ロ ン ド
輪舞曲
-RONDO-
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放送後の感想
出だしはよかったのに、後半になって案の定、ダメになった。まあ、琢己(竹野内豊)が神狗に潜入しているまではよかった。だけども、神狗のドンである風間龍一郎(杉浦直樹)が逮捕されて以降、一気に盛り下がっていったと思う。基本的にこのドラマは「インファナル・アフェア」と「シュリ」のパロディーだったな。パロディーなら、それなりにまとめてあったらそれでもいいと思う。しかし、最低限の作品のレベルに達していないものは高尚な意味でのパロディーとなっていない。どちらかといったら、パクリに近い代物だ。まさにこのドラマがそれだ。平野さんの映像やハイテンションな演出は嫌いではない。大作感やハードボイルドの質感は十分に感じさせてはくれた。しかし、その内容が「インファナル・アフェア」と「シュリ」を適当にくっつけただけの話ではせっかくのお膳立ても空しく映る。日本ドラマはやはり、こういう大型サスペンスものを見せる力はあまりないようだね。「逃亡者」での失敗をまるで活かせなかったTBSだけども、今度こそは「輪舞曲」の失敗を次に活かしてほしいね。
最終章 3/26放送 視聴率17.7% 演出:平野俊一
評価★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3
最終回というのに、内容がほとんどなかったな。地味〜な見せ場だけで69分必死で取り繕ったって感じだった。
結局、このドラマってのは、チェ・ジウの口から「過去は変えられないけど、未来なら変えられる」という台詞を言わせたいがためにここまで引っ張ってきたということなんだろうなあ。それだけならば、無理に11話の連ドラに引き伸ばさないでも、2夜連続のスペシャルドラマくらいにまとめてくれたほうがよかったと思う。日韓の友好をアピールするのは別に悪いことではないけども、その社会的意義のあるテーマを扱っているからって、内容がつまらなくていいというわけではないのだ。
ソンがサイバーテロを実施するか否かが見せ場だったのだけど、その見せ場が案の定ショボい。というか、予想を遥かに超えたショボさだった。ソン(橋爪功)がユナ(チェ・ジウ)とユニ(イ・ジョンヒョン)のあんな見え透いた泣き落としにすんなりと引っ掛かってしまうなんて…。そして、ソンがサイバーテロを諦めたかと思ったら、どうやって脱獄したのか知らないが、風間龍一郎(杉浦直樹)が登場し、ソンを射殺。龍一郎がサイバーテロを実行しようとしたところに、これもどこから逃げ込んできたかは知らないが、龍吾(速水もこみち)が登場し、龍一郎を刺殺。はっきりいってここらの一連の流れはギャグそのもの。龍一郎にしても、龍吾にしてもどこから現れたわけよ?何で、ラストになって、こういうグダグダな展開を持ってきちゃうのよ。今となってみれば、神狗って、幹部の皆さん、甘っちょろい奴等ばっかりだったちゅうことですな。
それにしても、内容がなかった。見せ場として引っ張るというのもこの手の作品には必要なのだが、その見せ場の見せ方というのがなっていない。テロを仕掛ける側と阻止しようとする側、もう少し緻密に駆け引きを繰り広げてもらわないと。その駆け引き自体が全くなく、実に見応えがない。確かに平野さんはその映像センスであの手この手で盛り上げようとしてくれているのだが、その映像センスの活用はそれに伴った内容の緻密な組み立てがあってこそ。内容が空っぽなのに、映像だけで盛り上げようとしてもそれは空しいだけだ。
平野さん(演出)と渡邉さん(脚本)のコンビの作品は「逃亡者」「いま、会いにゆきます」と、出だしはいいのに後半になるとダメダメになってくるんだよなあ。私は平野さんのようにクライムもののダークトーンや細かいカット割りを使いこなせる方はなかなかいないから、もう少し内容が最終回まで持たせられる脚本を用意しなければいけないな。
第十章 3/19放送 視聴率14.6% 演出:平野俊一
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
う〜ん、やっぱり、こりゃ「シュリ」だな。前回はちょっちオリジナルが入ってきて、違った方向に行くのかな、と思ったが、基本的なストーリーは「シュリ」のままだ。
前回、ユナ(チェ・ジウ)はソン(橋爪功)が実の父親ではなく、実は実の父親を殺したテロリストであることが、琢己の口から告げられた。ユナは全てを理解し、ソンの日本をサイバーテロで襲い、ちょうど日本が韓国を併合したときのような状況に日本を陥れようとする計画を阻止することに協力することを決意する。ソンは龍吾を罠にハメ、全ての濡れ衣を龍吾に着せ、自分は雲隠れし、着々とテロの準備を進めていた…。
ユナを敵側ではなく、味方につけたという点は日韓の融和をアピールした部分で違うのだけど、基本的なストーリーはまるまる「シュリ」とほぼ同じ。「シュリ」は韓国の情報局と北朝鮮のテロリストとの攻防を描いていたが、このドラマは日本の警察と韓国のテロリストとの攻防に設定をちょいと変更しただけだ。「シュリ」の有名なシーンでサッカースタジアムでの爆発物の解体作業をするシーンがあったけども、このドラマは開き直ったのか、見せ方は違えどサッカースタジアムの場面が登場。まさに、そのまんまだ。ソンは、日本人が過去の忌まわしい戦争の歴史や今そこにある危機をまるで考えていない能天気な輩であることに憤慨し、テロを企てたとのこと。このテロリスト側の主張も「亡国のイージス」と激似なんだなあ。
ただ、ここからがテレビドラマとしての限界。テロの方法がサイバーテロ。サイバーテロというのは、頭の中で考えればそれが実行されれば日本が壊滅状態になるということは分かる。だが、それを映像表現として見せるとなると、金はあまりかからないが非常に画としては地味にならざるをえない。日韓の対立と融和というテーマから考えると、テロは阻止されるだろうということくらいは予想できる。そのときの映像を考えてみても、サイバーテロではあまりに画として呆気ないものになりそうな感がプンプンするのだ。せめて、そのテロが実行されたら、具体的にどのような被害が出るのかという部分を鮮明にすべきだし、余裕があればイメージ映像を琢己の夢か何かで挿入すれば、サイバーテロの脅威が具体的につかみやすくなるのではないか。爆弾の解体という実に分かりやすいものにすれば、テロが実行された結果がどうなるかは見える。それに対し、サイバーテロは、現実に起こったときの脅威は十分承知の上だが、映像表現の見せ物として非常なリスクを負うものであるのだ。
神狗も今となっては意外とショボかったし、やたらとスケールのデカい設定にはなっているものの、映像は必死で大作感を出そうとしているものの、やはり、脚本がそれに追いついていない。だんだんショボくなってくるとは思っていたが、案の定ということでした。
第九章 3/12放送 視聴率14.1% 演出:山室大輔
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
前回までの「シュリ」的な展開から、今回からはどうやらこのドラマオリジナルの方向へ話が移行するみたい。とはいっても、韓国ドラマに媚びを売っているような展開であまり好きになれなかったけど…。
24年前の神狗による爆破テロの際に、琢己の父親(吹越満)が殺害された。琢己はこれまで風間龍一郎(杉浦直樹)が父親を殺したと思っていたが、第7話で風間は無関係であったことが判明。そして、その真犯人がソン(橋爪功)であるのが明らかとなった。さらには、チェ・ユナ(チェ・ジウ)とチェ・ユニ(イ・ジョンヒョン)の実の父親はソンではないことも判明。ユナとユニは実は日本人で、爆破テロの際、犠牲となった警官・佐倉の娘であったのだ。つまり、ユナの父親を殺した張本人こそがソンであり、残された2人の娘を引き取り育てていたのだ。琢己とユナは24年前既に会っていたということになる。ユナはソンにこれまで育ててきてもらった恩義で日本を標的としたサイバーテロのプログラムを作成しているが、この衝撃の事実を受け、ユナの心はどう揺れるのか…?
今回明らかになったのは、このドラマでの一番の悪党はソンであったということ。風間龍一郎と龍吾(速水もこみち)の親子を手玉に取り、神狗を裏で操り、日本を未曾有のサイバーテロで襲おうと計画している。さらに、24年前の爆破テロの実行犯がソンであり、琢己とユナの親を奪ったのもソンであるということらしい。だけども、極悪のテロリストにも呵責の念があったのか、犠牲者の娘を預かり、育ててきたという人間的な一面もある。ここまでの展開で謎に包まれていたソンの人物像が浮かび上がってきた。
今回からは韓国ロケで映像にも気合いが入っていたけども、ストーリーはどんどんとミクロな方向に向かっております。琢己とユナに過去に何らかのつながりがあるのではないか、ということくらいは予想がついたけども、琢己もユナも爆破テロの被害者の遺族であるというつながりがあり、24年前に既に会っているとのこと。この展開は「インファナル・アフェア」にも「シュリ」にもないので、このドラマオリジナルの展開となる。だが、この運命的な結びつきみたいなやつは結構、この手の作品の常套手段だったりもするし、韓国ドラマが実に多用する手段でもある。さすがに、琢己とユナが兄弟だったとかいったらやりすぎだったから、兄弟にまで行かなくてよかったと思ったね。だが、少なくとも、このドラマにはオリジナリティーは皆無ということは間違いない。
ユナとユニには、2つの母国があるということだね。生まれた国の日本と、育った国の韓国。ユナは琢己と対立はしながらも心は揺れる。ユニは八百屋の松平夫妻と仲良くやっている。ユナにより日本と韓国の長きに渡る対立の歴史を表現し、ユニにより現在の人物と人物との交流は進展しているという融和を表現しているのだろう。日本と韓国の政治的にはしこりが残るが、文化的には交流が盛んという微妙な関係を、この姉妹の境遇で物語っているのだろうね。でも、パロディー全開の作調でこの高尚なメッセージがどこまで伝わっているのかは微妙。それと同時に、日本と韓国の融和をアピールした形にしたいであろうから、結末は恐らくハッピーエンドであろうことも大体は読める。
それにしても、初回のどうだ、と言わんばかりのスケールの大きさはどこへ…?このドラマにおいて、神狗って、あんまり重要じゃなかったみたいね。結局は、24年前の爆破テロの実行犯とその被害者の家族の話というのが近いかもしれない。第6話であっさりと風間龍一郎が捕まっちゃったあたりまでがピークで、後は話のスケールはどんどんと下降線というところ。次の次の最終回の見せ場といえば、サイバーテロということになるのだろうけど、どうもがいてもサイバーテロを映像として見せ場にするのは至難の業だろう。初回に比べると、尻つぼみであることは否めないな。あと2回で何か思いもしない展開になることを期待したいが、たぶんそれはないな。
第八章 3/5放送 視聴率13.2% 演出:生野慈朗
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
一通りの見せ場は終わってしまったのか、今回は展開としてとても地味になったなあ。
今回も多少は新事実が分かりました。韓国側の神狗の一味だと思われていたキム・ヨンジェ(シン・ヒョンジョン)は実は韓国警察の潜入捜査官だったということらしい。そんなトコだろうなあ、とは予想していましたが、案の定。神狗の中には、琢己(今回からショウから琢己に変更)とヨンジェというモグラが2匹いたっちゅうことですな。でも、この展開になると、以前のユナ(チェ・ジウ)に対する行動とかに意図がよく分からない部分が出てくるような…。基本的にこのドラマって、後から説明されてなるほどとは思うけども、改めて考えると描写の辻褄が合わない部分が多いような気がする。ま、雰囲気先行のドラマだから、あえて触れないでおくけど。
前回でユナが神狗のハッカーで、ソン(橋爪功)の娘であることは判明した。今回はユナがそのハッカー技術を披露して、神狗にモグラであることがバレた琢己を追い詰めていく。琢己は神狗にうまくハメられ、管理官殺しの指名手配犯にでっち上げられる。今回は琢己とユナが任務と愛とのハザマで苦悩するという煮え切らない内容だったし、琢己は指名手配されて伊崎との密会場所のボーリング場でずっと携帯が鳴るのをじっと待っているだけで、ユナはハッカーという設定だからパソコンに向かっているだけだったから、まるで動きがない。ラストシーンではこれまた案の定、琢己とユナが銃口を向け合った状態で、次週へ続く。あと3回あるからまだ撃ち合いはしないだろうけど、この構図って、思い切り「シュリ」じゃん。
内容もグジグジしていて大して進展もなかったし、それに加え主人公たちがほとんど身動きを取っておらず、動きに乏しい。ラストの主人公同士が銃口を向け合うシーンも某パクリ大国の映画のデ・ジャヴだしなあ。今回は退屈な回でした。あと3回どうやって話を引き延ばすのでしょうか?パロディ(パクリ?)したのは大目に見るとしても、パロディをするならするで飽きさせずに見せてくださいよ。
第七章 2/26放送 視聴率15.5% 演出:平野俊一
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回も前回に続き、いろいろと話が展開した回だった。話はものスゴく転がっているのだけども、その転がっている先が思わぬ方向ではなくて、予想範疇の方向なのね。ああ、やっぱり、そういうことなのね、という感じに。
今回分かったことを整理しておくと、まず、前回、神狗の風間龍一郎(杉浦直樹)体制が崩壊したのだけども、それは意外にもあっさりとしたものであった。その裏には、龍吾(速水もこみち)によるクーデターがあったわけだね。龍吾が風間龍一郎の独裁状態にある神狗を乗っ取るために、企てたことのようだ。その後に、神狗のハッカーの手により、これまでの神狗の犯行を全て龍一郎に濡れ衣を着せるように情報を全て書き換え、神狗の幹部は知らぬぞんぜぬを決め込むろいう手はずだったらしい。要は、龍一郎がハメられたということのようね。そして、そのハッカーというのが、どうやらチェ・ユナ(チェ・ジウ)らしいんだね。それに加え、ユナはソン(橋爪功)の娘ということのようです。
今回の見所は、やはり、ユナも神狗の手下の一人だったということね。だけど、前回の時点でユナは神狗と関係があるんだな、というのは何となくほのめかしてしまっているし、これからのことを考えれば、そういう展開でなければ、話を引き延ばすことはできないしな。「インファナル・アフェア」の次は「シュリ」になるんじゃないかな、と予想していたけども、案の定、そういうことみたいね。また、ユナの父親がソンじゃないか、ということも何となくは予想がついていたこと。
というかね、これくらいの展開がなければ、とてもあと4話は引き延ばせませんよ。予想はしていたし、最低限このくらいはないと盛り上がらないだろうな、という展開が起こっただけで、特別な驚きはなかった。やっぱり、そうだったのね、という納得の気持ちと安堵感を持ったというのが実情かな。
しかし、今回も平野俊一さんが演出していたのだけども、平野さんらしい映像の使い方が随所で見られており、暗いタッチの映像といい、手持ちのブレや画面の揺れといい、ハードボイルドらしい雰囲気はよく出ていた。この雰囲気は好きだ。さて、これからの展開だが、そのまま「シュリ」をパクる、いやいやパロディーするということであれば、最終的にはショウ(そろそろ琢己にすべきかな)とユナは銃口を向け合うことになるのではないかな。そして、ユナは撃ち殺される…?韓国から呼び寄せておいて、悪党で最終的に死すって、この展開どおりにいくかは正直、分からない。あくまで「シュリ」どおりにいくならこうだ、ということでね。でもなあ、「インファナル・アフェア」の場合も、結末までは同じではなかったけど、鍵になる部分は同じ展開があったりもしたから、やりかねないだろうな。元ネタを意識しつつ、そこからどれだけ話を逸らせるか、という部分がこれからの焦点か。
第六章 2/19放送 視聴率14.6% 演出:平野俊一
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
おぉっ、やっぱり、今回は見せ場見せ場の連続でございましたな。前回、製作費をセーブして、枝葉の部分を全部済ましてから挑んだ理由が分かる。
どうやら、この「輪舞曲」は二部構成となっているようで、この回までが第一部で、次回からが第二部ということとなりそうです。今回で、神狗のボスである風間龍一郎が逮捕され、実は船の中にあったという偽札工場も発見されて、一件落着かと思いきや!ショウの目の前で、何者かにより伊崎が射殺されてしまう!伊崎を射殺した暗殺者は、一体、誰の指示で動いていたのだろうか?そして、新たに浮上した黒い闇とユナとの関係とは…?
とりあえず、見せ場が多かったので、普通に見応えありましたよ。CGのヘリを飛ばしたり、エキストラを大量投入したりした偽札工場摘発のシーンとか、平野監督はこういう大掛かりなシーンとなると、やはり、うまさを見せ付けるなあ。「アンフェア」がこういう大掛かりなシーンが下手くそだから、お手本にしてもらいたいくらいだ。
今回で、とりあえず風間ホールディングス関連の話は一件落着。ショウの父親を殺したのは、とりあえず、風間龍一郎みたいだったし、警察に潜り込んでいたモグラは牛山(光石研)だったようだ。これで終わりかと思った矢先、さらなる陰謀がショウを待ち受けているというわけだ。
ここまで重要な登場人物であった伊崎が何者かにより殺害されてしまう。潜入捜査官の上司が殺されるくだりは、まるまる「インファナル・アフェア」そのまま。ここからの展開では、その新たなる陰謀の影とユナとの関係が焦点になってくるはずだ。なかなか心惹かれる展開である。
だが、一つ気になったのが、もし、ユナが何か別の組織、もしかしたら、本当の神狗の姿と大きく関係を持つスパイ的な存在だったとしたら、ショウとユナはこれから、警察官と犯罪者という愛し合っていたとしても、決して結ばれることがない2人の関係となってしまう。そうなると、これは思いっきり「シュリ」そのままだ。「インファナル・アフェア」のあとは、「シュリ」?あまり如実に参考にした題材が分かるような作りはどうでしょうか…。でも、「シュリ」も源流を辿れば、日本のドラマに行き着くわけだから、某パクリ大国から日本に題材が帰ってきたと考えればいいかな。パクリならパクリで、中途半端にならなければ悪いことではないと思います。あまり話を広げすぎると、「逃亡者」のように尻つぼみになっちゃうから、ちょっとそこは心配かな。
第五章 2/12放送 視聴率14.8% 演出:山室大輔
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
恐らく、今回はストーリーの細かい枝葉となっている部分をチーフの平野さんの順番が来る前に、山室さんが処理したというような印象の回だったかな。
ショウの繰り返される命令を無視した単独行動の連続にシビレをきらした伊崎はショウの潜入捜査官としての任を解こうとする。しかし、神狗に父親を殺された復讐心に火がついたショウは伊崎を軟禁し、風間龍一郎を暗殺しようと画策する。そんなとき、ショウは、潜入捜査官になって以来、会っていなかった母親と出くわしてしまう…。
恐らく、演出家の順番からいえば、次回がチーフ・ディレクターの平野さんの演出する回でしょうから、今回は主だった展開は次回の平野さんの回に譲ることにして、ストーリーの細かい部分を山室さんが担当という回だったのではないでしょうかね。
いろいろと展開はあったけども、その全てにおいて、「これからどうなる?」という部分で、今回は幕切れ。今回、焦点を当てられていたのは、ショウの心理の葛藤。父親を殺された復讐を実行に移すのかどうか。これまでほとんど出番のなかったショウの母親役の風吹ジュンさんに初めて出番らしい出番が登場し、復讐など薄汚い感情は捨てなさいと、ショウを諭す。これまでなおざりになりがちだった親子の関係にもある程度力を注ぎつつ、ショウが思い悩み、これからどう彼の中で結論を導くのか、という葛藤を描いていた。今回は葛藤のみで、その答えは来週ということで。
これ以外にも来週は、ショウとユナとの関係性にしても、本格的な進展を見せるはず。そして、遂に神狗側もモグラの正体に近づいてきて、神狗側もショウに的を絞るのも時間の問題といったところ。さらに、警視庁側に忍び込んでいるモグラの正体も来週には分かりそうな感。恐らく、来週は前半戦の大きな山場となる回のはずで、今回は次回の大きな展開のためのお膳立ての回だったように思います。
第四章 2/5放送 視聴率15.8% 演出:生野慈朗
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今回は、なかなか見応えがあった。前半のショウとユナの交流を描くさながら韓国映画を想起させるようなベタベタな軽い展開、そして、後半の「神狗」の仕掛ける幾重にも重ねられた罠を描くサスペンス色の強い重い展開。前半の軽さと、後半の重さの対比がよく効いており、軽くなりすぎず、重くなりすぎずで、ほどよいバランスを持った回に仕上がった。
私にとっては、前半の展開は軽すぎると思ったが、後半の展開は銃撃戦から爆破といった見せ場まで用意されていて、展開も含め見応えがあり、話が一気にしまったと思う。でもまあ、後半のような展開が嫌いな人にとっては、前半の軽い展開でホッと安心するということだろうし、どちらにも片寄らないように作られているわけだから、それなりに親身な作りになっている。
それにしても、「神狗」の仕掛ける罠はなかなかよく描けていたと思う。ニセの情報を流すことにより、警察のモグラの炙り出し作戦に利用したわけだからね。その罠も幾重にも罠を折り重ねてきてあるわけだから、「神狗」の狡猾さというものがうまく描出してあると思う。
また、敵陣の中で居座って、危機の最中に身を置き続けている中で、ショウが誰を信用していいのか、分からなくなっている状態にも言及があり、ショウと伊崎との信頼に入った亀裂、相克の兆しもなかなかよろしい。こういった人間ドラマがサスペンスを思いもよらない方向へ導いていくのであり、サスペンスとは人の感情こそが左右する。こういった感情の揺らぎが「神狗」との攻防に今後、どれだけ絡めてくれるか、期待している。
やはり、ベテランの生野さんらしい演出だったね。平野俊一は、映像を使いこなせる腕は相当なものがあるけども、どうも映像に走りすぎる面があるのは確か。それに対し、生野さんは落ち着いたタッチでバランスよく見せていくわけだから、ここはベテランの業だわな。平野さんの映像作りも嫌いじゃないけど、全体的な演出プランでいえば、生野さんのほうがバランスがとれている。平野さんのあとを生野さんが引き継ぐということで、作品としてちょうどいい調和を取っていると思う。ベテランらしいうまいフォローだったな、と感じた。
第三章 1/29放送 視聴率15.1% 演出:生野慈朗
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
演出家さんが変わると、ガラリとお話のテイストを変えてくるんだね。今回、演出をつとめるのは、大ベテランの生野慈朗さん。「3年B組金八先生」第1シリーズ、「男女7人夏物語」を始め、TBSラブストーリーの名作を数多く手掛けてきた。だから、今回は非常にサスペンス寄りか、人間ドラマ寄りか、と言われたら、かなり人間ドラマ寄りだったし、平野俊一さんみたいな細かいカット割りはなかなか真似できないから、カットの構成自体も実に前回に比べると、落ち着いたものになっている。
今日のストーリー。ショウは伊崎の命令で「神狗」の内部情報をスパイすることとなる。命からがら手に入れた情報の中に、ひょんなことから知り合った印刷所を営む小林を指すと思われるデータを見つける…。
生野さんらしく、今回は人間ドラマとして見るなら、まずまずの出来に仕上がっているだろう。今回初登場で、今回しか登場しない小林(平田満)個人のドラマ、小林の家族とショウたちとの交流の風景とかは1話だけで見れば、限られた時間内でしっかりと見せてると思うし、1話完結のお話として見るなら、決して悪くはなかっただろう。
しかし、連続ドラマとして見たら、どうだろう?「白夜行」に続き、犯罪に手を染める父親を演じた平田満さんだが、またも出番が1回しかない。1回しか登場しないキャラを登場させて、そのキャラに枝葉のドラマをつけることで、これからは話を引っ張っていくということなのだろうか?小林というキャラのドラマはこの回で完結していたし、特段、気になる謎は残していなかった。だから、全ての話がこの回で収束してしまっており、視聴率対策なのか、1話完結もののテイストであり、連続ドラマとしての強みは活かされていないと感じた。
第二章 1/22放送 視聴率15.2% 演出:平野俊一
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
決して嫌いじゃないなこのドラマの作風は。確かに映像は軽いが、こういう見せ方の出来る演出家さんは今の日本ではあまりいない。こういう細かいカットを組み合わせるのは、非常に手間のかかることだし、平野さん、さすが、器用にやっているな、と私は思った。
今回のストーリー。ショウは神狗のドン・風間龍一郎の息子・龍吾に取り入ることに成功した。龍吾がとある事件に関わっていることを知ったショウは龍吾を逮捕させ、偽札の製造ルートを暴こうと画策する。しかし、神狗の妨害により、龍吾はすぐに釈放されてしまう。神狗の中では警視庁からのモグラ(潜入捜査官)の存在が知れ渡り、モグラ探しが始まり、ショウは窮地に追い込まれる…。
私は基本的に平野さんみたいな映像を作る人が好きですし、それにこのドラマは菅野祐悟さんの音楽がなかなかテンポがよくていいし、やはり、その音楽の編集がいい。同じ音楽を垂れ流しているばかりではなく、カットに合わせて、細かく音楽を変えながら、編集していく。堤幸彦演出ドラマで毎度、面白い音楽の使い方を見せてくれる志田博英さんが音楽プロデュースをしているというのは実に心強い。
久々に見たかった映像スタイルの作品に出会えたので、その映像の作りを見ているだけで結構、引き込まれたし、とりあえず今回は飽きなかった。ただ、どんどん「インファナル・アフェア」に似てきているのはどうなんでしょうね。やっぱり、警視庁の中にも神狗からのモグラがいるみたいだし。でも、パクリもそう悪いことではないと思うよ。映像界というのはどの作品でも何かしらの作品に影響を受けているものだし、パクリをしている作品などはゴマンとある。ラブストーリーとか、これまでいくらでも作られてきたジャンルの作品を、脚本家が工夫すればオリジナルのものを書けるはずなのに結果的にパクリで終始してしまうというのはさすがにいただけない。「東京湾景」なんかはその典型例だね。でも、この手のクライムものってのは日本のドラマ界は不慣れな題材なわけですよ。ほとんど初心者のような人たちにオリジナルの一級品などは作れるわけもありません。そういうときは面白い題材を謹んでお借りして、パクリから入るしかないんですよ。それで、ある程度、模倣を覚えてから、応用です。パクリをしているのは丸分かりなのに、あまりに作り込みが粗いのはダメなパクリ。そういうパクリはどんどんと叩くべき。だけど、このドラマはそれなりに健闘しているように私は思う。題材は拝借したけども、それなりの仕事をして、見れる程度の作品にしているのなら、まあ、大目に見てあげるべきでしょう。
ただ、第2話で神狗内でのモグラ探しまで来ちゃって、結構な見せ場が第2話までに消化してしまったと思うけども、あと9話も引っ張るネタがあるのか、が少し不安だ。「逃亡者」のときも「24」をパクッて、結局、最終回まで話が持たなかったからね。脚本家の人は「逃亡者」の脚本も書いているから、あのときの反省点を活かして、今度こそはイタいほうのパクリにならないようにしてくだされ。
第一章 1/15放送 視聴率20.0% 演出:平野俊一
評価★★★★★★★★☆☆ 8
いやいや、想像していたのと、全然違う作品だったなあ。何かもっと韓国映画やドラマに媚びたようなストーリーになるのかと思っていたけど、意外や意外、本格派のクライム・サスペンスですな。これだったら、私の好みの作調だ。
主人公の西嶋ショウは、アジアンマフィアのシンジケートの「神狗」の構成員。しかし、本当の顔は潜入捜査官の金山琢己。「神狗」の内部組織を探るために、潜入していたのだ。しかし、琢己には彼の父親を殺した「神狗」のドン・風間龍一郎への復讐という目的もあった…。(ショウの本名は琢己ですが、これからは面倒くさいので、ショウで統一します。ストーリーの進行上、変更する可能性はアリですが)
多分、この作品はベースとなる話は「インファナル・アフェア」をかなり参考にしていると思う。参考にしたかどうかは知らないが、意識したことは間違いない。そして、全体的なドラマの雰囲気や細かい枝葉となるようなエピソードは、ハリウッドのこの手のクライム・サスペンスものの典型的な型を模倣している。ま、はっきり言って、このドラマならではのオリジナリティーあるストーリーとはいえない代物だろう。
だけども、これまで日本の映像界で、"マフィアVS警察"のような組織と組織がぶつかり合う本格的なクライム・サスペンス作品はあっただろうか?映画でも私はすぐに思い当たるものはない。恐らく、日本でここまでこの手の題材に本気で取り組んだ作品はないんじゃないだろうか。それを映画でやるならまだしも、ドラマでやろうというのも感心するが、なかなか映像が様になっていたのには驚いた。オリジナリティーはゼロだが、ほぼ初めての経験となる作調のドラマでここまでに仕上げていたのだから、TBSも相当力を入れているのが分かるし、素直に評価してやってもいいじゃないかと思う。
ラブ・ロマンスの部分も悪くない。チェ・ジウ扮するチュ・ユナも「神狗」と何かしら関係が出てくるのだと思うが、初回のうちはショウの飼い犬を巡って、他愛もない話が展開し、ショウと知り合いとなっていく。それにしても、クライムものの話の定番をしっかりと備えていて、それなりにしっかりと研究しながらプロットを考えたのだな、ということが分かる。クールな主人公、そして、そのクールな主人公にはお調子者の頼りない相棒。そして、主人公は何かしらの復讐心を抱えている。悪のシンジケートのドンの息子はドラ息子で、娘はわがまま。ドンは冷徹極まりないが、子供だけは手を焼きながらも寵愛している。こんな男所帯の中で、華として一人の美しい女性が組織とは関係のないところで存在する。主人公の男はその女性とひょんなことで出会う。しかし、彼女は組織との抗争に巻き込まれていく。犬のくだりだけいきなり話が軽くなったのはいただけなかったが、この手の話の定番を随所に盛り込んで、経験がないだけに、無理をせず、堅実な道を選んだことは、私は正しい道だったと思う。
キャスティングも思ったほどよかった。チェ・ジウありきの企画だったから、チェ・ジウさんは置いておいて、やはり、主演の竹野内豊は実に渋くてすばらしい。アウトローな潜入捜査官がここまでハマる役者は日本にはほとんどいないんじゃないか。「人間の証明」のときにも思ったけど、竹野内さんは渋いいい俳優さんになったと思う。佐藤隆太もいつも佐藤隆太のままだったが、"お調子者の頼りない相棒"という役柄にはピッタリ。悪の総帥を演じる杉浦直樹さんもいつものいいおじいさんオーラは消されて、グラサンをつけて登場したときは、しっかりと悪のボスに見えたからスゴい。また、悪のボス・風間のご意見番として組織を影で支えるソン・ギュファン役の橋爪功さんもこれまたいい。そして、風間のドラ息子役の速水もこみち、わがまま娘役の市川由衣も演技には不安アリだが、顔がいいだけに適役。特に、速水もこみちは黒髪に戻したせいか、顔がキリッと鋭く、いかにもチンピラ面で予想以上のハマりようだ。唯一、ショウが実はモグラ(潜入捜査官のこと)であることを知る伊崎役の石橋凌さんも渋くて、Good。
キャスティングが決まったときは、もっとマシな役者を選んだらどうかと思った部分もあったが、今回見てみると、役者で外れはいなかったな。しっかりと日本の役者でクライムものとして成立しているのだから、大したものだね。このような堅い登場人物の中に混じって、ユナの韓国料理屋の前で八百屋を経営する塩見三省さんと岡本麗さん扮する松平夫婦というのが、韓国ドラマにハマって韓国語をかじり始めたオバサンとそれに巻き込まれて、マフラーとかさせられているダンナという時事的なネタを入れ込んでいるあたりがいいクッションになっている。特に、岡本麗さんは韓流にハマったオバサンにいそうな感じの空気をプンプンさせている人だから、適役だなあ、と感心した。
さらに、感心したのは、平野俊一の映像センスだ。「逃亡者」のときは複雑な分割画面や手持ちカメラ映像を駆使しながら、「24」を意識した映像を創り上げるのに成功した(作品としてはダメでしたが、とりあえず映像はね)。そして、「いま、会いにゆきます」ではしっとりとした画がラブ・ストーリーを盛り上げた(ドラマとしては盛り上がりませんでしたが、映像の出来はこちらもなかなかでした)。この作品では「逃亡者」の暗めの細かいカット割りや手持ちカメラを多用した画と「いま、会いにゆきます」のしっとりとしたラブ・ストーリーの画の2つを兼ね備えている。堤幸彦監督は別にして、TBSの中で、この手のサスペンス作を様になる映像で撮れる演出家さんって、平野俊一くらいしかいないと思うなあ。このドラマは平野さんを演出にして、正解だった。
気になるのは、なぜ、このような題材を製作陣が選択したのかということだ。私なりに推測してみた。チェ・ジウが出るから、韓流好きのオバ様方が飛びつくのは予想できた。だけど、嫌韓流の男を掴むためにはどうすればいいか、ということで、このような男好みのクライムものにした。でも、作るなら、日韓合作だし、しっかりと骨のあるものを作ろうよ、ということで、それなりに見応えのある作りとなった。だが、ここで心配なのは、この手の題材は男は好きな人が多いから、意外と飛びつく人も多いと思うが、オバ様や女性の方たちは逆に離れていくのではないか、ということだ。さらに、平野さんのようなカット割りの激しい映像はあまり女性には好かれないしね。韓流ファンに媚びる題材にするのかと思いきや、韓流ファンが好きそうではない題材を選ぶというのはかなり意外なことだし、どちらに転ぶかは分からないが、少なくとも私にとっては歓迎すべきことだ。
人選がなかなか適役だったということと、作風の意外性というところを鑑みて、ストーリーにオリジナリティーがないのはいただけない箇所だが、私はTBSの健闘は十分に称えてもいいことだと思う。よって、初回はそれなりに高い評価をさせていただきました。
放送前の感想
2005年は大不振にあえいだ日曜劇場が格安のギャラで韓国からチェ・ジウを招聘、日韓キャストで贈るラブ・サスペンス。2005年は放送するドラマがまるで当たらなかった日曜劇場。韓国の役者さんが参加し、韓国でのロケも行うそうで、まさに背水の陣の大作ドラマ。結局、韓流ブームに頼るしか視聴率を稼ぐ自信がないというのは悲しい限りだが、日曜劇場の去年の惨状は末期症状だったから、まずは視聴者を戻すことが必須の要件だろうね。チェ・ジウとの共演で日本側の主演は竹野内豊で、何だか竹野内がこの手のジャンルの作品に出るとなると、「人間の証明」とか「氷の世界」なんかと印象はかぶるな。まあ、期待はしないけど、韓流ブームもいつまで続くか分からないから、この手の企画ものは今のうちにやっておいたほうが得策でしょうな。演出は平野俊一、脚本は渡邉睦月で、「逃亡者」「いま、会いにゆきます」に続く取り合わせ。