タイガー&ドラゴン
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| 回 | 評価点 | 回 | 評価点 |
| 放送前の感想 | - | 放送後の感想 | - |
| 「芝浜」の回 | 7 | 「猫の皿」の回 | 7 |
| 「饅頭怖い」の回 | 5 | 「出来心」の回 | 6 |
| 「茶の湯」の回 | 6 | 「粗忽長屋」の回 | - |
| 「権助提灯」の回 | 7 | 「品川心中」の回 | 4 |
| 「厩火事」の回 | 3 | 「子は鎹」回 | 8 |
| 「明烏」の回 | 6 |
放送後の感想
最終回がいい出来でしたので、大変印象がよいです。途中は「池袋ウエストゲートパーク」や「木更津キャッツアイ」のセルフパロディーみたいな展開があって、「う〜ん」という部分もあったけど、最後はしっかりと「タイガー&ドラゴン」の色で終わってくれたことが見事。様々な要素のお笑いのエッセンスが入れ込んであって、全編通して、宮藤のお笑いに対する愛情が見て取れた。かなり空振りも多かった気がしないでもないが、結構、笑わせてもらった。ただ、残念だったのが、下ネタもいとわない宮藤の突き抜けた笑いがちょっと落ち着いたものになっちゃったことかな。各回、程度の差はあれど、しっかりと落語の話にリンクさせて、それをアレンジしてくるあたりは、さすが、宮藤。宮藤ドラマがなぜ、こうも人気があるのか、その理由は十分に伝わってくるドラマだったかと思う。
「子は鎹」の回(最終話【第11話】) 6/24放送 視聴率11.6% 演出:金子文紀
評価★★★★★★★★☆☆ 8
最終回、よかったわあ。最終回が一番面白かったんじゃないかな。前回のあの終わり方でどうなるか、と思いきや、しっかりとまとめてきちゃうのだから、さすが宮藤だなあ。
前回の虎児逮捕、というオチは最終回の「子は鎹」に引っ掛けるための伏線だったわけか。今回の「子は鎹」の回は、主に西田敏行さん扮するどんちゃんと虎児のほとんど親子のような関係に的を絞った回。これがよかった。前回まではどことなく「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」の色が残っていたけども、この最終回は紛れもなく「タイガー&ドラゴン」の色が明確に打ち出されていた。若者の友情でもなく、実の親子関係でもなく、最初は金の取立屋と取り立てられる側という全く真逆である他人の2人の親子に似た絆へと話を収束させるとは、「池袋」とも「木更津」とも違うちょっと大人な終わり方で出色。それに、西田敏行さんがうまかった。落語をマスターするだけでも大変だろうに、しっかりとドラマを作っているし、笑い所も作っているし、さすが。小虎の名前で落語をしているどんちゃんを見たときは、さすがに感動した。
そして、さらにスゴいことが、こういう前回からの続きの話で、さらに、ドラマを通して描いてきた虎児とどんちゃんの関係をしっかりと「子は鎹」の話とリンクさせているところだ。一話完結でリンクさせることは難しいことは重々承知だが、比較的容易だといえる。しかし、それを「品川心中」とはまるで関係のない「子は鎹」でドラマのストーリーをつなげてしまう。これは宮藤さん、見事としか言い様がないね。あと、最後のあのオチだけのために、かなりのナン押しもくだらなくてよかった。
最近見てきたTBSのドラマは最終回で没落するケースが非常に多いのだけども、この作品は最終回で最高傑作を生み出した。そこは、宮藤の脚本家としての腕が証明された、ということだろう。TBSはドラマの勢いが2005年に入って、ガクッと落ちてきているから、このような最終回はしっかりと盛り上げるドラマらしいドラマを作っていこうという気概が大切だと思う。
「品川心中」の回(第10話) 6/17放送 視聴率12.0% 演出:片山修
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
何だか、個人的に行ってほしくない方向に展開が向いてしまっている。このドラマだと、何だか話が暗くなれば暗くなるほど、話の底が浅く見えてしまう。こういう「池袋ウエストゲートパーク」を確実に意識した展開はやめてほしいなあ。
今回はかの有名な「品川心中」の回。そういえば、以前から竜二は昔、「品川心中」がうまかったとか言っていませんでしたっけ?だから、今回はあえて長瀬がアレンジ落語をやるのではなくて、岡田が語り部になっていた。岡田は岡田で話が進んでいて、それとは別に長瀬は長瀬で話が進んでいる。
長瀬扮する虎児の所属する新宿流星会が解散寸前に追いやられ、組存続のため、虎児は敵対するウルフ商会へと乗り込み、それが原因で逮捕されてしまう。小虎として噺家の道を歩み始めた虎児、これからどうする、というのが、最終回の展開。
今日はとっても「池袋ウエストゲートパーク」を意識した回だったかなあ。カメラワークとか映像手法なんか、「IWGP」を意識しているなあ、というあたりが多々見られた。だけども、どこかしら「木更津キャッツアイ」の色も見て取れる。基本的に「IWGP」と「木更津」って、色が違う作品だから、この色の違いにより、話の底がどうも薄く思えてくる。そこに、さらに、このドラマオリジナルの落語という設定が入るから、更に色の違いが明確になってくる。「IWGP」って、堤ワールド全開の独特のユーモアと池袋という土地性とそこに生きる若者というリアルな一面も併せ持っていて、ユーモアとリアルが絶妙に融合したとても面白い作品だと思う。それに対し、「木更津」というのは、リアリティ無視のぶっ飛んだ展開で、木更津というハッキリ言ってしまえば田舎を舞台したことで、ちょっとした異空間を作ることに成功し、底の浅さを逆手に取った展開が面白かったと思う。この「タイガー&ドラゴン」はその2つの宮藤ドラマのいいとこどりして、更にそれを落語で味付けしようとした贅沢なドラマ。これまではそうでもなかったが、ここ何回かでそれぞれの色の違いが明確になってきて、イマイチ乗り切れなくなってきた。
今回で言えば、虎児と銀次郎がウルフ商会に乗り込むあたり、結構、リアルな暴力描写に徹していて、ちょっとこのドラマの色とは違うなあ…、と。「IWGP」ではある程度、その暴力描写に対して、前半のうちから免疫を作るような展開を用意してあったし、「木更津」では、たとえ、暴力が絡むシーンがあってもあり得ないオチでシーンが解決するなど逃げ道を作っていた。しかし、この「タイガー&ドラゴン」ではその逃げ道がない。虎児が笑ってる、と言われても、「はぁ?」としか言い様がないのだ。いくら「IWGP」的解決をしようとしても、どこかしら「木更津」的要素がある以上、必然的に矛盾が生じてしまうのだ。これは磯山Pが「IWGP」と「木更津」の両方を取ろうとした功罪だろうな。これだけ違う面白みを提供してくれる2つの作品の面白みを1本で表現しようなど、困難極まりないのだ。
やっぱり、私は宮藤ドラマでは「池袋ウエストゲートパーク」が一番好きだ。宮藤自身はだいぶがんばっているのだろうが、「IWGP」を超えられないのは、やはり、演出の力かな。堤さんとの差は大きい…。それでも、来週は最終回。とりあえずは、期待しておきます。ちなみに来週の副題の「子は鎹」の「鎹」は「かすがい」と読みます。
「粗忽長屋」の回(第9話) 6/10放送 視聴率12.6% 演出:坪井敏雄
うわ〜、録画のチャンネル間違えた〜。録画かけておいて見てみたら、マツケンがサンバ踊っていたよ。6chのところを8ch…。ショック…。SP版「三枚起請」の回で登場の北村一輝が出るから、期待していたのになあ。何だか、今クールは1回レビューが欠けちゃうドラマが多いなあ。すみません...。
「出来心」の回(第8話) 6/3放送 視聴率11.3% 演出:金子文紀
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
巷では何だかこのドラマ、スゴく評判がいいみたいですけど、その評判ほど、私は面白いとは思えない。まあ、宮藤の脚本はよく書けている、と思うけど、演出のせいもあるのか、「池袋」の頃の勢いある笑いが姿を消した、と思うんだなあ。
確かに、ちょっといい話っぽい感じの作風で嫌な感じはしないけども、基本的にこの回は笑えなかったなあ。落語という日本古来の文化を扱っているからなのか、展開が型にはまったもので、突き抜けた感じがしない。「池袋」は一応、一話完結というスタイルをとっていたけども、一話一話でいろんな色を見せてくれた、と思う。このドラマもダレないように、ちょっと型を崩してみたりと試行錯誤はしているのだけど、もっと突き抜けたバカバカしさがほしい。
私は宮藤の大きな魅力は下ネタだ、と思っている。下ネタをサラッとギャグにしてしまうあたり、私はそこが好きだ。その下ネタがバカバカしさを強調していたし、突き抜けた展開にも勢いをつけていた。さすがに落語というオヤジ路線が入ってくると、下ネタを入れる隙がない。そこが、正直、物足りない箇所だ。「木更津」での加藤鷹が登場するような暴走としか思えないあの突き抜け感がほしい。
金子文紀の演出にも、もう少しキレがほしい。笑いから感動路線と、話の展開がコロコロ転がる話で、演出が小手先だけで笑いは笑い、感動は感動、という要領で、それほどうまくつながっていないように思う。ここは、「池袋」の堤幸彦監督との実力差ということで。
珍しく鶴瓶師匠の落語が見れたというのは貴重かも知れないけども、正直、今一歩という感が拭えなかった回だった。まあ、長瀬や岡田も「池袋」や「木更津」の頃のように、ムチャが出来るほどの年ではなくなったということなのかもしれない。「池袋」から5年、「木更津」から3年も経ったわけだからなあ…。
「猫の皿」の回(第7話) 5/27放送 視聴率11.9% 演出:片山修
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今日はさほど笑えるという意味での面白い回ではなかったが、脚本の構成は実によく出来ており、なるほどと唸らされた。そういう内容的な意味では面白い回だったと言えるだろう。
「猫の皿」というお話の概要から。茶店の主人が猫を三匹ほど飼っていた。茶店の主人はその猫に三百両もする高価な皿で餌を食べさせていた。客の一人がその皿ほしさに猫を三両で譲ってくれないか、と持ちかけてくる。主人は喜んで了承するも、別の皿をその客人に差し出す。実は、主人はその皿が三百両の価値があることを知っていたのだ。客人がなぜ、汚い猫にそんな高い皿で餌を食べさせているんだ、と尋ねたところ、主人はこう答えた。「たまにこんな薄汚い猫でも三両で買ってくれる人がいるんでねえ」。
はっきり言って、本当の「猫の皿」のほうは話がよく分からなかった。主人は最初から猫を三両で買わせて、儲けようと思っていたということか?そうだとしても、その前にも後にも話の辻褄が合わない部分があると思う。本チャンの話がイマイチ好きじゃなかったから、宮藤がアレンジし直したこの回の話は実にスッキリとまとまっていて、より好印象を受けた。
今日はSP版「三枚起請」の回からの懸案事項である竜二とどん兵衛師匠の不仲について描かれていた。小日向さん扮するどん兵衛師匠のライバル・小しんが、どん兵衛師匠の頼みで竜二に「子別れ」を教えてやってくれと言われたものの、意地悪して「子別れ」ではなくて、来る日も来る日も「猫の皿」ばかりを教え続けたわけだ。そして、竜二の口演の前日になって初めて、頼まれた「子別れ」を教え始める。当然、それを1日で覚えられるわけもなく、口演中、頭が真っ白となった竜二は真打ち昇進を諦めるはめになる。それに、憤怒した竜二は小しんに暴力を振るい、それが元で竜二は林屋亭一門を破門となり、親子の関係も険悪になってしまった、というわけだ。
それが、虎児の粋な計らいにより、どん兵衛師匠と竜二の関係は改善し、竜二も落語に戻るのも悪かねえか、と思うようになったわけだ。本家落語のオチを絶妙にアレンジしたオチが実に見事。親子の絆のドラマとしてもよく出来ていたし、よく考えられていたと思う。笑えはしないが、非常になるほどと納得させられるエピソードだった。
でも、弱点もたくさんある。あとあとから考えれば、伏線が露骨だった部分もあるし、人間の感情の機微を掬いきれていない面も多い。さらに、今回のような人情ものの話も悪くはないが、その中にも宮藤らしい突き抜けた笑いがほしい。最後に、これは声を大にして言いたいのだけども、伊東美咲の演技の薄っぺらさにはほとほと呆れさせられる。この回の放送日の前日に28歳になったとは思えない演技力のなさだ。同じ宮藤脚本でぶりっ子役だった「IWGP」の加藤あいや「木更津」の酒井若菜といった年下の女優さんたちのほうが断然、うまかった。28歳であんなぶりっ子の役は少々キツかろう。28歳という三十路が近い年齢をもっと活かした演技が出来ないものか。
まあ、今回は弱点を本題の出来でカバーできていたから、特に評価点には影響はなった。それでも、弱点をカバーしていけば、もっと高みを望めるはずだ。でも、伊東美咲は改善の余地はないだろうけども…。
「明烏」の回(第6話) 5/20放送 視聴率12.5% 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
まず、「明烏」の概要を少し。女との付き合いがえらく苦手なお堅い男がいたわけだ。両親も息子の堅さには困り果てていた。そこに、町で札付きの悪と評判の2人の男が、お堅い男を稲荷参りに行こうと誘ってきた。しかし、実際、彼らが男を連れて行こうとしていた場所は吉原だった…、というような話。宮藤がリメイクした話だと、吉原が温泉で合コンに化けています。
話としては、まあまあだったかな。しっかりと「明烏」の展開を追っていたし、前回と違ってしっかりとハッピーエンドだったし。それに、今回はその構成の仕方がなかなか面白かった。「明烏」のオチをうまく引っ張って、全体の話が終わる頃合を見計らって、オチを入れ込むという宮藤の脚本構成に感心した。その「明烏」を様々な人の口で代わる代わるしゃべらせていく構成も工夫が凝らされている。こういう制約条件つきの一話完結ものは、マンネリ化しやすいからね、マンネリ化しないように構成に気を使っているというわけだね。
ストーリー自体は納得できるレベルだったのだけども、笑いに関しては空振りが多かったかなあ。今回はこれまで以上に、お笑いネタパロディの応酬だったけども、正直笑えなかったなあ。安田大サーカス、レギュラー、「ちゃっら〜ん」、「村田だ」…。これだけ数打って、ヒットがないというのは問題ありかな。宮藤が悪ノリしたというのもあるだろうし、演出の坪井さんが掬いきれていないというのもあるだろうね。これではハイテンションで熱演していた阿部サダヲがとても空しく映る。こういうパロディーネタよりも、このドラマは役者の個性的な演技で笑えることが多い。お笑いブームだから、宮藤がお笑いネタを入れ込みたい気持ちは分かるが、使い方をわきまえるべきだと思う。
それはそうと、第4話以降登場のゲスト出演者は、みんな「木更津キャッツアイ」つながりなんだね。森下愛子さんに、古田新太、そして、今回が薬師丸ひろ子さん。さらに、次回が小日向文世さんときている。何だか、同窓会状態だなあ。「木更津」ファンとしたら、たまらないんだろうなあ。私はどちらかといえば、「池袋ウエストゲートパーク」のほうが好きなので、こっちからもゲストが…、といいたいところだけども、あの豪華キャストでは無理だよなあ。
「厩火事」の回(第5話) 5/13放送 視聴率12.4% 演出:金子文紀
評価★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3
うわ〜、後味悪い話だなあ。このドラマにこんな後味の悪い話はいらない。
今日は「厩(うまや)火事」を題材にしたお話。酒飲みで粗暴な亭主にホントに自分への愛情はあるのか、ということをその奥さんが試そうとする話。そのダンナが瀬戸物を大事にしているから、そのダンナの前で瀬戸物を落としたときに、奥さんか瀬戸物のどちらを心配するか。そのダンナは奥さんの心配をしたのだけども、その理由が、奥さんがしっかりとしてくれないと、自分が遊んで酒が飲めないから、というオチの演目なわけです。
そもそも、私はこの「厩火事」という話があまり好きになれないなあ。確かにそれまでの伏線をミックスさせたオチというのは、うまい作りになっているのだけども、やっぱりオチの後味が悪い。こういうあまりいい話とはいえないものをアレンジしたって、面白い話にはならんだろうなあ。なぜだか、後味の悪さまで継承しちゃっているし。
前回までバカバカしい軽いノリで来ていたじゃないのよ。この回はどうして、妙に感動路線に進んじゃったのだろう?確かにこの回からは宮藤の笑いに対する畏敬の念は伝わってくる。落語、そして、上方漫才、さらには、次長課長なんかも出演させて今のお笑いまで、幅広い「笑い」に対する関心を脚本に織り込んでいるのは分かる。その「笑い」を使って「泣き」を導くということに苦しさを感じた。やはり、最後の種明かしの後味悪さも伴って、最後まで「笑い」と「泣き」はうまく絡み合っていなかったと思うな。
今回は全体的にこれまでの型どおりの展開とは異なる点をいくつか用意した実験的な回だったような気がする。恐らくは同じことを繰り返していて、マンネリ化するのも癪だから、少し変化球を投げておこうと思ったのだろうね。その変化球だが、曲がりすぎてボールになってしまったのではないかなあ。
「権助提灯」の回(第4話) 5/6放送 視聴率12.8% 演出:片山修
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今日はまずまず面白かったんじゃない。前回と違って、しっかりと「権助提灯」の展開を踏んでいたし。
「権助提灯」という話は、男が正妻の家に泊まろうとしても追い返され、愛人の家に行っても追い返されで、何度も行ったりきたりしている間に夜が明けてしまったという話。
今回はゲストとして森下愛子さんが登場。森下さんといえば、宮藤ドラマ常連さんだから、嬉しいゲスト出演。特に長瀬との共演シーンなんて、いつ「母ちゃん」と言うかひやひやして見ておりました。結局、そこまではふざけてはいなかったのですが。
それにしても、西田さんと鶴瓶さんのいい大人がしょうもないことで、意地を張っているのは面白かった。結局、ラブレターを誰が書いたのか釈然としなかったのは残念だったけども、「中谷中」、くだらなくて、いいじゃない。西田さん扮する「谷中」と鶴瓶さん扮する「中谷」、どっちだよ、てか。それに、男が奥さんと愛人の間を行ったりきたりの話を、女が2人の男の間を行ったりきたりする話に展開していくあたり、宮藤の類稀なる着想に感心する。西田さんと鶴瓶さんの若い時代をそれぞれ岡田、長瀬に演じさせるあたりもオフザケが貫かれていていい。それにロケ地の堤防、金八の堤防だったし。
今回はしっかりと「権助提灯」の流れを押さえた上で、宮藤らしい話にアレンジされていた。これくらいの出来で毎回、仕上げておいてほしいものだ。そして、今回あたりからゲストが出始めたから、これから登場するゲストにも注目したい。
「茶の湯」の回(第3話) 4/29放送 視聴率13.2% 演出:片山修
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
話だけで見るなら、今回はなかなか面白かったと思う。しかし、大きな欠点が一つ。全然、「茶の湯」じゃないじゃん。
上にも書きましたが、今日の演目は「茶の湯」。茶の湯の作法を知らないご隠居が周りの人たちを茶の湯に誘って、茶の湯の作法を知ろうとするが、その人たちも茶の湯の作法を知らなくて…、といったような話。
今回は話のエッセンスとしては面白い部分は多かった。西田さん扮するどん兵衛師匠と荒川良々扮するジャンプ亭ジャンプの「茶の湯」バトルは面白かった。とにかく荒川良々のキャラクターが強烈だった。荒川くんの強烈な個性をここまで活かした役は今までなかったのではないかな?同じ大人計画なだけあって、宮藤さん、使い方を心得ていらっしゃる。
そして、宮藤脚本の往年のテーマである若者の「自分らしさって?」「リアルって?」という葛藤をユーモアの中にコンパクトにまとめきっていて、うまい構成となっている。また、個人的に非常にツボだったのが、阿部サダヲの「0ポ〜イントッ!そんなんじゃ、内村さんは拾ってくれねえぞ」というセリフ。これは思いっきり他局の「内村プロデュース」からモロ引用したネタ。宮藤さんも内P見てるんだなあ、と思って見ておりました。「真夜中の弥次さん喜多さん」にもおぎやはぎを出演させるほど、お笑い好きの宮藤だから、こういう番組が好きそうなのは納得ですがね。
まあ、エッセンスとしてはどれも面白かったのだが、一番の問題点はエピソードが全然、「茶の湯」とリンクしていなかったこと。「茶の湯」とのつながりがあったのは最後のところだけじゃない?「茶の湯」を映像に直した部分は笑えたのだけど、それを現代風に直したオチの部分がその映像の面白さに負けていたかなあ、と思う。このドラマは落語の演目の展開にリンクさせることが大前提でしょ。最低、ルールくらいは守ってもらいたい。尾美さんのセリフで「茶の湯」とは全然、関係ないと言い訳しておりましたがね。宮藤もそろそろネタ切れか?それとも、ドラマ自体の方向転換か?
この作品は落語の話にリンクさせるという枠でガチに固めてあるから、従来の宮藤らしいハチャメチャぶりはかなり制約を受けることになる。でも、個人的にそのハチャメチャが行き過ぎるとノレなくなるので、このくらい枠があったほうが地に足が着いて面白いと思う。しかし、そう思えたのは、初回くらいで、第2話、第3話は惜しいけどイマイチ。ちょっと自ら設定した枠に苦戦しているような気がするなあ。今後、どうなる?
「饅頭怖い」の回(第2話) 4/22放送 視聴率14.1% 演出:金子文紀
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
う〜ん、ちょっと今日はネタとして苦しくなかったか?
今日のお話は「饅頭怖い」という落語の演題に沿って、話を展開させるもの。阿部サダヲ扮するどん太(本名:竜平)が落語家として苦悩するドラマと、虎児の組の日向の結婚騒動のドラマの2つの話をミックスさせていた。
どん太のエピソードにしても、結婚騒動にしても、何か盛り上がりに欠けた気がしてならないし、確かに「饅頭怖い」の展開を踏襲しているとはいえ、あのオチはちょっと苦しい。それはそうと、どん太があれで立ち直った、というあたりも個人的には納得がいかない。
まあ、宮藤さんは慣れない落語の話を研究して、出来る限り有名な演目を選んで、この展開を現代風、そして、自分風にアレンジするとどうなるか、と必死で考えているのでしょうな。まあ、このドラマは一種の替え歌みたいなもので、かなりストーリーには制約が生じるというわけだ。だから、必要最小限の制約を包含しつつ、それに見合うだけのいいアイデアが浮かんだ回は面白いけど、アイデアが苦しい回はイマイチというギャンブルの要素も含んでいると言えるだろうね。
阿部サダヲの思い切りのいい演技とか、猫背椿のオーロラ輝子(古っ!)ばりの派手な格好の演歌歌手役とか、細かいところでは面白いところがあったのだけどね。だけど、最後に登場した荒川良々の謎の男、気になるわあ。
「芝浜」の回(第1話) 4/15放送 視聴率16.2% 演出:金子文紀
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
おぉ、なかなか面白かった。個人的にスペシャル版「三枚起請」の回は気に入らなかったのだけど、あのスペシャル版があったからこそ、第1話がスムーズに入り込めたのだと思う。スペシャル版の良し悪しは置いておいても、連ドラの前にスペシャル版を放送しておいて正解。
このドラマの主人公は、落語家になりたいけど話下手なヤクザ・虎児(長瀬)と、服屋を経営していても服のデザインセンスがないが落語の才能はある竜二(岡田)。この2人の周りで起こる事件を毎回、落語の話と絡めて見せる一話完結式のドラマ。今回の話は「芝浜」という演目。
スペシャル版の内容を踏まえた上で話が進んでいくから、既に登場人物の関係は出来上がっているし、落語に絡めたストーリー展開というスタイルも了承して構えていられたから、第1話は本題からダイレクトに入り込めた。導入部の説明がもう既に終わっていて、本題に十分に時間を割くことができたおかげで、窮屈にならずに余裕をもった作りとなっていた。これが好スタートを切れた要因だ。宮藤作品は導入で説明しないといけない部分が結構、多い。だから、本題に入って勢いがつくまでに意外と時間がかかる。それを前もって済ませておいて正解だった。
導入部がないからだけでなく、宮藤の脚本の出来もすばらしい。今回の「芝浜」という落語は夫婦の間の人情話。宮藤お得意のハチャメチャなとんでもストーリーではなく、宮藤らしいキャラクターを造形しつつも人間の心の機微を取り入れて、落語の内容とリンクさせてきたあたり非常にうまさを感じる。いつもの宮藤のような勢いで突っ走るタイプの作風と違って、人間関係を基調とした割りと静的なプロットは新鮮だった。
主人公の虎児と竜二もスペシャルで見たときより、随分とキャラクターが出来上がっていたと思うし、格段に魅力的なキャラクターとなっていた、と思う。長瀬と岡田のコンビも息があっているし、宮藤の世界観ともピッタリとハマる。そのほかのキャストで言えば、蒼井優が印象的だった。若いのに腕のある女優さんだ。伊東美咲より格段に演技がうまい。
何はともあれ、このドラマは滑り出しの印象は上々だ。それも一話完結だから、毎回、次はどんな話を用意してくれているか楽しみに見れそうだし、このドラマは面白いドラマになりそうな予感がする。
放送前の感想
「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」のキャストとスタッフが再結集したドラマ。2005年1月に放送され、好評を得たスペシャル版「三枚起請の回」の続編となる。実を言うと、SP版よりも連ドラとしての話のほうが先に上がっていたのだという。宮藤官九郎の作品は評価は高いのに、視聴率に結びつかないことが多い。実際、「IWGP」「木更津」といった代表作もDVDになって初めて、人気が尻上がりに上がった。だから、今回、磯山PはあらかじめSP版とDVDで名前を売っておいてから、連ドラに移ろうという魂胆だったのだそうだ。保険をかけたということだ。個人的にSP版の出来はずいぶんいろいろある要素をはしょりまくった感があり、気に入らなかった。そのはしょりまくった要素を連ドラの中でどれだけ消化していってくれるかに注目したい。