佐妻  焼き魚系


妻を助ける男の手料理
 いつのことからか、愛媛県南予地方では冷や汁のことを佐妻と呼ぶようになった。
 佐は補佐の佐。妻は文字通り妻のこと。もともとは猟師の料理だったのだが、それを酒盛りのとき、妻ばかりに働かせたんでは悪いというので、亭主がこしらえたのが名前の由来のようだ。
 地元ではハランボと呼ばれる小魚を使う。ネンブツダイ、コスジイシモチなどの仲間の深海魚でホタルジャコが正式名。宇和島名物の「じゃこ天」の材料。
 こんがりと焼き、骨から出汁をとる。麦味噌を焼いて香りを出すのも特徴。更に細切りにしたコンニャクが入る。薬味には陳皮(ちんぴ:ミカンの皮)が欠かせない。南予地方では酒席の最後には必ず佐妻がでる。



【材料】
麦味噌
煎りゴマ
ミカンの皮
ネギ
キュウリ
コンニャク
タイ


【作り方】
@使う味噌は麦味噌。粒がなくなるまですり鉢でよくする。
Aすった味噌をすり鉢ごと火にかぶせ、表面が焦げる寸前まで焼き、再びすってまた焼く。これを3〜4度繰り返す。
B味噌の香りがよくなってきたら、煎りゴマを加えて再びする。
Cミカンの皮は漢方では陳皮と呼ばれ、生薬として珍重されるが、佐妻では魚のにおい消しに欠かせない。
D薬味は小ネギと陳皮。キュウリとコンニャクが具。好みに応じて入れるように小皿に盛って出す。
E薬味と具が出た頃、焼き上がった魚の身をほぐしてすり鉢に入れ、骨は出汁用に使う。
Fほぐして入れた魚の身を、味噌と合わせながらする。
G骨でとった出汁を少しずつ、すり鉢の周囲にまわし掛けながら溶かしていく。





 宮崎市周辺の冷や汁は、豆腐を入れるのが特徴。さいの目より少し大きめのものを入れる。
 使う魚は焼きトビウオ。5〜6月が旬。味噌は普通の麹味噌。焼いた魚の身と一緒に刷り込み、鍋に移して炒りながら余分な水分をとばして香りを強める。
 この味噌にゴマを加えて、再びすり、カツオの出汁で溶かして出来上がり。好みで入れられるように、ゴマとキュウリ、薬味の刻んだシソの葉は小皿に盛って出す。




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