帰ってきた時効警察
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放送後の感想
やはり、期待が高すぎたということもあって、続編の仕上がりには落胆を隠せないというのが正直なところ。今作は、前作での成功を経て、それぞれの監督の作家性をよりを強調させていたのは分かるが、それが逆に奇をてらいすぎたという悪循環をもたらしてしまったと感じた。
特に、前作では個性を放っていた園子温監督の演出した2話分がどちらも思ったより不発に終わったことは大きい。結局、前作と匹敵する安定した力量を見せたのは、前作からのリンクネタで攻めたケラリーノ・サンドロヴィッチ監督か。
前作よりも視聴率は上向きで、1桁落ちは1話もないという好成績だったので、続編をやるとなったら止める人はいないだろう。ただ、さすがの「時効警察」も続編ともなると、トリック、ギャグ双方、特に、トリック方面にてネタ切れ傾向が如実になってきた。個人的に感じるには、これ以上の連ドラでの続編は厳しいかな、と思う。単発か映画での復活も無きにしも非ずだが、各回ごとに監督の個性を売りにしているだけに、連ドラという媒体が最も適しているのも確か。続きをやるなら、連ドラという向きになるほかないと思うけども、連ドラは厳しいだろうなあ。作り手側が今作の結果を経て、よりよき落としどころを見つけてくれることを祈りたい。そうなった上での続編があるとすれば、期待はできるだろう。
最終回 6/8放送 視聴率13.5% 演出:三木聡
ゲスト出演:室井滋、升毅、笹野高史、神保悟志、松尾スズキ
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
前作と同じように、特に最終回らしさを意識していない最終回だった。事件が複雑になるわけでも、ゲストが豪華になるわけでもなく、「時効警察」らしい最終回だったかな。
このドラマに関して、事件のトリックについて、どうこう言っても仕方がないのかもしれないのだけど、この続編を見る限りにおいては、事件のトリックはかなり飽和状態になっていると感じた。今回のトリックも、最後まで、もったいぶるほどの内容ではなかった。
こちらが主軸になりつつある小ネタやギャグについては、話のつまらない男がテーマになっていたらしく、話のつまらない男の嫌われっぷりを見ていると、少し我が身を思い返してしまった。個人的に印象に残ったネタは、トリビアの種的なギャグ。コワイ人が肩を振りながら歩くのは周りを威嚇するため、という台詞があったけど、あれはまさにトリビアの種でやったネタ。カステラを布団圧縮と同じ方法で、圧縮したらどうなるかという実験も「トリビア」が好きそうなもの。演出の三木さんは「トリビアの泉」にブレーンとして参加していることから、セルフパロディみたいな演出なのだろうと思う。三木さんの監督した映画「イン・ザ・プール」に主演した松尾スズキさんがちょい役でゲスト出演してくれているあたりも、三木さんならではといったところかな。ちなみに、松尾さんが演じた役は、三木さんの監督した映画「図鑑に載っていない虫」(6/23公開)と同じ役柄だそうで、「図鑑に〜」のほうもチェックしてみるのも面白いかも。
ただ、トリックについても、ギャグについても、ネタ切れ感は否めない部分があって、有終の美とまではいかなかったのが事実だったかな。さすがの「時効警察」も、ネタが飽和してきていて、個人的にはこの次を連ドラでやるというのは少々、キツい印象を受けた。
第八話 6/1放送 視聴率11.2% 演出:オダギリジョー
ゲスト出演:加藤治子、松田美由紀、河原さぶ
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
今作は、主演のオダギリジョーさんがメガホンを取った回。様々な監督の映画・ドラマにジャンルを問わず、出るオダギリさんなので、監督志向が強く、「時効警察」での演出は当然の成り行きだったかもしれない。
オダギリさんは役者としての仕事がまさに絶好調なので、監督という仕事はなかなか経験できるものではないし、今回のように一般向けの作品を撮ったことは恐らく、初めてではないかと思う。だから、今回は、オダギリさんの趣味性が実に分かりやすく出た回だったのではないかと思う。
序盤の画調を調整したおどろおどろしいゴシック・ファンタジーのような不条理性で始まり、そうかと思えば、突然、画調はそのままで、ミュージカルのような場面へとつながる。キャラクターの壊れっぷりも通常以上で、特に、三日月(麻生久美子)、十文字(豊原功補)の壊れっぷりはかなり印象に残る。十文字の壊れっぷりを映すシーンなどは、手持ちカメラで「時効警察」ののんびりとした雰囲気とは間逆のイメージを印象付けた。
ということで、今回は、映像作りなどからは実にオダギリさんご本人のやりたいことが伝わってくる力作に仕上がっていたと思う。ただ、三日月や十文字のキャラをあまりにイジリすぎたという感も残り、キャラがこれまでとは別物になっていたように感じた。加えて、やりたいことをできるかぎり詰め込んであって、まとまりには欠けていたかもしれない。
ただ、引っ張りだこのオダギリさんがこういった形で監督をするのはそうそうあるものではないだろうし、オダギリさんのやりたいことを優先させて作ったという意図は分からないでもない。作品としては高い評価はできないけども、企画としては興味深いものであることには変わりないだろう。
第七話 5/25放送 視聴率11.7% 演出:安見悟朗
ゲスト出演:国生さゆり、由紀さおり、宮地真緒、加勢大周、池田鉄洋
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
今回は、長いこと助監督を務めていた安見悟朗氏が監督を担当。これを言っちゃいけないのかもしれないけど、やはり、経験不足なのか、全体的に切り口の鈍さが目立った。
かなりの懐かしいターゲットが絞られてくる小ネタは大量にあっただろうけど、それを放出するテンポが悪かった。国生さんの妙に力んだ演技ははじけていたけど、それをやはり、笑いに転化できていたとは思えないわけだ。事件そのものも、その顛末を聞いたからどうした、というものだったし、振り切りの鈍いギャグが事件のオチにも絡んできたりしているので、謎解き自体も振り切りの鈍い印象のものになってしまった。
まあ、「時効警察」ファンにとっては、ナレーションの由紀さんがゲスト出演し、お馴染みのネタを披露してくれたというのがせめてもの救いか。
第六話 5/18放送 視聴率13.5% 演出:園子温
ゲスト出演:西田尚美、内田春菊
評価★★☆☆☆☆☆☆☆☆ 2
今回は、園監督の2度目の演出回ということで、期待はしていたものの、分かりきったことが分かりきったまま終わっただけで、かなり期待はずれ感の残った回だった。
今回のテーマは、青春に時効はあるのか、ということで、やたらと、若さやら青春やらというワードが登場。妙な歌が出てくるのは、「エクステ」同様、園監督らしいものの、展開にまるでヒネリがなく、ギャグの精度も一向に上がる気配もなく、最後までだらだらと終わってしまった。
映画では最近、強烈な作品を次々に放っていたし、前作でも個性を見せ付けてくれただけに、「帰ってきた〜」における園さんの演出回の質の低下は際立ったと思う。レギュラーメンバーで温泉旅行という企画性も高さも活かしきれなかったし。正直、今回の仕上がりはシリーズの中で最低の出来だったと断言できそう。
ただ、この内容で視聴率はこれまでの「時効警察」の中で、最高となっており、腑に落ちない。濃ゆい内容よりも、あっさり薄味の内容のほうがウケやすいということなのかな。
第五話 5/11放送 視聴率11.0% 演出:麻生学
ゲスト出演:鶴田真由、徳井優、三宅弘城
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今回の演出は、シリーズ初参加となる金曜ナイトドラマ枠常連の麻生学氏。映画「着信アリFinal」など、ホラージャンルを多く手掛けているということもあって、今回はホラー色を強調させた内容。
日本古来の幽霊もの、ヴァンパイアもの等、古今東西のホラー色を寄せ集めた異色の世界観があった。そして、そのホラーとは対極にあるモノマネという小ネタテーマもややネタが一般的すぎる気もしたけど、毎度の麻生さんの弾け具合もあって、悪くなかったと思う。
そして、トリックの面に関しても、双子オチだろうという予想はとっくについていたけど、まあ、あそこまでゾロゾロと出てこられたら、さすがに、こちらも「参った」と言わざるを得ない。あそこまで元も子もないオチになると、よくぞ考えたな、と感心してしまう。
麻生学さんということで、出来をちょっと不安に思っていたけど、意外と自分の色をしっかりと出しつつ、こなしてくれたな、と思った。
第四話 5/4放送 視聴率11.4% 演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
ゲスト出演:ともさかりえ、犬山イヌコ、矢崎滋、浅野和之
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
前作ではだいぶ後半に入ってからの登板だったケラリーノ・サンドロヴィッチ氏だが、今回は第4話で早々に登場。このシリーズは、それぞれの監督があまり以前からのリンクを気にせず、作っている傾向が強いが、ケラ氏だけは完全に前作の自身の演出回からのリンクを受け継いだ内容となっている。
犬山イヌコさんが演じたオバチャンが経営していた多め亭が新装開店し、早め亭として、再登場。ここらのネタはもはや、鉄板で完全にやり取りが完成されている。そして、真加出(小出早織)がオバチャンの娘であるという仰天の展開もよかった。
そして、個人的には、冒頭の編集者(浅野和之)の髪型がちょっとずつ変わっていく様は面白くて仕方がなかった。かなりテンポよくまとめられていたが、ちょっと台詞をしゃべって、髪形を調整して、また台詞を撮って、ということで、かなり骨の折れる作業だったと思う。それをあれだけサクサクと見せてしまうのだから、スゴい。
また、麻生久美子さんの弾け切った演技はもはや、無敵じゃないか。あの妄想歌手活動を何のよどみもなくしっかりとギャグとして、見せてしまうのだから、この吹っ切れた感じはすばらしい。
そんなギャグがかなり濃かったので、メインの事件のパートがあまり印象に残っていないというのはちょっと問題か。トリック自体も悪くはなかったのだけど、事件の謎解きの際の睡眠術ギャグは不要だったかも。あそこはもう少し謎解きの面白さを強調させてくれてもよかった。
第三話 4/27放送 視聴率10.9% 演出:園子温
ゲスト出演:杉本彩、三津谷葉子、黒部進、不二子
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は、園さん演出の回。「エクステ」という映画を撮ったときにも言っていたが、園さんはB級色の強いものが好みだということで、今回はスパイ組織が絡んで、霧山(オダギリジョー)が趣味で捜査をする影で、スパイも動くというまさにB級な展開。
プクーちゃん人形という意味不明なキャラクターが出てくるし、プクー、プクーの大連呼で、コッテリとした感じはさらに加熱していく。そして、身もフタもないという言葉が今回のキーワードなのか、ことさら身もフタもないを連呼。事件の顛末は、確かに身もフタもまいものでしたが。
まあ、B級色の強さを強調させたかったというのは、園さんの趣味性はよく出ているかな、と思った。味付けがかなり濃い内容だった今回だが、園さんらしさは認めるものの、さすがに濃すぎた感が残った。
第二話 4/20放送 視聴率11.9% 演出:三木聡
ゲスト出演:市川実和子、銀粉蝶、赤星昇一郎、矢沢心、堀部圭亮、志賀勝
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回の内容は、やや変則的だったといえるかもしれない。事件そのものについても、小ネタの数々にしても、いつもの三木さんの回とはちょっと印象の違った感を受けた。
今回は、市川実和子さん演じるホステスがかつての記憶を無意識のうちに、フタをして忘れてしまっているという設定だったので、ちょっと事件としては丸投げ気味の印象を受けた。やはり、推理ものとして、第一話くらいの一定レベルは保ってほしいというところがあって、封印された記憶のフタを解くという点が事件の核心になっているというのは少々、いただけないと思う。
小ネタの面では、全体に散りばめられた小ネタの数々、珍妙な掛け合いの面白さはあって、もちろん、笑えるポイントは多かった。だけども、それらの笑いの方向性がちょっと分かりやすい大衆迎合路線に傾きすぎた気もした。ややマニアックというスタンスが「時効警察」っぽいと思うので、やや違和感があったか。
それでも、同じようなことばかりを繰り返すのではなく、変則的な回を持たせようとしたのだろうと思う。封印された記憶のネタや笑いの方向性をちょっと変えてみたりするのも、作り手としてはやってみたいと思うことだと思うので、一定の評価はしたい。それでも、それが弱点も含んだ表裏一体であることは否めないだろうな。
第一話 4/13放送 視聴率12.8% 演出:三木聡
ゲスト出演:麻木久仁子、東ちづる
評価★★★★★★★★☆☆ 8
微妙な仕上がりのドラマが多かった今クールのドラマだけども、このドラマだけは別格。続編ということだけあって、完全に形がしっかりと出来上がっている。
突然、キャラクターたちが大声を上げたり、珍妙なやり取りを繰り広げる台詞の掛け合いの妙は完全に型が出来上がっており、ただくだらないだけではなく、絶妙な間合いの調整により制御がなされている。おなじみの面々に加え、小出早織さんが加入したが、ミカンの缶詰で難なく「時効警察」の空気感に入り込んできた。
台詞の端々に小ネタが散りばめられ、細かいジャブで脇腹をつつきながらも、十文字(豊原功補)と蜂須賀(緋田康人)の明らかにおかしい変装ということで、分かりやすいナンセンスも含ませている。それにしても、台詞の中の小ネタは日常の中のほんの些細な部分、重箱の隅をつつくようなネタでうまいところ、ついてくるんだよなあ。
台詞だけではなく、今回はニュースキャスターの事件ということで、ニュース番組のパロディネタも満載。「ニュースの森」ならぬ「ニュースの林」だったり、CX系のニュース番組「NEWS JAPAN」をデフォルメした手前に女性キャスター、奥に男性キャスターという構図は個人的にツボだった。前シリーズの第1話にゲスト出演した東ちづるさんを思わぬ形で再登場させる演出もニクかった。
謎解きに関しても、適度に練られたものになっており、ミステリーとしても一定のレベルは保っている。謎を解き明かす場面にしても、メガネを霧山(オダギリジョー)が三日月(麻生久美子)に渡すというようなお約束を踏まえながらも、ニュース番組風に見せるなど、その構図の作り方はミステリーの地盤を崩さない程度に、コメディになっている。不満といえば、中盤が小ネタに走りすぎて、謎解きの伏線がそれほど引かれていたとは思えなかったところか。
それでも、前シリーズで、特に、三木さんの回の小ネタの出し方、掛け合いの見せ方等の型は完全に出来上がったといってもいいと思う。掛け合いの妙、間合いの妙ともに抜群で、これから本当に安心して見れそうな「時効警察」続編のスタートとなった。
放送前の感想
2006年1-3月に放送され、カルト的な人気を博したゆる〜いタッチのギャグにハマる「時効警察」の続編。キャストについては、レギュラー陣はオダギリジョーさん、麻生久美子さんを始め、続投。毎回、個性的な演出陣が演出を担当することも話題となったが、前作から三木聡氏、園子温氏、ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏は続投。新加入として、金曜ナイトドラマ常連の麻生学氏と、安見吾朗氏が新加入。スタッフ欄に「ほか」という文字があったので、まだ監督が増えるということかもしれない。あんまりにも増えすぎるというのもどうかと思うけど、前作で基盤はほとんどできたと思うので、監督の人数を増やすなら、普段、演出という観点でドラマを見ない人に対してもアピールできるように、マニアックに偏りすぎることなく、その監督の色を出していってもらいたいところ。このドラマはこうでなきゃいけないという型はないので、作り手側も楽しめるし、見る側も新鮮な気持ちで見れる。とりあえず、手放しで期待しています。