Ns'あおい
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放送後の感想
karte8からなぜか視聴率が伸び悩み始めたけども、数字は13〜14%台を安定して記録したし、この「Ns'あおい」は石原さとみの代表作になったといえるだろう。初の本格主演作でコケるとこれからの女優人生が厳しいかと思っていたが、とりあえずは石原さとみの女優としての将来は明るそうだ。石原さとみの女優としての将来が開けたという点でいえば、このドラマにはそれなりの価値はあるのだろう。だが、それ以上の価値があるとは思えない。確かに毎回、現実の医療問題を話に取り込んではいるものの、最終的にはマンガ的な展開で幕引きとなってしまう。それに、「踊る大捜査線」のパロディーとしか思えない部分もちらほら。あおいのキャラクターにあまり魅力を感じることができなかったのはイタかった。救命救急での3年の経験があおいには感じることができなかった。基本的に新人ナースと変わらない印象で、この3年という設定が活かせなかったのは大きな痛手だ。このような医療もののドラマでリアルに行きたいのか、ライトなコメディーで行きたいのか分からないドラマはもはや時代遅れだと思う。原作のコミックではそれでもいいのだろうが、それをそのまま映像化してしまうと、不自然になるということをそろそろテレビドラマは学ぶべきだろう。ああ、そうそう、ナース・高樹マリアは最初から最後までただいるだけでございましたな。男が見ると、いるだけのキャラにしては存在感がありすぎると思うけど…。
karte11(最終回) 3/21放送 視聴率13.1% 演出:土方政人
評価★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3
最終回になって確信した。このドラマは「踊る大捜査線」と「白い巨塔」の完全なるパロディーだったことを。
始まったあたりから似ているなあ、とは思っていたが、最終回でここまで鮮明にその部分が浮き出てくるとは思わなかった。特に、あおいと高樹(柳葉敏郎)が病院の倫理委員会に招集された画なんかは、まさに「踊る」そのままだ。ギバさんが演じているからなおさらだが、あおいに命令したのは自分だから自分が責任を取る、と言った高樹は室井慎次そのものだ。前々からギバさんの役は室井さんがイメージなのだろうな、とは思っていたが、最終回はイメージではなく、室井さんそのもの。ギバさん、佐戸井さん、小野さんと、随分と「踊る」色の強い面子だとは思っていたけども、やっぱり、はなからパロディーをするつもりだったのね。また、執拗に出世欲を剥き出しにし、病院の合理化を進める田所(西村雅彦)と医療は患者のためにあるべきとする高樹の関係性は、「白い巨塔」の財前と里見の関係性にそっくりだ。
だが、このドラマのダメな点は質の高いドラマの表面的な部分を拝借したはいいが、本質的な部分はまるで話に取り入れていないことだ。「踊る」の美点は、テレビドラマらしいヒューマニズム的な展開はあったけども、最終回で織田裕二演じる青島が湾岸署を離れ、警官に降格されることを素直に受け入れた点だ。室井という同じ信念を持った存在が組織にいることを心の頼りに、青島は湾岸署を去ったわけだ。この結末は1度出来上がった組織はなかなか打ち崩せないという厳しい現実を突きつけながらも、青島と室井が同じ信念を持ちえたというささやかな希望を含ませたものだ。「踊る」はテレビドラマらしい展開を持たせながらも、決して現実の問題を指摘する上で最低限外してはならない点を外していないという優れたバランス感覚があった。ところが、この「Ns'あおい」は実に楽観的でマンガ的な終わり方で、個人的にあまりやってほしくないドライな笑いでの締めくくりも当然のごとく挿入されていた。田所に大したドラマもないまま、突然、いい人になってしまったのも呆気ない。「白い巨塔」をパロったと思える田所と高樹の関係も大して盛り上がりのないまま終了。
この回は表面的な部分は過去の名作のドラマのパロディーで、それ以外のところはマンガ的展開で補っただけの安直なドラマだったように思える。テーマとして重要なことを扱っているのに、その料理の仕方を誤っている。医療もので、楽観的な側面ばかりを強調するドラマはもはや時代遅れといえるだろう。石原さとみの代表作ができたということ以外には、このドラマに存在意義などないといっても過言ではない。
karte10 3/14放送 視聴率12.4% 演出:石川淳一
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回はサラッとかなり大事なお話が満載の回。泉田士長(片平なぎさ)とあおいの関係が明らかとなった。
あおいが看護士になろうと決意したのは、亡くなった母親の臨終の際、とある看護士が必死に助けようと懸命になってくれていたから。どうやら、その看護師さんというのが、泉田師長らしいんだわ。泉田士長はあおいがあのときの娘さんであるのを知ったのはあおいが病院に来てからなのだけど、あおいの実力を見込んで自分の病院に呼び寄せたのだそうだ。まさにマンガ的な運命的な結び付けといったところ。でも、片平さんの存在で話自体はそれほど嘘くさくならず、結構、いい按配のエピソードになった。
だけど、あおいと泉田師長で講演会に行ってきた帰り、泉田師長が持病の高血圧をこじらせ、脳出血で呼吸停止になってしまう。そんなときに限って、大雨の中、車が脱輪し、身動きが取れなくなってしまい、救急車も到着までに30分はかかるという。しかし、これでは泉田師長の命はない…。このシチュエーションはもちろん、あおいが前の病院で救命救急から追いやられるきっかけとなった事件と全く同じ。看護師は医師の許諾なしに医療行為はできない。全く同じシチュエーションであおいはどんな行動をとるのか…?(でも、予告を見ちゃえば、その行動は分かってしまいましたけども)
今回、大きなテーマとなっていたのは、回復見込みのない患者さんの終末をいかにしてケアしていくかというターミナルケアの問題。これはかなり大きな問題で、同じ死を迎えるなら幸せな死を迎えたほうがいいということで、看護の力により安らかな死を迎えさせるにはどうすればよいのか、という命題を扱っていた。このターミナルケアのお話があおいの母親の安らかな死とリンクして、泉田師長はあおいと一緒にターミナルケアの病棟を作ろうと奔走しようとするのだが…。というか、ターミナルケアだけでも十分に1話まるまる使ってもいい題材だと思うし、逆にいえばあおいと泉田師長を主人公にして懸命にその病棟を作ろうと奔走するお話のほうがよっぽどドラマとしては有用なものになったような気がする。
でも、このドラマの悪いところは、その回になって突然、キャラクターに新たな設定が飛び出してくるところ。泉田さんが高血圧だったなんて、今回初めて出てきた設定でしょ。今回に入っていきなり泉田さんが不健康そうになっているしさ。あおいとの関係の秘密だってさ、何も今更言うことないじゃない。私はあなたのことを信頼しているから一人で暴走したりしないで、と泉田さんはいうけども、それなら、あおいが暴走を始める前に言ってやれよ、と思ったりもした。このドラマはこの手のドラマの悪しき習慣で、キャラクターごとに焦点を当てる回を振り分けているからそれまでの展開で脈絡もない設定が突然、ポンと飛び出してくることが往々にある。それ以前の設定でさりげなく台詞の中に伏線をはってくれたら一番ベターではないか、と思う。
karte9 3/7放送 視聴率13.4% 演出:土方政人
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
このドラマって、毎回、テーマとして扱っていることは結構、いいトコを付いていると思う。だけども、キャラによる安直な人情ドラマでその魅力が半減している。
今回は、植物状態の患者さんを前に、治る見込みの少ない患者さんを治療するということは果たして意味のあるのことなのだろうか、というテーマを扱っていた。これは確かに難しい問題だと思う。ドラマの中でもその患者さんの奥さんを通して伝えていたけれども、金銭面、体力面の問題というよりもメンタルの問題が非常に強い。治る確率が非常に小さな中で、どれだけ希望を絶やさぬように気持ちに折り合いをつけるのか。この問題について、このドラマは看護による奇跡に希望を持たせる形で示していた。このテーマの部分に関してはまずまず見れた。
しかし、問題は、キャラの描き方である。人間関係だけを見ていると、人の描き方が平坦で、とにかく薄っぺらなコメディテイストの軽いドラマを見ているような気になる。特に、あおいのキャラにはどうしても馴染めない。大した力量もないくせに、なぜ、この小娘は患者さんの私生活から何まで全てを抱え込もうとするんだ。正直、それは医療の範疇を越えていると思うし、まあ、そこはドラマと割り切ったとしても、あおいがここまでの多くの問題を抱えきれる器用な人物には到底思えないわけだ。
それに、このドラマは感情に流されすぎている嫌いがある。花屋を閉店します、病院を辞めさせます、と最初のうちには言っておきながら、ドラマが終わったらしっかりと前言撤回されている。これは信用問題ですよ。辞める辞めないという問題は一度高らかに宣言したものを、感情に流されて当たり前のように前言撤回するのはよしたほうがいいと思う。
テーマだけは結構、立派で現実的なことをやっている割りには、肝心のキャラたちの人間ドラマはマンガの世界を逸脱していない。こういうどっちつかずの中途半端なドラマほど、見苦しいものはないのではないか。やはり、何かを人に伝えるという場合は、最初に自分の立場というものを明確にする必要がある。その基礎からして、このドラマはなっていない。
karte8 2/28放送 視聴率12.4% 演出:都築淳一
評価★★☆☆☆☆☆☆☆☆ 2
今回は、高樹(柳葉敏郎)に焦点を当てた回。ギバさんのエピソードということだし、随分と前から引っ張ってきたネタでもあったので、少しは期待していたが、ただただあざといだけのエピソードだった。
高樹が奥さん(秋本奈緒美)から離婚を迫られていることは、これまでの展開の中で何度か触れられてきていたし、その亀裂の原因が娘さんへの高樹の接し方であるのもこれまでの展開でほのめかされていた。まあ、これだけ勿体つけた割りには、いたって普通のエピソードだったかな、という印象。
高樹は以前は、寝る間も惜しんで、病院の体制に対抗し、患者の命最優先の医師だった。ある患者の処置をしているときに、高樹の娘が喘息の発作を起こして運ばれてくる。高樹はその場の処理を優先し、娘の処置を後回しにする。その結果、高樹が処置した患者は植物状態のまま、娘は田所(西村雅彦)の処置のおかげで一命を取り留める。この日、高樹は自分の選択で愛娘を命の危険にさらしたことを後悔し、患者全員を救う熱血の医師ではなく、時には患者を選択することも必要という論を持つようになった。また、この日のことで、仕事優先だった高樹に愛想をつかした奥さんは家を出て行ってしまい、それ以来、高樹に娘を会わそうとしない。高樹は離婚するなら、一目娘に会ってから、ということで、これまで離婚を拒んできたということのようだ。
高樹のエピソードだが、いろいろと疑問や失望がある。まず、高樹のキャラクターだが、私は室井さんのように当然のごとく、組織における暗黙のルールを受け入れていかねばならないことくらいは分かっている人かと思っていた。だが、決してそうではなかったようだ。患者の選択というが、娘さんは後から搬送されてきたわけで、自分の家族だろうが、今の患者を優先させるべきで、娘さんは別の医者が処置する、これって、当然のことじゃない?このことで、高樹が田所に弱みを握られたというのはまだ分かるが、この程度のことで高樹の信念は曲がってしまうものなのか?そして、高樹が離婚を拒んでいた理由もよく分からない。離婚はしてもいいから、娘に最後会わせてくれ、といえばいいことではないか。そう簡単に心の折り合いがつかないのも分かるが、あそこまで頑なに拒否している様の理由にはならないように思った。
それに加え、あおいのナメた行動に腹が立つ。江藤(八嶋智人)を丸め込んで当直を代わらせて、高樹を娘さんとのお別れになるバイオリンの発表会に行かせたと思ったら、江藤では患者の対処ができませんから、帰ってきてください!って…。そんなことになるんじゃないかってことくらい、最初から読めていただろうに、何で江藤を残したか、というのも疑問だし、高樹に発表会くらい見せてやれよ、と思った。後からついでのように空港での娘との別れのシーンを付け加えていたが、もう遅い。やっていることと、言っていることが矛盾しているじゃないか。ナメていやがる。
またその空港のシーンもおサムいわけだ。空港のロビーでいきなりバイオリンを弾き出す少女。何をしているんだよ。周りの人に迷惑だろうが。このドラマはとにかくキャラとか小物の使い方があざとい。心優しいおばあちゃん、女の子、ギバさんの熱い涙、女の人ならではの病気、娘の書いた全部ひらがなの作文等々、とにかく人の情けを誘うようなあからさまなことをしてくるのは、とても気にくわない。ここまできたら、全部見ますけど、石原さとみ主演のお膳立てだとしても、なぜ、今更こんな典型的で因習めいた人情話をやるのだろう?理解に苦しむ。
karte7 2/21放送 視聴率14.8% 演出:石川淳一
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
今回は、小峰(杉田かおる)に焦点を当てた回。前回は江藤(八嶋智人)の回で、次回は高樹(柳葉敏郎)の回のようだから、どうやらこれからしばらくは主な登場人物1人1人にスポットを当てながら展開していくようだ。
前回のラストで、体の変調を訴えた小峰だったが、どうやら子宮に腫瘍ができてしまい、看護師の仕事の多忙さでそれに気付かず、かなり病状は悪化していたということらしい。そこで、全部摘出を主治医には勧められるが、それは子供をもう産めない体になるということで…。
このドラマは本当に王道の王道なんだな。内科ナースステーションのお局的な存在だった小峰は、厳しい人だから最初は煙たがれていたが、彼女の本心を周りが知ることによって、小峰礼賛のエンディングを迎えるという、この手のドラマではある程度、型として決まりきったエピソード。
話に新鮮味はないけども、杉田さんが本来の女優魂を見せ付けて、なかなか好印象を与えてくれた。最近はどうもバラエティで毒づく杉田さんばかりが先行しがちだが、女優としての実力はしっかりと持っていることを証明している。ここのところ、杉田さんがバラエティにあまり出ていないのも、このドラマのキャラとあまりにイメージが違うから、いつものイメージを薄める目的があったということかな。それにしても、ギバさんの室井さんばりの演技、西村さんの憎たらしい演技といい、つくづくこのドラマは脇役の演技力に支えられていると思う。
今回も、女性にとっては一大事の子宮摘出という大きな問題をサブテーマに据えていて、子供を産める体を取るか、確実に仕事の出来る体を取るか、という大きな選択を迫られるという実情を見せていた。でも、問題提起としては、あくまでも並一通りで、深追いはしていない。そのような現実の医療問題については、王道ストーリーに花を添えるエッセンス程度の役割に徹しさせているのが、このドラマの特色のようだ。
karte6 2/14放送 視聴率15.4% 演出:土方政人
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は、江藤(八嶋智人)に焦点を当てた回。
これまでの展開では、よくあるマザコンの親のコネで医者にさせてもらったようなお坊ちゃま医師の典型のようだった江藤だったが、江藤にも江藤なりの苦悩があって、あおいのサポートもあり、失いかけていた一人前の医師になるという情熱を取り戻す、というこれまた王道のお話。
江藤が苦悩しているエピソードも全く王道から外れない実によくあるもの。江藤の家はエリートばかりの医者一家。その中で、唯一、出来の悪いのが、江藤だった。自分の無能さにもコンプレックスを抱きながらも、いろいろな人たちが大抵は社交辞令だろうが、「期待しているよ」と声をかける。社交辞令とは分かっていても、期待に添おうと努力しようとしてきた。
エピソード自体にはそれほど心を動かすものはないのだが、今回は八嶋さんがとてもうまく演じていたと思う。八嶋さんが苦悩や葛藤、医者としての初めて味わった喜び、医者としての情熱を再び取り戻していく過程といい、実に巧みに色を使い分けながら、実に分かりやすく演じてくれた。八嶋さんの好演で、江藤のドラマもなかなか楽しんでに見れた。
今回は江藤に物語を与えることで、ここまであまりいい印象のなかった江藤にそれなりの色づけはすることができた。まあ、その他の主要なキャラクターにもそれなりにストーリーを与えてくれているみたいだし、ドラマとしてはキャラクターは次第に立ってきた。この点は評価してもいいだろう。
でも、それにしても普通だ。心象は悪くはないが、それも一時の感情だから、堅実な視聴率狙いのための視聴者へのゴマ擦りドラマではなく、もう少し記憶に残るドラマを作ろうという気概は忘れないでもらいたい。
karte5 2/7放送 視聴率14.7% 演出:都築淳一
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
今回のお話は、王道中の王道の人情話。こういうニワカ医療ものにはよくある"人のいいおばあちゃん"もの。
"人のいいおばあちゃん"ものってのは、まさに定番の話で、スゴく優しいおばあちゃんだから、主人公のナースとはすぐに仲良くなるのだけど、昔ながらの人だからカタカナ、横文字には疎い。だから、医者から早口で説明を受けても分からない。そのおばあちゃんが都合よく倒れてしまうことから始まる騒動を描く。
こういうおばあちゃんが出てくると、そのおばあちゃんはスゴく人がいいし、病気持ちということもあり、視聴者はうらめないという一面がある。だから、こういうニワカ医療ものではそういう視聴者が弱い部分をくすぐって、平凡な展開をやろうが何しようが、あまり文句をいえない状況を作っているといえる。今回は、そういう作り手側のちょっとした甘えの見える脚本だったかな、と感じた。人情話としては、それなりに節々のポイントを踏まえていたから、別に見れないことはないけど、この類の話はこれまで散々、やり古されてきた印象があり、特段、心には残らない。
ただ、病院内のセクショナリズム(縄張り意識)で、それぞれの科はそれぞれで忙しく、複数の科を掛け持ちしている患者についての意思疎通が出来ておらず、それにより大きなミスに発展する可能性の示唆を脚本に含めたことは、多少、新鮮だった。その危険性を大変分かりやすく、単純化されたエピソードで盛り込んであって、そこは適度にハラハラさせながらも、問題提起をしていて、効果的だった。
しかし、そういった現実に起こりうる医療の問題を、定番の人情話に乗せて語ってしまうと、どうも論が鈍くなってしまう。それに加えやはり、気になるのは、あおいのキャラクターの問題だ。大声を上げながら、病院中を駆け回るのは不謹慎ではないか。あれでは、他の患者に病院への不信感を抱かせるだけではないか。病室のすぐ外で看護師が医師を問い質すというのも、行動して問題だ。理想論を浪花節するのも結構だが、すぐそばには患者がいるということを意識して、場所をわきまえるということくらい徹底させてもいいんじゃないか。組織の中で、3年、あなたは何を学んできたのか。
視聴率も安定しているし、こういう腫れ物には触れないというような杓子定規な作りの作品は、安心して見れるということだろう。だが、こんな作りでは、一時の暇つぶしにはなっても、人々の心に残る作品には到底ならないことは確かだ。
karte4 1/31放送 視聴率15.5% 演出:土方政人
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
まあ、悪かないんだけどね…。やはり、パンチ不足感が否めないな。
この回では、あおいの本院で起こした事件の真相が語られた。移送中の患者さんが急変し、その場に居合わせたのは、看護師のあおいと民間の移送車の運転手のみ。看護士は医師の許諾なしで医療行為はできない。しかし、大渋滞のため、このまま何もしなければ、患者は死んでしまう。そこで、あおいは電話先の医師たちの制止も振り切り、医療行為をしてしまう…。
確かに、この回で扱っていたことは重要な命題を扱っていたと思う。患者の命を優先するか、それとも、規則や病院の体面を優先するか。あおいが行った行為は結果として、患者を救ったわけだから、正しい行為だったといえるのかもしれない。しかし、助かったというのは結果論であって、そこでミスをしていたら、針を患者にぶっ刺して殺人行為をし、規則を甘んじたという問題にもなりかねない。だから、あおいの行動は正しいとも、正しくないともいえない難しい論題である。
規則を甘んじてはいけないのは確かだ。患者を救うためという大義名分のためだけに、規則を軽んじてはモラルや規律がなくなってしまう。規則は破るためにある、とよく言われているけども、それは、規則は守るためにあるということを分かっている人、つまり、ここぞというときだけ規則を逸脱する、そのタイミングを知っている人だけが使える言葉だ。そのタイミングをあおいはもっと学んでいくべきなのだろう。そして、あおいだけではなく、医師の下に看護士がいるというトップダウン式の組織体系ではなく、上下に関係なく、意見交換がなされる柔軟な組織作りというのも求められる命題でもある。この回では、ギバさん扮する高樹の口から、その命題を代弁させることで、かなり単純化されていたが、患者の命と規則の関係、組織のあり方といったことへの言及がなされており、それなりに有意義な回だったか。でも、このドラマでのギバさんの役は、ほんと室井さんみたいだね。ギバさんは室井さんをやってから、こういう理想の上に立つ者の人物像を体現できる方になりましたね。
だけど、気になる部分があった。そういった難しい問題を取り上げるのなら、それをより掘り下げる形で進めるべきなのだと思う。だが、このドラマはどうもあおい礼賛に走りすぎている感がある。確かに患者の目線からすれば、彼女は真摯な態度で看護をしているから、その点は誉められてもいい。だが、あおいはいい看護師だ、という部分を前面に押し出しすぎている。規則は軽んじてはいけないし、それよりも前に3年もナースをしているのなら、上司を立てるということを覚えなさい。そう喧々、上司に突っかかるのはよしたほうがいいと思う。上司に意見するタイミングを覚えるべきだし、自分の立場をバランスよく捉える視点を身につけるべきだ。
医療問題を扱うなら、もっと医療問題に的を絞るべきではないか。どうも、そちらの方向に片寄らないように、あおい礼賛に走りすぎているように思える。まだあおいが新人ナースという設定であれば、組織を知らない子がそれを知りながら、成長していくという過程ができるからいいけども、あおいは3年という経験を積んでいる。ならば、もう少しその3年という経験がその人物像に活きてくる展開がほしい。その3年があおいからは見えないから、私は彼女のことをそれほど礼賛すべき人物には思えないのだ。
karte3 1/24放送 視聴率14.0% 演出:都築淳一
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
前回に比べると、少しは盛り返したか。とにかく、西村さんが嫌〜な野郎を好演している。石原さとみも脚本も弱い部分が多いけど、ギバさんとか西村さんあたりの演技でかなり救われている。
前回の一件で、あおいに目を付けた田所は、あおいを追い出すため、あおいが本院で起こした事件について探りを入れ始める。そして、その事件を内科内に言いふらし、あおいの居場所をなくそうとする。そこで、あおいは自らの口から事の真相を語り始める…。
というところで、フェードアウト。結局、今回で語られたのは、初回のしょっぱなで描かれていた部分だけ。あおいが本院を追われた事の核心はまた次回に持ち越し。それにしても、引っ張るね。それだけ、引っ張るだけの価値のあるエピソードなんでしょうねえ?
今回は田所の人物像に焦点を当てた回だったかな。前回は医療ミスまがいのことをして、副院長に大目玉を食らった田所だったけども、今回は持ち前の鋭い診察眼を披露し、患者の隠れた病を見抜いた。売上至上主義で営業マンのような田所だが、腕は確かであるということだ。それに、田所にも医者を志し、純粋に人を救おうとした時期もあったことも明らかに。でも、大概の医療ドラマの意地悪な医師というキャラにはこういうエピソードがある。ベタベタすぎるお話です。それで、ちょいとはあおいに気を許したかに見えた田所だったが、翌朝には豹変し、あおいイジメを本格化させる。西村雅彦さんがこの嫌〜な奴を二面性の抑揚をつけながらも、実に嫌らしく演じており、キャラクターにはこれといった真新しさは皆無だが、西村さんの演技で随分と救われている。そして、ギバさんも今日は室井さん顔を数多く見せながら、悩める医師を演じていた。
それでも、やっぱり石原さとみは役のイメージに合わない。それに加え、美空あおいというキャラ自体にも問題があると思う。もう少し口を慎みなさい、と正直、思ってしまうわけ。病院内では上司にあたる医師にそうズバズバ苦言を呈するのはどうか、と思う。新人のくせに、と言ってやりたいが、あおいの設定は新人じゃないんだよね。だけど、石原さとみでは、新人ナースにしか見えないわけよ。
話自体に魅力的な部分はまるでなかったけど、とりあえず見れないことはない出来だった。このくらいの出来だったら、最後までいけそう。とりあえず、次回のあおいの起こした事件の真相はちょっと気になる。
karte2 1/17放送 視聴率13.8% 演出:土方政人
評価★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3
あ〜ぁ、一番危惧していた方向に進んでいるなあ、このドラマは。
私が危惧していたのは、コメディ的なオフザケの部分とシリアスな部分を適当につまんで、組み合わせたようなドラマになること。コメディにするか、シリアスにするか、そのどちらかの極を選べば、それぞれに楽しみ方はある。だけど、それらを折衷しておけばいいというスタンスのドラマが一番タチが悪い。シリアスな部分で描き出したいメッセージ性というものがかすんでしまうし、コメディの部分もシリアスな部分に時間をとられて付け足しのような感じになってしまう。とにかく、こういうスタイルのドラマほど、中途半端になりやすいものはない。実際、第2話にして、その中途半端感が伝わってきた。
あまりにキャラクターが型にハマりすぎていて、全くとして惹かれる部分がないというか、リアリティのカケラもないし、ただのアホだろう、と思ってしまう。特に、問題だと思うのは、田所(西村雅彦)と江藤(八嶋智人)かな。田所さんが今回の内容の中でやっていたことは重大な医療ミスですよ。それも、重篤である可能性のある患者を放置する。それが、内々で済まされて、田所医師の責任問題は全くとして生じない。あんなあからさまなミスをしておいて、患者さんは助かったから、笑ってハッピーエンドなどで済む問題ではないだろう。江藤もいくら医者一家のボンボンだけど、とんだバカ野郎の無能な研修医だとしても、あそこまで技術のないのは問題でしょう。今は度重なる病院側の不祥事で風当たりがただでさえ厳しいわけだから、キャラクターの作り方とか医療ミスの問題だとか、もっと脚本の人は真剣に考えて書くベきだと思う。何年か前だったら、こんなスタイルの医療ドラマでも成立したかもしれないが、今という時代はいくらコメディ仕立ての部分があるとしても、いささか時代遅れではないか。軽はずみにこういうドラマを作るべきではないだろう。
それに、どうも石原さとみ扮する美空あおいのキャラクターに魅力を感じない。所詮は看護師経験3年とちょっとの若造が医者にいっちょ前の口を叩いているんじゃない、と思われても仕方がない。本当に口の減らない女だと思う。それも、妥協というものを知らず、理想ばかりを口にする浪花節癖も正直、腹立たしい。
ちょっと第2話にして、危険信号が点滅し始めましたかね。まあ、あと1話、2話くらいは見るつもりですけど、それでも馴染めなかったら、途中棄権の可能性が濃厚だな。
karte1 1/10放送 視聴率16.4% 演出:土方政人
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
今回は、看護士の美空あおいが"最終処分場"と呼ばれる腐敗が進んだ病院に転勤となり、孤軍奮闘しながら、この病院の腐敗体質に気付いていくというあたりまでの展開。
上の物語の概略はちょっと堅めに書いたけども、全然そういうお堅い話ではなく、予想通りの作調だったかな。シリアスであるとも言い切れないし、病室の患者がドラマ「電車男」のネットの住人たちであったりと、緩い笑いの要素も入れ込めてあるけどもベタベタなコメディとも言い切れない。そのどちらの要素も折衷した、よくある作調のドラマだったかな、という感。まあ、終盤の急変した患者さんへの蘇生を図ろうといろいろ施策を講じているときは、土方さんの手際よい演出もあり、なかなかの緊迫したシーンとなっていた。かなり予定調和だったけども、別に悪くはないという感じだったかな。
だけども、見ていて、特段、大きな満足感があるわけでもない。このドラマを見て、思ったのが、「何を今更」ということだった。終盤の蘇生術を試みるシーンの出来は悪くないが、あんな感じのシーンは「救命病棟24時」やら「白い巨塔」やら数多くの医療ドラマで見てきたものだったし、シーン自体もこれといってこのドラマに特徴的なシーンであるともいえず、「どっかで見たことがあるぞ」という既視感は否めなかった。それに、ストーリーやキャラクター設定もこれといった面白みはなく、どれも予定調和であり、既視感バリバリのものばかりだった。そこで、当然思うのが、これまで何度となくやってきたような職業ものの典型例のようなドラマを、なぜ、今更焼き直す必要があるのか、ということだ。
その理由として考えられるのは、主演の石原さとみの通過儀礼という面だろうか。まあ、若い年代で早々にブレイクした女優さんにとって、とりあえずは高校生役なり学生の役柄を演じていればいい。だが、年を重ねていくうちに、学生役だけでは仕事に行き詰るときが必ずやってくる。それを見越して、将来を考えれば、学生役からこのような職業ものへと衣替えをしていかなければいけない時期がくるわけだ。石原さとみさんも数多く学生役をこなしてきたとは思うけど、もう高校も卒業したことだし、なおかつ学生役を演じたドラマでこれといって代表作が出ていないことから、新たなジャンルを開拓するという意味でこの職業もののドラマに挑戦させた、ということは、最初から職業ものの経験のない女優さんに複雑な問題をはらんだ作品の主役をはれ、と言っても無理だから、典型的な職業ものを作った、ということで、とりあえずは説明がつく。
ただ、問題なのは、まだ初回の時点でこれをいうのは酷かもしれないが、まだまだ石原さとみさんの演技の印象が幼いということだ。それは演技力がないということではないが、美空あおいの設定を考えると、ちょいと説得力に欠けるか、と思えてしまう。石原さとみさんの演じている美空あおいは、日本でも屈指の大病院の1分1秒を争う救命医療センターで3年も経験を積んできたナースなのである。3年も勤めれば、嫌でも医療の現場の黒い部分などは少しは見えてくるものだろう。だが、あおいの言っていることは、まだケツの青い青二才の発言としか思えない。石原さとみさんのイメージもあり、どうしてもあおいが今年、看護師になりたての新米ナースにしか見えず、救命医療センターでの3年という設定が迫ってこないのである。
ただ、気になるのは、あおいがその大病院から系列の最終処分場に異動させられた理由だ。初回の段階ではその理由はまだ明らかにされていない。そのとある事件がきっかけで、自分を見直し、正義感をより強いものにした、という後々のドラマが用意されているのであれば、やる気のない病院の中で一人孤軍奮闘するあおいの正義感の説明になるだろう。初回の石原さとみさんの演技では直球すぎて、何か信念や葛藤があった上での正義感であるという点が伝わってこない。もし、このまま特段の説明もないままであると、薄っぺらな常識知らずの正義感を振りかざしているだけ、という印象しか受けない。
脇役でなかなか好印象を受けたのは、バラエティーでの杉田節を封印し、クールであり続けた杉田かおる氏と、我らが室井さんの柳葉敏郎さんかな。主人公のあおいも含め、彼らのドラマの展開にも期待したい。初回の印象ではベタベタな職業もの、医療ものという感があったが、それだけで視聴者を引き止めていられるとも思えない。次第に、このドラマ独自の色というものを出していってもらいたい。
放送前の感想
とある事件で大病院からその系列の病院へと異動することになった看護師あおいが問題ばかりのその病院を変えていく医療ドラマ。人気は高いのだけど、「ウォーターボーイズ2」以来はこれといって代表作の出来ない石原さとみが単独では連続ドラマ初主演を果たす。これが初主演ということだから、石原さとみにとってはこの作品の成功いかんでこれからの女優としての展望が大きく変わってくることだろうから、がんばってほしいところ。ただ、問題なのは、このドラマが真面目な医療ものを目指すのか、コメディに徹したリアリティ無視の薄っぺらなドラマを目指すのか。そのどちらになるかでもだいぶ印象は変わると思う。個人的には前者のほうが見たいけど、どちらでもいいから、そのどちらにもつかない中途半端な何をやりたいのか分からない1作にはしてほしくない。石原さとみはあのちょっとハスキーな感じの声が結構、好きだから、応援してあげたい。それと、高樹マリアが看護師役で出るらしいけど、いやいや、それじゃ、AVじゃん!!