第35話    2004.01.12


『年末年始あれこれ』―ウルトラQ・その1―

 大晦日はNHKの紅白を視つつ、民放三局の格闘技番組をうかがう。目玉はTBSの「曙vsボブ・サップ」だった。詳報によると両者の対戦を迎えた午後11時台の最高視聴率は43.0%で紅白の37.8%を圧倒した。曙と同時に紅白も倒れたのであった。
 友人の武術家・内村匡人は、曙のK1挑戦を「日本相撲協会の汚点」と評した。輪島然り。三代目若乃花にしても褒められたもんじゃない。北尾に至っては論外である。朝青龍もいずれはリングに登場するのだろうか?
 それにしても、曙のノック・アウトは無様だった。とはいえ、誰も曙が勝つなどとは思っていなかっただろうし、ただ、どうボブ・サップに打ちのめされるのかをたのしみにしていたのだから、我々のなんと邪悪なことか。その邪悪な眼差しの中で曙は、まるでクルマに轢かれたカエルのような格好で、のびきっちまったのである。年のしまいに後味の悪さをおぼえた。
 明けて元日。私はクルマを走らせトイザらス長泉店へ行った。この日先行発売となるX-PLUS製の「ガラモン・モノクロ」と「ゴロー・モノクロ」を買うためである。開店5分前に到着。悠々と売場へ行き、目当ての二点をなんなく購入。ついでに「ゴロー・カラー」も入手。
 帰りに1階のスーパーへ寄り、食玩を物色。ウルトラ怪獣名鑑・セブン編(第28話参照)が手付かずのまま一箱あり、左側前から二番目に手をのばす。
「あった!」と、思わずほくそ笑んだ。
 しかも、モノクロバージョンであった。こいつは春から縁起がいいと、意気揚々と引揚げてきた次第。
 万楽は元日より営業。三が日は好天にも恵まれ上々の売上げ。こいつも春から縁起がいいと、深夜かみさんと二人でお屠蘇気分にひたる。
 4日は葬儀に参列。年末の28日に肺ガンのため40歳の若さで他界した知人との別れ。
 私もかみさんも風邪気味だったので、お焼香だけで帰ってこようと話していたのだが、葬儀を請負っていた顔見知りの葬儀屋さんに「あちらの席が空いておりますよ」と案内され、仕方なく線香の煙にまかれながらマスクもせずに1時間を過ごす。
 出棺の折には棺の中の知人に菊の一輪を捧ぐ。死後1週間を経過した遺体は黒ずんでおり、嫌なものを見てしまったと、後味の悪さをおぼえた。
 そんなこんなですっかり体調を崩し、店を開けてはみたものの、7時前に閉店。その夜は39度の発熱。といって寝ているわけにはいかず、抗生物質をバンバン服んで翌日も営業。観光地熱海の正月は書入れ時なのだ。20日過ぎれば客足は途絶える。人様といっしょになって遊んでいたのではおまんまの食い上げだ。因果な稼業だなあと、つくづく思う。
 6日は運転免許証の更新。交通安全協会への入会を作られた笑顔で勧められたが、断る。ちょっと勇気がいったが気分は爽快。誰が警察官僚の天下り先なんぞにカネをくれてやるか。
 7日、本年最初の仕入れ。年末には活況を呈していた市場もこの日はひっそり。依然として根深と白菜は安い、そしてうまい。暖冬さまさまである。
 韓国で発生した「鷄インフルエンザ」の影響か、鳥肉の価格が上がっていた。それにもましてアメリカの狂牛病騒動で牛肉がひどいことになっていると聞く。まずもってモノが入ってこない。牛が駄目ならブタということで、豚肉の値上がりがはじまった。
 牛丼の吉野家には遠く及ばないが、万楽も牛タンの串焼や牛モツ煮込みを提供しており、しかも人気メニューなのでけして対岸の火事ではないのである。
 11日は来日したインドの友の歓迎会。これについては次回に記す。

(写真解説)
 ゴロー・カラーバージョン(X-PLUS製)全高約20センチ。価格1999円。元日の朝にトイザらス・ドットコムにてガラモン・モノクロ2体(友人からの依頼分1体)とゴロー・モノクロを注文した後、トイザらス長泉店ヘ。行って売切れの悲哀を味あわないための用心である。ゴローは「ウルトラQ」第2話「五郎とゴロー」に登場した巨大猿。出現地が伊豆の天城山ということもあり、私には馴染みのQ怪獣である。
 

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