1リットルの涙
|
|
|
|
沢尻エリカ関連作も気になったらクリック!Amazonへ |
放送後の感想
個人的にはイマイチだったかな。脚本の台詞の作り方がストレートでなおかつ説明的すぎる。そういう台詞をしゃべらせているからというのもあるし、演出が無難すぎて、これといったこのドラマならではのものが見られないから、実話というのに、画がとても嘘くさく思えてしまった部分が多々あった。同じ病気ものでいえば、「世界の中心で、愛をさけぶ」のほうが脚本・演出ともにリアルさと個性がしっかりと打ち出されていて出色だったかな。それと、主題歌と挿入歌にBGMを頼りすぎのような気がする。このドラマの中で、何回、「♪粉雪〜」って聴いたかなあ。正直、あまりBGの音楽に歌詞のついた曲をバンバン流してほしくない。細かく編集してくれるならいいが、ほぼ1コーラス、フルで流しているんじゃないか、っていうくらい流していたからね。ただ、主演の沢尻エリカの演技はよかった。脚本と演出の不手際も、主演女優の演技で随分と救われたかな、と。沢尻さんのこれからの飛躍は確実ですね。
最終回 12/20放送 視聴率20.5% 演出:村上正典
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
う〜ん、イマイチだったなあ。今日の脚本は大島さんが書いているのだけど、どうも脚本の台詞くささが気にかかったかなあ。
毎回、思っていたけど、やっぱり、このドラマの脚本は好きになれんわ。特に、この最終回は微妙だったなあ。やはり、何でもかんでも言葉で語らせようとしすぎという感がある。言葉のチョイスとか並びとかが、いかにも台詞というもので、登場人物の発した言葉になっていないように思う。場面ではとても感動的なことをやっていることは分かるが、言葉だけが浮いていたと感じられた。今回の中で言えば、特に藤木扮する水野の台詞なんかは不自然さが禁じえなかった。藤木直人もあまり台詞回しのうまい役者ではないから、なおさら不自然に思えた。
それと、亜也さんの書いた日記とか手紙をそのまま朗読するというのはどうなのよ。特に、池内一家の団欒で潮香さんが、亜也さんが妹、弟に対して宛てた手紙を朗読するという画には不自然さを感じた。やはり、家族に感謝の言葉を宛てるというのは正直、気恥ずかしいものだ。だから、手紙を渡して、その後、それぞれが一人になってから読むとかいうほうがリアルではないか?まだ、本人が読むのはまだしも、それを母親が代読するというのは正直、私としたら考えられない。家族には感謝の言葉を口にしたくても、家族だから素直になれないというちょっとした距離があるのではないか?どうも、このドラマの池内一家は、いかにもドラマ、というような家族の描き方になってしまって、実話というリアリティがその部分で一気に消え失せてしまっていると思えてならない。
ただ、思うのは、沢尻エリカはとてもうまく演じていたと思う。最終回は20.5%という立派な数字を残して、回を追うごとに評判が高くなった本作だけども、それは脚本や演出によるものではなく、その大部分を沢尻エリカの好演に依拠する部分が多いのではないか。主演女優ががんばっていたのだから、裏方がもう少し踏ん張れなかったのか、と思われて仕方がない。
そうそう、演出もイマイチだった。村上正典という人はいつも思うが、無難に演出はしていると思うが、特にこれといって惹かれる個性が見当たらない。それに、音楽の使い方がイマイチ好きになれない。いくら何でも、Kとレミオロメンをかけすぎだ。このドラマで何回も流れているから、Kとレミオロメンの曲の売上は好調だけども…。イントロから始まって、1番のサビくらいまでは確実に丸々流して、それを60分の中で2回流したわけですよ。さすがに、主題歌と挿入歌を流しすぎだ。それに、1分近く主題歌と挿入歌を垂れ流している状態なワケで、もうちょっと感情の起伏に合わせて、流す音楽を編集したり、選曲したりできなかったものかな。
このドラマは、脚本があまりに説明的すぎるし、台詞の構成が作り物っぽい。それに、気恥ずかしさといったリアルな部分が欠如していると感じられたし、基本的に分かりやすさを追求しすぎ、ストレートすぎという印象を持った。まあ、作り話なら、それでもいいが、実話というなら、そこらをもう少し工夫してほしかったな。何か例えを使うとか、もう少しうまいレトリックを使ってほしかったなあ、と感じた。
第10回 12/13放送 視聴率16.6% 演出:木下高男
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今回は沢尻エリカによくがんばったと言ってあげたい。演出と脚本には相変わらず、もう一工夫はほしいと思うのだが、沢尻エリカが実にいい表情を見せ、それでだいぶ作品として救われている。
今回は、亜也さんの病状が次第に進行し、だんだんと自分ひとりで出来ることがなくなっていく現実に亜矢さんが悩み苦しむ回。
やはり、思うのは、演出と脚本に関しては、もう少し工夫してほしいと思う。演出も脚本も悪くはないのだが、古典的でオーソドックスであるという感覚が抜けない。もう少し登場人物の葛藤なり悲しみを表す意味でも、こちらがハッとするくらいのカットがほしい。演出の木下さんも脚本の江頭さんなんかは、ほのぼの系の分かりやすいドラマがお得意な方たちですから、何か辛い展開でも辛くなりきらない、煮え切らない部分が見られると思う。絶望や葛藤を表す意味では、もう少し冷たさを感じるようなカットなんかを挿入してくれると効果的だと思った。脚本もそうだ。脚本も無難にはまとめていると思うが、構成であるとか、脚本家による台詞の面白みというものは感じられない。原作は未読だが、この回において人を感動させているのは、脚本家の書いた言葉ではなく、原作の言葉であるということが如実に分かった。原作を尊重するのも大事だが、もう少し原作のよさを脚本に還元してほしいと思う。
ただ、今日の回を支えていたのは、紛れもなく沢尻エリカの演技だった。これまではいかにもいい子ちゃんであり続けた役柄がちょっと鼻についていたのだが、今回の今までに見せたことのない微妙な表情はとてもいい。トイレに行こうとしても、自分では何も出来ず、失禁してしまったときの自尊心を奪われたときの絶望で拗ねた顔などはとてもうまい。笑いながらも、そこはかとなく切なさを滲み出させる表情の微妙な匙加減もよくやっている。この子の所属する事務所はごり押し人事で有名なスターダストだが、この事務所のやり方はどうかと思う節は正直、あるものの、やはり、スターダスト所属の役者は演技がうまいのよ。だから、憎めない。とにかく、スターダスト所属の役者はいつも見ていて、表情の作り方が達者だなあ、と感じる。沢尻さんは今、スターダストがイチオシしている女優さんだけど、これだけ演技が出来れば、この人もこれ以後、大きくなる可能性は大だ。
来週はとうとう最終回ということで、有終の美と行きたいところですな。
第9回 12/6放送 視聴率15.5% 演出:村上正典
評価★★★★★★★★☆☆ 8
おぉっ、今日はいいじゃないか。何だか、このドラマは回によって、出来がマチマチだなあ。それは、恐らく3人の脚本家の人が交代で書いているからなのでしょうけどね。個人的にこういう話の過程が大事なドラマはあまり何人も脚本家の人がいるのはふさわしくないと感じる。江頭美智留はこの手のドラマには向いていないと思うから、別の脚本家さんが最初から最後まで1人で書いていくスタイルのほうが緻密な心理描写が可能になるはず。3人もいるから、感情やキャラクターの描き方が実に固定化されたマンガ的なものにならざるを得ないわけよ。
今回のお話は、錦戸扮する麻生の苦悩。亜矢をこれから先も支えてあげるだけの心構えがあるか、ということを問われる回。
前回のレビューのときにも書いたと思うけども、こういう1人の心理描写を中心に進むドラマはなるべく扱う登場人物は少なめにして、クラスメイトの連中とかの気持ちはうまくごまかすべきと、私は思う。今回は、ギュッと登場人物が集約されて、前回の隙が多かった脚本とは違い、話自体はシンプルだったが、心に響くものがあった。
今回の鍵は麻生。麻生は亜也さんのことが好きであることは間違いなく、何かと世話をしてくれている。勝野洋さん演じる彼のお父さんがそんな麻生に忠告するわけだ。家族でさえも疲れてしまう介護を、他人のお前がやることができるのか、今さえよければの感情で付き合う無責任さはよせ、と。これは病気ものの話では必須の要件の話。病気になりゆく者を愛する人は自分の出来ることなどあまりに小さいことを嘆き、病気になりゆく者は愛する者との関係がこれまで通りにはいかないことに嘆く。このシンプルな論点を、今回は亜矢さんと麻生の2人の感情描写に集約して描いたからこそ、胸に響いたのだと思う。ただ、錦戸のような二枚目があそこまでベタベタな二枚目台詞を吐かれると、若干、見ているほうとしては鼻につくのは否めないけどね。
そして、今回注目すべきは、映画版で亜矢さんを演じた大西麻恵さんが再登場したこと。亜矢さんは介護学校に入学し、大西さん演じる及川さんと同じ部屋で暮らすことになるのだけど、つまり、これは映画版とドラマ版の新旧亜也さん役の共演ということなのよ。映画自体がマイナーだったから、知らない人も多いと思うけど、知っている人にとっては実にポイントの高い点ですよ。なかなか粋なキャスティングをしてくれるじゃないですか。
そうそう、成海さんのエピソードもなかなかよかったわ。お姉ちゃんの代わりに高校に入学して、お姉ちゃんのできなかった卒業を果たしたい、それが私がしっかりと健常者として生きられる意味だ、と。なるほど。これは素直にガンバレ、と言ってあげたい。それにしても、成海さん、さすが現役の学生さんだけあって、制服がお似合いで。この子はあまり美人だとは思わなかったけど、制服を着ると意外とかわいい。制服が似合うって、得よね。これからはこういう役が増えるかもしれない。まだ若いから、いくらでも出来るでしょ。
とにかく、今回はシンプルな論点を、主人公の2人の感情に集約させて、シンプル且つ丁寧に描いていた。だから、その分かりやすさが確実に感動につながったと思う。これからはちょっと辛い展開になりそうだけども、方々に触手を伸ばさずに少人数制で描いていってくだされ。
第8回 11/29放送 視聴率15.4% 演出:木下高男
評価★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3
前回と打って変わって、今回は最悪。何でこういう脚本を書いちゃうんだろうね?非常に安直な印象を受けた。
今回は、前回で今の高校でやっていきたいと思っていた亜也さんだったが、周りの真意などに気付いていく過程を経て、養護学校に入ることを決意するまでを描いていた。
やっていることのノリが「ごくせん」とか同じなのよね。シリアスに心情を描こうとしているようで、結局のところは、いかにもマンガ的なご都合主義的な感情描写に終わっている。
まず、いつもこのドラマを見ていて思うのだが、このドラマは人の思いや真意を知る方法が教室とかに戻ろうと引き返そうとしたら、話をしていて、その話をたまたま聞いちゃった、という学園ものにありがちなやり方でしかしていない。「たりらりら〜ん」のベタの世界じゃないんだから、バカの一つ覚えみたいに、たまたま立ち聞きしてしまったみたいなやり方は自粛したほうがいいと思う。
あと、演出も実に安直だったね。挿入歌であるレミオロメンの「粉雪」のサビのところの「♪粉雪〜」が入ったところで、粉雪を降らしちゃうとか、PVじゃないんだから。やっていることはスゴい真面目な大事なシーンだったんだけど、思わず吹き出してしまったわ。それと、一番最後のクラス全員で亜也さんを校門まで追いかけ、自然と「3月9日」を歌い出すシーンね、ありゃ、ないだろ。まあ、「ごくせん」とか嘘を前提とした学園ものだったら、ドラマ上の嘘として見逃す余地もあるけども、これはシリアスにやるドラマだし、そもそも実話ということが売りのはずだ。それで、あの展開は絶対にありえない。まだ小学生だったら、許せるものの、高校生だぞ。やっていることがマンガ的な学園ものと何ら変わっていない。ここはもう少し差別化をしていかないと、真に迫る描写など出来るわけもない。
特にこの回においては、脚本の下手さを感じた。クラスの三十何人いる中で、そいつら全員の亜矢さんに対する思いをこの回だけで描こうとなどとしても無理な話。亜也さんのような障害者に対しては、誰しもが同情したい気持ちもあるだろうが、自分が可愛いと思う気持ちも少なからずあるはずだ。その2つの感情のバランスは人それぞれ違うだろうし、亜也さんに対する思いは誰一人全くとして同じものなど持っているわけもない。要するに、クラスには30通り以上の心の葛藤のドラマがあるわけだ。そんなものは連続ドラマという媒体では描ききれるわけもない。特にこういうクラスの中の一人をクローズアップして描く場合はなおさらだ。そこは、うまくクラスの他の連中の気持ちを描く部分をごまかしてしまうというほうが賢い描き方だと思うし、その分、亜矢さんを理解してくれる友達との関係に居場所を求め、限られた人数でのドラマに集約していったほうが一元的な心情ではなく、より多元的なヒューマンドラマになると思う。そういう点では、「世界の中心で、愛をさけぶ」はこの点を非常にうまくクリアしていたと思うし、ヒューマンドラマとしては、このドラマより格段に優秀だ。
それと、このドラマからは気恥ずかしさというものが感じられない。亜也さんが非常に素直でいい子ということで強引に乗り切ろうとしているが、亜也さんの両親や兄弟に対する言葉は、私からすれば到底、恥ずかしくて面と向かって言えないようなものばかりだ。池内家は絵に描いたような幸せな家族で、もう少し家族だから言えない気恥ずかしさというものを表現してくれたら、もっとリアルになると思う。これも「世界の中心で、愛をさけぶ」を例に挙げるが、亜紀さんが父親に面と向かって言えないことをカセットテープに吹き込んで伝えたりと、いい子ばかりとして描くのではなく、ちょっと悪い子ちゃんの面や気恥ずかしさを表現するクッションがほしいと思う。
まあ、リアルさを求めず、ドラマらしい描写で満足できるなら別に抵抗は覚えないだろうが、私はかなりの抵抗を覚えた。要はこのドラマの脚本家さんと演出家さんとは合わなかったということでしょうね。あと3回だから、最後まで見ますけど。
第7回 11/22放送 視聴率16.2% 演出:村上正典
評価★★★★★★★★☆☆ 8
今日はよかったわぁ。いつもこのくらいいいといいんだけどね。
今回は、亜也さんが養護学校に入るかどうか、というところで、本人・両親が悩むという話。
やはり、一番注目すべき点は、映画版で亜也さんと潮香さんを演じられた大西麻恵さんとかとうかずこさんがゲスト出演してくれている点だったでしょうか。潮香さんが養護学校を見に行って、水野先生がかつて診察したという亜也さんと同じ年頃の女性がいるということで紹介してくれた及川さんとそのお母さん、この役で2人が出演されていました。映画版の存在を知っている人もあまりいないと思うし、このドラマを見ている人は映画版の人がゲスト出演してくれて、映画版とドラマ版の潮香さん役が共演していると気付いた人って、どれくらいいるのでしょうかね?
今回は内容自体もとてもよかったと思う。亜也さんが友達と一緒に高校で過ごしたい、と両親に訴えかけるシーン、とってもよく気持ちは分かったし、そこはこれまでのマンガ的な展開ではなく、ストレートな台詞作りだったが、真に迫ったものを感じた。亜也さんとそのお友達の関係性を描いたくだりもよかったし、友情ドラマという面が押し出されていて、村上正典はヒネった演出ができない人だから、このくらいストレートな話のほうがしっかりと演出が活きてくると思う。
それと、潮香さんが保護者会で理解を求めようと演説するシーンもよかった。親としては娘の希望通りにしてやりたい、と思うのは当然のことだろうね。母親として娘の唯一の願いをせめて叶えてやりたい、という熱い気持ちに感動した。しかし、周りの親も自分の子どもたちが可愛いわけだから、亜也さんのためだけに自分の子の人生を犠牲にしたくない、という気持ちもあるわけだ。それに、外の目というものは冷たいもので、実際に接していないと亜矢さんの気持ちは分からないから、亜也さんの気持ちを知る者からしたら不謹慎な発言もしてくる。それも潮香さんは親として分かることだろうから、悩む部分だろうなあ。
今回は普遍的な部分を描いていたし、マンガ的な部分がかなり抑え気味になっていたので、このドラマが始まって以来、初めて心から感動できたかな。やっぱり、ドラマは葛藤している様が一番いいよね。こういう葛藤を経ないと、結果が活きてこないから、来週は亜也さんがとある決断を下すみたいだけど、その決断もこの葛藤があれば、多少マンガ的に戻っても、結構、入り込めそうだ。
第6回 11/15放送 視聴率15.2% 演出:木下高男
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
何だか、やっていることがマンガの世界だったなあ。見せ方がわざとらしいというか。
今回のテーマは、周りからの視線。障害者であることから、珍しいものを見るような目で見られたり、同情の目で見られることが逆に痛い、というようなこと。
やっていることは間違っていないと思うし、こういう題材のドラマならば、必ず立ち向かわねばならないテーマなのだと思う。しかし、このドラマにおけるこのテーマの描き方にはわざとらしさを感じた。周りからの視線を強調させようとの演出だろうが、デフォルメされすぎているように思う。まあ、障害者の方に目線が行ってしまうというのは実際にあるだろうが、このドラマのように覗き込むようにジロジロと見ているというのは、どうも嘘のように思える。実際は、パッとその方を見て、すぐに視線を逸らしてしまうというのが近いのではないだろうか?ジロジロ覗かれるよりも、パッと視線を合わせて、相手が悟って目を逸らす。その目を逸らすという行為のほうが精神的なダメージは大きいように、私は思う。と言っても、私は幸せなことに五体は満足なので、障害を持った方がどのような視線が辛いのかは分からない。中には本当にあのようにジロジロ覗きこんでくる人がいるのかもしれないが、バスの乗客全体がジロジロ見ているというのは、ちょっと異様な光景だ。それなら、バスの乗客の目のアップだけを抜いたり、ヒソヒソ話をしている口のアップを抜いたりして、それをつなげていく編集をするとかいう演出のほうが、しっくりくるのではないか、と思う。
あと、亜也さんの弟さんが亜也さんの障害のせいでちょっとバカにされてしまうということも発生。これもなあ…。何だか、わざとらしい。今の子って、あんな常識がないものなの?いくら小学生とはいえ、障害のある人をバカにしてはいけないことくらい教わらなかったか、と思う。いくら障害のあることを亜也さんが悩むエピソードの一つになるにしても、もう少しマシなエピソードはなかったか、と思わざるを得ない。
ただ、いい部分もある。今回もいいことを言っていたのは、潮香さんだったね。同情されるということが逆に痛いと思えることもあることは事実だけども、その同情を受け入れることができるくらい心を大きく構えていようということ、冷たい周囲の視線の中からでも、その中には必ず温かい目線があるはずだから、それを見つけ出せる力を持つこと。マンガっぽい展開の中でも、ここは真に迫っていた言葉だと思う。
亜湖さんが次第に変わってきた、というのも一つの見所かな。しかし、成海璃子さんが多少、「瑠璃の島」の頃に比べれば、うまくなったかとも思うけど、やっぱり長台詞のときになると、まだ途中で暗記したまましゃべっちゃっているという感じがしちゃって、台詞回しがまだまだかな、と思えてしまうわけよ。陣内さんのHG押しにしろ、「ここが痛いよなあ」という学園ドラマみたいな台詞とか、やっぱり、あの家族からはリアリティーを感じないわけよ。
やっていることも正しいし、中には的を得たいい台詞もある。だけど、その台詞を導くまでの展開がマンガ的で大雑把という感がある。基本的に江頭美智留の脚本はマンガ的だから、その悪い癖がしっかりと出ちゃっているという感じ。演出の木下さんも普通にこういうヒューマンドラマを演出するのはうまい方なのだけど、いつも見ていて思うのは、もう一歩踏み出した描写が出来ないかな、ということ。マンガ的な脚本をそのまま普通にやってしまっているから、何だか入り込めないのだと思う。
第5回 11/8放送 視聴率14.6% 演出:村上正典
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
感想は前回と同じで、普通すぎるというのが正直なところ。実話だというのに、いかにも切り口がドラマ的だ。
夏休みが終わり、確実に病状が進行していく亜也。亜也の担当医・水野からは障害者手帳の携帯を促される。亜矢の両親は亜也の病気のことを亜矢の弟妹たちに説明し、家族一丸で病気の姉を助け合おうと決意する…。
亜也さんの病状が確実に進行していくのは見ていてよく分かるし、亜也さんの周りのみんなに迷惑ばかりをかけて「ごめんね」とばかり言ってしまう気持ちも分かる。ただ、このドラマの場合、それが「分かる」止まりなのだ。分かった上で、見る者をさらに引き込ませるようなもっと研ぎ澄まされた悲壮感を演出してもらいたい。沢尻さんも次第に不自由になっていく様を熱演しているのは分かる。だけど、個人的に見たいのはその先なんだよな。もうちょっと生々しさがほしいんだよな。
やっぱり、いつも村上正典監督が演出したときは思うけど、この人の作品は上澄みだけすくったような浅い印象を受けるんだよなあ。悪くないし、普通に見れる作品は撮れるのだけど、あまりにも普通で予定調和だから、逆にその普通さで感動を削いでしまっているような気がする。
あと、やっぱり、気になるのは陣内さんの演技。全然リアルじゃないのよね。あれは瑞生さんではなく、ただ単に陣内さんだと思う。こういうシリアスなドラマ、特にこのドラマは実話を題材にしているから、こういう話の場合、陣内さんの演技は浮いてしまうのは否めないかな。
いかにも切り口がドラマ的で、実話であるというクッションが全くとして効いていない。もう少し実話という部分を活かして、ドラマという枠を超えたリアリティを演出できないかなあ、と思う。作り話の「世界の中心で、愛をさけぶ」のほうがよっぽどリアリティが感じられたし、ドラマという枠を超えた悲壮感を味わえた。やはり、演出家、脚本家の問題なんだろうなあ。
第4回 11/1放送 視聴率12.3% 演出:木下高男
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
悪くないんだけどなあ…。普通すぎるんだよ。あまりにも王道すぎて、冒険心がない。このドラマならでは美学が感じられない。
今回は亜也さんが病気を受け入れようと、必死でもがく過程を描いていた。
このドラマはそれなりに医療考証はしっかりとしていると思うし、それなりに亜也さんの葛藤も描けていると思う。しかし、その描き方が普通すぎる気がして仕方がない。このドラマを作っている人からは安定したお涙頂戴を作ろうという安定志向がプンプンする。そりゃ、ドラマはたとえ内容がよくても数字が取れなきゃ、ダメですから、安心して見れる傾向になるのは必然的。だけど、何かしらこのドラマならではの美学なり、売りとなる部分を作ってほしい。どこもかしこも、安定志向ぶりが目に見えちゃって、逆に興醒めしてしまう。「世界の中心で、愛をさけぶ」に存在した圧倒的な悲壮感みたいに、一歩踏み出た描写がない。だから、どこを切り取っても、切り口が鈍い。
安定志向であれば、こういう病気ものに弱い女性の方たちを適当に泣かすのは容易だろう。しかし、安定志向ばかりに行ってしまうと、いかにも、というドラマくささが染み出てしまう。ドラマくささという枠にはまってしまって、それより先の踏み込んだ描写がなかなか出来なくなる。このドラマはせっかく実話であるというリアリティーを生み出すセールスポイントがあるだけに、このままではそのセールスポイントを活かすことなく終わってしまいそうな予感だ。
こういう病気もの、特に、このドラマは主人公に死が訪れることは分かっている。いくら周りの人たちの励ましがあったとしても、病気と向き合うのは自分と向き合うことであり、孤独な作業だ。漆黒の闇の中で、静謐の空間の中で、彼女は孤独を味わうわけだ。周りの人との触れ合いで適当にお涙頂戴するのもいいが、彼女1人の孤独な感情ももっと表現すべきだと思う。そういうカットを挿入することで、一歩踏み出した悲壮感が演出できるだろうし、ドラマという枠を超えたリアルさが生まれると思う。今の時点では病気ものという観点で見れば、「世界の中心」に遠く及んでいない。ま、予定調和で終わりそうな気がするけども、これからはもっと一歩踏み出した描写に期待したい。
それと、あからさまに映画「皇帝ペンギン」を見たって分かる台詞はやめたほうがいいんじゃないですか?こういうギャグじゃないところで、他の映画から得た知識をあからさまに入れるのはどうかと思う。なら、映画で見た、とか言っちゃえばいいのに、さも、脚本家の横田さんのオリジナルみたいな台詞にしちゃうのはいかがかと思う。
第3回 10/25放送 視聴率13.5% 演出:木下高男
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
ところどころにはとてもいいシーンがあるのだけど、その一方で微妙なシーンも目に付くんだよなあ。惜しいドラマだと思う。
今回は亜也さんが自分が"脊髄小脳変性症"という病気であると気付き、それを医師の口から告知されるまでを描いていた。
ところどころにはホントにいいシーンだと思う部分があった。陣内さん扮する瑞生さんが亜也さんが合唱コンクールで指揮棒を振る姿を見て、涙するシーン。あれは残酷なシーンだわな。全く普通に舞台に立って、指揮棒を振って輝いている我が子がもうあと何年もしないうちに寝たきりのまま言葉もしゃべれなくなる、なんて、現実はとても信じられないだろう。でも、それが現実で受け入れなければいけない。結果が分かっているだけに、あのシーンの残酷さはひしひしと伝わってきた。
それと、もう一つスゴくいいと思ったところは、一番最後の亜也さんの台詞「病気は何で私を選んだの?」という部分。最後の台詞だけが、タメ口だったんだね。それまで、藤木直人扮する医師・水野に対しては、敬語でしゃべっていて、最後の最後にタメ口になる。それは、これまで優等生としての亜矢を演じてきた部分も少なからずある亜也さんから発せられた本当の自分の部分なのだと思う。危惧していた現実、「多分…」と思いながらも、それが思い過ごしならいいと思っていた現実が、本当の意味での現実になった瞬間。その現実を告げられたときに出た隠していた自分。そこまで計算していたかは知らないが、この台詞は言いえて妙なものだと思う。この点に関しては、脚本の大島さんを称えたい。
しかし、減点要因となったのもまた、脚本であることは否めない。気になったところは周りの人物それぞれのサイドストーリーがいかにもという並一通りのものばかりだった点。錦戸扮する麻生は医師の息子ということもあり、優秀な兄ちゃんの弟ということもあり、ヒネクレで医者なんかにゃ、なりたかねえ、と意地を張るわけよね。こういう医療もので弟がグレるというのはよくあるパターンのお話。それで、これは憶測だけども、これから麻生は亜也さんの病気を知って、医者になろうとするんだろうね。水野の医者として初めて受け持った少年とのエピソードもよくある話。大体、こういう医療ものの医者は過去に何らかの傷を抱えているもの。それに、合唱コンクールを持ってくるのもあざとい。
あくまで真実の話をドラマ化しているわけで、かなり真面目に作っているのは間違いないだろうが、細かい部分がかなりドラマドラマしているといえばいいのか、これまで何度も使い古されてきたようなエピソードを再利用している。まあ、それくらいしかエピソードがないというのも分かるけど、あまりにも使い古された話を堂々とやりすぎていると思う。王道ドラマも悪くないが、そういうドラマはそれなりに見れても、すぐに忘れられてしまう。なかなか忘れないドラマというのは王道の話であっても、王道とはちょっと違う色を出そうとする王道への恥じらいというものがあると思う。もうちょっと恥じらいを見せてほしいと思ったな。
第2回 10/18放送 視聴率15.1% 演出:村上正典
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
初回に比べたら、だいぶよくなった。幾箇所では感動できるシーンはあった。ただ、やはり、気になる部分はキャラクターが基本的にマンガの世界であることだ。
今回は亜也さんのお母さんの潮香さんが亜也さんの病気「脊髄小脳変性症」を受け入れ、お父さんの瑞生さんと共に亜也さんを支えていこうと決意する回。
どうも、このドラマでは亜也さん本人よりも潮香さん目線の場面のほうが感動できる。それは、確実にキャラクターの設定に理由がある。このドラマはかなりシリアスに作っているのは分かるが、基本的にキャラクターの色付けが一元的でかつマンガ的なのだ。江頭美智留は基本的に「ナースのお仕事」「ごくせん」といったマンガ的な作品のほうが得意な脚本家さんだ。やはり、そちらのほうに偏向気味であるからこそ、こういうシリアスな話のときにもそういうクセが出てしまうのだろう。亜也さんは不治の病に冒され、かわいそうなこと極まりないのだが、どうも、ドラマの中でのキャラクターが優等生すぎるのが引っ掛かるのだ。あからさまにいい子すぎて気持ち悪い。いい子なのだけど…、という「けど」という部分が主人公のキャラクターには垣間見たい。
恐らく、亜也さんのキャラクターは「世界の中心で、愛をさけぶ」の亜紀を多少は意識したものであることは間違いない。しかし、あのドラマで亜紀さんは朔太郎がいての亜紀という関係が出来ており、主人公に相当する朔太郎には少なからず「けど」の部分はあった。だから、亜紀も最初のうちはこれといった欠点はなかったが、それほど目には付かなかったのだ。
亜也さんのキャラクターもそうだし、お父さんの瑞生さんのキャラというか、あれは陣内さんの演技の問題かな。陣内さんっぽくやってください、という演出なのだろうが、どうもあの陣内さんっぽさがこのドラマのシリアスさとは色が違うと思う。陣内さんは嫌いではないが、やはり、あの方の演技はマンガ的だし、やはり、そういうテイストの大きい作品のほうが合っていると思う。錦戸扮する麻生のキャラもそうね、ボンボンでヒネクレ者、まさにマンガ的でしょ。そういう目で見れば、あの中で唯一、普通の生身の人間に近い描写になっているのが潮香さんなのだと思う。薬師丸さんの演技もいい。だから、薬師丸さんのシーンとなるとドラマの色と画が合って、感動できるようになる。
あと、今の高校って、合唱コンクールにレミオロメンの「3月9日」なんて歌うんだね。というか、この曲を使うから、レミオロメンの歌が挿入歌に使われていたわけね。芸能界というのはトコトンつながっておりますな。
第1回 10/11放送 視聴率13.5% 演出:村上正典
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
う〜ん、イマイチだったなあ。確かに病気の内容はとても辛いものであるということは分かった。脊髄小脳変性症は小脳だけが萎縮していって、運動能力やしゃべったり、文字を書いたりする能力だけはどんどん衰えていくのに、自分が衰えていっていることを認識する大脳の働きは衰えないというとても残酷な病気であるわけだ。これは辛い事実だなあ。
恐らく医療における考証はそれなりに行われているのだろう。その部分は評価してもいいだろう。しかし、専門的なことは正直、素人の私たちには分からないのが実情だ。だから、たとえそれがかなり正確なことをしていたとしても、それっぽいことをしているのだろうな、としか映らない。
それ以上に問題だったのは、明らかに私たちの目から見て、おかしな部分がストーリーに存在してしまっている点だ。それは、キャラクターの設定にある。あまりにもキャラクターの性格が一元的すぎるし、ありきたりなのだ。沢尻さん演じる亜也は素直な優等生、錦戸演じる麻生は金持ちのボンボンキャラにある典型的なヒネクレキャラ、成海さん演じる亜湖は瑠璃ちゃん@瑠璃の島を想起しそうな憎まれ口ばかりを叩くかわいげのないヒネクレ者、陣内さん演じる父・瑞生はテンションだけが高い、明るいキャラ。亜也のクラスの人たちが揃いも揃って無気力キャラというのも不自然だと思ったし。あまりにもそれぞれのキャラがよくある役柄像の枠の中に押し込められているように映る。薬師丸さん演じる潮香さんだけがちょっと異質だったのだけど、周りのガチガチにキャラ設定された中に普通の人が紛れ込んだみたいで、若干存在感が薄かった。
このキャラ設定の問題はやはり、江頭美智留の脚本家としての限界を示しているのだと思う。江頭さんは今年は「ごくせん」がバカ売れしたけども、この「1リットルの涙」をやるにしても「ごくせん」をやるときと同じスタンスで書いているのではないかと思う。「ごくせん」のようなコメディが基本のありえない話なら、キャラをガチガチに固めたほうが方程式どおりにキャラを使いこなせばいいわけで、典型の流れを作ることが可能となり、リズムが生まれる。しかし、こういうシリアスな作品を描くときは、そういう一元的なキャラ設定をしてしまうと、シリアスなストーリー自体からキャラだけが浮き上がってしまうのだ。人間というものは必ずしも一元的ではなく、矛盾というものを抱えているもの。二元的や三元的な性格の色合いを滲ませてくれないと、医療面をいくら考証したって、リアルな話にはならないと思うぞ。
演出の村上さんもいつもどおり、平凡な印象が拭いきれない。それなりにはまとめていると思うよ。だけど、正攻法過ぎて、初回だというのに、これといって心を掴むほどの力強さを感じない。役者の演技も悪くはないが、これといっていいとは思えない。このドラマはどこかが突出するでもなく、総合的にイマイチという感覚が捨てきれない。ちょっと危険な船出だ。視聴率も13.5%と厳しい数字だったしね。
放送前の感想
原因不明の難病・脊髄小脳変性症を発病し、昭和63年に25歳の若さで亡くなった木藤亜也さんの手記を書籍化した「1リットルの涙」をドラマ化。ドラマ化される以前に、ミニシアター系で映画版が公開されていまして、DVDは2006年1月21日に発売です。どちらかといえば、ドラマ版より映画版のほうが見たい!主演はドラマ界を牛耳る事務所・スターダストの新たなイチ押し女優・沢尻エリカ。最近ではドラマ「あいくるしい」とか映画「忍 SHINOBI」なんかに出演している期待の若手有力株です。スターダストのゴリ押しは嫌気がさすのだが、スターダストは演技できる役者を持っているのも事実なんだなあ。沢尻さんも大きく羽ばたく可能性は大でしょう。それにしても、スターダストの権力はスゴいね。主題歌のKもスターダスト所属だしね。まあ、作品としては、演出を映画版「電車男」の村上正典さんと「めだか」の木下高男さんというこの手の作品を無難にまとめる力を持った方が担当するので、強い個性はないでしょうが、それなりの作品はできるのではないでしょうか。