わたしたちの教科書
|
|
|
菅野美穂関連作も気になったらクリック!Amazonへ |
放送後の感想
まあ、それなりに見る価値はあったドラマだったと思う。近年の傾向では坂元裕二氏の脚本という段階で、先の展望が見えてしまうことがしばしばだったが、これまでの趣向と違ったジャンルに挑戦ということで、坂元裕二作品としては珍しく内容的な成果が見出せるドラマだったかな。
ただ、この内容で全12話は長かったか。二面性をクローズアップさせていた前半のうちはなかなか楽しませていただいたが、後半になってくるとその興味も失速気味となった。いじめという問題の根深さを描ききるためには全12話という長丁場が必要だったのだろうが、その要素を描ききるために、様々な劇的な展開を追加させ、散々話を引っ張ったりと、弊害も目についた。あまりに展開が劇的すぎるという感もあったし、悪意をひとつの学校に凝縮させているので、ここまでにしてしまうと学校として機能しているとはいえない状況だったと思う。そして、話を引っ張りすぎていることもあって、せっかくの伏線も忘れていた頃に、そのリンクが出てきたりということで、構成にもムダがあった。
まあ、坂元裕二氏が視聴率を犠牲にしてまで挑んだ意欲作であり、その意欲はある程度は形になったといえると思う。ただ、全12話の連ドラではなく、2夜連続の特番ドラマといった具合の4〜5話程度の分量にまとめてくれたほうが最終回の証言の形ですべての真実が明らかとなる構成もうまくハマるし、余計な盛り上げや引っ張りも緩和できたはず。いじめの問題を扱う難しさというよりも、表現媒体の選択の難しさが印象に残ったドラマだった。
最終話 6/21放送 視聴率12.4% 演出:河毛俊作
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は、明日香(志田未来)の死の真相が明らかとなった。ここからはネタバレをしつつ、書きたいと思うので、真相を知りたくない方は読まないようにしてください。
端的に言えば、明日香の死は自殺ではなく、転落死だったということ。兼良(冨浦智嗣)がイジメの中心になっていたことはここまでの展開で明らかとなっているが、当初のイジメの対象は朋美(谷村美月)だったとのこと。朋美は、積木(菅野美穂)が明日香を手放した後すぐに、明日香の親友となった。何もかも包み隠さず、話していたが、朋美が兼良と付き合い始めたことを朋美は明日香に隠し、このことが明日香と朋美の溝を作り出すこととなる。
そして、兼良の父親の買春行為を朋美に見られたことから、その次の日から、兼良の態度が一変し、朋美に対するイジメが始まったのだという。自殺を決意した朋美。そこに、明日香が立ちふさがる。朋美の辛さを今度は自分が受け継ぐとし、自ら兼良の陰口を言いふらし、兼良の標的を朋美から自分へと向けようとしていたのだという。
話は明日香の死の当日へと進み、朋美は明日香が自分の痛みをすべて受け止めてくれていることに罪悪感を感じ、改めて自殺を決意し、教室の窓枠から飛び降りようとする。しかし、明日香はそれを制止し、自らも横の窓枠に腰掛け、生きることを説く。その言葉に自殺を思いとどまった朋美。しかし、朋美が振り返ると、そこには明日香の姿はなかった。明日香は腰掛けていた窓枠から教室へと戻ろうとした瞬間、雨に濡れていた枠に足を滑らせ、転落したのだった。
最終的に、悪意をひとつの学校に凝縮させていたので、その中心にいた明日香を完全なる善の存在として、生きるというメッセージを放たせることで、希望を持たせるエンディングに持っていったのは納得のものだったと思う。ある程度、曖昧なままではなく、しっかりと形を持たせたエンディングにしてくれたことは正しい選択だったように感じた。
ただ、最終回に事の真相を全て、朋美の口から語らせるという構成はいささか乱暴だったかもしれない。もう少しその要素を分散できはしなかったかと思った。それでも、あの長台詞をこなした谷村さんの役者魂は賞賛されてしかるべきだろうな。ホント、何ページ台本が続いたんだろうなあ…。
あと、これは根本的な疑問で、イジメにも負けない強い精神力を持ち、生きるということに固執したはずの明日香が果たして、窓枠に腰掛けるだろうか、ということ。その日は大雨が降っていたし、足が滑りそうなことは予想がついただろうし、不慮の事故の可能性があるのに、命の危険を自ら冒すものか、と思う。別に、横に座らずとも、説得はできたはずだし、なぜ、わざわざ横の窓枠に座ったのか、という点は合点がいかなかった。ここはツッコんではいけないところかもしれないけど。
加えて、中学生の台詞にしては、全体的に台詞がしゃれすぎているというか、くさすぎるというか、坂元脚本の台詞作りにはちょっと引っ掛かる部分が目立ったような気がするな。
第十一話 6/14放送 視聴率10.7% 演出:葉山浩樹
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は、実にいろいろと話は動いたものの、全ての次回の最終回に向かっての伏線に留まっていたので、今回だけでは判断できるような内容ではなかった。
明日香(志田未来)は本当に純粋さと嘘つきの二面性を持った人物だったのか、雨木(風吹ジュン)はなぜ、そこまでイジメの存在を認めまいとするのか、音也(五十嵐隼人)はなぜ、そこまでイジメっ子を罰しようという気持ちが強いのか、朋美(谷村美月)がこれまで隠していた真実とは何なのか、とそこが知りたい、という部分については、全て最終回に持ち越しだった。
まあ、見ていて飽きはしなかったし、54分間、集中力は堅持した。しかし、エンドロールが始まったあたりは、ここで切るか〜というフラストレーションのほうが大きかった。
第十話 6/14放送 視聴率12.1% 演出:河毛俊作
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は、内容だけで見たら、それなりにしっかりと見応えのある回だったのではないか、と思う。加寿子(鈴木かすみ)のイジメの存在に気付かず、自分がそうした生徒たちの変化に盲目になっていたという加地(伊藤淳史)の苦悩のドラマの流れとしては、よくできていたと思う。
そうしたイジメに気付かなかったことへの後悔、自分の前ではケロッとした顔をしている生徒たちへの疑念。そうしたマイナスの感情を抱えながらも、加地は自らの思いを生徒たちに打ち明け、加寿子の思いを代弁することとなる。その思いは全員には届かなかったが、クラスの一部には届いたようだ。この人数調整はなかなか的を得た裁量だったのではないかと感じた。
ただ、そうした中、台詞の端々の不自然な言葉遣いから、集中力が持続しづらかったということがある。特に、加地の台詞がそうで、伊藤さんの演技と台詞の言葉がイメージとして乖離していると思う。坂元裕二氏はちょくちょく不自然に固い台詞を入れてくるものだから、言っていることは間違っていなくて、言いたいことは分からないでもないけど、そう表現はしないと思うという部分が目立ったと思う。後半の、加地の演説の場面から、加寿子との別れの場面等、その画自体はよかっただけに、少し詰めが甘かったな、と感じた。
第九話 6/7放送 視聴率11.9% 演出:西坂瑞城
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は、第5話に登場したイジメの証拠品が保管されていた保管庫の暗証番号記されたコースターがようやく伏線として、登場。これを置いた人物こそが、イジメが学校に存在することを証言できるジョーカーであると、積木(菅野美穂)は調査を始める…。
今回は、ジョーカーの存在のミステリー色を強めた内容であった。毎回、色調が違うというのは、様々な感触が楽しめるということで、ワンパターン化しがちないつもの坂元脚本とは違い、なかなか創意工夫してある点であると思う。
そのジョーカーは、実は熊沢(佐藤二朗)だったという意外な展開に。熊沢の娘との不仲のドラマを描きつつ、白黒をはっきりとつけずに、灰色のままにしてしまうのが大人であり、そんな大人になってしまった自分への葛藤はなるほど、と思った。また、いい人とも、悪い人とも取れない佐藤さんという役者の起用はうまいキャスティングであったと思う。
ただ、最近、自分の体のバイオリズムだからなのか、興味が薄れてきたのか、どうしてもこのドラマの時間枠は眠くなってしまう。伏線を張るのはいいけども、それを引っ張りすぎて、忘れた頃にその伏線が復活するというのは、あまり感心する構成ではないのかもしれない。
第八話 5/31放送 視聴率11.0% 演出:葉山浩樹
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
今回からは、法廷編に突入。坂元裕二氏のことなので、適当な裁判描写になるのかと思っていたが、思った以上に取材をして、リアリティにこだわっているという感じは伝わってきた。前半のうちは、しっかりと法廷ものの体裁を整えており、坂元脚本を見直しかけていた。
しかし、やはり、三澤(市川美和子)のキャラクターが引っ掛かった。三澤とのやり取りがまさにぐちゃぐちゃだった。あまりに三澤がダメダメ人間として描かれすぎで、あれじゃ、さすがに、教員採用試験には通らないだろうと思えてしまった。指導力不足で、三澤が教育委員会から調査を受けていたことだって、積木(菅野美穂)は事前に調べようと思えば、調べられたはずだし、あまりにも準備不足というほかない。要は、分かりやすく積木と瀬里(谷原章介)の駆け引きを見せたかったのだろうけど、毎度の坂元脚本の悪いクセの分かりやすすぎるという面が露呈したように思う。
八幡(水嶋ヒロ)は突然、プッツンしちゃうし、それを見て、加地(伊藤淳史)はさらに高圧的な態度をとるようになる。さらには、コスプレ姿で街をふらつく、加寿子(鈴木かすみ)が新たなイジメの対象になっているらしく、自殺するかどうか、という結末で今回は幕切れ。ここまで問題が連鎖的に深刻化していくと、もはや、この学校は崩壊しているも同然じゃないかと思う。あまりに世の中にある悪意を凝縮しすぎで、見ていて不自然すぎる。坂元脚本らしいといえばらしい濃すぎるキャラ設定、分かりやすすぎる展開もここのところ、マイナスに働いている。このドラマは、最後に意外な展開を見せるという切り方で統一しているが、無理矢理、そういった劇的な展開をこじつける必要はないような気もするが。音也(五十嵐隼人)の件は、未だに引っ張っていくつもりらしいし。
第七話 5/24放送 視聴率10.2% 演出:河毛俊作
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
次回からは、法廷編へと話が進むということで、今回はその前段階のような位置づけ。
前回の戸板(大倉孝二)の積木(菅野美穂)への密告により、明らかとなった三澤(市川美和子)というかつての明日香(志田未来)の担任の存在。その三澤が明日香へのイジメの有力情報を知っていると、積木は確信する。
だが、積木の前に現れた三澤は想像を絶する適当な性格の持ち主。さすがに、三澤のキャラは、キャラクター性を強調しすぎで、まるでドラマの色と馴染んでいないように思う。不愉快さを強調して、この人の主張に信憑性があるかどうかを揺るがせる演出なのだろうが、さすがに、ここまで不愉快にする根拠はないと思う。ここは坂元裕二氏の悪い癖が出たように思うな。でも、それにしても、今クールは、市川美和子さんはゲスト出演的な位置で、よくドラマに出るなあ。
兼良(冨浦智嗣)がイジメをしていたという話に振っておいて、その兼良を守ろうとする学校側と、積木の対立を盛り上げておいて、積木が訴状を提出するまでが今回の内容。結局、盛り上がったのは、積木が訴状を提出するシーンのみくらいで、今回はのらりくらりと裁判までの流れをつないだという感。戸板の人物背景も飛躍しすぎのように思うし。
第六話 5/17放送 視聴率10.1% 演出:西坂瑞城
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は、ラブストーリーがメインだったかな。坂元裕二氏の脚本だから、どうしてもラブストーリー寄りになってしまうということなのかもしれないが。
積木(菅野美穂)と瀬里(谷原章介)の"契約"という名の婚約関係。男女としての恋愛感情はなかったが、それが皆無でもないだろうという微妙な関係。彼らは別離の道を歩き、法廷における対立の道へと進む。それが、2人にとっての融和の道と同じことであったのだろう。
まあ、積木と瀬里の関係性はいいとしても、加地(伊藤淳史)と大城(真木よう子)の堅物同士の恋愛模様は特段、必要性を感じなかった。というか、見ていて、不自然だったような気がする。加地が雨木(風吹ジュン)信者になっていくことに説得力をもたせるために、雨木の腹心である大城との関係性を色濃くするための演出だったのだろうか。
今回は、戸板(大倉孝二)と加地との融和を描いていたかと思えば、結局、戸板の不正が露呈し、戸板と加地は対立関係に。学園内にさらに陰湿な落書きがされていたり、戸板が学校を裏切り、積木に密告をしようとするわで、ここまで問題が山積しすぎると、学園として機能していないんじゃないかとも思えてきた。
第五話 5/10放送 視聴率9.0% 演出:河毛俊作
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今回も、なかなか興味深い内容だったと思う。イジメは生徒内だけではなく、教師内においても存在する可能性があるという示唆、雨木(風吹ジュン)のアメとムチの使い分け、そして、それが加地(伊藤淳史)をうまく懐柔していく策略であることが最終的に分かっていく。二面性という意味では、その要素が凝縮されたないようだったと思う。
雨木の徹底した加地へのイジメ。イジメは学校内には存在しないと言ってはばからない雨木が、自ら扇動して、教師内でイジメを誘発させるという矛盾。そうして、加地を追い詰めて、追い詰めて、最後の最後に甘い誘い言葉で、加地の揺れる心を掴む。こうして、反乱分子であった加地を、自分の側に引き込むことに、雨木は成功したということだ。この計算づくの策略は、ゾッとした。
第四話 5/3放送 視聴率10.4% 演出:葉山浩樹
評価★★★★★★★★☆☆ 8
今回は面白かったと思う。そう来るか、と唸らされる意外な展開も数多く、ストーリー展開に見入ってしまった。
毎回、ちょろちょろと教師の二面性のドラマも描き入れていたりするけども、今回は教師の二面性のドラマについて、バランスよく描かれていたと思う。吉越(酒井若菜)にスポットを当てた部分では、結局、酒井若菜さんは夜のお仕事のイメージなのかな、と幻滅する部分もあったけども、生徒に人気のある教師としての側面もさりげなく入れ込んできており、対比がうまく効いていたし、感動ドラマ色も入れ込むことができた。そして、熊沢(佐藤二朗)についても、間が抜けて興味関心がないようなフリをしながら、実は知っていながらも、誰にでも秘密があるとウヤムヤにしてしまおうとするあたりは二面性の対比が効いている。佐藤二朗さんの飄々とした演技が落差の恐さをうまく見せてくれている。そのほかの教師にも、なかなかいいところがあることを見せるあたりも悪くなかったと思う。
積木(菅野美穂)のドラマもまた動き始めた。積木はかつてのダンナ・謙太郎(河原雅彦)への恨みから、明日香に冷たく当たり、それが彼女の人生を大きく変えてしまったことに気付き、恐らく存在したイジメを隠蔽しようとする学校側への圧力を強めていた。ただし、裁判を起こすには原告となる存在が必要。そこで、積木は謙太郎を原告にしようと、彼の家を訪ねる。そこで、積木は衝撃の事実を知る。謙太郎は若年性のアルツハイマーにかかり、かつての記憶をほとんど失っているというのだ。謙太郎が積木の元を去ったのも、病気で積木に迷惑をかけることを苦にしたからであるというのだ。積木の謙太郎への恨み、明日香への八つ当たり的な恨みは自分の思っていたものと違っていたことを知り、その謙太郎は記憶はないが、本質的に残る情動の部分で明日香への思いが残っていることを知った積木はイジメの存在を解明することに使命感を覚えていく。
若年性アルツハイマーというと、まあ、飛び道具を使いすぎという気がしないでもなかったが、少ない登場時間ながら、河原雅彦さんの存在感は大きかったと思う。河原さんといえば、「下北サンデーズ」の脚本家であり、舞台の演出家などもなさるマルチな才能の持ち主の方。この方の演技の力で、やりすぎになる可能性もあったストーリーがしっかりと締まったと思うし、ここもまた二面性の対比がうまく効いた。加えて、謙太郎の父親役が山本學さんというのもキャスティングが渋いな。積木のドラマについても、感動ドラマ色がうまく融合していた。
このドラマはラストで思いがけない展開で突き落とすというのが常道のようで、今回は特に、興味深い流れとなった。積木と加地(伊藤淳史)のドラマ双方に感動色を入れ込んであったからこそ、次の展開が活きている。加地の部分では、生徒だけではなく、教師の中にもイジメが存在しうるというアプローチが興味深かったし、積木の部分も、婚約者である瀬里(谷原章介)と対立関係になっていくというこれからを期待させる展開となった。
今回は、坂元色が前回から一転、大いにプラスに働いた回。坂元裕二さんもこういう脚本が書けるなら、もっと早いうちに出していってもらいたかった。ただ、坂元さんのお気軽に書かれた脚本のドラマはなぜか、視聴率が高い。それに対し、意欲作である今回は低調。駄作を連発していた坂元さんにしては、今作は会心作になりそうな気配もあるが、その代わり、視聴率に犠牲が生じた。ここがドラマの難しいところだな。
第三話 4/26放送 視聴率10.7% 演出:葉山浩樹
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は、坂元色がマイナスに働いた回だったように思う。二面性という点を意識しようとしているのは分かるが、その二面性が効果的に描かれているときもあれば、明らかに過剰になりすぎているときもある。このあたりの兼ね合いをどうにかしてほしい。
このドラマは毎回、生徒、教師を問わず、人の善と悪の両側面を描こうとしているけど、ちょっと今回は分かりやすく、それを描きすぎたように思う。その対比が分かりやすいほうが、二面性の落差はインパクトとして記憶されるけど、その対比させようという意図が過剰に端的すぎたような感が残った。
ラストはドラマにありがちな、そこで切るか〜、とモヤモヤを残す気になるものだったけど、こういう場合、意外とその後に核心となる台詞はなかったりするから、あまり期待はしないでおく。娯楽性もしっかりと意識していて、嫌いじゃないのだけど、娯楽に触れすぎているところもあって、そこが難しいところ。
第二話 4/19放送 視聴率11.3% 演出:河毛俊作
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
まあ、ちょっと手間取った感もあるけども、ようやく話が本筋へと入ってきた。前回は主役というのに、積木(菅野美穂)の出番がやけに少なかったが、今回は明日香(志田未来)との関係性が明らかとなり、積木のキャラクターが何となく見えてきた。
積木はかつて子連れの男との離婚経験があり、そのときの連れ子が明日香だったということのようだ。男は結婚後まもなく姿を消し、幼い明日香とともに残された積木は憤りから明日香に対し、ましな育児をすることもなく、今で言うネグレクト(育児放棄)をしてしまっていた。明日香が今になっても、積木を頼りにしていたのはそういった理由があったからであった。明日香が転落死してしまった今、彼女がもし、イジメを受けていたとして、転落が自殺だったとしたら、彼女の人格形成において自分自身が大きな影響を与え、自殺という結果を誘発した一因だったのではないか、と積木は思ったということなのだろう。こうしたことから、積木は明日香にイジメがあったのかどうかをうやむやにしようとする学校側に対し、証拠保全を請求し、真相を明らかにしようとする。
このドラマは人の二面性がテーマになっているが、今回はそのテーマ性はよく出ていたのではないかと思う。私は正直、伊藤淳史さんがそう好きではないのだけど、加地という役柄が伊藤さんというキャラ的要素の強い役者さんが演じることで、二面性は分かりやすくなったと思う。加地は真面目でいかにも人がよさそうなのけど、加地でさえ、明日香のイジメを裏付けるかもしれないカバンの存在を忙しさと学校という環境に呑まれ忘れかけていた。忙しさと環境が人を磨耗させ、変えさせていくという過程をなかなか端的に描き入れていたのではないか。
これからが積木が真相の捜査に乗り出して、事故か、自殺かの謎が解き明かされる本題へと突入していくことになる。第2話は坂元裕二色がいい方向に働いたと思うので、次回以降に期待したい。
第一話 4/12放送 視聴率14.2% 演出:河毛俊作
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
1人の女生徒の転落事故(結果、死亡)から暴かれる人の二面性を描こうというこのドラマ。これは見る上で分かっていたほうがいいと思うので、その生徒というのは藍沢明日香(志田未来)です。この明日香というキャラクターがこれからの話の軸となるので、志田さんというある程度ネームバリューのあるキャスティングをしたということなのだろう。
これは転落事故が起きなければ話は始まらないので、初回はとりあえず転落事故が起こるまでを描いていた。初回のうちに、明日香というキャラクターを視聴者の頭に刻印せねばならないので、初回は菅野さんよりも、志田さん、そして、伊藤淳史さん(明日香のクラス担任・加地役)の出番が多かったといえるだろう。ですので、面白くなりそうなのはすべて次回以降といったところ。明日香が転落死してしまうという結果となったため、その転落が事故だったのか、自殺だったのかが迷宮になってしまう。そうしたミステリーを絡めつつ、その謎が人の裏の顔を暴かせていくという寸法のドラマなのだろう。
積木(菅野美穂)のキャラクターがクールなのか熱いのかが定まらず、まだ主人公となる積木に踏み込めていない分、初回としての引き込みは不十分だったといえると思う。これから積木のキャラクターが炙り出されていけば、少しずつドラマの概観が見え始めるのではないか。
初回の脚本についていえば、坂元裕二さんの力作なのだなあ、という感覚は残った。ただ、やはり、坂元さんっぽいな、と思える部分も多く、キャラクターの色付けがはっきりとしすぎているというあたりはまさに坂元脚本の特徴だろうな。二面性がこのドラマのポイントらしく、教師にも生徒にも別の顔があるということを印象的に描こうとしていたのだろうけど、あまりにも落差が大きすぎるし、教師たちの表の顔のキャラ付けも分かりやすすぎる気がする。とりあえず、初回からは二面性の出し方にわざとらしさが際立っていたので、これがネックとなるかどうかが懸念材料か。
河毛さんの演出はとりあえず、テンポがよかったし、見やすかったとは思う。ミステリー仕立てとなったストーリー構成もまあ、惹かれるものがある。ただし、坂元脚本の分かりやすさという特徴は表れており、初回はそれがマイナスに働いた部分もあった。初回のうちはそのマイナス部分がそれほど目立っているというわけではないものの、これから話の本題に入ってから、その特徴がどちらに転ぶかが大きな注目点だろう。
放送前の感想
とある中学校を舞台に、1人の女子生徒の転落事故をきっかけに暴かれる人間の明と暗の二面性をえぐる社会派ドラマ。現在は、教育現場の困窮ぶりが伝えられているだけに、タイムリーな題材であるように思う。人間の暗部を描き出そうという姿勢は歓迎すべき。メイン演出を担当するのは、2004年7-9月の「人間の証明」以来の連ドラ演出となるベテランディレクター・河毛俊作氏。河毛さんは比較的重たいタッチの作品を多く手掛けている方なので、今作への参加は納得じゃないかと思う。ただ、未知数なのは、脚本が坂元裕二氏であるということか。この方は、ここ最近では「西遊記」「トップキャスター」と軽薄なタッチの作品を手掛けてきたので、やはり、この方がどのようにこの難しい題材を表現するのかに、いい意味でも悪い意味でもドラマの命運がかかっていると思う。坂元さんといえば、ラブストーリーのイメージが強いし、この方の脚本はとにかく構成が分かりやすい。この分かりやすさが問題を紐解くのにプラスに働くか、それとも問題をあまりに単純化しすぎになって、マイナスになってしまうのか。キャスティングも菅野美穂さんはいいにしても、全体的にシリアスというよりは、コミカル色が強い感じがする。生徒役のキャスティングも「14才の母」の志田未来さん・谷村美月さん、「花より男子」の冨浦智嗣くんと、青田買い気味だし。さらに、菅野さんは「愛し君へ」、伊藤淳史さんは「西遊記」、谷原さんは「トップキャスター」と、要所は過去の坂元脚本作への出演者で固められていて、坂元色が強い企画といえるかもしれない。ということで、坂元さんの脚本の仕上がり次第で転がる方向が変わりそうなドラマである。間違った方向に行きそうになったら、河毛さんの演出で何とか方向修正してもらいたい。