりもここまで来ると、徹底していますな。この役はホント、北村一輝だから説得力が出るんだな。霧島が明真の教授選に出馬するという思わぬトピックが浮上してきて、これからの3回に俄然期待が持ててきた。

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KARTE:07 5/25放送 視聴率12.7% 演出:水田成英

評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

 悪くはなかったが、前回に比べたら明らかに盛り上がりには欠けた。言ってしまえば、前回の後片付けとこれからの下準備のための回だった、といったところ。

 今回の見所は霧島(北村一輝)と荒瀬(阿部サダヲ)の過去。前回で霧島は明真のバチスタ手術に先駆けて秘密裏にバチスタ手術を進め、明真を妨害した。なぜ、そのようなことをしたのか、という答えが過去にあったというわけだ。霧島と里原(水川あさみ)は異母兄妹だったらしく、霧島はその妹を支配したい欲望にとりつかれていた。だが、北日本大学病院内での霧島の評判はすこぶるいい。表の顔は優秀な医師だったが、実際の顔はエゴとプライドにとりつかれたドSの変態だった、というわけだ。北日本大学内で抜群の臨床の腕があったのが朝田だった。朝田が自分の手の上で駒として機能しているうちはよかったが、あるとき、霧島は朝田の腕が自分を抜かしてしまったことに気付き、狼狽する。そんなとき、発覚した霧島の部下・森田の診断ミス。霧島は朝田を北日本大学から追放するため、カルテを改ざんし、全ての罪を朝田に擦り付ける。その影響で、北日本大学を追われた朝田はNGOとして海外の紛争地域へ行くことを決意する。里原も朝田についていくと宣言し聞かない。そして、里原から言われた「朝田先生はあなたより優秀」という言葉が、霧島のプライドをずたずたに傷つける。霧島の根回しにより、朝田が海外から帰ってくる頃には医療界に朝田の居場所はなかった。そんなとき、加藤(稲森いずみ)がバチスタ手術の話を持ちかけたわけだ。バチスタ手術の執刀を朝田がやると知った霧島は朝田を認める者は徹底的に潰してやると、恋人であった加藤をも裏切り、秘密裏にバチスタ手術を成功させたのであった。要は、朝田潰しのためなら何でもやるという暇人というか、ド変態というかね。

 そして、荒瀬の過去についても語られ、どうやら荒瀬は過去の人体実験まがいの新薬の論文に関わっていたらしく、そのことが影響で髪が金髪になり、アル中の狂ったキャラになって、金でしか動かない男になったということらしい。このドラマは基本的な設定は霧島にしても、荒瀬にしても、マンガチックなんだなあ。これからこれらのキャラにいかにテレビドラマとしての人間味を与えられるかが鍵だろう。

 加藤は北日本に手術でバチスタ手術に先を越されてしまい、次の論文発表まで北日本に先を越されると明真での居場所はなくなる。論文のためには、2回目のバチスタ手術を成功させなければならない。そして、そのバチスタ手術成功のためには、優秀な麻酔医である荒瀬が不可欠である。さあ、これからどうなる、というのが今回までの展開。今回は完全につなぎの話に徹した回だったね。第6話までは尻上がりに盛り上がってきたこのドラマだったけど、これからはどういった展開で引っ張っていくのだろうか。何だか尻つぼみになりそうな感もあるが、そこを思いもしなかったアイデアでいい意味で裏切ってほしい。

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KARTE:06 5/18放送 視聴率15.1% 演出:久保田哲史

評価★★★★★★★★★☆ 9

 今日はとにかく面白かった。予想以上に完成度の高い仕上がりとなっていたと思う。放送時間の4分の3くらいはぶっ続けで手術シーンという医療ドラマとしてもかなり異例の大勝負に打って出たわけだけど、かなり綿密な作り込みをしたことが伺われ、それが見事に結実したすばらしい出来の回だった。

 今回はこのドラマの最大の見せ場であるバチスタ手術の回。医療ドラマといえば、手術シーンというのが付き物ではあるけれども、ここまで長い手術シーンは初めて見た。放送時間のほぼ4分の3くらいはぶっ続けで手術シーン。バチスタ手術から始まり、心臓のバイパス手術へと展開していく。手術シーンは考証からして難しいシーンであるし、医療ドラマにおいて技術の英知が集中されるシーンである。それに、このドラマはバチスタ手術というかなり特殊な手術を扱っていることから、このドラマの製作陣はいつも以上の考証や取材といった下準備が必要だったはずだ。

 それとともに、このドラマの特色はマンガ的な実に細かいカット割り。今回における手術シーンの画作りには相当の気合いが感じられたし、段取りも実に細かかったし、カットの割り方も実に細かかったので、さぞ撮影は大変だったと思う。それが功を奏し、手術シーンは実にスピーディーな展開となっており、一瞬たりとも気が抜けないと表現してもいいくらいの見事な完成度を誇っていた。それに加え、ハプニングを起こしたり、デスリミットを意識させる展開を用意したりと、映像だけではなくストーリー面でも抑揚がついた作りになっており、見せ場としても申し分ない仕上がりである。今回の手術シーンは数ある医療ドラマの手術シーンの中でもトップクラスに位置するくらいの完成度だったと思う。これだけ長い手術シーンを間延びさせずに、見せた製作陣の綿密な下準備には頭が下がる思いだ。こういう手術シーンを作れるというのが、やはり、フジテレビの医療ドラマは強いといわれる所以だろうな。

 そして、手術シーン終了後の展開も実にスリリングだった。「Ns'あおい」でも扱われていた看護師・里原(水川あさみ)による医師法違反の医療行為。これは手術に関わった人たちのクビが飛ぶくらいのオオゴト。野口教授(岸部一徳)の顔にも泥を塗るような行為であり、もちろん野口教授はカンカンだ。そこを、加藤(稲森いずみ)はマスコミ発表をダシに野口教授のご機嫌を取り、国内初のバチスタ手術のことを世間に知らしめることで病院に体面上、医師法違反を不問にさせようとするというしたたかな面を見せる。まず、この駆け引きが見事だった。

 だが、ここでどんでん返しだ。何と秘密裏のうちに霧島(北村一輝)がバチスタ手術を成功させ、明真大学よりも速くマスコミ発表してしまったのだ。初回から何を考えているのか分からず不気味な存在だった霧島だったが、ここで真の目的が明らかとなったわけだ。まさに、加藤にとったら寝耳に水の事態であり、かなり立場としてはヤバいところに立たされることになる。さて、どうなるかというのが次回のお話であり、次回では朝田と霧島の過去からの因縁も語られるようだ。

 とりあえずの大きな見せ場であるバチスタ手術が終わった。このドラマにとって重要なのはこれからの展開であると思う。まだ中盤が過ぎただけで、あと5話残っている。残り5話でこの勢いをどれだけ持続できるかというのがトータルで見た際のこのドラマの評価の命運を分ける。残り5話で再び盛り下がるということになれば、手術シーンだけはよかったドラマで終わりである。是非ともがんばってほしい。

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KARTE:05 5/11放送 視聴率14.8% 演出:久保田哲史

評価★★★★★★★★☆☆ 8

 いや〜、今回は面白かったんじゃないの。やはり、このドラマの鍵であるバチスタ手術を前にして、俄然展開が盛り上がったと思う。

 今回は、バチスタ手術の前夜祭的なお話。次回、このドラマの一番の見せ場となるであろうバチスタ手術を描くことになる。バチスタ手術の患者候補として上がったのは、55歳の主婦・奈良橋文代(江波杏子)と16歳の女子高生。加藤(稲森いずみ)は手術の失敗のリスクがより小さい女子高生のほうを選択しようとする。しかし、奈良橋はかつて看護師長の経験があり、明真大学附属病院に勤務していて、加藤のよき助言者であった。奈良橋はこの年齢であると、今手術をしなければ、助かる見込みはない…。

 このドラマは「小早川伸木の恋」がコケたということもあるだろうけど、王道の医療ドラマに回帰している傾向がある。そのため、過去の名作である「白い巨塔」や「救命病棟24時」とどうしても似てきてしまうという難点がある。このドラマがこのドラマ単体としての個性をアピールするポイントは、やはり、バチスタ手術であるわけだ。だからこそ、このドラマを作るにあたっては、バチスタ手術のシーンに関してはかなり気合いを入れて準備をしていたはずであろうと思う。

 その気合いが見事にこの回には結実していたと思う。やはり、そうなるとこれまでの展開はちょいと強引に引き伸ばしたという感が否めなくなるのだが、これまでの展開に比べたら、今回は格段に面白くなった。バチスタ手術を前にして、グワーと期待を高めていく終盤にかけての演出はかなり引き込まれた。

 そして、今回は加藤の過去に焦点を当てた展開だったが、今回の加藤のドラマにより、加藤のキャラクターがかなり補強されたと思う。加藤は女性であるのに、若くして助教授まで登りつめた人であるが、そこには論文の研究対象にならない患者は切り捨てるという冷徹さがあった。しかし、奈良橋という加藤の過去を知る人物の登場で、加藤の意外な面が語られる。加藤はかつては患者思いの熱心な医師であった。そして、教授に登りつめなければ現在の腐敗した医局を何も変えられないことから、教授になって医局を改革するという意欲の下、ここまで出世のためにいろいろと努力を重ねていた。しかし、いつの間にか加藤は医局の改革という本丸の目的を見失い、出世だけが目的になってしまっていた。ミイラ取りがミイラになってしまった現実に、加藤は奈良橋との会話の中で気づかされていく。

 この結果、加藤は失敗のリスクの高い奈良橋をバチスタ手術の対象として選択する。だが、完全に正義ばかりを追い求める側に加藤が傾いてしまったわけではない。野口教授(岸部一徳)の「論文と患者、どっちが大切なんだ」という問いかけに「論文も成功させ、患者も救ってみせます」と、あくまで冷徹なまでに出世意欲を燃やす面を加藤に残し、キャラクターとしてのバランスを保ったという点においては均整の取れた脚本だったと思う。それを稲森いずみさんがよく演じていたと思うし、江波杏子さんの存在感がかなりドラマに説得力を持たせていた。江波さんの的確な演技により、説明不足だった奈良橋の息子(金井勇太)の思いの部分にもしっかりと話がつながったと思う。加藤の"ブラックファイル"は小物としても実にうまい使い方をしていた。

 このバチスタ手術が成功するかどうかは、朝田や加藤にとってこれからを大きく左右する。朝田はこのバチスタ手術が失敗したら、厄介払いされ、医療界から追放される。そして、加藤も出世の道からは外れ、医療の表舞台には再び立つことはできなくなる。鬼頭(夏木マリ)はバチスタ手術の失敗を予言し、加藤を牽制する。さて、次週、バチスタ手術は成功するのか…?このドラマで初めて次回が待ち遠しい展開になった。

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KARTE:04 5/4放送 視聴率14.7% 演出:水田成英

評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

 今回はとにかく野口教授(岸部一徳)の極悪ぶりが印象的だった。無表情のままとんでもなく恐いことをさりげなく言ってしまう岸部一徳さんの存在感は鳥肌ものだ。

 一度に3人もの心臓に異常を訴えた患者が搬送されてくる。この事態を不審に思った朝田は独自に調査を開始する。すると、3人とも同じ会社で製造されたペースメーカーをつけていたという共通点があったことが分かった。過去に遡ると、同じようにペースメーカーの異常と思われる患者が何人も存在していたことも分かった。そして、決まってその患者たちは心不全で片付けられ、担当医はいつも決まって沖(袴田吉彦)だったのだ…。

 要は、そのペースメーカーが野口教授が推薦するものであったことから、そのペースメーカーを否定するということは野口教授も否定するということになる。だから、沖はそのペースメーカーに不良品が混じっていることを気付いてはいたが、それをあえて黙認するしかなかったということなのだ。

 今回はとにかく岸部一徳さんが恐かった。ホントに岸部さんはこういう役をやらせると、恐い。あまり表情を変えず、声のトーンも変えないというのが岸部さんの演技スタイルだから、さりげなくものすごく恐いことを言わせると、かなりゾクッとする。

 このドラマはほとんど「仮面ライダー」のようになってきた。野口教授を大幹部として、そこに従う人たちは野口教授に逆らうことは許されず、従順に指示に従う。このドラマでの大学病院はまるでショッカーだ。そこに現れた朝田という存在は、権力という悪に立ち向かうまさに正義のヒーローだ。どこからともなく現れ、権力悪をぶち倒していく。実際はもっとドロドロとした争いがあるのだろうけども、そこに踏み込もうとはせず、善と悪との違いを鮮明にさせて、朝田を超がつくほどの理想的な正義漢として、野口教授をこちらも超がつくほどの極悪教授として描いている点は、逆に潔いかもしれない。

 このドラマは編集や音楽、音の編集がいい仕事をしてくれているので、割合、楽しんで見させてもらっているが、さすがに製作陣が悪ノリしたとしか思えないいきすぎた描写があって、シリアスで感動的な場面でもつい吹き出してしまいそうになることがある。特に、ラストの朝田が上半身裸でバチスタ手術のイメージトレーニングをしているシーン。別にイメトレはいいさ。何で、上半身裸なんだという話。それに、わざわざ病院の屋上のあんな場所ですることもなかろうに。「白い巨塔」が比較的リアリティーにこだわって大学病院の内情を描いていたことから、このドラマは「白い巨塔」と差別化するためにトコトンマンガチックに行こうぜ、というスタンスで作っているのだろうと思う。まあ、そういうスタンスは悪くないが、いくら何でも悪ノリがすぎるシーンが結構あって、そこをもう少し抑制してくれれば私としてはありがたい。

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KARTE:03 4/27放送 視聴率14.1% 演出:水田成英

評価★★★★★★★☆☆☆ 7

 今回は「救命病棟24時」の演出を第1シリーズから通してやっている水田さんが演出ということで、「救命病棟24時」ともろカブリという印象であったが、それ以上に引き込まれ、楽しませてもらった。

 前回で、バチスタ手術のメンバーに強引に入れられたのは伊集院(小池徹平)だったが、今回、メンバーとなったのが、藤吉(佐々木蔵之介)。藤吉は外科に手術を任すことを忌み嫌い、医局の教授と対立することが絶えない問題児。その藤吉の娘が心臓の病気で入院していた。藤吉はその娘を内科治療だけで治療すると主張するが、医局の教授は外科に手術してもらうことに決定。その手術を担当することとなったのが、朝田だった…。

 第3話にきて、坂口憲二もなかなか様になってきた。それに加え、藤吉を演じた佐々木蔵之介の迫力もなかなかで、朝田と藤吉の対立と融和は抑揚が効いていて、なおかつスリリングであり、なかなか見ごたえがあった。

 今回は演出が久保田さんから代わり、「救命病棟24時」で破天荒な医者の使い方には手慣れている水田さんということで、実に演出の手際がよかったと思う。特に、冒頭の手術シーンのカット割りの巧みさやスピード感は実に出色だ。そして、カット数の多さもなかなか効果的でよかった。特に、鬼頭教授(夏木マリ)の登場シーンとなると、異様にカットが割られていて、意味もなくカッコいい。

 ただ、問題なのは、全体的に「救命病棟24時」と印象が丸カブリである点だろう。「救命病棟」のときも江口洋介演じる進藤はとんでもないスーパードクターだったが、このドラマでの朝田はそれを上回るくらい破天荒なスーパードクターだ。街頭で朝田が「ここで開胸する」というようなシーンとか、進藤とかなりキャラはカブっている。やはり、江口洋介と坂口憲二を比べたら、坂口憲二のほうが見劣りしてしまうよなあ。ここは大きな痛手か。

 まあ、これではオリジナリティーという点では妥当であるとはいえないものの、私は久保田さんのいかにもマンガ的な演出に比べれば、水田さんのほうがマンガとリアルの中間の感じをよく出してくれていて、すんなりと話を受け入れられると思う。マンガ的になりすぎることなく、今回くらいのテイストをキープしてもらいたい。

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KARTE:02 4/20放送 視聴率14.1% 演出:久保田哲史

評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5

 予想以上のマンガ的な演出の多さに驚いた。

 どうやら、これからは各回でバチスタ手術のメンバーとなるキャラクターに焦点を当てながら、朝田のルール無用の破天荒なやり方とその人物の対立と融和を主軸に話が進んでいくというような展開になっていきそうだ。

 やることなすことがマンガチックであるというのが、このドラマの特色のようだ。ルール無用で医局違いもお構いなし、上層部の方針など一切耳を貸さず、自分は外科医ではなく、医師であるをモットーに自分のやりたいことを貫く朝田。それに対し、上層部は患者をモルモットのような存在としか考えず、金の問題さえけりがつけば文句がない責任転嫁ばかりに明け暮れている。非常に分かりやすい二極対立が際立ったいかにもマンガ的なプロットだ。朝田はかなり楽観的に見た場合の本来の医療のあり方を体現している。上層部は日本の医療に蔓延る諸悪を一気に詰め込んだかのような無責任な極悪の連中として描かれている。戦隊ものばりに善と悪の色づけが明確になっており、ここまで極端にしなくてもいいんじゃないか、と思ったりもした。

 マンガ的なのは、何も展開だけではなく、画の作り方にしても、マンガでなきゃありえないものばかり。朝田のスーパードクターぶりはスゴいな。詳しくは分からないけども、超がつくほど難しい技を駆使した手術シーンといい、映像の作り込みは別として、リアイリティはゼロだ。それに、まっぱでパソコンを打つ加藤(稲森いずみ)というほとんどギャグに近い画っちゅうのもあったな。また、劇中登場したいかにも人のよさそうな老夫婦というのも、マンガ的な演出といえるだろう。

 私は原作を知らないので、原作における朝田がどうなっているのかは分からないが、このドラマにおける朝田はどうも信頼するに足らないと思う。いくら医療における正義を追い求めるヒーローであったとしても、ルールを無視しすぎだろう。あんなことでは、医療の世界から追放されても当然だと思う。まあ、朝田というキャラの暴走がイマイチしっくりこないのには、坂口憲二の役者としての存在感がまだ未成熟だから、ということもいえるだろう。ポリシーが立派なのは分かるが、その態度や振る舞いがチンピラ程度にしか見えないのだ。キャラクターとして説得力を持たせるためには、その存在感で圧倒して、相手に何も言わせないくらいの迫力がほしい。そして、坂口くんが演じていると、どうもすぐに熱血漢の部分が見えすぎてしまって、まだ青いなあ、という印象が残ってしまう。絶対的な信念は胸に秘めているということに滲ませながらも、クールに振舞う、そういう器用さがこのキャラには求められているように思う。

 ここまでマンガ的なやり方に絞った演出は逆に潔いといえるかもしれない。ターミナルケアに言及した終わり方といい、別に見ていてつまらないということはなかった。だが、やっていることがあまりにも極端すぎて、入り込めないのも確かだ。実際に映像表現として見せるのであれば、ここまで原作に媚びる必要もないのではないか、と感じる。

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KARTE:01 4/13放送 視聴率14.1% 演出:久保田哲史

評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

 う〜ん、惜しいな。もう一歩だった気がするな。

 天才的な手術テクニックを持っていながら、日本の医療界から追放され、借金取りに追われる日々を送っている朝田龍太郎。その天才的な手術テクをかつて見た明真大学付属病院心臓外科助教授の加藤(稲森いずみ)は、日本人では成功させた例のない高度な技術を要求されるバチスタ手術の執刀を朝田に依頼する。加藤の思惑は、部外者の朝田に執刀させることで、手術が成功すれば自分の教授昇進にいい材料になり、失敗しても執刀したのが部外者ということで責任問題を回避できる、というものだった…。

 悪くはなかったが、いろいろと改善点はあって、そこをクリアすればもっと面白くなったように思う。やはり、一番の問題点はやはり、坂口憲二だろうなあ。坂口くんも随分と役作りをしてがんばっているのだろうなあ、ということは分かったし、思ったほど演技も悪くはなかった。だけども、役者としての風格がまだ足りない。あの役は画面に出てくるだけで、一瞬にして画面が引き締まるというくらいの役者としての風格や威圧感、存在感といったものを持ち合わせている人がよかったのではないかな。それに、もう少しクールさがほしかったようにも思う。坂口憲二の演技はすぐに熱くなりすぎであって、抑え気味の演技の中にも熱さを滲ませるくらいの細やかさがほしかったかな。

 だが、映像の仕上がり自体はスタイリッシュで悪くない。病院での冷たく、機械的な印象の映像のトーンは嫌いではなかった。特に、野口教授の総回診の場面はカッコよかった。コミックが原作ということで、コミックを意識した映像作りをしてあったのも興味深い。この前の「トリック 新作スペシャル」で新キャラクター・秋葉原人を演じた池田鉄洋の出で立ちなんかはかなり原作を意識しているんだろう。あと、手術シーンで朝田の手から光が発しているような演出も、普通はこういう映像作りはしないけども、原作を意識してということなのだろうね。また、音楽が非常にクールでキマっている。このドラマの音楽を担当しているのは、「白夜行」でも音楽を担当した河野伸さんと「Ns'あおい」で音楽を担当した澤野弘之さん。河野さんはいつもいい曲を書くなあ。

 曲者のキャラクターが多いこのドラマですが、やはり、話の鍵を握りそうな存在が霧島(北村一輝)。最近では、随分とメジャーになりつつある北村一輝さんですが、あのニターという冷ややかな笑い、やっぱスゴいな、この人は。この人の存在感に坂口くんは対抗できるのかな。「夜王」の松岡同様、食われてしまいそうな感がある。

 悪くはなかったのだが、まだ改善の余地が見えた初回だった。特に役者の演技スタイルの面を若干、方向修正していってくれれば、これから盛り上がってくるような気がした。

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放送前の感想
 乃木坂太郎氏の原作コミックをドラマ化した医療ドラマう〜ん、坂口憲二か…。坂口憲二は何度か作品でその演技を見てきたけども、私はこの人はどうも主役の器があるだけの演技はできないと思う。それも今作では天才外科医役でしょ。何だか、見えなそうな気がするな。坂口憲二のベスト演技は今でも「池袋ウエストゲートパーク」のドーベルマン山井役だと、私は思っているから。脇役の方もこれといってグッとくる人がいないなあ。演出と脚本は「離婚弁護士U」のコンビ。「離婚弁護士」ならまだしも、「U」のほうだからなあ…。期待はしていないけど、覗くだけ覗いてみることにする。

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