薄暮の堺はしっとりとして優しく、庶民的でかつ哲学的な街でした。
阪堺電鉄のチンチン電車を神明町で降りて歩くこと数分。
おお!
行く手に振られているオレンジ色のタオルを見たときにわたくしは激しい感動におそわれました。
遠方の温友とここで邂逅。
孤高を旨とする湯めぐりも、たまに会う温友と過ごすひとときは格別です。
この日私は大阪の湯をいくつも巡り、大阪の公共交通機関をいくつも乗り継ぎました。
楽しくて仕方ありません。
そうして最後に訪ねた堺sのトキワ温泉。
好事家の間では評判の場所です。
うわさ通り熱いお湯がざんざん掛け流しにされています。
夕刻とあって河内のおっちゃん達でおおにぎわいです。
評判どおりの佳い温泉銭湯だと思います。
温泉というやつは、何はなくとも、湯量豊富で、暖かくて、入った後にじんわりと心にしみいる湯が佳いのです。
この堺のトキワにはそれが感じられます
熱い湯に浴槽をい出て、ぼんやりと縁に腰掛けて過ごすいっときに旅情を感じます。
満足感とともに湯を出て茜色に染まる堺の空を見上げました。
しかしながら
さあ、湯豆腐で飲むかドテで飲むか…
俗物の私の心はとっくに天王寺の居酒屋へと飛んでいたのです