アンフェア
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| 2007.3月公開の映画 「アンフェア the movie」の映画批評はこちらから |
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放送後の感想
大筋のプロットはよく考えられたものだと思う。原作にある「推理小説」殺人から、このドラマオリジナルの募金型誘拐事件、×マーク殺人事件へと事件がつながっていく過程は、原作を読んだ人も意外な展開で楽しかったのではないかな。ただ、問題だったのは、作り手側があまりこういうサスペンスものを作り慣れていないことが分かってしまったこと。犯人探しをメインに押し出すあまり、細かい部分に明らかに作品の質を落としている粗が多く見受けられた。その中でも一番の粗は組織の描き方が下手だったということ。特に警察という組織の描き方はマズかった。あそこまで捜査力がなく、セキュリティーも緩く、不祥事ばかり起こしている警察像はいただけない。演出ももう少し工夫すれば面白くなっただろうと思う部分がやけに単調だったり、そこはそこまで大袈裟に見せることもないのにと思う部分がやけ冗長すぎだったりと、バランスが悪かったと思う。プロットはよかったのだから、もう少し人選を精査してくれたら、もっといい作品になったのではないかな。
]T FINAL 3/21放送 視聴率15.8% 演出:小林義則
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
真犯人をバラしちゃいますので、DVDか何かでまだ知らない状態で見たいという方は読むのを避けてください。
ホントによく引き伸ばしてきたと思うこのドラマもとうとう最終回で、遂に真犯人が判明いたしました。
真犯人は、安藤(瑛太)だった、とのことです。このドラマは、序盤のうちから全員を冗長に怪しい体で撮ってきていましたので、はっきりいって意外性はない。今となって考えてみれば、ほぼ全ての登場人物に影を持たせていたのに、安藤だけはそのような影の部分を描いていなかったように思う。今となっては、それが製作者サイドの犯人を示すサインだったのかもしれない。
安藤は、かつて雪平が射殺したパチンコ店店員の青年の施設で知り合った友人だったとのこと。それで、その友人を射殺した雪平を恨み、安藤は必死の猛勉強で刑事となり、雪平の下で働くようになり、復讐を決意したその日から綿密に考えてきたこの一連の事件を起こし、雪平を苦しめていくことで復讐を果たそうとしたのだそうだ。でもまあ、それにしても手間がかかりすぎだろう。こんな手間のかかることをわざわざするのだから、安藤にはもっとサイコ的な色合いを強調させてほしかった。復讐という理由だけで、この面倒くさい犯行がつとまるわけがない。ここまできたら、復讐の域を超えて復讐という怨念にとり憑かれたサイコパスだと思う。安藤を徹底的なサイコパスとして描くくらいの勇気がこのドラマには必要だったのではないか。
ところが、安藤は雪平に復讐を誓うものの、近くで雪平を見続け、好きになっちゃったということらしい。恐らくは、犯罪者と刑事という対極にいる存在が追い、追われる関係であるうちに、互いにどこか惹かれ合うという「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターとクラリス・スターリングのような関係を描きたかったのだろう。安藤がかつて友人が殺された現場を再現し、わざと雪平に自分が撃ち殺されるように仕組んだのも歪んだ愛情の裏返しだったということだろう。だが、このドラマには申し訳ないが、「羊たちの沈黙」のような常識を超越した関係に説得力を持たせられるほど、洗練された緊張感が存在しない。雪平はクラリスと多少重なる部分はあるが、有能というよりはただの荒くれ者という感じで、もう少し何かずば抜けて優れた技能があるといったクレバーな面を見せてほしかった。そして、問題なのは、瑛太くんだ。彼はまだまだ泥臭さの残る印象で、まあ、そこが彼の魅力でもあると思うのだが、今回はその印象が犯人という役柄にリアリティを奪っていたように思う。単刀直入にいえば、彼では頭がいいように見えないのだ。知的で、どこか底なしの冷ややかな面がやはりほしい。そういう点で考えれば、「羊たちの沈黙」でのジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンスのキャスティングはまさに完璧だったというわけだ。
いろいろと手をかえ、品をかえ、引っ張ってきたこのドラマだが、連ドラであることがこのドラマから面白みを奪ったような気がする。個人的な復讐で3ヶ月引っ張ると、さすがに手間がかかりすぎていて、ありえないと思ってしまう。それだけ犯人のキャラが強烈ならいいけども、このドラマはそうでもない。視聴者は3つの事件を裏で操っている者がいることなどは百も承知で見ているから、さすがにここまで長く引っ張るのはキツいだろう。だから、最初のうちは1話完結か2話完結の捜査もののテイストで話を進めていって、無関係と思われた事件が、例えば「アンフェアなのは誰か」という言葉で中盤をすぎたあたりから結びついていく、という展開にしたほうが、作品としても話の展開に起伏ができてバランスがいいし、視聴者としても興味の集中力が長く続くというものだ。そういう点で考えれば、「ケイゾク」というドラマは非常に見せ方がうまいドラマだった、といえるのだ。
結局、このドラマで確信を持っていえることは、このドラマの警察は無能であるということ、その警察の中でも特に、小久保(阿部サダヲ)は全く使えないアホだということ、山路(寺島進)は管理官のくせに捜査は何もせず組織の体面ばかり気にしていたかと思いきや最後のオイシイところだけは持っていったということ、くらいか。せっかくプロットはよかったのに、見せ方が下手くそだったから端々に粗が見られる。一味違った作品作りをしていたら、クレバーで刺激的な作品になっただろうに、結局は犯人の当てっこを11話まで延々と引き伸ばしただけの次元のあまり高くない仕上がりとなってしまった。
] 3/14放送 視聴率15.0% 演出:高橋伸之
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
まだまだ引っ張る×マーク殺人事件。これまでの事件の犯人である瀬崎(西島秀俊)、蓮見(濱田マリ)、牧村(木村多江)を結び付けていたものが明らかに。架空の事件を起こし人をバーチャルで殺すことを趣旨としたサイト。サイトの持ち主を探してみると、それは佐藤(香川照之)だった。最終的な決着をつけるため、雪平は佐藤を、父親が殺された場所に呼び出す…。
佐藤は雪平に、お前は何も分かっていない、とラストシーンで言っていたし、恐らく×マーク事件の犯人は佐藤ではないのだろう。今回は、佐藤が犯人という体でずっと引っ張っていたので、真犯人は来週まで持ち越し。
それにしても、このドラマは人が無意味に死にすぎている。最近、あのキャラクター出てこなくなったなあ、と思っていたら、あっけなく死体になって出てきたりとか平気でするからね。このドラマは消去法の要領で、いらなくなったキャラクターは殺せとばかりにどんどん殺されていってしまう。謎解きのスリルを追い求めようとするがあまり、キャラクターを駒としてしか用いることができなくなっているように見える。時代はリサイクルの時代ですよ、キャラクターももう少し有効的に再利用してくださいよ。
それにさ、その真犯人だって、あんまりにも全員が怪しいというようなカットを冗長気味に入れてくるものだから、犯人が誰でも別にいいんじゃない、と思えるようになってきた。だって、何の意外性もないじゃないの。みんながみんな怪しいなんて印象を与えちゃったら。
でも、よくここまでの時間、話をああだこうだと引っ張ってきたね。そこは感心してしまう。毎回、事件はあまり進展があまりない。いろいろな手を使ってのらりくらりと視聴者をかわしてきたというわけだ。だけども、このドラマはその無理クリに引き延ばしている感じが随所に見られ、その影響で細かい部分に相当の粗が見られた。やはり、連ドラ向きの題材ではなく、もっと高予算で2時間ちょっとくらいの映画として仕上げればよかったのかもしれないね。
\ 3/7放送 視聴率16.5% 演出:小林義則
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
第9話だというのに、またまた新たな事件が発生。今度は、これまでの一連の事件の関係者である広真建設社長、日報新聞社編集長が同じ手口で殺害された。その手口は、ケーブル状のもので絞殺し、殺害後、手の甲に「×」(バツ)印を残すというもの。その重要参考人として浮上したのが、佐藤(香川照之)。
警察の捜査も誘拐事件の首謀者である黒マスクの人物が蓮見(濱田マリ)であることを突き止める。蓮見の自宅に雪平は急行するが、既に蓮見はそこで息絶えていた。やはり、蓮見の手の甲にも「×」。そして、佐藤の名刺が残されていた。果たして、新たに始まった「×」印殺人の犯人は佐藤なのか…?
というか、佐藤では絶対にないよね。あれだけ佐藤が怪しいよ、というような見せ方をしておいて、そのまま犯人は佐藤でした、なんて言ったら、視聴者の人は本気でズッコケると思う。いろいろ考えられる犯人の説はあると思うけども、ここで推理してしまうと結末でガッカリしてしまいそうなので、あえて何も考えることはせずにこのドラマの結論を待とうかと思う。
それにしても、このドラマからは「おぉっ」と引き込まれる部分があまりないんだなあ。アンフェア殺人→募金型誘拐→×印殺人、と展開は転がってはいるのだけれども、ただ事件を数珠つなぎにしているだけという感がしてきた。別々の事件として同時進行していたものに、つなぐ線が見えてきたという展開であるなら、なるほど、と引き込まれる。だけども、このドラマの場合は、事件をここまで強引につなげることもないと思うし、その事件のつなぎ方が最終回までの時間稼ぎのようにも感じられる。あるだけの要素を見せきれずに省略しているというよりは、あるだけの要素を見せきってしまったので付け足しをしているように見えるのだ。
ずっと思っていたのだけれども、三上(加藤雅也)の三枚目キャラって、このドラマに必要かなあ?どうしても、あのリアリティのカケラもないキャラのおかげでドラマがだいぶ白けてしまっていると思う。これ以外にも、このドラマはなぜか、コメディを得意とするような役者ばかりを揃えている。だから、どうも邪悪な色合いがあまり伝わってこない。濱田マリさんはやはり、どうしても犯人としては迫力に欠ける。メイクも濃すぎだし、あのチリチリパーマの頭も問題。濱田さんも「血と骨」なんかではそれなりに見えたのだから、見た目を変えればもう少しハマるとも思うのに、あの格好だからな。キャスティングミスの上に、メイクや衣装にも粗が見受けられる。
[ 2/28放送 視聴率16.1% 演出:高橋伸之
評価★★☆☆☆☆☆☆☆☆ 2
今回はやっていることがスゴく粗かったね。ツッコミどころ満載の実にお粗末なサスペンスでございました。
前回のラストで安藤(瑛太)が銃撃され、重傷を負った。そこで、雪平は機転を利かせ、安藤を死んだことにして、目を付けた牧村(木村多江)からボロが出るのを待って、警察内部にいるかもしれぬ共犯者の炙り出しを行おうとしていた。
牧村は、黒マスクの犯人が蓮見(濱田マリ)であることに感づく。牧村は蓮見を脅し、広真建設社長の事故の再調査を改めて要求する。山路(寺島進)とも通じている蓮見は、自分が犯人であることを知っている牧村を殺し、証拠を隠蔽しようとする。そんなとき、牧村は自分が殺したと思っていた安藤が実は生きていたことを知り、逆上、広真建設に乗り込み、社長に銃口を向け、事故の証言を強引に引き出す。その場に駆けつけた雪平に諭され、何とか復讐を思いとどまり、逮捕されたが、建物から外に出た瞬間、牧村の体を何者かが発射した銃弾が貫き、死亡。重要な証言者がまたも消された…。
まあ、いろいろといっちょ前の展開をしてくれているのはいいのですが、細かい部分の粗がとにかく目に付く。「24」を意識しているのかどうかは知らないけども、この手の次から次へと展開が続くサスペンスは最低限のリアリティは維持してもらいたいもの。人間を描くにしても、どんでん返しをするにしても、それなりに納得させてくれなければ困る。このドラマは到底、納得できるものではない。
第一に、牧村のキャラの描き方が甘い。この人はいくら復讐心に駆られているといっても、あくまで普通の人なのですから、一人、人を殺したと思い込んだままで、あんなに平然と人の前にいられるものなのか、と思う。どこか、自分はとんでもないことをしてしまったと思って、壊れそうな自我を必死で保持しようとしているという描写が必要じゃないか?それに、その接している人というのが自分も関わっている誘拐事件の被害者だからなおさらだ。どこまで牧村は図太い女なんだよ。その後の広真建設に乗り込んでいくというキレたとしか思えないトンデモ行動も理解できないし、そもそもこの会社のセキュリティーはどうなっているんだ。それで、銃口を社長に構えているのはいいが、牧村の行動には隙がありすぎるだろう。後ろに横たわっているだけの男たちなら、いつでも取り囲んで銃を奪おうと思えばできたんじゃないか?
第二に、黒幕役が濱田マリと寺島進さんじゃ、まるで迫力がないですよ。特に、濱田マリのどう見てもコメディ顔に、あのチリチリのパーマの頭じゃ、怖くも何ともねえよ。寺島さんもさあ、山路というキャラが管理官だというのに単細胞だから、まるで締りがない。バスローブの濱田マリと寺島さんのベッドシーンは申し訳ないが、笑えてしまった。ただでさえ、犯人の手口にも狡猾さがあまり見られないわけだから、その犯人役が役柄的にも見た目的にも間抜けに見えてしまったら、台無しでしょうが。この回のラストでは牧村がスナイパーに射殺されるわけだけど、一管理官にスナイパーを雇うだけの余裕があるでしょうか?何かのシンジケートの人物ならまだしも、一公務員ですからね…。まさか山路自ら射殺なんてバカなことはありませんわな。
展開でやっていることは大きく出ていて、いっちょ前でございますが、それを見せていく上での、脚本なり演出なり、見せ方がとにかく下手なわけです。プロの犯行グループをプロの警察が追う、という部分、つまり、プロフェッショナルさに何かしらリアリティを与えてくれなければ、ただの三文寸劇にしか見えない。日本のドラマ界というのは、本当にこの手の大型サスペンスというジャンルが不得手なのだなあ…。
Z 2/21放送 視聴率14.0% 演出:根本和政
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
う〜ん、今日はかなりの見せ場のはずなのだけども…。
今回はかなり展開としては進んだ。全身黒づくめで登場していた犯人は蓮見(濱田マリ)だったことが判明。これまで、逆探知がずっとできずにいたのは、蓮見が嘘の情報を流していたからなのだそうだ。蓮見は身代金で集めた12億円で株を買い、そのキャピタル・ゲイン(売却益)で一儲けしてトンズラをここうという腹らしい。そして、蓮見はどうやら、山路(寺島進)とデキているみたい。山路は広真建設社長の起こした事故をもみ消した過去を持っていることも判明し、これは私の推測だが、その情報を蓮見に流し、その情報で事故の被害者の遺族である牧村を利用したというところだろう。
また、牧村と雪平の娘が監禁(のフリ)をさせられていた場所が実は、警察署内の地下だったことも判明。つまり、捜査本部と捜査本部のすぐ下を蓮見が行き来しながら、犯行を重ねていたということ。牧村は自分が利用されていたことに気付き、独自に行動を始める。そのとき、安藤(瑛太)がこのカラクリに気付き、地下へ急行する。しかし、牧村が安藤を銃撃、安藤は瀕死の重傷を負ってしまう…。
犯行現場が捜査本部のすぐ下だったと聞いたときは、多少は驚いたけども、このドラマは見せ方が下手だなあ、と改めて確認させられもした。演出がたどたどしくて緩い割りには、たまに意味もなく冗長だったりもして、どうも締りがない。脚本もプロフェッショナルさを表現できていない。警察も捜査はプロ、犯人も犯行はプロのはずなのだが、どうしても彼らがその道のプロには見えない。内容はいっちょ前のことをやっている割りには、演出と脚本にこの手の大型サスペンスを見せる力がないから、どうしてもバカな犯人に、さらにバカな警察が右往左往されているという感じにしか見えない。それにさあ、寺島進さんと濱田マリさんがデキてると言われても、この2人の2ショットでは失礼ながら笑えてしまうのだけど…。悪に必要なセクシーさや色気がまるで感じられないね、申し訳ないけど。
このドラマももう後半だけど、あと4話。最後の2話くらいでは犯人を追い詰めていくとしても、8話、9話あたりはまだ新たな展開や新たな人物とのつながりを明らかにして、引っ張っていくということになるんじゃないかな。ちょ〜っと、この小康状態には飽きてきた。まだ最終回まであと1ヶ月か、長いな…。
Y 2/14放送 視聴率14.9% 演出:小林義則
評価★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3
やっぱりな、今日も小林さんだったか…。何か全体的に鈍くて、ミステリーとして鋭さがないなあ、と思っていたら、案の定、演出は小林さんだったのね。
募金型の身代金を要求してきた誘拐事件の犯人。捜査本部は犯人の要求どおり、国民が募金するための口座を公表する。その際における雪平の度が行き過ぎた報道機関への露出により、募金はまるで集まらない。そのとき、犯人から新たな要求が突きつけられた。現在、一緒に人質に取られている牧村(木村多江)の夫と子供が犠牲となった事故の真相を明日の朝刊に掲載せよ、そうすれば、牧村への同情により、要求の12億円は軽く集まる、と。牧村の夫と子供は衆議院議員の息子である広真建設社長が起こした不祥事で、議員の圧力で事件がもみ消されたらしい。その記事は翌朝の朝刊に掲載され、広真建設の株価は急落、倒産の危機となる。犯人の思惑通り12億を集めることに成功。そして、犯人のさらなる要求が突きつけられる。「12億円全額で広真建設の株を買え」…。
話自体はとんでもない方向へと転がり始めて、事件のプロットに関しては、引き込まれるものがある。集まった身代金で株を買えか…。犯人の狙いはまるで読めない。とりあえず、牧村は黒幕に協力した一味であることが判明。牧村はダンナと子供の事故で広真建設社長に怨恨があったということでよろしいのか?この事件については、かなり多くの人物が関連した複合的な事件である。誘拐事件の実行犯がいて、それに協力した牧村がいる。そして、何者かに利用されていた可能性がある瀬崎一郎。恐らく、これらの人物を陰で動かすさらなる黒幕がいるのは明白。事件の謎解きについては、これからの展開に見所は十分。それにしても、スキャンダルで株価が急落して、倒産しそうです、となっているシーンは、あまりに○イブドアと状況が重なりすぎていて、かなりタイムリーな展開になっていて、見ていて放送していいのか、と思ってしまった。
しかし、大きな問題なのが、やはり、演出の緩さである。この事件はタイムリミットも限定されているし、刻一刻と捜査状況が変化していっているはずだ。警察の捜査と同時に、佐藤(香川照之)が広真建設社長の事件を暴こうと必死で取材をしている。これだけ変化や動きの要素があるはずなのに、なぜ、このドラマは動きが止まってしまっているのだろう?あまりに画が動きや変化に乏しく、まるで右へ左へと揺れ動く捜査線がまるで表現できていない。もっと手持ちを駆使すべきだろうし、取材陣が詰め寄せているシーンなんかは上からの俯瞰の画もほしいだろう。こういうときこそ、「24」のパクリになろうが、分割画面を使って、終始、この事件のために動いている人たちの画を見せ続けるべきだろう。雪平と佐藤が会っている場面でも、固定カメラで撮るのではなく、2人を立ち話させて、手持ちで2人の周りを回らせてみる、とかいう映像を使うだけでも、緊迫感が変わると思う。とにかく、カットの切り替えが緩すぎる。どんどん細かくカットを割っていて、テンポを早いものにすべきではないか。犯人の描き方もバカの一つ覚えみたいにワンパターンだし、もっと画に変化を付けてくれよ。こういう題材こそ、局は違うが、「輪舞曲」で演出をしている平野俊一さんのような人がやれば、格段に面白くなったはずだ。
演出に加えて、脚本にも細かい部分に不備が多い。雪平が置かれている状況がまるでチグハグだ。一応、この人は謹慎中のはずなのだが、堂々と捜査本部に乗り込んできて、それを誰もツッコまない。謹慎中なら謹慎中で、その設定をしっかりと活用して、背後でコソコソ動こうとするとか、もっと狡猾な一面を見せてくれたほうがいい。この人は謹慎中なんだか放し飼いにされているのか、雪平の立場に矛盾が多すぎる。それに、いくら歯に衣着せぬ発言をするキャラだといっても、あそこまで自分の発言に責任を持たないのはどうなのだろうか?どう考えても、報道陣の取り囲まれるのは分かっているのに、堂々と警視庁の正面玄関から出て行く傍若無人さ。それが雪平のキャラというならしょうがないが、雪平を放置したら、また面倒を起こすくらい分かりきったことなのに、その雪平を制止することなく、正面玄関へ向かわせる捜査本部の無能さ。強引に裏口から出すとか、面倒なことを避けるようにするのが普通だろう。また、どうも管理官の山路(寺島進)がアホにしか見えなくなってきた。よく考えたら、あの人、いつも他の人の言うことに乗っかっているだけで、自分でどういう捜査方針にするかということを何も考えていないと思う。捜査本部の連中も何かあったとなったら、揃いも揃ってゾロゾロと犯行現場へと向かって、それに、管理官もついてくる始末。管理官なら、捜査本部に残って陣頭指揮をとるべきだろうし、犯人がどこかで見ているかもしれないのに、そんな無用心に刑事が大挙して押し寄せるって、アホなことをするわけがない。
大まかなストーリーのプロットはよくできていると思うが、それを見せることに終始するがあまり、細かい部分が実にツッコミどころ満載の悲惨な状況になっている。演出に力強さがあれば、その粗にも目を逸らせるが、演出が緩いのでもろにその粗が目に付く。ここまできたら、最後まで見るつもりだが、せっかくのストーリーも小林義則が演出すると、全て台無しになってしまっているように思える。
X 2/7放送 視聴率15.5% 演出:高橋伸之
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今回は、誘拐事件が新たな展開へと発展していく。犯人は雪平の娘を誘拐し、最初はマスコミには漏らすな、と言っておきながら、後にはマスコミに事件を公表しろ、と二転三転と要求を変えていき、警察を翻弄する。そして、テレビ局に直接、電話をかけ、この誘拐は募金型の誘拐で、娘を解放してほしかったら、日本国民は1人10円ずつ身代金を支払えという要求を突きつける。さらに、最後、「アンフェアなのは誰か」という言葉を残す…。
う〜ん、ストーリーはめちゃ面白いのになあ。募金型の誘拐なんて、聞いたこともないし、とても斬新な事件のスタイルでこのドラマの個性がよく出ていて、その着想は賞賛すべきだと思う。そして、この誘拐事件が「推理小説」殺人と関連が出てきた部分も視聴者をグッと引きつける。事件の全貌に関しては全く先が読めず、よく練られたプロットである。
ただ、演出や脚本にもっと手馴れた感じがほしい。このドラマでの事件はマスコミを利用した日本全国を巻き込んだ現代的な劇場型の事件である。やはり、もっとそれだけの大事件であるというスケール感を出してほしいのだ。どうも、雪平の周りと警視庁の中の狭い会議室の中だけで起こっているだけというスケールの小さい感じがしてしまって、作り物感が滲み出てしまい、真に迫るものがない。犯人はこうした犯罪に手馴れた犯罪者だという設定なのだが、それを描く演出家や脚本家が、そうした犯人像を描くことに不慣れである様子が見えてきてしまっているのだ。
もう少し手持ちカメラや細かいカット割りを使いながら、捜査線が刻一刻と変わっていき、流れ、踊っている様を表現してもらいたい。ストーリーはとても面白いのに、それの見せ方にスピード感がなく、謎解きのスリルがない。今更ながら、演出が違う人だったら、絶対もっと面白くなったのに、と感じる。
でも、オープニングタイトルバックで毎回、出演者に交代でナレーションをさせているというのは面白いやり方だね。今日の声は木村多江さんで、前回は井上順さんだったかな。書こうと思いながら、書くときには忘れていたので、今日はようやく書きました。
W 1/31放送 視聴率16.0% 演出:小林義則
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
今日は犯人じゃないかなと思われる人物に行き着くという前半の山場といえる回。だから、ストーリーに支えられて、それなりには見れた。だけど、この回も何だか切れ味が鈍角的で鈍いよなあ、と思っていたら、演出が小林さんに戻っていたのね。
今回は、「推理小説」殺人の実行犯と思しき人物へと行き着く。その人物とは、瀬崎(西島秀俊)。瀬崎は自分が雪平に撃ち殺されることまでを計算して、殺人計画を練っていたらしい。これで事件解決かと思われた矢先、雪平の携帯に着信が。携帯の向こう側の新たな犯人は、雪平の娘を誘拐していた…。
第4話にして、「推理小説」殺人の犯人と思しき人物が判明し、さらにその人物、つまりは、瀬崎は雪平に射殺されてしまう。しかし、新たな事件が発生する。雪平の娘が誘拐された。この誘拐事件と「推理小説」殺人のつながりとは何か?この2つの事件共に雪平に最終的にはつながってきたが、真犯人は雪平とどのようなつながりのある人物なのか?その事件の全貌とは…?と、第4話は謎めいた展開が次々と飛び出し、ストーリーを追っていくだけであれば、それなりに楽しめた。ストーリーに関しては、次の展開が気になるから、次回以降も見ようと思わせる力は十分にある。
しかし、小林さんに演出が戻って、やはり、切れ味が鈍くなった。瀬崎がとりあえずの犯人だと分かったのに、瀬崎に潜む凶暴性とか危険な感じがまるで感じられない。西島さんの個性であるあまり表情や声色に抑揚をつけない演技なら、もう少し不気味な感じを描き出せると思うのになあ。それに、瀬崎を雪平が射殺するシーンでも、血が吹き出すシーンをわざと避けようとしているのが分かるから、正直、それは感心しない。ハードボイルド・ミステリーであるならば、そういった暴力シーンを意識してオブラートに包もうとするのは言語道断だろう。もう少し壮絶な死に様を演出してもよかったと思う。
演出は、テレビでまだ10時台の放送であることに気を使ってか知らないが、どうも当たり障りのないような描写で済まそうとしているような気がする。その不毛な配慮のために、作品が一回りは面白くなくなってしまっているように見えた。こういうミステリーもので見せ場となるはずである犯人との対峙シーンに手を抜くというのは大きな欠陥と言わざるを得ないね。
V 1/24放送 視聴率15.1% 演出:植田泰史
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
演出の人が変わって、随分と改善した。そう感じない人もいるかもしれないけど、私はとてもそう感じた。最初の前回までのダイジェストを見せていくところから、タイトルが出るまでのテンポ感が全然前回と違った。開始して、すぐに演出が変わったな、と分かった。
前回は3000万円で落札せよ、との犯人からの指示だったが、落札のいかんが発表になる前に殺人は実行された。そして、犯人からの新たな指示で、今度は1億円で落札せよ、と予告してきた。警視庁は岩崎書房と結託し、2億5000万円で次の殺人予告の「推理小説」を落札すると発表。しかし、犯人は岩崎書房が警察と通じていることを既に知っており、次に殺害すると予告した「か弱き者」に手をかけようとしていた…。
前回まではダラダラしていて、まるで話に入り込めなかったが、今回はなかなか楽しませてもらった。このドラマは演出が小林義則さんでなければ、私は楽しめそうだということが分かった。植田泰史さんの演出がとりわけうまいとは思わないが、植田さんの演出が標準的で、小林さんがこの手のサスペンスものの演出センスがなさすぎたと思う。
ところで、このドラマは周囲が怪しい人ばかりなわけですね。全ての人が怪しいんじゃないの、というサインをちょろちょろとエッセンスとして振り撒いている。まあ、その振り撒き方がわざとらしいといえば、わざとらしいが、とりあえずまだ犯人の目星はつかないので、犯人を分からないようにするという点でいえば、よくやっているということだろう。でも、これだけ怪しい人がいたら、いざ「この人が犯人です」と言われても、「あっ、そうだったんだ」くらいしか感じないかもしれないという予感もする。だって、全員が怪しいんだからね。その割りには、雪平の周囲は皆、容疑者という息苦しいくらいの切迫感がない。小手先程度の犯人探しドラマという感かな。
それほどがっついて見るほどよくできたドラマだとは思わないが、小林義則さんから演出が変われば、何とか見ていけそうなドラマだと分かった。小林さんの演出の回を我慢すれば、何とか最後まで行けそうかな。
U 1/17放送 視聴率14.7% 演出:小林義則
評価★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3
何て、切れ味の鈍いミステリーなんだ。小林義則の演出が緩すぎる。グダグダ、タラタラしているだけで、全くミステリーやサスペンスとしての刺激や醍醐味が感じられない。
今回は、自作の小説を警察、マスコミ各社に送りつけ、殺人予告をした犯人が次の殺害を予告をした小説を3000万円で落札せよ、と要求してきて…、という感じのストーリー。
早速、ネタバラシさせていただきますと、結局、道徳的判断でマスコミ各社は落札はしなかったのだけども、その小説に書かれていた殺される人物というのが、小林麻央扮する理恵子なんですね。だけど、正直、私としては、小林麻央が殺されて安心しております。もう、あの下手くそな台詞回しと目の下の隈(じゃないけど、影でそう見える)を見なくていいと思うと、マンセー状態です。プロデューサーも「スローダンス」の惨状を見たんだろうなあ。そうでなきゃ、こんな早く殺されるわけもないだろうにね。
それにしても、面白くない。ミステリーというのは、謎が謎を呼ぶ展開で、こちらが登場人物と一緒になって、ああでもないこうでもないと推理させるくらいの牽引力と勢い・テンポというものが必要。それが、このドラマには全くとしてない。とにかく、演出プランが緩すぎる。テンポが異様に悪いから、全体的にグダグダしていて、謎めかない。そして、映像が安っぽすぎる。これはマスコミ各社を巻き込んだ一大劇場型殺人事件なのだから、もっとスケールの大きさというものをしっかりと活用して、描出してほしい。今回の描き方では、ただの内輪での揉め事程度にしか見えない。また、小林義則の映像に込めた意図が掴めない。今回は妙に光を反射させるライティングの手法をとっていたけど、何だかとっても不自然だし、画面が見にくい。
篠原涼子扮する雪平のキャラクターも随分と切れ味が鈍い。もっとツンケンとんがっていてほしい。娘との関係で悩んでいるとか、意外と優しい面があるとか、人間的な面を前面に出しすぎている気がする。そういう部分はまだエッセンス程度でいいから、この人は何を秘めて生きているのだろうと思わせるくらいのミステリアスな部分がほしい。そして、もっと付き合いづらい感じのとんがった部分がほしい。そうでなきゃ、この雪平という人は大して推理能力や洞察力、プロファイリング能力に優れているという感じもしないし、ただルールを無視し、腕っ節だけでのし上がってきたという主人公としてはあまり見所のないキャラクターで終わってしまう。周りの男たちが恐れ入るくらいのクールな部分やキレ者の部分を打ち出してほしい。
何だろう、この先の展開が一切気にならない感覚というのは?このドラマを見ていると、このままダラダラ話を引き延ばしていくだけなんだろ、と高をくくる気持ちが出来てしまう。第2話にして、犯人は誰なのか、アンフェアなのは誰か、そんなの誰でもええわい、と思い始めてしまった。とりあえず、次は見るけど、それ以降、見続けるかは、またその時、考えます。
T 1/10放送 視聴率15.7% 演出:小林義則
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
今回は、捜査本部が置かれている警視庁捜査一課など、関係各所に殺人事件の犯人から、自ら著した「推理小説」なる小説が送り付けられ、その小説に従って、殺人を犯すという大胆不敵な予告殺人をしてきた、という犯人の犯行パターンが浮かび上がってきたあたりまでの展開。
う〜ん、イマイチだったなあ。別にストーリーのプロットに関しては、初回に関してはまずまずだったと思うし、それなりに続きが気になるものにはなっていると思う。だが、今一歩、ドラマには入り込めなかったなあ。その原因はやはり、演出が平坦で視聴者を引き込むだけのパワーに欠けるという点だろう。
この小林義則さんの演出力不足というのは、「海猿」のときにも感じていた。羽住英一郎監督が演出する回は極めて面白いのに、小林さんの回となると、「アレッ」という肩透かし感があった。その感覚はこのドラマにも健在で、ミステリーというのに何もダークさがなく、ドラマ自体の芯は緩めだ。
犯人は大胆不敵な方法で犯行を重ねる凶悪犯なわけだから、もう少し犯人側の映像に工夫を凝らしてほしかった。顔だけは映さないようにして、犯人の犯行を撮るというかなり古典的な手法で犯人を描いているだけで、犯人の不気味さとか不敵さというものが何も伝わらなかった。もっと映像の画質を粗くするとか、カット割りを細かくして、顔の一部のアップ映像を細かくつなげる編集をするとか、ボイスチェンジした声でその声の再生スピードを遅くさせたり、早くさせたりして、声自体を低くしたり、高くしたりするなど、犯人側をよりミステリアスで印象的に描く方法など、もっとたくさんあったはずだろう。そこを、なぜ、あんな平坦な方法でしか撮影していないのか、と思う。何だか、10時という時間帯を考えてということなのか、当たり障りのない撮り方しかしておらず、刺激は少ない初回だったなあ。
それに、篠原涼子扮する雪平のキャラもあまりインパクトがないんだよなあ。というのも、過去の女性が主人公のミステリーもののドラマのキャラと要素がカブりすぎだからね。常に単独行動で荒唐無稽な荒っぽさがあるのは、「QUIZ」の財前直見扮する桐子カヲルや「沙粧妙子」の浅野温子扮する沙粧妙子とカブる。桐子さんにしても、沙粧さんにしても、トラウマというか心の傷を抱えているのだけども、雪平さんも離婚し、我が子と離れて暮らしているという心の傷を抱えている。その傷というのも、桐子さんや沙粧さんのものに比べれば、だいぶインパクト薄だけども。さらに、新人の見習い刑事が部下につくという展開までそっくりというのはあえて意識しているとしか思えない。また、雪平さんの独特な捜査上の儀式として、事件現場の死体と同じ姿勢で寝転んで、被害者が最後に見たものを探すという手法をとっているけど、これは「ケイゾク」の中谷美紀扮する柴田純とカブっているのねん。だから、どこを取ってみても、これまでのミステリードラマの主人公になったキャラをつなぎ合わせただけの印象しか残らない。ならば、もう少しキャラクターをキツくしてみるとか、映像を工夫するとか、差別化の方法を探究すればいいと思うのだが、その部分も今一歩という感が抜けない。
演出が小林さんと聞いたときから、何となくは予想していたが、やはり、イマイチ見ていて、引き込まれる演出の仕掛けが無い。このドラマは演出家が別の人だったら、もっと引き込まれる作品になたんじゃないか、と思えてならないね。
放送前の感想
敏腕女刑事・雪平夏見が小説に従って、殺人を犯す殺人犯を追うハードボイルド・ミステリー。篠原涼子はここ数年でめきめきと演技の腕を上げているので、篠原さんの演技に関しては何も心配しておりません。必ずや無難にこなしてくれそうな気がします。篠原さんの新境地をさらに刺激的なものにするには、演出と脚本がどこまでハードにいけるかにかかっていると思う。そこで、手を抜いちゃうと、無難なままで特に展望の開けないまま終了してしまうだろう。原作は、「ドラゴン桜」などの脚本で知られる秦建日子が小説家として発表した作品。それを、なぜか、自分で脚色するのではなく、「恋におちたら」の佐藤嗣麻子が脚色する。演出は「海猿」で羽住英一郎監督との実力差を見せ付けられた小林義則。若干、演出、脚本の面々が弱いかな、と思うものの、この手のジャンルの作品は好きなので期待しています。第2の「沙粧妙子」「QUIZ」を目指せ、というところでしょうか。