下田市内には、江戸時代後期から明治初め頃に立てられた、なまこ壁の家や石造りの民家が
多く残されています。
しかしこの時代、なまこ壁や石造りの家の建築費は高額で、他の地方では相当格式のある家で
なければ見られないものでした。
下田では、伊豆石の産地であり供給が容易だった事、そのため石工が大勢居たと言う事、そして
安政の大津波で全壊した町の復旧に幕府が諸外国に見栄を張ると言う目的で、相当額の貸付金
を各戸に配布し、堅牢で綺麗な家が多く建築させたのだと町人の間に言い伝えられています。
近辺の山から縦横約20cm、長さ約80cmの大きさに切り出された海底火山やその噴出物で形成
されている伊豆石を利用し、一般の家屋から商家まで競って立派な建築をしたと言うことです。
市内を注意しながら歩いていると、旧商家の立派な建築や、船宿の名残を残す二階の天井が低
いなまこ壁の家、側壁が石造りの古い民家など、たくさん見かけることが出来ます。
また、その古い民家や商家を利用して飲食店を営業している処もあり、店内で当時の暮らしぶりも
伺うことが出来ます。
ペリーロードにある絵画教室「草画房」は土日のみ
喫茶を営業しています。店内には旧商家の太い大
黒柱や床の間などの造作や中庭が当時のままに
保存されています。主人の陶芸作品や書画も展示
されており、誰もが安らぎを感じることが出来ます。
かつて唐人お吉が経営していたことで有名な
安直楼。今は寿司処「すし兼」になっています。
店の二階は当時のまま保存されており、お吉
の遺品も展示されています。入場料200円で
内部を見学することが出来ます。
邪宗門は古い石造りの民家を改造して喫茶店を
営業しています。店内はむき出しの梁や納戸・床
の間など、上手く喫茶店用に改造して利用されて
います。また主人が集めた色々な骨董や、陶芸作
品や書などのプロ級の腕前と評判の作品も陳列さ
れています。
(もと船宿の土佐屋)
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