吾輩は主婦である
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| 回 | 評価点 | 回 | 評価点 |
| 放送前の感想 | - | 放送後の感想 | - |
| 第1話〜第5話 | 6.2 | 第21話〜第25話 | 6.4 |
| 第6話〜第10話 | 6.8 | 第26話〜第30話 | 6.4 |
| 第11話〜第15話 | 6.6 | 第31話〜第35話 | 6.0 |
| 第16話〜第20話 | 6.2 | 第36話〜最終話 | 7.0 |
放送後の感想
いわゆる昼ドラと呼ばれるドラマをしっかりと最初から最後まで見たのは初めてだったが、面白かったと思う。第1週は「愛の劇場」のパッケージ感を気にしてなのか、ちょっと宮藤節は控えめだったのだが、第2週からはほぼ全開。昼間の1時から"セックスレス"など下ネタも普通に飛び出し、最終的には昼ドラではなく、すっかり宮藤ドラマになっていた。笑いの要素のツッコミ・ボケの組み入れ方などはさすがのうまさだったが、それ以上に大家族のファミリー・コメディとしてかなり感動的に仕上げてくれていた。それに加え、ちょっとした部分が後々の展開の伏線になっていたりと、全40話もあったのに、話を破綻させることなく、構成していたのは、構成のうまい宮藤脚本ならではだろう。
そして、夏目漱石をモチーフにしたキャラクター「吾輩」だったが、最初のうちは夏目漱石のイメージとのギャップで乗り切れなかったが、次第に夏目漱石とは別の「吾輩」というキャラクターへとしっかりと導いてくれていた。宮藤らしいアレンジが加えられていたが、決して夏目漱石本人から離れているわけではないキャラクター付けは秀逸だった。それに加え、その吾輩というキャラクターを斉藤由貴がとてもうまく演じていたと思うし、「みどり」と「吾輩」のメリハリの利いた演じ分けには驚いた。その他、及川光博、竹下景子、声だけの本田博太郎など、キャストもそれぞれ自分の持ち味を出してくれていた。このままゴールデンで放送しても全くとして遜色ない内容だったと思うし、個人的には不満な出来だった「タイガー&ドラゴン」よりもお気に入りだ。「愛の劇場」でも昼ドラではなく、宮藤ドラマとして成立させたことは賞賛に値することだと思う。
最終週(第36話〜最終話) 平均評価点:7.0
第36話「ちがう」 7/10放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第37話「てがみ」 7/11放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第38話「おうち」 7/12放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★★★☆☆ 8
第39話「からだ」 7/13放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
最終話「こころ」 7/14放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★★★☆☆ 8
最終週は、胃潰瘍になって、自暴自棄になり、みどりに戻りたいと思うようになった吾輩が登場人物1人1人に当てて遺書を書き、その内容に沿って、これまで描かれなかった意外な出来事や回想シーンをうまく組み合わせて描いていた。
最終週でこのような構成にしたのは、夏目漱石の「こころ」という小説の下巻が、このドラマで吾輩が呼ばれているのと同じ「先生」という登場人物による遺書を通しての独白という構成になっていたことをモチーフにしているからとのこと。こういうところから宮藤も自身の個性を打ち出すばかりではなく、夏目漱石のことをしっかりと取材しているし、文学的とも取れる構成にしてあり、さすが器用なことをしているな、と感心させられる。
まあ、序盤のうちは、この遺書を本田さんが読み上げて、過去の意外な出来事を描いていくという構成に抵抗があったのだが、第38話あたりからはそれにも慣れてきて、内容のよさも手伝い、かなり楽しめるようになってきた。笑いもそうだけど、ホロリとしてしまう感動的なエピソードも含まれていて、とてもよくバランスが取れていた。
最終話はもちろん、吾輩からみどりに戻れたわけだけど、その戻り方も決して強引ではなく、うまく誘導できていたと思う。そして、猫背椿、猫男爵・有吉、尾美としのり、そして、これまでは声の出演だけだった本田さんまでも意外な役どころで登場し、これまでに登場した主要キャストがほぼ総登場する展開はとても賑やかで、このドラマらしかったのではないか。また、黒ずくめの喪服姿の本田さんに対し、「レザボア・ドッグス」ツッコミ(クエンティン・タランティーノ監督の映画で登場人物が全身黒ずくめの衣装を着ている)を入れる中、1回だけ「NO PLANか!」とツッコみを入れさせていたのは、恐らく「内P」ファンであろう宮藤らしいお遊びだったように思う。あ、そうそう、池津祥子の"引っ越しオバサン"のパロディは笑えたし、最後のオチもよかった。
月〜金毎日2ヶ月間って、結構、長いのかな、と思っていたのだけど、思いのほか短かったように思う。中だるみがなかったと言われれば疑問だけど、全40話もあっても個人的に飽きはこなかったから、やっぱり、宮藤官九郎という脚本家は只者ではないな、と感心した。
第7週(第31話〜第35話) 平均評価点:6.0
第31話「おざわ」 7/3放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
第32話「わかれ」 7/4放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第33話「じぶん」 7/5放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第34話「みのり」 7/6放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
第35話「いつう」 7/7放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今週は、吾輩に「みどり」に関係する騒動が次々に訪れ、吾輩とみどりのバランスが次第に崩れていくのを描く週だったように思う。
今週は、みどりの父親(鈴木ヒロミツ)や、みどりと瓜二つで名前も一字違いのみのり(斉藤由貴・一人二役)が登場したりと、吾輩の中の「みどり」を刺激する内容が多かった。こうした中で、吾輩はみどりが家族からどれだけ愛されているかを感じ取り、自分の体が自分1人のものではないことを実感していく。
それが決定的になるのが、第35話。サブタイトルの「いつう」とは「胃痛」のことで、夏目漱石が実際、胃潰瘍が原因で亡くなったことを踏まえ、吾輩が胃潰瘍になってしまうという展開。現在の医療であれば、胃潰瘍は死の病ではないのだけど、気持ちは明治の吾輩は胃潰瘍と聞き、かなりの自暴自棄に陥ってしまう。そして、自分が死ぬかもしれないという危機感以上に、吾輩としてのストレスがみどりの胃を傷つけてしまったということに傷つき、この体をみどりに戻してやりたい、と思うようになる…。
ということで、吾輩がみどりの体から離れたいと思うようになるという感情の推移を描いたところで、次週の最終週へと話が続く。しかし、宮藤自身も台詞にしちゃっていたけど、30分は短く、今週はどうしても展開が強引にならざるをえなかった嫌いがある。みどりの父親も2話分登場してすぐに引っ込んじゃったし、みのりも同様。捨てキャラにするにはもったいないところを捨てキャラのようにしてしまった嫌いがあり、そこはマイナス点。そして、第35話の吾輩の心理描写も、ゴールデンの連ドラなら1話45分まるまる使ってもいいようなところを30分もない時間で片付けたから、かなり駆け足だった。
どうも、個人的には演出の高成さんと宮藤脚本との相性が他の演出家の方と比べ、よくないと思う。実際、高成さんの週だけ若干、評価点が低くなってしまっているからね。宮藤脚本は男の演出家のほうが向いているのかもなあ。
それでも、昼間の1時というのに、堂々とセックスレスと大声で言わせてしまうあたりは、もはや、昼ドラではなく、宮藤ドラマになっているのは間違いがない。来週はとうとう最終週。40話って、結構、長いかなあ、と思ったけど、意外と短かったなあ。最終週は感動的に締めくくってほしい。
第6週(第26話〜第30話) 平均評価点:6.4
第26話「ゆきお」 6/26放送 演出:川嶋龍太郎
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
第27話「ねがい」 6/27放送 演出:川嶋龍太郎
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
第28話「マンガ」 6/28放送 演出:川嶋龍太郎
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
第29話「しずか」 6/29放送 演出:川嶋龍太郎
評価★★★★★★★★☆☆ 8
第30話「サイン」 6/30放送 演出:川嶋龍太郎
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今週は、残すところあとわずかとなってきたことから、クライマックスに向け、大きな変化が起こり始めた。まず、吾輩のほうは吾輩のほうで、現在の世界でも文学者として成功しようと、「吾輩は主婦である」の書籍化の話が進展し、反響はどうあれ、書籍化までこぎつけた。そして、夜静(よる・しずか)なる悩める人気作家(高橋一生)が吾輩のアシスタントに就くという事態にも発展。
この夜静を演じている高橋一生の出で立ちは完全に宮藤官九郎本人を再現したものであり、高橋一生って、こんなに宮藤官九郎に似ていたのだなあ、と驚いた。今週は、吾輩が書籍化に向けての小説の内容が思い浮かばず、四苦八苦するという内容だったし、宮藤そっくりな人気作家も登場させたということは、かなり宮藤本人の作品を書くということに対する思いなんてものを大きく反映させているのだろうな、と感じた。
このように吾輩が主婦として作家の地位を確立させようする吾輩方向の話と同時に、吾輩がみどりに戻るきっかけの地盤固めをうまくやっていたと思う。そこで、家族パワーということで、家族の絆を描き、感動的な場面を演出していた。それにしても、吾輩からみどりの人格が少しずつ出始めたあたり、宮藤の脚本はとてもうまかったと思う。台詞の端々に吾輩の言葉とみどりの言葉を巧みに織り交ぜながら、吾輩とみどりが同じ体の中でせめぎあっているさまを描いたのは、宮藤ならではの細かいテクニックといえるだろう。また、その吾輩とみどりがせめぎ合う様を実に器用に演じ分けた斉藤由貴もすばらしい。この人って、こんなにコメディのセンスがあったんだなあ。何で、こんなに長くドラマに出てこなかったのだろう。不思議なくらいだ。
思えば、森下愛子さんも「池袋ウエストゲートパーク」で、そして、薬師丸ひろ子さんも「木更津キャッツアイ」でかつてのイメージとは全く違った役をやって、新たな女優の道が開けたわけだし、宮藤官九郎という人はかつてのアイドルをうまく切り崩すことのできる人なのだなあ、と改めて感心。
まあ、難点としては、個人的にミュージカルの場面やペ・ヤングンというキャラクターはあまり好きになれなかったことか。
第5週(第21話〜第25話) 平均評価点:6.4
第21話「ももえ」 6/19放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4
第22話「しまい」 6/20放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
第23話「おがた」 6/21放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★★★☆☆ 8
第24話「ふざい」 6/22放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第25話「だれだ」 6/23放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
今週は5週目で、中盤から後半に差し掛かった週ということで、この週はストーリー展開とか関係なしに宮藤にかなり自由に遊ばせてあげた週だったように思う。
なので、それぞれの話は1話完結という色合いが強く、多くが30分で起承転結、オチがつくという構成にしてあった。第21話はあれが猫背椿の持ち味なのかもしれないが、あまりのももえの勝手さに引いた。だが、第22話はそのももえの娘の姉妹にまつわる話だったが、これはなかなかいい話になっていた。あっけなくハッピーエンドだったような気もするが、このドラマの場合、ハッピーエンドでよかったな、と思わせてくれる。これが宮藤マジックなのだろうな。
第23話は傑作だった。笑いのセンスも冴えていたし、それだけに留まらず、これがホロリとさせるなかなかいい話だった。"特別なライトが当たっている"かのように光り輝く泣き女ちよこ(竹下景子)、エンドレスに歌われる沖縄メドレー、この回だけゲスト出演の小野武彦さん扮するおがたとペ・ヤングンとの男同士の指相撲対決、といった細かい部分の小ネタはかなりツボだったし、種明かしで明かされた部分も感動のツボを刺激した。第24話は「振り込め詐欺」とたかし(及川光博)失踪を絡めた珍騒動を描く回。あっけないオチは好き嫌い分かれるだろうが、1話完結のコントとしては出色の出来。
第25話は昼ドラの鉄則を逆手に取った爆笑の展開。昼ドラは月から金の帯放送だから、必然的に金曜に事件が起きて、次週の月曜につながるような構成をするのだけど、宮藤らしくその部分で遊んじゃったという回。吾輩がこれまで金曜日ばかりに事件が起きているの気にして、ナーバスになるのだが、なぜか、この日は何も起きず、人のいい方々が次から次へと訪ねてきてすき焼きを食べるというだけ。これで1日平和に終わったと安心しながらも、物足りなさを吾輩が覚えていると…。昼ドラらしい仰々しい演出を逆手にとって楽しんだ、計算でわざとらしくした演出に笑った。
とまあ、今週は磯山Pが宮藤を自由に遊ばせてあげた週といった感じ。まあ、40話の長丁場、1週くらいストーリー度外視で遊んだ週があってもいいと思う。それぞれの話、ストーリーの整合性はあまりないから、人によって好きな回と嫌いな回があったと思うけど、この週を見て、宮藤官九郎という人は引き出しがいろいろあるのだな、と改めて感じた。
第4週(第16話〜第20話) 平均評価点:6.2
第16話「すみれ」 6/12放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第17話「コウジ」 6/13放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
第18話「きけん」 6/14放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
第19話「マニア」 6/15放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★★★★☆☆ 8
第20話「あきす」 6/16放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
水曜まではいろいろと話が込み合っていて、ちょっと盛り上がりに欠けたか。吾輩が恋に落ちるというくだりで引っ張るのかと思っていたが、吾輩の恋の話は第16話のみであっさり終了。第17話と第18話でまゆみ(東亜優)が、青春の高ぶりを我慢できなくなった清水ではなく五十嵐(坂巻恵介)に押し倒されたことから、まだ14歳の中学生、男性不信に陥ってしまう。前週でたかし(及川光博)がみどりにやろうとしている寸前の瞬間を目撃してしまったこともたたり、まゆみはたかしと口を利いてくれなくなってしまうのだった…。
とまあ、水曜までは吾輩が落ち込んだり、まゆみがグレちゃったりで、何だか暗ぼったい話が続き、あまりテンポがよろしくなく、なかなかエンジンがかからなかった。それが、第19話で強引ではあったが、たかしとまゆみが和解してくれたあたりからはいつものテンポのよさが戻ってきた。第19話の洗剤とシャンプーのCMのくだりとか、第20話の空き巣のくだりとか、宮藤らしい小ネタ満載でとても面白かった。たかしの吾輩に対する思いも微妙に変化してきたし、夫・父親としてのスタンスも変わり始めている。ミッチーのパパ演技も第19話あたりはとても様になっていた。話としては停滞していた第16話〜第18話だったが、池津祥子の"顔にお釜"は強烈だった。このギャグだけは笑わせてもらった。
さてさて、吾輩だが、来週あたりからは現代においても作家として結構な注目を浴びるようになる、という方向に向かっていくということのようだ。夏目漱石が初期の頃はコメディテイストの作調だったことをヒントに、コメディテイストの「吾輩は主婦である」を連載するという展開になっていくとのこと。夏目漱石ということを活かしながらも、コメディを書くという点で自分との共通点を見出して、自分の得意な分野に話をシフトしてきたのはさすが、宮藤という巧みなストーリーの誘導だ。ちなみに、現在の吾輩は以前のように、ミュージカルの曲をかけても「みどり」の部分が出てこなくなって、すっかり吾輩の人格は居座ってしまっているようだ。それに、吾輩も矢名家が居心地がよくなってしまったらしく、これでようやく半分まできたが、残りでいかにして吾輩から「みどり」に戻るかを描いてくれるのかに注目。
それにしても、昼ドラというのに、キャストが豪華だなあ。今週は尾美としのり、岡田義徳、猫背椿、半海一晃と、宮藤ドラマ色の強いキャストが次々と登場。来週はどうやら、小野武彦さんまで出てくるらしい。「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」「タイガー&ドラゴン」の金10の3作で宮藤は燃え尽きたといっていた。個人的には「タイガー&ドラゴン」は、「池袋」と「木更津」の要素と「タイガー&ドラゴン」自体のオリジナルを一気に見せようとしていて底が浅く思えてしまった。だが、この「吾輩」は「池袋」からの一連の流れから解放され、また昼ドラという新たな枠ということで、とてもオリジナリティ溢れる作品に仕上がっているのではないか、と思う。個人的に今のところでは、「タイガー&ドラゴン」よりも好きだ。
第3週(第11話〜第15話) 平均評価点:6.6
第11話「はいく」 6/5放送 演出:木村政和
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第12話「ぱあと」 6/6放送 演出:木村政和
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
第13話「やすこ」 6/7放送 演出:木村政和
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
第14話「ひろし」 6/8放送 演出:木村政和
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
第15話「めざめ」 6/9放送 演出:木村政和
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
今週はやすこ(池津祥子)とひろし(レッド吉田)を描くということで、かなりコント色の強い週だった。だけども、ハチャメチャでゴタゴタしているようでも、しっかりと台詞は整理されていたし、さすが、宮藤といううまさは感じられた。でも、第15話はさすがにドタバタがすぎたか、という気がしたけど。
それ以上に、今週はレッドさんの出番が多くて嬉しかった。これは本人に確認していないから分からないのだけど、宮藤が「内村プロデュース」が好きなんじゃないかなあ、ということを匂わせてくれたというのは「内P」ファンとしては嬉しい限り。ひろしは学生時代はかなり悪態をついていたらしく、その学生時代の回想シーンのレッドさんの衣装が赤いシャツの上に学ラン、パンチパーマのヅラという出で立ちだった。これは、「内P」最終回の卒業式をプロデュースの中で、レッドさんが着ていた衣装と相方のゴルゴさんつけていたヅラを組み合わせたものであるように見えた。そして、「デリシャス」という『今週のレッド』というコーナーでお馴染みだったいわゆる五文字ネタも飛び出した。そしてそして、ひろしがとっても几帳面でアットホームパパという設定も、ゴルゴさんのプライベートでの繊細さとレッドさんのアットホームパパぶりというTIMが「内P」の中で見せた特徴を組み合わせたものになっていると思う。本当にここまで考えられていたかは知らないけど、「内P」っぽさがエッセンスとして見えたというのは嬉しかった。
ただ、やはり、気になるのは夏目漱石が次第にファンキーになってきている点だ。漱石のことは研究しているのは分かるし、これが史実に基づいた漱石ではなく、このドラマの「吾輩」というキャラなのだ、ということは承知だが、やはり、どうも漱石、漱石と言われると、本当にこんな人だったのか、と一歩引けてしまう気持ちもあるわけだ。夏目漱石に母性本能と言われてもなあ…。
とにもかくにも、これまで出番が温存されてきたレッドさんの出番が多くて、それだけである程度は満足だった。次週は、何と吾輩が恋に落ちるという展開に。それも、こちらも「内P」関係者のハラフミ(原史奈)に。
第2週(第6話〜第10話) 平均評価点:6.8
第6話「ひみつ」 5/29放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第7話「おさつ」 5/30放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
第8話「むすこ」 5/31放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★★★☆☆ 8
第9話「ぎわく」 6/1放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第10話「もどる」 6/2放送 演出:坪井敏雄
評価★★★★★★★☆☆☆ 7
みどりが漱石に変身してからというもの、宮藤の脚本もかなり快調になった。宮藤らしいテンポのいいボケとツッコミの掛け合いでとても見やすく仕上げている。先週の演出の高成さんはちょっと真面目すぎた嫌いがあったが、今週の坪井さんは「マンハッタンラブストーリー」「タイガー&ドラゴン」と宮藤ドラマの演出経験があることから、より弾けたテンポの作調になっていて、こっちのほうが宮藤ドラマに合っていると思う。
周りの人物に「赤パジャマ」とか「なまはげ」とか「泣き女」と愛称をつけて呼ぶというあたりとか、漱石のあまり知られていない少年時代とか、神経衰弱で気難しい性格とか、宮藤なりに漱石を研究して、それをエッセンスとして含ませながらも、宮藤オリジナルの漱石のキャラクターを作り上げてしまったあたりはさすがである。明治と平成のギャップを笑いにするあたりも、ややあざとい気がしないでもないがうまい脚本だと思う。そして、漱石の声を担当している本田博太郎さんが声だけだが、かなり存在感を示してくれていて、笑わせてくれる。漱石になりきっている斉藤由貴の演技ももちろん、面白い。笑えるだけでなく、第8話の母の日のエピソードなど、ホロリとしてしまうようないい話もあった。
ただ、画面の前で少しのめりこめない自分がいるのも確かだ。漱石といっても、かなりぶっ飛んだキャラクターになっていて、ホントに漱石って、こんな人だったのかなあ、と少し斜に構えてしまう自分がいるのだ。フィクションとして現実の漱石とは違ったキャラクターに立脚しようとしているのであろうことは推察がつくが、実在した人物のイメージだけでここまで遊んでしまっていいものなのか、と冷めた感覚を覚えてしまう。個人的には、漱石をモデルとするのは勝手だと思うが、あくまで架空の人物にしてくれたほうが入り込めたように思う。
第10話ではミュージカルの歌を聞くと、漱石から元のみどりの人格に戻って、みどりとしての人格の記憶は漱石にスイッチングした時点でストップしているという新たな事実が発覚。ということは、二重人格に似たような状態にあるということなのね…。快調になってきたはいいものの、まだこのドラマ、あと30話あるんだよなあ。どうやって引き伸ばすのだろ…。期待半分、不安半分で見守りたい。
第1週(第1話〜第5話) 平均評価点:6.2
第1話「みどり」 5/22放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5
第2話「たかし」 5/23放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第3話「ちよこ」 5/24放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
第4話「まゆみ」 5/25放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★★★★☆☆ 8
第5話「じゅん」 5/26放送 演出:高成麻畝子
評価★★★★★★☆☆☆☆ 6
う〜ん、やはり、昼ドラ仕様といったところかなあ。決してつまらなくはないが、宮藤ならではの思い切った突き抜けた笑いというのがほしいような気がするな。やはり、宮藤はこういう奥さま向けのマッタリとした作風ではなく、若者向けの刻むようなテンポの作品こそよさが出るような気がするなあ。
それに、みどりが漱石になるまでに時間がかかりすぎだ。これは私が昼ドラを見慣れていないというのもあるだろうが、通常の連ドラであるなら、1話で全て片付けてしまうはずのキャラクター紹介を1週間かけてやるという贅沢さ。それゆえ、1週間かけて、第5話のラストでようやくみどりが漱石に変身。次週からが見所になるわけであるが、ここはもう少し短縮してもよかったと思う。
キャストでいえば、斉藤由貴と竹下景子との掛け合いは悪くない。ミッチーのぎこちないお父さんぶりもなかなかいいと思う。だが、やはり、宮藤のドラマにしては、キャラとして個性がなさすぎるし、密度が低いな、と感じる。これらを全40話の長丁場でどのようにして補強していくかが注目点だ。ただ、大人計画の池津祥子に関しては使い方を心得ているのか、1週目からキャラ全開である。あとは、そのダンナ役のレッドさんもうまく使ってもらいたい。
また、高成さんの演出もちょっと生真面目すぎると思う。どうも型にはまりすぎた演出という印象で、もう少し遊び心がほしい。宮藤脚本の場合、演出の人が遊ぶことによって、宮藤がさらに脚本で遊び、どんどんとドラマに遊び心が生まれてくるので、もう少し演出に砕けた感じもほしいな。
ただ、全体的に平板な印象だったが、第4話については宮藤らしい脚本の巧みさが出ていたと思う。第1話にさりげなく伏線を張っておいて、そこから派生したエピソードで視聴者の思い込みを巧みにリードしていき、あの「清水圭」オチ。この展開は見事だ。それに加え、まゆみ(東亜優)がただのいい子ちゃんだけではなくて、家庭環境が変わって戸惑いがあったという二面性を持たせてくれたのもよかったし、みどりの「優等生じゃつまらない」という台詞は非常に好感が持てた。
1週目の印象は、よくも悪くも昼ドラっぽいというところ。やはり、愛の劇場というパッケージ感を壊さないという配慮もあったのだろう。では、その制約の中で宮藤がいかに自分の色を細かい部分に差し込んでくることができるかがこれからの注目点だし、あと35話の長丁場の中で、いかにキャラクターに魅力を注ぎ足せていくかというのも注目だ。宮藤らしいテンションの高さが昼ドラということで多少失われたとしたら、そこを挽回するのは、昼ドラならではの長丁場であろう。あと35話をいかに宮藤が活用するのか、期待してみる。
放送前の感想
人気脚本家の宮藤官九郎が昼ドラ・愛の劇場の脚本に挑戦。プロデュースはこれまでの宮藤ドラマを手掛けてきた磯山晶氏。主婦の体に文豪・夏目漱石の魂が乗り移ってしまう、という奇想天外なストーリーで、いつもの昼ドラとはかなり趣向の違った宮藤らしい作品となりそうだ。宮藤は自身を昼ドラファンと自認しており、以前のドラマでも昼ドラをパロった設定をドラマに入れたこともある。だから、あえて昼ドラのお決まりをギャグにするという展開を用意しているとも考えられる。でもまあ、宮藤ドラマは番組終了後の評判や人気はスゴいものがあるが、なぜか、視聴率はいつも不調。それに、宮藤ワールドは回を重ねるごとにキャラの設定なりが積み重なって面白くなっていくという傾向もあり、長丁場が向いているという面もある。ということで、宮藤のせっかくの才能を潰すのももったいないから、昼ドラというある程度、失敗の保険がきく媒体を選んだということなのだろうね。演出もゴールデンのドラマでも演出経験のある人だし、主演は斉藤由貴、及川光博。もうちょっと補強すれば、ゴールデンでも放送可能な面々で、昼ドラとしたら最強の布陣に近いのではないかな。2ヶ月、全40話ということで長丁場になりますが、録画・録画で何とかがんばってみたいと思います。