のだめカンタービレ
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| 回 | 評価点 | 回 | 評価点 |
| 放送前の感想 | - | 放送後の感想 | - |
| Lesson1 | 8 | Lesson7 | 6 |
| Lesson2 | 6 | Lesson8 | 6 |
| Lesson3 | 8 | Lesson9 | 5 |
| Lesson4 | 9 | Lesson10 | 7 |
| Lesson5 | 6 | Last Lesson | 6 |
| Lesson6 | 7 |
放送後の感想
原作の根強いファンが多数存在する中で、これだけの内容に仕上げたのならば、とりあえず成功といえると思う。それも、この内容を、駄作の温床と化していた月9枠で実現したのだから、賞賛されてしかるべきだろう。月9で、内容・視聴率ともに成功といえるのは随分と久しぶりのように思う。各回に音楽に関連した見せ場を設けて、ホールを借りての大掛かりな撮影も随所に盛り込みながら、個性的なキャラクターのメイクや衣装なども終始崩れないように気配りがしてあったし、スタッフの仕事の細かさをひしひしと感じながらも、大作感もまた味わえる作品だったと思う。映画への出演が多く、テレビドラマへの露出は控えめだった上野樹里さんも抜群のアピールとなって、知名度はグッと上昇しただろうし、人気は高かったものの、なかなかいい役が巡ってこなかった玉木宏さんも千秋役はハマっていたと思う。その他の脇役キャラを演じる人たちも、「電車男」等のコネをフル活用した豪華なものになり、とにかく音楽といい、映像といい、とても華やかなドラマだった。
ただ、原作の多い要素をとにかく消費させようという忙しい脚本になってしまったのは否めない。コミカルさとシリアスさの融合、それをクラシック音楽に乗せて贈るという機軸が「のだめ」がウケた要因であると思うのだけど、コミカルとシリアスの両方を語る上での共通のそのドラマらしいテンションを醸し出させる余裕がなかったように見えた。回ごとにコミカルさとシリアスさの役割分担がなされていたように思えて、全体として滑らかというよりはゴツゴツとした印象の残るドラマだった。結果的には、かなり評判はよろしかったようだけど、決して私自身も楽しめなかったわけではないが、私の中でのピークは第4話だったかな、と思う。
Last Lesson 12/25放送 視聴率21.7% 演出:武内英樹
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
期待したほどは盛り上がらなかった。ほとんど撮って出しのような状態だったらしく、編集段階における細かな演出までに、器用に映像を使いこなす武内さんでも追いつかなかったかな、という感想を持った。
最終回ということで、とにかく展開は忙しかった。のだめが音楽を続けるように説得するため、千秋(玉木宏)がはるばる福岡まで移動し、のだめの家族と一悶着あったあと、R☆Sオケのクリスマス公演の本番とリハーサルを両方描くという15分拡大でも、かなりの強行軍の内容だった。
それに、このドラマはコミカルとシリアスの両方を同時に描いてきたということもあり、シリアスな展開を紡いでいるのはコミカルなキャラクターというあたりの対処に、編集が追いつかなかったといったところ。最終回ということで、それぞれのキャラクターらしさを出さなければならないということから、少しシリアスな展開をしたかと思えば、次の瞬間にはキャラクターのコミカルな部分を出す展開に移って、そうかと思えば、すぐまたシリアスに傾いたり、と振れ幅が大きすぎてついていけなかった。それに加え、その展開の早さに、武内さんをしても、編集でついていけなかったという感が残る。やはり、これだけ早い展開を、シリアス・コミカルともに際立たせるためには、音楽等の重ね方をもっと細かくしなければならなかったと思う。しかし、上野さん、岩佐さんが「いいとも」に出ている段階でまだ最終回の編集をしていたということで、かなりの撮って出し状態でそこまでの細かな演出には手が届かなかったということだろう。
最後の大きな見せ場であるサントリーホールでのR☆Sオケのクリスマス公演は、映画並みの2000人のエキストラを動員しての撮影だったらしく、ありゃ、大変だっただろうなあ、と思って見た。私も過去に某映画のコンサートシーンでのエキストラに参加したので、あの撮影に参加したエキストラの人たちは苦労されただろうなあ、と。そのシーンもSオケとしての集大成と、R☆Sオケとしての集大成の両方を含ませて、器用にまとめてくれていたと思う。ただ、個人的にはSオケのときの「第7番」のほうがより高揚感を味わえたように思う。
とにもかくにも、比較的うまくまとめたほうだと思うのだけど、特に、最終回に関しては、原作に最後まで踊らされていたな、と感じた。余韻など味わう暇のないくらいの忙しい展開で、その忙しい展開にした製作側がその忙しい展開についていけていなかった、という感が残った。
Lesson10 12/18放送 視聴率18.7% 演出:川村泰祐
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今日は久しぶりに見やすかった。これは演出とかそういうことよりも、私の中でこのドラマの中のシリアスな部分とコミカルな部分の折り合いがようやく付いたかな、と思えたからなのだろう。
さすがに、コンクールの最終選考に至るまでの流れはかなりすっ飛ばしていて早送りすぎるくらいだったけど、それも後半でじっくりとのだめのピアノの独奏を弾かせるためだと思えば、納得だった。今回はそうした見せ場をしっかりと踏まえながら、これまでの内容をよく45分でまとめきったな、と思えた。
そのコンクールまでの練習時間を短く見せることで、のだめの現時点での実力がいかほどなのかを不透明にしつつ、ピアノの演奏を聞かせ、弾けるのか弾けないのか、という思いでうまく画面に引き込んでいたと思う。そうした緊張感をうまく醸し出させながら、演奏の途中で「今日の料理」のテーマ曲を挿入させて、のだめが曲を勝手に作曲する場面も用意させ、そこを千秋(玉木宏)らにツッコミを入れさせることでコミカルさもうまく演出していた。
それに、変態の側面ばかりが際立って、なかなか見えてこなかったのだめの人物像に関しても立体として見えてきたと思うし、才能があるのに、のだめがしてこなかった「音楽と向き合う」ということについての、のだめ自身の悩みはクリアに見えるようになった。千秋との関係性についても切なさを醸し出させていたし、音楽をうまく使って、見せ場もこなしながら、シリアスとコミカルをバランスよく配置させていた。
ここ3話くらい、個人的に話が掴みきれない部分があったけども、その3話を経て今回はうまく形になったように思う。この調子で最終回もまとめてほしい。
Lesson9 12/11放送 視聴率19.3% 演出:武内英樹
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
このドラマの後半は、こういう比較的暗い話が続くんだな。原作を知っている人はそういうものかと受け入れられるかもしれないけども、原作を知らない私は前半のアップテンポの展開が恋しい。
今回は、R☆Sオーケストラの面々というより、のだめと千秋(玉木宏)の個人のドラマによりシフトさせてきたのかなあ、と思う。前回ののだめの催眠術で飛行機恐怖症を克服し、R☆Sオケのクリスマス公演の後にシュトレーゼマン(竹中直人)のいるヨーロッパへと旅立つ決意をした千秋。そんな千秋についていこうと、興味のなかったコンクールで1位になり、ヨーロッパへの留学権を得ようと猛特訓するのだめ。今回は完全にこの2人の個人のドラマに徹していたといってもいい。
このドラマの問題点は、回によってテイストが微妙に違うと思えるところだと感じる。オケのメンバーが多く登場して、オケを盛り立てていこうという点が中心の内容の回は群像劇の色合いが強いわけだし、今回のように完全に個人のドラマに徹してしまう回もある。原作を尊重しなければならないということもあるだろうし、調整が難しいということもあるのだろうけど、登場人物が多すぎて、周りのその他大勢の方々の立ち位置がイマイチ定まっていないと思う。キャラクター性が打ち出されていたかと思えば、その他大勢になってしまった回もあって、連続ドラマとして持つべきの軸となるテンションが回の内容によって左右されてしまっている。
相変わらず、演奏シーンに関しては、工夫して捉えられていて、映像表現としては申し分ない。だけども、クラシックのことにはまるで疎い私にとっては、全く聞いたことがない曲だったし、聞いてもイマイチ高揚感が味わうことができなかった。のだめが自己流に弾いているといわれてもあまりピンとこない。恐らく、のだめの複雑な思いを表現させたかったのだろうけど、主人公がグジグジ悩むばかりの展開が続くと萎えちゃうんだよなあ。悩むところは最小限にして、そこを音楽という媒体を通して、一気に過程を見せてしまうというやり方のほうがいいように思う。
それでも、武内さんが「電車男」のチーフDだった関係から、江藤(豊原功補)の奥さん役で白石美帆さんが出てくれていた。それに、のだめの少女時代役に実写版「ちびまる子ちゃん」の森迫永依ちゃんが出演。このドラマはかなりのちょい役に豪華な面々が顔を出してくれたりしていて、そこはとても豪華だなあ。
Lesson8 12/4放送 視聴率19.2% 演出:川村泰祐
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
う〜ん、案外、暗い話だったな。今回は、千秋(玉木宏)の過去のトラウマをのだめが逆行催眠で読み解くという内容。これで、千秋が抱えていた過去の痛い思い出は明らかになったのだけど、素人が催眠をかけたらマズいんじゃないだろうか。倫理上の問題からしても、のだめが催眠をかけるのではなく、医師が催眠をかけるという展開にすべきだったのではないかな。
それはいいとしても、千秋の過去の痛みがテーマだったから、全体的に話が暗かった。こういったちょっとシリアスが入った展開は必要なのだろうとは思う。しかし、ドラマの核となるテンションはどこかで堅持してもらいたい。ここのところ、そのテンションがドラマ開始当初のそれよりもかなり抑え目になってしまっているように思える。やはり、話を端折らなければならず、それぞれの回の内容の色も大きく変わってくることから、それにドラマ全体のテンションも左右されてしまっているように思える。コミカルに傾いても、シリアスに傾いても、変わらないそのドラマらしいテンションのスタンスがほしいと思うのだが、このドラマの場合は、いろいろと内容を消化することに必死になって、そうした核となる部分に弱さが出ているように感じる。
まあ、コミカルな部分はないわけではない。R☆Sオケのお披露目の前段階としての展開はコミカルさを強調したものだったが、やはり、演奏シーンに時間を割かねばならないことから、多くの登場人物の感情の推移等はかなり大雑把にならざるを得ない。やはり、このあたりは端折り方にあまりうまさを感じなかった。だけども、この端折りが演奏シーンの高揚感ですべて見過ごそうという気にさせてくれれば文句はないが、今回はそういうわけにはいかなかった。選曲の問題なのだろうけど、第4話のときのような演奏シーンで一気にそこまでの描写の積み重ねがクライマックスを迎えるという盛り上がりは感じられなかった。
それでも、相変わらず演奏シーンの映像のこだわりはスゴかった。エキストラを大量に動員し、相当数割られたカット、クレーンカメラ等の俯瞰映像も巧みに取り込みながら、作り上げられた映像の完成度はやはり、高かったと思う。普通の連ドラだったら、最終回の見せ場でもいいくらいのシーンだけど、それが第8話という微妙な位置にある回で、これだけの見せ場を作るのだから、お金がかかっているのが分かるし、かなり凝って作られていることが分かる。
ただ、これだけ見せ場が多いドラマとなると、クリスマスに放送することになる最終回ではどんだけスゴい見せ場になるのだろうと、期待が高まるのは必然。ここのスタッフは娯楽を追及すると同時に、自らハードルを上げているわけだ。それに、つまづくということがなければいいけど。それと、早いところ、暗ぼったい雰囲気から脱却してもらいたい。
これは余談だけど、このドラマの後番組の「スマスマ」に上野さんと玉木さんのご両人が出ていたけど、お二人とも面白い方でグッと好感が持ててしまった。2人のいい人柄がアピールできたと思うし、いい番宣だったと思うな。
Lesson7 11/27放送 視聴率19.4% 演出:武内英樹
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
4話以来の武内演出の回だったけども、う〜ん、ちょっと演出を抑え気味にしていたかな。今回のお話は、千秋(玉木宏)の新たなオケであるR☆S(ライジングスター)オーケストラの活動が始まるのだが…というもの。
まあ、そのR☆Sオケはそれぞれの演奏テクニックは抜群。しかし、個々のテクニックが際立つあまり、オーケストラ全体としてのまとまりや結束力は弱い。Sオケに比べれば、テクニックは比べ物にならないが、そういったチームとしてのまとまりはSオケに負けてしまう。今回から、峰(瑛太)や桜(サエコ)も参加することになったのだけど、峰の熱意を冷笑する面々に千秋は落胆する。千秋は今、日本でできる唯一のこととして最高のオーケストラを作ろうとするが、大きな壁にぶち当たったというわけだ。
そうした落ち着き払った感のある面々を描いていたので、今回は演出自体も比較的抑え目に設定してあった。さらには、レギュラーキャラが皆、悩んでいるという展開であったというのも理由にあると思う。連続ドラマだから、中にはこういった展開も必要なのだろうけど、この回のみではあまり心が躍る内容ではなかったな。この回での若干、ウジウジした感じがこれ以後、どうつながっていくかが鍵になるのではないか、と思う。
それでも、武内さんらしい映像も多く見られた。峰の中華料理屋で、舞台調でキレよく役者に台詞を割り振っている一連の流れとか、「電車男」に続き操り人形のように弄ばれる豊原さんとか、ラストの階段を落ちていく水筒(かなり丈夫だったな…)をスローモーションで見せて、それと千秋のトラウマにあった隠された記憶をフラッシュバックとして重ねて見せていくシークエンスとか、やはり、映像を器用に使いこなしながら描かれていると思う。
ただ、個人的には第4話あたりまでの勢いやテンポ感があった頃がやや懐かしくて、ちょうどこのドラマもあと4話だから、もうそろそろ盛り上げ始めてほしいところ。
Lesson6 11/20放送 視聴率17.5% 演出:谷村政樹
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今回は、前半と後半の橋渡しのような内容で、分かりやすくて見やすかったと思う。今回の演出は、「不信のとき」の谷村政樹さんという方。これまでで一番、青春ものっぽさが出ていたように思えた。
千秋(玉木宏)は、演奏会での指揮やピアノにより、音楽評論家の佐久間(及川光博)に注目される。その佐久間からキツい一言が。それほど才能があるのに、なぜ、海外に行こうとしないのか、と。過去のトラウマから海外へ行くことができず、かといって、日本で何を目標にしてがんばればいいのかも分からない。千秋は才能があるがゆえに、自分の歩むべき道を決めかねていた。そのとき、清良(水川あさみ)から一緒にオーケストラを作ろうと誘われ、千秋はその誘いを受けることにする…。
今回は、Sオケが解散ということで、Sオケの面々はそれぞれ別々の道を歩くことになる、という少し切ない回。そうしたSオケでの日々で千秋は、自分が成長したことを自覚しながらも、Sオケの人たちを起用して、仲良し感覚で新たにオーケストラを作るのではなく、今の自分でできる最高のオーケストラを作ろうと、決意していく過程はよく描出できていたと思う。それでも、千秋がティンパニにしっかり真澄(小出恵介)を選んであげていたあたりは微笑ましい展開だった。
そうした千秋を中心に、彼についていこうとする真澄を含めた4人の分岐点をうまく見せていたのではないか。のだめは千秋と一緒にいたいと思って、ラフマリノフのピアノコンチェルトの猛特訓をする。練習ではあったのだが、千秋と一緒に演奏できたことにより、のだめは満足してしまったらしく、特訓をやめてしまう。千秋はのだめの才能を認めながらも、あくまで自己流を突き通そうとするのだめに歯がゆさを覚えていた。たまたまそのときの演奏を教官の江藤(豊原功補)が聞いていたことから、のだめの境遇も変わっていく。そして、峰(瑛太)はどうしても千秋と一緒に演奏を続けたいと切望し、桜(サエコ)共々、Aオケに入って、千秋に認めてもらえるように努力しようと決意する。それぞれにドラマは展開しているのだけど、進む方向が一つに定まって、話の方向性が分かりやすくて、後半のいい橋渡しになっていたと思う。
それでも、ちょくちょく入ってくるマンガっぽい表現も全体を湿っぽくしすぎないように適度に入れ込められていて、笑えた。前半の玉木さんと畑野さん・及川ミッチーの会話のシーンはカットごとに映像のタッチを細かく変えながら、そこにヴェルディの「レクイエム」を重ねて、器用に仕上げていたように思う。それに加え、今回は彩子(上原美佐)の幸薄女のサイドストーリーは絶品だった。上原さんって、よく見る人だけど、あまり印象的な役はなくて、ここまで弾けた演技は初めて見たなあ。また、大河内(遠藤雄弥)の邪魔者キャラも完全に定着して、脇役にいたるまでかなりキャラクターの軸が定まってきたと思う。
毎度のごとく、演奏シーンの出来も出色。今回は、のだめと千秋が2台のピアノでラフマリノフを弾くというものだったけど、これがうまく見せているわけだ。各回ごとに1つの曲にテーマを据えて、見せ場として演奏シーンをしっかりと用意してあって、見せ方もよく考えられている。
Lesson5 11/13放送 視聴率19.9% 演出:川村泰祐
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
オーケストラの演奏シーンはよくできていたのだけど、今回もやらなきゃいけないことがたくさんあったし、二方向でドラマを描かねばならないこともあって、過程の部分はちょいと端折りが気になったな。
前回に引き続き、オーケストラの演奏シーンはうまく素材を組み合わせながら、とてもうまく見せてくれていたと思う。「見せる」ことを意識するSオケと、「聞かせる」ことを意識するAオケの好対照ぶりはよく出ていた。やはり、見せるところはここだ、と見せ場を心得ているあたりは、さすがだと思う。
ただ、今回はのだめと千秋(玉木宏)がSオケとAオケで別々に活動していたこともあり、やはり、前回にあったのだめと千秋の掛け合いの軽快さは薄れた。それに、SオケとAオケの双方があの演奏のかたちが出来上がるまでの過程を描かねばならないということで、その過程はかなり薄めだった。双方ともに結果が優れていただけに、その結果に行き着くまでをもっと丁寧に描いてほしかったかな。とにかく、45分でこれだけを描かねばならないとなればうまく詰め込んだのだろうけど、原作の要素を消化しようと、ちょいと話を端折りすぎたかな、と思えた。
そして、今回はどうやら、シュトレーゼマン(竹中直人)とお別れを描いていたのだけども、やはり、千秋とシュトレーゼマンの師弟関係があまりうまく際立っていなかった。千秋がいつからシュトレーゼマンからいろいろなことを学びとりたいと、尊敬するようになったのだろう、不思議に思った。それに、Sオケが就職活動等で、これで共に歩んだ日々も終わりということになり、ちょっと寂しい雰囲気も漂っていたけども、ややその余韻が不足していたかなあ。やはり、シュトレーゼマンとの別れにしても、Sオケとの別れにしても、その場の雰囲気止まりになってしまって、個人的にはもうあと少し余韻を残してほしかったかなな。
のだめは最後、ピアノを弾かなきゃ、と言っていたけども、原作を知っている人はどう話が転ぶか分かっているからいいのだろうけど、私は原作を知らないので、切り方としては、やや歯切れが悪かったか、とも思う。
それにしても、今回は新キャストやゲストも多くて、豪華だった。新キャストとして、及川ミッチーが登場。そして、秋吉久美子さんが理事長役で、さらに、フジテレビがTBSに対抗した「世界バラエティ」企画のためダウンタウンの松本人志氏もゲスト出演。とにかく、見た目の華やかさはこの上なかった。
Lesson4 11/6放送 視聴率18.3% 演出:武内英樹
評価★★★★★★★★★☆ 9
今回はよくできていた。45分の間によくぞこれだけの分量を詰め込めたな、と思えるほど内容てんこ盛りの回だった。やる内容の多さに加え、登場人物の多さで感情の推移など、端折り気味なのは目立ったが、今回をトータルで見た際に、変化を、うまくメリハリを利かせて見せてくれていた。そして、クライマックスのSオケの演奏シーンの出来がすばらしい。その変化の結果を最後に実にうまく結実させてくれたな、と思う。
千秋(玉木宏)が前回で少しはメンバーに理解を示したのかと思ったら、しっかりと音通りに演奏しろ、と怒鳴り散らす。なぜ、キャラクターを少し戻してしまったのか、とそのときは思った。だけど、それらの答えは後々の展開に根拠があったわけだ。
峰(瑛太)もコンマスとしての役割が明確になってきて、千秋の独善に嫌気がさしたメンバーを説得し、千秋の目が行き届かないところでオケを支える。そうした峰の影の努力もあり、オケは練習を重ね、譜面どおりに演奏ができるようになる。しかし、千秋はここに違和感を感じる。何かこの演奏には足らない。ここで、千秋は自分の独善に気付いていく。この気づく過程をこのドラマオリジナルの「ドラえもん」もどきのアニメを引用することで、自分は一人ではなく支えられていたと自覚していくわけだ。
そこで、初めて千秋は彼らとしっかりと向き合おうとする。そして、気付く。彼らはテクニックはないが、そのテクニックがない分、彼らにしかない自分らしさ、個性がある。あの演奏は譜面どおりだったが、その個性を潰してしまっていた。彼らはテクニックはメチャクチャでも、何か琴線に触れ続けるのだめのような自分らしさがあって、千秋はそれを自分が見ようとしていなかったことに気付いていくわけだ。だからこそ、のだめがSオケのマスコットガールという位置づけだったのだろうな。そうして、千秋は譜面どおりに演奏するのは維持しながらも、彼らの個性を活かすことで、演奏を完成させようという結論にいたる。最初と最後の千秋の変化がスゴくメリハリよく描かれていて、千秋の指揮者としての成長がうまく描かれていた。やはり、このメリハリを示すためには、序盤ではキリキリした千秋を見せておく必要があったというわけだ。
まあ、オケのメンバーの数は多いので、彼らの感情の描き方は粗くなってしまうというのは否めないのだけど、そのときに便利なのが、要所要所に瑛太を始めとして若手の勢いのある役者を配してあること。求心力を画面に与え、多少、強引な展開でも許容できるくらいのパワーがあった。
さらに、そうした細かな粗を吹き飛ばすくらいのインパクトだったのは、クライマックスの演奏シーン。これが実によくできていた。彼らが伸び伸びと演奏している姿を、それぞれの動きや演奏の流れを立体的に意識させながら、画面にも変化を与えるという視聴者への配慮の下、ホントに地道に細かく切り取られた数々の素材を実にうまく編集でつなぎとめていたと思う。キメのポーズをするシーンも見事に決まっていた。しっかりとした演奏をこなしながらも、見ても楽しめる、Sオケの個性が出た演奏の形が明確に示されていたし、細かいカット割りを組み合わせ、テンポよく最後まで見せ切ってくれた。大概は嘘っぽく思える観客によるスタンディングオーベーションも、非常にしっくりとくるものだった。
こうした一連のストーリーだけではなく、千秋のコタツ初体験など笑いどころもしっかりと用意。コタツの甘いヌクヌクとした誘惑を、宇宙からのコタツの侵略というCGで表現しちゃうんだから、パンチが効いているよなあ。そして、コタツが入ってから、見る見るうちに千秋の部屋がのだめの部屋化していく過程も変化のメリハリが効いていて、笑いに転化できていると思う。
相変わらず、のだめと千秋の掛け合いは面白い。のだめが千秋の寝込みを襲って唇を奪おうというくだりも前半のうちは笑いとして描かれていたが、ラストシーンで小洒落たオチを用意させるための伏線としての役割にもなっていて、なかなか考えられている。その他、峰の親父(伊武雅刀)の定食の名前とか、小物類に至るまで隅々までしっかりと伏線を張ってあったりして、気を使っている。
細かいカット割りの画をうまく使いこなし、CGやアニメといったあたりも取り込み、場面に応じて様々なクラシックの曲を劇伴で聞かせていく。このドラマは編集を巧みにこなして、映像をうまい形で利用しながら見せている。そして、細かい小物類など、美術にも目が行き渡っている。ストーリーの流れは多少粗くとも、こうやって映像作品の強みを使って、見せていく。これはマンガ的演出を得意とする武内英樹氏らしさが見事に結実したものである。映像作品として、とても見事な出来だったと思う。
ただ、私は原作を知らないので、この時点で私の中ではかなりのクライマックスを迎えているので、この勢いをどのようにして堅持させていくのかに注目したい。
Lesson3 10/30放送 視聴率18.4% 演出:川村泰祐
評価★★★★★★★★☆☆ 8
今回は前回に比べ、話の方向性が見えてきた分、見やすかったと思う。Sオケの形が出来上がり、それぞれの登場人物の役割も視界が開けてきた。
のだめがマスコットガールというのも、恐らくはバラバラになりそうなとき、オーケストラの面々を留まらせる役目を負っているのだろう。そして、シュトレーゼマン(竹中直人)が千秋(玉木宏)を指揮者にしたのも、指揮者は技術だけあってもダメで、生まれも育ちも違うバラバラの人たちを束ねていかねばならないという肝心なことを、傲慢で自分勝手だった千秋に気付かせ、しっかりとした形で資質を活かしてほしいがためだったのだろう。違うのかな?ともかく、千秋は少しずつ自分の態度を改めようとしているわけだから、ドラマの方向性がより明確になった。
それに加え、上野樹里と玉木宏のコンビのボケとツッコミのコンビネーションは秀逸だと思う。このドラマは、上野さんと玉木さんのやり取りのテンポ感を活かしながら進めていけば、テンポのいい見やすい作品になると思う。そして、瑛太、小出恵介の出番も増えてきて、原作に近いかは知らないけど、ドラマの中ではキャラクターが馴染んできた。さらには、小出恵介との仲がウワサされているサエコも初めて大きな出番が巡ってきた。期限切れの弁当にかぶりついたり、ご飯つぶを口の周りにつけたりして、今まで以上にいい表情をしていたと思う。
そんな人気の若手に負けまいと大暴走を繰り広げているのが、竹中直人さんだ。陰影をつけたドアップの画とか、キャバクラの恨みを千秋にぶつける場面とか、笑わせてもらいました。これ以外にも、桜(サエコ)のお父さん(升毅)の輸入家具屋が一晩で立ち直るなど、かなり強引なストーリー展開を見せているが、演出がマンガ原作であることを心得てテンポ感を大事にして、ドラマの中だけの世界をうまく印象付けてくれているから、気にせずに見ることができた。竹中さんがここまで暴走しても、しっかりとドラマの世界とマッチしているのだから、このドラマの作り込みが優秀ということだろう。「鉄板少女アカネ!!」での陣内さんの暴走演技が完全に浮いているのとは大きな違いといえる。
話の方向性が見えてきたので、これからしばらくのうちは見やすい回が続くんじゃないかと思う。月9もこれだけの作り込みができるなら、何でこれまでやれなかったんだろうな。
Lesson2 10/23放送 視聴率16.1% 演出:武内英樹
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
う〜ん、第2話にして早くもなのだけど、何をやりたかったのか、よく分からない回だった。今回の展開が後々、活きてくるのかもしれないが、今回単体では判断しづらい内容だった。
まあ、後半の千秋(玉木宏)と峰(瑛太)の2人での演奏シーンはいいにしても、そこまで行き着くまでが単なるドタバタに終始して、後半の展開にまるで活きていなかったように思えた。のだめと奥山(小出恵介)の千秋争奪戦もウヤムヤにされて終わってしまったし、オーケストラに参加するメンバーは合コンに明け暮れる日々だったし…。特に、奥山の学校を辞める辞めないの描写は粗かったように思う。オーケストラの形が完成するまでということなのだろうが、最初、バラバラだったものが、何かしら一つにまとまる点を求めたいものだが、今回は最後までバラバラのままだった。
結果的には、早くオーケストラの形を示したいのだけど、早く示しすぎても原作の要素を消化できないし、構成の都合上、困る点も多い。だから、ある程度、原作の要素を加えようと試みた回だったのかもしれない。それが今回はあまりストーリーにおける抑揚がなかったことから、単なる時間つなぎに終わってしまったという印象を受けるわけだ。
でも、やはり、上野樹里の弾け切った演技はすばらしい。目の上に目メイク、上から水をかぶる、化け物のようなメイクと、さながらバラエティにおける罰ゲームのようなシーンにも嬉々として挑戦。風呂に入らないキャラクターの割りには、髪がキレイで衣装のパターンも多すぎるというのは気になるところだが、こういうオフザケのシーンにもしっかりと協力してくれる主演クラスの女優さんは貴重だと思うなあ。あと、ラストの竹中さんののだめにキスをせがむ表情ね。ありゃ、バケモンだぜ。かなり長い間、カメラを回していたと思うのだけど、あの暴走演技が成立してしまうのは竹中さんだけだろうなあ。まあ、最後の泡をふくというオチは余計だったけど。
なかなかの面々を集めているので、十分にキャストの力で持ちそうな気がする。ただ、あまりにキャラクターの数も多く、原作においてキャラクターの骨格がしっかりとしすぎているからなのか、第2話目にして、出番がほとんどないキャラクターもチラホラ。どのタイミングでキャラクターを出して、キャラクター・キャスト共々、魅力を活かさないと、見ている人は満足しないだろう。これから脚本の調整は難しくなると思うな。
Lesson1 10/16放送 視聴率18.2% 演出:武内英樹
評価★★★★★★★★☆☆ 8
おぉっ、これは面白いな。私は原作を読んだことはないので、どこまで原作を再現しているのかは知らないが、聞いた話によれば、ある程度は原作の雰囲気をうまく表現できているということらしい。でも、これは個人的に思うことなのだけど、原作ものをそのまま再現するだけでは意味はないわけで、役者はそのキャラクターの雰囲気さえうまく表現できていれば、あとはその役者でなければ出せない原作とは違った色を出していくというのがドラマの役目なのだろうと思う。
原作を知らない私は、主演の上野樹里と玉木宏はよく演じ切っていたと思う。話によれば、上野樹里はのだめの雰囲気をバッチリ再現しているらしいし。さすが、上野さんは、1年待たされて、役作りに時間があっただけあるし、普段、映画を見ない人にとっては新人女優というイメージらしいが、実際は10本近くの主演映画をこなしており、経験値の高さも同年代の女優とは違うところだ。そうした経験がしっかりと演技に反映されていて、ああいう砕けた役柄は演技に堅さがあると不自然に見えるが、まるで不自然さがなかったというのはすばらしいことだと思う。この大ボケキャラに対するツッコミの役割を果たす玉木宏も思い切りのいいツッコミ演技を見せ、上野さんと玉木さんの掛け合いのテンポのよさは見事だったと思う。
そして、演出の武内さんも器用な演出を見せてくれていたように思う。この方は「カバチタレ!」や「電車男」のようにマンガ的な演出のうまい方で、そのマンガ的な演出センスはいかんなく発揮されていた。「電車男」のときは、一応、実話らしいのに、演出がマンガチックに片寄り過ぎていて、不快だったが、本作はまさに実話というくくりが外れ、いかんなくマンガチックな演出を披露できる場ということで、クラシックの名曲を随所に盛り込みながら、とても器用に映像を組み立てていたように思う。見せ場となる終盤のピアノの演奏シーンも役者本人と代役の方のそれぞれのカットをうまくつなぎ合わせながら、スローモーション、アップ、引き等、様々な素材を活かして、見せ場として平坦にならないように工夫されていた。
その他、美術スタッフの働きも見事で、のだめの部屋がしっかりとゴミ屋敷になっていたのは見事。「嫌われ松子の一生」のような中途半端なゴミ屋敷ではなくて、やはり、映像として見せる際の加減をこっちのスタッフのほうが心得ているなあ、と感じた。
話によれば、怪しげなドイツ人指揮者を演じる竹中さんは原作とはまるで違うらしいけど、竹中さんがあそこまで暴走してくれれば、あれはあれで面白くなりそうに思うけどな。
多少、評価は甘めだけども、ここまで面白い月9は久々に見た。このサイトを始めてからは初めてのことだと思う。駄作の温床が固定化している中で、これだけのレベルに仕上げたのだからその点も評価の材料にしたい。これだけ細かいところに気を配った作品作りは実にフジテレビらしいし、ウワサどおりにTBSで作られていたら、こうはならなかったと思う。結果的に、お流れになって、フジテレビで作ることになってよかったんじゃないか。願わくは、最終回になってもそう言えるドラマに仕上げてほしい。
放送前の感想
ウワサが正しければ、TBSで昨年「花より男子」が放送された枠で放送される予定だったベストセラーコミックのドラマ化作品。トラブルで企画がお流れとなり、それから1年たって、局は変わったものの、ウワサ通り上野樹里主演でドラマ化が決定。音楽もののドラマということで、音楽が絡むシーンをどれだけうまく見せるか、個性的なキャラクターをいかにうまく掻い摘んで見せていくかが鍵。演出を担当するのはドラマ「電車男」の武内英樹氏。脚本は、ここ最近は永山耕三氏と癒着し、ドラマ「スローダンス」、映画「東京フレンズThe Movie」「バックダンサーズ!」(公開中)「月が地球にKISSをする」(来年公開予定?)と次々と脚本作品が公開、放送されている衛藤凛氏。衛藤さんは、仕事は好調だが、どの作品も脚本の出来の評判はイマイチ。果たして、永山耕三氏関連の作品ではない中で、どれだけ個性を見せるかが注目点。