第25話  2003.10.02


『ヤフ・オク』―鉄人28号・その2―

 ヤフ・オクとは、Yahooが運営しているネット・オークションの俗称である。ここで売り買いするには会員登録をし、月々280円の会費を納めなければならない。会費は指定口座からの自動引き落しとなる。
 私がヤフーに登録したのは今年の4月だった。東京・渋谷のまんだらけで『フィギュア王』誌上限定・鉄人28号(鉄人28号・ブラックオックス・バッカスのソフビ3体セット)が、25,000円という法外な値段で、しかも恥ずかしげもなく売られている不逞に接し、俄然ヤフ・オクへの参戦を決意したのであった。
 ヤフ・オクは単にのぞいているだけではあまり意味をなさない。踊る阿呆に見る阿呆、おなじ阿呆なら踊るっきゃないでしょう。ここは一番バクチのつもりで参加することをお勧めする。
 ヤフ・オクの画面はさまざまな商品がカテゴリー別に分けられており、私は主に「おもちゃ・ゲーム」を選択し、目当ての商品名やキャラクター名、またメーカー名を打ち込み検索する。
 私が落札したユニファイブ製・デスクトップモデル・鉄人28号(スケルトン)を例に説明すると、まず、私は「パイロットエース」というガレージキット・メーカー名で検索した。
 パイロットエースはユニークなソフピを発売しているメーカーである。但し、安くはない。否、高いぞ! そこでヤフ・オクに注目することとなる。
 私は一覧で、パイロットエースのミニソフビ・鉄人28号が目に留まり、すぐさまそのページを開いてみた。価格はもとより取引条件(振込方法や発送方法)も私の希望を満たしていた。さらに、私はその出品者の「その他のオークション」を開き、落札した鉄人28号を見つけたのである。
 開始価格は5000円。いくらで入札したかは忘れてしまったけれど、私のほかに入札者はなく、幸運にも私はすんなり5000円で落札したのである。振込方法は郵便振替、発送は元払いの宅配便であった。
 高級ブランド品はいざ知らず、私が蒐集しているオモチャやオマケの類はおよそ100円単位の差で落札が決まる。郵便振替ならば手数料は130円、銀行振込、しかも他行宛だと手数料は630円と500円の違いで、この違いはよほど欲しいものでないかぎり容易に目をつむれる額ではない。また送料に関しても定形外郵便ならば全国一律の料金だけれども、宅配便となると地域別に送料が異なる。殊に北海道からの出品物には要注意で、送料が落札価格を上回る破目になりかねない。定形外は保証がないので敬遠されがちだけれど、わが国の郵便事情を考えればまず間違えのない発送方法である。
「百円二百円のはした金でガタガタいうな!」などと言うなかれ。
 これはゲームなのだ。ゲームにはルールが必要なのだ。欲しいものすべてを落札したければ、最高額を提示すれば済む話。しかし、それではゲームにならない。つまり、みずからの拘束と抑圧があってこそ「遊びごころ」を刺激してくれるのである。
 私はほとんど競り合うことをしない。最初に最高額を入札し、それを上回る入札者が現れたときには諦めることにしている。だからだろう落札率は三割にも満たない。が、これもまたみずからに課したルールである。
 追記
 後日、私は『フィギュア王』誌上限定・鉄人28号を廉価で落札し、初期の目的を果たした。

(写真解説)
 本文で紹介したスケルトン・鉄人28号(定価15,000)全高約21センチ。これはまったくの新品で、またたいへん親切な出品者から落札でき、思い出の逸品となった。ブツだけではなく、出品者とのささやかなふれあいも愉しみのひとつである。
 

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