歌姫
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放送後の感想
ドラマファンの間ではやたらと評価が高いようだけど、初回の脱力のイメージから脱せず、最後まで私はハマれなかったなあ。やはり、時代ものをやる場合は、キャラクターやストーリーにその時代性を背負わせなければダメだと思う。このドラマは、キャラクターの造形やテンションがあまりに軽すぎて、昭和30年代という時代設定が完全に浮いてしまっていた。いくら結ばれない2人の切ない恋模様をうまく描こうが、ここがしっかりとしていないと、この時代でなければならない必然性が薄れてしまう。
このドラマの場合、現代とのリンクがあり、それが意外な結末へと導くわけで、だからこその時代設定なのだろうとは思う。しかし、初回の冒頭で登場した現代の場面が、最終回の終盤にならないと、その続きが出てこないというのは明らかにマズい構成だった。初回をしっかりと見ていない視聴者は完全に置いてけぼりの構成というわけであり、初回視聴率が9.4%だった時点でこの構成を見直す必要があった。初回を見ている人でも、相当真剣に見ていなければ、2ヶ月たてばそんな展開は忘却の彼方。
かといって、昭和30年代における人情ドラマに惹かれるものがあったかといえば、あまりなかったかなあ。まるで進まない話と、世界観の作り込みの甘さがベタな切なさを安っぽさという悪い方向に牽引したと思う。やはり、太郎(長瀬智也)に記憶が戻ってくるという展開が最終回付近にならないと、登場しなかったことがミスで、鈴(相武紗季)との関係も記憶が戻るということが仮定の話に留まっていて、切迫した感覚がないので、私は切なさという領域までに達しなかった。その記憶も最終回付近でバタバタと解決させてしまって、私はかなりガッカリした。
最終回の大筋の内容自体は悪くなかったと思う。特に、太郎とジェームス(大倉忠義)のシーンはとてもいいシーンだったと思う。だけど、せっかくうまいオチを用意していたのに、その構成に巧みさを欠いた感があって、真実を最後まで引っ張ったり、現代とのクロスオーバーを見せたり、もっと泣かせる構成は存在したと思う。せっかく、映画という媒体を用いているのだから、映画「歌姫」のエンドロールで種明かしをしたりする方法もあったのではないかな。
長瀬智也さんの男くささはグッときたのだけど、相武紗季さんはあまりに子どもっぽさが先行していて、この女優さんの中ではかなり好演の部類に入るのだろうけど、逆に、私は女優さんとしての限界を感じた。この題材はやはり、連ドラ向きではなかったと思う。2夜連続のスペシャルドラマくらいの長さにしないと、現代のシーンとのリンクや伏線が活きてこなかっただろうし、昭和30年代の賑やかな人情ドラマもこのくらいの長さがちょうどよかったんじゃないか。
最終話 12/21放送 視聴率6.0% 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第十話 12/14放送 視聴率8.4% 演出:金子文紀
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
第九話 12/7放送 視聴率7.7% 演出:金子文紀
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第八話 11/30放送 視聴率7.1% 演出:坪井敏雄
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
第七話 11/23放送 視聴率6.7% 演出:サタケミキオ
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
第六話 11/16放送 視聴率9.2% 演出:木村政和
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
第五話 11/9放送 視聴率6.9% 演出:坪井敏雄
評価★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3
第四話 11/2放送 視聴率6.9% 演出:金子文紀
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第三話 10/26放送 視聴率9.8% 演出:金子文紀
評価★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3
第二話 10/19放送 視聴率7.5% 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第一話 10/12放送 視聴率9.4% 演出:坪井敏雄
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
放送前の感想
「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」「タイガー&ドラゴン」の磯山晶Pが、三たび長瀬智也さんを主演に迎えた昭和30年代の土佐清水を舞台とした人情コメディ。「特急田中3号」の失敗の痛手は大きかったのか、磯山Pには珍しく、2002年以来となる1年で2本の連続ドラマをプロデュースすることとなった(2002年は「木更津キャッツアイ」と「僕が地球を救う」をプロデュース)。
磯山Pは宮藤官九郎氏を脚本に起用し、ドラマを成功させてきたが、「特急田中3号」からはTBSドラマで功績を残した脚本家を起用し、新たな道筋を模索しようとしている。「特急田中3号」では、「華麗なる一族」を手掛けた橋本裕志氏を起用したが、見事に惨敗に終わった。そこで、今作では「花より男子」を手掛けたサタケミキオ氏を脚本に迎え、サタケ氏率いる劇団の舞台をドラマ化するという方法をとった。
現代を切り取ってきた磯山ドラマが初めて手掛ける過去を描いたドラマでなおかつ、人情喜劇というのもこれまでの趣向とは異なるものであるから、期待は高まる。ただし、放送開始に合わせ、フジが踊る10周年企画として「踊る大捜査線THE MOVIE」「交渉人・真下正義」を2週連続で放送し、恒例となっている新ドラマつぶしを金曜にも触手を伸ばし、踊る砲を放ってくる。磯山ドラマに視聴率を期待する人はあまりいないだろうけど、どこまで食い下がれるかによって、今後の作調は変わってきそうだ。