養殖か天然か?  魚の目利き




【マダイ】(スズキ目タイ科)
桜色に輝くその色といい、味といい、めでたい魚として祝い事には欠かせないタイ。江戸俳文集の最高峰『鶉衣』(うずらごろも)の百魚譜は「人は武士、柱は檜、魚は鯛・・・」と誰もが認める最上の魚と賛辞を送っている。この鯛の中で、姿、味ともに最高とされているのがマダイである。4月〜5月ごろの桜の季節、産卵期を迎えた明石ダイは特に有名で、別名桜ダイとも呼ばれる。
産卵が終わると、初秋には俗いいう”ムギワラダイ”と呼ばれ、身もパサパサとなり、味も格段に落ちる。

《尾ビレ》
◎「天然」尾ビレの赤が濃い。
●「養殖」尾ビレは茶褐色で、丸っぽい

《アイライン》
◎「天然」目の上にきれいな青いラインがあり、締めた直後まで目の上が青く輝く。
●「養殖」魚体の色が濃いので、目の上のアイラインが見えにくい。

《魚体》
◎「天然」桜色
●「養殖」全体的に黒っぽい

《腹部》
●「養殖」内臓のまわりの脂肪が厚いため腹部分が丸い。



【シマアジ】(スズキ目アジ科)
”鯵は味なり”といわれるほど、旨みのある魚、アジ。その仲間は多いが、普通アジといえばマアジを指す。
このアジ類の中で最高級とされているのがシマアジだ。世界の暖海全域に広く分布している回遊魚。銀色に光る魚体に、黄色い帯が走る。
産卵前後の初夏から夏にかけて、最も美味になるといわれる。

《尾ビレ》 ◎「天然」尾ビレの付け根が長い
●「養殖」尾ビレの付け根が短い

《魚体》 ◎「天然」顔がシャープ
●「養殖」内臓周りの脂肪が厚いため腹部分が丸い。



【ヒラメ】(カレイ目ヒラメ科)
ヒラメは、目が魚体の片側に移動し、一方側に寝た状態で、水深100〜200mの砂泥地で生活している魚。「左ヒラメ、右カレイ」といわれるように、背ビレを上にして目が左側にあるのがヒラメ、右がカレイ。また、「大口ヒラメの、小口カレイ」とも言われ、カレイに比べて口が大きく、鋭い歯があることでも区別できる。
ヒラメはほぼ全国の沿岸に生息。天然ものは1.5kgくらいのものが美味。冬が旬で、この時期は「寒ビラメ」といわれ、「寒ブリ」と並び代表的なうまい魚と評される。春になり産卵を終えると、身もやせて、ネコもまたいで通ることから「ネコマタギ」と呼ばれ、味も格段に落ちる。

《口》
◎「天然」口が大きく、しっかりしている。
●「養殖」からだの大きさに比べて口が小さい。

《魚体》(裏)
◎「天然」裏が白い。
●「養殖」裏にまだら模様。

《肝》
◎「天然」きれい
●「養殖」赤みがある





『活け締め』
活け締めとは、生きている状態の魚を即殺する方法。頭の上に包丁を入れて延髄を破壊し、死後硬直を遅らせ、鮮度を保つ。血抜きをより完全にするために、尾の付け根を切り込んでおく。
さらに、背骨上側に沿ってある脊髄神経に針金を通し、神経を抜く”神経抜き”をしておくと効果的。
沖釣りなどで生きた魚を手に入れたら、活け締めにして、よく血を洗い流し、氷蔵しておくと鮮度が保てる。
白身魚は、締めてから6〜10時間が食べごろ。





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