第68話    2005.03.26


『コンプリート』―ウルトラ怪獣名鑑・その3―

 complete・完全にする、完成する、全部の、といった意味である。
 コレクターが「コンプリート」という場合は、「全種類そろっていますよ」となる。さらに「ノーマル・コンプリート」と「フル・コンプリート」を使い分ける。前者はレア物やシークレット以外は全部そろったもの。後者はレア物もシークレットも含む一切合財そろったものをいう。
 3月14日、セブンイレブンで「ウルトラ怪獣名鑑・ウルトラマン&ウルトラセブン2nd. SEASON EPISODES」いわゆる「マン&セブン編の第2弾」が発売になった。
 私はあらかじめ1BOX(10個入り)を予約しており、店を終えた深夜に取りに行った。
 1弾の折には未開封を2箱そろえていてくれ、私は難なくフル・コンプリート(全13種類)できた。
 今回は3箱そろえておいてくれ、私はこおどりしながら開封作業にとりかかったのである。
 このシリーズの有難いところは、1BOXでノーマル・コンプリート(全10種類)できるところだ。またシークレットおよびバージョン違いというレア物の位置が分かることでもある。たとえば第28話で紹介したガラモンは左側前から2番目といった塩梅。
 今回のシークレットはウルトラQに登場した「トドラ・カラーと白黒の2種類」。バージョン違いはウルトラマン怪獣の「ブルトン」である、との情報を、私は行きつけのセブンのカウンターで開封作業にとりかかる以前に入手していた。
 高鳴りをしずめながら開封。ノーマル・コンプリート達成。ブルトンは右側最前列にあったため、ご好意で残りの2BOXを開けさせていただく。
 1BOX目、ナシ。不安がよぎる。2BOX目、キタッー!
 さて、お次はトドラだ。前回のシークレットは最後列右にあった。今回もとばかりにそこへ手をのばす。が……。開けた箱はブラコ星人2個とカナン星人1個であった。
 15個を抱え、私はもう一軒のセブンへ走った。幸い手付かずの1BOXがあった。この店との相性は良く、これまでに何度かシークレット(前回の「ラルゲユウス・カラー」はこの店だった)を引いている。しかし、ここでもブラコ星人。
 家へ帰り、パソコンを開く。
「シークレットは最後列左。レアは最前列右でいずれも同じBOXにある」との情報。
 なんてこった! 私が引いたレアの箱には、しかも、ブラコ星人ではなく、これだけカナン星人の隣にはいずれかのトドラがいたのである。カナン星人を引いたときに気付くべきだった……。
 あとの祭りだった。トドラの目方が分かれば手量りもできようが、売場に陳列された後では位置など分からない。
 翌朝、私は7時に起床して函南町のセブンを廻ったが、置いてある店は1軒しかなく、しかもバラされていたので手を出すことができなかった。さらにはかみさんに仕込みをまかせ、湯河原のセブンを廻ってみたが、こちらは1軒もなく、改めて食玩の凋落を思い知らされた次第。
 その夜、私はファミリーマートの入荷を待って市内の全店を廻ったみたが置いてある店は2軒しかなく、しかもバラされていたのでどうすることもできなかった。
 さてどうするか? と腕を組んでいた折に「トドラの目方は、ブラコ星人と同じかやや軽め」という情報を目にした。つまり、手量りでは分からないから、一番重いものを選んでみてはいかがでしょうか? という意味である。
 幸か不幸か(不幸に決まっているのだが)、昨夜は暇で仕込みが少ない。「ならば」とばかりに、私はゆうべの残り飯でおにぎりを結び、かみさんを助手席に乗せ下田方面へ向けクルマを走らせた。ともかく、目に入ったコンビニ、スーパーへ飛び込むローラー作戦である。
 その成果は「お陰でいいドライブができた」と慰めてくれた、かみさんのひと言であった。

(写真解説)
 本文で紹介したブラコ星人(ウルトラセブン第22話「人間牧場」に登場)全高約7センチ。人間牧場とはなんとも意味深だ。偶然ではあるけれど、欲望に飼われ、家畜と化した己れを思わずにはいられない。

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