昭和57年11月26日
木造薬師如来坐像
位置 吉奈128 (善名寺)
像高  148.1cm
本体  榧材 一木造
台座  八角裳懸坐

〇形状
 肉髻。螺髪は大型の円錐台状。肉髻珠。白毫。耳朶環状。三道。右腕は体側で屈臂し腕前にて掌を正面に向け、五指を上方に緩やかに伸ばし施無畏印とする。左腕は体側にて屈臂し膝上で掌を上に第二、三指を捻じ持物を執る。衲衣を偏袒右肩にまとい右肩に衣を掛ける。正面やや下方を見、右足を上に結跏趺坐する。

〇本体
 榧材、一木造。素地仕上げ。肉髻珠は木造彩色。白毫は水晶製。彫目。

〇台座
 八角裳懸坐。框は八角形、回り脚付き。框、回り脚とも隅金具付き。
 善名寺は、神亀元年(724)、行基創建という伝承をもつ古刹で、はじめ真言宗だったが、元和二年(1616)に養珠院(お万の方)によって日蓮宗になったという。
 この像は、右手施無畏印という印を示し、左手には薬の壺をのせる、通例の薬師如来の姿を表わしている。この大像を一木で造るなどの造法に平安時代も早い時期の特徴をとどめているが、おだやかな姿からは平安時代中期から後期頃の作と思われる。
       
平成14年修復