下北サンデーズ
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※全10回から1話短縮 |
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放送後の感想
堤幸彦最新作ということで期待していたのだが、結果は内容的にも視聴率的にもかなり期待はずれに終わった。原作の石田衣良とのあの「池袋ウエストゲートパーク」のコンビの復活ということで、同じく地名縛りもつけて共通点は多かったものの、「池袋」の完成度とは程遠い仕上がりとなった。やはり、感じたことは脚本家さんが堤作品によく絡む人たちだったのだけど、テレビドラマ慣れしていなかったことは問題だった。今作は意識してかなりストレートな青春もののテイストを押し出していたが、ストレートなことは悪いとは思わないが、河原さんら脚本家にあまりにクセがなさすぎたと思う。
堤さんもこれまではヒネリを効かせた作品を多く手掛けてきたことから、今作ではあえて映像トリックを控えめにして少し荒削りなくらいの演出をしていたように見えた。それで、青春の荒削りな感じを表現させたかったのではないか。ただ、あまりに脚本にクセがなさすぎた。そのため、青春の荒削りさを表現する以前に、脚本自体が粗くなってしまっていたように見えた。ドラマの中の細かなエピソードも弱かったし、個性的なキャラクターの使い方も不満が残った。その粗が多い脚本に、あえて荒削りな演出を施した堤演出があまり噛みあわず、ドラマ全体がスゴく軽薄なものになってしまっていた。堤さんのドラマらしいギャグも多かったけど、このドラマのギャグは全体的にシュールすぎたようにも思えた。
やはり、地名縛りならではのリアリティにしても、ドラマならではの嘘という点しても、もっと振り切った思い切りのよさが必要だった。「池袋ウエストゲートパーク」はリアリティと嘘の両者の振りきりがすばらしく、それがうまく交錯されていたと思う。このドラマの場合は、どちらも振り切り方がイマイチで、とても中途半端な仕上がりになってしまっていたように感じた。堤さんのドラマは視聴率が振るわなくても、後に大バケするケースも多いわけだから、このドラマの場合、妙にストレートな青春もののテイストを呈するより、マニアックなスタイルを貫いて知る人ぞ知るものにしてしまったほうがよかったように思う。
最後になるが、上戸彩の新たな一面が見られるかと期待したが、あまり出てこなかった。上戸彩側もこの役を引き受けたのはそれなりの賭けだったと思うのだが、結果、その賭けに負けた。演技としてもあまり新たな面も出なかったし、髪を切ったとはいえ、最終的には普通に馴染んでしまっていたし、それに加え、ここのところ好調だった視聴率も今作ではコケた。やはり、当分、上戸彩は挑戦をしづらい状況になるだろうし、しばらくはこれまでのようなイメージ先行の役が続くように思う。
最終公演 9/7放送 視聴率6.3% 演出:堤幸彦
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
う〜ん、これはかなり微妙だった。最終回である今回は、連ドラヒロインへの抜擢が決まり、サンデーズを退団することになったゆいかだったが、連ドラの現場ではやはり、違和感を感じて…、という話。
お話としては王道ですので、ネタバレしてしまいますと最終的にゆいかはサンデーズに戻ってくるという筋立てになりました。まあ、ゆいかがサンデーズに戻ってくるという結末になるのは悪いことではないと思うけど、個人的に感じたことは、果たしてゆいかにとってサンデーズに戻ってくることが本当の意味での幸せだったのか、ということ。実際の世界では、テレビの仕事と舞台の仕事を両立されている方もたくさんいらっしゃいますし、テレビの仕事を捨てて、サンデーズに戻ってくるという結末を私は素直にハッピーエンドとは思えなかったというのが実情。
やはり、脚本の力不足ははっきりとしていたと思う。テレビドラマの現場の描き方にはかなり問題があったように見えた。堤さんもテレビドラマの現場はよく知っているわけだから、あんな嘘丸出しの薄っぺらな描き方はすべきではなかったように思う。実際、あんなディレクターさんはいないだろうし。このドラマには必要最低限のリアリティに欠けていた。少しデフォルメするのは当然にしても、テレビドラマ界に違和感を感じるゆいかの心情はもっとリアルに描くべきだった。その点が確実に弱かったから、ドラマの撮影の途中で飛び出してきたことから、ウェディングドレスのまま本多劇場へと走っていくゆいかの姿に疑問符が浮かんでしまった。ウェディングドレスという格好もただ効果的ではなく、ただ奇をてらっただけの印象だった。
ゆいかの出演予定のドラマが「今、君の心で愛を蒔く」という思いっきり堤さん演出の「世界の中心で、愛をさけぶ」を意識したり、「踊る大捜査線」出演者である北村総一朗さんに「レインボーブリッジは踊りながら封鎖」と言わせてみたりと、自身をパロディしたギャグは満載だった。だが、期待されていた個性的な脇役である藤井フミヤ氏や古田新太氏、北村総一朗氏、その他、ゆいかの親御さん役の半海さんなどはそれぞれのキャラクターのドラマに触れきれずに、半ばやっつけ仕事のように片付けられてしまった。
普通の青春ドラマとして見るのだとしてもかなり薄味だったように思うし、これが堤作品であるということからさらに残念だったと感じざるを得ない。脚本家のドラマ慣れしていなくて、どうしてもパンチ不足になってしまったこと、そして、あえてヒネリなしのストレートという今作に託した堤さんの"ヒネリ"が視聴者にはあまり伝わっていなかったように思う。個人的には視聴率が低いのなら、新たな客層をつかむより後に伝説になるかもしれないくらいのマニアックな面白さを追求してほしかった。
第八回公演 8/31放送 視聴率6.4% 演出:木村ひさし
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
低視聴率のため、1週の短縮が決定したようです。そのため、早くも次週が最終回ということらしいです。そのため、今回は1週なくなった分を強引に1話に押し込んだかのような印象の回で、エピソード的には久々に悪くない感じだったが、それにしても展開はちと早すぎた。
先週は、八神(石垣祐磨)の自殺という衝撃の幕切れだったが、八神はビルの下に張ってあったテントがクッションになって助かったということらしい。その八神の自殺という事態から急速な早さで回復していくサンデーズ。その後、ゆいかの実家である旅館で合宿することに。先週はあれだけスランプだったあくたがわ(佐々木蔵之介)も急速な勢いでスランプから脱出。そして、ゆいかが劇団で演劇をやっていることに反対の父親(半海一晃)をも急激な勢いで説得。
そして、あっという間にスズナリ劇場での公演となり、その公演はチケットも完売で大盛況。八神との間のギクシャクした溝も急速な早さで解決させ、さらに、牛乳おじさん(藤井フミヤ)の牛乳も遂に純白となり、早くも劇場すごろくのゴールである本多劇場のステージをサンデーズが踏めることになるという急激な展開。そこに、さらに大鳥ゲン(京本政樹)なる大物俳優が登場し、ゆいかをドラマのヒロインに抜擢するという話まで…。そして、元々イエローハーツのメンバーだった牛乳おじさんのエピソードも大して膨らむことなく収束に向かっているし…。
と、今週はまさに2回分はゆうにある内容をかなり強引に1回分にまとめたかなり激動の展開だった。その分、ストーリーをじっくりと味わうことはできなかったが、テンポはなかなかよろしかったし、八神の「ただいま」のところや江本(山口紗弥加)の真意などはグッときた。役者も佐々木蔵之介、山口紗弥加あたりはメリハリの利いた演技を披露してくれて、この回の絶妙なストーリーテラーになってくれていたと思う。
第七回公演 8/24放送 視聴率5.8% 演出:木村ひさし
評価★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3
う〜ん、何だかスゴく暗い展開になっちゃったなあ。今回はこれといった明るいトピックは何一つもなく、全ての面で暗い展開が多かった。スランプに陥るあくたがわ(佐々木蔵之介)、サンデーズ内の内部分裂、団員の切迫した経済事情、そして、最後にダメ押しの八神(石垣祐磨)の自殺…。ここまでやっちゃ、ダメだったと思うなあ。
まあ、劇団を扱ったドラマなのだから、劇団員の現実という面をしっかりと見せなければならないということはその通りだろう。これまでは楽観的な展開が多かったこのドラマだが、少しは現実的な側面を加えるのは効果的であると思う。だけど、今回はあまりに現実的すぎたのではないだろうか。これまでの展開でリアルな要素があまりに弱かったのに、今回は一気にリアルな方向に針が振れてしまったように思う。これまでそのような種まきをしてこなかったこのドラマで、いきなりシリアスな展開を持ってこられても違和感を禁じえない。「池袋ウエストゲートパーク」でもこれに似たような展開は多かったけど、あのドラマでは最初のころから、リアルな要素を少しずつ打ち出してくれていたということがあったから、シリアスな展開がさらにドラマを盛り上げた。
やはり、脚本のミスという点が大きいように感じる。あくたがわがスランプに陥ってしまって、基本的に展開らしい展開を用意できていない中で、サンデーズの内部分裂のほころびが生じ始める伏線を描いているあたりは、脚本が粗い印象が残った。それに加え、脚本が圧倒的に弱いと思う。原案者が大きくドラマに絡んでいるはずなのだけど、その思い入れの強さがあまり脚本を通して具現化されていないように感じる。
堤さんが趣味に走りすぎたという点もあると思うのだけど、やはり、それ以上に脚本の自己主張の弱さは堤演出でもカバーできなかったかといったところ。堤さんということで期待していたのだけど、堤さんにしては珍しく駄作の部類に入るドラマを作ってしまったという感がある。あと3回らしいのだけど、この感じだと、あと3回でうなぎのぼりに面白くなるというのは考えにくいな。
第六回公演 8/17放送 視聴率7.2% 演出:堤幸彦
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
前半は堤さんらしいギャグ満載で、テンポもよく楽しめた。視聴率が低くてヤケクソになったのか、知っている人にしか分からないようなギャグも多かった。サブタイトルの「ブルマなゆいかが下北を回す」というのは、先ごろ映画化された「陽気なギャングが地球を回す」をボキャブったもの。なぜ、「陽気なギャング」なのかは分からないけど…。
下北サンデーズとの怪しげな契約話を持ちかけてきた芸能事務所「オフィスフォルテッシモ」は堤さんの所属する制作プロダクション「オフィスクレッシェンド」をパロったもの。牛乳オジサン(藤井フミヤ)がもともと属していた伝説のバンドらしいザ・イエローハーツの写真がチラッと登場したが、何だか雰囲気はチェッカーズ(名前はブルーハーツのパロディなのに)。このように、堤さん、フミヤ氏と原案者が自虐ネタを繰り出している。あ、そうそう、古田新太氏に対して、「エル・ポポラッチですよね?」という台詞はかなりウケた。ちなみに、エル・ポポラッチとは、NHKで不定期で放送されている古田氏演じる謎の覆面レスラー、エル・ポポラッチを主人公にした超短編ドラマシリーズのこと。
ただ、後半はやはり、減速といった感じ。個人的に思うのは、堤さんにしては、やっていることがストレートすぎるということ。堤さんのドラマはいつも軸はとても真っ直ぐな話を堤さんならではのちょっとひねったストーリーテリングで絶妙な個性を持った作品に昇華させていたように思う。このドラマの場合は、回り回って、あえて恥ずかしいくらい王道で攻めるというのが今作における"ヒネリ"ということなのかもしれない。
しかし、どうも真っ直ぐすぎて乗り切れない。サンデーズ内での恋模様などはかなり気恥ずかしくなるくらいヒネリがない。ラストシーンの団員それぞれに台詞を分けて、土下座をするシーンも「何だかなあ」という感覚が残る。そもそも、舞台人として先輩であったとしても、ゆいかのおじいちゃんである登美男さん(北村総一朗)に団員全員が土下座をする理由が分からない。画的にはずいぶんと安い土下座なのだな、と思えてしまう。
今作では、「世界の中心」や「愛なんていらねえよ、夏」みたいな気合の入った真面目な映像作りの作品でもなく、「トリック」「ケイゾク」などに代表される堤さん的な味付けの濃い作品でもない。その点、堤さんの新境地といえるのかもしれないが、個人的な印象はやはり薄味だ。恐らく、この回のような作風がかなり堤さんの目指したものに近くなったものなのだろうと思うし、今の脚本のテイストであると、こんな感じで最後まで行きそうだな、といったところ。ちょっと残念…。
第五回公演 8/10放送 視聴率6.9% 演出:堤幸彦
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
う〜ん、今回も微妙だったかなあ。今回は、キャンディ(大島美幸)が退団をほのめかすという回。サンデーズの舞台の脚本がテレビ台場の深夜番組でドラマ化(恐らく、フジテレビの「劇団 演技者。」が下敷きになっている)されることになったり、サンボがCM出演することになったりと、サンデーズの面々がいきなり慌しくなり始めた。しかし、その流れに乗り遅れているのは、キャンディだった。キャンディはひとり悩み、サンデーズを辞める決意をする…。
と言っても、お分かりのとおり、キャンディさんは辞めません。辞めると飛び出していったキャンディさんをサンデーズのみんなが追いかけて説得、めでたしめでたしという筋書きです。何だか、今回は堤さんのギャグがとにかく空回りしていたように見えた。特に、三谷モドキと野田モドキのムダなワイヤーアクション。「ビジンジャー」だっけ、あの舞台もどこが面白いのか、よく分からないし、サンボのCMにおけるギャグも同様。私はまるで面白いとは思えなかったので、どうしてドラマ化とかCM出演などがトントン拍子で進んでいったのかが不思議でしょうがなく、ドラマだとしても説得力に欠ける。
そういうよくも悪くも堤さんっぽいギャグの中、展開された話は堤さんにしてはかなり王道のストーリー展開。小劇団だし、これからの生活もあるし、芝居から足を洗う人は多いのだと思う。芝居が好きとはいえ、それぞれに悩みながら生きているということを描くのには必要なエピソードだっただろう。私は一度辞めるとと言い出した人を止める権利など、他の人にはないと思うし、高校生の部活とは違って、生活と肉薄しているのだから、追いかけて辞めるのを引き止めるという展開にしたのは、あまりにも安易だったと思う。やりたい人は自分から戻ってくるわけだし、キャンディには自分からサンデーズに戻るという展開にさせてほしかった。
それに加え、先週もそうだったけど、2週続けてお笑い芸人の方にメインスポットが当たった回ということで、私は違和感を禁じえなかった。確かに、今週の森三中の大島さんは不慣れなことに戸惑いながらもよくやっていたと思うけど、やはり、大芝居が目に付く。大島さんの顔面どアップで泣く場面があっても、どうしても場面に入り込めない。キャンディのバイトの職場の上司が蛭子さんというのも何かなあ…。劇団というのは個性的な人がたまる場所なのだと思う。だから、今作は上戸彩のようなアイドル女優、佐々木蔵之介のような舞台からドラマ・映画までこなす本格役者、カンニング竹山や森三中・大島のようなお笑い芸人など、それぞれに活躍の場が違う個性の強い人たちが配されている。その混然一体とした感じに私は少なからず居心地の悪さを感じた。
また、このドラマは下北沢や西千葉といった地名縛りがあって、現実には即した話なのだけど、堤さんらしいギャグを盛り込みつつ、嘘とリアルが混然とした独特の世界観がある。これは同じ石田衣良原作、堤幸彦演出の「池袋ウエストゲートパーク」にもいえると思うのだけど、「IWGP」にあった嘘とリアルの絶妙な融合が「下北サンデーズ」にあるかは微妙だ。嘘の部分ばかりが目に付いて、リアルの部分があまりにも弱いのではないか。だから、作品としては独特の世界観が居心地の悪いものになってしまっているように思える。
ただ、登美男(北村総一朗)、牛乳オジサン(藤井フミヤ)にもちょっとずつ物語の本筋との関わりが見えていたので、そこには注目したい。
第四回公演 8/3放送 視聴率7.5% 演出:丸毛典子
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
う〜ん、今回は微妙だった。今回は、サンボ(竹山隆範)の母(吉行和子)が青森の下北半島から上京してくることになった話。困ったことに、サンボは母親に自分が下北サンデーズの座長であるなど、様々な嘘をついていた。そこで、サンボはサンデーズの面々に協力してもらい、母が東京にいる間、嘘を演じてほしいと頼むのだった…。
サンボが母親に放った嘘の数々はよくもまあ考え付いた、といえるような唖然とするような劇的ストーリー。サンボはその嘘で母親から仕送りをしてもらおうとしていたのだけど…。ゆいかはいつもの通り、サンボの考え付いた嘘はスゴい想像力だと驚くわけだけど、私としてはそんなところで想像力を働かすくらいだったら、別のところでそれを活かせよ、と思えてしまう。
人のいいサンデーズの方々たちはそのサンボの無理なお願いに、観客、サンボの母親1人という芝居ということで乗ることに決定。それも、大事な駅前劇場での公演の前日だというのに…。ツタだらけのボロアパートを妙にこぎれいにリフォームしたりしていて、あそこまでのリフォームができるなら、そっちのほうを本業すべきなのでは、とまで思えてしまう。
それで、結局、お母さんのほうは最初からサンボの嘘を見抜いていたのだけど、最後までサンデーズのお芝居に騙されていたフリをしてくれていた。それで、お母さんがサンボのことを大切にしてくれている方たちが周りにいることに感動し、サンボに芝居にそろそろ見切りをつけるように言うのを止めてくれたということのよう。サンボの親子関係というのがイマイチ腑に落ちない。これまでこの親子はどのような親子としてのあり方を続けてきたのかという点が不明瞭だったことから、最終的にサンボが芝居を続けることを応援しようと思うにいたった過程が理解しづらいものになってしまっているように感じた。
それに加え、かなり好評だったという今回のサンデーズの公演の内容から良さが伝わってこなかった、というのはイタかった。作り手が楽しんでいるのがいい芝居とこのドラマは言っていたけど、作り手だけが楽しんでいる芝居で果たしていい芝居といえるのだろうか?芝居に慣れ親しんでいるわけではないだろう母親があの芝居を見て、どのポイントで感動したのかが正直、分からなかった。
今回、ゆいかはサンボの恋人のフリを母親の前で演じることになったわけだけど、ゆいかだけが最後まで母親の前でサンボの恋人を演じきったというオチだった。それだけ、ゆいかの芝居に対する情熱は分かったけど、あそこまでの嘘をつく必要はないような気がする。そもそも、サンデーズの中でのサンボの存在感がイマイチここまでで表現できていなかったし、ゆいかも短い期間の中でサンボの何を見抜いたというのだろうか。全ては芝居ということなのだろうけど、それでは寂しすぎないか…?
ただ、サンボが座長(マスター)のフリをする話だったことから、サンボマスターの曲のタイトル「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を文字った「世界はサンボを座長と呼ぶんだぜ」を今回のサブタイトルにしていたのは、ちょっとウケたね。
第三回公演 7/27放送 視聴率6.3% 演出:丸毛典子
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今回は、演出家が堤さんから代わって、かなり話としては一般性が高い方面に傾いたのではないかと思う。堤さんは原案者として関わっているから、若干趣味が出ても仕方がないのだけど、今回の丸毛さんはある程度外から見ているということもあったのか、それほど趣味性が強いということもなく、かなり見やすい内容だったのではないかと思う。
前回のゆいかのハプニング演出が功を奏し、下北サンデーズは劇場すごろくで1つマスを進めることに成功する。そこで、新作を発表することになるが、あくたがわ(佐々木蔵之介)はゆいかを準主役に抜擢する。サンデーズのトップ女優である千恵美(佐田真由美)はもちろん、そのことが面白くないわけで…。
今回はゆいかと千恵美の対立と融和を描いた回で、青春ものと大きくくくられるドラマではよくある話といえるもので、今回は特殊性よりも普遍性のほうがまさった内容だったといえると思う。
ゆいかと千恵美の関係性もなかなかよく描けていたと思う。千恵美はアイドルとしてデビューし鳴かず飛ばずに終わったという過去があり、サンデーズでの演技にラストチャンスを賭けている。千恵美は自分は惨めでもいいから、ステージの上に立って観客を感動させたいと言う。この千恵美の姿が佐田真由美本人の姿とも重なったことは大きかったと思う。佐田さんの演技は毎度賛否があったのだけど、今回はトップモデルという地位をかなぐり捨てるかのようなパンチラもいとわないはっちゃけ演技を披露。役としてはかなりイタい印象が大きいけど、これを必死にこなそうと熱演する佐田さんの姿と千恵美の姿が重なって、演技としてはかなりの大芝居だったけど、それが逆に良かったなあと思う。
それに対し、ゆいかのほうもバカで未熟、だけど、真っ直ぐという性格をうまく活かしながら、千恵美と向かい合っていたように思う。あの必死で真っ直ぐな姿はなかなかよかった。ゆいかだけではなく、上戸彩というキャラクターに関してもとてもうまく使っていたシーンだったのではないかと思う。
それにしても、視聴率がどんどん下がっていくな。ここまでコケたのは、堤さん、「愛なんていらねえよ、夏」以来じゃないかな。「いら夏」も結果としてはスゴくいいドラマだったけど、堤さんの渡部さん趣味が出すぎて、ウケなかったということのようね。このドラマも私は嫌いじゃないけど、堤さんは自分の趣味を出しすぎるとウケないのかなあ…。
第二回公演 7/20放送 視聴率8.1% 演出:堤幸彦
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今回は、ゆいかが下北サンデーズに入団して、初めての公演でのドタバタが逆に好評をよぶことになるという展開。極度の上がり症のゆいかは初めての公演で、黒子として参加するが、初歩的なミスを連発。しかし、そのミスがもともとの作品の印象とは全く違ったものに作品を転化させ、逆に好評を博してしまうことに。
舞台というのは、失敗しても、その失敗からの展開次第では、もともとよりも面白くなってしまったりすることがある。今回は、NO PLANではないけど、追い詰められて花が咲くゆいかを描いていた。テレビドラマというのは現場でのアドリブなどはあっても、大部分は決められたものを記録し、それを切り貼りしていく作業である。それに、テレビドラマの場合は失敗があっても、ある程度はやり直しがきく。それに対し、舞台はやり直しがきかないし、失敗もその場で切り返しをしなければならないという即興性が求められる。基本的にテレビドラマと舞台はその点、大きく性質が異なるのだけど、今回はテレビドラマを通して、舞台の即興性という点をうまく描けていたのではないかと思う。それに加え、今回の失敗のような成功を通して、ゆいかの芝居に対する思いを描くことにも発展させることができたのはよかったのではないかな。
映像に関しては若干控えめだったが、所々のギャグなどは堤監督らしさはやはり、あったと思う。ビバリーヒルズ高校白書のパロディやら、半海さんと後ろの猿の写真と重ねてみたり、テロップで遊んでみたりと、そのあたりは堤さんらしい遊び心。やはり、印象としては若干、21時に放送するにはマニアックな内容かとは思わざるを得ない嫌いがあるが、あまりマニアックに片寄ることなく、最終的に一般性を持たせたドラマの印象を残しているのはさすが、堤さんだと思う。
気になるのは、今回から本格登場の主題歌も歌っている藤井フミヤ扮する牛乳オジサンなるちょっと怪しいキャラクター。この人はかなりの小劇団マニアということで、このオジサンに見込まれると、その劇団は必ずブレイクするという逸話がある人らしい。原案者の1人であるフミヤ氏だから、今後もストーリーに深く関わってくると考えられる。
あ、そうそう、ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏はあの位置で、レギュラーなのかな?
第一回公演 7/13放送 視聴率11.4% 演出:堤幸彦
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
個人的には嫌いではなかったが、視聴率からも分かるように恐らく一般受けはしないだろう1作。堤さん、原作の石田衣良、脚本の河原雅彦などのサブカルチャー趣味の割合が多い作品だったため、この手のものをよく知らなかったり、興味関心の薄い人にとっては受け入れにくい作品だったかもしれない。
毎度の堤作品のように、キャラ自体はそれぞれ濃いし、それぞれの自己主張も強い。ギャグに関しても、やりすぎでスベり気味だったところも多々見受けられた。それでも、終わってみれば、スッキリとまとまっており、サラッと見ることができた。やはり、ここは堤演出のうまさなのだと思う。
今回は弱小の貧乏劇団「下北サンデーズ」が舞台ということで、この手の小劇団特有の若干の痛々しさはよく出ていたと思う。今回は、初回ということで、下北サンデーズを外見から判断して、ちょっとイタい奴らだな、と思わせる意図があったのだと思う。これからの展開において、上戸彩扮するゆいかがサンデーズに入団し、サンデーズのメンバーと親交を深めると同時に、視聴者も彼らの演劇のコンセプトは理解できなくとも、芝居にかける情熱を理解することによって、このドラマは友情ドラマやヒューマン・ドラマへと変化していくのだと思う。今回は、ゆいかがサンデーズに入団するまでの話だったので、これからこのドラマの本筋に移っていくということであろう。
上戸彩はいつものイメージとは違い、天然ボケの気弱な田舎娘という役どころで、今回は暗めでブツブツしゃべってばかりといった印象だった。これが次回以降は前髪をバッサリいって、妙なジャージに身を包んで、変身というわけだ。それでも、ラストシーンで上戸彩にかなりイタい体操着を着させてしまったのはさすが、堤さんだと思う。これまでのコスプレものとは一線を隔すものだったと思うし、上戸ファンは永久保存版の萌え映像だったのではないか。これまでの上戸主演ドラマは上戸彩をできるだけかわいく見せようと、上戸彩に気を使いすぎたと思う。本当にかわいい女優さんというのは、そんなことをしなくてもかわいく見えるものだろう。だから、上戸彩に思い切ったチャレンジをさせた堤さんはやはり、スゴいと思うし、これ以降、上戸彩がどんな顔を見せてくれるのかに注目したい。
それにしても、視聴率が初回で11.4%ちゅうのはかなりヤバいな。やはり、題材に一般性があるとは言い切れず、趣味性が高い1作だったから、21時というのには時間として早かった感もあるし、お気楽ドラマがお好みという方は引いてしまったのかもしれない。でも、同じ上戸彩の「アテンションプリーズ」が初回17.7%で、このドラマより6%も高い。この6%の違いって、一体、何なのだろうな?世間の反応というのは分からないものです…。
放送前の感想
今年は2月の映画「サイレン」に始まり、3月のドラマ「巷説百物語・飛縁魔」、5月の映画「明日の記憶」、そして、6月の映画「トリック-劇場版2-」と、新作が相次いで発表され、大忙しの堤幸彦監督最新作。それにしても、忙しい。5月、6月、7月、3ヶ月連続で新作を発表するなんて、どんな殺人的スケジュールで働いているんだ、この監督は。とはいっても、「H2〜君がいた日々」は初回しか演出していなかったから、堤さんがガッツリ関わった演出連ドラはあの「世界の中心で、愛をさけぶ」以来、2年ぶりのこと。それでも期待が持てるが、今作はあの「池袋ウエストゲートパーク」で堤さんと組んだ石田衣良原作ときている。ここに宮藤官九郎がいれば文句はなかったが、現在、宮藤はお昼で吾輩と格闘中だから仕方ない。代わりに脚本は舞台を中心に活躍し、役者など様々な顔を持ち、ともさかりえの夫でもある河原雅彦が担当。主演は「アテンションプリーズ」に続き、2クール連続の主演となる上戸彩。私は上戸彩は苦手なのだけど、過去にはともさかりえ(「金田一少年の事件簿」)、中谷美紀(「ケイゾク」)、加藤あい(「池袋ウエストゲートパーク」)、仲間由紀恵(「トリック」)、広末涼子(「愛なんていらねえよ、夏」)、綾瀬はるか(「世界の中心で、愛をさけぶ」)と堤ドラマでは女優さんが新たな顔を見せてくれることが多いことから、上戸彩ももしかしたら、これまでのイメージとは違った本格女優として一歩を踏み出す可能性もある。上戸彩を見直すくらいの演技を堤さんが引き出してくれることに期待。