菌糸瓶選びの基礎知識

最近は菌糸瓶の品質も上がり、名の知れた菌糸瓶であればどの
メーカーも品質に大差は無いと思いますが、
どんなに良い菌糸瓶を
使用してもその菌糸瓶の特徴に合った飼育をしなければ、優良菌糸瓶も
粗悪菌糸瓶に成り下がります。

今回は初めて菌糸瓶を使う人や菌糸瓶選びに困っている人の為に
菌糸瓶選びの基礎知識として、なるべく簡単にポイントのみを記載します。
自分にあった良い菌床を見つける手助けになれば幸いです。

あくまで初心者の方が対象ですので、上級者の方は読まないでね(笑)

1.菌糸瓶の選択とは?

 一般にクワガタは広葉樹の朽ちた部分(白腐れ部)に産卵します。
 幼虫はこの白腐れ部を食べ、栄養として成長します。
 菌糸瓶とは木材の白腐れ部を人工的に作ったものをいいます。
 容器に詰めた培地(オガ)にきのこ菌(白色腐朽菌)を接種し、その菌のにより
 オガを腐朽させるのです。
 一般的に使われるきのこ菌は、オオヒラタケ(通称)、ヒラタケ、カワラタケなどで、
 オガは、クヌギ、コナラ、ブナ、エノキなどが主に使われています。
 つまり、菌糸瓶を選択する要素は、菌の種類、オガの種類と形状、
 容器の種類と大きさなどになります。

2.種菌の選択

 2.1 菌の性質

種   菌     特      徴
オオヒラタケ 菌の力が強く、雑菌にも強い。
菌糸瓶飼育に使われる種菌の中では一番高温に強い。
オーソドックスで取り扱いやすい。
腐朽が進むとオガは段々ウェットな状態になる。

ヒラタケ 菌の力が非常に強く、雑菌にも強い。
菌の力が強すぎる為か、爆発的な力も秘めているが発育のムラが
出るとの説もある。
オオヒラタケに比べて、適応温度が低いため比較的低温飼育に向いている。
腐朽が進むとオガは段々ドライな状態になる。

カワラタケ 木材を腐朽する能力は抜群に高いが、雑菌を繁殖しやすく、
適応温度がオオヒラタケ、ヒラタケより低い為取り扱いが難しい。

腐朽能力が高いが故に菌糸瓶の劣化も早い。
最近はかなり改良されて、良い菌糸瓶も出てきているようである。
オウゴンオニやタランドスの飼育に使われている。


 2.2 適応温度
 

 菌糸瓶飼育では菌糸瓶の使用温度が一番大事になります。
 温度が高すぎれば菌糸が劣化してしまいますし、温度が低くなると
 子実体(きのこ)が生えてきます。
 きのこが生えると、きのこに菌糸瓶の栄養がとられたり、きのこが傷んで
 菌糸瓶が劣化したりします。 

 一般的に菌糸に使われている、種菌にはオオヒラタケ系、ヒラタケ系、カワラタケ系などがあります。

 適応温度は、オオヒラタケ>ヒラタケ>カワラタケの順番で、
 オオヒラタケが一番適応温度が高く、カワラタケが一番低いということになります。

 通常夏場の菌糸瓶飼育が一番問題になると思いますが、クーラーなどで有る程度低温(26℃以下)
 での飼育ができない人はオオヒラタケの選択が無難かと思います。
 とはいえ、常時30℃を越えてしまうような環境では菌糸瓶飼育は適していません。
 逆に冬場に温度が下がってくると、オオヒラタケ系は一番早く(他の菌より高い温度)
 きのこが生えてきてしまいますので、ヒラタケ、カワラタケ系が使いやすいともいえます。
 ただ、飼育の途中で種菌の変更をするのは良くないとも聞きますので、自分の飼育環境(室温)や
 飼育種の飼育適正温度などを考えて種菌を選択する必要があります。

 菌糸の適応温度は、各種菌やメーカーによって違いますので菌糸瓶を購入する際
 お店の方に聞いておくと良いです。


 ※メーカーにより違いますが、目安としは ヒラタケ19℃〜25℃、
  オオヒラタケ24〜28℃位が適温かな?


2.3 一般的な菌糸瓶名と種菌

種    菌       菌  糸  瓶  名
オオヒラタケ系 Basic、新外産菌床、大夢B、WISH、レインボウ、RTN etc
ヒ ラ タ ケ 系 G−pot、菌太郎、フォレスト、エボリューション etc
カワラタケ 系 大夢K、ガンバード、KBカワラ菌床 etc

 ※上記はお勧めというわけではなく、一般的に使われている菌糸瓶です。


3.培地(オガ)の選択
 オガに使用される樹種は、クヌギ、ナラ、コナラ、ブナ、エノキ、カシなど沢山の種類があります。
 どれが良いのかは菌糸瓶の作り方(粒子、水分量、詰め方など)により違ってきます。
 これらの種類をミックスして使うことも可能です。

 3.1 栄養価と分解(腐朽)速度

 オガの栄養は クヌギ>コナラ>ブナ の順番といわれていますが、
 実際は微々たるものでしょう。
 幼虫の発育度にはほとんど変化はないと思います。

 分解の早さは ブナ>クヌギ>コナラ>エノキの順番(ブナが早い)といわれています。
 基本的にはオガの分解が遅いほど菌糸の持ちが良いことになりますが、実際の菌糸瓶の
 持ちは木材の性質のみではなく、3.2その他の要因が強く関係します。
 
  3.2 その他

 水分量、オガの粒子、詰め方、添加剤などによって、菌糸瓶の持ちが変わってきます。
 その方法は各メーカー毎に違い、それが菌糸瓶の特徴にもなります。

 粒子:粒子が細かければ仕上がりは早いが、劣化も早い。
     粒子が荒ければ、仕上がりは遅いが、劣化も遅い。
     初2令幼虫の場合、微粒子の方が成長は早い。
     メーカーによりミックスするなど粒度の調整をしているところも多い。

 水分量:少なければ良い訳ではないが、多すぎると菌糸の持ちが悪かったり、
      羽化不全が起きやすくなる。

 詰め方:固く詰めた方が、菌糸の持ちが良い。
      1本目(初2令用)には、やや緩めの方がいいですが、2本目以降は
      固詰めが良いでしょう。
      一般的に売られている菌糸瓶は、機械詰めより手詰めの方が
      固く詰まっている事が多いです。


4.容器の選択

 汎用的に使われている菌糸瓶の容器は、ガラスタイプと、ポリタイプが有ります。
 ポリは価格が安く、軽くて扱いやすいという利点がありますが、ガラス瓶に比べて
 熱がこもりやすい、瓶の中が見えないなどの欠点もあります。
 私個人の意見としては、ポリよりガラスのほうが菌糸便飼育にはむいていると思います。
 容器の大きさは金銭的に考えても、1本目(初2令)は比較的小さな瓶(600cc以下)
 で良いでしょう。
 2本目以降は♂、♀の判定をして幼虫の大きさに合わせた瓶の大きさを選択しましょう。


5.菌糸瓶の購入

 金額の高い菌糸瓶=良い菌糸瓶というわけではありませんが、格安の菌糸瓶の中には
 粗悪な物もあるのは事実です。
 安くて良い菌糸瓶もありますので、上級者の方に聞いたり、HPなどで検索し実績のある瓶を
 選択するのが良いと思います。
 お店のHPなどには良い事しか記載されていませんので、宣伝内容は参考にしない事!(笑)。

 菌糸瓶を直接ショップなどで、購入する場合は、なるべく新鮮(新しい)な瓶を選びましょう。
 黄色く変色していたり、水がでているもの、きのこが生えているものなどはさけましょう。
 上のほうの棚(温度が高い所)に菌糸を置いているショップは、菌糸が弱っている事も
 あるので要注意です。 
(特に熱帯魚屋さんのように室温が高い部屋に置いてある場合は注意)