act.7 夢のかけら
「・・・『夢の・・・かけら』・・・?」
蒼い双眸が魔名を捉える。
「・・・そう。『夢のかけら』だ。・・・お前にしか造り出せない・・・」
「・・・そんなの、知らない・・・!」
「・・・知らなくても造れるのさ・・・お前自身の『能力』なんだからね・・・」
「がくちゃ・・・っ!!きいちゃ・・・だ・・・!」
「・・・舞紗・・・まだ教えてなかったの?」
妖しく魔名が微笑う・・・。
「・・・『夢のかけら』は・・・『刻と光の世界』へ行く為の唯一の鍵なのさ。・・・そしてそれを生み出せるのは・・・『刻と光の世界』に生を受けた者だけ・・・。・・・生み出せるのは・・・お前だけなのさ。『刻と光の世界』に生を受けたお前にしかね・・・」
「・・・僕は・・・」
「・・・完全なる眠りから解き放たれたいんだよね・・・僕も」
「・・・!」
「・・・強い『能力』を持たない者はいつか『完全なる眠り』に陥る・・・それがこの世界なのだから。いつかは『刻と光の世界』に取り込まれる。・・・それが、気に入らない。あと数年もすれば支配されるかも知れないからね・・・」
『完全なる眠り』―――――――――。『死』ではない。・・・でも、『二度と目覚める事は無い』。『刻と光の世界』を支える為に。いつか弱っていけばそのまま・・・『浮力』としての『動力』にされる命。
「・・・お前たちにだって・・・必要な物なんだろう?」
「・・・だからって・・・何させるつもりなんだよ・・・これ以上追い詰めるの?」
蓮が・・・瞳を向けた。
「・・・『夢のかけら』は・・・何を材料にすると思う?」
「え・・・?」
「・・・血だよ・・・」
「!!」
「だったら尚更渡すわけにはいかないな」
有羽が云う。
「・・・君には喉から手が出るほど欲しい物じゃないの?本当は」
紅司が笑顔で尋ねる。
「―――――――――っ!!」
「・・・何を知ってるんだ・・・お前らは・・・」
押し殺した様な有羽の声。
「・・・何も・・・?・・・ただ、君も『消失』するのは怖いんじゃない?」
「・・・『消失』・・・?」
楽斗と蓮が不審そうな表情を浮かべる。舞紗は苦しげに肩を上下させながら蒼褪めた色を浮かべている。
「・・・『後継者』だろう?・・・前『後継者』がどうやって・・・居なくなったのか知っているだろう?」
「・・・どういうこと・・・?」
「『後継者』は『死』も『完全なる眠り』とも違う運命に落ちる。・・・すなわち・・・『消失』だ」
「・・・『刻印』を植え付けられたんじゃない?・・・時限爆弾抱えてるような物だよね〜♪」
紅司が楽しげに云う。
「・・・『刻印』?」
俯いて何も答えない。
「・・・『刻印』・・・は・・・『後継者』に植え付けられる。・・・『支配者』としての『魔力』を受け継ぐ代わりに・・・『時間』を奪われるんだ・・・」
「舞紗・・・」
「・・・身体の何処かに焼印みたいな・・・『刻印』がある筈だよ・・・その『刻印』は『縛られた』証拠なんだ・・・。『後継者』として・・・いつか『消失』するという・・・」
「もういい。云うな!」
「・・・それでも・・・僕らは総てと引き換えにしてでも・・・『護る』事に決めたんだ・・・。だから、兄さん・・・邪魔をするなら・・・僕も容赦しないから・・・」
「どうやって?・・・こんな風に?・・・ΩφАΨ」
空気が・・・切り裂かれた。
随分時間が経ってしまいました(灰)第7話です。ちょっと展開が動きました(笑)少し、設定の説明をしますね。
『風の世界』と『地の世界』の間には『門』が存在していてそこ以外からの出入りは出来ないんです。出入りしようとする人間は基本的に少ないですが。で、何故出入りが出来ないかと云うと・・・大きな壁があると思ってください。壁は空まで続いているんですが、その壁の登り切った所に『刻と光の世界』が存在するんですよ(笑)で、浮いてるような形になっています。それを支えるために『風の世界』や『地の世界』の住人は『完全なる眠り』に陥ったときにその『命』が浮力にされてしまいます。勿論、そのまま命がなくなってしまうので、実際『死』とそれほど変わらないですけど。
あと、『刻印』。『後継者』は『魔導書』を使ったりできるじゃないですか。『刻印』はそれを使う者に証拠として与えられる(それが無ければ使う事さえ出来ない)んです。だけど、この『刻印』は大きな問題があって。時限爆弾的な意味合いを持つんですよ。次の『後継者』が生まれる時期に『刻印』は肥大化していき、全身に広がり、最終的に『消失』してしまいます。消失直前に『後継者』候補が集められ、次の『後継者』が生まれるという事です(汗)
『反発力』について。基本的に『刻の神官』と『光の神官』はそれぞれの世界のそれぞれの神殿に居るので出逢う事はありません。だけど何らかの理由でお互いが出逢ってしまうと『反発』と云う『共鳴』が起きてしまい、前回や今回の舞紗みたいになってしまいます。では、何故右狂が苦しまないか?と、云うと魔名に支配されているから。自分の意識は封じ込められているからです。
はぁ・・・説明終わり。・・・あと何話続くんだろう・・・この話。
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