平成14年度市長施政方針
平成14年度の予算案をはじめ、市政の重要な案件をご審議いただくに当たり、市政運営に対する所信の一端と予算案の大綱を説明申し上げ、議員並びに市民の皆様のご理解とご賛同を得たいと存じます。 我が国の経済は、年度を通じて厳しい状況が続き、平成13年度の国内総生産の実質成長率はマイナス1.0%程度になると見込まれております。 しかしながら、構造改革を進めていく中で、これまでの補正予算を始めとする政府の政策展開の効果が表れ、引き続き厳しいながらも低迷を脱し、平成14年度の後半には、回復に向けて動き出すものとされております。 このような状況の下で編成された国の平成14年度予算は、「改革断行予算」と位置づけ、歳出構造の抜本的な見直しや予算配分を大胆にシフトすることによって、経済構造の転換を促進するものとし、一般会計予算の規模を対前年度で1.7%減少させ、81兆2,300億円としたものであります。 また、地方財政は、引き続いて大幅な財源不足の状況にあり、これまでの借入金の償還により、将来の財政運営が圧迫されることが懸念されています。 加えて、地方分権の時代にふさわしい簡素で効率的な行政システムを確立するため、徹底した行政改革とともに歳出の見直しによる抑制と重点化を進め、効率的で持続可能な財政への転換を図ることが急がれています。 これらの国の動きや地方財政の状況を背景として、本市の平成14年度の予算編成に取り組んだものでございますが、市税等の自主財源の大幅な減少がそのまま表れるものとなり、一般会計の予算規模は、213億7千万円、対前年度でマイナス4.2%となりました。 これは、平成7年度予算以来6年連続の対前年度マイナス予算に歯止めをかけた前年度予算を再び割り込むものとなり、市民要望に十分意を尽くし得ないものがありますが、本市の行政水準を維持しながら、取り組むべき課題に対して予算配分に努力を傾注したつもりであります。 まず、歳入では、長引く景気低迷と観光客数の減少が本市の基幹産業である観光を直撃し、その結果として、根幹をなす市税の大幅な減収となって表れ、加えて、利子割交付金や繰入金などが減少したものでありますが、市債において赤字地方債ともいえる臨時財政対策債の発行をもって財源不足の補てんを図ったものの、減少分を充足するにはいたりませんでした。 また、支援財源としてきた競輪事業からの繰入金は期待できない状況であり、これまで頼りとしてきました各種基金の残額も僅かなため繰入が困難な状況に至っており、自主財源の確保に苦慮したところであります。 歳出におきましては、地方分権の推進につれ、市民に身近な行政サービスを提供する量と役割が増すものとなり、加えて、高齢社会に向けた介護保険制度の円滑な実施をはじめとした地域保健・医療、地域福祉の充実を果たしていく財政需要はますます増嵩するものと見込まれています。 このことから、医療や保健福祉を始め、市内経済活性化に向けた景気対策や都市基盤の整備などを重点施策とし、財源の積極的な配分を行ったものでありますが、これからのまちづくりは、行政、市民が自己責任、自己決定の意識を持ち、互いの役割分担を明確に認識し、協働によって構築していくことの必要性を強く感じているところであります。 次いで、特別会計につきましては、荻・十足地区の特定環境公共下水道工事が本格的に着工される下水道事業や、介護保険利用者の増加が見込まれる介護保険事業、医療給付費の高い伸びを背景とした国民健康保険事業・老人保健事業などで前年度を上回る予算規模となったものの、 平成13年度に準特別競輪の東王座戦が開催された競輪事業が、対前年度比130億3千万円、43.9%の大幅な減少となったことにより、特別会計の総額は375億3,856万5千円、対前年度比23.6%の減少となり、これに公営企業会計を加えた全会計の予算規模は、655億6,784万6千円といたしました。 以上が、新年度予算に関する概要でございます。 平成14年度一般会計予算は、対前年度比で4.2%減少した予算となりましたが、市税の大幅な減少が続く中で、市民参画のまちづくり推進計画を始めとして、高齢者保健福祉計画、観光基本計画等の各種計画を策定し、第三次の総合計画の着実な実現に向けて、その歩を進めたところであります。 しかし、年々高まる行政に対する今日的要請に応えていくことは行政に課せられた責務であり、もとより財政事情による停滞は許されないことであります。 このため、本年度の予算につきましても、事務的経費は9年連続して削減を行うほか、事務事業の取捨選択と重点化、職員の適正配置と定員管理、給与の適正化、職員の基本給の一定率の削減、振興公社や民間事業者への事業の委託化の推進など、伊東市行財政改革大綱に沿ってでき得る方策を検証し、政策的事業に充当できる財源の捻出を図ったものであります。 それらの財源の有効かつ効果的な活用に創意と工夫を加え、本市が目指す健康保養地づくりを積極的に進めるものとし、その一方の柱となる乳幼児等を対象とした予防接種事業や高齢者を対象としたインフルエンザ予防接種事業、中高年層を対象とした基本健康診査事業、介護予防と健康維持を目的としたシニアプラザ施設管理運営事業など、地域医療・福祉施策を充実してまいります。 また、池・里山のウォーキングコース沿いや生活環境保全林「大平の森」におけるトイレ建設と「奥野の小径」整備などにより、来遊客の利便を図り、さらに、広域応援支援システムである情報通信施設整備や、同報無線・地域防災無線施設整備等の防災対策の充実により安心して暮らせるまちづくりを進めるものといたしました。 市民と観光客が本市の温泉や自然に親しみながら、「住みたい訪れたい 自然豊かな やすらぎのまち 伊東」を実現するため極めて限られた財源の中で、明日につないでいく気概をもって予算編成に努めた次第であります。 以上、新年度予算について私の姿勢の一端を申し上げましたが、続きまして、第七次基本計画の柱に沿い、新年度予算の諸施策の概要を説明申し上げます。 最初に、「活力あるまちづくり」に係る事業でございます。 市内経済の現状は、明るい兆しが見えない景気の低迷から逼塞感が拭いきれず、宿泊客の減少傾向が続き、観光を基幹産業とする本市にとりましては、厳しさが募る状況が続いております。 このような状況を打開し、観光客ニーズを的確に捉え、国内観光地間の競争に後れをとらないよう、今後の本市の観光のあり方を求め、地域の行動指針となる計画を策定する必要が高まっていることから観光基本計画策定委員会を設置し、本市の観光の現状把握と分析を行い、観光振興の指針案を作成してまいります。 昨年7月に相次いでオープンした観光拠点施設「伊東マリンタウン」と観光・文化施設「東海館」は、予想を上回る来場者や入館者があり、中心市街地における魅力ある新たな観光施設としての役割を果たしているところでありますが、さらに両者の特徴を生かし、相乗効果が図られるよう観光PRの連携にも努め、魅力ある観光施設に育ててまいりたいと存じます。 5年目を迎えた「伊東温泉湯めまつり事業」につきましては、年々盛大になるさんやれ祭りの実施を始めとし、伊東温泉花笠踊りと伊東大田楽に、伊豆新世紀創造祭で誕生した「よさこいソーズラ」を加え、3大踊りとして秋の伊東温泉を内外にアピールするなど、新たな誘客や市内経済の活性化に効果をもたらすよう努めてまいります。 観光施設につきましては、池・里山ウォーキングコース沿いに観光トイレを建設するとともに、自然の豊かな城ケ崎海岸につきましては、対島川沿い上流部へ安全柵等を設置し、伊豆高原駅から市道城ケ崎線を経て、自然研究路へ通じる遊歩道の整備や橋立て吊橋の補修工事を実施し、来遊客の利便性や安全性の確保に努めてまいります。 市内の花壇につきましては、より一層、市民や観光客に楽しんでいただけるよう維持管理に努め、市民や関係団体と協働しながら、一体となったまちづくりを進めてまいります。 健康回復都市宣言を踏まえた健康保養地づくり事業につきましては、豊富な温泉や本市の持つ自然を生かした健康回復と増進を図るため、住む人、訪れる人が健康の大切さを実感し、健康を共有できる新たな保養地づくりの仕組みの構築と実践を市民、関係団体等の参画を得ながら進めてまいります。 白石マリンタウン計画の海域整備につきましては、公共マリーナの防波堤築造工事に対して所要の負担を行うとともに、給油施設等のマリーナ関連施設の整備を実施してまいります。 なお、本市が第三セクター伊東マリンタウン株式会社の筆頭株主になることから、より市の施策と協調、連携する運営を目指し、伊東マリンタウンを「道の駅」として位置づけることなど、市民及び観光客のニーズに合った、人々が集い交流する観光拠点としての施設づくりに努めてまいります。 労働関係では、失業率が過去最悪を記録するなど、雇用をめぐる環境が大変厳しい中で、企業のリストラ等による離転職者や働きたい女性を対象にパソコン講座を開催し、再就職のための雇用促進を図ってまいります。 さらに、シルバー人材センターが行う高年齢者の就労相談や雇用促進等の事業及び介護や育児支援事業に対して助成してまいります。 農業関係では、効率的な農業生産の推進や地域の特性を生かした高収益、高品質農産物の産地化や安定生産に向け所要の負担と、旧消防庁舎に開設された地場産品等を直売する朝市を拡充し、地場産品等の販路拡大に努めてまいります。 農道の整備につきましては、伊東開拓道路支線改良舗装事業や玖須美元和田地区での農道基盤整備事業を進めてまいります。 さらに、農村整備事業として、富戸吉田土地改良区での県営かんがい排水事業と、一碧湖隧道を整備する県営ため池等整備事業に対し、所要の負担をしてまいります。 林業関係では、林道大平線ほか1路線の改良事業を実施するとともに、健康回復公園「大平の森」にトイレを整備し、併せて案内板を設置してまいります。 水産関係では、つくり育てる漁業に取り組む漁業協同組合の事業に助成を行い、漁業近代化資金についても利子補給を行うなど、漁業後継者の育成を図ってまいります。 漁港の整備につきましては、継続事業として宇佐美漁港海岸環境整備事業を進め、漁港海岸背後地の環境整備を図るため、公園等の計画を策定してまいります。 商工関係では、中小企業への各種の融資を引き続き行ってまいりますが、小口資金融資制度につきましては、信用保証協会への原資貸付方式から利子補給方式に変更し、中小企業者がこれまでと同様に低利率で融資を受けられるよう保証料や利子の補給を行い、負担の軽減と経営基盤の強化に努めます。 また、大型店の郊外への進出、市街地中心部の人口の減少等のため空き店舗が目立つなど、中心市街地の活性化が急務となっている現状から、中心市街地活性化基本計画策定に向けて、関係団体等で準備会を組織し、調査研究を行ってまいります。 さらに、国の施策として推進しているIT(情報技術)革命に対応したe−ビジネス創業事業を支援するとともに、商工業団体が市民や観光客を対象に行うイベント事業への助成や、市民がバリアフリー等で住宅をリフォームする際の経費の助成など、建築関連業の振興を図る事業に対しても支援をしてまいります。 なお、地元商工業者が組織した団体が行う商品券付加価値事業への助成を引き続き行うことにより、市内中小商店等の販路促進と消費者の利便を図ってまいります。 次に、「快適なまちづくり」に係る事業について申し上げます。 市道の整備につきましては、安全で快適な生活環境の確保や防災対策など、地域の実状に即した道路の整備を基本とし、「中部横断道路宇佐美工区」、「泉・城星線」の和泉橋改修等の新設改良事業、「下田旧道線」の交差点改良をはじめ、市民生活に密着した道路の舗装、落石防止柵等の維持補修を実施してまいります。 また、交通安全施設の整備につきましては、歩道の整備や段差解消、防護柵や反射鏡の設置などを通じ、歩行者の安全対策と事故防止に努めてまいります。 国・県道の整備につきましては、県道「中大見八幡野線」改良事業を進めるための事業評価調査を実施するとともに、広域幹線道路である伊豆縦貫自動車道へのアクセス道路の早期整備に向けて、関係市町村と連携・協力のもと、国・県に対して粘り強い要望活動を展開してまいります。 河川の整備につきましては、平成5年度からの継続事業であります準用河川「松尾川改良工事」や、同じく継続事業であります準用河川「対島川」等の改良工事などを進めてまいります。 港湾整備事業につきましては、伊東港の海岸環境整備構想に基づき、平成15年度からの国の次期港湾整備計画に採択されるよう、国・県に対し、より一層の要望活動を続けるとともに、伊東港再整備の促進に努めてまいります。 伊東駅周辺の再整備につきましては、これまでに県やJR東日本をはじめ地元の皆さんの参画のもと、伊東駅周辺整備計画策定委員会により構想を策定していただきましたが、引き続き本年度も、地元の意向を反映するための組織である協議会とも連携を取りながら、計画実現に向けて努力してまいります。 なお、伊東駅隣接の市有地を有効活用するため昨年12月にオープンした伊東駅前駐車場につきましては、利用客にわかりやすい案内看板を設置してまいります。 伊東駅前通りの電線類地中化事業につきましては、地中化工事が終了した猪戸交差点からいでゆ橋にかけての延長180メートルについて、歩道の修景工事を行うとともに、引き続いて竹町交差点方面に向けて、管路延長140メートルの工事を施工してまいります。 また、宇佐美駅西口に改札口が設置されることとなるため、市民の手軽な交通手段である自転車等の駐輪対策として、40台程度収容の駐輪場を設置し、利用者の利便を図ってまいります。 都市計画公園につきましては、近年来園者が増加している小室山公園つばき園の整備を前年度に引き続き行い、だれもが自然と触れ合いながら花の観賞ができるよう、園路等のバリアフリー化を進めてまいります。 公営住宅の整備につきましては、市営住宅の耐用年限の経過等を踏まえ既存住宅の有効活用を図るため、「公営住宅ストック総合活用計画」を策定するとともに、東海地震、神奈川県西部の地震の発生に備え、建築基準法の新耐震基準施行以前に建設された中層耐火市営住宅の耐震診断を実施してまいります。 ごみ処理関係につきましては、平成15年度からの実施に向けた可燃ごみ指定袋制度導入の準備を進めるとともに、事業活動に伴って生じた廃棄物の自己処理責任の明確化を図るなど、より一層のごみ減量再資源化対策に取り組んでまいります。 ごみ処理広域化につきましては、駿豆広域圏の南ブロック処理区の市町村で協議会を組織し、その促進を進めてまいります。 環境施策につきましては、環境基本条例の理念の実現に向け、本年度中に環境を守り育てる基本計画の策定を図ってまいります。 交通対策では、前年度に引き続き、交通弱者の日常生活を支える生活路線バスの運行を確保するため、バス事業者に対し14路線の運行経費に対する補助を行ってまいります。 上水道事業につきましては、ダム水等の活用による水の安定供給を図るため、城の平水源ポンプ場から池中野配水池間の送水管及び川奈地区の配水管の布設を継続するとともに、老朽施設の機器等の整備や老朽管の更新などを通じて、安全でおいしい水の供給に努めてまいります。 下水道整備につきましては、平成9年度から整備を進めてまいりました宇佐美地区の一部について、本年4月より供用開始するとともに、各処理区の面的整備を図るための管きょ布設工事や、湯川終末処理場の最初沈殿池汚泥掻寄機の改築工事を進めてまいります。 また、荻・十足特定環境保全公共下水道事業につきましては、水処理施設・用地造成工事に着手するとともに、引き続き幹線布設工事を進めてまいります。 続きまして、「安心して暮らせるまちづくり」に係る事業について申し上げます。 福祉関係につきましては、心の通った精神保健等の推進に向け、県から権限委譲された精神障害者福祉等の支援事業をはじめとする障害者福祉の推進に努めます。 高齢者対策といたしましては、制度施行後2か年を経過した介護保険事業を検証し、新たな事業計画を策定するとともに、自立した高齢者のための生きがいづくりや健康増進のための事業を実施する介護予防拠点施設の開設などにより、更なる高齢者福祉の向上に努めてまいります。 児童福祉の充実につきましては、本年4月開園の新設保育所2園に対する所要の負担と助成を行うとともに、多様な子育て支援への要請に応えてまいります。 また、児童扶養手当の新たな対応増にも所要の予算措置を講じたところであります。 保健衛生につきましては、救急医療の充実をはじめ各種検診事業を継続して実施するとともに、高齢者のインフルエンザ予防接種事業の推進、休日等歯科診療業務及びエックス線撮影による乳がん検診を新たな事業として進めてまいります。 市立伊東市民病院は、土曜診療の実施、診療時間の延長を実現するとともに、24時間第二次救急医療を引き続き実施してまいります。 また、患者の療養環境の向上を図るため、病棟及び外来診療棟の空調設備の更新と医療機器等の整備を進めてまいります。 このため、一般会計からは、4億2,400万円を繰り出し、病院事業の運営を支えてまいります。 市民病院は、「市民のための病院」と「患者本位の医療」を原点に、きめ細かな治療・看護を実現し、信頼される病院として、また、伊豆東海岸における地域医療の基幹的な病院となることを目指してまいります。 国民健康保険事業につきましては、国保税率等の改正に伴い、引き続き国保制度等のPRに努めるとともに、増加する医療費や老人保健拠出金に対応するため、国保税の収納率向上を図り、健全な運営に努めてまいります。 また、老人保健特別会計につきましても、医療費の増加傾向が続くことから一層の健全運営に努めてまいります。 消防関係につきましては、地震等の大規模災害に対応するため耐震性貯水槽の建設と、各種災害に即応できる救助資機材の整備を図ってまいります。 また、静岡県消防航空隊に職員1人を3年間派遣し、大規模災害時等の的確な対応を修得するとともに、本市に対する防災支援体制の確立を図ってまいります。 地震防災対策につきましては、東海地震、神奈川県西部の地震等大地震が危惧されていることから、人材育成のため県緊急防災支援室へ防災担当職員を派遣するほか、災害対策活動の基本である情報収集・伝達のための防災無線体系の充実と効果的な運用を図るとともに、防災資機材の整備にも努めてまいります。 交通安全の推進につきましては、増加傾向にある高齢者や若者の交通事故、交差点での交通事故の防止を重点的に啓発するなど、交通安全対策を積極的に推進するとともに、市民相互の助け合い制度である交通災害共済事業につきましては、本事業のあり方も検証しつつ、加入者促進に努めてまいります。 霊園事業につきましては、芝生墓所280区画の造成、中央広場の整備及び植栽工事の2か年継続事業を完成させてまいります。 続きまして、「学び豊かなまちづくり」に係る事業について申し上げます。 教育の現状においては、社会や環境の変化からさまざまな問題が生じており、改めて教育の目標を明確にすることが求められています。このため本市においても、学区の見直しや中学校給食などを始めとする重要課題について、専門家や教育関係者による検討をいただくため、教育懇話会を設置いたします。 学校施設整備では、各小・中学校の施設、設備の老朽化した箇所の改修工事を実施し、安全確保や衛生面での向上を図ってまいります。 幼稚園教育では、懸案の鎌田幼稚園園舎の改築を行うほか、伊東幼稚園湯川分園の改築に向けて準備を進めるとともに、3歳児保育を推進するため、地域の要望に応えて新たに竹の台幼稚園を加えて実施してまいります。 学校教育におきましては、平成14年度から完全学校週五日制が実施され、確かな学力と生きる力の育成が求められていることから、基礎学力の一層の定着と総合的な学習の時間を窓口として体験的、問題解決的な学習を進めてまいります。 また、小・中学校でのALT(外国語指導助手)配置事業につきましても引き続き実施し、新たに市民の協力を得て、スポーツエキスパート活用事業を取り入れ、中学生の健全育成を図ってまいります。 生涯学習につきましては、ライフスタイルの変化による学習機会に対する市民ニーズの多様化・高度化に対応し、生涯にわたり、いつでも、どこでも、誰もが学習機会を享受できるような施策を推進してまいりま。 青少年教育におきましては、「中学生の翼」や「小学生の船」などの体験学習を通して次代を担う青少年を育む一方、市内各地域の育成会議や学校関係者との連携を強化することによって、青少年の健全育成に努めてまいります。 また、平成13年度に策定しました男女共同参画プランを積極的に実践してまいります。 市史編さん事業は、著名な歴史学者や専門家、郷土史研究家の方々の協力を得て、市制施行60周年の平成19年の完成を目指し、引き続き資料の調査、収集に努めてまいります。 スポーツ振興につきましては、市民一人一スポーツを目標とし、静岡市を会場とする第3回静岡県市町村対抗駅伝競走大会への参加や伊東駅伝競走大会の開催などを通して、体育協会と陸上競技協会を中心に、市民がスポーツに関心や親しみを持つ機会が増加するように努めてまいります。 国民体育大会につきましては、本年度、リハーサル大会として、第87回静岡県都市対抗ゴルフ選手権大会及び第55回全日本フェンシング選手権大会を本市で開催するとともに、平成15年の静岡国体開催に向けての諸準備を進めてまいります。 最後に、「まちづくりを進めるため」の事業について申し上げます。 市民参画のまちづくりを進めるため、施策実施の実質的な場面における市民参画、市民と行政の協働、役割分担、市民や団体が活動しやすいシステムなど、市民参画の仕組みづくりについて、市民とともに検討してまいります。 なお、まちづくりを進めるための事業といたしまして、市民が里親になって子どもに見たてた道路、河川、海岸等の公共施設の美化・緑化活動を行う「アダプトシステム」を発足させ、市民参画によるまちづくり活動を積極的に支援してまいります。 広報広聴事業につきましては、読みやすく親しみのある広報づくりや意見箱をはじめ専用ファクシミリ、市政モニター、インターネット等の活用を通して、市民の声を市政に反映してまいります。 市民サービスセンターにつきましては、市民の日常的な相談に対し、よりきめ細かな対応を心がけ、市民生活に密着した応急的な要望を迅速かつ的確に処理する、総合調整窓口としての機能の充実に努めてまいります。 情報化の推進につきましては、昨年度に引き続き、市民600人を対象としたIT講習会を実施するとともに、庁内LANの整備を進め、総合行政ネットワークをはじめとする電子自治体構想に対応してまいります。 また、企画部の課内再編を行い、電子自治体構築に向けて情報管理課を新設するとともに、企画調整課、政策推進課を統一し、ここが健康保養地づくり事業や交通体系整備などのコーディネートをする役割を担うものとします。 行政評価システム実施事業につきましては、第七次基本計画の事務事業及び施策を評価し、その進行を管理する「第三次伊東市総合計画進行管理システム」を導入し、効果的、効率的な事務事業の執行に努めてまいります。 競輪事業につきましては、車券売上額が減少する中で、競輪がこれまで果たしてきた役割を重く受け止め、一日も早い回復に向けて、抜本的な経営改善を目指し、経常経費の見直しと広域発売の更なる拡大や宣伝対策の強化充実を図ることとし、売上げの増進に努めてまいります。 以上、諸施策の概要について申し上げました。 本年は、第三次基本構想・第七次基本計画の2年度目となる年であり、計画事業を着実に実施していく年として、また、先に述べましたとおり、昨年オープンした伊東マリンタウンや東海館が相乗効果をもたらし、観光産業が元気を取り戻すとともにまちに明るさを呼び戻す重要な年として期待するものでございます。 本市を取り巻く財政環境は、厳しい状況が続いておりますが、この状況に萎縮することなく、市民福祉とまちの活性化策、将来のまちづくりにつながる事業の選択に意を配し、そのためにできるかぎりの財源配分を行ったものでございます。 地方分権の推進が、市民に身近な総合的な行政サービスを提供する行政の役割をますます重要とさせる中で、市民への行政情報の提供を充実させ、また、市民の声を的確に受け止めながら、協調と調和を信条とし、協働してまちづくりを進めていくことが大切であると考えます。 21世紀はまだ緒に就いたばかりでありますが、希望に満ちた21世紀の展望が開けるよう、また、市民が主体となって「快適な暮らしとしあわせを享受でき、誇りをもって住むことができる、魅力あふれる観光のまちをつくりあげる」ことをまちづくりの基本理念に持ち、この実現のため、引き続き最善の努力を傾注してまいる所存であります。 何とぞ、格段のご理解とご賛同を賜りますようお願い申し上げます。 平成14年2月25日 伊東市長 鈴木 藤一郎 |