[有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][2004年1-3月クール]

白い巨塔

DVD発売情報


第一部DVD-BOX


第二部DVD-BOX
発売中
第一部DVD-BOX仕様
全4巻
19,950円
単品も発売されます。
@、A各3,990円
B、C各5,985円
第二部DVD-BOX仕様
本編全4巻+特典ディスク1枚
26,250円
単品も発売されます。
各5,985円

特典内容
  • アウシュビッツロケリポート
  • 最終回制作リポート
  • インタビュー:財前、里見
  • 予告編
  • 田宮二郎版「白い巨塔」も気になったらクリック!Amazonへ


    出演
    財前五郎唐沢寿明
    里見脩二江口洋介
    花森ケイ子 黒木瞳 東佐枝子 矢田亜希子
    里見三知代 水野真紀 佃友博 片岡孝太郎
    竹内雄太 佐々木蔵之介 国平弁護士 及川光博
    亀山君子 西田尚美 鵜飼良一 伊武雅刀
    財前杏子 若村麻由美 佐々木よし江 かたせ梨乃
    東政子 高畑淳子 関口仁 上川隆也
    黒川きぬ 池内淳子 東貞蔵 石坂浩二
    柳原弘 伊藤英明 財前又一 西田敏行

    スタッフ
    演出
     西谷弘、河野圭太、村上正典
     脚本
     井上由美子
    原作
     山崎豊子『白い巨塔』
     主題歌
     ヘイリー「Amazing Grace」
    製作
     フジテレビ
     公式ホームページ
     http://www.fujitv.co.jp/shiroikyoto/
    視聴率
    第一部は2003年
    第二部は2004年
    10/9第1回22.8%
    10/16第2回21.6%
    10/23第3回19.3%
    10/30第4回21.5%
    11/6第5回19.2%
    11/13第6回20.2%
    11/20第7回20.7%
    11/27第8回21.8%
    12/4第9回20.8%
    12/11第10回22.6%
    第一部平均21.050%
    1/8第11回25.5%
    1/15第12回24.5%
    1/22第13回24.0%
    1/29第14回24.7%
    2/5第15回25.7%
    2/12第16回25.8%
    2/19第17回24.8%
    2/26第18回26.0%
    3/4第19回26.8%
    3/11第20回27.6%
    3/18第21回32.1%
    第二部平均26.136%
    全21話平均23.714%
    3/25特別版26.0%
    12/17アンコール序章12.8%
    12/24アンコール第二章8.6%
    12/30アンコール最終章9.8%
    アンコール平均10.4%
    唐沢寿明、江口洋介関連作も気になったらクリック!Amazonへ

    井上由美子関連作も気になったらクリック!Amazonへ

    ドラマレビュー
    最終平均評価点 7.6/10

    評価点評価点
      放送後の感想-
    第11回7第17回5
    第12回8第18回7
    第13回6第19回8
    第14回10第20回9
    第15回7第21回8
    第16回9  

    放送終了後の感想
     例年稀に見る大傑作だと思う。これほど完成度の高いドラマは久々に見た。
     視聴率も回を重ねるたびに上り調子で、最終回は何と田宮二郎版「白い巨塔」の最終回視聴率31.4%を上回り、32.1%を記録。まあ、世間一般に流通している視聴率は関東圏のものですので、関西圏のものをみてみると、さすが浪速大のお膝元なだけあって、39.9%というおぞましいほどの高視聴率をマークしました。まさにドラマとしての理想形でしょう。つまり、その内容を買われて、人気が上がっているということなわけだから。
     最初は、2クールなんて、すごいばくちをうって、大丈夫か思いました。それに、唐沢、江口で表現しきれるのかとも思いました。しかし、そんな不安は見事に払拭されました。唐沢、江口の演技もすばらしかったし、それ以上にこのドラマに出演しているキャストの実力の総合力には圧倒されました。
     そして、演出もすばらしかった。人間ドラマとしても、サスペンスとしても、メッセージ性としても優秀な原作を井上由美子が見事に脚色し、それを深みのある演出で完全に表現しきった。まさに、すべての要素が結びついた映像作の見本のような作品だと思う。
     ただ、どうしても善意の塊という印象しか残らなかった里見のキャラクターが財前に比したらずいぶんと深みに欠けるものであったことが残念。どうも、何の影もない人物像には感情移入ができない。なぜなら、そんな人はいないから。やはり、何らかのダークサイドを持っていて欲しかった。
     この作品を見ていて思ったんですけど、織田裕二と石黒賢の「振り返れば奴がいる」の展開って、もろ「白い巨塔」のパクリですよね。権利欲にとりつかれた織田と理想を燃やす石黒。最後は白巨のように織田が病床で死ぬのではなく、石黒のほうが死ぬのですが、今考えると本当にそっくり。三谷さんも思いっきり影響を受けていたんですね。

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][このページの先頭へ]


    第21話(最終回) 3/18放送 視聴率32.1% 演出:西谷弘

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     今日はまさに財前SPのような回でした。今日は財前という男の生き様に迫った人間ドラマとしては非常に優秀だった。浪速大学側は、現在建設中のがんセンターのセンター長になるはずだった財前のがん発病という事実を病院側の面子を保つために、隠そうとする。しかし、財前は自分の体の変調に気づき、自分のがんは切除されていず、自分はあと3ヶ月の命であるという病院側が隠そうとしたことを察知してしまう。そこで、里見の元へ向かい、自分の病状の診察を頼む。

     ここにきて、真実を知るためには、それを歪める大学病院ではなく、里見しか頼れる相手がいなかった。自分も患者の立場で真実を歪められて、初めて訴えた佐々木庸平の遺族の気持ちが分かる。何もかも、その当事者の気持ちはどんなに推察したって、分かるわけがない。今回、自分の死期が迫り、同じような境遇におかれたからこそ、財前の心も変化したんでしょうね。

     財前は里見に対して、このような手紙を残しています。この2クールにわたる大作のエンディングはこの手紙の唐沢のナレーションで締めくくられています。ここで、財前は手術以外にも薬物や放射線治療の道があり、自分の判断が間違いであったことを認めている。

     それにしても、財前という男の悲哀が今回は見事に表現された回だと思いました。天才医師で手術の腕もピカイチの財前が自慢の"神の右手"でメスどころか紙切れやフォークなんかも自由に持つことができない。それに、人一倍、医師としての能力に優れている財前だからこそ、告知なくとも自分の死期は分かってしまう。これ以上、つらいことはないですよね。自分はいつ死ぬか分かっていて、自分のプライドも何もかも崩壊してしまった…。

     この役を唐沢が見事な演技を見せている。おそらく体重を減量して挑んだのでしょう。だいぶ頬がこけていましたからね。メイクもすばらしかったですね。本当にがん患者に見えましたもの。「命」という映画で豊川悦司もがん患者役でどえらい熱演していましたが、がん患者としての財前はほんの短い間でしたが、映画以上のインパクトがありました。他のドラマも軽い深みのないキャラの主人公ではなく、深みのある役者に最大限の熱演を要求する人物像を持ったものを作り出して欲しいと思います。

     それに、ドラマが始まって、いつも電話越しにしか共演することのなかった財前とその母が死んで初めて一緒の画面に映るというのは切ないですねえ。

     この財前のドラマに関しては、非常に感動しました。しかし、ちょっとストーリーの流れとしては、やや不満な点もある。このドラマのもともとのコンセプトは価値観の全く違う財前と里見という医者の生き様を描くというものであった。しかし、最近、ドラマはもっぱら裁判を扱ったものであり、少しこのドラマの色は薄かった。第一部から見ると、内包的な展開から開放的なものへと発展しているのが分かるが、今回はまた内包的なものへと縮こまってしまった感がある。2人の弁護士の財前の死の受け止め方とか、財前を訴えた患者の遺族の受け止め方も見たかったし、上告審は行われたのかとか、がんセンターはどうなったとか、外の情報も少しは与えてくれて終わりにしてくれたほうが、もっとすっきりした。今までの話の展開からすると、やや道がそれた感がある。この最終回を見る際には、このドラマのコンセプトをしっかり確認してから見ることを勧める。

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][このページの先頭へ]


    第20話 3/11放送 視聴率27.6% 演出:河野圭太

    評価★★★★★★★★★☆ 9

     控訴審の判決が出ました。判決は大学病院側の逆転敗訴。ここで、西田尚美が出てきましたか…。看護士がとっている看護記録が証拠となりました。里見も再度、証言台に立ちました。そこで、いったこの言葉は印象的でした。「心の準備のない1ヶ月と心の準備の出来た1年は違う」。しかし、財前が判決の出た後で叫ぶ。「命を救おうとしたことには変わりないではないか。大学の教授だから責任は重い?法は誰の下にも平等ではないのか!」。確かにこの2つの意見、どちらも正論です。教授も1人の人間、しかし、天下の浪速大外科のトップ。医師というものの存在の矛盾を表現した台詞であると思います。

     そして、この後に財前はその場に、倒れてしまいます。財前の病名は肺がん。私の予想通り、非常に皮肉な展開です。同時に、このことによって、現代の医療裁判というものへの疑問も投げかけています。原告であったって、被告であったって、それぞれの身をすり減らして、驚くほどの心労を背負っても、裁判に勝とうとする。果たして、裁判とは何なのか?この"裁判"で本当に真理は導き出せるのか?

     また、この回は次回の最終回に向かって、人間ドラマの色を濃くしてきました。財前のオペを執刀することになったのは、何と東教授。このいきさつは、財前が肺がんの手術に信頼をおくのは東教授であり、そのことを知った里見が東さんに直談判し、東さんが了承する、というものです。このことによって、財前と東にはしっかりと師弟関係があり、互いは刺激し合い、心では畏怖の念を払っていた、そして、財前と里見にはしっかりと友情といおうかそのようなもので結ばれており、同様に互いに刺激し合い、畏怖の念を抱いていたということが明らかになります。つまり、この財前を取り巻く関係は実は根深く、しっかりとつながっているものであったのだ。おそらく、大学病院で出会っていなかったら、よりよい関係を築いていただろう。しかし、大学病院で出会ってしまったから、お互いに対立する結果につながってしまった。この展開は人間ドラマとしての奥深さだけでなく、大学病院という組織の歪んだ実態をも含むもので非常に秀逸である。東さんも里見も大学病院という権利欲が横行する組織から距離を置いたからこそ、財前のことを思い、証言をする気になったのだろう。今まではこのくだりのわだかまりが解けなかったが、ある程度は納得できた。さすがである。

     このドラマは医療、法律の考証がすばらしく、非常にリアリティがあり、単純に作品としてもすばらしく、メッセージ性をも含んでいる。原作がいいからだろうが、非常によく脚本にまとめていると思う。来週は最終回。財前最期のとき、感動させてください!

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][このページの先頭へ]


    第19話 3/4放送 視聴率26.8% 演出:西谷弘

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     今回はよくできている回だと思います。まず、序盤は中原丈雄さん扮する船尾教授が財前側について、実に筋道の通った合理的な話をした。いや〜、この船尾という人は実に頭のきれる人ですねえ。感服です。この完璧な論証には、あの関口弁護士も太刀打ちできなかったですからねえ。ここが、及川ミッチー扮する国平の腕の見せ所。

     そして、後半が関口弁護士の腕の見せ所であるシーンとなります。彼は遺族たちが医療用語を並びたてられ、よく状況を分からずに手術に踏み切られたことに着目し、インフォームド・コンセントを切り口に財前の論を切り崩しにかかってきます。案の定、その巧妙な口車にのせられ、財前は手術のほかにも方法はあった、と言ってしまう。そこを、関口は見逃さず、畳み掛けるように攻める。関口の思う壺にはまった財前はそこで、説明責任を果たさなかったのは自分ではなく、伊藤英明扮する柳原である、と責任を一方的に柳原になすりつけるような証言をする。そのとき、自分はその別の可能性を提言したのに、無視をされたという怒りが爆発、柳原は証言の虚偽を傍聴席で主張する。

     この物語の流れが実に自然ですばらしい。演技、演出も緊張感に包まれ、文句なし。物語の流れはさることながら、ここでインフォームド・コンセントの問題を入れてきたところに、感心する。インフォームド・コンセントは医者が患者にも分かるように、その病状を説明し、それを踏まえた上で患者が決断を下すというもの。確かに医者の使う用語は私たち、医療に疎い者たちにとっては全く分からない。やはり、医者に命の全権を任す以上、私たちにも分かるように説明し、私たちも自分の病状を分かった上で、治療を受けるというのは、理想である。しかし、このドラマのガン患者のように死ぬ時期は違えど、死ぬことには変わりないような場合、患者に余分な期待を与えてしまったり、余分な不安を与えてしまったりすることは多分にある。それに、大学病院であったとしても、そのベッド数には限りがある。結局、死ぬ人間をそんなに長く収容しているほどの余裕はない。関口弁護士が言うような結果論があるなら、このような結果論も存在するのだ。

     確かに、現在の医療裁判が、遺族が起こしたとしても、その内容は遺族置き去りの医療論争であることは真実である。そこは受け止めるべきだが、大学病院側の意見も真なのである。このドラマはこの構造がしっかりと打ち出されていて、実に出色。メッセージ性から見れば、前半が大学病院側中心、後半が遺族側中心の描き方で、ドラマ自体の構成からすれば、前半がミッチーの見せ場、後半が上川さんの見せ場と実にうまい脚本の作り方をしている。これは感心した。それと、財前はかなり病状が悪そうですよ。予告では、倒れていましたし。残りあと2回。裁判の行方は?財前の運命は?

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][このページの先頭へ]


    第18話 2/26放送 視聴率26.0% 演出:村上正典

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     いよいよ、控訴審が始まりました。何と証言台に立つのは、東前教授自身とは驚き。東さんは一体、何に突き動かされて証言台に立とうという気になったのでしょうか?私は東さんが、里見や関口のような理想を追い求める善意の塊のような人たちに触れたから、証言をする気になったとはどうしても思えない。人というものはそんなには簡単に変わることはできません。確かに、東さんは大学病院のバリバリの権利競争の中から離れてみると、大学病院の治療方針というものに矛盾を感じることはあったでしょう。しかし、だからといって、東さんが医学のために自分の身を削ってまで、証言をするとは思えないのです。おそらく、財前が言っていたことが真実なのでしょう。自らはあれだけ画策をめぐらせた教授選に破れ、後輩にあたるのに見下しの目で見る中原丈雄さん扮する教授に紹介された浪速大とは比べ物にならない小病院の院長に納まっている。しかし、財前はというと、教授になるだけでなく、今度は高度がんセンターのセンター長にまであがりつめ、一生かけて築き上げた東さんの地位を軽く越えていく。やはり、この事実に財前のことをよく思わず、プライドが人一倍高い東さんだから、やはり、胸中では財前を教授の座から引き摺り下ろして、自分の地位以上にはいかせまいと思っているに違いありません。人間の世界というものは、理想を追い求めることより、怨恨などの心の奥底にあるドロドロしたものの方が、人を推し進める原動力になると思います。だから、これからは理想論ではなく、財前と東さんのドロドロした対決を見たいものです。久々に東前教授が出てきてくれて、第1部の権利競争の中での対立構造が、大学病院と患者側という大きな対立構造と対比されるようなかたちで、話が進んでいきそうなので、面白そうな雰囲気。

     しかし、いつも思うのが、矢田亜希子が扮する東前教授の娘はまだまだ言っていることが甘いと思う。里見先生と出会っていなかったら、今のように働いている自分はなかった、みたいなことを言っていますけど、最初に就いた働き口が理想論の関口であることが凶だった。この矢田さんの役は組織の中で生きることの厳しさを全く知らないと思う。そりゃ、組織の中で生きてきた親父を見ていれば、分かった気になるかもしれないが、こういうものは実際経験しないと分からないこと。それを知らない者のたわごとのようなものにしか聞こえなくて、正直、矢田さんのキャラは嫌いです。

     現実を知らないたわごとといえば、関口もそうでしょう。3000人救えても、1人救えなかったダメ。やはり、これは医者ではないからいえる理想論もいいところのたわごとでしょうね。しかし、この理想論が実現されれば、日本の医療体制は大きく変わることでしょう。だから、関口の主張も的を射ていることは間違いないのです。それに対する、財前の3000人救ったんだから、その中の1人くらいは最善を尽くしたのだから、仕方がないという主張もその1人にあたったら、たまったものではありませんが、実際に即して考えれば、完全な真でしょう。つまり、両者の意見はどちらも間違ってはいないのです。この財前と関口の討論は現代の医療の問題点を鋭く突いた見事な脚本といえるでしょう。

     話は変わりますが、財前はどうやら、病魔に蝕まれているのでしょう。おそらく、ガンでしょう。裁判の原因となった病気・ガン、そして、なる予定の高度がんセンターのセンター長で研究を進める病気・ガン。つまり、財前における陰と陽が明確に分かれる病気がガンなわけです。そんな病気に蝕まれていく。実に皮肉なものです。控訴審、そして、財前の異変にこれから要注目です。

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][このページの先頭へ]


    第17話 2/19放送 視聴率24.8% 演出:河野圭太

    評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5

     今日は今までが裁判関係の話で、歯切れがあったのにもかかわらず、いつ始まるかも分からない控訴審待ちの回でした。気持ち、話が間延びしていたかと思います。それほど、展開として面白いところはなかった。

     それに、前半あたりは時間の流れの演出が大雑把過ぎるよ。知らん間に1年以上時が経過していましたからね。知らない間に、伊武雅刀さん扮する鵜飼は学長になっているし、久々登場の石坂浩二さん扮する東さんはどっかの病院の院長になっているし、里見も別の病院に勤め始めていますしね。何だかもっと里見には苦しんでほしかった。案外軽く、里見の仕事先が見つかってしまって落胆。

     そして、上川さん扮する関口弁護士はいまだに平泉成さん扮する唐木教授の鑑定を覆すほどの証拠は挙がってこない。そこで、東前教授に証言を頼みに来たというわけです。しかし、そこで東さんはきっぱりと断るわけです。「財前君は立派な外科医です」なんて言っちゃったりしてね。そりゃ、そうよね、一生を大学病院に捧げてきて、まがいなりにも前教授の立場ですから、裁判で証言などできるわけもありません。その後に、里見の新たな勤め先に東さんが訪ねてきて聞くわけです。「財前君はやはりミスをしたのかね?」。そこで、里見は余計なことを東さんへ話すんですね。東教授の退官日にわざと押し付けた手術の患者が死にいたり、裁判を起こされていると。そこで、東教授は怒るわけですよ。自分と顔を合わせたくないためだけに、手術を急いだ患者なわけだから、それはそうですよね。それで、東前教授は証言をする方向へいくのでしょうか?そこまで、東さんには丸くなってほしくないなあ。あくまでも、プライドの高い東でいてほしい。関川弁護士の標的は伊藤君扮する柳原にも向けられているようです。柳原が葛藤した挙句、病院側を擁護する意見をしたことは周知の事実なわけだから、そこを関川が付こうとするのは当然です。でも、彼まだ悩んでいたんですね。もうそろそろ、男なんだから決めたらどうよね。そんな決め切れない柳原に決めるきっかけを、ということで財前は見合いを設定し、柳原に圧力をかけます。男は身を固めれば、決断力が高まると。

     さあ、その財前ですが、どうも今日は様子が変なようです。弁当屋の呪縛にとり憑かれているようです。どうにかそれを振り払おうと、弁当屋と同じベッドの癌患者の手術を買って出るが、呪縛は襲い掛かり、財前らしからぬミスをしてしまう。大丈夫なのでしょうか?ということは、どこかで財前は自分に否を認めているということになる。意外に弱い人なんですね。おそらく、財前は自信自体に揺らぎがくることでしょう。そして、精神状態を崩していくに違いありません。つまりは、高いプライドで権利欲を求めすぎて、その代償として精神を侵されてしまうことになるという皮肉を論じていくことになるでしょう。

     だからといって、私は里見が理想の医師とは思えません。彼には、組織の中での責任、家庭の主としての責任が欠如していると思うのです。ああいう大きな組織は「踊る」のいうように上へ行かないと何も変えられないのです。助教授のままでは何も変えられません。理想を持つのは大いに結構。しかし、家族を養うのに安定し、それなりの地位を得るまでは組織の中で生きるべきなのです。それからです。今の里見のように理想を叫ぶのは。まあ、とにかく今回はこれから先の展開が読めず、控訴審も始まる気配がないから間延びしてしまって、本当に必要な回だったのかなあ?と思った。

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][このページの先頭へ]


    第16話 2/12放送 視聴率25.8% 演出:西谷弘

    評価★★★★★★★★★☆ 9

     まあ、当然の結果でしょうね。判決は原告側の訴えを棄却するというものでした。やっぱり、このドラマはすごい。ここで世俗的なドラマなら、原告側勝訴になりますから。そんなに現実は甘くありません。里見も大学の異動を断り、浪速大学をお辞めになりましたし、弁当屋さんも従業員の人たちが辞めて、運営費を退職金がわりにもっていきましたから、弁当屋自体がつぶれる方向へ向かっていくでしょう。さすがに、決して間違ったことをしたわけではないのに、大学を去らざるを得なくなった里見や弁当屋をつぶさざるをえなくなったことは哀れです。しかし、それが現実なのです。最近のドラマにはこのようなことが足りないと思うのです。現実はハッピーエンドが訪れるほど、都合がよくは出来ていないのです。このような、たとえ、皮肉な展開であろうとも実に真に迫った展開だからこそ、私たちの心の底に訴えかけてくるのです。

     前回は若干、心理的な描写が多いなと感じましたが、今回は財前と里見のドラマとサスペンスフルな展開のバランスがよかったのじゃないかな。絶対にこのドラマはどちらかに加担はしたりはしていない。医者の視点から見る医療、患者の視点から見る医療の両方がしっかりと描かれていると思います。医者から見れば、すべての確率を調査などしていたら、とてもすべての患者を診ることなどはできない。しかし、患者としては、すべての可能性を追求した"完全に安心のできる医療"を理想として求めている。やっぱり、その仕事の当事者になるとわかることなんですが、1人1人のお客にトコトン対応なんで不可能でしょう。医者も同じなんですよ。結果論でものをいわれたら、それは困ります。

     しかし、医者だけがなぜ、このようなことをいわれるのでしょうか。取引されるものがモノではなく、人の命だからなのです。医者だって、人間ですから、多少なりとも知能指数はよくとも、そのほか仕事をしている人となんら変わらない人間なのです。そんな一部の人間だけに命の重さを要求するのはいささか酷です。しかし、こうもいえます、医者になることを志すのなら、それなりの覚悟をしてなるべきだ。どちらも理にかなった論なわけです。答えなど決まるわけはありません。

     だから、裁判の判決は、原告側にも最大限配慮しながらも、結果論では医療過誤とはいえない、という結論にいたったわけです。確かに、裁判官だって、人間ですから、財前を完全に支持しているとは思えません。しかし、医者と同じく、法という重いものを賄い道具としている身としては、患者のことばかり考えてはいられないという気持ちも察するにいたったのでしょう。つまり、この程度の証拠では現在の医療体制を壊すくらいの威力はなかったということです。中立の精神、これがやはり、裁判です。

     そして、話は変わりますが、財前はやはり、どこか里見の存在があったから、今までやってこれたと思いますし、里見だってそうでしょう。互いの意見は相反しても、心のどこではつながっている。だからこそ、その自らの持つ理念のままに突き進めたのでしょう。また、財前は気丈に振舞っていたふりをしていても、やはり、どこかで組織の中で孤独を感じていたことは間違いのないことだと思います。彼自身が一番、皆が慕っているのは自分の技術以上に権威であることはわかっているのです。その財前の孤独の象徴が黒木さんなんだろうね。黒木さんがいることで、財前が感じている孤独を表すことが出来たのだと思う。やはり、あれだけキレイな人だからこそ、孤独を紛らわすことにつながったのだと思う。黒木さんという人がキャスティングされていた理由が分かってきました。

     話はさらに変わって、上川さんはなんと控訴をしました。生やしていた無精ひげをも剃って、すべてを投げ打とうとでも言いたげな気迫です。しかし、私はここでわからないことがあります。なぜ、上川さんはそこまで勝ち目のない医療裁判に賭けようとするのか?なぜ、弁当屋は金が尽きたのに裁判を続けようとするのか?そして、なぜ、里見は自分の人生を投げ打ってまで、医学の進歩を目指すのか?それぞれに、生活もあるでしょうに、これからどうしていくつもりなのでしょうか?ここがどうしても理解に苦しむところなのです。"信念"ということなのでしょうか?どうも、概念的なのですよね。しかし、人間のしていくことを正しいかどうか判断していくと、客観的に論を進めても、必ず最後には概念論に行き着くんですよね。だから、どんな意見にも賛成反対があるわけです。これも、このドラマの現実を鋭く突いたところでもあるわけです。

     予告編を見る限り、上川さんは相当、苦労しているようです。これで、新証拠が見つかったなんていうのはちょっとドラマすぎるから、現実に即して話を進めてもらいたい。

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][このページの先頭へ]


    第15話 2/5放送 視聴率25.7% 演出:村上正典

    評価★★★★★★★☆☆☆  7

     里見さん、証言台に立ってしまいましたねえ。これほど理想に生きる人っているのでしょうか?私には到底ついていけません。今回は、里見の証言を阻止しようと、四方八方からの集中攻撃を中心に描かれていました。財前は内科から回ってきた患者の執刀を拒否するし、奥さんは浪速大の奥様方から、かなり高度な猿芝居のいじめを受けるわでこれはもうものすごい圧力。それは、あの善意の塊の里見さんでも悩むわけですよ。奥さんはもし、裁判で証言に立つようなことがあったら、子供をつれて実家へ戻ると言い出しましたしね。これで里見さんは証言台に立ったわけですから、家庭は完全に崩壊です。彼は自分の人生を犠牲にしてまで医学の進歩に身を投じようとしたわけです。まあ、これで奥さんが応援するとかいうわけの分からないことなっていたらリアリティが皆無でしたが、奥さんは出て行かれたので、ある程度の感情移入はまだする余地はあります。これはよかった。

     そして、今回は演出の手法が前回の河野圭太とは違った感じでしたね。今回は12回演出の村上正典。前回はサスペンスタッチの印象が強かったけど、今回は人間ドラマの印象が強い。一番の違いは音楽の使い方だろうね。あえて叙情的な音楽を使って、見た目の対立構造だけではなく、内側の対立構造とはまた違う実像も映し出そうとしたんだろうね。私としては、前回のほうが好きだったけど。おそらく財前と里見というのは根っこのほうでは一緒なのだけど、彼らの間にはもはや壊すことは不可能な壁が隔たっているのだろう。もともとはどちらも患者のことを助けたいというのは同じなのだろうけど、患者がもし不幸にも助けられなかった場合には、それは不幸な例として、今現在目の前の新たな患者を助けることにするか、もし、患者が不幸にも亡くなったら、その原因を徹底的に究明し、自己を犠牲にしてまでもそれを明らかにするか。これはまさにこの2人だけではなく、現代医療での決して終わることのない論議の争点だろう。今回は財前の本人尋問もあり、里見が来るか来ないかでそわそわさせておいて、来たところに、その里見を背後に財前が「術前に転移を疑う者はいませんでした」と全く動じずに言い放つ描写を見て、決して両者の間に埋まることのない溝が明確に表現されていたと思う。まあ、裁判シーンが前回に比べたら緊張感が薄れたけども、主人公2人の心理には食い込めた、これは好き好きとなるところでしょう。演出の人が違うからしょうがないけど、欲を言えば、もっと裁判の緊張感と主人公2人のドラマのバランスをとってほしかった。これからは裁判いかんよりもこの2人のドラマを通して、現代医学への提言をする回へ変わっていくのだろうか。

     とりあえず、来週は判決が出ます。どんな判決が出るのか?そして、財前、里見の運命はどう左右されていくのか?期待大です。

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][このページの先頭へ]


    第14話 1/29放送 視聴率24.7% 演出:河野圭太

    評価★★★★★★★★★★ 10

     今回は純粋に面白かった。まず、裁判のシーンの緊張感がすばらしい。上川さんと及川ミッチーの論の進め方、破り方は実に合理的で、計算されている。今までやたらと裁判もののドラマに多かった、裁判ごっことしかいいようがないもの、他愛もないやりとりをして、最後には感情に訴えるものとは全く一線を隔す。本当にこのように裁判が進んでいるかは知りませんが、今まで見たドラマの中では群を抜いたリアリティで、実際の裁判を見ているかのような感触を受けた。

     そして、今回、次回と大注目なのは、またまたぐんと存在感が上がってきた伊藤君の存在。証人尋問で伊藤君がカルテの改ざんを認めるのか、認めないのか分からない状況でドラマが終わりましたので、実にうまい切り方。気になりますもん。その伊藤君の苦悩がじっくりと今回は描かれていた。改ざんがあったのは事実、しかし、それを証言すれば、難波大にはいられない。同様に奨学金で苦学した財前に憧れて苦学して、財前のいる外科に入った。しかし、そこで目の当たりにする理想の財前とは違う現実の財前。自分も財前のような医者であるためには、組織の中で生きていくということを修得せねばならない。今回はそれで組織の人間となることのほうに心が傾いていく様子を描いていました。その重大なきっかけになる一言は財前のいった台詞。「もともと今回のような大騒動が起きたのは、君が患者の遺族に対してしっかりと説明責任を果たさなかったからで、それで遺族に余分な疑いをもたせてしまった。しかし、こんなことをいうのは私が君のことを期待しているからだ。同じ奨学金で苦学した者として、君の論文が認められたりでもすれば、君の医者としての道は開けてくる。そのためには今回の証人尋問をしっかりと乗り切ることだ」。実にアメとムチを巧みに利用した説得の仕方。感服です。

     そして、善意の塊男・江口扮する里見に対しても、強力な圧力が。裁判で証言をする日に海外でのシンポジウムの発表を伊武雅刀さん扮する鵜飼教授が依頼する。もちろん、里見は断る。しかし、鵜飼は裁判の証言でもしたら、日本では研究を続けることはできない、とキツイ一言。里見の決断も気になりますが、いや〜、伊武雅刀さん、実にすばらしい。この人がしっかりしているから、このドラマは面白いんだろうなあ。そして、今回はその裁判の当事者だけでなく、その周辺の人たちにも目を向けた回。まず、これはなければおかしいと思っていた里見の家族からの証言拒否依頼。家族としては里見のその証言だけで、これからの生活が危ぶまれるわけですから、いって当然のことです。これまでまるで存在感のなかった水野真紀ですが、今日の演技はすばらしかった。今まで研究ばかりで家庭のことはなおざりがちな夫に文句もいわず、支えてきたからこそ、その言葉に重みが出るんだろうね。あの水野さんの存在感のなさは計算のうちだったとは驚いた。まあ、これも難しい問題だよね。医者としての善意をとるか、家族を守る責任をとるか。赤の他人の人生を守れば、自分の人生はめちゃめちゃになる。私だったら、迷わず自分の人生を取るだろうけど、まあ、絶対的な善意・里見はどう決断するのでしょうか?少しくらいは心が揺らいだ様子を見せてくれることを望みます。

     次に、先週ここは出てきて欲しいといった矢田さんのお父さんの石坂浩二とお母さんの高畑淳子も出てきて、前回足りなかった部分はしっかりと補われていたところがすばらしいね。それに加え、原告側の弁当屋の従業員が必ずしも裁判を応援してはいないというところがミソ。原告側をすべてが善意の目では見ない。必ずカネとか権利とかが絡んでくるから、そういう目で見られるのは仕方ない。裁判で原告が勝っても、負けても、どちらにしてもその家族はめちゃめちゃになっていくという現在の医療裁判の矛盾をも含ませている。

     そして、先週もいった財前の母親役・池内淳子さん。さすが、ベテラン、台詞はなくとも顔ですべてを言っていました。池内さんは財前がまだ幼少のころ、医者を目指していたころの善意としての財前を今もそうであると信じていた。それが、今回の事件で心の隅に疑念がわく。その親としての複雑な心境を、池内さんは財前宅の前で息子の家の前まで来たのに、なかなか中には入れず、入らずそのまま立ち去るという行為とその間の顔の表情だけで表している。それは同時に病院の組織とはほど遠い世界に住んでいる人たちが捉えている善意としての医者と、組織の中での医者というもののギャップをもはらむ実にすばらしい名シーンだと思う。

     とにかく、この回は前々回、前回はそうでもなかったが、より多角的な視点で描くことに立ち戻っており、組織の中で生きること、裁判で起こされる各方面で巻き起こる苦悩と葛藤など様々な現在の医療における問題点、いや、それ以上の人として生きるうえでの問題点を実にうまく展開の中に昇華している。私が欲求したことが全て満たされており(多少足りないところもあったが、この尺の関係上これなら、目をつぶれるだろう)、展開、演出が実にすばらしく、メッセージ性もしっかりと込められている。これはドラマを見ていて初めての経験だ。これからどうなるかでこのドラマの印象は大分変わってくるが、今回は異例の満点をつけたいと思う。映画批評、ドラマ批評を通して満点をつけるのはこれが初めてです。

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][このページの先頭へ]


    第13話 1/22放送 視聴率24.0% 演出:岩田和行

    評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

     今回はちょっとイマイチだったかな。しかし、こんなに早く財前さんが訴えられるとは思わなかった。最後の急展開にはさすがにびっくりしました。それでも、何だか中盤あたりは甘っちょろい感じで、あくまで人間描写がリアルだった今までとは何か違っていたところがイマイチだった。江口洋介の里見さんがあまりにいい人過ぎて、キャラクターにリアリティがない。さすがに大学側を敵に回すような証言は断るだろうと思ったら、あっさり引き受けてしまって。あなた、女房、子供がいて、そんなことしたら、医者としては食っていけないのは分かっているでしょ。

     そして、矢田さん。どうやら、上川さん扮する弁護士事務所で働くことになりそうですが、遺族に肩入れする気持ちは分かるけど、あなた、まがいなりにも父親は前浪速大教授なわけだから、親の恥になるようなことをなぜするのでしょうか。上川さんに説教たれるシーンは美談過ぎて、聞いていられません。アルバイト代として金くれたのだから、くれるものは貰っとけばいいと思うけどなあ。まあ、上川さんのほうのキャラが遺族は守りたいけど、自分の金銭問題で悩んでいるあたりは人物像としてリアリティがあり、これでトントンかな。

     そして、今回から登場のミッチー(及川光博)。カルテの改ざんを事実確認としてやらせるあたり、悪徳ぶりをなかなかクールに演じていて、しびれました。そして、上川さんがその改ざんを見破るシーンはあそこのシーンは俳優さんたちの目の芝居で見応えあったなあ。まだ、ミッチーは上川さんほどキャラにふくらみがないのが残念だけど、これから上川さんとミッチーの弁護士対決は見所だと思います。

     さらに、財前のお母さん役の池内淳子さんですが、ちょこっと出演だけで思いきや、予告で見る限り、なかなかのキーパーソンになりそうです。実力派の大ベテランなだけに、楽しみ。もう一つ残念なのが、黒木さんが完全に脇の脇に回ってしまったこと。この人はすごい実力があるのに、いつも実力にそぐわない役をやるのはなぜだろう?それと、矢田さんが浪速大相手に一騒動しでかそうというのに、お父さんの石坂浩二さんやお母さんの高畑淳子さん登場しないというのも残念。まあ、近々出てくれることを信じています。出なきゃ、それは嘘だからね。

     今回の話のテーマは組織の中で人はどう生きていくべきか。医者は大学の体裁を守ることが責任なのか、はたまた大学の威信を下げてまで、患者のための医者であることが責任なのか。まあ、これは難しい問題です。上にも書いたけど、このことに関して、江口洋介がまっすぐすぎるキャラで何のよどみもない。何か、悩むとかいうネックが欲しい。伊藤君がそこで悩んでいくキャラ。11話目以降また、影が薄くなったけど、このくらいのキャラのほうが江口さんはよかったんじゃないのかなあ。財前のように権利欲にとりつかれて、組織を守ることに万全を尽くす人は山ほどいるけど、里見のように善意の塊のような人はそうはいませんからね。

     まあ、来週からは遂に裁判開始です。とにかく期待しましょう。

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][このページの先頭へ]


    第12話 1/15放送 視聴率24.5% 演出:村上正典

    評価★★★★★★★★☆☆ 8

     いや〜、今回は面白かった。予想通り、医療過誤裁判を行うことになりました。このドラマのすごく、非常にすばらしいことは、その医療過誤裁判を多角的な視点で見て、どこにも片寄らず、中立的な視点で見ていることだ。やはり、連続ドラマともなれば、訴える側を重視に描くものが大多数だ。なぜなら、見るミーハーちゃんたちに簡単に感情移入させることができるし、脚本を書く側も、演出する側も、演じる側も非常に進行プランが分かりやすく、やりやすいからだ。そうすれば、訴える側はオーバーなくらいに哀れにすればいいし、それを守る弁護士はまさに正義の味方にしてしまえばいいし、病院側はまさに悪魔かと思われるくらいに悪く描いてしまえば済んでしまい、お決まりのハッピーエンドでチャンチャンである。最近見ていて、弁護士関係の作品はこの方程式に当てはまる作品ばかりだった。

     だから、この多角的な描き方に大きく感心した。私は何に対しても、中間的な視点に立つことが一番大事なことであると思っている。イラク戦争だって、それは戦争が起こらないことのほうが断然すばらしいことであることは決まっている。しかし、イラクでの圧政や世界に蔓延る理想や美談だけではどうにもできないしがらみなんかをかんがみれば、戦争でなければ解決できないことも真理である。ただ、バカの一つ覚えみたいに戦争反対と叫ぶのはナンセンス極まりないのである。死刑問題だってそうだ。このような主観的価値判断が含まれる問題は両者の意見が一理あるわけだから、決着するわけがない。

     しかし、我々はその問題を忘れず、終始意識し続けるため、その議論を怠ってはならない。だから、今のこの時代こそ中立的な視点の議論がなされるべきであり、このドラマの描き方は時代の流れにジャストフィットしたものといえよう。

     第一部は財前が教授になしあがるにつれ、次第に変わっていく財前と彼を取り巻く底知れない権利欲を描いていて、ある意味、大学病院内の描写に終始し、やや内包的な作品だった。その理由がここで分かった。これから外へ論を展開していく上で、どうしても訴える側、今作の場合はかたせ梨乃だが、彼らにどうしても感情移入せざるを得なくなるから、その一般的には悪として描かれる財前というキャラに厚みを持たせるための、念には念を押した周到な下敷きだったのである。

     今回のストーリーは前回でお亡くなりなったお弁当屋さんの家族が訴訟を起こすぞ、ということになって、弁護士役である上川さんがそれを引き受けるまで。病院サイドの財前らと訴える側の遺族という直接患者の死にかかわった人物と第三者である弁護士サイドという視点でそれぞれ描かれている。確かにそれぞれの意見にも共感できて、それぞれの意見の持ち方の違いも興味深かった。それとは別に、財前と里見の対立、伊藤英明君扮する柳原の弁当屋の死に対する葛藤も若干、裁判の影に隠れてしまったかのように見えるが、同時進行中。伊藤英明君のキャラが今までの病院ものだったら、主役になるようなキャラだけど、あえて脇に回す演出がニクい。

     若干気になるのが、この人も主役のはずの江口さんの影が若干薄くなってきたかな?ということと第一部から影が大分薄かった黒木さんも今回の話では新たな登場シーンはなかったこと。まあ、江口さんは「新選組!」にも出てるし、黒木さんは舞台の仕事も入って、忙しいんだろうけどね。あと、次回からはミッチーこと及川光博も登場。最近、正月の「古畑任三郎SP」もしかりで、変な役だけではなく、堅い役もこなせるようになったようです。予告を見たところでは、病院側の弁護士なのでしょうか?これからもこの中立的な視点が崩れないことをお祈りし、これからの展開に期待。

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][このページの先頭へ]


    第11話 1/8放送 視聴率25.5% 演出:西谷弘

    評価★★★★★★★☆☆☆ 7

     フジテレビが社運をかけて、2クール連続というコケたら大損害を被るという大きな賭けにフジは勝った。前クールの平均視聴率は21.1%で、2位の「ビギナー」15.6%、3位の「トリック」15.3%を大きく引き離し、ダントツのトップ。なぜ、今のこの時代にこの「白い巨塔」はウケたのだろうか。

     話は変わるが、最近は、医者モノは非常にウケがいい。「ブラックジャックによろしく」「Dr.コトー診療所」そして、この「白い巨塔」がそれにあたる。やはり、医療過誤などが多発し、命の尊厳が常に叫ばれるこの時世を反映して、なのか。この3作とも共通して、大学病院という腐敗体質というものにメスを入れている。

     「ブラックジャック〜」と「白巨」はまさに大学病院を舞台にし、「Dr.コトー〜」はあえて大学病院から離れて、最新医療とはほど遠い孤島で理想の医者像を描いている。その中でも、「白い巨塔」は異質な存在である。なぜなら、主役を、理想を追い求める医師がやるのではなく、権利欲にとりつかれた唐沢扮する財前教授に据えているからだ。私は何かがきっかけで一般にいう悪役的な存在になるというバックボーンがあるというより、人間は権利欲に走る人間、理想を追い求める人間という2つの種類が自然と生じてくるものだと思う。ここがドラマくさいものがなく、リアリティに富んでいておもしろいところだ。

     1/8からは第2部が始まった。初回は2時間スペシャルにもかかわらず、最高視聴率の25.5%を記録した。第1部では財前助教授が教授にのし上がるまでから人間の底知れぬ権利欲を描いていたが、第2部は命の尊厳を描くという。確かにそれらしい話になってきた。

     田山涼成扮する弁当屋の医療過誤問題が話の軸になりそうだ。第1部ではそれほどなかった江口扮する里見助教授と財前教授の対立描写は深くなっていきそうだ。そして、第1部では非常に影の薄かった伊藤英明君もだんだんと印象に残る役柄になってきた。医者として成長しつつも、財前のやり方に疑問を深めていくようになると思われるが、これからどうなっていくか期待できます。まあ、伊藤君というなかなかの人気役者をキャスティングしたわけだから、ようやく見せ所がやってきたわけですね。そして、今回から初登場した上川隆也。どうやら、次回から上の医療過誤裁判の弁護士になるようです。また、矢田さんはその弁護士事務所に就職するようです。何だかドラマっぽい展開だから、ここは少し共感できないかな。父親が難波大学の前教授なのに、それを訴える弁護士の助手とは非常に皮肉な展開になりそうだから、矢田さんの東一家は大騒ぎでしょうね。それから、財前の愛人役・黒木さんなのですが、思いもよらない財前への別れを宣言。これからはどういう位置になっていくのでしょうか。見ものです。

     まあ、この2時間SPのイチオシシーンは世界初のアウシュビッツでのドラマ撮影だったが、何だかスペシャル版の売りにするためのオプション的な存在で、それほどの必要性は感じなかったな。とりあえず、ますます図に乗っていく財前に今後の展開を期待させる回でしたね。

    [有 パチ夫の館フロントへ戻る][ドラマレビューの館][過去のドラマ][2004年1-3月クール][このページの先頭へ]