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                        特集2 三大成人病と活性酸素



■ 活性酸素と三大成人病の関わり
「活性酸素について」では、どのようにしてお肌を活性酸素から守るかを主眼において説明させてもらいましたが、活性酸素の本当の恐ろしさは、単に皮膚の細胞を痛めつけるだけではなく、体のあらゆる器官を酸化して破壊し、病気を引き起こすことにあるのです。現代の社会は私達に備わっている抗酸化能力を超える活性酸素を発生させており、それによる病気が必然的に増加しています。そのため、一昔前には誰も関心を寄せることさえしなかった病気が、今では国民病と騒がれたり、死因の上位に顔を出すようになりました。

現在、日本人の死因のトップ3を占める病気は、ガン・心臓病・脳卒中で、これらが三大成人病と呼ばれていることはご承知の通りです。この三つの病気のみを対象とした生命保険が販売されているほど、ポピュラーになりました。
これらの病気はそれぞれ患部が異なっており、一見何のつながりもないように思えます。でも実は三つに共通する原因として、「活性酸素」が深く関わっていることが明らかになっています。そればかりではありません。実際には、活性酸素が原因でなる病気は驚くほど多く、それがすべての人に同じように発生するものである限り「活性酸素」は私達の体全体の健康や生死にまで関係する大問題なのです。

もちろん誰もが活性酸素の害で死ぬと決まったわけではありません。私達の体は無数の抗酸化物(スカベンジャー)を用意して、活性酸素の強力な酸化力から身を守っているからです。ただ、体の抗酸化能力には個人差があり、強い人は病気にもかからず健康な生活を送ることができるのに対して、弱い人は体が少しづつ蝕まれていくのです。
また、若い時は新陳代謝も活発で、抗酸化力も強いので比較的安心していられるのですが、油断は禁物。その力も年齢をとともに衰えていき、やがて活性酸素に対して徐々に劣勢に回り始めて、気づかないうちに侵されてしまうのです。25歳を過ぎると、肌の荒れや傷みが気になりはじめるのは、体が発する危険なシグナルですし、40歳を超えると、人間の抗酸化力が急激に減退するという研究報告もあり、その時期と成人病にかかりはじめる時期とが一致するのも、決して偶然ではないということです。



■ あらゆる病気に関わる活性酸素
肌にシミやシワができるのは、いうまでもなく「活性酸素」によって過酸化脂質ができたり、皮膚に色素が沈着するからですが、その攻撃が激しくなったり、私達の抗酸化力が衰えたりすると話は単に「肌」では済まなくなります。活性酸素は容赦なく体を蝕んでいき、私達の生死に関わる病気をも引き起こすのです。

活性酸素や過酸化脂質が原因で起こると考えられている病気には、先の三大成人病を初め、糖尿病・白内障・老人性痴呆症・肝炎・腎炎・痛風・肺気腫・・・・・・など、数え上げたらきりがありません。

実は、病原菌による感染症を除いた、あらゆる病気の9割に、活性酸素が何らかの形で悪い影響を及ぼしているといわれているのです。以上のことを考えると、活性酸素からお肌を守る方策は、すなわち”病気から身を守る”ことに直接つながる大切なケアであるといえるのではないでしょうか。



■ ガンと活性酸素との関わり
ガンの発生過程
ガンとは、医学的には、私達の体の中で生まれる「悪性の新生物」のことです。それが勝手に増え続け、正常な細胞を浸食して、やがて私達の体の機能を破壊してしまうのです。当然、人間が死ねば、ガン細胞もそれ以上生きていけないわけですが、それでもかまわず増殖を続け、結局は自らをも破滅に追い込むほど抑制のきかない化け物−−−それが”ガン”だといってよいでしょう。

私達の体は約60兆個もの細胞でできています。そして、それら個々の細胞一つ1つには、全く同じ遺伝情報が納められていて、その遺伝情報を伝えるのがDNAです。このDNAにはその生物のすべての特徴が書き込まれており、DNAを完全に複製することができたら、完璧に同一な個体をいくつでもつくることが可能になります。
あなたもテレビで”クローン蛙”というものを見たことがあるはずです。「クローン」とは、わかりやすくいえば、遺伝子が全く同一の個体のことをいいます。つまり、遺伝子の移植技術を用いて、人為的につくったそっくり同じ蛙がクローン蛙です。もし、あなたのDNAを全くそのままコピーできれば、もう一人のあなたをつくることも、理論的には十分可能なのです。

私達の体では頻繁に細胞分裂が行われ、古い細胞は捨てられ、新陳代謝が繰り返されています。そして、そのたびにDNAが寸分たがわずコピーされています。しかし、もし、あなたの細胞のDNAに傷ができ、遺伝情報に狂いが生じたとしたら、さて、どのような状態が起こるのでしょうか。細胞分裂は正常に進むのでしょうか。
その答えは「ノー」です。遺伝情報に狂いが生じると、体の特徴を正確に伝えることができないため、あなた本来の細胞とは異なった細胞が生まれてしまうのです。それは、あなたのほかの細胞と協調しようとしない異質なもので、もはやあなたの細胞とは呼べない「新生物」です。

人間のDNA上にある遺伝子の数は数万個といわれ、その中にはもともと数十個から百個のガン遺伝子があるといわれています。そして、これらが活発化すると、細胞がガン化すると考えられています。しかし、同時に、DNAには”ガン抑制遺伝子”もあることがわかっており、通常はこれがガン遺伝子の動きを封じ込めているのだと考えられています。
すなわち、現在では、ガン抑制遺伝子が何らかの原因によって機能しなくなり、ガン遺伝子をコントロールするものがなくなって暴走を始めた新生物、これが「ガンの正体」だと考えられているのです。

腫瘍を悪性に変える活性酸素
このガンのきっかけをつくる要因を”イニシエーター”といいます。イニシエーターには、ガンウィルスの他に、紫外線や放射線の被爆、公害物質、農薬、食品添加剤、タバコ、ストレスなど、実にさまざまなものがあります。
ここで前項の活性酸素についてを読まれた方ならばピンときたはずです。ガンウィルスを除けば、すべてが「活性酸素」の発生源であることに気がつかれたことでしょう。そうです、ガンのきっかけをつくる犯人は、多くの場合、「活性酸素」なのです。「活性酸素」が細胞の核内にあるDNAを攻撃して傷をつけ、遺伝子を破壊してしまうのです。

イニシエーターによって初めのガン細胞ができる段階を”イニシエーション”といいますが、恐ろしいガンといえども、最初はたった1個のガン細胞で、これが歯止めなしに細胞分裂を繰り返して成長するわけです。ただ、ガン細胞ができても、そのままでは体にとっては異物なので、キラー細胞などの防衛軍に殺されてしまうため、誰かの助けがなければ生きてはいけません。そのガン細胞を後押しするものを”プロモーター”といい、ガン細胞が勢いを増す段階を”プロモーション”と呼びます。
このプロモーター役を引き受ける代表的な存在もほかでもない「活性酸素」なのです。この「活性酸素」が要するに、腫瘍を悪性に変えてしまうのです。そうして、ガン細胞が急激に増殖し、ガンが進行や転移を開始してしまう段階を”プログレッション”と呼び、もはや、れっきとした「ガン」といえます。

このように、ガンの発生過程は大まかには三段階に分かれ、その重要な場面で決まって「活性酸素」が顔を出すのです。もちろん、実際のガンへのプロセスはもっと複雑で、遺伝や個人の体質、食生活、環境、精神的な作用などが複雑にからみあっているものと考えられます。また、イニシエーションからガンと診断される大きさになるまで、通常は10〜30年かかるともいわれています。イニシエーターにしても、熱いお茶を飲み続けると、胃ガンを招くなどの報告があり、すべてが「活性酸素」のせいとはいえません。
ただ、ビタミンやβカロチンなどの低分子の抗酸化物(スカベンジャー)の血中濃度が高い人ほどガンになる確率が低いという研究結果があり、ガン化と活性酸素の関係を如実に物語っています。また、紫外線と皮膚ガンの例はすでに述べたとおりですし、タバコと肺ガンの関係を否定する人はどこにもいないでしょう。そのほかにも、数々の発ガン物質による細胞のガン化の過程から活性酸素の動きが明らかになっており、多くのガンの発生に活性酸素が深く関与していることに疑う余地はありません。

放射能に被爆すると大量の活性酸素が!
活性酸素とガン発生の恐ろしい例を挙げましょう。それは放射能についてです。一度に大量の放射能(放射線)を浴びると人間は即死してしまうことは、ヒロシマやナガサキから学びました。これも実は、原子爆弾が爆発するときの猛烈な放射能で、膨大な量の活性酸素が発生し、それによって細胞が溶かされてしまうからです。
もし、被爆量が少なかったとしても、DNAが損傷を受け、後遺症を残し、それがやがて白血病などのガンを引き起こすことになります。そして、遺伝子の異常が次世代に受け継がれれば、奇形や障害を持つ赤ちゃんが生まれてしまいます。
同様の例は、ベトナム戦争時にアメリカ軍が使用した”枯れ葉剤”にも見ることができます。これに使われた”ダイオキシン”は、人間の体の中で多量の活性酸素を発生させます。そのためにDNAの一部が傷つき、ベトちゃん・ドクちゃんの二重胎児を初め、数々の奇形児が産まれたことはあまりにも有名です。

このように被爆死、ガン化、奇形の3つの悲惨なことがらは、放射能や枯れ葉剤をきっかけとして、すべて「活性酸素」でつながっていることがわかります。そのうちのどれが現れるかは、放射能や枯れ葉剤の量に関係し、つまりは発生する活性酸素の量に左右されるのです。




■ 動脈硬化と活性酸素との関わり
コレステロールの「善玉」と「悪玉」について
日本人の死因No2の心臓病のうち、狭心症と心筋梗塞は動脈が詰まり、血液の流れがストップしてしまうために起こる病気ですが、同様に、死因No3の脳卒中も、患部は違っても、やはり同じく動脈が詰まるために起こるもので、「動脈」と活性酸素の関わりにも実は深いものがあります。
動脈は体の各部に酸素や栄養分をたくさん含んだ血液を運ぶ血管で、細胞は、この酸素や栄養分が届けられなければたちまち死んでしまいます。この動脈のうち、心臓に栄養を与える動脈を「冠動脈」といい、これが詰まると”狭心症”や”心筋梗塞”の発作が起きます。一方、脳の血管が詰まると、”脳卒中”を引き起こし、それらの原因として、一般に「コレステロール」が嫌われているわけです。

本来、コレステロールは私達の体にはなくてはならない脂質で、体内にあるおよそ150gのコレステロールの八割は肝臓で自家製造し、二割は食品から補給しています。もちろん、食事からとり過ぎない方がよいことは確かですが、少々とり過ぎたからといって、すぐに動脈がどうこうなるといった代物でもありません。そして、その役割は、細胞膜や核膜といった生体膜の原料となることであり、またホルモンやビタミンDを作る際にも必要なものです。

このコレステロール、今では「善玉」と「悪玉」と区別されるのが常識となっています。その区別はどの段階でつけられるかといえば、コレステロールは脂質、つまり油なので、そのままでは血液に溶けません。そこでタンパク質と結びついて運ばれることになるわけですが、その結びつくタンパク質の種類によって働きが変わるため、善玉(HDL)と悪玉(LDL)に分けられるのです。LDLとは肝臓から各部の細胞へ届けられるコレステロールを積んだもの、HDLとは不要になったコレステロールを回収するものです。そして動脈に付着するのはLDLの方であるために、それが悪玉扱いされているのです。

コレステロール自体は悪ではない
しかし、前述のように、コレステロールそのものは、悪いものではありません。コレステロールであることにおいて、善玉も悪玉もどちらも体には必要なものです。とすると、真に悪いものは何になるのでしょうか。
それは、コレステロールを変質させ、動脈に付着させる物質、すなわち「活性酸素」なのです。

血液中にLDLが増え、そこに活性酸素が発生すると、LDLのコレステロールが酸化され、”過酸化脂質”に変わってしまいます。変質してしまったコレステロールはもはや役に立たずなので、食細胞”マクロファージ”が駆けつけ、食べて片づけようとします。が、その量が多いと、マクロファージは腹を膨らませ過ぎて、油ギトギトの”泡沫細胞”となり、死んでしまいます。
この泡沫細胞や過酸化脂質が動脈の壁にくっついて、血液の流れを妨げ、また、動脈の壁を変質させ、メスが入らないくらいに硬くしてしまう−−−これが「動脈硬化」です。
動脈はもともと弾力性があり、栄養分などを自在に通過させているのですが、硬直化するとその機能が失われ、さらに、古くなったゴムホースのように裂けやすくなってしまうのです。



■ 心筋梗塞と活性酸素との関わり
心筋梗塞は酸欠による細胞の壊死
私達の心臓は一分間におよそ70回鼓動しています。1日なら約10万回も収縮と拡張を繰り返している計算になり、一年間なら、なんと3700万回という膨大な回数になります。それでも、心臓の筋肉”心筋”は決して音を上げずに、黙々と働いてくれているのです。

心臓は、ご存じの通り、体の各部に血液を送り出す、いわばポンプの役目をしている臓器です。と、同時に、心臓の細胞自体も呼吸をし、生きていくために血液を必要としています。
この心臓を冠のようにとりまいている動脈を「冠動脈」といい、心臓に酸素や栄養分を含んだ血液をとぎれることなく送り届けています。しかも、24時間休み無しのハードな仕事をしている”心筋”は、それだけ多量の酸素と栄養分を必要としますので、それを運ぶ「冠動脈」の仕事もかなり重労働です。そのため、冠動脈の壁は非常に太く、弾力性に富んでおり、少々もろくなったからといって、普通の動脈のように裂けたりすることはありません。
しかし、決してスーパーマンではなく、冠動脈にも「硬化」は生じます。それによってもたらされる最大の障害は、血管に過酸化脂質やコレステロール、中性脂肪などが付着して、血液の流れがストップしてしまうことです。心臓は他の器官と比較して、特に酸素の欠乏に弱く、酸素の供給が止まると心筋は活動できなくなり、非常な痛みを訴えます。これが、心臓が締め付けられるような「狭心症」の発作です。

狭心症の発作が起きても、すぐに血液の流れが回復すれば、心臓はことなきをえます。しかし、”酸欠”の状態が続くと、その部分の細胞は呼吸ができず、壊死してしまいます。
これが「心筋梗塞」といわれる病気で、壊死の部分が広い範囲に渡ると、心臓は全体として機能を果たすことができず、鼓動が停止してしまうのです。すなわち死を迎えることになるわけです。
狭心症の発作では、応急処置として”ニトログリセリン”を服用することをご存じでしょうか。ダイナマイトの原料として知られる劇物のニトログリセリンには、塞がったり、収縮したりした血管を拡張して、血液を流れやすくする作用があるのです。

発作がおさまっても油断大敵
ここで「再灌流」という現象が多量の活性酸素を発生させる、という事実を思い出してください。「再灌流」とは、血液の流れがストップし、虚血状態のところへ、再び血液がどっと流れ込むことをいいます。

狭心症や心筋梗塞の発作で、いったん心臓が虚血状態に陥ると、その場は運良く助かり、心臓の機能が回復したとしても、今度は「再灌流」によって発生した活性酸素に、冠動脈や心臓の細胞が攻撃を受けることになるのです。もし、発作が収まり、一段落しても安心はできません。心筋梗塞で壊死した細胞は”マクロファージ”に片づけられ、傷ついた部分は修復され始めますが、心筋はほかの組織の細胞と違って、細胞分裂して再生することができないため、損傷のない部分を利用しての”つぎはぎ”の補修工事となります。そのため、完璧に元通りというわけにはいかず、心機能の低下につながることは避けられません。加えて、活性酸素にも傷つけられることが、発作後の心臓病の治癒を難しくさせる原因となっているのです。



■ 脳卒中と活性酸素との関わり
脳の血管の逆向き分岐点が・・・
血液の流れがストップすることによる酸素の欠乏で決定的なダメージを受けるのは、心臓も脳も同じです。
意外と知られていませんが、脳は酸素の大量消費器官で、体内で消費される酸素のおよそ20%は脳で使われているという試算もあります。心臓のように動いたりしませんが、体をコントロールしたり、感情や思考といった精神活動は、大変な仕事量だということで、したがって活性酸素の発生機会もきわめて大きくなります。

この脳の動脈には、体のほかの部位では見られない、二つの大きな弱点があります。一つめは、血液の流れに逆向きの分岐点があることです。普通、血管が枝分かれするとき、血液の流れが滞らないように、流れる向きに沿ってY字形に分岐します。ところが、脳の血管には後ろ向きに血液が流れる分岐点がいくつもあり、血液の停滞を招きやすい構造になっているのです。
この分岐点にたまりがちなのが、過酸化脂質やコレステロールなどです。動脈硬化は、それが引き金になります。また、血管の壁が傷ついたときにできる”血栓”(血の固まり)が、壁からはがれて流れるときもこの分岐点に引っかかりやすく、血管を塞いでしまうことが少なくありません。それが、逆向きの分岐点となれば、なおさら血流がよどみやすく、血液の流れに支障がでないのがむしろ不思議なくらいです。また、心臓から流れてきた血液は脳にそのまま行き渡るのではなく、途中”脳関門”という関所のような所で止められ、血液中に含まれる物質のうち、脳の中を通行してもよいものと、通行を許さないものとに選別されます。というのも、脳はいわば生命活動の中枢を握っている司令塔的な器官で、そんな大事な器官に無条件で物質を通過させれば、脳に不要なものや、有害物質が入り込み、どんな事態が起こるかしれないからです。そういった意味では、”脳関門”は非常に重要な役目を果たしているのです。





やがては「老人性痴呆症」にも・・・

ところで、”脳関門”での選別作業が常時あれば、どうしても血液の流れに余分な手間がかかることになり、急に血管の修復にタンパク質が必要になっても、脳内ではすぐに補修ができなくなります。これが二つめの弱点です。
一般に「脳卒中」と呼ばれている病気は、「脳出血」と「脳梗塞」の二つに大別されます。「脳出血」とは、活性酸素によって血管の内壁がはがれ、そこに過酸化脂質が入り込んでこぶができ、それが破裂して、出血する病気です。過酸化脂質などで傷んだ血管はもろく、動脈硬化で硬直した分岐点などは破れやすくなっているのです。特に、高血圧の人には要注意の病気です。

一方、「脳梗塞」は、血管が塞がれて血液の流れがストップしてしまい、脳細胞が酸欠状態に陥ってしまう病気です。心臓でいえば「心筋梗塞」にあたります。どちらの場合でも、酸素欠乏による細胞壊死と、血液の再灌流の際に発生する活性酸素による障害が生じ、それが神経系に異常を起こす原因となっています。特に、言語障害や半身マヒが後遺症として残ることが多いのが特徴です。そして、病気の直後には目立った症状がでなくても、こうした病変が蓄積されると、後に血管性の「老人性痴呆症」を招くことにもなるのです。



■ 糖尿病・合併症と活性酸素との関わり
糖尿病もその合併症も引き金は活性酸素
「糖尿病」とは、血液中の糖の濃度が上昇する病気です。医学的には「インシュリンの不足により生じる疾患」と定義されています。「インシュリン」は、血糖値を下げる働きをするホルモンで、これが足りなくなることによって、血糖値が上昇し、糖尿病が引き起こされるのです。
血糖値は通常70〜110で、食後の多いときでも200を超えない程度におさまっています。これは血糖値を下げるインシュリンと、血糖値を上げるグルカゴン、成長ホルモン、甲状腺ホルモンなどの微妙な綱引きによって調整されているものです。

私達が食事をすると、その栄養分は腸から吸収され、血液に入ります。栄養分の中には当然糖質も含まれていますので、インシュリンがただちに活動を始めます。インシュリンが肝臓の門を叩くと、肝臓は蓄えておいた糖(ブドウ糖)を血液中に放出するのを止め、反対に肝臓内に糖を取り込み始めます。また、インシュリンが体の各組織に回ると、すぐに組織の細胞は血液や体液中のブドウ糖の細胞への取り込みを開始するのです。

このような働きをするインシュリンをつくっているのは、膵臓のランゲルハンス島(膵島)というところにあるβ(ベータ)細胞です。このβ細胞は、その抗酸化システムが比較的弱いため、活性酸素や過酸化脂質に傷つけられ、インシュリンの製造に支障をきたしてしまうのです。これが糖尿病の原因の一つと考えられています。(ただし、若年層に見られる糖尿病は、ウィルス感染が引き金になって、自己の免疫作用によるもので、発病の原因は異なります。)
事実、糖尿病患者の血液中には過酸化脂質が多く存在し、病状が回復するにつれて減少することが確認されています。

ヒドロキシルラジカルの恐怖
糖尿病が本当に怖いのは、数々の合併症をともなうことにあります。特に血管に障害が発生しやすく、網膜や腎臓といった毛細血管の集中している場所が狙われて、重症の場合は失明や尿毒症にまで進行してしまいます。また、糖尿病患者の心筋梗塞による死亡率は一般の二倍以上で、日本人の平均寿命よりかなり低いことが統計的に明らかになっています。
そして、活性酸素はこれら糖尿病の合併症においても、その誘発に深く関わっている疑いが濃厚なのです。

糖尿病で血液中の糖の濃度が高いと、タンパク質と糖が結びついて糖化タンパク質ができやすくなります。この糖化タンパク質が生成する反応が進めば、最終的にAGEという物質になりますが、その生成過程で活性酸素の「スーパーオキシド」が発生するのです。
発生した「スーパーオキシド」は酵素系スカベンジャーのSOD(スーパーオキシドジムスターゼ)の働きで「過酸化水素」に変えられます。しかし、酵素もまたタンパク質であるため、SOD自体が糖化され、それによって遊離する亜鉛や銅のために、最強の活性酸素「ヒドロキシルラジカル」が発生してしまうのです。
また、このAGEが動脈の内皮に入り込むと動脈硬化の原因になり、網膜に入り込みとそこに病変をつくります。そして酵素類が糖化されると、それぞれの持つ”生命活動を調整をする”という大切な働きが失われてしまうのです。
「佐藤 拓著 活性酸素を減らせば肌がこんなに若返る」より抜粋






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