マイ★ボス マイ★ヒーロー
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放送後の感想
このクールは視聴率的にも内容的にも、かなりの冷夏だったが、その中でその逆風にも負けず、最初から最後まで勢いをキープしたこのドラマ。至難の業である視聴率20%超えも達成し、日テレ土曜21:00枠の学園ドラマの強さを見せ付けた。やはり、このドラマのヒットの決め手は主演の長瀬智也の弾け切った演技だったと思う。演技としてはかなりオーバーなのだが、このドラマであると全く違和感がなく、長瀬自身がこういう演技のセンスに長けているから、抵抗なく見れた。声を張り上げ、激しい動きのシーンが多かったが、手を抜くことなく、最後まで全力疾走という演技の姿勢がドラマ自体の勢いを作り出したのではないだろうか。長瀬はこれまで「白線流し」「池袋ウエストゲートパーク」「タイガー&ドラゴン」など、内容が高く評価された作品に多く主演しているが、いつも視聴率には結びつかなかった。今作では内容の評判も上々で、さらに視聴率も好調ということで、自身のキャリアの中でもトップクラスに位置する代表作となった。
まあ、内容でいえば、黒井(大杉漣)の南先生(香椎由宇)への恋心とか、目安箱の使い方とか、細かいなところは放置されたままという箇所も少なくなく、決して手放しでほめられるものではないと思う。だけども、あまりオリジナルの韓国映画を見ている人がいないから言わせてもらうけど、オリジナル版の仕上がりはかなりヒドかった。その韓国映画の設定を拝借して、ところどころにエッセンスとして映画の内容を意識したものを入れてあったのだけど、大半はほぼこのドラマのオリジナルの展開。粗い部分は多かったことは認めるけども、ヤクザが高校生になる、という設定で本来やるべき要素をしっかりと補っていたのは、まさにこのドラマだったと思う。このドラマは、オリジナルの韓国映画の比じゃないほど、しっかりとやるべきことをやっていた。そうした駄作映画を踏み台にして、その映画を易々と超えてきたあたりは、その映画スタッフに対して、このドラマのスタッフがいい仕事をした、と声高に主張できる。その点も評価に入れ、このドラマをそれなりに高く評価したい。
最終話 9/16放送 視聴率23.2% 演出:佐藤東弥
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
大好評につき、最終回の今回は30分拡大の大盤振る舞い。最近のドラマだと、最終回で視聴率等の関係で拡大できず、話がキツキツになってしまって、拡大できていればなあ、という作品が多かったので、このドラマはその点、かなり助かった。だけども、いくら何でも30分拡大は長すぎたかも。もっと勢いのある展開で押してくるのかと思いきや、前半のうちはかなり落ち着いた動きのないシーンが多く、ちと退屈。そして、中盤あたりはムダな小ネタに走ったようなシーンも多くて、30分は拡大しすぎたかもしれない。
ただ、終盤のA組との別れのシーンは長尺を活かして、じっくりと描いてくれており、学園ドラマらしい最後の「祭り感」を味わえた。演出が「ごくせん」等でこのような学園ものは手慣れた佐藤さんだけあって、お決まりの手法を使って、ツボを押さえた期待通りの仕上がりにしてくれていたと思う。真喜男とひかり(新垣結衣)の関係もいい按配で終わらせていたし、最後の最後で桜小路(手越祐也)のことを「桜ナントカ」ではなく、桜小路と呼び、ひかりに桜小路の思いを気付かせてあげたくだりもよかった。
それに加え、学園内での北極会との抗争により、学校を卒業できなくなってしまった真喜男だったが、学校は卒業できなかったが、A組からは卒業を認めます、と南先生(香椎由宇)やクラスのみんなから卒業証書を授与する、という最後の見せ場の持っていき方は脚本としてもうまかったのではないか、と思う。いろいろ要素を入れすぎて、細かい部分で粗い点があったのは否めなかったけど、大森美香の手掛けた民放の連ドラでは、久々の快作だった。
最後の終わり方は、真喜男が関東鋭牙会の組長を引き継ぐのではなく、しっかりと高校を卒業したい、と「私立宙船学園」という学校に改めて入学する、というオチだった。ここは多少、あざとく、蛇足な気がしないでもないが、うまく続編の保険を作ったな、と思う。ここで真喜男が高校に入学したのなら、3年は高校にいるわけだから、ある程度時間の余裕をもって続編をやろうと思えばできるわけだ。もちろん、前向きな結末ということで、続けなくても問題はない。どちらとも取れる結末にすることで、これからどう転んでもいいようにしておくわけだ。これだけ優秀な視聴率を取れば、日テレとしてはほっておきたくないはずだから、続編の可能性はあると思う。
第9話 9/9放送 視聴率21.3% 演出:佐久間紀佳
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今回は、関東鋭牙会の跡目争い、学校での卒業試験、バレンタインデーでのチョコレート対決など、展開としてはてんこ盛りの状態だった。これだけやることがあると、必然的に時間が足りなくなってしまう。それに加え、佐久間さんの演出が意外と薄味だったことから、やはり、描き足りていない部分や粗っぽいところは目に付く。イベントものを扱った回にしては思ったほど盛り上がらなかった。だけども、真喜男の心情ドラマをこの1話の中で起伏を作ってくれていたから、うまく粗から目を逸らさせる方法をとっていたと思う。
今回は、とにかく大きいイベントが目白押しの回だった。上に挙げた3つのイベントが2月14日に一斉に行われ、そのために真喜男は勉強に選挙活動に、四苦八苦することとなる。それに加え、A組の面々は大学入試で忙しい。各イベントの見せ場はしっかりと用意しなければならないし、そのためには、がんばる真喜男の画も必要だし、クラスの画が映るなら、受験勉強をするクラスメートの様子も映していかなければならない。これだけの分量を1話45分に押し込んだのだから、そりゃ、見ているこちらとしては展開が早いし、薄味だと感じざるを得ない。細かい点には触れる時間がないことから、真喜男以外の登場人物の細かい心情などはやはり、粗さが目立った。
ただ、今回はそうなることを作り手側も察知していたらしく、単にイベントをバカ騒ぎとして描くのではなく、真喜男の心情ドラマとして起伏を持たせることにより、まとまりを持たせていた。堅気になれ、と美喜男(黄川田将也)に勧められ、揺れる真喜男。しかし、自分がボスになったとしても、この1年の高校生活は忘れないし、この1年で得たものを胸に自分の歩むべき道へと進んでいく、という決断を下す。この心理過程もやや粗かった気がするのだけど、終盤の演説シーンのように長瀬の力強い演技でかなりカバーされていたように思う。
さて、次週はとうとう最終回。次週もかなり展開が多い。オリジナルの韓国映画から引き継いだ学校を舞台にした敵対する組との抗争シーンもあるみたいだし、卒業式のシーンもあるみたい。最終回は好評につき、30分拡大になったので、時間のネックはある程度、解消されるので、その分、粗が出ないようにじっくりと描いてもらいたい。裏には地上波初登場の映画版「電車男」が放送になるが、負けないように濃い内容で勝負してもらいたい。
第8話 9/2放送 視聴率20.7% 演出:佐藤東弥
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
今回は、学園祭でビッグバンドをしようと、A組で燃えた、という回。恐らくは、熱い青春談義が主のこのドラマの内容に感化されたのだろう。ドラマの中の話だけではなく、今回集まったキャストで何か大きなことをやらかそうぜ、という意味合いが強かったように思う。「ウォーターボーイズ」とか「スウィングガールズ」に近いものだったのかな。
先週が24時間テレビで1週放送がなかったということで、キャストの皆さんは楽器のほうを一生懸命練習したということらしい。練習したことは分かるのだけど、その成果を演出の佐藤さんがうまく切り取れていなかったかなあ、と感じる。楽器の素人だったA組の連中がちょっと練習しただけでしっかりと楽器を弾きこなせるようになるというドラマ特有の嘘を扱った回。私個人の感覚だと、もっと嘘が必要だったかなあ。第6話くらいコテコテに嘘に塗り固めなければ、今回の話では説得力が出なかったように思う。演出がサラッと流しすぎていて、そこに絡めるエピソードもかなり薄味だったし、長瀬のわざとらしい表情作りも今回に限り浮いていた。
それに、ビッグバンドの演奏曲の選曲にも問題があったように思う。ゴスペルの名曲「Oh Happy Day」をビッグバンドでやるというのはちと色が違いすぎたし、ゴスペルの完成されたものに比べるとショボさが出てしまったように思う。香椎由宇に関しては、映画「リンダ リンダ リンダ」でバンドをやっていたから、楽器演奏は慣れたもの。そこはよかった。なら、あの映画と同じ感じで、ブルーハーツとか純粋にバンドの曲にしてしまったほうが、最後にグッと盛り上がった気がしたし、それならば最後の学園全体がA組の演奏にノッているという嘘も許せたのではないか、と思う。
この学園祭のエピソードにあえて尺をとることで、意図的にではあるが、関東鋭牙会内部での真喜男派と美喜男(黄川田将也)派に分かれるという内部分裂についても、描く時間がなくなり、かなり説得力がなくなってしまった。時間経過もすっ飛ばし、もうお正月になってしまったし。ここらは感じ方は人それぞれだと思うけど、私は学園祭の部分に力を入れるよりは、鋭牙会の内部分裂をもっとしっかりと描いたりして、細かいエピソードの粗をなくしてしまったほうがよかったように思う。この回はその仕方なしに訪れる粗を補填するだけの感動をあの学園祭の部分から得られたかどうかにかかっている。
だけども、あと2話ということで話もようやく本筋へと戻ってきた。敵対する北極会に真喜男が高校に通っていることを知られてしまった。そこで、敵対する北極会のボス(石橋蓮司)はそれをダシに何かをしでかそうという腹なワケだ。この別の組との抗争が絡んでくる展開はオリジナルの映画版を意識している面もあるだろう。ここ何話かは学園生活を謳歌する真喜男を描いていたため、あと2話はここまで後回しにしていたエピソードが次々に出てくるのだと思う。ちと強引な気がしないでもないが、面白くしてくれれば、それはそれでいいかなと思っている。
第7話 8/19放送 視聴率17.5% 演出:佐久間紀佳
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今回は、前半はひかり(新垣結衣)とのデートに浮かれる真喜男を描き、後半はひかりと自分の住む世界の違いを痛感し悩む真喜男を描いていた。真喜男の感情の大きな起伏をメリハリを利かせて、的確に描出していたと思う。
ひかりとのデートに浮かれる真喜男。そこで、初めてひかりと自分では生きている環境があまりにも違うということに気がついていく。腕っ節の強さでのし上がってきた真喜男、暴力に嫌な思い出があるひかり。ひかりの前では心優しい学生を演じているが、実際は腕っ節の強さを仕事にしてきた真喜男。ひかりを思う気持ちは偽物ではないが、学生とヤクザという二重生活をひかりにはもちろん、桜小路(手越祐也)にもいえない現実に思い悩む。その思いを南先生(香椎由宇)に吐露したシーンはなかなかグッと来るものがあった。
次週は、24時間テレビで1週お休みということで、いろいろと気になるネタの種まきはしてあった。やはり、気になるのは、桜小路の存在。桜小路は以前からそれをにおわす展開はあったものの、ひかりに密かに思いを寄せている。しかし、親友である真喜男を裏切るわけにもいかない。ひかりとの待ち合わせ場所に真喜男の代わりに現れた桜小路の胸中やいかに。それに加え、遂に真喜男の正体が桜小路に知られてしまうことに…?そしてそして、虎視眈々とボスの座を狙い暗躍する美喜男(黄川田将也)は、兄である真喜男の下では働きたくないと、兄へのライバル心をむき出しにする。
果たして、これらの気になるネタが今後、どう膨らむのだろうか?そして、次回は学園祭のエピソードで、クラスでビッグバンドをやる展開になるようです。
第6話 8/12放送 視聴率20.6% 演出:佐藤東弥
評価★★★★★★★★☆☆ 8
いや〜、今回は実にくだらなかった。だけど、くだらないドラマはここまでくだらなさに徹していれば逆に潔いし、すがすがしい。今回あたりからはこのドラマも後半に突入ということで、第1話以来の勢いのあるドタバタぶりが帰ってきた。生徒役の人たちが一斉にプリン目指して走り出すシーンやムダなCGを駆使したシーンまであり、実に勢いのある突き抜けたバカバカしさに溢れた回で、よくできたエンターテインメントだと思った。佐藤ディレクターの職人監督気質がよく出ていた回だったのではないだろうか。
ただ単にドタバタしているだけではなく、大森美香さんの脚本もうまいテクニックが使われていた。ヤクザの「組」と高校のクラスの「組」を対比させることで、青春時代の尊さみたいなところをうまく描けていたのではないか、と思う。ヤクザ、高校両方の「組」も周りの人たちには無関心で他人が集まっているだけのところなのは共通。ただ、ヤクザの「組」では相手のことを出し抜くことばかりを考え、理由もなく結束して組一丸で熱くなるということはない。しかし、高校の「組」は何かものスゴく些細でバカバカしいことかもしれないけれども、同じ組であるというだけで特に理由もなく、一丸になって、熱くなれる。それこそ、青春なんじゃないのか、とこのドラマは訴える。真喜男が熱くなればなるほど、ヤクザの組では居場所がなくなっていくが、高校の組では逆にその地位を確固なものにしていく。この対比は面白い。それに加え、前回、無理矢理ではあったが、クラス全体が真喜男のことを心配しているというくだりを入れてきたのも、今回の展開につなげるためであったことが分かってよかった。
そして、かなり仰々しいギャグのシーンが続くが、こういう仰々しいものは失敗すると逆に白けてしまうことがよくある。そこをこのドラマはストーリーと整合性が持たせて、バランスをうまく保っていると思う。それに、長瀬自身もこういう大袈裟な芝居がまたうまいわけだ。何だか実にバカバカしいことをやっているように見えるけど、それを見て笑えるというのは、それを作る側、演じる側にしっかりと力量がないとできない。こういうバカな話ほど、作り手側に頭やテクニックがあるかが分かるというものだ。
これはかなり余談になるのだけど、このドラマのヤクザは「関東鋭牙会(エーゲ海)」や「七利亜会(シチリア島)」となぜか、マフィアを想像させるキーワードで固められている。なぜか、衣装や鋭牙会の事務所のセットの感じもマフィア的なイメージで作られている。だけど、役柄はヤクザで真喜男の着メロも「仁義なき戦い」というミスマッチが個人的にはツボだった。
後半に入り、これまで静かにしていた真喜男の弟・美喜男(黄川田将也)が遂にボスの地位を狙って動き始めた。美喜男は頭もキレ、腕っ節だけでのし上がってきた真喜男にとっては難敵。真喜男は高校では自分の居場所を見つけつつあるが、鋭牙会では急激に立場が危うくなっている。これからの展開に期待。
第5話 8/5放送 視聴率14.6% 演出:石尾純
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は、若、グレるの巻。前回、肝試しの際に、ひかり(新垣結衣)への初恋に怖くなり、逃げ出したことが災いし、ひかりに無視される真喜男。ひかりは好きで、逆に冷たくしているというのがあったのを、真喜男は思い違いをして、失恋だと思い込み、一気にグレる。それに加え、本業のヤクザのほうでも敵対する組に自分のシマを横取りされてしまう。こんな失態を演じたのも、自分が学校や小娘などにうつつを抜かしていたからだと思った真喜男は学校をサボってしまう…。
まあ、長い連ドラですから、途中にこういう展開もほしいでしょうね。ヤクザが高校生になるわけだし、そりゃ、やってられねえ、と思うことだってあるでしょう。それで、周りの人たちの思いなどを知ることで、立ち直っていくというね。基本的にこういう展開は話としては盛り上がりにくいところではあるのだけど、省略してしまうと真喜男が人間らしくなくなってしまうし、そういう点ではうまくまとめてあったのではないかな。
ただ、クラスのみんなが真喜男のことを心配しているというくだりにはちょいと無理があったかな。真喜男が立ち直るには、そういうエピソードにするほうがスッキリとするということなのだろうけどね。だけども、かえってクラスのメンバー1人1人に台詞を振り分けたり、クラス全員で真喜男のところに走ってきたりとか、アホらしいことをするよりは、今回くらいクラスメイトのことをその他大勢くらいで曖昧にしてしまったほうがダメージが少ないということかもしれない。
真夏なのにいつも革のロングコートを着て暑そうな黒井(大杉漣)ですが、何と百合子先生(香椎由宇)のことを好きになってしまったらしい。ちなみに、この展開は映画版にもあったエピソードでドラマ版が引き継いだ形となっています。
第4話 7/29放送 視聴率17.4% 演出:佐藤東弥
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は真喜男のひかり(新垣結衣)への初恋を描いた回。
真喜男がなかなか胸のウズウズを初恋であると分からず、小人だ、木こりだと、騒いでいる姿は微笑ましかった。それにしても、かなり強引に「小人」と「木こり」で最後まで押し切ったといった感があった。真喜男はこれからはひかりを女として意識する展開が多くなっていくことだと思う。
それ以外にも、百合子(香椎由宇)がほのかに真喜男に恋心を抱いてしまっている。それに加え、これは推測なのだけど、桜小路(手越祐也)もひかりにちょっと冷たく接しているあたりから、こいつはひかりのことが好きなのだろうなあ、という感覚がある。学園ものの定番である恋愛、かなり思いが入り混じっております。
それにしても、長瀬はこういうオーバーな演技というのがしっくりとくる役者さんだなあ。ああいう大芝居で笑わせるというのは、それなりのテクニックが必要だし、その人とのキャラクターとの整合もないといけない。あのような演技をするというのは想像以上に難しいことだと思うから、長瀬はホントにうまくやっているな、と思う。
第3話 7/22放送 視聴率18.1% 演出:佐久間紀佳
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
前回の内容はスポーツだったが、今回は期末試験の勉強がテーマ。ドタバタもありつつ、しっかりと人間ドラマとして見せる部分もあって、とてもバランスがよく取れた内容だったように思う。
今回における勉強というものへのこのドラマのスタンスはとても好感が持てた。人それぞれには個性があるから、勉強なんてできなくてもいいというドラマって、意外と多いけども、やはり、それは間違っていると思う。このドラマで桜小路(手越祐也)も言っていたけども、なぜ、勉強しなくてはならないかは分からないけど、学生時代にろくに勉強もしない人は大人になってもしっかりとした大人にはなれない、というのはまさにその通りだと思う。はっきり言って、自分もかなり耳の痛い言葉ではあるのだが…。だから、勉強するということを否定してしまうのは絶対にマズい。学生時代はなぜかと考える前に、勉強すべきなのだろう。
しかし、筋金入りのバカという設定の真喜男がちょっとがんばって勉強しただけで、赤点を回避してしまうというのは、真喜男のキャラクターの軸をブラせることになってしまいかねない。だから、このドラマはこれまで勉強するということが逃げ続けてきた真喜男の最大の敵を「勉強」として、真喜男は真喜男なりに努力し、敵に初めて立ち向かったという展開にした。バカというキャラクター設定は残しつつも、勉強という敵に対し真喜男なりに努力したというエピソードにすることで、キャラクター設定と勉強という2つの要素でうまいところで落としどころを見つけたな、と思った。
そして、真喜男が期末テストの追試帰りに、夏服姿で颯爽と現れ、敵対する組のヤクザを一瞬で蹴散らしていく場面はこのドラマらしくとてもバカバカしくてよかったと思う。長瀬が顔の表情や体をフルに使って演じてくれているから、ドタバタ劇としてとても笑える仕上がりになっている。
あと、夕日を見上げながら、あれが古語でいう「いとあはれ」なんだよ、と説明するあたりや、もたいまさこさんのシーンはノスタルジックな雰囲気で、演出家の佐藤さんや佐久間さんは「すいか」(2003年7-9月放送)を演出していた人たちだから、ちょっと「すいか」っぽいシーンの作りだった。ドタバタの笑い、青春ストーリー、そして、何となく「すいか」っぽいノスタルジックさと、かなりバラエティに富んだ内容となっていて、それがとてもうまくミックスされた回だったように思う。
第2話 7/15放送 視聴率16.7% 演出:佐藤東弥
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
前回はドタバタコメディという印象が強かったが、今回は作調が一転、青春の汗といった感じの爽やかな感動ストーリーになった。
今回は、真喜男が学級委員をクラスの長=組長であると勘違いして、その響きだけで学級委員に立候補してしまうところから話がスタート。真喜男が学級委員として初めての大役は球技大会の生徒の割り振り。真喜男のクラスは全くとしてまとまりや協調性がなく、それぞれが自分勝手。もちろん、球技大会などにやる気はなく、誰も練習もしないし、試合もほとんど試合放棄状態で勝つ気など毛頭なし。
だが、1人真喜男は自分の担当になったバスケットボールの試合に勝とうと、仲間を説得し、練習をして、何とか試合に勝とうと奮闘する。これで、真喜男率いるチームがちょちょいと練習をしただけで、何と球技大会で優勝してしまう。まあ、ここらは練習の努力などがかなり省略されていたし、あれだけ下手だったチームがすぐにあそこまでにいとも簡単に上手くなるか、とツッコミも入れたくもなる。あれはありえない。
しかし、この回で描きたかったことは、スポ根的な要素ではなく、真喜男が何かに打ち込み、成果を得ることがいかに嬉しいか、ということを味わい、"真に喜ぶ男"へと変貌していく一つの片鱗を見せるのが主眼だったはず。だから、脚本も演出もバスケのテクニックというより、真喜男のひたむきな姿であるとか、チームで結束する姿であるとかに光を当てる描写をしていたし、ありえなさをうまくごまかしていたと思う。だから、この回のような内容の場合、そこらは作り手側も承知で作っているわけだから、批判の材料にするべきではないだろう。
そして、これと同時に、真喜男とその父・喜一(市村正親)との関係性のドラマ、つまり、ボスと部下ではなく、父と子としての関係のドラマにも言及があるようで、これもこれからに期待したい。それに、長瀬が非常にハマリ役であったと思う。オトナとも子供ともつかないイメージ、なぜか、強面の役がうまいというコメディセンス、これらがかなりしっくり合っていたように思えた。
大森美香が得意とする青春もののいいテイストが詰まった回だったように思う。この回の話は全くもって、映画には存在しないエピソードで、完全オリジナルの内容だったけど、100%映画版より面白いし、後味のいい感動を残してくれた。こういう題材ならば、本来やるべきだったことをしっかりとこなしてくれていて、暴力ばかりだった韓国オリジナル版スタッフなんかよりこのドラマのスタッフのほうがよっぽどツボを押さえた作りをしているぞ。
第1話 7/8放送 視聴率19.0% 演出:佐藤東弥
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
ドラマの感想の前に、オリジナルの韓国映画について。ドラマが始まる前には見ておこうと、先日、鑑賞したのだが、これがすこぶるヒドい!ヤクザも腕っ節の強さだけではなく、頭が必要ということで、ヤクザがその素性を隠して高校に入学するという題材は面白い。しかし、料理の仕方が下手すぎる。映画の上映時間の8割は暴力シーンではないか、と思えるくらい、意味もなく暴力シーンばかりが続き、極めて不愉快な映画だった。韓国映画はなぜか、暴力シーンがお好きなようで、それはその国の文化だから別に悪く言うつもりはないが、「マイ・ボス マイ・ヒーロー」の場合はストーリーの説明よりも暴力という意味の分からない演出ばかりが目に付く。
ストーリーで、キャラクターの感情の説明や展開の説明も、ちょっとそれっぽいシーンを映せば、説明したことになると、この映画の監督さんは考えていたらしく、無責任なほどに説明不足のまま場面が変われば、また暴力と、単細胞にもほどがある演出だった。オリジナル版の映画としてDVDをこのページで紹介しようと思っていたが、その出来の悪さゆえ、とてもこのサイトの読者の方にDVDを買ってくれとは言える代物ではないので、Amazonへのリンクははらないことにしました。それでも、ドラマ版のほうがいかにうまく作っているか、ということを確認するのと、あらかじめオリジナル版は大したことがない、というのを確認しハードルを下げるという点において、オリジナルの韓国映画を鑑賞するという意義はあるかもしれない。
さて、ドラマの感想。いや、もう、オリジナル版とは比べ物にならないくらい、こっちのほうが面白い。オリジナル版は一瞬たりとも笑えるところがなかった。だけど、ドラマのほうはくだらないけど、笑えたからね。
ドラマのスタッフもオリジナル版のほうは鑑賞しているように見受けられ、恐らくその内容を評価していないのであろうことは推察できる。初回を見る限り、オリジナル版から引き継いでいるのは、「ヤクザも腕っ節の強さだけではなく、頭が必要ということで、ヤクザがその素性を隠して高校に入学するという題材」とカツアゲのシーンくらい。あとは、ほぼ大森美香のオリジナルと言ってもいい。
ドラマのスタッフはオリジナル版の題材は面白く、使えるから、そこだけ拝借して、オリジナル版の細かい部分において明らかに欠けている部分をすべて補充しながら、ほぼオリジナルの作品として製作してしまおうという気概が強いと思う。今回のドラマ版では、主人公のおバカっぷりをより強調し、ヤクザという役柄設定を細かいところでうまく使ってきているし、プリンの争奪戦など学園生活や青春という点も強化されている。私もオリジナル版を見て感じた明らかに欠けている部分を、ドラマの製作スタッフも感じ取ったのか、しっかりとその部分を補強し、青春コメディとして成立させている。まあ、はっきり言ってしまえば、ものスゴくバカバカしくて、くだらない話だったのだけど、作っている人たちが脚本の大森美香、演出の佐藤東弥と力のある人が揃っているから、ドタバタの中にもしっかりとコメディの基本を押さえているし、筋が通っている。
そして、長瀬が見事なほどのハマリっぷり。長瀬はやっぱり、こういう役はうまいなあ。おバカで、威勢はいいけど、何か憎めない、この三拍子が揃った役をやらせたら、長瀬の右に出る人はいないな。物静かな秀才役の手越との友情もなかなか好感触だった。中島みゆきが作ったというTOKIOの主題歌もドラマと合っていたと思う。
このドラマはオリジナル版の設定部分だけ拝借して、細かいところがまるでなっていないオリジナル版の欠けたところを補充し、ただの暴力描写ばかりだった映画を正統な青春コメディに直した作品である。全くもってダメダメだったオリジナルの韓国映画スタッフに、このドラマのスタッフは見せてやるべきだ。コメディというのはこうやって作るっていうものを、そして、日本の映像界の実力というものを。
放送前の感想
韓国映画「マイ・ボス マイ・ヒーロー」をリメイク。「タイガー&ドラゴン」で噺家に憧れるヤクザを演じ好評を得た長瀬智也が、今度は高校に入学したヤクザを演じる。脚本は「カバチタレ」「不機嫌なジーン」の大森美香。作品に個性はあるのだけど、民放連ドラでは「カバチタレ」以来、あまりいいところのない大森美香が韓国映画をどう切り崩してくるかに注目だ。演出は「ごくせん」「すいか」の佐藤東弥、「ギャルサー」から同枠連投の佐久間紀佳。まだオリジナル版の映画を見ていないので、ドラマが始まるまでには見ないといけないなあ、と焦っています...。