医療施設構想市民懇話会の提言

伊東市医療施設構想市民懇話会は平成15年1月23日、伊東市長に次の内容で提言をしました

はじめに
 本懇話会は、介護保険制度の創設並びに市立伊東市民病院の開設及び運営を踏まえ、本市における今
後の地域医療の一層の充実に向け、広く市民の意見、要望等の聴取と提言を目的に、平成14年9月11
日、医療関係団体から推薦された者、各種団体から推薦された者、学識経験者及び公募による者からなる
20人の委員をもって設置された。

 以来、本懇話会は、「新医療施設の設置は、国立伊東温泉病院を引き継いで相当期間経過後となり、医
療法の改正、平成12年度の介護保険の実施等、医療施設のあり方や環境も相当変化することが予想され
る」とした、伊東市地域医療施設設置審議会の最終答申の検証と介護保険制度並びに市立伊東市民病院
の運営の実績を踏まえ、地域医療の充実に係る基本方針及び構想について討議し検討を重ねてきた。

市立伊東市民病院の開設について
市立伊東市民病院は開院にあたり、市内に不足していた小児科、脳神経外科、眼科、耳鼻いんこう科、麻
酔科の5診療科目を新たに加え、市内の第二次救急医療を市民病院が単独で担うこととし、また、MRIや
アンギオ、マルチへリカルCT、マンモグラフィなど高度医療機器を整備し、市内の医療機関からの検査要請
にも対応する体制を整えたことにより、地域医療施設設置審議会の最終答申で、期待されていた急性期病
院としての医療機能と医療体制は、ほぼ実現されつつある。

 市立伊東市民病院の運営については、病院の理念や基本方針、患者さまの権利も制定され、市内の医
療機関との病・診(病)連携、外来患者の薬剤の全面的な院外処方の実施、医療相談室の開設、病院ボラ
ンティア活動など、病院運営を支える多様な活動が進みつつある。

 患者の状況については、入院患者数は、1日当たりの平均は190人を超え、200人を超える月もあること
、1日当たりの外来患者数は平均485人を超え、季節によっては500人を超える月も出ており、患者の態
様では、入院については60歳以上が65%を超え、50歳以上では、77%を超える状況にあること、地域別
では、伊東市内の患者が85%を占め、地域の基幹的な医療機関として市民の中に定着しつつある。

 救急医療体制については、市内の医療機関や市立夜間救急医療センター、そして消防本部指令センタ
ー、救急隊と連携し、また第三次救急医療機関の支援を受けて円滑に運営されており、特に市外の医療機
関への救急搬送が格段に減少した。

介護保険の運営について
介護保険制度は、平成12年の制度創設以来、円滑に実施運営されており、平成14年4月の本市の高齢
化率は23.7%を超え、75歳以上の後期高齢者も増加し、後期高齢者の高齢者人口に占める割合は40
.8%となり、介護サービスを必要とする市民が年々増えていくことが予想される。また、特別養護老人ホー
ムの待機者が増加しつつあるという状況や、市内に、介護及び機能訓練、その他必要な医療等のサービス
を受けることのできる施設が不足していることから、市民病院を始め市内の医療機関での治療が終わった
患者が退院後、転院先を市外の医療機関等へと求めざるをえない状況にある。

 伊東市の第二次高齢者保健福祉計画によると、「市内の介護老人保健施設は1か所であるため、そのベ
ット数は不足して」おり、介護保険対象サービスの整備目標として、平成16年度までに128床の計画があ
ることから、整備計画を具体化し、サービス見込量を確保することが緊急の課題である。

医療制度等の状況について
病院数、病床数は熱海市に偏在し、依然として地域格差があるが、熱海伊東圏域保健医療計画では、平
成12年3月の見直しにもかかわらず、圏域内の一般病床数は、必要病床数に対し144床の過剰となって
おり、伊東市内において、病院の新たな病床の増加、例えば、現在の市民病院の許可病床250床の規模
を拡大することは、医療法の上では、事実上不可能と考えられる。

 県内の特例許可(老人)病院、療養型病床群許可病院、介護老人保健施設の配置状況を見ると、医療制
度の改正に伴い、従来の病院における療養型病床の転換・増加と医療施設に併設しての介護老人保健施
設が建設されつつある。

面する地域医療施設の整備について
熱海伊東保健医療圏域は、依然、病床過剰の状態にあり、将来の新病院の建設に際しても、最終答申に
ある計画病床数300床(目標病床数350床)を実現することが困難であるとも予想されるが、介護老人保
健施設のベット数は、医療法上の病床規制とは別のものであり、介護老人保健施設を100床とした場合
、現在の市民病院の250床と合わせて、350床を確保できる。

 審議会の最終答申での緊急課題として、長期慢性疾患の長期収容病床の整備があげられており、「伊東
市新医療施設基本計画」の7つの基本方針のうち、地域の保健・医療・福祉の中核的役割の果たすことの
できる医療施設、具体的には介護老人保健施設が必要であり、急性期としての治療がなされた後、在宅へ
戻っていく過程として、また市内のかかりつけ医との有機的な連携のためにも、必須の施設である。

 介護老人保健施設は、病院における医療と接続したものとして計画され、建設場所については、地域に開
かれた、市民が利用しやすい市街地にも近い場所、すでに社会的な都市基盤等も整備された、交通の利便
の良い場所が望ましい。

おわりに
私たちは、平成10年8月の伊東市地域医療施設設置審議会最終答申以後の、介護保険制度の創設並び
に市立伊東市民病院の開設及び運営の状況と本市をとりまく医療制度等の変化について、これまで6回に
わたり討議と検討をするとともに、最近、病院に併設し建設された介護老人保健施設を実地に見学し、本市
においても早期に整備すべき必要性を認識してきた。

 その結果、伊東市が医療施設計画用地として取得した伊東スタジアム跡地は、現在の市民病院から至
近の距離にあり、市街からも近く、市民にとって利用しやすい場所で、これから医療施設等を整備していく最
適の土地である、さらに、国立伊東温泉病院を引き継いで後の、市内の医療状況と医療需要を考慮し、将
来の本市の医療と介護、そして保健との連携を積極的に進めていくうえでも、この地への新病院の建設に
先立って、速やかに介護老人保健施設を建設することが望ましい
、との意見の一致をみた。

 現在の市立伊東市民病院は、国有財産引き継ぎにともなう用途指定の制限があり、平成23年2月まで、
なお8年間余りは現在地で運営しなければならないという制約のもとで直ちに新病院建設のための構想と
計画を具体化するには、若干の暇がある。

 しかし、市民病院開設後の本市の医療状況と医療需要は、地域医療の整備・充実にいささかの猶予を与
えるものではなく、少子・高齢社会の進展に適切に対処し、市民の保健・医療・福祉の一層の向上を図って
いかなければならないと考えられることから、ここに、「介護老人保健施設の設置について」を提言することと
した。

 私たち懇話会委員は、この提言が速やかに採択され、着実に実現されることを期待するとともに、地域医
療の一層の充実のための基幹となるべき新病院の構想の進展に今後も力を尽くしていくものである。
                                     以 上
ちあきの意見
伊東市が医療施設計画用地として取得した伊東スタジアム跡地に新病院の建設に先立って、速やかに介
護老人保健施設を建設することが望ましい
との提言であります。

市長がこれを受けて、速やかに介護老人保健施設を建設するとしたならば、ここの面積は、31,161平方メー
トルと限られており、ここに新病院としての全体の構想を示すことが必要でしょう。
病院となると駐車場スペース、診療病棟、救急外来、手術部門、看護部門入院病棟さらには健康診断棟に
老人保険施設ということになります。

広い面積が必要と思いますが・・・。
面積は少なくても、今の技術ならできるとは思いますが、どういう規模の病院で、どういう配置をしていくの
かを示す必要があると考えます。

新病院構想を示されないで議会に介護老人保健施設を建設することを求められても審議はできないでしょ
う。