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役者魂!

2007.4/18発売

仕様
本編全6枚
23,940円

出演
烏山瞳美松 たか子
相川 護 森山未來 梓 里奈 加藤ローサ
福田桜子 川島海荷 福田忠太 吉川史樹
斉藤和子 濱田マリ アントーニオ 富岡晃一郎
山崎紀夫 前川泰之 柳沢光春 香川照之
本能寺海造藤田まこと

スタッフ
演出
 若松節朗、木下高男、村谷嘉則
脚本
 君塚良一
メインテーマ
 S.E.N.S.
音楽
 森 英治
主題歌
 松たか子「みんなひとり」
挿入歌
 竹内まりや「スロー・ラヴ」
製作
 フジテレビ
 公式ホームページ
 http://www.fujitv.co.jp/yakusha/
視聴率
10/17第一回11.4%
10/24第二回8.4%
10/31第三回11.8%
11/7第四回9.2%
11/14第五回8.2%
11/21第六回9.9%
11/28第七回9.1%
12/5第八回11.2%
12/12第九回10.1%
12/19第十回8.7%
12/26最終回8.0%
平均視聴率9.636%
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ドラマレビュー
最終平均評価点 5.5/10

評価点評価点
放送前の感想-放送後の感想-
第一回6第七回7
第二回5第八回6
第三回6第九回6
第四回5第十回7
第五回4最終回1
第六回7  

放送後の感想
 始まりと終わりがダメで、中盤だけはまあまあ、対処のしづらいドラマだったなあ。第五回までのコメディ重視の展開は底が実に浅くて、ドラマとしての嘘を許容できる仕上がりではなかった。それが、後半に入ると、役者論や演技論を比喩に用いて、シェイクスピアの作品の内容とも絡めながら、擬似家族ものとしてうまくテーマを導き出したと思っていたら、内容のない最終回で再撃沈。決してテーマとしては悪くなかったと思う。今クール流行だった擬似家族というテーマを、「役者」という観点から描出しようとしたのは、このドラマの大きな個性だったと思う。ただ、そのテーマを連続ドラマとして11話引っ張るのには無理があったか。そう思うと、同じようなテーマの「セーラー服と機関銃」や「家族」が7話、8話というようにスパンが短かったというのは、判断としては正解だったということだろう。

 キャスト・スタッフともに磐石の布陣で、特に、スタッフは脚本の君塚良一氏、演出の若松節朗氏とかなりのゴールデンコンビだったはずが、両者とも精彩を欠くという意外な結果に。君塚さん、若松さんともに、それぞれの自由度が大きかったのだろうけど、このドラマで見た限り、このお二方は自由度があるより、テーマでガッチリ固めたようなドラマのほうがよさを発揮すると思う。それでも、松たか子さん、藤田まことさん、森山未來さん、加藤ローサさん、香川照之さんら、キャストの演技は悪くなかったと思う。それぞれにコメディの素質は十分に見えた。だけども、キャストの舞台っぽい抑揚の大きい演技、脚本の仰々しい例え、演出のわざとらしさによる底の浅さというように、それぞれに自由度を大きく用意した結果、それぞれがあまりうまく噛み合わなかったかな、と感じた。同じく豪華スタッフで、舞台もののドラマ下北サンデーズ」も視聴率・内容ともに不発だったということから、舞台が絡んだドラマは当面、鬼門ということで作りにくくなっただろうなあ。

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最終回 12/26放送 視聴率8.0% 演出:若松節朗

評価★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 1

 あ〜あ、何で、こうなっちゃうのかねえ。今回は、ドラマ後半の展開の後始末と、前半のダメダメ感が合わさった最悪の幕切れだったように思う。

 最終回だから、もう少し意外な含蓄を言ってくれるのかとも思っていたけど、ただ単に子どもたち(川島海荷、吉川史樹)と別れて、他のキャラクターも適当に身辺整理だけして終わってしまった感が残った。家族ドラマとして見るのであれば、かなり薄い内容だったと思う。

 それ以上に、舞台上でのドタバタはつまらなかった。子どもたちへの愛しさのあまり、台詞が飛んで、芝居どころではなくなった本能寺さん(藤田まこと)だけど、ありゃ、完全に事故でしょ。舞台上にボサ〜と突っ立っている本能寺はさながらボケ老人のようだった。

 本能寺は舞台の上では最後まで役に入り込む仕事人ではなかったのか?個人的な事情で、舞台を放棄したり、共演陣を振り回したりでは、大物俳優の名が廃るというものだ。ドラマの始まった頃の本能寺の芝居に対する態度と随分と変わってしまったし、私生活での「パパ」の役と舞台における「リア王」の役を混同するというのは、本能寺らしいことではなかったと思う。本能寺の気まぐれで、どんどんと話が変わって、思わぬところに着地するという「ラヂオの時間」的な面白みに持っていけばよかったのに、結局、話の筋は元に戻って、一件落着というオチだったけど、ありゃ、舞台として成立してないだろ。君塚さんの脚本もミスだし、若松さんの演出もミスだろう。

 その後の瞳美らを描く部分に関しても、意外なことはまるで起こらず、すべて丸く収まるという強引な締め。恐らく、見せ場だったはずの舞台上でのドタバタがグダグダになってしまったことのダメージは大きく、それ以外の部分はすべてドラマ後半に入ってからの後片付けのような展開ばかりで、さっぱりだった。役者の方たちの演技は悪くないので、★0点はさすがにかわいそうということで、お情けの★1点ということで。

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第十回 12/19放送 視聴率8.7% 演出:木下高男

評価★★★★★★★☆☆☆ 7

 この感じは嫌いじゃないなあ。やっていることはスゴくスタンダードな家族ドラマなのだけど、そこには役者論というものが背景にあって、ベタで気恥ずかしいところにも根拠となる部分があるのがよかった。

 瞳美の家族を思いやるがためにつく嘘、本能寺(藤田まこと)の家族を思いやるがための土下座、役になりきり家族になろうと思うがために、そこに至る。嘘を付くとか、土下座とか、そういったシーンを背景がなく、そのままの流れで引っ張ってしまうと、ベタだし、気恥ずかしい思いを感じることがあるけど、このドラマの場合は、役を演じ切り家族になりきるというそうした気恥ずかしいシーンにも背景を設けているから、スンナリと私は受け入れられた。

 役を引き受けたからには、いつかはその役を降りなければならない、という役者の宿命と結びつけて、お姉ちゃん、パパという役を降りて、本当の母親(戸田菜穂)に子どもたち(川島海荷、吉川史樹)を譲るときが来たんだ、と。大体、こういった擬似家族ものは別れがいつかはくるものだけど、そういったジャンルの中で別れを、役を降りるということと掛けるってのは、なかなかシャレているじゃない。お姉ちゃん、パパという役は降りたけども、彼らはこれからも家族であり続けるということなんでしょうな。最近は、暴走しがちだった香川さんも久々に抑えた演技をしていたところもよかった。

 まあ、最終回はあまりヒネリのあるものではないと思うので、期待してはいないけど、ベタでもいいからまずまずにまとめてくれればいいかな、と思う。

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第九回 12/12放送 視聴率10.1% 演出:村谷嘉則

評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

 終盤のまとめの部分はとても台詞の内容がいいと思う。ただ、問題は、そこまでの展開が単なるドタバタで底の浅さが目に付いてしまったところかな。

 このドラマの、家族のスタンスはなるほどな、と思わされる。瞳美は、母親ではないが、ママであり、お姉ちゃんである。実の母親にはなれないのだが、ママ=お姉ちゃんという役になりきろうとすれば、家族にはなれる。こういったこのドラマならではの家族の絆の形の提言は個性があって、面白いと思う。今回は、警官の目を入れることで、客観的な視点も入れられていたし、現実を見据えた点もあって、悪くなかった。

 ただ、そこにいたるまでがイマイチ。確かに、松さん、藤田さん、森山さん、加藤さん、香川さんと、役者の演技の方向性は完全に定まってきて、それぞれの軽い感じの弾けっぷりはよく出ていると思う。だが、やっていることが単なるドタバタすぎて、そこにストレートな勢いがあるわけでもなく、とにかくグダグダという感じが支配する。このグダグダ感がこのドラマらしさなのかもしれないけど、今回はそのコメディ部分にこのドラマの底の浅さが見えてしまった感がある。

 このドラマの家族論は意外と深いことを言っていると思うし、このドラマならではの個性がある。だけど、緩い笑いの部分を結構、長い尺を取っているから、テーマの深さが際立たないのではないかな。基本的にストーリーの中のエピソードに陳腐さが否めなくて、方向性は興味深いのだけど、惜しいドラマだなあ、と思う。

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第八回 12/5放送 視聴率11.2% 演出:若松節朗

評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

 今回は家族が出来上がっていくところに説得力を持たせるということで、必要だった回なのだと思うけども、ややつなぎ的な位置づけになっている感は残った。

 本能寺(藤田まこと)の家で同居を始めた瞳美と子どもたち(川島海荷、吉川史樹)だったが、それぞれが1人で生きてきたということもあり、なかなか家族としてまとまらない。瞳美が描いていた家族の理想像はやはり、所詮は理想像であったことに気付いていく。こうして現実の難しさの色を見せることで、他人だった人たちが家族になることはそう簡単ではないということを見せる。

 しかし、ここも主題歌の内容と同じで、「みんなひとりぼっち それを知るからなお あなたの大事さがわかるよ」ということで、家族がそこにいることが当たり前に思え始めた頃、それぞれがひとりぼっちだったころの記憶が戻り、それぞれの大事さが身に沁みていく。この過程を通すことで、この4人の擬似家族としての関係をさらに進め、確認する意味合いがあったと思う。

 本能寺の瞳美に対する「母親にならなくてもいい、家族になればいい」という言葉はいい台詞だと思うし、「ハムレット」の台詞を引用しているところもあって、そこはこのドラマらしい。本気になって、その役を演じきろうとすれば、思いは相手に届くものだ、という役者論からの家族ドラマはなるほどな、と。やはり、こういった細かい台詞の作りのうまさや仄かに含蓄を残す台詞の作り方はさすが、君塚さんであると思う。

 本能寺が意外にも誕生日を祝ってくれなかったことにへそを曲げていたとか、子どもっぽいところがあって、そうしたギャップ自体は面白かったのだけど、全体的には前回の展開を再確認するという意味合いが強くて、ややつなぎのお話だったか、という印象も残った。

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第七回 11/28放送 視聴率9.1% 演出:木下高男

評価★★★★★★★☆☆☆ 7

 かなり見やすくなったと思う。前半、かなりの体たらくが続いていたので、前半で脱落してしまった人は多いのだろうけど、その方たちはもったいないことをしたと思う。テンポ感もでてきたし、家族ドラマもうまく見せることができるようになったし、シェイクスピアを下敷きにする展開も手慣れてきたし、作品自体のテーマもよく出てきたと思う。

 このドラマはどうやら、前半のうちはコメディ、後半は家族ドラマという配分になっているらしい。前半は本能寺(藤田まこと)の引退舞台である「リア王」で製作費を切り詰めるため、四苦八苦するさまをコミカルに描いていた。舞台への情熱が再び戻ってきた柳沢を演じる香川照之さん、ドラマが始まった頃より演技のテンポが軽やかになった森山未來さんあたりの個性がうまく出始めてきて、コメディとして笑いにつながっていたと思う。カット割りなんかも、ドラマの始まった頃のゆったりとしたものから細かなものになって、テンポ感がうまく出るようになった。

 そして、後半の家族ドラマの面では、「リア王」のプロットを下敷きにして、父親という役回りだけは演じきることができなかった本能寺の悲哀を表現。藤田さんが1人でレトルトの中華丼を食べている姿はまさに悲哀を象徴していたね。「リア王」では、主人公は3人娘がいて、その3人娘に次々と捨てられていく悲劇であるのだけど、このドラマはそこにプラスとして、実の娘ではない瞳美を登場させて、少しばかりの救いをもたらしている。

 また、今回の内容は、主題歌の歌詞の内容にもかなりリンクしたものだと思う。「みんなひとりぼっち それを知るからなお あなたの大事さがわかるよ」。瞳美も子どもたち(川島海荷、吉川史樹)も本能寺も自分がひとりぼっちであることを知っていて、だからこそ、互いの大事さが分かるわけだ。彼らが集まった食卓の画のところに、この主題歌が重なるという演出は的確なものだったと思う。それでも、やはり、こうした家庭的な平穏はそう長くは続かず、次回はやや波乱のご様子。

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第六回 11/21放送 視聴率9.9% 演出:村谷嘉則

評価★★★★★★★☆☆☆ 7

 今回はよくできていたと思う。前半のコメディ部分もテンポがよかったし、キャラクターが定まってきたということもあり、なかなか笑えるシーンも多かった。そして、後半は擬似家族のドラマとしてなかなか感動的に仕上げてくれていたと思う。

 ようやくすべてのキャラクターの軸が定まってきたので、コメディとしてうまく見ることができるようになってきた。特に、護(森山未來)と里奈(加藤ローサ)のキャラクターが定まったことは大きかった。護は前回の一件で、瞳美を年上女性として意識するようになってしまっているのだけど、里奈はまだ護のことを諦めていない。里奈の前回明らかになったS的気質のキャラクターが定着。そして、護は里奈の態度に怯えながらも、瞳美にも思いを馳せており、その板ばさみに悩む。護のM、里奈のSが定まることで、笑いとしては見やすくなったと思う。それに、前回までいがみ合っていた護と里奈のお父様方のデパートが突然、業務提携という思いがけない展開。ここにきて、瞳美の口癖「明日には何が起こるか分からない」がうまく機能するようになったし、瞳美の妄想もうまく使いこなすようになってきた。

 次に、後半の擬似家族ドラマはかなり図式的なところが多かったのだけど、それでも感動的には仕上がっていたと思う。確かに、瞳美が深夜アルバイトをしているのが本能寺(藤田まこと)らにバレるきっかけ作りや忠太(吉川史樹)が熱にかかるという展開、瞳美が水商売をやろうとするもののすぐにクビになる展開はやや図式的で、作為を感じさせるものがある。だけども、瞳美が皆にバイトのことを黙っていた理由や、その事実を知った後の本能寺の変化はうまく描かれていた。導入やきっかけはあざとさがあるわけだけども、結果にはとてもうまく結びつけていた。

 今回はなぜか、桜子(川島海荷)の担任役でヤクルトの古田さんが登場。恐らくは、イメージ的なものがあって、ダメもとで交渉したら、思いのほかOKしてくれたみたいなところだと思うのだけど、なぜ、古田さんだったのかはよく分からないキャスティングだったな。

 後半に入って、ようやくエンジンがかかってきたようにも思う。まあ、君塚さんのドラマは「踊る大捜査線」にしても「TEAM」にしても後半に行くほど、よくなっていった傾向にあるから、このドラマもそうであることを願いたい。

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第五回 11/14放送 視聴率8.2% 演出:若松節朗

評価★★★★☆☆☆☆☆☆ 4

 意図は分からないでもないのだけどなあ。やはり、エピソード自体は陳腐だなあ。

 敵対する国の争いのところを、敵対する大手百貨店の争いにするとか、周りの連中がいろいろ邪魔をしてくるとか、「ロミオとジュリエット」を意識した護(森山未來)と里奈(加藤ローサ)の関係を描く回。

 「ロミオとジュリエット」をパロディしながら、それと今のこのドラマにおける擬似家族の関係性を応用して書いてあって、見た後に、意図を推測すると、なるほどな、とは思う。だけども、問題は意図を読み取る前にエピソードの陳腐さに飽きてしまうところかな。

 松たか子さんがいろいろとコスプレでかなり奮闘しているけど、何だかストーリーの展開が安易すぎるような気がする。家族を知らない瞳美が家族を分かり始めるというのは分かるのだけど、なぜ、瞳美が水商売なんぞを始めなきゃならないわけよ。マネージャーって、もっと忙しいんじゃないの。お金がないからって、水商売なんかしていたら体が持つわけがない。それに、水商売という発想自体が安易のように思うなあ。本能寺(藤田まこと)には舞台の芝居だけに専念させてあげたい、というのが瞳美なりの家族への優しさということなのだろうけど、そんな悠長なことを言っている問題でもないと思うけどなあ。家族を知らない瞳美ならではの発想なのかもしれないけど、家族なら、時には厳しく当たることも必要なのでは?

 ストーリーに込められた「家族」を描こうとする意図も分かるし、シェイクスピアをパロディしているのも分かるから、このドラマらしさはある。しかし、小さなスケールの話の割りには、結構、スゴい方向に話が転ぶんだよなあ。何か、それが軽薄に思えて仕方がない。

 ま、瞳美の妄想がたまには当たるというのは変化球でよかったかな。それでも、このドラマ、まだ半分残っているけど、ちょっと見るのがキツくなってきたな。

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第四回 11/7放送 視聴率9.2% 演出:木下高男

評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5

 う〜ん、方向性は分かるのだけど、今回のエピソードはやや陳腐だったな。

 このドラマは人生を演技に例えて、役者論や演技論を用いながら、人間ドラマを描こうという趣旨のようだ。これはこのドラマの大きな特徴だ。本能寺(藤田まこと)の言う演技論は、心の底からそうなるとうと思い込むことによって、演技は本当のことのようになっていくということ。

 実際、瞳美も過去に両親を亡くして、辛くて仕方がなかったとき、明日にはどうなるか分からないのだから、今、クヨクヨしていても仕方がない、と前向きに生きようと、必死で演技しようと試みてきたわけだ。そして、その演技は心の底からそうなろうと思ったことから、演技ではなく、本当に自分の性格になっていった。人は少なからず人生という舞台を演じているわけで、そこで本当に変わろうと思い込んで、演技をできる人は変わっていけるんだ、と言っているように思う。だから、瞳美も本能寺も子どもたち(川島海荷、吉川史樹)の親に本当になろうと思うことによって、演技を超えた何かが彼らの中に目覚めようとしているわけだ。

 護(森山未來)と里奈(加藤ローサ)はそれぞれ敵対する大型百貨店の御曹司と令嬢だったとのこと。タレントと経理という立場以上に、敵対する百貨店同士の子どもということで、まさに禁じられた愛というあたり。これはシェイクスピアの戯曲の基になっていると言われる「トリスタンとイゾルデ」の話と多く似せているんだろうなあ。

 ということで、なるほど、と思える点は多いし、このドラマならではの個性もある。だけど、一番の問題点は、果たして火曜21:00の視聴者がこの下敷きにしていることにどれだけ気付いているのか、ということだろう。瞳美と本能寺のエピソードにしても、護と里奈のエピソードにしても、基本的にはスゴくベタなことをしているわけで、そこで多く興味を削いでしまっているのかもしれない。

 それに加え、芝居にはうるさい本能寺が人の演技を見破るというのはいいにしても、あのオバサンのキャラクターはやや受け入れがたい。忠太(吉川史樹)の本当の父親が愛人と作った子どもを引き取りたいと言い出す正妻というキャラクターのオバサンで、ここで違和感を覚えていたが、案の定、その結末は…。恐らく、過去の君塚作品である冬彦さんあたりのドロドロっぽさをセルフパロディしたのかもしれないけど、このドラマとは色が違うし、その色の違いから逆にエピソードが陳腐化してしまったと思う。

 狙いは分かるだけに、人間ドラマをうまく表現できている部分とかけ離れた部分のバランスが悪い。もう少し振れ幅を大きくすれば、それらも際立ったと思うのだけどなあ。難しさと安直さの両面が出てしまって、見ていてちょっと気持ち悪いドラマだなあ。

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第三回 10/31放送 視聴率11.8% 演出:村谷嘉則

評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

 形が見えてきた。本能寺(藤田まこと)を年をとった父、瞳美(松たか子)を母、護(森山未來)をその弟、里奈(加藤ローサ)を妹、そして、子どもたち(川島海荷、吉川史樹)、さらに、+αのオカマ(富岡晃一郎)というように、彼らを擬似家族に見立てることで、さながら家族ドラマのように彼らが親交を深めていくというドラマになっていくというわけか。

 前半の本能寺がバラエティに嫌々出させられて、大福をたらふく食わされる場面は悪くはなかったけど、そこまでゴリ押しするような展開でもなかった。その後のバラエティ出演後、舞台の席が満席になるという展開はお決まりとはいえ、強引すぎ。このドラマの場合、演出が淡々とすぎて、その強引さを許せる土壌が出来ていない。ただ、藤田さんは大福が苦手らしく、このドラマの撮影より前にはほとんど食ったことがないとのこと。そんな苦手な大福をさも大好物のように、あれだけ食っているわけだから、タイトルどおり「役者魂」だよなあ。そういえば、この放送日の「いいとも」に森山くんが番宣で出ていたけど、このドラマのような感じだったのかな?

 基本的に、前半の笑いのシーンは滑っていたと思うので、そうした笑いを前面に押し出す展開はこれからは控えめにすべきだと思う。その分、そうした笑いはちょこちょこ入れてくる程度で、この擬似家族のドラマを押し出して、笑いよりは感動できるドラマ作りに特化したほうが、より見やすいと思う。前半の弄ばれている藤田さんよりも、子どもたちに心を開いていこうとする藤田さんの演技のほうが心惹かれるものがあったし。

 そうすることで、家族というものをよく知らない瞳美、本能寺、子どもたちが絡んで、家族というものを知っていく一つの大きな流れができて、ドラマもグッと見やすくなるはずだ。

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第二回 10/24放送 視聴率8.4% 演出:若松節朗

評価★★★★★☆☆☆☆☆ 5

 う〜ん、何というか落ち着き払いすぎている気がする。松さんの軽いタッチの演技も嫌いじゃないし、操り人形のごとくいろいろと遊ばれている藤田氏といい、決して悪くはない。君塚さんの脚本、若松さんの演出にも手慣れた感じはよく出ていたと思う。ただ、経験豊富な人が集まりすぎて、作調に余裕がありすぎるというか、落ち着きすぎている。

 やはり、もっと瞳美と本能寺の会話のテンポをよくして、凸凹コンビをさらに際立てていかないと、笑いの趣向が今と合っていかないように思う。まあ、簡単に言ってしまえば、笑いの持って行き方に新鮮味がないので、ちょっと趣向が古いかな、というのが感想。実際、これだけの面々を集めたのにもかかわらず、第2話から視聴率1桁に。同じく舞台ものの「下北サンデーズ」と同じ末路を辿りそうだなあ。

 それに加え、後半の展開にはやや無理がある。自分が子どもを預かることになった本能寺は意気消沈のあまり、まるで演技にやる気が入らない。その脱力した演技が新境地と、逆に賞賛されることに…。だけど、あの演技は見るからにただやる気がなかっただけ、というように見えたし、実際、観客席7割、8割方が空席だったんじゃない?それで、よくあんな大々的に賞賛されたと言えるもんだ。

 あと、瞳美の妄想シーンね、恐らく、君塚さんにとってもかなりイチオシの部分なのかもしれない。だけど、思ったほど面白くない。これが不評なら今後、展開からフェードアウトしていくかもしれない。エンドロールのショートストーリーなるものも話がちょいと分かりにくかった。恐らく、これまでの藤田さんのイメージとかけて、本能寺がリチャード三世の格好をしているのに、日本刀を持って舞台に行こうとして、「いけねえ、いけねえ」という話なのでしょうが…。

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第一回 10/17放送 視聴率11.4% 演出:若松節朗

評価★★★★★★☆☆☆☆ 6

 台詞の言葉選びとか、扱われているエピソードとかは奇をてらったものは何もなかったけど、時間を意識することなく見せてくれたと思う。言葉運びのテンポのよさ等、実はテクニックを駆使しているのに、それを感じさせないさりげなさはさすが、君塚脚本だろう。同じコメディのドラマでもここ最近は不作が多かったので、腕の違いは明白だった。

 そして、主演の松たか子さんの軽いタッチの演技も、松さんらしい。松さん演じる瞳美は幼くして両親を事故で失い、暗い過去を背負っているのだが、人生どうなるか分からないから、どんなありえないシチュエーションでもくよくよしても仕方がない、と常に前向きに生きるというキャラクターとなっている。松さんの演技は何か背負っているものは感じさせるのだけど、それを重たくさせず、でも、軽薄になりすぎることなく、軽い受け答えでドラマ全体のテンポを作っている。

 共演の大御所・藤田まこと氏はかつてはコメディ俳優として活躍していたということもあり、久々のコメディ演技に力が入っているご様子。藤田氏演じる本能寺はシェイクスピア命の頑固一徹の役者バカで、演出家無視で演出プラン、衣装、美術を勝手に変えてしまう困り者。それでも、芝居に対する思いは人一倍で、自分が満足するまではトコトンまでこだわる完璧主義者。まあ、はっきり言って、現実ではありえない人物像ではあるのだけど、藤田氏が存在感で人物像を具現化させている。

 悲しみを背負いながらも、現状に悲観的にならない前向きな瞳美と、常にトラブルを作り出す本能寺。恐らく、瞳美の抱える悲しみが本能寺との関係においても鍵になるだろうし、本能寺の起こすトラブルを気にしても仕方がないとうまく踏ん切りをつける瞳美という2人のキャラのバランスはよくできていると思う。

 また、エンドロールで流れるタイトルバックは毎回、新撮され、ドラマのストーリーとは関係がないショートストーリーで構成されているとのこと。その点にも、是非とも注目していただきたい。

 ただ、やはり、舞台・演劇もののドラマはウケないということなのか、初回視聴率は同じく舞台・演劇ものの「下北サンデーズ」と同じ11.4%でスタート。「下北」と同じ末路を辿らねばいいけどね。

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放送前の感想
 松たか子が「いつもふたりで」以来、約3年半の連続ドラマ主演。共演にフジテレビ連続ドラマ初出演となる大御所・藤田まこと氏。シェイクスピアしか演じない気難しい舞台俳優とそのマネージャーが繰り広げるコメディ。スタッフは磐石の体制で、脚本にここのところは映画を中心に活躍していた君塚良一氏。「ホーム&アウェイ」以来の4年ぶりとなる連続ドラマの脚本。そして、演出は「救命病棟24時」「熟年離婚」「やまとなでしこ」の若松節朗氏、「1リットルの涙」「めだか」の木下高男氏と、熟練ディレクターが担当。キャストとスタッフの面々は鉄壁の備えを持っており、ある程度の作品にはなると思う。ただ、舞台という題材が一般ウケするかは不透明。ドラマの趣向はちと違うが、舞台関連のドラマということでいえば、つい先日「下北サンデーズ」が最強のスタッフの布陣で挑んで大コケした経緯があるから、コケる可能性もなきにしもあらず。皆さん、腕は確かだから、そこはテクニックで何とかしてほしい

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