第31話  2003.12.02


『横山光輝ロボット・ウォーズ』―鉄人28号・その3―

 2年ほど前から鉄人28号のフィギュアを集めるようになった。私は鉄人を漫画で読んだ世代ではなく、昭和38年からはじまったテレビ放送に夢中となった世代である。
 その時分、鉄人のコレクションといえばもっぱらグリコのガムやキャラメルについてくるオマケのシールやワッペンだった。シールは部屋の壁に貼り散らかした。目にしておきたかったのだろう。
 昨年だったか、私は江崎グリコのネット通販で額縁に納められた鉄人28号のワッペンセットを購入した。復刻版というふれこみだった。それは今、私の目の前に飾られている。絵柄のなつかしさとともに、不織布のザラザラとした手触りが甦る。
 鉄人のどこが良いのか? 実はよく分からないでいる。分からないままに、私は鉄人ものを買い集めているのである。
 先日(11/17)フィギュアックスから「横山光輝ロボット・ウォーズ(全8種+?)」が発売された。食玩はセブンのトンちゃんとこと決めているのだが、今回はセブン・イレブンでは取り扱わないとのこと。
 さてどうしたものかと思案しつつローソンをのぞいてみると、棚の最下段にひっそりとならべられていた。全部で20個。ということは2箱分が手つかずのまま。私はとりあえず1個買った。
 箱を開け、袋を破り、手にしてみると広告で見る以上の出来栄え。久しぶりに胸の高鳴りをおぼえた。箱には応募券がついており、6枚1口とある。ならばとりあえずもう5個と再びローソンへ。
 この時点で5種類がそろい、さらにその夜、店を閉めてから3個購入し、7種類となり、残すは?と06タイタン・マースの2種類のみ。
「9個買って7種類そろうなんて、今回はよほどツキがあるんだ。この分だといけるかもしれないぞ」と、私。
「そうね。いけるかもよ。北原さん(北原照久氏)だっていってたでしょう。『ツキはついていると思う人につく』って」と、かみさん。
 翌日、私は満を持して四度ローソンへ。一番軽いものをと手秤にかけつつ慎重に3個を選んだ。手秤とは、手の感触、または勘と運である。
 3個買ったうちの一番軽いものを、私は一番に開けてみた。青い外袋に入っているので、びっくり箱のようなおどろき方はしなかったけれど、09(?)という数字を認めたときには、キャラメル浣腸中(第7話参照)のかみさんを呼びに立ち上がったほどだった。さらに、残りの2個からは06の数字が浮かび上がっていたのである。
 これにて一件落着、といいたいところだが、私は自分の読みを確かめてみたくなった。ローソンにはまだ8個残っていた。つまり私一人が買っているだけなのである。応募券は2口分そろった。さらに買い足すのであれば6個。
「どうせなら全部買っちゃいなさいよ。それで気分がすっきりするんだから」と、かみさん。
 結果は私の読みどおりだった。全8種が2セットと?が1個。残りはジャイアントロボ2種と06タイタン・マース1個の計20個であった。これはきわめて良心的なアソートである。ハピネット・ロビン社(フィギュアックス)に幸多かれ。
 追記
 昨日、私はローソンへ行ってみた。するとまた棚の最下段にひっそりと、しかもおなじく20個ならべられていた。私が全部を買うのに要した期間は一週間である。一週間誰も買わずにあった商品が、はたして売れるのだろうか? 私の心配は、追加分が売れ残り、店側が手を引いてしまうということである。何人もおとなのささやかなたのしみを奪ってはならない。
 ところで、その20個の中に?はあるのだろうか……?

(写真解説)
 横山光輝ロボット・ウォーズ「09・実写版鉄人28号」全高約8.5センチ(フィギュアックス)。昭和35年2月1日から4月25日まで全13話がテレビ放映された。台座のボルトがたまらなくいいのであります。原型制作は鉄人フィギュアの第一人者・足立和博氏。台座は三枝徹氏という共同作業によって成った逸品である。
 

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