平成17年 3月定例会 代表質問

正風クラブを代表して質問します。
 バブル崩壊後の「失われた10年」に続くデフレ経済は、本市にも深刻な影を落とし、混迷と停滞した状況になっています。

 昨今の社会経済環境に目を移しますと、我が国経済は、平成16年の四半期別の国民総生産の実質成長率に目をやりますと、三・四半期は連続でマイナスとなり停滞が続いている景気の現状が浮き彫りになったとの報道がありました。

このような状況ですので、所得・雇用環境は依然として厳しく、国民の安心と生活の安定が強く望まれている状況にあります。
 また、財政も今日現在の普通国債残高が約556兆1777億円で、地方を含む日本全体の長期債務残高の総額は
974兆9914億円で、1秒間で約200万円増加し続けて、その早期健全化が強く求められております。

このため、国においては、「官」から「民」へ、「国」から地方」への基本理念として、行政改革と地方分権改革を政策運営の柱とした、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」を、平成16年6月4日閣議決定したところであります。

その中で国は、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税財源配分の見直しによります「三位一体の改革」を掲げ、自主・自立の責任ある自治体運営と、地方行財政全般にわたる構造改革を積極的に推進することとしております。

 しかしながら、こうした改革の根幹をなす重要諸課題が、いまだ論議の渦中にある中で、地方にとっては、先行き不透明な状況下での厳しい行財政運営を迫られております

全国を見ると、そうした状況に直面しながらも、分権社会の構築を目指して、積極果敢に行財政改革に取り組む自治体も登場してきています。

たとえば、政策評価・行政評価に取り組む自治体、住民と行政の協働のあり方や住民参画の方法を模索する自治体、自治体経営という視点から組織改革や職員の意識改革に取り組む自治体、IT を駆使し自治体改革のきっかけに活用する自治体、などがあります。

今後、日本社会は人口減少時代を迎え、なお厳しい状況が続いていくものと予想されます。しかし、そうした状況を行財政改革のチャンスと前向きに捉える発想の転換が必要であるのではないでしょうか。

このような中、本市の新年度予算が編成されました。新年度の諸施策は、大きく6つの柱からなり、最初の「活力あるまちづくり」は、伊東マリンタウンのモニュメントや松川公園に足湯の整備をはじめ、「快適なまちづくり」には、台風22号の災害や、スマトラ沖地震の教訓から、災害時の情報取得体制を拡充させるため、防災ラジオの整備や津波警報等を自動的に同報無線で、広報する「衛星防災情報受信自動システム」整備を行うことなどが掲げられ、「学び豊なまちづくり」には、「あいさつ」のもつ教育的価値を重視し、「あいさつ」の輪を学校から伊東市全体に広げる運動を通し、「もてなしの心」をも醸成しようとしていることなど、市民の声を的確に行政に反映させていることは、評価しているところです。

編成されました新年度予算につきまして、通告に従いまして以下4点質問します。

最初の質問は、新年度予算は歳出での削減や重点配分をどのように行って編成したのか。また、中・長期的にどのような見通しをもって予算編成に取り組んだのかお伺いします。

鈴木市長は、新年度の一般会計の予算規模を、218億1千万円で編成され、今定例会に上程されたところであります。
歳入面で、財源の大宗をなす市税は、長期にわたる地価下落の影響による土地評価額の落ち込みから、土地にかかわる固定資産税は、対前年度0.7%減少の66億4698万6千円でさらに、平成11年度からの恒久的減税や、不況による影響で市民税は対前年度2.5%減少の29億5007万7千円に落ち込むなど市税合計は、対前年度マイナス1億2036万9千円減額の120億9843万2千円で、8年連続のマイナスであります。

厳しい市税の状況から、医療施設設置基金からは2億円の取り崩し、臨時財政対策債8億2020万円を盛り込んだ厳しい歳入としております。

この厳しい財政状況の中ですので、歳出では、更なる事務事業の見直し、職員の定数及び給与の適正化、民間委託の推進などに努め、財政の健全化に努めながら予算の効率化、重点化を図っているとは思いますが、ここ数年義務的経費が上昇状況にあるなか、投資的経費の減少が顕著であることにいささか懸念するところでもあります。

財政運営の原則の「入りを量りて出ずるを制す」といわれますが、入りがはかれない状況の中で、大胆な歳出改革が不可欠でご苦労も多かったと考えますが、本予算で歳出削減、重点配分にいかに知恵を絞られたのかお聞かせください。

加えて、予算案は原則、単年度編成となっていますが、17年度は新たな行財政改革大綱の初年度でもあり、第8次基本計画策定年度でもありますので、市長自身は、本市財政に関して、中・長期的にどのような見通しを持って予算編成に取り組んだのかもお伺いします。

次に国の三位一体改革が本市の新年度予算にどのように影響したものか歳入面での影響と歳出面でどのような事業にどの程度影響したのか。さらに今後の影響はどのように考えるのかお伺いします。

三位一体改革は、地方に税源を移譲するとともに、補助金を見直し、交付税を削減し、地方の判断と責任で行政を進められる環境をつくることが目的であります。小泉首相は、補助金は、16年度の1兆円に加え、来年度から2年間で3兆円程度の補助金を改革するとし、17年度は1兆7千億円余の補助金の廃止・削減を行おうとしております。

 このように、国からの補助金の削減額に比べ税源移譲額が少なすぎ、地方交付税は三位一体とは関係なく一方的に大幅削減するなど、地方の実情を無視しているといわれております。

そのような中で、本市の新年度予算の国庫支出金を見てみますと対前年度、1,283万円の増の24億7711万3千円となっています。地方交付税は、2億5千万円増の11億円となっています。新年度予算は、今回の三位一体改革が本市の新年度予算編成にどのように影響したものなのか、歳入面ではどうなのか、また、歳出ではどのような事業にどの程度影響したのかお伺いします。

 また、次年度以降の影響をどのように考えているか伺います。

 さらに、三位一体の改革で補助金が大きく見直されている中、国・県支出金を得られる努力はどのようにされたのか。また、国庫補助が得られるようよう創意工夫をした事業はあるのかお伺いします。
 
 地方自治の理念からいえば、市が必要とする財源は自分で調達するということが本来の趣旨ではありますが、厳しい財政環境の中にあっては、創意工夫をこらして国県の補助を得られる事業や施策を起こし、国県からの財源を引き出すことの努力も必要であると考えます。
そうした努力が図られたかどうか、さらにその成果としてこの予算に計上されたものがありましたなら教えていただきたいと存じます。

次に財源確保では、増嵩収入未済額や不能欠損処分額の抑止策について伺います。
財源の大宗をなす市税の予算計上額は、平成9年度の
161億3,900万円余を最高として、以後、年ごとに減少を続け、17年度年度予算では、120億9800万円余と大きく落ち込んできているところであります。これに対して、市税の収入未済額は、9年度決算において27億8,200万円、以後、毎年増嵩を続け、15年度決算では34億3378万円となっているのであります。この他に、15年度決算で示された収入未済額には、国民健康保険税の13億873万円、市営住宅使用料の 8262万円、下水道使用料の、3590万円、保育所保育料の1576万円その他を合計すると、全体の収入未済額は、実に 51億6千万円余の巨額となっております。
これに加えて、15年度決算で示された不納欠損処分額は、市税の3億2908万円を筆頭に国民健康保険税の1億
196万円これにその他関係を合計すると全体では、4億5万円余となっているのであります。財源の窮迫した現状においては、このような51億円を上回る巨額な収入未済額、いわゆる滞納に対して、完全徴収を目指すとともに、不納欠損処分の発生防止に最大の努力を傾注しなければならないもと考えます。

このことは、完納された多くの市民や関係の方々との公平を期するためにも当然のことであります。そこで、完全徴収を目指していこうとして立ち上げた、「伊東市税等徴収対策本部会議」は、どのような組織で、徴収はどのように取り組んでいくのか伺うものです。

また、この組織の成果と、その費用対効果はどうかを伺うものです。
厳しい財政状況の中、積極的な民間活力の導入について伺います

このような財政状況下、財政の健全化を保つためには、自立・主体性のある自治体経営を心がけていくことが肝要であります。
そのためにはできるだけ無駄を省き、小さな自治体経営を目指し、「民でできるものは民で」を実践し、民間活力を広く利用していく手法を用いていくことこそ重要であると考えますので以下2点についてお伺いします。

まず1点目は、NPO法人や地域活動・ボランティア活動の窓口の一本化と支援策についてであります。

 社会の構造が大きく変わり、少子高齢化、情報化、国際化の進展などによって、市民の意識が物質的な豊かさから心の豊かさを追求する傾向が強まっています。
新しい社会システムとして、NPO法人などが重要な役割を果たしていくと考えます。行政ができること、民間ができること、またNPO等であればどの部分を担うことができるかなど、問題を解決するチャンネルが増えてきたと言えます。 

市民活動団体は、行政の手の届かない部分、あるいは行政よりきめ細かな事業を実施してきました。市民活動団体ならではの地域に密着した活動も多くなっています。
もちろん、行政にはできない団体独自の新たな事業展開も期待されます。したがって、これからのまちづくりのポイントは、市民活動団体をいかに活性化し、行政との協働の関係を強化していくことにあると考えられます。

しかし、団体の財政基盤は非常に脆弱な場合が多いのです。これらの団体が設立目的に沿って十分な活動を展開するためには何らかの支援策を必要としています。

市川市では市民活動団体の活動を支援し、促進していくことを目的とした「市川市納税者が選択する市民活動団体への支援に関する条例」が、平成16年12月定例市議会で可決されました。

この制度は、「市民の手による地域づくり」の主体であるボランティア団体やNPO法人など、市民の自主的な活動に対して、個人市民税納税者が支援したい1団体を選び、個人市民税額の1%相当額を支援できるものです。

公益的な非営利団体にとって、活動の拠点や資金面での支援を望む声は多くあると考えます。
ただ、自発性、自立性から考えると、それが過度になってはよくないと考えますが、必要とされていることも事実です。

本市には、現在12のNPO法人や多くの公益的な活動を
している団体があります。これらの市民活動団体は、情報の共有化、より活動しやすいネットワーク作りや新たなシステムづくりも必要と考えます。したがいまして、これらの団体の一本化と支援策について伺うものです。
また、市としての担当部署を明確にすべきだと思いますので、お考えをお伺います。

ボランティア活動への関心が大きな広がりを見せる中、本市においても、昨年の台風22号の復興支援にあたるボランティアの活躍が広まり、自発的に社会貢献への活動を行うなど市民意識も高まりを見せています。

このような背景がありますので、市として、地域社会への貢献活動を、その自主性、主体性を損なうことのないように、公平・中立性を保つためにも直接的な支援ではなく、あくまで側面的な支援を中心とした担当部署を設け、市民活動への支援に取り組むべきだと考えるものです。
市としての担当部署の設置の考えを伺うものです。

次に、京都議定書が本年2月に発効されたが、本市として市民に向けた地球温暖化防止対策の施策についてお伺いします。
1997年に京都で開かれた気候 変動 枠組 条約第3回締約国 会議において、議定書が採択されて以来、わが国は、一日も早く発効するよう各国に働きかけ、本年2月16日発効れました。

この議定書は、二酸化炭素やメタンなど温室効果ガスを1990年比で一定数値を削減することを義務づけ、主要国の削減率は、日本6%、米国7%、EU8%、カナダ6%、ロシア0%などとなっていて、全体では5.2%の削減を目指すこととしています。

地球温暖化は、日本における今後100年間の年平均地上気温の昇温量は、南日本で+4℃、北日本で+5℃と予測されています。
これによると、海水面上昇により東北・北陸部の低海岸地域では農業土壌の地下水位が上昇し、塩害が心配されています。また、梅雨が長引き集中豪雨の危険性が増すほか、台風の発生数は減少するものの、より大型になり被害の規模も大きくなるといわれております。
このようなことから、地球温暖化防止対策として、国内ではさまざまな取り組みをしております。
岩手県葛巻(くずまき)町は補助金を受け、「ミルクとワインとクリーンエネルギーの町」というキャッチフレーズのもとに15基の風車で2万1,000kWの発電を行っています。これは約1万7,000世帯分の電力を供給していることになります。

また葛巻(くずまき)中学校に、環境教育機能も含め50kWの太陽光発電施設を設置しています。これは国の半額補助を受けたもので、学校で使用される電力の25%を発電しています。こうした大規模発電所のほかに、町民が薪ストーブを購入する場合の補助制度や、太陽発電・熱利用システムを導入した場合の補助制度などもあります。このような取り組みがさまざまな方面から評価を受けています。

た、北海道せたな町では洋上風力発電施設建設事業が補助事業として採択され、せたな港内に出力600kWの洋上風車を2基設置し、 平成16年4月から北海道電力へ売電を行っています。 総事業費は6億7千800万円で、そのうちの45%は、新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDOからの補助金で、残りは町の起債で行いました。  

また、普及啓発事業としてパンフレット、PRビデオの作成、解説案内板の設置、シンポジウムの開催など事業費は、1千500万円で、すべてNEDOの補助金で実施しています。
その他、太陽光発電の補助事業を見てみますと、太陽光発電の大規模・集中導入を行おうとする地方公共団体に対し、導入事業費及び普及啓発費を補助し、取り組みを支援しており、全国で多くの市町村が取り組んでいます。

低公害車では、知多市などは購入費補助金交付要綱を設け、低公害車を購入する者に対し、補助金を交付するものとしています。
本市の取り組みは、平成12年に環境基本条例を制定し、15年には環境基本計画を策定、また平成13年には市役所として、「伊東市役所地球温暖化対策実行計画」を策定し温室効果ガスの削減に努めてはいます。

しかし、市民に向けた補助制度を含めた具体施策がないように思います。本市として市民に向けた地球温暖化防止対策の施策について伺うものです。