狙撃から考える、地球連邦軍とジオン公国軍のMS開発方針

狙撃。現代においても軍の兵種として狙撃兵は欠かせないらしい。
最近の狙撃は50口径の砲で、ヘリとかを狙うらしいが。
ガンダム世界においてはどうなのだろう?
狙撃シーンを考えてみると、Zガンダムにおいて、カラとソラマがカスタムハイザック(通称、隠れハイザック)で
狙撃を行っているシーンが思い浮かぶ。
(余談だが、彼らはいったい何の目的で狙撃を行っていたのか劇中でははっきりしない。
  ティターンズに所属しているらしいのだが、2人とも私服であったため、どうもはっきりしない。
  仮にティターンズだとすると、ちまちまとロンデニオンコロニーくんだりで狙撃をやっていた目的は。と考えてみると、
  同じ回にロンデニオンにお忍びでミネバとハマーンが保養に来ているシーンにカミーユたちが出くわすシーンがヒントになる。
  つまり、彼らは、ミネバ暗殺を目的にロンデニオンに進入。帰りのシャトルを狙っていたのであろう。)
余談が長くなった。
このシーンのカスタムハイザックの装備は高出力のビームランチャーのみである。このころのティターンズ側のMSが多く装備していた
フェダーインライフルであろうか?ハイザックにフェダーインライフルがドライブできるだけのジェネレータ出力はないはずなので、カスタムの部分は
外見の装甲だけでなく、ジェネレータの換装等も行っているのだろう。
狙撃の相手はエウーゴのMS.ここ最近で、7機のMSが行方不明になっているとの話がある。
もっとも、MSは爆発物の塊といっても良いので(核融合炉つんでるし)胴体部分を貫通したら爆散していたにちがいない。
つまり、MSは狙撃し甲斐がない対象なのである。
それが原因で、狙撃に関する装備はMSで発達しなかった。
と、ここまで書いて気がついた。
「GM スナイパーカスタム」は?
つまり、連邦軍にはMS狙撃手がいるのだ。
連邦軍は3機編成の小隊編成を基本単位にしている。
基本的にフォワード2機にバックアップ1機の編成でバックアップには、ガンキャノンや、ジムキャノン、等の長、中距離支援型MSを
配備し、前線2機のフォローを行う。(ガンダムMK−2が3機試作されたのはこれが理由ではないだろうか?)
こういった方式の中で、生まれてきたのがスナイパーというMSであろう。
つまり、上層部の部隊運営方針からMSの開発が行われているのである。
対するジオン軍はどうも、現場主導の部分が大きいらしく、
寒冷地で動くMSを    ・・・・・> ザク寒冷地型
対空支援駕できるMSを  ・・・・・> ザクキャノン
水中でもMSを      ・・・・・> 水中用ザク
砂漠でMSを       ・・・・・> ザク・デザートタイプ
と現場の要求に応える形での開発が主流である。
さて、遠距離支援型のMSはジオンにはないのだろうか?
思い浮かぶ遠距離支援MSは「メル・ザウン・カノーネ」ザメルである。
といっても大口径砲による支援砲撃で狙撃ではない。どちらかといえば連邦のガンタンク的な運用である。
次は、「ゲルググ・イェーガー」これはまさしく狙撃用MSだが、これが開発されたのは大戦末期。
それまでに現場から狙撃用のMSの要求仕様は上がらなかったのだろうか?
推測するにザクというMSの持つ高い汎用性がそういった要求が起こらなかった原因ではないだろうか?
「手」というあまりにも汎用的なエンドイフェクターを持った兵器を開発してしまったジオン軍は
ありとあらゆる任務をザクにあたえた。ザクは携帯装備の変更でそれを行うことが可能であったのだ。
環境は根本的な構造の対応が必要なので要求はあがったが、任務による開発要求があがらないのはこのせいではないだろうか?
(唯一の任務に対応した開発のザクキャノンだが、その生産数は20機を満たない(異説あり))
つまり、ジオン軍は狙撃任務にはザクマシンガンや、その他の兵装を改造したスナイパーライフルを装備させ対応し、
新規開発を行わなかったのだろう。
これはMSという兵器を先に開発したのがジオン公国だったからだと考える。
ギレン・ザビが開戦を決意した理由とも言われるMSの開発成功。そこで、ジオン公国軍は
MSを運用するための軍編成を行った。
ムサイ級軽巡洋艦の開発。チベ級重巡のMS搭載型への改造に始まり、それは組織編制そのものにも
及ぶ。つまりMSは変えずに、軍が変わったのだ。
これに対してザクを参考に、さらに内部にMS開発よりも宇宙艦隊再建を進める派閥があった地球連邦軍は
軍編成はそのままでMSをあくまで「機動歩兵」の扱いに終始する。
つまり、連邦軍は今までの軍編成にMSを当てはめることにしたので、歩兵の仕事をさせるのが必要であった。
さらに、小隊内で特化した役割に対応するため、任務にあわせた機体の開発を行っていく。
つまり軍は代わらず、MSを変えた。
これが連邦とジオンの開発方針の違いであろう。
大局的にみるとそのままイデオロギーの違いまで見る事が出来る。
「変革」を求めて開戦したジオン軍
  (ザビ家独裁とはいえ、お題目は「スペースノイドの自治権確立」である)
現状を守ることが目的の連邦軍
  (宇宙世紀の歴史は後年、この現状維持の姿勢が対立を生んでいく原因になってゆくのを明確に記録している)
余談だが、戦後、地球連邦軍は、ジオン公国が開発した「サイコミュ」「モビルアーマー」といった自軍にない兵器の研究に
力を注ぐ、その結果生まれたのが、変形MSである。
だが、結局、サイコミュのほうはニュータイプそのものを危険視した軍部の方針で発達しなかったようである。
余談の余談:
近年、GMに多くのバリエーションがあった事が発表されているが、その多くが
用途に合わせた形のものが多い。場合によったら、個人の要求だけで作られているような
機体も散見する。(ジム・スパルタン とか、)