第91話    2006.02.13


『勘定合って銭足らず』―チキチキマシーン猛レース―

 あれよという間にこの雑文も90話を数えた。アクセス数は89話までが6014だから一話当り約67。が、出だしは50平均だった。昨年の夏頃から上昇に転じ、じりじりと平均値を押し上げている。
 原因は分からない。ただ、起爆剤となったのは第80話を九州在住の方が運営する「空想特撮玩具研究所」というマニアなサイトで紹介したことだ。この話には238のアクセスがあり、最初から記録していたわけではないが最高値であると思う。また、おそらくこの数値の更新はないだろう。
 アクセス数とはテレビでいう視聴率といったところか。私はカネを貰っているわけではないからアクセス数を見て一喜一憂することはないが、増えればうれしいし減ればさびしい。

 昨年11月にパソコンを買い替えた。今度もMacで最新鋭のiMacG5だ。それまではPowerBookG3(OSは9.2)を七年間使っていた。
 買い替えと同時に旧機を廃棄するはずだったが、いざその段になると愛着が湧き、この雑文に限り旧機を使用している。最新鋭機と比較するとモニターの輝度がはるかに劣るけれど、その分負担が少なく、目に優しい。ただし、インターネットに関してはお役御免である。買い替えの理由もそこにあった。
 買い替えに当り、主流を成すウィンドーズも考えたけれど、一からおぼえる煩瑣に堪えられず、易きについたのである。
 結果はどうか?
 旧機を捨てずに使っているのだから、WinでもMacでも同じだったと思う。私はおよそその機能の半分も使いこなしてはいない。というより、それらは私にとっては無用の長物である。荘子のいう「機械あれば機事あり。機事あれば機心あり」といったところだ。

 荘子で思いだした。
 一昔前になる。私はガイド二人に伴われ、大河ガンジスの源流、さらにその流れを成すガンゴートリー氷河を訪ねた。
 準備に数カ月を要し、キャラバンを組んで12日。いよいよ目的の景観を目の前にして、あろうことか持参したカメラのシャッターがおりなかった。電池切れである。単三電池ならばこんな山奥でも茶店に置いてある。が、私のカメラは私にさえ馴染みのない電池が用いられていた。
 最新技術のなんと役立たずなことかと、私は痛感したことだった。
 手許にその折のスケッチがある。それは拙いながらも写真以上にその折の様子を伝えて余りある。指に付いたヒンドゥーの聖地の泥が付着し、余白には「ヘイ・ラーム(おお神よ)」と、覚えたてのデーヴァナーガリー文字でしたためてある。チャチャとクンデンの二人のガイドのサインがある。アルバムを開かなくとも、二人の面影はしっかりと私の脳裏に焼き付き色褪せることはない。

 先日、古本屋で安藤昇の「激動・血ぬられた半生」という文庫をみつけた。
 海軍航空隊予科練習生、通称「予科練」としての戦中から戦後ヤミ市。さらに当時東洋郵船社長横井英樹襲撃、逃亡、逮捕、懲役、出所、安藤組解散までを描いた安藤昇の自伝である。
 元インテリやくざということもあり、安藤昇には菅原文太や高倉健にはない生身の凄みがあった。ジャン・ギャバンとまではいわないまでも、銀幕の存在感は、少年の私が街で見る稲川会を凌駕した。
 安藤昇に関しては公式サイトがあるのでそちらをご覧いただきたい。
 最後に、安藤昇の招運の5ポイントを記して勘定を合わせたいと思う。
1 ものごとにこだわらないこと。
2 陽気であること。
3 不平不満をいわないこと。
4 後悔しないこと。
5 忘れること。
 銭は足りてるか?

(写真解説)
 チキチキマシーン猛レース第2弾のシークレット「ケンケン」全高約6センチ(コナミ)。ケンケンはいつも相棒であるブラック魔王の失敗を見て笑っていた。こいつは悪魔なのか天使なのか……?

※写真をクリックすると拡大します。
 

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