伊豆半島のほぼ中央にある天城山隧道は、明治33年に起工、同37年に落成した。三島と下田を結び伊豆半島を縦断する下田街道の改良工事の一環として造られた。全長約445.5b、幅員約4.1b、隧道の両端には石造坑門が設けられている。隧道内壁と坑門はすべて「右巻」と呼ばれる切り石を積み上げる工法で造られており、石材加工に発揮された精巧な技術が認められた。
明治期においても総石造りの隧道は珍しく、全長が500bに迫る規模も最大級。明治時代後期(3、40年代)を代表する石造りの道路隧道として評価が高い。
国の重要文化財ではこれまで、群馬県の碓氷峠で隧道を含む鉄道施設が指定を受けているが、道路隧道単体の指定はなかった。天城山隧道は、川端康成のほか井上靖の「しろばんば」や松本清張の「天城越え」などにも描かれ全国的な知名度が高い。
新緑の春、紅葉の秋を中心に、年間を通して多くの観光客やハイカーの人気を集めています。
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天城山隧道の概要 |
位置 |
国道414号東側の旧国道 天城湯ヶ島町湯ヶ島〜河津梨本の町境を結ぶ (踊り子歩道) |
標高 |
708m |
延長 |
445.5m |
幅員 |
4.1m |
有効高 |
3.15m |
着工 |
1900年(明治33年) |
貫通 |
1901年(明治34年) |
開通 |
1904年(明治37年) |
構造 |
切り石巻工法 |
総工費 |
103,016円 |
使用石 |
吉田石 (大仁町) |
犠牲者 |
12人 |
指定 |
日本の道100選
(1986年 8月)
登録有形文化財
(1998年) |
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