恋におちたら〜僕の成功の秘密〜
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放送後の感想
ホント、始まったときはどうなるか、と思いましたね。基本的に第5話までは面白くなかった。しかし、このドラマのスゴかったところは、後半の第6話から俄然、盛り返し、尻上がりに面白さを増幅させていったところだ。最近のドラマは後半に行くたびに減速していくのが通例なのだけども、出だしは、つまずき気味だったのが、後半から猛ダッシュ。実に珍しいことだ。最初のうちは、ライブドアと楽天のバトルを照準にヘラヘラとした展開で興醒めしたが、後半からは自分の会社がライブドアの標的となったことから、かなりテーマが吟味され、洗練されていったと思う。ただ、難点としては、その展開になる前にフジテレビとライブドアが手打ちをしてしまったことだ。ちょっとタイミングが悪かった気がしないでもなかったが、経営者のあるべき姿、会社のあるべき姿、仕事というものの本来あるべき姿、という「お金で手に入らない幸せ」というテーマの下、「働くって、何だろう?」というメッセージをしっかりと配信できていたと思う。でも、堅苦しくならず、しっかりと娯楽としても楽しめる。後半の展開はあの「踊る大捜査線」をも彷彿とさせる。前半の展開は少々いただけなかったが、今となっては必然だった、といえる。それは後半の展開がすばらしかったからであり、脚本がよく構成されたものだったからこそ、前半の展開が活かされたのだと思う。演出の鈴木雅之が若干、ドラマの色と違ったのは残念だが、色の違った展開のときには極力演出を控えていたような感があるから、それほど減点とはならなかった。そして、ハッピーエンドの最終回になって、いつもの鈴木雅之の真価が発揮される。これぞ、適材適所というべきか。とにかく、よく出来たドラマだと思いました。
最終話(第11話) 6/23放送 視聴率18.3% 演出:鈴木雅之
評価★★★★★★★★☆☆ 8
おぉ〜、なるほどね、このドラマは紆余曲折を経て、フロンティアがあるべき理想の会社へと生まれ変わっていく話だったわけか。この終わり方はかなり理想主義のおとぎ話なのだけど、私はこれで正解だと思う。
今回は最終回ということで、15分拡大。前回に旧フロンティア陣で島男のネジ工場に「鈴木ネジ.net」という検索エンジンの会社を立ち上げる。そりゃ、簡単に仕事は見つかるわけもなく、早くも鈴木ネジは倒産寸前。しかし、鈴木ネジの面々は会社を興した理念である、とことんまで妥協せずによりよいものを提供するということに則り、絶え間ない努力を重ねていく。そして、そこに舞い降りた奇蹟。その後、急成長を遂げた鈴木ネジはフロンティアを買収、高柳は再びフロンティアの社長の座に返り付いた。しかし、再び社長イスに座る高柳は確実に変わっていた…。
まあ、ドラマなのだから、このくらいのハッピーエンドがふさわしいだろう。ただ、ここまで他愛もないことをしてきて、この結末だったら、ここまでの評価はあげられない。これまでの間に、ライト感を維持しながらもしっかりとリアルな側面も描こうとつとめてきたからこそ、この結末が許されるのだと思う。高柳も島男も、それぞれの立場を体験し、一旦、どん底に突き落とされ、互いのよさで補完し合っていく。高柳が次第に変わっていって、島男のために怒鳴るというこれまでの高柳にはありえなかった行動にいたった経緯も説得力があった。今回は鈴木雅之の演出だが、こういう突き抜けるように明るい回には鈴木雅之の演出はなかなか合っている。リアルな側面を描いた後半に鈴木雅之が極力、演出するのを控えたのは英断だったと思う。
そして、島男が結局、新フロンティアには入社しない、というオチはよかったと思う。島男もフロンティアでまた取締役とかになって、本当に追いかけたいものを見失ってしまうのもふさわしくない。それに、高柳も終始、島男が傍にいるより、ヤツもどこかでがんばっているんだな、と背中に島男の存在を感じるくらいのほうが、企業のあるべき姿を見失わないと思う。対極に存在したはずの二人が奇妙な縁で結び付けられ、ほんのわずかの間、人間として近くで接した。そのわずかな時間は彼らを確実に変え、強くした。彼らは会わずとも、互いの存在は忘れない。島男と高柳の関係性もいいバランスだと思う。
こういう理想主義のオチでも、しっかりと負の側面も描き、しっかりと感情の推移まで描いていたので、許せてしまう。突き抜けた明るさでもそれがただただ内容が空っぽであるか、必然性があるものか、それはそれまでの展開がしっかりとしているかどうかで決まる。このドラマはそれまでの展開を実にしっかりとやっていたから、こんな夢物語な結末でもOK。その結末は、これまでの展開の結果であるのだから。
第10話 6/16放送 視聴率16.6% 演出:成田岳
評価★★★★★★★★★☆ 9
このドラマは第6話以降は尻上がりに面白くなっている。今日はよかったわあ。感動した。
今回は、島男がいじけていたのが立ち直って、新たな一歩を踏み出すまでを描いていた。今日、特に目を惹いたのが、どん底まで落ちた島男と高柳の奇妙な絆のドラマだった。かねがね思っていたが、経営者として求められる性格を持ち合わせているものの、それぞれ大事な一部が欠けている島男と高柳が組むことで、互いの欠けているところを補完し合い、求められる経営者が出来上がる。経営者は、成果主義に走るだけでもなく、情に流されすぎるでもなく、その両立が必要だ。島男と高柳は、社長の座を追われたことにより、双方の立場を理解し、フロンティアの社長イスに座っている頃よりも成長した。今の2人なら、理想の経営者たりえることが出来るのではないか。
そして、島男と触れ合ってきた人たちが確実に変わっていくドラマもしっかりとここに来て収束してきた。やはり、高柳が金で買えないものはある、と思うにいたったドラマはよく出来ている。さらに、谷原章介扮する神谷のドラマにも抜かりはない。松下奈緒、山本耕史、木村佳乃、和久井映見も脇で確実にいい味を出すようになった。これまではあまり活用し切れていない感のあったキャラがここにきて動き始めた。これはこのドラマが尻上がりによくなっている証拠だろう。
塞ぎこんだ島男が再び仕事を始めるきっかけになったのが、全て「幸せ」ということに収束していった脚本はよく出来ている。これは仕事というものの本質を捉えている、と思うよね。「仕事はいやいやするものじゃないし、仕事で周りの人や他人の幸せを吸い取ることは正しいことじゃない。仕事って、本来、生きがいとなりうるものだし、人を幸せにするものじゃない?」というメッセージが感じ取れた。島男のネジ工場を改装して、高柳、島男、神谷、白川、桐野という旧フロンティアの面々で彼らは新たに企業を立ち上げた。ラストの彼らの顔は幸せに満ちていたからね。それに、六本木ヒルズで頂点を極めた2人が下町のネジ工場から再スタートを切る、という展開もいい。決して大企業を扱った軽い話じゃなくて、小企業に対する応援讃歌にも見て取れる。最初はネジ工場主というビンボったらしい設定はただの飾りか、と思ったけど、こういうように収束してくるわけか。納得、納得。これは脚本がよく出来てますわ。来週の最終回、十分に期待できます。
第9話 6/9放送 視聴率16.5% 演出:大木綾子
評価★★★★★★★★☆☆ 8
鶴見辰吾が一番狡猾だったというわけか。今回も話は急展開。早くも島男が社長更迭。要はロイドはフロンティアを高柳から奪い取りたくて、島男を裏で操っていたというわけ。島男が言うことを聞いているまではよかったが、言うことを聞かなくなった島男はロイドにとって不必要な存在。所詮、島男も捨て駒だったというわけだ。島男はロイドがフロンティアを乗っ取るまでの踏み台に過ぎなかったのだった。
まあ、島男は社長という座を失って初めて、本当に大切なものに気付く。やはり、一旦、頂点を極めてしまうと目先のことばかりに目が行って、本質を見失ってしまう。島男はその状態に陥っていたのだ。あまりにもあっけなく、社長の座を失い、改めて六本木ヒルズの高層ビルを眺めて、ふと我に帰る。そして、島男が帰る場所として選択したのが、あのボロねじ工場というのがニクい展開だ。これは高柳にも言えることで、社長の座を追われて、初めて人の感情の温かさに気付いた。おそらく、これからの展開では島男と高柳が手を合わせて、何かを起こすという方向に動くことだろうと思う。これは理想的な物語の収束先だろう。かつての高柳のような利益を追い求める上昇主義も必要だし、かつての島男のような人の感情を尊重する精神も必要だ。企業家はこのどちらも持ち合わせていなければいけない。つまり、島男と高柳の2人が協力することで、理想の企業家像が出来上がる、というわけだ。もし、このような展開となるならば、これはよく考えられた脚本だ。思っていたより、ずっと精緻な出来だ。
今回はちょっと内容的にも暗かったし、ずっしりと重たい回だったのだけど、山本耕史と木村佳乃の存在がドラマ当初のライト感を継承している。正直、これまでこの2人はウザかったというのが実情だった。しかし、このような劇的な展開を経ることで、キャラクターが劇的に変貌していく中で、最初から根は全く変わらない存在が山本耕史と木村佳乃だったわけだ。この重い展開の中でも、このドラマのライト感という一つの色を維持させるための計算されたキャラだったというわけだ。キャラクターの存在価値に納得、納得。
今日の草gくんはうまかったなあ。ご飯を食べながら、涙するなんて、何て難しい演技だろう。セリフもなしに、刺身を食べながら涙を流すということで、本来の島男を取り戻す演技をするとは流石だ。
何だか、ますます「お金がない」に似てきた感があるが、後半になってこのドラマは確実に面白くなった。ただ、一つの懸念材料はこのドラマのチーフディレクターである鈴木雅之の演出法がこのドラマとは合っていない、ということだ。やはり、演出が鈴木雅之じゃないとしっかりと面白いもんな。
第8話 6/2放送 視聴率15.9% 演出:鈴木雅之
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
絶対、この回は鈴木雅之の色じゃないよなあ。いくらドラマの中の話とはいえ、この回はドラマの中でもかなり重要な転機となるのですから、大胆なかにももっと繊細な演出をしなければいけない、と思うのだけど。どうも、鈴木雅之が演出すると、薄っぺらで大味になってしまう。
話的には、島男と高柳の対立が表面化し、高柳は島男を解雇する。島男は独立を誘われていたロイドブラザーズと共に、フロンティアを買収し、高柳を社長から蹴落とし、島男は遂に社長の座まで登りつめる…。
話としては大きく転んで、見所はたくさんだった、と思うが、イマイチ乗り切れなかった。それは、鈴木雅之の演出法と内容の温度差が激しすぎるから、というところに尽きる。カメラワークが仰々しすぎる。カット割りとか、画の撮り方なんかを工夫することに腐心していることは、見て取れるが、あまりにもわざとらしすぎる。鈴木雅之のお得意のアップの多様、同じようなショットの繰り返し、と鈴木雅之らしい画作りになっていたけども、これがこのドラマではウザい。話のテンポを乱していると思う。
草gくんの冷淡な演技も微妙。前回の次第に冷淡に変化していく過程はよかったと思うけど、一旦、冷淡になりきってしまうと、違和感がある。いくら人が変わったとはいえ、ああは変わらない、と思う。顔が変わった、というけども、あの顔はどう見ても、病気にしか見えない。演技は悪くないのだけども、そういう点から言えば、役者として堤真一のほうが上手だな、と感じる。
もう既に古い題材になってしまっているけども、フジVSライブドアの騒動をパロった展開となっていたことはちょっと面白かった。明らかにこのドラマで登場した「ロイドブラザーズ」という外資系会社は、ライブドアの転換社債を引き受けた「リーマンブラザーズ」を下敷きにした設定となっているはず。これまでは高柳が堀江の立場だったけど、島男が堀江の立場となり、高柳が日枝会長の立場となった。堀江批判のためのキャラだった島男が堀江になってしまったら、どう思いますか?という逆転の構造が裏に込められていたのだろうか?そもそも、時代が廃るのは早いもので、これも時代遅れの題材なのですがね。
とにかく、今日は鈴木雅之の演出になじめなかった。このドラマは、このドラマに参加している演出スタッフで言えば、澤田鎌作のほうが色が近いと思う。このドラマ関係なしで言えば、西谷弘とかが演出すれば、もっと面白くなったんじゃないかなあ。西谷さんは今、「エンジン」の演出をしておりますが、個人的には西谷と鈴木雅之はドラマが逆のほう、つまり、西谷が「恋におちたら」で鈴木雅之が「エンジン」のほうが、うまくいったのではないか、と思っております。
第7話 5/26放送 視聴率16.3% 演出:成田岳
評価★★★★★★★★☆☆ 8
おぉ、後半に来て、このドラマ、猛チャージだな。格段に面白くなった。
今回、島男が取締役に就任。最初は木村佳乃扮するまり子のためを考えて、高柳社長の取締役就任の誘いを受けた。しかし、取締役で忙しい日々に忙殺され、従業員と株主への責任という重責を担ううちに、島男の中で何かが変わり始める。高柳社長がつぶやいた勝利者の習性そのままに、島男はビジネスウォーズ、マネーゲームの勝利を快感と覚えるようになる。人情派だった島男もいつの間にか、第二の高柳になろうとしていたのだった…。
今日は草gくんがカッコよかったよ。個人的に人情派を気取ってヘラヘラしているときより、後半のキリッとした鋭い顔つきの経営者としての島男を演じる草gのほうが断然、カッコいい。このカッコよさが際立ったのは、ヘラヘラしたときの演技が安定していたのと、今回の一話だけで演技スタイルを180度回転させた草gの器用さにある。この45分という短い間で、キャラクターの変化をよくもあそこまで表現できた。スゴいぞ、草gくん。
今日の最初のうちは、また元の薄いヒューマニズムものに戻っちゃったのかな、と思っていた。しかし、これは後半の展開にふくらみをもたらす伏線だったわけだ。まり子のくだりは蛇足も多いし、話自体も嘘くさい。しかし、まり子のために引き抜きの話を断って、取締役にならなければいけないという人情派の島男を強調させる働きがあった。あえて、ベタベタなエピソードを描くことにより、ラストシーンの鋭い目つきの島男との違いを印象づけることに成功していた。今回の脚本の出来はまさに天晴れだ。
また、堤真一の抑え気味の演技もいい。高柳社長は、勝手に一人歩きを始めた島男の名のパワーを利用するために、取締役に起用し、フロンティアの広報に使う。しかし、予想以上に早く島男が自分のようなビジネスでの勝利の甘みに酔い始め、思わぬ力量を発揮した。もしかしたら、島男は自分の抱えきれない場所へ飛び立とうとしているのかもしれない。ラストで島男を見つめるぼんやりとした高柳社長の目は、島男へのほのかな危惧を表していたように思うな。
来週は、島男が独立し、何とフロンティアを買収するという展開になるらしい?!ここ数回で、ホント、急展開だなあ。何だか「お金がない」にますます似てきたような気がしないでもないけども、途中で見るのをやめないでよかったと思った今日この頃です。
第6話 5/19放送 視聴率15.6% 演出:澤田鎌作
評価★★★★★★★★☆☆ 8
いや〜、今日は見応えあった。今までのお手軽なライト感を受け継ぎながら、断然、企業ものとしてはリアルとなった。M&Aという今話題のテーマを取り上げつつ、島男と高柳社長との対立構造をより鮮明にしていく。これは非常によく出来ている。やはり、作風がこれだけ変わったのは、演出が変わったからだろうね。今回の演出をしたのは、澤田鎌作。この人は様々な作品にちょこちょこ顔を出す人だけども、この回と似た要素を持った作品で鎌作さんが演出したのが、あの「踊る大捜査線」。ライト感を維持しながらも、現実の問題も同時に描く。このドラマは鈴木雅之よりも澤田鎌作が演出したほうが見応えあったかも知れんなあ。
今日は、高柳社長が彼らしくないM&A戦略を打ち出すことから話が始まる。高柳の父親の無二の親友で、父親の会社が倒産したときも従業員を受け入れるなど、便宜を図ってくれていた東條氏の経営する東條貿易が倒産の危機に瀕していた。さらに、東條氏もガンを患い、余命いくばくもない。普段はビジネスには感情は持ちこまない主義の高柳社長が恩返しのために、何のメリットもない東條貿易のM&Aを行うという。しかし、東條氏が急逝した直後に、高柳社長は半導体メーカーに東條貿易を転売。東條貿易の持つ採掘権を視野に入れ、極秘裏のうちに売却先を決めていたのだという…。
やはり、企業ものというのだから、このくらいの展開はほしいと思う。5話まではちょっと企業ものとして、甘っちょろすぎたかな、という感がある。そして、役者の演技が光った回でもあった。とにかく、主役の草g、堤の両氏の演技がすばらしかった。草gくんはおつゆをいっぱい飛ばしながら、大熱演。ああいう怒りをあらわにするシーンで画が嘘くさくならないというのは、演技が真に迫っていたという証拠。そして、堤氏の演技もよかった。ようやく、堤氏の本領が活かされてきた。前半は島男に触発されて人が変わったのではないか、と仄かな期待を抱かせるが、後半は一転、普段の高柳に戻り、冷徹なビジネス人間へと変貌した。あまり表情を表に出さないような役だけども、この二面性は巧みに表現されていた。
そして、私はあのラストシーンが実にすばらしいと思う。視聴者に高柳の心の揺れをぼんやりと提示する。果たして、高柳は恩返しをしようという気持ちがあったのか、はたまた最初から転売する計画だったのか?これまでのあからさまなハッピーエンドとは違い、このぼんやりとした終わり方が視聴者の興味をつなげる。それに、堤氏の微妙な表情がすばらしかったなあ。今回はこのドラマが始まって、初めてこのドラマがライト感を持ったお手軽ドラマながら、重要なテーマを発信する社会派作品であると感じることができた。こんな感じで行ってくれると嬉しいのだけど、鈴木雅之になったら、また元に戻っちゃうんだろうなあ。
第5話 5/12放送 視聴率16.8% 演出:鈴木雅之
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
ホント、鈴木雅之のドラマって、小手先だけで、いつもヒューマニズムに訴えかける話ばかりだなあ。鈴木雅之が演出したドラマには「ショムニ」とか「HERO」なんかがあるのだけど、この2つのドラマはそれでも割合、面白かったと思う。「ショムニ」はあくまで自己中心的なショムニの連中に焦点を合わせて、企業ものである現実の側面を消してしまっているから、爽快感をもって作品を見れる。「HERO」は事件の裏に隠された意外なトリックを探る軽いミステリーの要素が含まれていた。鈴木雅之の演出作で面白く見れた作品はその薄っぺらなヒューマニズムを受け止めうる何か別の器があった。このドラマにはその器がないと思う。今日も見れないことはないのだけども、主張の薄っぺらさに「う〜ん」と思ってしまうのだ。
今日の鈴木島男はウザかった。こいつはどこまでも真っ直ぐすぎる。真っ直ぐな中にも何か暗い部分が見えないと、役柄として非常に薄っぺらく思えてしまう。草gくんがハイテンションでいきり立っても、空しく映るだけだ。まあ、谷原さん扮する神谷が次第に変化していく過程は悪くなかったのだけどね。
私の個人的な意見として、こういう現実の側面を持った作品はただバカの一つ覚えみたいにヒューマニズムに訴えかけるのではなく、「中間」の存在が必要なのだと思う。フジテレビお得意の職業もののヒューマンドラマで、しっかりと骨があった作品って、絶対、中間の存在がいた。例えば、「踊る大捜査線」ならば、柳葉さん扮する室井がそうね。「組織を変えたい」という思いと「組織を変えるには、組織で生きねば」という思いのハザマで葛藤している。「救命病棟24時2」では渡辺いっけいさんがそうだったかな。「救命病棟24時3」では香川照之さんや仲村トオルあたりがそうだろう。絶対、葛藤しているキャラクターというのは、カッコいい。織田くん扮する青島も、江口さん扮する進藤も真っ直ぐなヒューマニズムに訴えかける理想的な主張を受け止めてくれるキャラクターがいるからこそ、その主張が活きてくると思う。だから、娯楽と現実が共存しあって、いい作品になっていくのだと思う。
このドラマはどうだろうか。島男くんのように企業経営というのはヒューマニズムばかりに傾倒も出来ないし、高柳社長のように結果主義ばかりに傾倒も出来ない。どうして、その中間を描こうとしないのか?まだ周りのキャラクターとの群像ドラマがいい出来ならば、許そうという気にもなるが、キャラクターはその他大勢という感じで際立っていない。そして、島男くんと高柳社長の対立構造が明確に打ち出されればいいのだけど、今のところ、その点も弱い。
こういった様々な問題点のせいで、島男くんはヒューマニズムで成功しているのではなくて、偶然が重なって成功したというようにしか見えず、話が都合主義だなあ、と思えてしまうわけだ。多分、変わらないとは思うが、そこらをもっと考えてほしいものだ。
第4話 5/5放送 視聴率15.6% 演出:成田岳
評価★★☆☆☆☆☆☆☆☆ 2
おいおい、今回はヒドすぎはしないか?このドラマはあえて作り物感に徹したということがねらいなのだろうが、あまりに作り物すぎる。今回のエピソードの薄っぺらさにはほとほと呆れた。
今回のお話は、フロンティア社が新たに始める音楽事業に関するもの。フロンティア社との専属契約をしに、世界的に有名な歌手が来日。契約を取ろうといろいろ接待をするが、とうの歌手本人はご機嫌斜めで全く取り合おうとしない…。
第4話にして、かなり明確に高柳社長の結果主義と島男くんの人の感情優先という対立の構図が出来上がってきた。しかし、その構図につなげるために、第4話はかなりあからさまに島男の感情優先志向が結果オーライへとつながった話になっている。この話が実に薄っぺらい。この回では、島男くんが挫折なんかしておるけども、こちらに痛みがまるで伝わってこない。挫折へのプロセスが実に稚拙だ。佐藤さんが脚本を、フジテレビ周辺の情勢に合わせて調整しようとしたけども、調整し切れなかった感がプンプンする。
さらに、インチキくさい歌手が登場するが、この歌手のキャラクターの出来上がっていない様は見ていて、非常に見苦しい。彼の不機嫌な理由も実に他愛がないものだった。島男くんにしても、この歌手にしても、人の感情は大事と言っても、社会人としての常識が欠けすぎている。それは、脚本にまるで説得力がないことの裏返しだ。
それに、演出もサブい箇所が多い。もう島男が香織さんの手を引っ張っていくあたりをスローモーションにしているあたりのサブさは格別なものがある。このドラマは一体、企業ものなのか、ラブコメなのか、タイトルからして焦点が定まっていない。これからこのドラマ、ホントに大丈夫か?
第3話 4/28放送 視聴率14.2% 演出:成田岳
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
ちょっと話が薄っぺらいなあ。つまらないことはなくて、普通に見れるっちゃあ見れるけど、何か物足りない気がするなあ。
今回の島男の仕事は、ガンコな和菓子屋の主人を口説いて、インターネットでの販売契約を取り付けて来いというもの。まあ、この手のガンコ店主ものって、こういう企業もののドラマには付き物の王道の話ですからねえ。このドラマは本当にどこまでも王道のお話です。
島男くんが律儀すぎて、浮世離れしすぎているような気がしてならない。誠意を見せるとか、人柄に惹かれてとか、って言っても、あそこまで入れ込まないと誠意を見せた、人柄に惹かれた、ということにならないとなれば、そりゃ、世間一般でいう誠意を示しても認められるわけがない。あまりに世間の常識とはかけ離れすぎていたので、どこまでもドラマの話なのだなあ、と思って見ておりました。
結局、島男くんのほうは例によって、人柄が買われて契約が取れてしまう。それと対照的に描かれていたのが、高柳社長による小倉ホテルの敵対的買収。高柳社長とホテル側の社長との交渉は決裂し、高柳社長は株式を買い占めて、小倉ホテルを金にものを言わせて乗っ取ってしまう。多分、この第3話の脚本はフジテレビがライブドアとのバトルに突入してから書かれたものだなあ、と思った。恐らく前回までの脚本にはライブドアと楽天のバトルのエッセンスが残っていたけど、今回は明らかにフジテレビ対ライブドアの話題を盛り込んでいる。どうしても、堤真一さんを堀江に、藤村俊二さんをフジテレビ日枝会長あたりに当てはめると、ピッタリと当てはまる。でも、ライブドアとの一件はひと段落してしまったし、テレビは今は脱線事故の話で持ちきりだし、脚本をアレンジしなおしたのはいいけど、時期を逸してしまった感があるね。残念。
島男のキャラクターと、若干タイムリーさに欠ける題材、そして、いかにもドラマというストーリー設定。ここらが重なって、話が薄っぺらなものに感じてしまったかな。でも、ドラマとしては見れないことはないので、最後まで見ていくつもりではいますがね。話は変わるが、それにしても小市慢太郎さんの変わりぶりには一瞬、気付かなかったなあ。この前の「救命病棟24時」のときの演技が印象的だっただけに、メガネとヒゲがないと、ああも印象が変わるものなんだなあ。
ここからは余談なのですが、今日の話の中で和菓子屋さんのあんこが重要な鍵となっておりました。だから、あんこつながりで、ホテルの名前が、"小倉ホテル"だったのですね。見終わってから、ようやく気がつきました。細かい小ネタですな。
第2話 4/21放送 視聴率17.4% 演出:鈴木雅之
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
ま、ドラマの王道を行く話と考えていいだろうね。人情が売りの主人公が会社を変えていくという方向性で間違いはないようです。その題材を今話題のITにすりかえただけ。
と言っても、ライブドアとフジテレビが"和解"しちゃって、騒動はひと段落してしまったから、ちょっとこのドラマへの関心も冷めちゃったかな。騒動がひと段落するのを知ってか知らないか、今回の話はどう考えても楽天をモチーフにした題材だった。このドラマはもともとは楽天とライブドアのバトルを題材にしてドラマにしようとしていたから、その皺寄せということかもしれない。
フロンティアという会社はインターネット上で仮想のショッピングモールに出展希望店舗を誘致する事業も行っている。前回、天才的なプログラミングの腕前を見せて、高柳社長の目に留まった島男は晴れてフロンティアの社員に。金持ちになりたいという島男を経営の部署へ配属し、早速、ショッピングモールで業績の悪い店舗の処理を任される…。
このドラマはあくまでステレオタイプの話らしい。草gくん扮する島男は自分も同じ境遇に立たされたことから、情が移ってしまい、業績の悪い店舗へ撤退を頼まねばならないことに胸を痛める。それに対し、堤さん扮する高柳社長は業績の悪い店舗は間髪入れずビシバシ切る。ビジネスに情は必要か、という点で2人は真っ向から対立している、というわけだ。
確かに会社というのは株主や従業員の信頼があってこそ成り立つものであり、業績の悪い店舗と情に流されて契約をしていたのでは逆に犠牲は大きい可能性がある。しかし、このような大きい会社にとっては微々たる存在かもしれない契約店舗が決まって犠牲となり、リストラで人員削減となれば従業員が明日からの生活を失うこととなる。利潤至上主義で突き進めば、マネーゲームばかりが先行し、人や会社は単なるモノでしかなくなってくる。そうすれば、自然と従業員たちのモチベーションも下がるのは当然のこと。それは、結果優先の姿勢があからさまだった堀江がニッポン放送に乗り込んだときに、ニッポン放送の社員から総すかんを食ったのと同じことだ。
島男は感情も理解しながらも、利益を追求しようというスタンスのリーダーを目指しているようだ。リーダーとしては、こういう人が本来はふさわしいのであろう。この点、明らかに堀江経営への警鐘を暗に示そうとしているのは間違いない。
しかし、あくまでもドラマの中でのお話にまとめあげているので、メッセージ性は薄く、娯楽性という点が目立つようになっている。鈴木雅之っていう演出家はこういうわざとらしい作風が持ち味の人だから、批判をしたいのだけど、あまりあからさまにならないようにしたい、というときにはもってこいということだろうね。こういう演出家がホントに実力があるかは分からないけど、ドラマらしいドラマを作れる人だから需要があるのだろうなあ。
第1話 4/14放送 視聴率15.8% 演出:鈴木雅之
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
まあまあだったかな。可もなく不可もない予定調和の出来だね。鈴木雅之っぽい作品だわ。
主人公の鈴木島男は町の小さなネジ工場の工場長。商店街の抽選で当たったハワイ旅行へ母親と行っている間に、島男の工場は倒産。そのショックで母親も急死してしまう。途方にくれた島男はハワイで偶然会ったIT企業「フロンティア」の社長・高柳の言葉を思い出していた。「何か困ったことがあったら、いつでも訪ねて来い」。
草gくんの役どころは心優しいけども、実はスゴ腕のコンピュータープログラマーということらしい。プログラマーとして一流の腕を持っていたのだが、父親が急死したことからネジ工場を継いでいたということ。フロンティアのサーバに新型のウィルスが侵入して、それをいとも簡単に撃退したことから、高柳社長に見初められるということだ。草gくんの演技についてはうまくもないし、下手でもない、というような印象だったが、とても外見からは敏腕プログラマーには見えない辺りは、役柄としては適役といえる。草gくん同様、これといって演技でいい味出しているなあ、と思った役者さんはいなかったかなあ。堤さんも予定調和という感じだし、その他のキャストの皆さんもこれからの展開で徐々に持ち味を出していく、ということでしょうか。「人間の証明」で高岡蒼佑の恋人役を演じていて、本作で初めて大きな役を得た美人女優・松下奈緒がどのような個性を出してくるかは、特に注目しています。
さて、内容だけど、話自体は非常に軽く、薄っぺらい。高柳社長はどう考えてもライブドアの堀江を投影しているとしか思えなかった。結果至上主義の堀江に、従業員など人々の感情を掌握することこそ、リーダーとしてふさわしいのではないか、というメッセージが暗に込められているように見受けられる。だけども、ここまで薄っぺらなお話なら、批判の色もかなりぼやけさせることができるでしょうね。それに、鈴木雅之の演出する作品は、ドラマだから許せる嘘くささが売りだから、なおさら批判の色は薄くなる。ストーリーにちょっとだけエッセンスとして堀江バッシングが入っているのだけど、ストーリーと演出を極めて極端なものに徹底させて、いかにもドラマという嘘くささでオブラートしている、といったところか。
何だか個人的な感覚としては、「お金がない」に似たような設定だな、と思う。だけども、「お金がない」の演出は若松節朗(救命病棟24時)、木下高男(めだか)、本広克行(踊る大捜査線)。鈴木雅之演出の会社を舞台にした作品といったら「ショムニ」。だから、「ショムニ」のような雰囲気の「お金がない」みたいな作品になるのではないか、と感じました。
放送前の感想
草g剛が「僕と彼女と彼女の生きる道」以来となるドラマ主演。当初はこのドラマ、草gくんと堤真一がIT企業の社長同士でバトルを繰り広げるというような話だと聞いていたが、蓋をあけてみると、どうやら草gくんがIT企業の社長として成り上がっていくサクセスストーリーとなるようだ。何だか、「お金がない」っぽいんだけどね。楽天とライブドアのバトルをモチーフにしようとしたら、フジテレビがライブドアとバトルになっちゃったから、ドラマ製作側は焦っただろうねえ。堀江もドラマの都合も考えてほしかったものだ。でも、このドラマが売れれば、フジテレビのいい後押しになるんじゃないかな。演出は「GTO」「ショムニ」「HERO」、映画「NIN×NIN 忍者ハットリくんTHE MOVIE」の鈴木雅之。この監督さんは仰々しいアップを多用したわざとらしい演出をする人だから、内容は小手先の軽いコメディになりそうです。