四川大地震について思う事
先般の中国四川大地震の惨状には心痛む。

人間(自分は)エゴいもの、地震の断層上に住み30年以上その危険性が指摘されている静岡であり、人事のようにああ、良か

ったとこの身に及びなかった災害を安堵する。

ただチベット問題で揺れた四川省には多くのチベット族が住み今回も多くの犠牲者が出た模様。世界の耳目を集めた聖火リ

レーや人権問題が人々の関心から離れてしまった事が少し残念である。

ニュース報道を見るに付け思うのは、次代を担う子供達が勉強する学校建築の脆弱さである。倒壊した建物の破砕物を見れ

ばまるで鉄筋はなく粉団子の材料をこねた様な代物である。

地震国日本での耐震化率は60%弱、問題のある数値とはいえ災害が発生する恐れがあったり、実際発生すればその避難

場所の多くは学校である。それほどに日本人は学校建築には信頼を置く。

臨海部の発展に力を注ぐ中国であるが、内陸部のアンバランスが如何に問題的か謀らずも露呈した。多くの決壊しそうなダ

ムも地元の為というより大都市圏へのものであろう。辺境に住む地元住民への環境や飲料水の確保、災害の発生等ダム建

設の功罪を十分審議したものではなかっただろう。これから向かう雨季でダム湖が決壊すれば想像の出来ない二次災害が

発生しよう。チベット高原等の長大かつ広大な河川を多く持つ中国であるがダム建設地は地形も複雑で急峻な渓谷が多い。

印度プレートと太平洋プレートが押し合うヒマラヤ山脈や周辺高峰群をえぐって建設する技術は簡単に集積出来るものでは

ない。またダムに流れ込んだ土石流はダム本来の機能低下をもたらし、浚渫等に伴う技術的困難と膨大な費用が発生する。

一説によれば中国のダム湖は30年で埋まってしまうといわれる。平均的には30年しかもたないということである。

化石燃料による火力発電が総電力の70%といわれその限界が指摘される中水力への傾斜が増々高まり国内外を巻き込ん

だ紛糾が多発するであろう。

三門峡ダム 黄河を堰き止め1958年建造されたが供用開始から僅か2年で堆積した土砂により計画機能が頓挫した。
(建設博物誌 ダムより転載)
先進国で水利ダムの建設が問われるのは、その功より罪の危険が指摘されている為である.

先ずは、自然破壊、生態系破壊そして安全面即ちダムに蓄えられた水圧による地殻への影響(それ自身による地震

の誘発)、ダム壁の強度計算は巨大断層上のダムの構造設計と工法の的確性を問われ、経済的には長期的な費用対

効果が問われる。また巨大な国際河川は中下流域の国々にも大きな影響を与え国際的政治問題にも発展する。

共産党一党独裁の稀に見る官僚国家中国では中央のエネルギー開発、経済至上主義による矛盾が学校建築の脆弱

性や規模や数ばかり求めるダムの多さに露呈する。

オリンピックや宇宙開発に膨大な資金を投入し国威の発揚を図る姿勢や不透明な軍事費の伸び。片方では生命の安全

さえも保証されない学校、大陸プレートが攻めぎあう断層地帯上の巨大ダム、被害にあった民衆のみならず国民の大多

数がこの矛盾の解消を迫った時中央政府はどのように答を出すのだろうか。

民生重視、これが今の中国中央の重点施策であるが、軍事優先の国、歴史的に問題の多い官僚主導の国中国のの国家

的変革が真に行われようとするならばその時隣国日本がその得意分野での出番である。

現在の中国の現状はある意味で過去の日本が通った道である。貿易黒字の累積、それによる通貨切り上げの圧力、人件

費の上昇、消費者物価、生産財の急激な上昇、公害の発生、おまけに日本では余り見られなかった格差の拡大や官僚の

大規模な汚職それに対する民衆の不満の増大。日本では安保闘争を切っ掛けとした若者や学生達の政治社会体制に対

する変革運動が記憶に新しいが、学生運動の激化は国家が発展する過程で必ず起る現象である。一党独裁の中国社会

では学生達が自由に発言出来る機会のない分だけそれは屈折したものになる。一見体制翼賛的愛国運動がいつ反国家

的行動に転化するかもしれない危うさがある。

民族問題もこのままでは済まない。オリンピック後の過熱経済の破綻の恐れはないのか。

余り表面には出てこないが中国はやはり政治優先といっても基本は軍事国家である。背後にいる軍部の支持が無ければ政

治体制は持たない。中越戦争の手痛い敗北から軍の近代化を急ぎ軍事費は増すばかり。

今回の四川大地震復興を契機に周辺国に脅威を与える軍事費の増大に歯止めをかけ真の民生優先へ舵を切り替える事が

出来るであろうか。今や限界を越えた公害問題克服は公害先進国日本の協力なしでは効果を上げ得ないであろう。この問題

は胡錦涛主席来日の裏の主目的ともいわれるが今後の中国を世界が注目する。


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