伊東市自治基本条例 条文

9月17日開会する9月定例会に議員発議される予定の自治基本条例の条文です。
伊東市自治基本条例  (原案)

わが国は、国際環境の変化はもとより、急速な少子高齢化や情報化の進展など、さまざまな社会情勢の変化に直面している。
地方自治においては、従来の中央集権的なものから地方分権型自治へと、その仕組みを大きく変えており、伊東市として、自主性と自立性を一層高めていくことが求められている。

そのためには、伊東市における市政運営のあり方を自主性、自立性の視点に立って新たに位置づけ、これを伊東市のすべての住民が共有していくことが大切である。

このことを踏まえ、私たち伊東市の住民が豊かで活力に満ちた地域社会を形成できるよう、伊東市におけるあるべき市政運営の基本を明らかにし、この自治基本条例を制定するものである。

第1章 目的等
(目的)
第1条 この条例は伊東市(以下「本市」という。)の行政の運営(以下「市政運営」と いう。)に当たって、法律で定めるほか、本市の自治に関し守るべき基本的な事項を定 め、本市の自主的かつ自立的な自治の進展を図ることを目的とする。

(条例の位置)
第2条 本市が制定する条例、規則および要綱等はこの条例に基づかなければならない。

2 本市が策定する構想および計画等はこの条例に基づかなければならない。

3 本市が実施する事業はこの条例に基づかなければならない。

(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 住民 地方自治法第10条第1項に規定する本市の住民をいう。

(2) 住民等 住民 、本市で生活する者、本市に職場を有する者および本市に関わる権利義務を有する者など本市の市政運営と密接な関わりを持つ者をいう。

(3) 住民参画 本市の市政運営に関し、意思形成の過程から住民等が行政情報を入 手し、意思を表明し、執行機関と協働することをいう。

(4) 協働 互いに果たすべき責任と役割を自覚し、相手を尊重し、足りないところ を補い合い、協力することをいう。

第2章 住民参画
(住民参画の権利)
第4条 住民等は、法律で定めるほか、この条例の定めるところにより、市政運営に関す る行政情報の入手、意思の表明および執行機関と協働する住民参画の権利を有する。

(住民等の義務)
第5条 住民等は、前条の権利を行使するに当たってその言動に責任を持たなければな  らない。

(市政運営の理念)
第6条 本市の長(以下「市長」という。)は、市政運営に当たって、住民等の参画を最 大限尊重しなければならない。

2 市長は、住民等が市政運営に参画できる機会を創出するように努めなければならない。

(住民参画の方法等)
第7条 住民等は、この条例の定めるところにより、市政運営に関する企画、計画、実施 および評価の各段階に参画することができる。

2  住民等が市政運営に参画する方法は条例でこれを定める。

第3章 行政情報の提供

(説明する責任と情報の提供)
第8条 市長は、市政運営に関し、意思形成過程、実施状況、評価に関する情報を住民等 に分かりやすく説明する責任を有するとともに、住民等からの情報開示請求には、誠実 に応えなければならない。

2 本市の議会(以下「市議会」という。)は、市議会の意思形成過程に関する情報を、 住民等に分かりやすく説明する責任を有するとともに、住民等からの情報開示請求には、 誠実に応えなければならない。

(会議の公開)
第9条  市政運営に関する会議は、公開することを原則とする。ただし、市政運営に支障 を与える場合および市政運営に直接関係しない個人の尊厳を侵害するおそれのある場合 は公開しないことができる。

(議事録および資料の公開)
第10条 市政運営に関する会議の議事録および資料は、公開することを原則とする。た だし、市政運営に支障を与える場合および市政運営に直接関係しない個人の尊厳を侵害 する恐れのある場合は公開しないことができる。

第4章 住民投票

(住民投票)
第11条 住民は、市政運営に関する特に重要な事項について、住民投票によりその意思を表明することができる。

第5章 国および県等との関係

(国および県との関係)
第12条 市長は、本市が国および静岡県(以下「県」という。)と対等かつ協力の関係 にあることを踏まえ、国および県に対し積極的な提言をはじめ、本市の自主性および自 立性の確立に向けた働きかけを行うよう努めなければならない。

(国および県の事業の説明等)
第13条 市長は、国または県が本市の区域内で行う事業について、原則として当該事業者に対しその内容、方法、時期等について説明または協議を求めなければならない。

(国および県の事業に対する意思決定)
第14条 本市は、国および県が本市の区域内で行う事業で、本市にとって特に重要  であるものについては、充分住民等の意思を反映させ、本市の意思を表明しなければな らない。

(他市町村との関係)
第15条 市長は、共通する課題の解決を図るため、関係する地方公共団体との連携と協 調に努めなければならない。

第6章 改正

(改正)
第16条 この条例を改正しようとする場合は、住民の意見を適切に反映させる方法を講 じなければならない。

(見直し)
第17条 この条例は施行後または改正があった時から4年ごとに見直し、改正が必要な 場合には遅滞なく改正しなければならない。

【附 則】

第1条 この条例は平成14年4月1日から施行する。

第2条 市長は、 本条例第7条第2項に規定する条例を制定するため、この条例施行後すみや かに当該条例制定の準備をしなければならない。

第3条 市長は、現にある条例等が本条例第2条に抵触するときは、この条例施行後すみやか に当該条例等を改正等する準備をしなければならない。

2 前項に規定する改正等が行われるまでの間、本条例第2条に関わらず現にある条例等は有効とする。