高級住宅地として有名な兵庫県の芦屋にプレハブの温泉があります。
その名もずばり芦屋温泉。
ここには旅館も温泉街も無くあるのはこの公衆浴場一軒きり。
ここは芦屋市のデイサービスセンターの敷地にあります。
市が掘削した温泉を今はやりの立派系施設でなくひなびた地元密着浴場として開放して居たようです。
いかなる理由でこのような形態になったのかは私は知りません。
あるいは立派系施設を造るまでのワンポイントリリーフのつもりで今日まで存続してきたのかもしれません。
それが聞く処に依ると芦屋温泉は近々閉鎖になるとか。
私も数年来神戸周辺の温泉に親しんで来て、芦屋にもはいりたいとはかねがね考えて居たのです。
廃止ときいたらかけつけないわけにはいきません。
芦屋駅からあるいて十分。
開場の二時と同時にのれんをくぐりました。
とびらをあけると案外中はひろびろしています。
券売機で金を支払い受付のおばちやんに挨拶していざ浴場へ。
脱衣場も浴場も質素シンプルそのものです。
地元のご老体たちがまちかねていたかのように私が入ると同時に次々と入って来ます。
いちにさん…
数えてみたらあの浴室に十四人もいます。
地域に愛されて居たのだとわかります。
お湯はかなり熱めです。
淡黄色の湯が激しく注入されだばだばと湯船のふちをのりこえてゆきます。
きりっとした湯ですツルツル感もあります。
よいお湯です。
こんなによい心暖まる小さな公衆浴場が本当に廃止されてしまうのでしょうか。
残念です。
浴後、外に出て敷地内にある源泉タンクと、どばどは捨てられているお湯を見ました。
この豊かな湯が人々に喜ばれ親しまれていたことは過去のものになってしまうのでしょうか。
国破れて山河あり、浴場ほろびて思ひ出あり。
私は独り感傷にひたりながら六甲の山並みを見上げてあるいたのでした。