がわ  生魚系


海の男があみ出した元気の素
 釣りたての魚を刻む。味噌を加え、水を注いでかき混ぜる。ガワガワと小気味いい音を立てて冷たい味噌汁が出来上がる。チゲと呼ばれる小型の木桶に入れて、持参した白いご飯にぶっかけ、食べる間も惜しんでかき込む。御前崎名物「がわ」の名は、この、かき混ぜる音から付けられたと伝えられている。
 初夏から初秋にかけ、御前崎の男たちはカツオ漁に命をかける。なぶら(群れ)にぶつかると、食事を取る暇もないほど忙しくなる。そんな時、ご飯にぶっかけて食べることができる「がわ」は、格好の船上食となる。カツオ漁の最盛期、陸では新タマネギが穫れる。やがてミョウガが出る。シシトウが実る。キュウリも穫れる。
 もいだ野菜を船に積み込み、魚と一緒に刻み込む。タンパク質はもちろん、カルシウムやミネラル、ビタミン類も豊富に含まれた「がわ」は、炎天下での重労働にも耐えられるだけのエネルギーを、それだけでとることができる万能食である。「陸の人たちはカツオじゃない」と、言うが、まだ脂がのっていないので味は淡白。血合いも多いので色も赤っぽくなる。うまいのはアジだね。夏が旬のイサキもいい。脂が乗っている魚なら、何でもうまいね」と、ベテラン漁師さん。



【材料】
アジ
ショウガ
ニンニク
タマネギ
キュウリ
ミョウガ
シソ
シシトウ(タカノツメ)
味噌
梅干


【作り方】
@アジの頭を切り取り、内臓を取り除く。次に背ビレと腹ビレに沿って両側から切り込みを入れ、それぞれのヒレを包丁でまな板に押し付けるようにして、魚体を引っ張りながら取り外す。砂ずり(腹の部分)は切り取っておいて身と一緒にたたく。
A切り口のところから手で皮をはがす。
B骨ごと幅5mm程度の厚みにぶつ切りにする(尾は使わない)。
C軽くたたいたところに、刻んだショウガとニンニクを加え、包丁で骨の感触を感じなくなるまで、さらにミンチ状にたたく。
Dタマネギ、キュウリ、ミョウガを同じ大きさに千切りにし、シソの葉、シシトウ(もしくは赤くなる前のタカノツメ)を刻んでおき、最初は少なめの味噌と、たたいたアジの身をボウルに入れ、冷水を加えてよくかき混ぜる。
E刻んでおいた野菜を入れ、味見をして好みの味になるよう味噌を追加しながら混ぜる。最後に食あたり防止として種を除いた梅干を加える。



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