15年12月議会 抜粋
正風クラブ 久保谷廠司

平成14年度決算概要説明に基づき、行財政運営の問題点やその対応に関し、以下、
市長に伺う。
1 市税を始め、使用料等の収入未済額と不納欠損に対する方策はどのように講じ
 たか伺う


市長答弁
長びいている不況のもと、本市の基幹産業である観光産業は低迷を続け、市税を取
り巻く環境は非常に厳しいものとなっております。

平成14年度決算における市税の収入未済額は、34億8,769万円と前年度を
約6,000万円ほど上回ることとなり、これに連動する収納率は、前年度を1.1
ポイント下回る77.4%となりました。


特に、市税の大半を占める固定資産税の滞納額が増加しておりますが、これは破産
や倒産によりまして、当初から徴収見込のない納税者であっても、登記簿上の所有
者である限り、毎年課税しなければならず、これらが、滞納額増加の大きな要因の
一つとなっております。


また、滞納者については、収納支援システムを活用して、徹底した滞納管理を行い、
納付困難者には納税相談を通じて分納による納付を指導するとともに、助役を本部
長とする市税特別滞納対策本部を設置し、全庁体制による滞納整理や、管理職をも
含めた特別滞納整理、さらには保健福祉部・総務部での滞納整理などあらゆる方策
を実施しております。さらに、本年度からは、嘱託徴収員制度を取り入れ、納付約
束分と現年度分を中心にきめ細かい臨戸徴収を図っているところでございます。


 不納欠損につきましては、3億1,744万円と前年度に比べ30%の大幅な増加
でありますが、この大半は、大口の滞納者が所有していた固定資産が競売され、若干
の配当はあるものの、他に換価できる財産がなくなったことにより、やむを得ず不納
欠損したものでございます。


 不納欠損の処理にあたっては、対象者の財産調査、生活実態調査、さらには所在
確認調査などを実施し、安易に不納欠損することのないように努力を重ねていると
ころであり、課税課・収納課・保険年金課で構成する「市税滞納処理審査会」にお
いて慎重な審議を重ねた上で処理しているところでございます。


次に、市営住宅使用料についてでございますが。

 本市市営住宅は、本年11月現在で、団地数14団地、管理戸数1,085戸団地
で、修理中あるいは老朽化等により空家となっております47戸を除いた1
,038戸
が入居中であります。


市営住宅に入居するためには、市民または市内にお勤めの方で、世帯全体の所得が一
定の水準以下である等の条件であることから、入居されております方の中には現在の
経済状況下、住宅使用料の納付が困難な方も見受けられるところでございます。


このような状況下、年々住宅使用料の滞納も増加してまいり、平成12年度末には、
住宅使用料と駐車場使用料等の合計額が、1億600万円余と全使用料の30%を超
える状態となり、抜本的な滞納対策を講じる必要に迫られたところでございます。


そこで、まず平成12年度に、滞納解消に誠意の見られない高額滞納者2人に対する、
市営住宅明け渡し請求」の提訴を行ったのに続いて、平成14年度に2人を提訴し、
本年度も、1人に対する提訴につきまして、本議会におきましてご議決をお願いして
いるところでございます。


さらに、こうした対応策と併行しまして、臨時徴収員によります臨戸徴収の徹底や、
滞納者に対する納入指導の強化にも努めてまいりました。


その結果、平成12年度に比べまして平成14年度では、現年度分で8ポイント、過年
度分を合わせた全使用料で3ポイント収納率の向上を見ることができました。


 いずれにいたしましても、滞納者の方々にも、当然のことながら住宅使用料は納入
すべきものという機運が醸成されつつありますことから、今後とも無理のない納入
指導を行っていく中で、過年度分の滞納の解消にも努めるなど、収納率の向上に努め
てまいる所存でございます。

公募型市債を活用すべきと考えるが、導入する考えがあるか伺う

市長答弁
地方自治体が発行する債権が地方債でありますが、現行の地方債制度におきましては、
市町村が地方債を発行するに当たって、市町村は、県知事の許可を受けることを要す
るといった制限がございます。


したがいまして、ミニ市場公募地方債であっても、単に資金が不足するからといって、
いわゆる赤字地方債を発行するということは不可能であり、制度に適合した事業につ
いてのみ起債することが可能となるものであります。


それらの手続きを経たうえで発行される地方債を借入先別に分類すると、財政投融資
や郵便貯金、簡易保険資金などの政府資金や公営企業金融公庫などから借り入れるも
のと、民間の金融市場で調達しているものとがあり、この民間資金から調達する地方
債の中に、市場公募債があります。


 この市場公募債は、これまでは機関投資家を中心に消化されておりましたが、これに
対し、個人消費を促進するために取り入れられたものが「住民参加型ミニ市場公募地
方債」であります。


 特徴といたしまして、「購入対象者が地域住民に限定されていること。」や「購入
限度額が設定されていること。」、「償還年限を柔軟に設定できること。」などであり
ます。


 また、市債発行の目的を明らかにすることにより市民が自分たちの資金によって
まちづくりを進めていくという意識が芽生え、市の財政状況や事業に一層の関心を
もっていただくことができることにもなります。


 ちなみに、平成14年度の全国の発行状況は、42件に達し、発行総額は1,635
億5千万円となっており、発行利率は、国債をやや上回る利率が設定されているケース
が多く、最近の実績として一部では売れ残りが出ることもありますが、申し込み状況
は、総じて好調であると聞いております。


 県内におきましては、平成15年12月に藤枝市が市立総合病院の医療機器の購入
資金に充てるため2億円の発行を予定しているほか、16年1月には、伊豆長岡町が
幼稚園や小中学校整備、総合体育館や総合会館など生涯学習施設整備等に使うために
3億円の発行を予定しているようでございます。


 さらに、国の財政投融資制度の改革が進み、財政投融資は縮減の方向にあることから
、民間から資金を効率的に調達していくという方向性が強まっていくものと思われます


そのため、自治体の財政状況や将来の方向性などをできるだけ正確に理解した上で
投資してもらうということが重要になってくることから、自治体が情報公開を促進し、
IR活動といわれる投資家向けの説明活動を活発にやっていく必要が出てまいります。


 いずれにいたしましても、これらのことを念頭に置きながら、今後の国の動向や県
や他市町村の動きを注視するなかで、本市における住民参加型ミニ市場公募地方債の
メリットやデメリットの検証などを通じ、発行の可能性について、さらに研究してま
いりたいと考えております。