木津温泉は丹後半島の西側の付け根、網野町にあります。
駅からも歩いて数分。かつては海水浴などで栄えた町なのでしょうか、しらさぎ荘の浴舎には風格を感じます。
しかし、今はむしろ斜陽のおもむきを感じ、私のようなものにはかえってそれが魅力にも感じるのです。
近くの夕日ケ浦温泉という、なんだか興ざめな名の温泉には新興のデラックスホテルも数軒建って観光客の多くはそちらに行ってしまうようです。
しらさぎ荘の広い敷地には数軒の建物があります。入り口付近は管理人の住居でしょう。それから古びた木造の素泊まり用建物、そしてこの「栄光の浴舎」。
浴舎にはいるとレトロな昭和30年の香りがします。昔の小学校の講堂のような匂い、郷愁が盛り上がります。
ニスを塗った浴室入り口の扉、高い天井、すりガラス、すべて懐かしく感じます。
そうして浴室に一歩足を踏み入れると、楕円形タイル張りの浴槽には蕩々と36℃の澄み切った源泉が注がれ続けています。
たったひとり、しばし寝転がって栄光の浴舎と遙かな旅情にひたりました。
ひるさがり、お湯の流れる音だけがする浴室で、寝転がって湯に身を任せ、じっと瞑想することを至福といわず、なんと表現するのでしょう。