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Dr.コトー診療所2006

2007.5/2発売

仕様
本編全6枚
+特典ディスクの7枚組
26,250円

2004(SPドラマ版)
DVD-BOXも
発売中


発売中

仕様
前編・後編の本編2枚
+特典ディスク付きの3枚組
9,450円
本編は未公開シーンを追加した
ディレクターズカット版で収録

特典内容
  • メイキング
  • 出演者インタビュー
  • ロケ地マップ など60分以上収録予定
  • Dr.コトー診療所2004のレビューはこちらから
    2003(連続ドラマ版)
    DVD-BOXも
    発売中


    DVD-BOX
    26,250円

    出演
    五島健助吉岡秀隆
    星野彩佳柴咲コウ
    原 剛利 時任三郎  西山茉莉子 大塚寧々
    仲依ミナ 蒼井 優  鳴海 慧 堺 雅人
    星野昌代 朝加真由美  原 剛洋 富岡 涼
    坂野ゆかり 桜井幸子  坂野 孝 大森南朋
    小沢信二 光石 研  山下 努 船木誠勝
    安藤重雄 泉谷しげる  和田一範 筧 利夫
    星野正一 小林 薫

    スタッフ
    プロデュース
     中江功、増本淳、塚田洋子
    演出
     中江功、平井秀樹、高木健太郎
    脚本
     吉田紀子
    原作
     山田貴敏
    音楽
     吉俣 良
    主題歌
     中島みゆき「銀の龍の背に乗って」
    挿入歌
     柴咲コウ「思い出だけではつらすぎる」
    製作
     フジテレビ
     公式ホームページ
     http://www.fujitv.co.jp/kotoh/
    視聴率
    10/12第1話23.2%
    10/19第2話21.5%
    10/26第3話21.6%
    11/2第4話22.3%
    11/9第5話21.9%
    11/16第6話19.1%
    11/23第7話21.1%
    11/30第8話21.8%
    12/7第9話22.0%
    12/14第10話23.0%
    12/21第11話25.9%
    平均視聴率22.127%
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    ドラマレビュー
    最終平均評価点 8.1/10

    評価点評価点
    放送前の感想-放送後の感想-
    第1話7第7話9
    第2話8第8話8
    第3話8第9話6
    第4話8第10話10
    第5話8最終話8
    第6話9  

    放送後の感想
     これは傑作ドラマだった。役者の演技、脚本、演出すべてにおいて、トップレベルとなっており、美術、撮影等の技術スタッフの統率も抜群だったと思う。まさにどこも欠けているところがない総合力を持ち合わせた作品だった。

     個人的には、「2003」よりも「2006」のほうがドラマとしては格段に上を行っていたのではないかな、と思う。「2003」は視聴率を取らなければいけないという命題があって、ある程度、分かりやすさを追求しなければならないところがあったけども、「2003」の大成功、さらには「特別編」「2004」と着実に高視聴率を獲得することとなり、この「2006」では本来やりたかったスタイルのものに落ち着いたのではないか、と思えた。

     コトー先生個人の医療ドラマというよりは、島の人たちがそれぞれの人生を歩みながら、同じ時を過ごす。複合的な人間ドラマに仕上げたいという思いはかねてからあっただろうし、泣かしにかかるのではなく、極力、演出を抑えた形で役者の演技をメインで見せるという演出プランこそがこの作品にふさわしいとも感じていたのだろう。そうしたことを実践した形となった今作だが、前作以上の成功を収めた。そこには綿密に練られた下準備があったからだろう。

     「2004」が終わってから、脚本をどうするか、キャストのスケジュール調整など、綿密に準備をして、さらには通常の倍の約半年の期間をおいてのじっくりと時間をかけた撮影。じっくりと贅沢に撮影できたことも大きかったし、それをプラスに転化したスタッフの力も大きい。チーフDだけではなく、チーフプロデューサーも兼任し、全11話中7話を演出し、作品の質を高いまま一定に保った中江功氏、そして、全てを台詞で語ろうとはせず、医師の立場などを様々な視点で切り取り、人間ドラマを膨らめ、そこにこれまでのシリーズからのリンクネタもうまく盛り込み、展開を盛り立てた脚本の吉田紀子氏の2人の功績は大きいだろう。すべてのドラマにここまでの準備を求めるのは酷だけど、これくらいの気合いとその気合いをプラスに変えられる力はほしいよな。

      このドラマは1年という長いスパンを扱ったものだったけども、あまりに島民が病気になりすぎるなど、ドラマとしての嘘をある程度是認しなければならない部分もあり、そこは弱点だったかもしれない。そういう意味ではこれからは「北の国から」よろしく2、3年に1度の周期でスペシャルドラマという形で続けるのがベストかもしれない。それでも、ここまでドラマの終わりを寂しく思えたのは久々で、続けて見たいという気持ちは大きく残った。気掛かりは、千石規子さんが最後まで登場しなかったことかな。2006年に入ってからは別の作品への出演もしていないようなので、少し心配です。とはいえ、とてもいいドラマだった。

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    最終話 12/21放送 視聴率25.9% 演出:中江功

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     とても深いテーマを扱った最終回だったと思う。最終回でここまで演出を抑えたドラマも珍しい。そうした見せ場を中心に締めくくるのではなく、ストーリーの深遠に流れるテーマを打ち出しての最終回。見せるべきところを分かっているな、このドラマは。

     今回は、彩佳(柴咲コウ)の手術が成功して万事丸く収まるというだけのストーリーだったけども、そこに別の見せ場を設けるのではなく、そこから派生する重い問題について掘り下げていた。「医師とは、何か」。医師は人であるべきなのか、それとも医師は、患者から独立した単なる医師であればいいのか。医師が人であれば、自分の親しい人を冷静に治療できなくなる。コトー先生が彩佳の治療を冷静にできなかったように。そして、鳴海(堺雅人)が奥さんにしてしまった取り返しの付かないミスのように。しかし、医師が感情を捨てた単なる医師として存在すれば、「2003」で描かれたコトー先生がかつて大学病院で経験したことにもなりかねない。

     家族というものは、その人の人生をも背負うことである。島の人たちを家族というのであれば、自分は彼らの人生を背中に背負ったまま、冷静な治療をすることができるのか。自分はどんどんと島の人たちに溶け込み、島の人たちは自分のかけがえのない人になりつつあるけども、それはいつかは訪れる彼らとの別れが一層辛くなるということ。大学病院で見失いかけていた大事なものを島で見つけたコトー先生だったが、新たな悩みの種ができてしまい、自分の心の中で自問自答するわけだ。そうした大変難しい問題を、コトー先生、鳴海、三上(山崎樹範)という違うタイプの医師を通して描くことで、論をうまく膨らませていた。

     その答えをこのドラマは今回では出していない。その代わり、その答えを探し続けるということこそが、医師であるということなのだろう、と説く。その答えは、島の人たちと同じときを過ごす日常の先に見えてくるものなのだろうと思う。彼らと同じときを過ごす、何の変哲もない日常を過ごす、それをドラマのフィナーレに持ってきたことは実に効果的だった。

     こういった医療ドラマは、医師は人の感情を考えて治療するべきだ、と軽々しく声高に主張しがちだが、このドラマの場合は、そうした患者の感情に入り込むということの弊害にも触れているし、悪役として描かれがちな患者と独立した医師であろうとした鳴海も人間的な考えを持った血の通ったキャラクターにしている。単純化されがちな論をとても立体的に切り取った、とても考えさせられる幕切れだったと思う。

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    第10話 12/14放送 視聴率23.0% 演出:中江功

    評価★★★★★★★★★★ 10

     いや〜、もう完璧でしょ。すべての要素が整っている。やはり、中江演出は別格よ。ドラマが始まった頃はセカンドD、サードDの方が多く演出していたのだけど、最終話はもちろん中江さんが演出するはずだから、後半に入ったら、6話中5話を演出したことになる。前半のうちで作調を馴染ませておいて、作調が定まり始めたら、中江さんが中心に演出することで作調の軸を一切ブレさせないようにする。これが功を奏していて、第6話以降の中江さんが演出に本腰を入れ始めてから、格段に引き込まれるようになったな。

     第10話、最終話では、彩佳(柴咲コウ)の乳がんの話題をじっくりと描く。要は、柴咲さんが新曲や主演映画「どろろ」のプロモーションに忙しいから、こういったストーリー展開にして、柴咲さんのシーンを東京で撮れるようにしたのだろうとは思うけど、そうした裏側の事情をこのドラマは感じさせないのがスゴいな。

     彩佳を心配して、正一さん(小林薫)は単身上京する。彩佳も正一さんが心配していることはよくよく分かっているのだけど、なかなか素直になれず、志木那島に追い返してしまう。小林薫さんの燻し銀のような演技は見えているだけで涙腺が緩くなる。そして、ここのところご無沙汰だった剛洋(富岡涼)も登場させて、決して強引に出番を作ったというのではなく、かなりうまい形で話に絡ませている。

     彩佳の病状を知った正一さんは悩むわけだ。そんな正一さんの様子を見た昌代さん(朝加真由美)は驚異的な勘で彩佳に何かあったことを悟ってしまう。正一さんと昌代さんは話し合いの結果、コトー先生を訪ね、コトー先生に彩佳の側にいてくれることを頼むことにする。途切れ途切れの言葉で、コトー先生にお願いをする昌代さんの姿には感動させられた。その前の、コトー先生と彩佳の電話での会話の互いに素直になれず、すれ違ってしまう様は実に切なかった。

     そんなこんなでコトー先生は東京へ行き、コトー先生自身が執刀をすることを決意する。そんなコトー先生が東京へ旅立つことを後押しする位置となる剛利(時任三郎)、重さん(泉谷しげる)、茉莉子(大塚寧々)、ミナ(蒼井優)、和田(筧利夫)にもそれぞれにしっかりと見せ場を用意し、脇のキャラクター、キャストも実に有効活用している。

     東京に着いたコトー先生を待ち受けているのは、鳴海(堺雅人)だ。コトー先生と鳴海はこれがドラマが始まって、初めて面と向かって顔を合わせたことになる。そうすることで、ラストシーンでは、コトー先生と鳴海の彩佳の医療方針の違いの対立が明確になった。

     コトー先生が東京へ行くという展開は「2003」の第10話と同じで、リンクを張っているところなのだけど、コトー先生の立場は全く逆転しており、同じ構成をあえて持たせることで時間の経過をうまく見せている。そして、島のロケーションを大きな俯瞰で捉えるスケールの大きい画と個人のドラマを映すときの抑えたタッチのカメラワークと、押しと引きを実にわきまえた映像作りになっており、さらに劇伴音楽もできるかぎり抑えて、かなり抑えたタッチで人間ドラマを奏でようとする中江演出は実に卓越している。基本的に重い展開が多かった今回だったけど、コトー先生の代理として、「2003」、「特別編」の際に登場した三上(山崎樹範)を再登場させるなど、リンクを活かし、笑いどころもしっかりと用意させている。その他、彩佳の部屋のカットでふと映る昌代さんが送ったお守りとか、剛利の船で送られていく際に、船酔いしてしまったコトー先生の指が「2003」のとき、剛洋から教えてもらったおまじないの形になっているとか、そうした細かな演出も実に冴えている。

     ストーリーにおいても、親子のドラマ、コトー先生と彩佳の微妙な関係のドラマ、コトー先生と彩佳の個人のドラマ、友情ドラマ、夫婦のドラマ、島の人たちの温かさを描くドラマ、医療における立場の違いの対立のドラマと、今回だけで描くべき要素が全てといっていいくらい整っている。役者の演技はもちろんのこと、演出、脚本の出来も秀逸で、技術スタッフで言えば、押しと引きを見据えた撮影の効果は抜群だろう。これだけ条件をしっかりとクリアできた回はそうそう作れるものではないと思う。大傑作の回だと思う。

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    第9話 12/7放送 視聴率22.0% 演出:高木健太郎

    評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

     今回は、ミナ(蒼井優)の過去を描いていたのだけど、エピソードとしてはここまでの中で最も粗さが目立ったように思えた。演出も発展途上といった感がした。それでも、それでも抑制の取れた部分はあって、悪くなかったと思う。そういったいい部分もあったのだけど、問題も目立った回だった。点数は迷ったところだけど、このドラマに関してはいつも高配点をつけていたので、今回は少し厳しくつけさせてもらいました。

     今回は、謎が多かったミナの素性を描いていたのだけど、これまでほとんど触れられなかったミナの過去をこの1回で説明してしまおうという構成だったので、全体的に台詞ですべてをカバーしようとしている嫌いがあり、説明過剰だったように思える。そこは、演出の方の腕が不足していたところでもあるのだろう。

     ミナには実は知明(忍成修吾)という夫がいて、その夫のDV(ドメスティック・バイオレンス)によって逃げ出してきたという隠していた過去があったという展開。忍成さんという方は何かとこういったプッツン系統の役柄が多くて、今回も、ミナがいるといないとでは態度が豹変するDV夫という役柄。個人的にはこの知明がなぜ、DVに走るようになったのかというあたりにも触れてくれるのかと思っていたが、知明は完全なる嫌われキャラで島の人たちに憎まれたまま、ミナにも見限られ、島を去っていくということに。

     恐らく知明は、抱える憤りをミナへの暴力という形で発散しており、この暴力こそがミナへの甘え方だったのだろう。そこを見抜いたコトー先生は、珍しく冷たい口調で、ミナさんから離れて、トコトンまで自分を見つめ直してください、島からすぐに立ち去ってください、と言い放つ。時としては、こうしたムチとなる口調も必要なのだろう。だけども、トコトンまで自分を見つめ直すというのは、コトー先生にしては漠然としているというか、もう少し具体的な提示とか、冷たさの中にも温かさもあってもよかったのではないかな。知明にもこの人なりの理由はあったのだろうし。

     それでも、ミナが初めて自分の居場所を見つけたという展開はお馴染みだけどもやはり、よかった。ミナは両親を亡くしているし、唯一の居場所だった知明からも逃げ出してきた。帰る場所がないミナにとって、初めてできた帰れる場所が志木那島だったわけだ。

     ミナがそうした思いを吐露する場面では、音楽をかけずに、SEとして波の音を静かに重ねながら、役者の演技にクローズアップして見せるという演出は効果的だったと思う。それに加え、そうした思いの核心となる最も重要な部分を、ミナに言葉を詰まらせて、あえて無言のまま伝え、それをコトー先生、和田(筧利夫)がただ受け止めるというシーンもよかった。今回の演出は巧みとはいえなかったけど、こういった部分的ではあるけど、大事なところはやりすぎないように踏みとどまっている。

     コトー先生がミナを励ます際には、「2003」のときの自分のエピソードを踏まえたものになっているというのもよかった。そして、ミナが志木那島に来たいと思うきっかけになった求人広告の写真が実は和田の撮った写真だったというのもいいエピソードだ。ミナを人一倍気にかけていた和田にとって、ミナが居場所を見つけるきっかけになったのが自分の写真だったというのは嬉しかっただろうなあ。

     場面場面ではとてもいいシーンは多かったのだけど、今回は全体を見通すと、説明的に偏りすぎてしまった感が残ったし、知明というキャラも有効活用できたとは思えなかった。特に、「2006」に入ってからは、高視聴率に支えられてか、より台詞に頼りすぎることなく、抑えたタッチの演出に徹していて、そうしたテレビドラマというよりは映画的というに近い演出法が大きな魅力になっていたと思う。これだけできていれば、普通のドラマだったら文句はないのだけども、このドラマにおけるこれまでからの流れを汲むと、今回は今一歩といった印象かな。

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    第8話 11/30放送 視聴率21.8% 演出:中江功

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     今回は、坂野夫婦のお話の後編。てっきり、ゆかり(桜井幸子)は亡くなるのかと思っていたけど、予想外の展開だった。抗がん剤の副作用に耐え、家族との平穏な日々を暮らすうちに、何と転移していたがん細胞がすべて嘘のように消えてしまっていた…。

     こういったケースはごくごく稀に報告されるらしいのだけど、これははっきり言えば奇跡に近いことだろう。ともすれば、荒唐無稽に近い話なのかもしれないけど、このドラマは奇跡をいかにすれば物語として嫌らしくなく伝えられるのか、というところに相当こだわりをもっていたのだろう。

     それは、桜井幸子さんという役者をこのシリーズから放出したくないという意味合いもあるだろうし、視聴者の予想を裏切りながらも、心のどこかでは望んでいたハッピーエンド、その2つを達成しようと作り手側は考えていたのだろう。もともと、このシリーズはハッピーエンドに結ぶことを前提としていたし、それをどれだけ嫌らしくなく見せるか、ということにこだわりを見せてきた。

     そこで、今回の中江演出は、テレビドラマでの中ではかなり抑えたタッチでの演出に徹して、ドキュメンタリータッチに近い形で、坂野夫婦の日常を綴っていた。過剰に盛り立てることなく、あくまで淡々と坂野夫婦と千賀(畠山彩奈)の闘病の日々を丁寧に描いていた。

     そして、その奇跡としかいいようがないことに対して、1人の医師としてコトー先生はどうしていいのか、分からなくなってしまう。生きることだけを考えればいいのですよ、と口にはしながらも、ゆかりの生存には絶望視をして、自分には何もできないと思っていたコトー先生。しかし、嘘のように転移が消えてしまったという事実。そこで、自分は腹のどこかで患者の生きる力を信じていなかったということ、医学の常識に捉われていた自分に気付き、医師とは、医学の常識とは、と悩む。コトー先生クラスの人にとっても、教えられることや戸惑うことはたくさんあるという重みのあるエピソードだ。

     こうして、奇跡をサンドイッチするかたちで、坂野夫婦の日常、そして、その奇跡を受けてのコトー先生のリアクションを丁寧に切り取ることによって、それを能天気に喜ぶだけではなく、その奇跡が日常の延長線上に起こった、コトー先生でも受け入れがたい非常に稀な出来事であることを冷静な目線を入れながら描いている。

     奇跡をひとつ起こすためには、これくらいはフォローがいると思う。いとも簡単に奇跡を起こしがちの映像の世界だけども、奇跡を見る人たちに許容させるためには、それなりの根拠が必要なのだ。そうしたことをしっかりと汲んでいるスタッフは見せ方は本当に心得ているなあ、と思う。

     さて、次回はとうとうミナ(蒼井優)の素性の秘密が明らかになるようだ。これまでですっかり成長したミナだけど、その成長と次回のエピソードがいかにして交差するのか、期待したいところ。

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    第7話 11/23放送 視聴率21.1% 演出:中江功

    評価★★★★★★★★★☆ 9

     さすが、中江さんだなあ。見せるなあ。4年、この「Dr.コトー」を引っ張ってきて、確実に見せ方というものを心得ている。

     今回は、坂野夫婦のお話。この夫婦は「2003」のときにも、千賀(畠山彩奈)の出産で大きな試練が与えられたわけだけども、今回のシリーズではさらなる試練が…。さすがに、この夫婦をいじめすぎだとか、あまりにいろいろなことが起こりすぎているとか、生と死の対比とか、図式的なところもあって、そこは少し気になったけども、それでもキャラクターを丁寧に描き取っていたし、キャラクターそれぞれのドラマの連関もよく考えられていた。

     ゆかり(桜井幸子)が末期がんであることが判明。何もしなければ余命3ヶ月と、コトー先生は孝(大森南朋)に告げる。そこで、ゆかりは何もしないか、それとも抗がん剤治療を受けるのかの選択に迫られる。今回は、ゆかりが抗がん剤治療を決意するまでを描いていた。さすがに、ゆかりのエピソードを1話で片付けるのは早すぎると思っていたので、2話分の時間をかけて描いてくれて安心。今回のシリーズは余裕があるのか、必ずしも1話完結にこだわらず、比較的時間をしっかりとかけて描いてくれているから嬉しい。

     ゆかりが闘病生活を望んだ背景には、しっかりと「2003」での千賀の出産の大変だった思い出があるわけだし、過去のシリーズを意識して、そこからうまく気持ちを結び付けている。そして、現在の大きくなった千賀とゆかりのふれあいも丁寧に描いていて、千賀の思いがけない幼いながらもゆかりを気遣った言葉がゆかりの心を大きく揺さぶらせる。畠山彩奈ちゃんという子役の子を、子役の子の愛らしさばかりに頼るのではなく、程よい加減で使ってくれているのもうまいところ。

     そして、失われゆく命とは対照的に生まれゆく命を描いたのも、やや図式的ではあったが、やはり、うまく使いこなしている。ゆかりと春江を同じ病室の端と端に寝かせた画はとてもうまい構図だった。ゆかりが新たに産まれた命を抱きかかえて、「命の重さ」を痛感するあたりもうまい構図でもあるし、「2003」からうまく伏線を引いた展開でもある。

     今回の抗がん剤のお話はもちろん、彩佳(柴咲コウ)のドラマとも連関してるわけで、コトー先生と彩佳のドラマもしっかりと見せる。そこに、前回、島に戻ってきた剛利(時任三郎)を絡ませてきて、やはり、剛利のこういったコトー先生との関係性はしっくりとくる。剛利が島に帰ってきて、かなり見やすくなったと思うな。

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    第6話 11/16放送 視聴率19.1% 演出:中江功

    評価★★★★★★★★★☆ 9

     あらっ、視聴率が20%を初めて割ってしまいましたね。それでも、私は今回の話が今までの中で一番しっくりときたけどなあ。

     今回は、前回に引き続き、原親子物語で、その完結編。剛利(時任三郎)はいろいろとトラブルに巻き込まれていたわけだけども、やっぱり、そこは漁師仲間の優しさが彼を救ったわけだ。毎度、おいしいところで顔を出す重さん(泉谷しげる)が照れ隠ししながらも、漁協全員で金を出し合って買い戻した剛宝丸を見せる画はオチは分かっていながらも感動した。そして、剛洋(富岡涼)も東京の学校を辞めるとも言い出していたけども、コトー先生を見ることで、再び医者への夢を思い出したご様子。足りないお金も島から奨学金を出すという方向で落ち着くみたいだし、これは一番理想的な形で話が落ち着いたのではないでしょうか。

     剛利が剛洋を剛宝丸に乗せて、「2004」で剛洋が渡したタオルを台詞に盛り込みつつ、これからは漁師として必死に働くと告げるシーンは、やはり、待ってましたとばかりの安定感ある感動シーンだった。島の人とか、漁協の人たちの親切は他のドラマだったら恩着せがましい、嘘くさいものかもしれない。だけど、このドラマの場合はしっかりと人間ドラマを見せる地盤ができているから、全て許せてしまう。そして、ハッピーエンドというのは安易すぎると文句も付けたくなるのだけど、このドラマはハッピーエンドを嫌らしくなく見せて、見ているこちらも自然とハッピーエンドを望んでいる。これは簡単なようで、とても難しいことだと思う。剛利さんも島に戻ってきて漁師に復帰して、剛洋もまた勉強をがんばる。原親子もいいところに落ち着いて、もうこれからはこの2人をいじめるような展開もないだろうから、一安心ですよ。

     この原親子のドラマと併行して、今回は邦夫(春山幹介)ら、山下家にもドラマを与えていた。邦夫が急病で、緊急オペをすることになるという展開で、久しぶりの手術シーンを盛り込み、その手術シーンにもアップダウンをつけて見せ場として見る者を引き付けつつ、邦夫の親子関係の融和に結び付けていた。邦夫も中学生で難しい年頃になったわけだな。「2003」のときに亡くなった邦夫の祖父である"あきおじ"を台詞に取り入れて、ドラマを盛り立てており、ニクい演出をしてくれている。「2003」のときの、あきおじの回、よかったもんなあ。

     この邦夫のエピソードも独立しているわけではなく、剛洋が邦夫と接したり、治療するコトー先生の姿を見ることで、また再び東京でがんばる意欲を取り戻すことに影響を与えているわけだし、見せ場も押さえながら、ドラマの連関も意識してあって、さすがである。今回のシリーズは、これまでは描き切れなかった細かなキャラクターたちにもドラマを与えて、キャラクターをより立てようとしているし、よく考えられている。

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    第5話 11/9放送 視聴率21.9% 演出:平井秀樹

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     今回は、原親子が島に帰ってくるというエピソード。今現在、このドラマの中では夏休みという設定らしく、リアルタイムとは3ヶ月くらいまだタイムラグがあるようだ。

     原親子はそれぞれに悩みを抱えており、剛利(時任三郎)は職も失い、400万の示談金を払わねばならなくなり、さらには詐欺に遭い、財産をすべて奪い取られるという事態になり、島に戻っても、居心地が悪い。剛洋(富岡涼)は東京の学校の進度の速さについていけず、自信を失いかけている。剛利は気難しい性格だから、なかなか素直に島の人たちの好意を受け取ろうとはせず、とても1人では抱え込めそうもないことを無理矢理、1人で抱え込もうとしている。剛洋もひょんなことから、剛利の境遇を聞かされることになり、学校を辞めたいと言い出す…。

     原親子のドラマはまた次回も描く、ということで、これ1回くらいで終わりかと思っていたので、じっくりと描いてくれてホッとした。今回は、原親子が久々に島に戻ってきてくれて、かつてのような懐かしい雰囲気を醸し出しながらも、2年の時を経て変わった部分も描いており、やはり、このドラマは新旧の要素を組み合わせて、うまく強みを活かしている。

     そして、このドラマのどっしり余裕がある点は、お涙頂戴の演出になりすぎないように、押しと引きの演出のメリハリを心得ているところだ。今回は、大掛かりな見せ場として、嵐の中、剛利と重さん(泉谷しげる)が立ち往生した剛洋らの乗った船を救出に出て行くシーンが用意されていた。ここはそれなりにお金を投入したなかなか迫力のある見せ場に仕上がっており、ここのところ封印されていた男・原剛利、男・時任三郎の魅力を描き、剛利にまだまだ漁師の血潮が流れているあたりを見せていた。そうした盛り上げるシーンはトコトン盛り上げるのだけども、原親子の会話のシーンでは劇伴音楽は一切流さず、時任さん、富岡くんの演技をじっくりと見せたり、剛利の残した剛洋への置き手紙に時任さんのナレーションを重ねるのだけど、文末の「父」だけはナレーションを入れずに見せるとか、ここぞというところはしっかりと引いている。押しと引きのバランスの取り方が、このドラマはとてもよくできていると思う。

     それにしても、この「2006」では、重さんの存在がグッと重要になってきているように思うなあ。前回にしても、今回にしても、ちゃんとストーリーの中核に関わってきているわけだし。さて、原親子は果たして、それぞれどのような決断を下すのだろうか。特に、剛利さんが気になるなあ。

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    第4話 11/2放送 視聴率22.3% 演出:高木健太郎

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     今回は、「2004」で起こった星野家の悲劇を背景に、正一さん(小林薫)と昌代さん(朝加真由美)の夫婦の絆をじっくりと、ゆっくりと描いていた。「2004」のときも、この夫婦の愛には感動させられたけど、今回もしっかりと感動させてくれた。このドラマは鉄板の展開をたくさん持っているなあ。

     「2004」のときは、自分の障害に自暴自棄になる昌代さんを正一さんが支えて、島でゆっくりと治療していこうと踏み出す話だった。その展開を踏まえ、今回では毎年、昌代さんが倒れた豊漁祭になると自責の念に苦しむ正一さんを昌代さんが支え、前向きに生きていこうとゆっくりと歩き始めるというストーリーになっていた。要は、「2004」のときとは、立場が逆になったお話で、続編という強みを活かしながら、2年という月日、互いを支え合う夫婦の絆を美しく描き出していたと思う。

     やはり、2年前の出来事を悔いて、豊漁祭にも出ないし、酒も断っている正一さんを見兼ねて、昌代さんが正一さんを連れ出し、結局、着いたのは日が暮れてしまってからだったけど、ゆっくりと絆を確かめ合いながら、前に進む姿。これをじっくりと描けてしまうのは、このドラマの見せる猛者としてのどっしりとした余裕だと思う。それに、これだけゆっくりと話を描きながら、しっかりと視聴率を取って、結果を残すわけだから、スゴいな、このドラマは。まあ、多少、メインテーマとなる劇伴音楽を繰り返し使いすぎかな、という印象は残ったけども。

     さてさて、星野夫婦が前向きに進もうとしている中、原親子はとんでもない荒波に巻き込まれております。剛利(時任三郎)は仕事のし過ぎで、作業中に事故を起こし、仕事はクビになるわ、示談金として400万円請求されるわで、窮地に追い込まれる。さらに、冷静な判断を見失った剛利は未公開株の詐欺に遭い、金を騙し取られる結果に。こうなりゃ、クロサギに金を取り返してもらうくらいしか、方法はないと思うけど、どうなることやら。剛洋(富岡涼)も学校で成績が芳しくなく、戦意喪失中。原親子を多少、イジめすぎじゃないかとも思うけど、次回は原親子共々、島に戻ってくるみたいなので、久々にこの2人と島の人たちとの絡みに期待したい。

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    第3話 10/26放送 視聴率21.6% 演出:平井秀樹

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     「2003」のときのノーマルなテイストに戻った回だった。続編ということをうまく利用したものであったところが、うまかったと思う。

     今回は、「2004」のときに喘息治療のため、島に転校してきた小沢ひなちゃん(尾ア千瑛)にスポットを当てた回。そのひなちゃんが血小板が少なくなる病気にかかり、出血を伴うケガはご法度ということとなる。しかし、ある理由のため、ひなちゃんはどうしても外出したかった。そこで、こっそりと診療所を抜け出し、"秘密の場所"へ。その場所をあらかじめ教えられていたミナ(蒼井優)はその場所へと向かう。そのとき、ひなちゃんが岩場から足を踏み外し、腹部を強打、出血を伴う怪我をしてしまう…。

     今回は、「2004」のときに島に渡ってきたひなちゃんと、「2006」から島に渡ってきたミナを交流させることで、ミナの成長を描きつつ、ひなちゃんの家族の絆の再生を描くという二重構造の話になっていた。これは意図的なのかどうかは知らないが、ひなとミナ、名前も似ているし。ひなちゃんのお母さんは島の濃い人間関係に慣れず、ヒステリーの状態になっていた。それをただのわがままだと聞き入れようとしなかったひなちゃんのお父さん・信二(光石研)。これが元で、夫婦の関係は険悪化していく。ひなちゃんの"ある理由"が元で、夫婦それぞれが自分勝手だった行動を反省し、家族の絆が再生していく。これは「2003」で描いてきたノーマルな「Dr.コトー」にかなり近い体系の話であるといえる。

     しかし、そこで同じように彩佳(柴咲コウ)が出てきて、コトー先生と抜群のコンビネーションを見せてしまうと、これまでのシリーズと同じになってしまう。そこに、新人のドジな看護師・ミナを加えることで、ミナの成長を描く話として、新シリーズとしての変化を見せてくれている。実際、どう見ても危なっかしいミナを落ち着いてフォローしながら、オペを進めるコトー先生、というこれまでのオペのシーンとは一味違った見せ場があったし、コトー先生の新たな一面も見られたように思う。そして、ミナの採血直後にひなちゃんが急変したということから、島中にありもしないウワサが回り、ミナが白い目で見られ、その元凶が重さん(泉谷しげる)というのは、「2003」のときの島に受け入れられる前のコトー先生とまるで同じ構図。同じ構図を用いることで、真面目に働いていれば受け入れてもらえる、というコトー先生の言葉に重みを持たせている。

     その他、ひなちゃんが貝殻を探しに行った"秘密の場所"というのは、「2004」のときに剛洋(富岡涼)と行った場所で、ひなちゃんの言っていた「友だち」というのはもちろん、剛洋のことだしね。欲を言えば、原親子のドラマをもっと時間を割いてほしいところ。実際、剛利(時任三郎)も、剛洋もそれぞれ困難に巻き込まれているしね。

     それでも、ノーマルな人情話でありながら、これまでのシリーズとのつながりを随所に盛り込み、通常以上に話の重みを表現してくれていた。続編として、とてもうまく撮っていたと思う。

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    第2話 10/19放送 視聴率21.5% 演出:中江功

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     今回は、さちおじこと山下左千夫さん(石橋蓮司)が初登場。どうやら、このお方はとても偏屈な大工の棟梁だったらしいが、奥さんを亡くし、今は腰椎骨折で1人家に閉じこもっていた。しかし、仏壇のロウソクの火が燃え移り、さちおじの家は全焼してしまう…。あんなアクの強い爺さんが今までどこに引っ込んでいたんだ、と思ったりもするけど、それは置いといて。

     奥さんを亡くし、さらには家もなくし、もう自分には何も残っていないとさちおじは自殺未遂を図る。それをスゴい剣幕で叱り飛ばす彩佳(柴咲コウ)、静かに説き伏せるコトー先生。この対比が印象的だった。さちおじは初登場だっただけに、ややドラマが早回しだったようにも思うけど、彩佳のあの反応だったら、思いとどまるのも説得力がある。そして、その後の説得力のあるコトー節。さちおじがエンディングではすっかり元気を取り戻すのだけど、この抑揚のとれたコンビネーションなら納得できる。

     もちろん、コトー先生と彩佳の反応の差には、彩佳個人のドラマも大きく影響している。前回、乳がんであることが判明し、コトー先生は島で治療を進めることにしたのだが、彩佳の下した決断は治療は東京で、ということだった。

     彩佳は東京に向かって島を離れていったわけだけども、その別れのシーンの演出がうまい作りになっている。コトー先生のほつれた白衣のボタンをお守りとして持ち、コトー先生の思いを胸に東京に旅立つ彩佳。1人診療所で彩佳がお守りとして持っていった白衣の1つ欠けたボタンの跡を見ながら不安の表情を浮かべるコトー先生。島を挙げての盛大なお別れを演出しながら、島の温かさを見せながらも、コトー先生と彩佳の別れはうまくツールを活かして、言葉を交わすことなく。この抑制のとれた対比がよく考えられている点。

     そして、剛利(時任三郎)と剛洋(富岡涼)の親子のドラマはもう鉄板だな。入学式のために密かに上京していた剛利は剛洋に微笑みかけるだけで言葉は交わさない。だけども、しっかりと気持ちを表現していたし、このドラマは言葉なしで感情を表現できる領域にまで差し掛かっていて、この点が他のドラマとは一線を隔すところなのだろうなあ。

     恐らく、今回の連ドラは前シリーズの1話完結の度合いを弱めて、11話で1つの物語を構築していくといった運びのように思う。だから、ようやく物語の本筋に入る準備が完了したといった印象。それに、柴咲コウが東京に行かなければならないのもスケジュール的に半年も日本最西端の島に柴咲コウを拘束するわけにはいかない、ということなのだろう。登場人物の多さ、3年という年月の積み重ねで描かねばならないことはたくさんあるし、そのストーリーを役者のスケジュールを調整しながら構成していかなければならない。話を本筋に持っていくのにもこれだけ条件があれば一苦労のはずだが、視聴者は泣きどころを求めているはずで、しっかりとそこは計算しなくてはならない。これは大変難しい作業だろう。まあ、その痕跡は推測できるのだが、このドラマはそれでドラマが強引になったり、破綻するのではなく、しっかりとうまい逃げ道を見つけ、そこで十二分にドラマを盛り立てて、完全にカバーしてくれている。このドラマを見ていると、これぞプロの仕事だな、と思わせられる。

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    第1話 10/12放送 視聴率23.2% 演出:中江功

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     初回だからといって、これという大きな見せ場をあえて作るということはなく、前回のスペシャルからの2年間に志木那島の人たちも同じように時を過ごしていることを静かにじっくりと見せていた。今回は2006年2月からストーリーがスタートということになっている。

     前回スペシャルで送別式を行って送り出した剛洋(富岡涼)は東京の親類の家に身を起き、東京の中学の受験をする。私立中学には合格したものの、区立中学には不合格。剛洋の心配事は、私立学校の高額な授業料だった。内心は合格したことに嬉しかったのに、父・剛利(時任三郎)の負担を考えると…。そして、彩佳(柴咲コウ)は、前回スペシャルで脳出血に倒れ、後遺症の残る母親・昌代(朝加真由美)のため、東京で理学療法士の資格を取ることに決める。しかし、彩佳には乳がんの兆候が見られていた。彩佳は島で治療を受けたいのは山々だが、やはり、好意を抱いているコトー先生(吉岡秀隆)に胸を見せての治療に抵抗があった…。

     前作から2年の年月が流れ、前作では車椅子だった昌代さんも歩いたり、ゆっくりではあるが言葉を発することができるようになり、剛洋も東京で親類の下で生活をしている。これは剛洋役の富岡くんの変化だけども、2年見ないうちに、グッと表情が大人っぽくなり、声変わりもしている。その他、連ドラの第1シリーズで生まれた坂野夫妻(大森南朋・桜井幸子)の娘さんがすくすくと成長していたり、この2年で変わったものと変わらないもの、そのあたりをじっくりと見せてくれていた。

     この2年を見せた後には、今回の連続ドラマにおいて中心となるであろう論点の起承転結の起の部分の提示があった。剛洋は父の「金のことは心配するな」の一言、コトー先生からの手紙に後押しされ、私立の学校で勉強をすることを決意。やはり、金のことは気にするな、と言っても、剛利は土木作業員の身、資金問題は後々、大きなテーマになってくるはず。そして、彩佳の乳がんの治療をコトー先生は島で行っていく決意をする。これらのエピソードはこれからの展開の枢軸を担うものであるので、見所や泣き所はこれからといったところで、これからを十分に期待させるものだった。

     そして、新人看護師として島に赴任してきたミナ(蒼井優)の抱えているものや成長もこれから描かれていくことだろうし、彩佳の乳がんの初診をしたコトー先生の大学時代の同窓・鳴海(堺雅人)がどのように話に絡んでくるのかにも期待だ。

     今回は、相変わらずの与那国島のすばらしいロケーションをバックにしながら、あくまでも静かに人を描こうとしていた。初回だからといって、妙に力むことなく、静かな幕開けをきったということは、3年以上時を積み上げてきた猛者の余裕といったところだろうか。ただ、今回は志木那島のみではなく、東京や外部の話も入ってくるわけで、そこは話が散漫にならないように気をつけてもらいたい。チーフDだけではなく、チーフプロデューサーにもなった中江功氏が全面的に陣頭指揮をとり、うまくドラマをまとめ上げてほしい。

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    放送前の感想
     これはもう言うまでもなく。フジテレビが第二の「北の国から」として位置づけていると思われる大人気シリーズ。主演の吉岡秀隆さん、柴咲コウさんらを始め、豪華なレギュラーキャストは続投し、そこに、新キャスト、蒼井優さんと堺雅人さんが参加。スタッフも続投で、脚本の吉田紀子氏、プロデュースも兼任する演出の中江功氏、主題歌の中島みゆき「銀の龍の背に乗って」鉄壁の布陣。「Dr.コトー」の質の高さは2003年の連ドラ版、2004年のスペシャルドラマ版で実証済み。普通に感動させるのはもはや、当たり前のドラマなのだから、レギュラーキャラクターのドラマをきっちり描いて、期待以上のものを見せてほしい

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