キュウリ冷や汁  野菜系


山国に暮らしの知恵が生んだ暑気払い食
 関東周辺の埼玉、群馬、栃木地方に伝わる冷や汁は、うどん、ソバのつけ汁として食べられるのが一般的。
 現在でも埼玉県、群馬県は小麦の産地として知られるように、うどんも有名。そんなわけで古くからこの一帯では麦飯の代わりに、うどんがよく食べられていた。むろん、ソバも多い。これが冷や汁といえば、うどん、ソバのつけ汁となった理由。
 秩父地方の冷や汁の特徴は、キュウリのほかにナスが入ること。同じナスを使った汁に、滋賀県の「どん亀汁」というのがあるが、こちらは熱いのを汗をかきながら食べる。
 秩父地方の場合には、熱を加えないため薄く切るが、もともとナスは、水ナス、梨ナスなどといった品種があるように、生でもおいしいが、独特の風味があるので冷や汁の味に幅が出る。
 ゴマはやはり欠かせない。これも風味の素。一説によると、冷や汁にキュウリが多く使われるのは、体を冷やす食べ物だからだといわれている。もう一方で、夏に採れるからという説もあるが、先人の知恵を考えると前者の方に分があるように思える。
 家庭で作る場合には、このほかに香りのいいウドのスライスや、ウドの葉を刻んだものを入れる人もいる。あるいは、サンショウの葉、ミョウガなどもやはり使う。隠し味に砂糖や少量の醤油をたらしてもいい。このように、家庭料理には決まりはなく、その家のその人ごとに独特の作り方がある。




【材料】
ナス
キュウリ
シソ
味噌
カツオ出汁



【作り方】
@ナスは半分に切ってスライスし、水に浸しておいてアク抜きをする。キュウリは薄く輪切り、シソはみじん切りにする。
A出汁はあらかじめカツオでとっておき、冷蔵庫にしまって冷やしておく。
B味噌を出汁で溶き、ゴマを加える。すり鉢であたらなくてもよい。(あったってもよい。)
C最後に具の野菜を加え、器に入れて、出す。薬味のシソの葉は、汁には入れずにうどんやソバの上に飾る。



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