第72話    2005.05.23


『メイク・ドラマ』―ウルトラ怪獣名鑑・その4―

 5月16日、セブンイレブンにおいて「ウルトラ怪獣名鑑マン&セブン編の第3弾」が発売になった。
 第2弾の折の失態は、第68話に書いたので今一度お読みいただきたい。
 私は未だに「トドラ」を獲得できないでいる。セブン、ファミマーといったコンビニでの発売後、ひと月ほどしてから量販店にも姿をあらわし、私はそれこそ東奔西走したけれどもダメだった。
 シークレット獲得にこれほどお熱になるのは、今や食玩で蒐集しているのはこの怪獣名鑑だけで、またフル・コンプリートしいている唯一のシリーズだからである。
 ちなみに、シリーズ第1弾のシークレット「クリアー・ネロンガ」は、ヤフオクでは7000円を超え、第2弾の「ゼットン・台座違い」にいたっては15000円前後といった高値で落札されている。いずれの2点も第30話に写真(左ネロンガ、中央ゼットン)を掲載しているのでご覧いただきたい。
「こんなものが……?」と、小首をかしげられたのではあるまいか?
 が、世に高価な物とは、たいがいは「こんなもの」なのであり、お菓子のオマケに限ったことではない。
 さて、マン&セブン編の第3弾も近所のセブンに予約。仕事帰りの深夜に取りに行った。
 ところが、店の手違いで1ケースしか入荷しておらず、しかも、あろうことかお手つきしているではないか。これでは買って帰るわけにはいかない。
 馴染みの店員はその場で改めて発注伝票を書いたけれども、入荷は2日後である。これでは出遅れてしまう。とはいえ、これまでの付き合いがあるので「バカヤロー! 欲しいのは今なんだよ。なんとかしろ、カス!」とは、断じていえない。2個だけ買って泣く泣く帰宅した。
 帰宅してすぐにパソコンを開く。
 さっそく今回のシークレット「ゴロー(カラーとモノクロの2種)」とバージョン違い「プラチク星人・骨」獲得の情報が書き込まれていた。
 その情報をまとめると、
「ゴローはカラー、モノクロともに1/80、骨は1/40の混入率。また両方とも同じ箱(10個入り)の最後列にあり、ゴローは一番重く、骨は一番軽い」とのことだった。
 翌早朝、私はかみさんを起こさぬようにそっと部屋を脱け出し、隣町のセブンへクルマを走らせた。
 以前にも記したけれど、この頃は取り扱い店が著しく減少している。セブンとはいえ、どこのセブンにも入荷しているわけではない。私の感触で申し訳ないけれど、半数ほどではないかしら。
 私の向かったセブンは「トドラ」こそ逃したけれど、これまでに「ゴーガ」および「ラルゲイユス」の、いずれもカラーを獲得している験のいい店だ。
 幸運にも、手付かずの箱がひかえていた。私は胸の高鳴りをしずめながら最後列に手をのばした。
「重い!(そして、やたらに)軽い!」
 それでも、私は一抹の不安を抱いてクルマに乗り込み、やおら開封。
「キタッーーーーーーー!」
 情報通りの「ゴロー(カラー)」と「骨」を獲得。
 私は更にクルマを走らせ、さらに昼にはかみさんを助手席に乗せ、遠征した。が、その日の成果は早朝の2体にとどまった。
 翌日、セブンからの電話で1ケースを引き取りに行きノーマル・コンプ達成。残りは「ゴロー・シロクロ」1体のみとなった。
 残念ながら、今回はファミマーでの取り扱いはなし。期待していただけにがっかりした。
 さてどうするか? 私はダメモトでさらにセブンを廻った。ヤフオクで落とそうと思えば2500円前後なのだ。
「なにかお探しですか?」と、店員。
「玩具菓子ですが、ウルトラ怪獣名鑑、入荷してますか?月曜日に発売になったのですが」
 前回の発売の折にも私はこの店をのぞき、おなじことを訊ねていた。店員はそのことを憶えており、在庫を確認した上で連絡を寄越すとのこと。家へ帰るとさっそく入荷の案内が留守電に入っていた。
「金曜日の午後7時頃入荷の予定ですので、7時半には店頭にならんでおりますのでお越しください」
 午後の7時半といえば、私は焼鳥の煙につつまれながらシコシコと皿なんぞを洗っている時間帯だ。また閉店は12時でそれから後片づけをして、となると連絡をくれたセブンへ着くのは1時過ぎになり、買って帰れば2時になる、ではちときつい。手付かずで、しかも確実に「ゴロー・モノクロ」があるというのなら別だけど。
 翌早朝、私はまたもかみさんを起こさぬようにそっと部屋を脱け出し、セブンへ走った。
 先ずは手付かずの箱を発見。第一関門突破に気を良くして、おもむろに最後列の2個に手をのばす。
「重い!(そして、やたらに)軽い!」
 私は逸る気持ちをおさえてクルマに乗り込み、やおら開封。瞬時に胸の内で快哉を叫び、意気揚々と引揚げた。
 助手席にはゴロー・モノクロ(と骨)。野球でいえば9回ツーアウトからの逆転の一発に、帰路の私はいわゆるひとつのチョーさん口調となり、
「メイク・ドラマですかねーー。えーえーえー」と、つぶやいたのでありました。

(写真解説)
 ウルトラ怪獣名鑑・ウルトラマン&ウルトラセブン3rd.SEASON EPISODESのシークレット「ゴロー・モノクロ」 全高約5.5センチ(バンダイ)。この回で以てマン物はすべて登場した。次回がたのしみのところだが、こんなふうに振り回されるのは「御免だ」という思いがないわけではない。とはいえ、またぞろ欲望の虜となり買いに走るんだろうけれど……。

※写真をクリックすると拡大します。
 

トップへもどる